JP3895216B2 - 電子式車両盗難防止装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用の電子式車両盗難防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両の盗難を防止するために、機械式のステアリングロック装置が広く用いられている。
【0003】
ステアリングロック装置は、キーシリンダとロックピンとを備えている。キーシリンダにはメカキーが挿入され、このメカキーを回転操作することによりロックピンが作動するようになっている。ロックピンはステアリングシャフトに係脱可能になっている。このロックピンがステアリングシャフトに係合した場合、ステアリングシャフト及びステアリングホイールは回転不能となる。
【0004】
ところが、近年では、これまで使用されてきたメカキーの代わりに電子キーが用いられるようになってきた。そのため、将来的には、キーシリンダをモータ等のアクチュエータにより電気的に作動させる電子式のステアリングロック装置が普及していくことが予想されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の電子式ステアリングロック装置では、制御装置が電気アクチュエータの駆動を制御している。このため、制御装置内に電気的なノイズ発生して、ロック時以外のときに、ロック手段が誤作動するという可能性があった。そこで、本出願人は、ロック時以外のときは、エンジン始動・停止スイッチを利用して、制御装置の電源供給経路を遮断することにより、電気アクチュエータを非通電状態にする方法を考えた。ところで、ユーザーはエンジンが始動状態か否かを、エンジン始動・停止スイッチの状態を目視することにより判断することが一般的である。そこで、エンジン始動・停止スイッチは、電源供給経路を遮断させるための操作力を継続して加えることができるとともにスイッチの操作部の位置を保持できるステーショナリ式スイッチである必要があった。
【0006】
ところが、エンジンを始動させた後にエンストした場合、エンジンを再始動させるためには、エンジン始動・停止スイッチを一旦オフ状態にした後に再度オン状態にする必要があった。この場合、電源供給経路を遮断させるためにスイッチの操作部を一旦オフ位置に戻した後に、再度オン位置に復帰させる動作が必要であった。よって、ユーザーにとって、車両がエンストした場合においてエンジンを再始動させるための操作が煩わしいという問題があった。
【0007】
このような課題を解決する一つの方法としては、エンジン始動・停止スイッチにモーメンタリ式スイッチを利用することが考えられる。しかし、モーメンタリ式スイッチは、操作力がなくなるとオン状態からオフ状態になってしまう。従って、従来の電源給電経路の中にモーメンタリ式スイッチを単純に組込むだけでは、制御装置及びアクチュエータへある程度長い時間給電することができなかった。このため、モーメンタリ式スイッチの利用が可能な装置構造が望まれていた。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両がエンストした場合、エンジンを容易に再始動させることができる電子式車両盗難防止装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、車両の駆動系機構及び操舵系機構のうちの少なくとも一方を構成する可動部材に係脱するロック手段と、そのロック手段を駆動するアクチュエータと、そのアクチュエータの駆動を制御する制御手段とを備える電子式車両盗難防止装置であって、前記制御手段または前記アクチュエータの給電経路に、モーメンタリ式のエンジン始動・停止スイッチと、前記ロック手段と前記可動部材との係合解除時において、オン・オフ状態が一旦切り換わってから元のオン・オフ状態に復帰するアンロック状態検出スイッチと、前記エンジン始動・停止スイッチ及び前記アンロック状態検出スイッチのオン・オフ状態に基づき、前記エンジン始動・停止スイッチの操作時から前記アンロック状態検出スイッチのオン・オフ状態が切り換わるまでの間該給電経路を導通させるとともに、前記アンロック状態検出スイッチのオン・オフ状態が切り換わったときに前記給電経路を遮断する電流ラッチ手段とからなる給電制御回路を設けたことをその要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記アンロック状態検出スイッチは、同スイッチをオン状態にするオン位置とオフ状態にするオフ位置とに移動する可動部材と、アンロック状態検出スイッチをオン状態にさせる方向に常時付勢する弾性手段とを備え、前記ロック手段と前記可動部材との係合解除時において、前記可動部材は前記弾性手段の付勢する方向とは逆方向へ前記ロック手段によって押圧されながら前記オフ位置まで移動した後に、前記ロック手段を押圧しながら前記オン位置に復帰することをその要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記給電制御回路は、前記ロック手段と前記可動部材との係合時において、オン・オフ状態が一旦切り換わってから元のオン・オフ状態に復帰するロック状態検出スイッチを備え、前記電流ラッチ手段は、前記エンジン始動・停止スイッチ、前記アンロック状態検出スイッチ及び前記ロック状態検出スイッチのオン・オフ状態に基づき、前記エンジン始動・停止スイッチの操作時から前記ロック状態検出スイッチのオン・オフ状態が切り換わるまでの間該給電経路を導通させるとともに、前記ロック状態検出スイッチのオン・オフ状態が切り換わったときに該給電経路を遮断することをその要旨とする。
【0012】
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1に記載の発明によれば、制御手段またはアクチュエータの給電経路には、モーメンタリ式のエンジン始動・停止スイッチと電流ラッチ手段とが設けられている。この場合、エンジン始動・停止スイッチが一旦オン状態になった後にオフ状態に復帰したとしても、前記給電経路に設けられた電流ラッチ手段は一定期間オン状態に保持される。つまり、制御手段またはアクチュエータは、電流ラッチ手段のラッチ作用により通電状態に一定期間保持される。このような理由から、モーメンタリ式スイッチをエンジン始動・停止スイッチとして利用することができる。よって、車両がエンストした場合、ユーザーは、エンジン始動・停止スイッチをワンプッシュするだけでエンジンを再始動させることができる。従って、エンジンを再始動させるための操作を容易にすることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、可動部材は、弾性手段によりアンロック状態検出スイッチをオン状態またはオフ状態させる方向に常時付勢されている。この場合、可動部材は、ロック手段に押圧されてオン位置またはオフ位置に移動した後に、弾性手段によりオン位置にある可動部材はオフ位置へオフ位置にある可動部材はオン位置へ移動する。つまり、可動部材はロック手段の押圧力及び弾性手段の付勢力によりオン位置またはオフ位置へ移動する。このため、アンロック状態スイッチのオン・オフ状態の切替を機械的に行うことができる。よって、電子式車両盗難防止装置の信頼性を向上させることができる。また、アンロック状態検出スイッチを構成する部品点数は少なくて済む。従って、電子式車両盗難防止装置を安価に製造することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、電流ラッチ手段は、エンジン始動・停止スイッチの操作時からロック状態検出スイッチのオン・オフ状態が切り替った後に、制御手段の給電経路を遮断する。このため、ロック完了時には、ロック手段を作動させるアクチュエータ及び制御手段が非通電状態に維持される。よって、制御手段内に電気的ノイズが発生しないため、アクチュエータが作動することはない。このため、ロック手段の誤作動を確実に防止することができる。よって、電子式車両盗難防止装置の信頼性を向上させることができる。また、ロック手段を作動させる必要がないときは、アクチュエータ及び制御手段が非通電状態に維持される。従って、電子式車両盗難防止装置の消費電力を低減することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明において電子式車両盗難防止装置を具体化した電子式ステアリングロック装置1の一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
【0016】
図1〜図3に示すように、本実施形態の電子式ステアリングロック装置1は、操舵系機構を構成する車両のステアリングポストに取付けられる。電子式ステアリングロック装置1を構成するケース本体10は略箱状をなしている。ケース本体10は、カバー19をロックボディ13に取付けることにより構成されている。
【0017】
図2及び図3に示すように、カバー19の内側面には、合成樹脂製の収容ケース17が設置されている。収容ケース17は、第1のケース17aと第2のケース17bとを組み合せることによって構成されている。収容ケース17にはプリント基板20が収容されている。プリント基板20は、第2のケース17bにネジ71を螺着させることによって固定されている。プリント基板20には、IC、コンデンサ等の電気部品20aが複数箇所に実装されている。また、プリント基板20には、電線18が電気的に接続されるようになっている。この電線18は、ケース本体10の外部に延出されるようになっている。
