JP3893941B2 - 金属帯板の誘導加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属帯板を誘導加熱する装置に関し、特に、金属帯板をその搬送速度に依存せずに所望の加熱パターンで加熱するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、帯状の金属基材である金属帯板を加熱するにあたり、ロール加熱や赤外線加熱等の種々の加熱方法が利用されている。特に、アルミニウム等の金属帯板を樹脂膜でラミネートする際の加熱においては、加熱ロールとの接触時に金属帯板自体の金属粉等が発生して付着し、上記ラミネート時に上記金属粉が基材と樹脂膜との間に混入することを防ぎ、かつ、加熱による金属帯板の強度の低下を抑制する必要がある。そのような要件を満たす加熱方法として、非接触かつ短時間で金属帯板を加熱することができる高周波誘導加熱方法が知られている。
【0003】
ところで、金属帯板が幅方向で均一な温度に加熱できないと、金属帯板が撓んでしまい、搬送中にコイル等の部材と接触するおそれがある。また、例えば、樹脂膜をラミネートする際には、ラミネートが不完全となるおそれがある。このため、従来の金属帯板の誘導加熱装置においては、金属帯板を幅方向で均一に加熱するため、単一のコイルの形状や磁束分布に様々な工夫がされている。
【0004】
例えば、本出願にかかる発明者は、特願2000−338228において、長軸の両端部分を湾曲させた菱形コイルを提案している。そして、この技術によれば、金属帯板の幅方向に対するコイルの長軸の傾斜角度を変えることにより加熱範囲を金属帯板の幅に合わせて調整し、金属帯板の均一な加熱を実現している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、単一のコイルを用いて誘導加熱を行う場合、金属帯板の幅方向で均一な加熱パターンを得るためには、コイルの形状や配置を工夫したり、コイルの周囲に磁性体を配置して磁力分布を調整したりする必要がある。
【0006】
また、単一のコイルを用いて誘導加熱を行う場合、一般に、金属帯板の搬送速度を変えると加熱パターンが変化してしまう。このため、搬送速度に依存せずに金属帯板を幅方向で均一に加熱することは困難である。
【0007】
ここで、図11に示す単一の長円形のコイル2bで、金属帯板1を搬送しながら加熱した場合の加熱パターンの測定結果を図12のグラフに示す。図12のグラフ中、金属帯板1の搬送速度が毎分10.7mの場合、曲線Iで示すように金属帯板(基材)の幅方向の全域にわたってほぼ均一な温度分布を示す加熱パターンが得られている。これに対し、搬送速度が毎分53.9mの場合、破線IIに示すように金属帯板の幅方向の両端付近で基材温度が大きく変化し、温度分布が非均一となっている。このように、単一のコイルによる誘導加熱では、一つの搬送速度において均一な加熱パターンが得られたとしても、他の搬送速度でも均一な加熱パターンが得られるとは限らない。
【0008】
本発明は、上記の事情にかんがみてなされたものであり、金属帯板の搬送速度によらずに、容易に金属帯板を幅方向で所望の加熱パターンで誘導加熱する技術の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、金属帯板を長手方向に搬送しながら誘導加熱する装置であって、前記金属帯板の搬送方向に沿って、各コイルの周回面が前記金属帯板と対向するように順次に配置された複数の誘導加熱用コイルを備え、前記複数の誘導加熱用コイルに、単独のコイルで誘導加熱した場合の金属帯板の幅方向における加熱パターンが異なる、コイル周回面の平面形状が菱形をした菱形コイルと、コイル周回面の平面形状が長円形をした長円形コイルを含め、長手方向に搬送した金属帯板に対する合成加熱パターンの温度分布が幅方向において所定の温度パターンを形成するよう前記菱形コイルと長円形コイルを組み合わせて配置した構成としてある。
【0010】
また、請求項2にかかる発明は、金属帯板を長手方向に搬送しながら誘導加熱する装置であって、前記金属帯板の搬送方向に沿って、各コイルの周回面が前記金属帯板と対向するように順次に配置された複数の誘導加熱用コイルを備え、前記複数の誘導加熱用コイルに、コイル周回面の平面形状が菱形をした菱形コイル及び/又はコイル周回面の平面形状が長円形をした長円形コイルを含めるとともに、これらコイルの近傍に、位置を異ならせることにより金属帯板の幅方向における加熱パターンを異ならせる磁性体を配置し、長手方向に搬送した金属帯板に対する合成加熱パターンの温度分布が幅方向において所定の温度パターンを形成するよう前記菱形コイル及び/又は長円形コイルと前記磁性体を組み合わせて配置した構成としてある。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、金属帯板を長手方向に搬送しながら誘導加熱する装置であって、前記金属帯板の搬送方向に沿って、各コイルの周回面が前記金属帯板と対向するように順次に配置された複数の誘導加熱用コイルを備え、前記複数の誘導加熱用コイルとして、平面形状が長円形であって長軸方向両端の湾曲部間の内径が異なる複数の長円形コイルを用い、かつ、これら内径が異なる長円形コイルを、長手方向に搬送した金属帯板に対する合成加熱パターンの温度分布が幅方向において所定の温度パターンを形成するよう組み合わせて配置した構成としてある。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、前記長円形コイル又は菱形コイルを固定ベースに固定するとともに、前記固定ベースを回転可能かつ前記金属帯板の幅方向に移動可能とした構成としてある
【0013】
このように、本発明の金属帯板の誘導加熱装置によれば、加熱パターンの互いに異なる複数のコイルを組み合わせて誘導加熱を行う。これにより、個々のコイルによる加熱パターンを組み合わせた合成加熱パターンの、金属帯板の搬送速度に対する依存度を軽減することができる。その結果、搬送速度を変えた場合においても、所望の加熱パターンで金属帯板を誘導加熱することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の金属帯板の誘導加熱装置の実施の形態について説明する
【0015】
[第一実施形態]
まず、図1〜図4を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。
第一実施形態の金属帯板の誘導加熱装置よれば、図1に示すように、金属帯板1の搬送方向に沿って、各コイルの周回面が金属帯板1と対向するように、順次に二つの誘導加熱用コイル2a及び2bが配置されている。すなわち、搬送方向の上流側には、四隅のうち少なくとも金属帯板の両側縁に面する角部分を湾曲させた菱形コイル2aを配置している。また、搬送方向の下流側には、平行な直線部分とその両端どうしを接続する湾曲部分から構成された長円形コイル2bを配置している。さらに、長円形コイル2bの近傍には、直線部分に平行となるようにフェライト30が配置されている。
【0016】
このように、菱形コイル2aと長円形コイル2bとでは、平面形状が互いに異なっている。このため、コイルどうしで、金属帯板1の幅方向の加熱パターンが異なっている。ここで、図2の(A)のグラフに、菱形コイル2a及び長円形コイル2bでそれぞれ個別に金属帯板(金属基材)を誘導加熱した場合の加熱パターンの測定結果をそれぞれ曲線I及びIIで示す。なお、この測定の際には、金属帯板1を毎分10.7mの速度で搬送した。
【0017】
グラフ中の曲線Iに示すように、菱形コイル2aによる加熱パターンは、幅方向の両端と中央部で温度が低いM字型の温度分布を有する。これに対して、曲線IIに示すように、長円形コイル2bによる加熱パターンは、幅方向の両端と中央部で温度が高いW字型の温度分布を有する。このように、フェライト30を配置して温度分布を調整した長円形コイル2bと、菱形コイル2aとでは、温度分布における温度の高低パターンが互いに反転している。