【0018】
図1に示すように、ロックボディ13には、略円弧状をなす取付部13bが図1に示す左側方向に延出形成されている。取付部13bは、図示しないボルトによって図示しないコラムチューブに取付けられるようになっている。コラムチューブ内には、ステアリングシャフト21が挿通されるようになっている。ステアリングシャフト21の外周面には、凹部22が設けられている。図3に示すように、ロックボディ13には、断面略矩形状をなすガイド孔13aが設けられている。ガイド孔13aは前記取付部13bと対応するように配設されている。ガイド孔13aは、ケース本体10が前記コラムチューブに取付けられた際に、コラムチューブの内部と連通するようになっている。
【0019】
図3に示すように、ガイド孔13a内には、ロック手段としてのロックピン12がガイド孔13aに沿って移動可能に配設されている。ロックピン12の基端部には、被押圧部12a及び引込用ストッパ7が設けられている。ロックピン12の先端部は、ロックボディ13の外側面から出没可能になっている。ロックピン12は、略四角柱状かつ断面略矩形状に形成されている。ロックピン12の断面積は、ガイド孔13aの断面積よりも幾分小さくなっている。よって、ロックピン12の先端部は前記凹部22に対して速やかに係脱するようになっている。
【0020】
図2に示すように、ケース本体10内には、アクチュエータとしてのモータ43が収容されている。モータ43を挿通する第1回転軸45の先端部における外周面には、摺動ピン49が当接するようになっている。この摺動ピン49は、第1回転軸45の位置決めを行うものである。また、第1回転軸45には、ウォームギア48が外嵌されている。ウォームギア48は、第1回転軸45の回転に連動するようになっている。ウォームギア48は、平歯車50に噛合うことによって、同平歯車50を駆動するようになっている。平歯車50は、第2回転軸44を中心として回転するようになっている。
【0021】
図3に示すように、第2回転軸44には略扇型状のカム41が固定されている。カム41は、第2回転軸44を中心に平歯車50の回転方向と同じ方向に回転する。モータ43を正回転させると、平歯車50及びカム41は、第2回転軸44を中心として時計周り方向(図3の矢印F1方向)に回転する。この場合、引込用ストッパ7がカム41により押圧されるため、ロックピン12はステアリングシャフト21の凹部22との係合が解除される。よって、ロックピン12の先端部は、ロックボディ13のガイド孔13aの内側へ収容される。
【0022】
一方、モータ43を逆回転させると、カム41は、第2回転軸44を中心として反時計周り方向(図3の矢印F2方向)に回転する。この場合、カム41はロックピン12の被押圧部12aを押圧する。よって、ロックピン12の先端部はステアリングシャフト21の凹部22に係合される。このとき、カム41が回転する範囲は、同カム41がゴムストッパ6に接触することによって規制されている。
【0023】
図3に示すように、アンロック状態検出スイッチ60は、第2のケース17bの壁面と引込用ストッパ7との間に設けられている。アンロック状態検出スイッチ60は、可動部材としての当接板60cと弾性手段としてのスプリング60bと検出器60aとを備えている。当接板60cは、複数のスプリング60bにより第2のケース17bの壁面に固定されている。
【0024】
検出器60aは、引込用ストッパ7に対向するように、第2のケース17bの壁面に取付けられている。当接板60cは、カム41が時計周り方向(図3の矢印F1方向)に回転すると、引込用ストッパ7により押圧される。この場合、当接板60cは、第2のケース17bに取付けられた検出器60a側へ移動する。当接板60cが検出器60aに接触したとき、アンロック状態検出スイッチ60のオン・オフ状態が切替わるようになっている。
【0025】
図4に示すように、カム41を回転させるモータ43は、制御手段としてのマイコン32によって駆動制御される。バッテリ65には、給電制御回路を構成するエンジン始動・停止スイッチ63の接点73aと電流ラッチ手段としてのリレー64の接点74aとの接点76aが電気的に接続されている。本実施形態では、エンジン始動・停止スイッチ63としてモーメンタリ式スイッチが利用されている。よって、エンジン始動・停止スイッチ63は、その操作時においてオフ状態からオン状態にスイッチを切り替えた後に操作力がなくなるとすぐにオフ状態に復帰する。一方、電流ラッチ手段としてのリレー64は、エンジン始動・停止スイッチ63の操作時から一定期間電流を流しつづける作用(ラッチ作用)を有している。また、セルモータ69、マイコン32は、エンジン始動・停止スイッチ63の接点73bとリレー64の接点74bとの接点76bに電気的に接続されている。リレー64は、切替スイッチ64aと接点74a,74bとコイル部L1とを備えている。コイル部L1の一端は前記接点76bに接続されており、他端はアンロック状態検出スイッチ60の接点75aに接続されている。また、アンロック状態検出スイッチ60の接点75bは接地されている。
【0026】
アンロック状態検出スイッチ60は、可動部材としての当接板60cと、複数のスプリング60bと接点75a,75bとを備えている。前記当接板60cには、接点75a,75bと接する接触片60dが取付けられている。ロック時において、前記接触片60dは、スプリング60bの付勢力により接点75a,75bに当接している。このため、接点75a,75bの間は導通されている。一方、アンロック時において、当接板60cはロックピン12と凹部22との係合が解除される方向に作動する。つまり、当接板60cは、ロックピン12によりスプリング60bの付勢する方向とは逆方向に押圧される。すると、接触片60dは接点75a,75bより離間する。このため、接点75a,75bの間の導通は解除される。
【0027】
セルモータ69は、バッテリ65から供給される電源によって作動することにより、エンジンを始動させるようになっている。セルモータ69は、FET(電界効果トランジスタ)100のドレイン端子に接続されている。FET100のゲート端子はマイコン32に接続され、FET100のソース端子は接地されている。
【0028】
エンジン始動・停止スイッチ63及びリレー64とモータ43との間には、スイッチング手段としての切替スイッチ61が配設されている。切替スイッチ61は可動接点61a,61bを有している。可動接点61aは、接点71a,71bに当接して、接点71a,71bの間を導通させるようになっている。このとき、モータ43は通電状態に切り替えられる。可動接点61aは、切替スイッチ61が手動で操作されると、接点71a,71bから離間する。そして、切替スイッチ61は、車両が運転されているときに接点71a,71bを開放状態にし、ロック手段給電経路81を機械的に遮断する。つまり、可動接点61aは、切替スイッチ61に連動してロック手段給電経路81を非通電状態に切り替える。このとき、モータ43は作動不能状態になる。また、可動接点61bは、切替スイッチ61の操作に連動して接点72a,72bに当接する。このとき、可動接点61bは、イグニッション電源経路82を通電状態に切り替える。このとき、電子燃料噴射装置やその他の電気部品が通電状態に切り替えられる。
【0029】
また、エンジン始動・停止スイッチ63とリレー64との接点76bは、接点72aに電気的に接続されている。接点72bは、エンジンを稼動させるための図示しない電子燃料噴射装置やその他の電気部品に接続されている。この場合、接点72a,72b及び電子燃料噴射装置やその他の電気部品に電流が流れる経路はイグニッション電源経路82となる。イグニッション電源経路82には、車両の電子燃料噴射制御装置やその他の電気部品を作動させるための電流が接点72a,72bを介して流れるようになっている。
【0030】
また、接点76bは接点71aに電気的に接続されている。接点71bはモータ43に電気的に接続されている。モータ43は、FET62のドレイン端子に電気的に接続されている。FET62のゲート端子はマイコン32に接続され、FET62のソース端子は接地されている。即ち、接点71a,71b、モータ43及びFET62に電流が流れる経路がロック手段給電経路81となる。FET62は、マイコン32から駆動信号が出力されるとオン状態になる。このとき、モータ43は正転するように制御される。すると、平歯車50及びカム41は、第2回転軸44を中心として時計周り方向(図3の矢印F1方向)に回転する。つまり、ロック手段給電経路81には、ロックピン12をステアリングシャフト21に係合させる方向にモータ43を駆動させる電流が接点71a,71bを介して流れるようになっている。
【0031】
次に、電子式ステアリングロック装置1の動作を説明する。
まず、図5(a)に、車両が駐車されている時の、電子式ステアリングロック装置1の状態を示す。この場合、マイコン32及びモータ43は非通電状態になっている。ロックピン12の先端部は、ステアリングシャフト21の凹部22に係合されている。また、当接板60cは、アンロック状態検出スイッチ60をオン状態にするオン位置Aにて停止している。この場合、当接板60cに取付けられた接触片60dは、接点75a,75bの間を導通させている。
【0032】
ユーザーが車両に乗車して、エンジン始動・停止スイッチ63をオン状態にする。すると、エンジン始動・停止スイッチ63の接点73a,73bの間は、切替スイッチ63aにより導通される。この場合、リレー64のコイル部L1及びアンロック状態検出スイッチ60に電流が流れる。よって、リレー64の切替スイッチ64aは、コイル部L1に電流が流れることにより、接点74a,74bの間を導通させる。ところが、エンジン始動・停止スイッチ63はモーメンタリ式であるため、接点73a,73bの間の導通はすぐに解除される。しかし、リレー64の切替スイッチ64aは、依然として接点74a,74bの間が導通された状態に保持される。このようにリレー64によって電流がラッチされる結果、マイコン32及びモータ43がリレー64を介してバッテリ65と電気的に接続される。従って、マイコン32及びモータ43は通電状態が維持される。マイコン32は、モータ43を駆動させる制御を行うためにFET62に作動信号が送信する。すると、FET62はオン状態になるため、モータ43の駆動が開始される。
【0033】
モータ43の駆動が開始されると、カム41は第2回転軸44を中心に時計周り方向(図3のF1方向)に回転する。すると、図5(b)に示すように、ロックピン12は、凹部22との係合が解除されアンロック方向(図5(b)の矢印F3方向)へ作動する。よって、ステアリングシャフト21及びステアリングホイールが回転可能となる。この場合、当接板60cは、ロックピン12によりスプリング60bの付勢する方向とは逆方向(図5(b)のF3方向)に押圧される。その結果、当接板60cは、アンロック状態検出スイッチ60をオフ状態にするオフ位置Bまで移動する。よって、当接板60cに取付けられた接触片60dは、接点75a,75bから離間する。従って、接点75a,75bの間の導通は解除される。すると、リレー64のコイル部L1に電流が流れなくなるため、接点74a,74bの間の導通も解除される。つまり、リレー64はオン状態からオフ状態に切り替る。よって、マイコン32及びモータ43の給電経路は遮断される。この場合、マイコン32及びモータ43は非通電状態になるため、ロックピン12は作動しなくなる。
【0034】
アンロック状態検出スイッチ60のオフ状態が確認されると、モータ43の駆動が停止される。すると、当接板60cは、複数のスプリング60bによりロック方向(図5(c)の矢印F4方向)に常時付勢されているため、ロック方向に幾分押し戻される。よって、当接板60cは、アンロック状態検出スイッチ60をオン状態にするオン位置Aまで再び移動する。その結果、当接板60cに取付けられた接触片60dは、接点75a,75bの間を再び導通させる。但し、ロックピン12の先端部は、図5(c)に示すように、ステアリングシャフト21の凹部22には係合されない位置に停止する。
【0035】
次に、ユーザが図4に示す切替スイッチ61を操作すると、可動接点61aが接点71a,71bから離間することにより、ロック手段給電経路81が遮断されて非通電状態になる。つまり、ロック時以外の時には、ロックピン12を作動させるモータ43は非通電状態に維持される。それに連動して、可動接点61bが接点72a,72bに当接する。その結果、イグニッション電源経路82が通電状態に切り替えられる。この状態において、セルモータ69を作動させることによりエンジンが始動する。
【0036】
そして、ユーザーが切替スイッチ61を操作してエンジンを停止すると、切替スイッチ61が図4に示す状態に戻る。そのため、可動接点61aが再び接点71a,71bに当接する。ここで、マイコン32は、モータ43を駆動させるために作動信号をFET62に出力する。FET62はオン状態になるとともに、ロック手段給電経路81は再び通電状態になる。モータ43の駆動が開始されると、カム41は第2回転軸44を中心に時計周り方向(図3の矢印F2方向)に回転する。ロックピン12は、図5(a)に示される状態に戻り、その先端部が凹部22に係合される。従って、ステアリングシャフト21及び図示しないステアリングホイールが回転不能となる。
【0037】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)マイコン32及びモータ43の給電経路には、モーメンタリ式のエンジン始動・停止スイッチ63とリレー64とが設けられている。この場合、エンジン始動・停止スイッチ63を一旦オン状態にした後にオフ状態に復帰させても、リレー64のオン状態は一定期間維持される。よって、マイコン32及びモータ43は、リレー64により通電状態が一定期間維持される。このような理由から、エンジン始動・停止スイッチ63としてモーメンタリ式スイッチを利用することができる。よって、車両がエンストした場合、ユーザーはエンジン始動・停止スイッチ63をワンプッシュするだけでエンジンを再始動させることができる。従って、エンジンを再始動させるための操作を容易にすることができる。
【0038】
(2)アンロック状態検出スイッチ60の当接板60cは、スプリング60bの付勢力によりロック方向(図5(a)の矢印F4方向)に常時付勢されている。この場合、当接板60cはロックピン12に押圧されてオフ位置Bに移動した後に、スプリング60bが常時付勢する方向に移動する。つまり、アンロック状態検出スイッチ60は、ロックピン12の押圧力及びスプリング60bの付勢力により、一旦オフ状態になった後に再びオン状態に復帰することができる。よって、アンロック状態検出スイッチ60のオン・オフ状態の切替を機械的に行うことができる。従って、アンロック状態検出スイッチ60のオン・オフ状態の切替をより確実に行うことができる。
【0039】
(3)アンロック状態検出スイッチ60は、ロックピン12が、直接当接板60cを押圧することによりオフ状態になるとともに、スプリング60bの付勢力により再びオン状態になる。このように、アンロック状態検出スイッチ60は、オン・オフ状態を切替えるための構成が簡単であるため、部品点数を少なくすることができる。よって、電子式ステアリングロック装置1を安価に製造することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明を具体化した電子式ステアリングロック装置1の第2実施形態を図6、図7に従って説明する。なお、第2実施形態において第1実施形態と同様の部分においては、その詳細な説明を省略する。
【0040】
図6に示すように、アンロック状態検出スイッチ60の接点75bは、ロック状態検出スイッチ90の接点76aに接続されている。ロック状態検出スイッチ90は、接点76a,76bと可動部材としての当接板90cと弾性手段としてのスプリング90bとを備えている。当接板90cは、複数のスプリング90bによりロックボディ13に固定されている。
【0041】
ロックピン12の先端部とは反対側の端部には、屈曲部12bが形成されている。さらに、屈曲部12bには、その先端の当接板90c側に凸形状を有する凸部12cが設けられている。当接板90cは、凸部12cにより押圧されることにより、スプリング60bが付勢する方向とは逆方向に移動することができる。
【0042】
当接板90cには接触片90dが取付けらている。当接板90cがロックピン12に押圧されていない場合、接触片90dはスプリング90bの付勢力により接点76a,76bに当接される。このため、接点76a,76bの間は導通される。当接板90cがロックピン12に押圧されると、接触片90dが接点76a,76bより離間するため、接点75a,75bの間の導通は解除される。この場合、当接板90cは、ロックピン12によりスプリング90bの付勢する方向とは逆方向に押圧されている。また、ロック状態検出スイッチ90の接点76bは接地されている。
【0043】
次に、第2実施形態における電子式ステアリングロック装置1の動作を説明する。
まず、図7(a)に、車両が駐車されている時の電子式ステアリングロック装置1の状態を示す。この場合、マイコン32及びモータ43は非通電状態になっている。ロックピン12の先端部は、ステアリングシャフト21の凹部22に係合されている。当接板90cは、アンロック状態検出スイッチ60をオン状態にするオン位置A1に停止している。当接板90cに取付けられた接触片90dは、接点76a,76bに当接している。
【0044】
ユーザーは車両に乗車して、エンジン始動・停止スイッチ63をオン状態にする。すると、エンジン始動・停止スイッチ63の接点73a,73bの間は、切替スイッチ63aにより導通される。この場合、リレー64のコイル部L1、アンロック状態検出スイッチ60そしてロック状態検出スイッチ90に電流が流れる。よって、リレー64の切替スイッチ64aは、コイル部L1に電流が流れるため、接点74a,74bに当接される。つまり、接点74a,74bの間は導通される。ところが、エンジン始動・停止スイッチ63はモーメンタリ式であるため、接点73a,73bの間の導通はすぐに解除される。この場合、リレー64の切替スイッチ64aは、接点74a,74bに当接された状態が保持される。つまり、接点74a,74bの間は導通されている。よって、マイコン32及びモータ43は通電状態が維持される。このため、マイコン32よりFET62に作動信号が送信された場合、FET62はオン状態になるとともに、モータ43の駆動が開始される。