【0018】
その結果、菱形コイル2aの加熱パターンと長円形コイル2bの加熱パターンとを組み合わせた合成加熱パターンは、幅方向でより均一な温度分布を有するものとなる。ここで、図2の(A)に、曲線I及びIIに示した加熱パターンの合成加熱パターンの測定結果を曲線IIIで示す。曲線IIIに示すように、菱形コイル2aと長円形コイル2bとを組み合わせて得られた合成加熱パターンは、幅方向でより均一な温度分布となっている。
【0019】
ところで、菱形コイル2aの加熱パターンと長円形コイル2bの加熱パターンとは、金属帯板1の搬送速度を変えた際に、互いに他のコイルの加熱パターンの変化を相殺する方向に加熱パターンが変化する傾向がある。すなわち、図12に示したように、金属帯板の搬送速度を速くすると、温度分布の高低差がより大きくなる傾向がある。例えば、菱形コイル2aのM字型の温度分布、及び、長円形コイル2bのW字型の温度分布においても、搬送速度を高くすると、それぞれ高低差がより大きくなる傾向がある。しかし、その温度分布の変化を相殺するように構成すれば、搬送速度が変化しても、結果的に均一な温度分布を維持することができる。
【0020】
ここで、図2の(B)に、搬送速度を変化させた場合の合成加熱パターンを示す。グラフ中の曲線Iは、搬送速度が毎分10.7mの場合の合成パターンを示す。また、破線IIは、搬送速度が毎分21.4mの場合の合成パターンを示す。また、一点鎖線IIIは、搬送速度が毎分53.9mの場合の合成パターンを示す。これら曲線I、破線II及び一点鎖線IIIから、搬送速度によらずに、均一な温度分布の加熱パターンが得られていることが分かる。
【0021】
このように、第一実施形態によれば、平面形状の異なる二つのコイルを流れ方向に順次に配置したことにより、容易に均一な合成加熱パターンを実現することができるうえ、金属帯板の搬送速度が変化した場合においても、合成加熱パターンの変化を抑制して均一なパターンを維持することができる。
【0022】
つぎに、図3を参照して、金属帯板としてのアルミ基材の両面に樹脂膜をラミネートする工程において、アルミ基材を誘導加熱するコイルの配置及び装置構成の一例について説明する。図3の(A)は、装置の平面図であり、図3の(B)は、図3の(A)のA−Aにおける断面図である。
【0023】
図3に示す例では、加熱対象のアルミ基材1の搬送経路に沿って、アルミ基材1の両側に、それぞれ菱形コイル2a及び長円形コイル2bを順次に配置している。ここでは、同一の平面形状を有するコイルどうしを、アルミ基材1を挟んで対向するようにそれぞれ配置している。このため、向かい合わせに配置されたコイルどうしは、互いに同一の加熱パターンを有する。
【0024】
また、各コイル2a及び2bは、固定ベース4に固定されている。固定ベース4はフェライトコアを含み、磁場遮蔽板として機能する。このため、この固定ベース4を設けることにより、磁場の金属帯板との結合を強めることができる。なお、図3の(A)では、固定ベース4の図示を省略している。
【0025】
そして、両面からそれぞれ二連のコイル2a及び2bにより誘導加熱されたアルミ基材1は、図面下方へ搬送される。続いて、このアルミ基材1は、押し出しダイ5から押出された樹脂膜8に挟まれる。そして、ラミネートロール7によってアルミ基材1と樹脂膜8が圧着される。
【0026】
また、図4に、図3に示したコイル2a及び2bを配置するための装置を示す。図4に示すように、固定ベース4は、ハンドル11を回すことにより、チェーン12を介して、例えば、±40°の範囲内で回転させることができる。その結果、アルミ基材1の幅に合わせて、容易にエッジの加熱が最適になるように設定することができる。
【0027】