【0045】
モータ43の回転駆動が開始されると、図7(b)に示すように、ロックピン12はアンロック方向(図7(b)の矢印F3方向)へ作動する。この場合、当接板90cはオン位置A1に停止した状態が保持されている。よって、接触片90dは接点76a,76bに当接しているため、接点76a,76bの間は導通した状態が維持されている。
【0046】
ユーザーが切替スイッチ61を操作してエンジンを停止すると、切替スイッチ61が図6に示す状態に戻る。マイコン32は、モータ43を駆動させるために作動信号をFET62に出力する。図7(c)に示すように、当接板90cは、ロックピン12により押圧されて、スプリング90bの付勢する方向とは逆方向に作動する。当接板90cは、アンロック状態検出スイッチ60をオフ状態にするオフ位置B1まで移動する。この場合、当接板90cに取付けられた接触片90dは接点76a,76bから離間する。よって、接点76a,76bの間の導通が解除されるとともに、ステアリングシャフト21及び図示しないステアリングホイールが回転不能となる。
【0047】
ロック状態検出スイッチ90の接点76a,76bの間の導通が解除されるとともに、アンロック状態検出スイッチ60及びリレー64はオフ状態になる。よって、マイコン32とモータ43とは非通電状態になる。すると、ロックピン12は、スプリング90bの付勢力によりアンロック方向(図7(c)の矢印F3方向)へ幾分移動し図7(a)の状態に戻る。この場合、当接板90cは、アンロック状態検出スイッチ60をオン状態にするオン位置A1に停止する。このため、接触片90dは接点76a,76bに当接された状態になる。
【0048】
従って、この第2実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(4)リレー64は、エンジン始動・停止スイッチ63の操作時からロック状態検出スイッチ90のオン・オフ状態が切り替った時に、マイコン32及びモータ43の給電経路を遮断する。ロック完了時には、マイコン32及びモータ43は非通電状態に維持される。よって、マイコン32には電気的ノイズが発生しないため、モータ43が誤作動することはない。従って、電子式ステアリングロック装置1の信頼性を向上させることができる。また、ロック完了時には、ロックピン12を作動させるマイコン32及びモータ43が非通電状態に維持される。従って、電子式ステアリングロック装置1の消費電力を低減することができる。
【0049】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態では、アンロック状態検出スイッチ60及びロック状態検出スイッチ90は、スイッチの押圧部に力が加わることによりオン・オフ状態が切替えられる接触式のスイッチであった。しかし、アンロック状態検出スイッチ60及びロック状態検出スイッチ90は、非接触式のスイッチ、例えば近接スイッチ、光電スイッチ等であっても良い。
【0050】
・前記実施形態では、電流ラッチ手段としてリレー64を用いていた。しかし、電流ラッチ手段はリレー64に限らず、給電経路を一定期間導通した後に遮断させる機能を備えているものであれば、例えば電気回路によって構成されたものでもよい。
【0051】
・前記実施形態では、アンロック状態検出スイッチ60の当接板60cは、弾性手段としてのスプリング60bによりロック方向に常時付勢されている。しかし、弾性手段はスプリング以外のものであっても良い。具体的には、シリコーンゴム、合成ゴム、天然ゴム、スポンジ等を使用しても良い。
【0052】
・前記実施形態では、アクチュエータとしてモータ43を用いている。しかし、アクチュエータはモータ43に限らず、ロックピン12を作動させるものであればソレノイド等であっても良い。または、ロックピン12をエアシリンダ等の流体アクチュエータにより作動させても良い。
【0053】
・前記実施形態では、電子式車両盗難防止装置として、ステアリングシャフト21の回転の可否を制御する電子式ステアリングロック装置1に具体化している。しかし、電子式車両盗難防止装置は、例えば車輪の回転をロックピン12相当のロック手段によって規制する電子式走行規制装置や、シフトポジションの切替操作をロックピン12相当のロック手段によって規制する電子式シフトロック装置等であっても良い。即ち、可動部材は、電子式走行規制装置では車軸、電子式シフトロック装置ではシフトレバーであっても良い。
【0054】
・前記実施形態では、当接板60cは、複数のスプリング60bにより第2のケース17bに固定されていた。しかし、当接板60cは、1個のスプリング60bにより固定されても良い。
【0055】
・前記実施形態では、ロック手段給電経路81への通電は、切替スイッチ61を操作することによって機械的に遮断されるようになっていた。しかし、キープレートを挿入し、キープレートの先端で可動接点61a,61bを直接作動させることにより、ロック手段給電経路81の通電を機械的に遮断するようにしても良い。
【0056】
・前記実施形態では、スイッチング手段として切替スイッチ61を用いている。しかし、スイッチング手段として、パワートランジスタやパワーMOSFET等の無接点スイッチング素子を用いても良い。
【0057】
・前記実施形態では、スイッチング素子としてFET62が用いられていた。しかし、FET62の代りに、バイポーラトランジスタ、IC等をスイッチング素子として用いても良い。
【0058】
次に、上記実施形態及び別例によって把握される技術的思想を以下に記載する。
(1)請求項1〜3のいずれか1項において、アクチュエータはモータであることを特徴とする電子式車両盗難防止装置。このようにすれば、構成を簡単にできるため、安価で信頼性の高い電子式車両盗難防止装置を作製することができる。
【0059】
(2)請求項1〜3のいずれか一項において、弾性手段は金属製のスプリングであることを特徴とする電子式車両盗難防止装置。このようにすれば、構成を簡単にできるため、安価で信頼性の高い電子式車両盗難防止装置を作製することができる。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、エンジン始動・停止スイッチとしてモーメンタリ式スイッチが利用可能になるため、エンジンを再始動させるための操作を容易にすることができる。
【0061】
請求項2に記載の発明によれば、電子式ステアリングロック装置の信頼性が向上するとともに、安価に製造することができる。
請求項3に記載の発明によれば、電子式ステアリングロック装置の信頼性が向上するとともに、消費電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態におけるステアリングロック装置を示す側面図。
【図2】図1の2−2線における断面図。
【図3】図1の3−3線における断面図。
【図4】同じく電子式ステアリングロック機構の回路図。
【図5】(a)はロックピンがロック位置に固定された状態を説明するための断面図。(b)はロックピンとステアリングシャフトとの係合が解除された状態を説明するための断面図。(c)はロックピンがアンロック位置に固定された状態を説明するための断面図。
【図6】第2実施形態における電子式ステアリングロック機構の回路図。
【図7】(a)はロックピンがロック位置に固定された状態を説明するための断面図。(b)はロックピンとステアリングシャフトとの係合が解除された状態を説明するための断面図。(c)はマイコン及びモータが非通電時の状態を説明するための断面図。
【符号の説明】
1…電子式ステアリングロック装置、12…ロックピン、21…ステアリングシャフト、22…凹部、32…マイコン、43…モータ、60…アンロック状態検出スイッチ、63…エンジン始動・停止スイッチ、64…リレー、90…ロック状態検出スイッチ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用の電子式車両盗難防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両の盗難を防止するために、機械式のステアリングロック装置が広く用いられている。
【0003】
ステアリングロック装置は、キーシリンダとロックピンとを備えている。キーシリンダにはメカキーが挿入され、このメカキーを回転操作することによりロックピンが作動するようになっている。ロックピンはステアリングシャフトに係脱可能になっている。このロックピンがステアリングシャフトに係合した場合、ステアリングシャフト及びステアリングホイールは回転不能となる。
【0004】