さらに、固定ベース4は、レバー14を左右に動かすことにより、支持部材16を介して、固定ベース4の回転中心15をアルミ基材の幅方向に平行移動させることができる。この平行移動により、加熱範囲の幅方向での位置を調整し、例えば、コイル2の中心軸とアルミ基材1の幅方向での中心線とを容易に一致させ、アルミ基材1を左右対称に加熱することができる。また、例えば、コイル2a及び2bの長軸両端の湾曲部をアルミ基材1の両側縁10よりも外側に、容易に同程度ずつ張り出させ、かつ、湾曲部の内周縁が両側縁10よりも内側に位置するように配置することができる。これにより、アルミ基材1を幅方向でより均一に加熱することができる。
【0028】
[第二実施形態]
つぎに、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態の金属帯板の誘導加熱装置例の説明に先立ち、図5及び図6を参照して、コイル近傍にフェライトを配置すると、その配置の仕方により加熱パターンが異なることを説明する。
【0029】
まず、図5の(A)〜(D)に、長円形のコイル近傍のフェライトの配置パターン例を示す。図5の(A)は、コイル2の近傍のフェライトを配置していない場合を示す。また、図5の(B)は、コイル2の周回面の内側部分にのみ、「A1」で示すフェライト31、「A2」で示すフェライト32、及び、「A3」で示すフェライト33を配置した様子を示す。また、図5の(C)は、コイル2の直線部分の外側に沿って「B」で示すフェライト34、及び、「C」で示すフェライト35を配置した様子を示す。さらに、図5の(D)は、コイル2の周回面の内側部分に「A2」で示すフェライト32を配置するとともに、コイル2の直線部分の外側に沿って「B」で示すフェライト34、及び、「C」で示すフェライト35を配置した様子を示す。
【0030】
また、図6のグラフは、図5の(A)〜(D)に示した各コイルによる加熱パターンを示す。すなわち、グラフ中の曲線Iに示すように、図5の(A)に示すコイル2による加熱パターンは、両端部と中央部との温度が高い浅いW字型を示す。また、破線IIに示すように、図5の(B)に示すコイル2による加熱パターンは、中央付近が平坦で、両端近くにピークをそれぞれ有している。また、一点鎖線IIIに示すように、図5の(C)に示すコイル2による加熱パターンは、両側が低く中央付近に広いピークを有している。さらに、二点鎖線IVに示すように、図5の(D)に示すコイル2による加熱パターンは、両側が大きく下がり、中央付近に三つのピークを有している。
【0031】
このように、曲線I、破線II、一点鎖線III及び二点差線IVから、コイル近傍にフェライトを配置すると、その配置の仕方により加熱パターンが異なることが分かる。
【0032】
第二実施形態の金属帯板の誘導加熱装置よれば、図1に示すように、金属帯板1の搬送方向に沿って、各コイルの周回面が金属帯板1と対向するように、順次に、互いに平面形状が同一の二つの誘導加熱用コイル2c及び2dを配置している。ここでは、各コイル2c及び2dを、平行な直線部分とその両端どうしを接続する湾曲部分から構成された長円形コイルとしている。
【0033】
しかし、第二実施形態では、コイル2c及び2dの近傍におけるフェライトの配置を相違させることにより、コイル2c及び2dどうしでの加熱パターンを相違させている。すなわち、搬送方向の上流側のコイル2では、周回面の内側にのみフェライト30を配置している。また、下流側のコイル2では、周回面の外側にのみフェライト30を配置している。
【0034】
ここで、図8のグラフに、コイル2c及び2dでそれぞれ個別に金属帯板(金属基材)を誘導加熱した場合の加熱パターンの測定結果をそれぞれ曲線I及び破線IIで示す。
【0035】
グラフ中の曲線Iに示すように、内側にフェライト30を配置したコイル2cによる加熱パターンは、幅方向の両端近くで温度のピークを示すとともに、中央部と両側縁では低い温度を示す温度分布を有する。これに対し、破線IIに示すように、外側にフェライト30配置したコイル2dによる加熱パターンは、幅方向の両端と中央部で温度が高い浅いW字型の温度分布を有する。このように、フェライト30を配置して温度分布を調整したコイル2c及び2dでは、温度分布における温度の高低パターンが互いに反転している。