ところが、近年では、これまで使用されてきたメカキーの代わりに電子キーが用いられるようになってきた。そのため、将来的には、キーシリンダをモータ等のアクチュエータにより電気的に作動させる電子式のステアリングロック装置が普及していくことが予想されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の電子式ステアリングロック装置では、制御装置が電気アクチュエータの駆動を制御している。このため、制御装置内に電気的なノイズ発生して、ロック時以外のときに、ロック手段が誤作動するという可能性があった。そこで、本出願人は、ロック時以外のときは、エンジン始動・停止スイッチを利用して、制御装置の電源供給経路を遮断することにより、電気アクチュエータを非通電状態にする方法を考えた。ところで、ユーザーはエンジンが始動状態か否かを、エンジン始動・停止スイッチの状態を目視することにより判断することが一般的である。そこで、エンジン始動・停止スイッチは、電源供給経路を遮断させるための操作力を継続して加えることができるとともにスイッチの操作部の位置を保持できるステーショナリ式スイッチである必要があった。
【0006】
ところが、エンジンを始動させた後にエンストした場合、エンジンを再始動させるためには、エンジン始動・停止スイッチを一旦オフ状態にした後に再度オン状態にする必要があった。この場合、電源供給経路を遮断させるためにスイッチの操作部を一旦オフ位置に戻した後に、再度オン位置に復帰させる動作が必要であった。よって、ユーザーにとって、車両がエンストした場合においてエンジンを再始動させるための操作が煩わしいという問題があった。
【0007】
このような課題を解決する一つの方法としては、エンジン始動・停止スイッチにモーメンタリ式スイッチを利用することが考えられる。しかし、モーメンタリ式スイッチは、操作力がなくなるとオン状態からオフ状態になってしまう。従って、従来の電源給電経路の中にモーメンタリ式スイッチを単純に組込むだけでは、制御装置及びアクチュエータへある程度長い時間給電することができなかった。このため、モーメンタリ式スイッチの利用が可能な装置構造が望まれていた。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両がエンストした場合、エンジンを容易に再始動させることができる電子式車両盗難防止装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、車両の駆動系機構及び操舵系機構のうちの少なくとも一方を構成する可動部材に係脱するロック手段と、そのロック手段を駆動するアクチュエータと、そのアクチュエータの駆動を制御する制御手段とを備える電子式車両盗難防止装置であって、前記制御手段または前記アクチュエータの給電経路に、モーメンタリ式のエンジン始動・停止スイッチと、前記ロック手段と前記可動部材との係合解除時において、オン・オフ状態が一旦切り換わってから元のオン・オフ状態に復帰するアンロック状態検出スイッチと、前記エンジン始動・停止スイッチ及び前記アンロック状態検出スイッチのオン・オフ状態に基づき、前記エンジン始動・停止スイッチの操作時から前記アンロック状態検出スイッチのオン・オフ状態が切り換わるまでの間該給電経路を導通させるとともに、前記アンロック状態検出スイッチのオン・オフ状態が切り換わったときに前記給電経路を遮断する電流ラッチ手段とからなる給電制御回路を設けたことをその要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記アンロック状態検出スイッチは、同スイッチをオン状態にするオン位置とオフ状態にするオフ位置とに移動する可動部材と、アンロック状態検出スイッチをオン状態にさせる方向に常時付勢する弾性手段とを備え、前記ロック手段と前記可動部材との係合解除時において、前記可動部材は前記弾性手段の付勢する方向とは逆方向へ前記ロック手段によって押圧されながら前記オフ位置まで移動した後に、前記ロック手段を押圧しながら前記オン位置に復帰することをその要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記給電制御回路は、前記ロック手段と前記可動部材との係合時において、オン・オフ状態が一旦切り換わってから元のオン・オフ状態に復帰するロック状態検出スイッチを備え、前記電流ラッチ手段は、前記エンジン始動・停止スイッチ、前記アンロック状態検出スイッチ及び前記ロック状態検出スイッチのオン・オフ状態に基づき、前記エンジン始動・停止スイッチの操作時から前記ロック状態検出スイッチのオン・オフ状態が切り換わるまでの間該給電経路を導通させるとともに、前記ロック状態検出スイッチのオン・オフ状態が切り換わったときに該給電経路を遮断することをその要旨とする。
【0012】
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1に記載の発明によれば、制御手段またはアクチュエータの給電経路には、モーメンタリ式のエンジン始動・停止スイッチと電流ラッチ手段とが設けられている。この場合、エンジン始動・停止スイッチが一旦オン状態になった後にオフ状態に復帰したとしても、前記給電経路に設けられた電流ラッチ手段は一定期間オン状態に保持される。つまり、制御手段またはアクチュエータは、電流ラッチ手段のラッチ作用により通電状態に一定期間保持される。このような理由から、モーメンタリ式スイッチをエンジン始動・停止スイッチとして利用することができる。よって、車両がエンストした場合、ユーザーは、エンジン始動・停止スイッチをワンプッシュするだけでエンジンを再始動させることができる。従って、エンジンを再始動させるための操作を容易にすることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、可動部材は、弾性手段によりアンロック状態検出スイッチをオン状態またはオフ状態させる方向に常時付勢されている。この場合、可動部材は、ロック手段に押圧されてオン位置またはオフ位置に移動した後に、弾性手段によりオン位置にある可動部材はオフ位置へオフ位置にある可動部材はオン位置へ移動する。つまり、可動部材はロック手段の押圧力及び弾性手段の付勢力によりオン位置またはオフ位置へ移動する。このため、アンロック状態スイッチのオン・オフ状態の切替を機械的に行うことができる。よって、電子式車両盗難防止装置の信頼性を向上させることができる。また、アンロック状態検出スイッチを構成する部品点数は少なくて済む。従って、電子式車両盗難防止装置を安価に製造することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、電流ラッチ手段は、エンジン始動・停止スイッチの操作時からロック状態検出スイッチのオン・オフ状態が切り替った後に、制御手段の給電経路を遮断する。このため、ロック完了時には、ロック手段を作動させるアクチュエータ及び制御手段が非通電状態に維持される。よって、制御手段内に電気的ノイズが発生しないため、アクチュエータが作動することはない。このため、ロック手段の誤作動を確実に防止することができる。よって、電子式車両盗難防止装置の信頼性を向上させることができる。また、ロック手段を作動させる必要がないときは、アクチュエータ及び制御手段が非通電状態に維持される。従って、電子式車両盗難防止装置の消費電力を低減することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明において電子式車両盗難防止装置を具体化した電子式ステアリングロック装置1の一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
【0016】
図1〜図3に示すように、本実施形態の電子式ステアリングロック装置1は、操舵系機構を構成する車両のステアリングポストに取付けられる。電子式ステアリングロック装置1を構成するケース本体10は略箱状をなしている。ケース本体10は、カバー19をロックボディ13に取付けることにより構成されている。
【0017】
図2及び図3に示すように、カバー19の内側面には、合成樹脂製の収容ケース17が設置されている。収容ケース17は、第1のケース17aと第2のケース17bとを組み合せることによって構成されている。収容ケース17にはプリント基板20が収容されている。プリント基板20は、第2のケース17bにネジ71を螺着させることによって固定されている。プリント基板20には、IC、コンデンサ等の電気部品20aが複数箇所に実装されている。また、プリント基板20には、電線18が電気的に接続されるようになっている。この電線18は、ケース本体10の外部に延出されるようになっている。
【0018】
図1に示すように、ロックボディ13には、略円弧状をなす取付部13bが図1に示す左側方向に延出形成されている。取付部13bは、図示しないボルトによって図示しないコラムチューブに取付けられるようになっている。コラムチューブ内には、ステアリングシャフト21が挿通されるようになっている。ステアリングシャフト21の外周面には、凹部22が設けられている。図3に示すように、ロックボディ13には、断面略矩形状をなすガイド孔13aが設けられている。ガイド孔13aは前記取付部13bと対応するように配設されている。ガイド孔13aは、ケース本体10が前記コラムチューブに取付けられた際に、コラムチューブの内部と連通するようになっている。
【0019】
図3に示すように、ガイド孔13a内には、ロック手段としてのロックピン12がガイド孔13aに沿って移動可能に配設されている。ロックピン12の基端部には、被押圧部12a及び引込用ストッパ7が設けられている。ロックピン12の先端部は、ロックボディ13の外側面から出没可能になっている。ロックピン12は、略四角柱状かつ断面略矩形状に形成されている。ロックピン12の断面積は、ガイド孔13aの断面積よりも幾分小さくなっている。よって、ロックピン12の先端部は前記凹部22に対して速やかに係脱するようになっている。
【0020】
図2に示すように、ケース本体10内には、アクチュエータとしてのモータ43が収容されている。モータ43を挿通する第1回転軸45の先端部における外周面には、摺動ピン49が当接するようになっている。この摺動ピン49は、第1回転軸45の位置決めを行うものである。また、第1回転軸45には、ウォームギア48が外嵌されている。ウォームギア48は、第1回転軸45の回転に連動するようになっている。ウォームギア48は、平歯車50に噛合うことによって、同平歯車50を駆動するようになっている。平歯車50は、第2回転軸44を中心として回転するようになっている。
【0021】
図3に示すように、第2回転軸44には略扇型状のカム41が固定されている。カム41は、第2回転軸44を中心に平歯車50の回転方向と同じ方向に回転する。モータ43を正回転させると、平歯車50及びカム41は、第2回転軸44を中心として時計周り方向(図3の矢印F1方向)に回転する。この場合、引込用ストッパ7がカム41により押圧されるため、ロックピン12はステアリングシャフト21の凹部22との係合が解除される。よって、ロックピン12の先端部は、ロックボディ13のガイド孔13aの内側へ収容される。
【0022】
一方、モータ43を逆回転させると、カム41は、第2回転軸44を中心として反時計周り方向(図3の矢印F2方向)に回転する。この場合、カム41はロックピン12の被押圧部12aを押圧する。よって、ロックピン12の先端部はステアリングシャフト21の凹部22に係合される。このとき、カム41が回転する範囲は、同カム41がゴムストッパ6に接触することによって規制されている。
【0023】
図3に示すように、アンロック状態検出スイッチ60は、第2のケース17bの壁面と引込用ストッパ7との間に設けられている。アンロック状態検出スイッチ60は、可動部材としての当接板60cと弾性手段としてのスプリング60bと検出器60aとを備えている。当接板60cは、複数のスプリング60bにより第2のケース17bの壁面に固定されている。
【0024】
検出器60aは、引込用ストッパ7に対向するように、第2のケース17bの壁面に取付けられている。当接板60cは、カム41が時計周り方向(図3の矢印F1方向)に回転すると、引込用ストッパ7により押圧される。この場合、当接板60cは、第2のケース17bに取付けられた検出器60a側へ移動する。当接板60cが検出器60aに接触したとき、アンロック状態検出スイッチ60のオン・オフ状態が切替わるようになっている。
【0025】
図4に示すように、カム41を回転させるモータ43は、制御手段としてのマイコン32によって駆動制御される。バッテリ65には、給電制御回路を構成するエンジン始動・停止スイッチ63の接点73aと電流ラッチ手段としてのリレー64の接点74aとの接点76aが電気的に接続されている。本実施形態では、エンジン始動・停止スイッチ63としてモーメンタリ式スイッチが利用されている。よって、エンジン始動・停止スイッチ63は、その操作時においてオフ状態からオン状態にスイッチを切り替えた後に操作力がなくなるとすぐにオフ状態に復帰する。一方、電流ラッチ手段としてのリレー64は、エンジン始動・停止スイッチ63の操作時から一定期間電流を流しつづける作用(ラッチ作用)を有している。また、セルモータ69、マイコン32は、エンジン始動・停止スイッチ63の接点73bとリレー64の接点74bとの接点76bに電気的に接続されている。リレー64は、切替スイッチ64aと接点74a,74bとコイル部L1とを備えている。コイル部L1の一端は前記接点76bに接続されており、他端はアンロック状態検出スイッチ60の接点75aに接続されている。また、アンロック状態検出スイッチ60の接点75bは接地されている。
【0026】
アンロック状態検出スイッチ60は、可動部材としての当接板60cと、複数のスプリング60bと接点75a,75bとを備えている。前記当接板60cには、接点75a,75bと接する接触片60dが取付けられている。ロック時において、前記接触片60dは、スプリング60bの付勢力により接点75a,75bに当接している。このため、接点75a,75bの間は導通されている。一方、アンロック時において、当接板60cはロックピン12と凹部22との係合が解除される方向に作動する。つまり、当接板60cは、ロックピン12によりスプリング60bの付勢する方向とは逆方向に押圧される。すると、接触片60dは接点75a,75bより離間する。このため、接点75a,75bの間の導通は解除される。
【0027】
セルモータ69は、バッテリ65から供給される電源によって作動することにより、エンジンを始動させるようになっている。セルモータ69は、FET(電界効果トランジスタ)100のドレイン端子に接続されている。FET100のゲート端子はマイコン32に接続され、FET100のソース端子は接地されている。
【0028】
エンジン始動・停止スイッチ63及びリレー64とモータ43との間には、スイッチング手段としての切替スイッチ61が配設されている。切替スイッチ61は可動接点61a,61bを有している。可動接点61aは、接点71a,71bに当接して、接点71a,71bの間を導通させるようになっている。このとき、モータ43は通電状態に切り替えられる。可動接点61aは、切替スイッチ61が手動で操作されると、接点71a,71bから離間する。そして、切替スイッチ61は、車両が運転されているときに接点71a,71bを開放状態にし、ロック手段給電経路81を機械的に遮断する。つまり、可動接点61aは、切替スイッチ61に連動してロック手段給電経路81を非通電状態に切り替える。このとき、モータ43は作動不能状態になる。また、可動接点61bは、切替スイッチ61の操作に連動して接点72a,72bに当接する。このとき、可動接点61bは、イグニッション電源経路82を通電状態に切り替える。このとき、電子燃料噴射装置やその他の電気部品が通電状態に切り替えられる。
【0029】
また、エンジン始動・停止スイッチ63とリレー64との接点76bは、接点72aに電気的に接続されている。接点72bは、エンジンを稼動させるための図示しない電子燃料噴射装置やその他の電気部品に接続されている。この場合、接点72a,72b及び電子燃料噴射装置やその他の電気部品に電流が流れる経路はイグニッション電源経路82となる。イグニッション電源経路82には、車両の電子燃料噴射制御装置やその他の電気部品を作動させるための電流が接点72a,72bを介して流れるようになっている。
【0030】
また、接点76bは接点71aに電気的に接続されている。接点71bはモータ43に電気的に接続されている。モータ43は、FET62のドレイン端子に電気的に接続されている。FET62のゲート端子はマイコン32に接続され、FET62のソース端子は接地されている。即ち、接点71a,71b、モータ43及びFET62に電流が流れる経路がロック手段給電経路81となる。FET62は、マイコン32から駆動信号が出力されるとオン状態になる。このとき、モータ43は正転するように制御される。すると、平歯車50及びカム41は、第2回転軸44を中心として時計周り方向(図3の矢印F1方向)に回転する。つまり、ロック手段給電経路81には、ロックピン12をステアリングシャフト21に係合させる方向にモータ43を駆動させる電流が接点71a,71bを介して流れるようになっている。
【0031】
次に、電子式ステアリングロック装置1の動作を説明する。
まず、図5(a)に、車両が駐車されている時の、電子式ステアリングロック装置1の状態を示す。この場合、マイコン32及びモータ43は非通電状態になっている。ロックピン12の先端部は、ステアリングシャフト21の凹部22に係合されている。また、当接板60cは、アンロック状態検出スイッチ60をオン状態にするオン位置Aにて停止している。この場合、当接板60cに取付けられた接触片60dは、接点75a,75bの間を導通させている。
【0032】
ユーザーが車両に乗車して、エンジン始動・停止スイッチ63をオン状態にする。すると、エンジン始動・停止スイッチ63の接点73a,73bの間は、切替スイッチ63aにより導通される。この場合、リレー64のコイル部L1及びアンロック状態検出スイッチ60に電流が流れる。よって、リレー64の切替スイッチ64aは、コイル部L1に電流が流れることにより、接点74a,74bの間を導通させる。ところが、エンジン始動・停止スイッチ63はモーメンタリ式であるため、接点73a,73bの間の導通はすぐに解除される。しかし、リレー64の切替スイッチ64aは、依然として接点74a,74bの間が導通された状態に保持される。このようにリレー64によって電流がラッチされる結果、マイコン32及びモータ43がリレー64を介してバッテリ65と電気的に接続される。従って、マイコン32及びモータ43は通電状態が維持される。マイコン32は、モータ43を駆動させる制御を行うためにFET62に作動信号が送信する。すると、FET62はオン状態になるため、モータ43の駆動が開始される。
【0033】