【0036】
その結果、コイル2c及び2dそれぞれの加熱パターンを組み合わせた合成加熱パターンは、幅方向でより均一な温度分布を有するものとなる。ここで、図8に、曲線I及び破線IIに示した加熱パターンの合成加熱パターンの測定結果を一点鎖線IIIで示す。一点鎖線IIIに示すように、コイル2c及び2dを組み合わせて得られた合成加熱パターンは、幅方向でより均一な温度分布となっている。
【0037】
また、金属帯板の搬送速度を速くすると、温度分布の高低差がより大きくなる傾向があるので、コイル2c及び2dによる温度分布においても、搬送速度を高くすると、それぞれ高低差がより大きくなる傾向がある。しかし、それら温度分布の変化が相殺される方向に変化すれば、搬送速度が変化しても、結果的に均一な温度分布の維持を図ることが可能である。
【0038】
つぎに、図9を参照して、金属帯板としてのアルミ基材の両面に樹脂膜をラミネートする工程において、アルミ基材を誘導加熱するコイルの配置及び装置構成の一例について説明する。
図9の(A)は、装置の平面図であり、図9の(B)は、図3の(A)のA−Aにおける断面図である。
【0039】
図9に示す例では、加熱対象のアルミ基材1の搬送経路に沿って、アルミ基材1の両側に、それぞれ長円形コイル2c及び2dを順次に配置している。ここでは、同一の加熱パターンを有するコイルどうしを、アルミ基材1を挟んで対向させそれぞれ配置している。
【0040】
また、各コイル2c及び2dは、固定ベース4に固定されている。固定ベース4はフェライトコアを含み、磁場遮蔽板として機能する。このため、この固定ベース4を設けることにより、磁場の金属帯板との結合を強めることができる。なお、図3の(A)では、固定ベース4の図示を省略している。また、固定ベース4は、上述の第一実施形態と同様に、図4に示した機構により回転させることができる。
【0041】
そして、両面からそれぞれ二連のコイル2c及び2dにより誘導加熱されたアルミ基材1は、図面下方へ搬送される。続いて、このアルミ基材1は、押し出しダイ5から押出された樹脂膜8に挟まれる。そして、ラミネートロール7によってアルミ基材1に樹脂膜8が圧着される。
【0042】
なお、誘導加熱装置は短時間で高効率な加熱が可能である。その結果、装置が接触ロール加熱装置等に比べて小型化できるため、装置をラミネート直前に配置することが可能である。これに対し、接触ロール加熱装置は設備を配置する場所が限定され、ラミネート直前に配置することができないことがある。その場合、空走距離が長くなり、その間に放熱する分だけ加熱時の最高温度を上げておく必要が生じる。
しかし、誘導加熱装置はラミネート直前に配置できるため、放熱分の温度を上げる必要がなく、加熱時の最高温度を低く抑えることができる。アルミ等は温度が高くなるほど軟化する。したがって、誘導加熱装置の方がアルミの軟化を抑えることができ、缶用材料の製造ではそれだけ強度の高い材料が得られることになる。その結果、薄い材料を使用することが可能となり、コストダウンを図ることができる。
【0043】
ところで、第二実施形態では、長円形コイルの近傍にフェライトを配置することにより、金属帯板の搬送方向に沿って順次に配置したコイルどうしの加熱パターンを相違させていたが、同一形状のコイルであって、かつ、フェライトを配置しない場合又は同一パターンで配置した場合においても、コイルどうしの加熱パターンを相違させることができる。例えば、流れ方向に順次に配置されたコイルどうしで長軸方向両端の湾曲部分間の内径を互いに相違させることにより、コイルどうしで加熱パターンを相違させることができる。
【0044】
ここで、図10に、長円形コイル2とその加熱パターンとを示す。
図10の下段のグラフ中に、搬送速度を変えた場合の加熱パターンを曲線I、破線II及び一点鎖線IIIに示す。これらグラフに示すように、長円形コイル2の長軸3方向両端の湾曲部分20内側縁に面する部分A点及びB点では、搬送速度によらずに、温度が一定であることが分かる。したがって、これらA点及びB点の幅方向での位置が異なるような複数の長円形コイル2を縦に配置すれば、所望の合成加熱パターンを得ることができる。
【0045】
上述した実施の形態においては、本発明を特定の条件で構成した例について説明したが、本発明は、種々の変更を行うことができる。例えば、上述の実施形態では、金属帯板の搬送方向に沿って、二つのコイルを順次に並べた例について説明したが、本発明では、コイルの数はこれに限定されない。例えば、三つ以上のコイルを、搬送方向に沿って順次に並べて誘導加熱を行ってもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、樹脂膜をラミネートする直前の金属帯板を誘導加熱する例について説明したが、本発明は、樹脂膜がラミネートされた金属帯板を誘導加熱する場合に用いても好適である。例えば、ラミネート板の樹脂膜と金属板の密着力を向上させるため、ラミネート後に再加熱することがある。その際に、誘導加熱により加熱すれば、金属帯板だけを選択的に加熱できるため、ラミネートされた樹脂膜の全体を加熱することなく界面の温度を必要なだけ上げることができる。その結果、樹脂膜にダメージを与えることなく、密着性を上げることができる。
【0047】
また、上述した実施形態では、複数のコイルの加熱パターンを組み合わせて、幅方向に均一な合成加熱パターンを実現した例について説明したが、本発明では、合成加熱パターンは均一なものに限定されない。例えば、加熱された金属帯板は、その幅方向の中央付近よりも両側縁付近の温度が早く下がりやすい。このため、誘導加熱時に、両側縁附近が中央付近よりも少し高温となるような加熱パターンで加熱した方が好ましい場合がある。その場合も、複数のコイルの加熱パターンを組み合わせることにより、所望の合成加熱パターンを容易に得ることができる。
【0048】
また、幅方向の温度分布が不均一な加熱パターンであっても、複数のコイルの加熱パターンを組み合わせたものであれば、金属帯板の搬送速度の依存度を低くすることができる。
【0049】
また、上述の実施形態では、コイルの平面形状として、長軸に対して線対称な形状を有する長円形及び菱形形の例について説明したが、本発明では、コイルの平面形状はこれらに限定されない。例えば、長軸に対して非対称な平面形状を有するコイルを用いてもよい。
【0050】
また、上述の実施形態では、誘導加熱のみによって金属帯板を加熱した例について説明したが、この発明では、誘導加熱と他の加熱方法とを組み合わせてもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、加熱パターンの互いに異なる複数のコイルを組み合わせて誘導加熱を行う。これにより、個々のコイルによる加熱パターンを組み合わせた合成加熱パターンとして、容易に所望の加熱パターンを得ることができる。その上、金属帯板の搬送速度に対する合成加熱パターンの依存度を軽減することができる。その結果、搬送速度を変えた場合においても、所望の加熱パターンで金属帯板を誘導加熱することができる。
【0052】
また、本発明は、ラミネート金属帯板を製造する際のラミネート前の加熱や、表面処理時の乾燥加熱に用いても好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一実施形態における誘導加熱用のコイルの形状及び配置を説明するための模式図である。
【図2】 (A)は、第一実施形態における個々のコイルの加熱パターンと、二つのコイルを組み合わせた場合の加熱パターンとを示すグラフであり、(B)は、金属帯板の搬送速度を変化させた場合の加熱パターンを示すグラフである。
【図3】 (A)及び(B)は、第一実施形態における金属帯板の誘導加熱装置の構成図である。