モータ43の駆動が開始されると、カム41は第2回転軸44を中心に時計周り方向(図3のF1方向)に回転する。すると、図5(b)に示すように、ロックピン12は、凹部22との係合が解除されアンロック方向(図5(b)の矢印F3方向)へ作動する。よって、ステアリングシャフト21及びステアリングホイールが回転可能となる。この場合、当接板60cは、ロックピン12によりスプリング60bの付勢する方向とは逆方向(図5(b)のF3方向)に押圧される。その結果、当接板60cは、アンロック状態検出スイッチ60をオフ状態にするオフ位置Bまで移動する。よって、当接板60cに取付けられた接触片60dは、接点75a,75bから離間する。従って、接点75a,75bの間の導通は解除される。すると、リレー64のコイル部L1に電流が流れなくなるため、接点74a,74bの間の導通も解除される。つまり、リレー64はオン状態からオフ状態に切り替る。よって、マイコン32及びモータ43の給電経路は遮断される。この場合、マイコン32及びモータ43は非通電状態になるため、ロックピン12は作動しなくなる。
【0034】
アンロック状態検出スイッチ60のオフ状態が確認されると、モータ43の駆動が停止される。すると、当接板60cは、複数のスプリング60bによりロック方向(図5(c)の矢印F4方向)に常時付勢されているため、ロック方向に幾分押し戻される。よって、当接板60cは、アンロック状態検出スイッチ60をオン状態にするオン位置Aまで再び移動する。その結果、当接板60cに取付けられた接触片60dは、接点75a,75bの間を再び導通させる。但し、ロックピン12の先端部は、図5(c)に示すように、ステアリングシャフト21の凹部22には係合されない位置に停止する。
【0035】
次に、ユーザが図4に示す切替スイッチ61を操作すると、可動接点61aが接点71a,71bから離間することにより、ロック手段給電経路81が遮断されて非通電状態になる。つまり、ロック時以外の時には、ロックピン12を作動させるモータ43は非通電状態に維持される。それに連動して、可動接点61bが接点72a,72bに当接する。その結果、イグニッション電源経路82が通電状態に切り替えられる。この状態において、セルモータ69を作動させることによりエンジンが始動する。
【0036】
そして、ユーザーが切替スイッチ61を操作してエンジンを停止すると、切替スイッチ61が図4に示す状態に戻る。そのため、可動接点61aが再び接点71a,71bに当接する。ここで、マイコン32は、モータ43を駆動させるために作動信号をFET62に出力する。FET62はオン状態になるとともに、ロック手段給電経路81は再び通電状態になる。モータ43の駆動が開始されると、カム41は第2回転軸44を中心に時計周り方向(図3の矢印F2方向)に回転する。ロックピン12は、図5(a)に示される状態に戻り、その先端部が凹部22に係合される。従って、ステアリングシャフト21及び図示しないステアリングホイールが回転不能となる。
【0037】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)マイコン32及びモータ43の給電経路には、モーメンタリ式のエンジン始動・停止スイッチ63とリレー64とが設けられている。この場合、エンジン始動・停止スイッチ63を一旦オン状態にした後にオフ状態に復帰させても、リレー64のオン状態は一定期間維持される。よって、マイコン32及びモータ43は、リレー64により通電状態が一定期間維持される。このような理由から、エンジン始動・停止スイッチ63としてモーメンタリ式スイッチを利用することができる。よって、車両がエンストした場合、ユーザーはエンジン始動・停止スイッチ63をワンプッシュするだけでエンジンを再始動させることができる。従って、エンジンを再始動させるための操作を容易にすることができる。
【0038】
(2)アンロック状態検出スイッチ60の当接板60cは、スプリング60bの付勢力によりロック方向(図5(a)の矢印F4方向)に常時付勢されている。この場合、当接板60cはロックピン12に押圧されてオフ位置Bに移動した後に、スプリング60bが常時付勢する方向に移動する。つまり、アンロック状態検出スイッチ60は、ロックピン12の押圧力及びスプリング60bの付勢力により、一旦オフ状態になった後に再びオン状態に復帰することができる。よって、アンロック状態検出スイッチ60のオン・オフ状態の切替を機械的に行うことができる。従って、アンロック状態検出スイッチ60のオン・オフ状態の切替をより確実に行うことができる。
【0039】
(3)アンロック状態検出スイッチ60は、ロックピン12が、直接当接板60cを押圧することによりオフ状態になるとともに、スプリング60bの付勢力により再びオン状態になる。このように、アンロック状態検出スイッチ60は、オン・オフ状態を切替えるための構成が簡単であるため、部品点数を少なくすることができる。よって、電子式ステアリングロック装置1を安価に製造することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明を具体化した電子式ステアリングロック装置1の第2実施形態を図6、図7に従って説明する。なお、第2実施形態において第1実施形態と同様の部分においては、その詳細な説明を省略する。
【0040】
図6に示すように、アンロック状態検出スイッチ60の接点75bは、ロック状態検出スイッチ90の接点76aに接続されている。ロック状態検出スイッチ90は、接点76a,76bと可動部材としての当接板90cと弾性手段としてのスプリング90bとを備えている。当接板90cは、複数のスプリング90bによりロックボディ13に固定されている。
【0041】
ロックピン12の先端部とは反対側の端部には、屈曲部12bが形成されている。さらに、屈曲部12bには、その先端の当接板90c側に凸形状を有する凸部12cが設けられている。当接板90cは、凸部12cにより押圧されることにより、スプリング60bが付勢する方向とは逆方向に移動することができる。
【0042】
当接板90cには接触片90dが取付けらている。当接板90cがロックピン12に押圧されていない場合、接触片90dはスプリング90bの付勢力により接点76a,76bに当接される。このため、接点76a,76bの間は導通される。当接板90cがロックピン12に押圧されると、接触片90dが接点76a,76bより離間するため、接点75a,75bの間の導通は解除される。この場合、当接板90cは、ロックピン12によりスプリング90bの付勢する方向とは逆方向に押圧されている。また、ロック状態検出スイッチ90の接点76bは接地されている。
【0043】
次に、第2実施形態における電子式ステアリングロック装置1の動作を説明する。
まず、図7(a)に、車両が駐車されている時の電子式ステアリングロック装置1の状態を示す。この場合、マイコン32及びモータ43は非通電状態になっている。ロックピン12の先端部は、ステアリングシャフト21の凹部22に係合されている。当接板90cは、アンロック状態検出スイッチ60をオン状態にするオン位置A1に停止している。当接板90cに取付けられた接触片90dは、接点76a,76bに当接している。
【0044】
ユーザーは車両に乗車して、エンジン始動・停止スイッチ63をオン状態にする。すると、エンジン始動・停止スイッチ63の接点73a,73bの間は、切替スイッチ63aにより導通される。この場合、リレー64のコイル部L1、アンロック状態検出スイッチ60そしてロック状態検出スイッチ90に電流が流れる。よって、リレー64の切替スイッチ64aは、コイル部L1に電流が流れるため、接点74a,74bに当接される。つまり、接点74a,74bの間は導通される。ところが、エンジン始動・停止スイッチ63はモーメンタリ式であるため、接点73a,73bの間の導通はすぐに解除される。この場合、リレー64の切替スイッチ64aは、接点74a,74bに当接された状態が保持される。つまり、接点74a,74bの間は導通されている。よって、マイコン32及びモータ43は通電状態が維持される。このため、マイコン32よりFET62に作動信号が送信された場合、FET62はオン状態になるとともに、モータ43の駆動が開始される。
【0045】
モータ43の回転駆動が開始されると、図7(b)に示すように、ロックピン12はアンロック方向(図7(b)の矢印F3方向)へ作動する。この場合、当接板90cはオン位置A1に停止した状態が保持されている。よって、接触片90dは接点76a,76bに当接しているため、接点76a,76bの間は導通した状態が維持されている。
【0046】
ユーザーが切替スイッチ61を操作してエンジンを停止すると、切替スイッチ61が図6に示す状態に戻る。マイコン32は、モータ43を駆動させるために作動信号をFET62に出力する。図7(c)に示すように、当接板90cは、ロックピン12により押圧されて、スプリング90bの付勢する方向とは逆方向に作動する。当接板90cは、アンロック状態検出スイッチ60をオフ状態にするオフ位置B1まで移動する。この場合、当接板90cに取付けられた接触片90dは接点76a,76bから離間する。よって、接点76a,76bの間の導通が解除されるとともに、ステアリングシャフト21及び図示しないステアリングホイールが回転不能となる。