【図4】 第一実施形態における金属帯板の加熱装置におけるコイルの回転機構の説明図である。
【図5】 (A)〜(D)は、コイル近傍にフェライトを配置した様子を示す図である。
【図6】 フェライトの配置による加熱パターンの相違を示すグラフである。
【図7】 第二実施形態における誘導加熱用のコイルの形状及び配置を説明するための模式図である。
【図8】 第二実施形態における個々のコイルの加熱パターンと、二つのコイルを組み合わせた場合の加熱パターンとを示すグラフである。
【図9】 (A)及び(B)は、第二実施形態における金属帯板の誘導加熱装置の構成図である。
【図10】 コイルの長軸内径と加熱パターンとの関係を示す図である。
【図11】 従来の単一のコイルにより金属帯板を誘導加熱する様子を示す模式図である。
【図12】 金属帯板の搬送速度を変えた場合の加熱パターンの変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 金属帯板
2、2a、2b コイル
3 長軸
4 固定ベース
5 押し出しダイ
6 支持ロール
7 ラミネートロール
8 樹脂膜
10、10a 側縁
11 ハンドル
12 チェーン
13 プーリー
14 レバー
15 固定ベースの回転中心
16 連結部材
20 湾曲部
21 外周縁
22 内周縁
30、31、32、33、34、35 フェライト

Claims (4)

  1. 金属帯板を長手方向に搬送しながら誘導加熱する装置であって、
    前記金属帯板の搬送方向に沿って、各コイルの周回面が前記金属帯板と対向するように順次に配置された複数の誘導加熱用コイルを備え、
    前記複数の誘導加熱用コイルに、単独のコイルで誘導加熱した場合の金属帯板の幅方向における加熱パターンが異なる、コイル周回面の平面形状が菱形をした菱形コイルと、コイル周回面の平面形状が長円形をした長円形コイルを含め、
    長手方向に搬送した金属帯板に対する合成加熱パターンの温度分布が幅方向において所定の温度パターンを形成するよう前記菱形コイルと長円形コイルを組み合わせて配置したことを特徴とする金属帯板の誘導加熱装置。
  2. 金属帯板を長手方向に搬送しながら誘導加熱する装置であって、
    前記金属帯板の搬送方向に沿って、各コイルの周回面が前記金属帯板と対向するように順次に配置された複数の誘導加熱用コイルを備え、
    前記複数の誘導加熱用コイルに、コイル周回面の平面形状が菱形をした菱形コイル及び/又はコイル周回面の平面形状が長円形をした長円形コイルを含めるとともに、これらコイルの近傍に、位置を異ならせることにより金属帯板の幅方向における加熱パターンを異ならせる磁性体を配置し、
    長手方向に搬送した金属帯板に対する合成加熱パターンの温度分布が幅方向において所定の温度パターンを形成するよう前記菱形コイル及び/又は長円形コイルと前記磁性体を組み合わせて配置したことを特徴とする金属帯板の誘導加熱装置。
  3. 金属帯板を長手方向に搬送しながら誘導加熱する装置であって、
    前記金属帯板の搬送方向に沿って、各コイルの周回面が前記金属帯板と対向するように順次に配置された複数の誘導加熱用コイルを備え、
    前記複数の誘導加熱用コイルとして、平面形状が長円形であって長軸方向両端の湾曲部間の内径が異なる複数の長円形コイルを用い、
    かつ、これら内径が異なる長円形コイルを、長手方向に搬送した金属帯板に対する合成加熱パターンの温度分布が幅方向において所定の温度パターンを形成するよう組み合わせて配置したことを特徴とする金属帯板の誘導加熱装置。
  4. 前記長円形コイル又は菱形コイルを固定ベースに固定するとともに、前記固定ベースを回転可能かつ前記金属帯板の幅方向に移動可能としたことを特徴とする請求項1,2又は3記載の金属帯板の誘導加熱装置。
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