【0047】
ロック状態検出スイッチ90の接点76a,76bの間の導通が解除されるとともに、アンロック状態検出スイッチ60及びリレー64はオフ状態になる。よって、マイコン32とモータ43とは非通電状態になる。すると、ロックピン12は、スプリング90bの付勢力によりアンロック方向(図7(c)の矢印F3方向)へ幾分移動し図7(a)の状態に戻る。この場合、当接板90cは、アンロック状態検出スイッチ60をオン状態にするオン位置A1に停止する。このため、接触片90dは接点76a,76bに当接された状態になる。
【0048】
従って、この第2実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(4)リレー64は、エンジン始動・停止スイッチ63の操作時からロック状態検出スイッチ90のオン・オフ状態が切り替った時に、マイコン32及びモータ43の給電経路を遮断する。ロック完了時には、マイコン32及びモータ43は非通電状態に維持される。よって、マイコン32には電気的ノイズが発生しないため、モータ43が誤作動することはない。従って、電子式ステアリングロック装置1の信頼性を向上させることができる。また、ロック完了時には、ロックピン12を作動させるマイコン32及びモータ43が非通電状態に維持される。従って、電子式ステアリングロック装置1の消費電力を低減することができる。
【0049】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態では、アンロック状態検出スイッチ60及びロック状態検出スイッチ90は、スイッチの押圧部に力が加わることによりオン・オフ状態が切替えられる接触式のスイッチであった。しかし、アンロック状態検出スイッチ60及びロック状態検出スイッチ90は、非接触式のスイッチ、例えば近接スイッチ、光電スイッチ等であっても良い。
【0050】
・前記実施形態では、電流ラッチ手段としてリレー64を用いていた。しかし、電流ラッチ手段はリレー64に限らず、給電経路を一定期間導通した後に遮断させる機能を備えているものであれば、例えば電気回路によって構成されたものでもよい。
【0051】
・前記実施形態では、アンロック状態検出スイッチ60の当接板60cは、弾性手段としてのスプリング60bによりロック方向に常時付勢されている。しかし、弾性手段はスプリング以外のものであっても良い。具体的には、シリコーンゴム、合成ゴム、天然ゴム、スポンジ等を使用しても良い。
【0052】
・前記実施形態では、アクチュエータとしてモータ43を用いている。しかし、アクチュエータはモータ43に限らず、ロックピン12を作動させるものであればソレノイド等であっても良い。または、ロックピン12をエアシリンダ等の流体アクチュエータにより作動させても良い。
【0053】
・前記実施形態では、電子式車両盗難防止装置として、ステアリングシャフト21の回転の可否を制御する電子式ステアリングロック装置1に具体化している。しかし、電子式車両盗難防止装置は、例えば車輪の回転をロックピン12相当のロック手段によって規制する電子式走行規制装置や、シフトポジションの切替操作をロックピン12相当のロック手段によって規制する電子式シフトロック装置等であっても良い。即ち、可動部材は、電子式走行規制装置では車軸、電子式シフトロック装置ではシフトレバーであっても良い。
【0054】
・前記実施形態では、当接板60cは、複数のスプリング60bにより第2のケース17bに固定されていた。しかし、当接板60cは、1個のスプリング60bにより固定されても良い。
【0055】
・前記実施形態では、ロック手段給電経路81への通電は、切替スイッチ61を操作することによって機械的に遮断されるようになっていた。しかし、キープレートを挿入し、キープレートの先端で可動接点61a,61bを直接作動させることにより、ロック手段給電経路81の通電を機械的に遮断するようにしても良い。
【0056】
・前記実施形態では、スイッチング手段として切替スイッチ61を用いている。しかし、スイッチング手段として、パワートランジスタやパワーMOSFET等の無接点スイッチング素子を用いても良い。
【0057】
・前記実施形態では、スイッチング素子としてFET62が用いられていた。しかし、FET62の代りに、バイポーラトランジスタ、IC等をスイッチング素子として用いても良い。
【0058】
次に、上記実施形態及び別例によって把握される技術的思想を以下に記載する。
(1)請求項1〜3のいずれか1項において、アクチュエータはモータであることを特徴とする電子式車両盗難防止装置。このようにすれば、構成を簡単にできるため、安価で信頼性の高い電子式車両盗難防止装置を作製することができる。
【0059】
(2)請求項1〜3のいずれか一項において、弾性手段は金属製のスプリングであることを特徴とする電子式車両盗難防止装置。このようにすれば、構成を簡単にできるため、安価で信頼性の高い電子式車両盗難防止装置を作製することができる。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、エンジン始動・停止スイッチとしてモーメンタリ式スイッチが利用可能になるため、エンジンを再始動させるための操作を容易にすることができる。
【0061】
請求項2に記載の発明によれば、電子式ステアリングロック装置の信頼性が向上するとともに、安価に製造することができる。
請求項3に記載の発明によれば、電子式ステアリングロック装置の信頼性が向上するとともに、消費電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態におけるステアリングロック装置を示す側面図。
【図2】図1の2−2線における断面図。
【図3】図1の3−3線における断面図。
【図4】同じく電子式ステアリングロック機構の回路図。
【図5】(a)はロックピンがロック位置に固定された状態を説明するための断面図。(b)はロックピンとステアリングシャフトとの係合が解除された状態を説明するための断面図。(c)はロックピンがアンロック位置に固定された状態を説明するための断面図。
【図6】第2実施形態における電子式ステアリングロック機構の回路図。
【図7】(a)はロックピンがロック位置に固定された状態を説明するための断面図。(b)はロックピンとステアリングシャフトとの係合が解除された状態を説明するための断面図。(c)はマイコン及びモータが非通電時の状態を説明するための断面図。
【符号の説明】
1…電子式ステアリングロック装置、12…ロックピン、21…ステアリングシャフト、22…凹部、32…マイコン、43…モータ、60…アンロック状態検出スイッチ、63…エンジン始動・停止スイッチ、64…リレー、90…ロック状態検出スイッチ。
Claims (3)
- 車両の駆動系機構及び操舵駆動系機構のうちの少なくとも一方を構成する可動部材に係脱するロック手段と、そのロック手段を駆動するアクチュエータと、そのアクチュエータの駆動を制御する制御手段とを備える電子式車両盗難防止装置であって、
前記制御手段または前記アクチュエータの給電経路に、モーメンタリ式のエンジン始動・停止スイッチと、前記ロック手段と前記可動部材との係合解除時において、オン・オフ状態が一旦切り換わってから元のオン・オフ状態に復帰するアンロック状態検出スイッチと、前記エンジン始動・停止スイッチ及び前記アンロック状態検出スイッチのオン・オフ状態に基づき、前記エンジン始動・停止スイッチの操作時から前記アンロック状態検出スイッチのオン・オフ状態が切り換わるまでの間該給電経路を導通させるとともに、前記アンロック状態検出スイッチのオン・オフ状態が切り換わったときに前記給電経路を遮断する電流ラッチ手段とからなる給電制御回路を設けたことを特徴とする電子式車両盗難防止装置。 - 前記アンロック状態検出スイッチは、同スイッチをオン状態にするオン位置とオフ状態にするオフ位置とに移動する可動部材と、前記アンロック状態検出スイッチをオン状態またはオフ状態にさせる方向に常時付勢する弾性手段とを備え、
前記ロック手段と前記可動部材との係合解除時において、前記可動部材は、前記弾性手段の付勢する方向とは逆方向へ前記ロック手段によって押圧されながら前記オン位置または前記オフ位置まで移動した後に、前記弾性手段の付勢力により前記オン位置に移動した前記可動部材は前記オフ位置へ、または前記オフ位置に移動した前記可動部材は前記オン位置へ復帰することを特徴とする請求項1に記載の電子式車両盗難防止装置。 - 前記給電制御回路は、前記ロック手段と前記可動部材との係合時において、オン・オフ状態が一旦切り換わってから元のオン・オフ状態に復帰するロック状態検出スイッチを備え、
前記電流ラッチ手段は、前記エンジン始動・停止スイッチ、前記アンロック状態検出スイッチ及び前記ロック状態検出スイッチのオン・オフ状態に基づき、前記エンジン始動・停止スイッチの操作時から前記ロック状態検出スイッチのオン・オフ状態が切り換わるまでの間該給電経路を導通させるとともに、前記ロック状態検出スイッチのオン・オフ状態が切り換わったときに該給電経路を遮断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子式車両盗難防止装置。
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