JP3893568B2 - 帯電防止性感光性積層体およびその製造方法 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、帯電防止した感光性積層体およびその製造方法に関する。更に詳しくは、感光性積層体を用いて画像形成する製版工程において、静電気の発生(帯電)によるホコリ、ゴミ、その他異物等が感光性積層体に付着するのを低減させ、高品質の画像形成を得ると共に、帯電による人体に感ずる感電障害をなくし、製版作業を容易にすることができる帯電防止感光性積層体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、感光性積層体を用いて画像形成する製版工程としては、必要サイズに裁断した積層体を画像露光機台にセットし、感光性積層体上層のカバーフイルムを剥離した後、感光性樹脂原版の感光性樹脂層上に原図フイルムを乗せ真空密着させ、その後、活性光線で露光する方法が主として用いられている。
ところが、従来の感光性積層体の場合、感光性積層体上層のカバーフイルムを剥離する時に帯電する(すなわち静電気が発生する)ことが多く、剥離時に帯電する原因は、剥離前にカバーフイルム自体が帯電していることと感光性樹脂表面に転写すべき粘着防止層とカバーフイルム基材層間に摩擦帯電が発生したことによるものと考えられている。この発生により、製版作業場周囲に浮遊又は付着しているホコリ、ゴミ、その他異物等が感光性樹脂表面に落下、付着し堆積され、それによって印刷物の表面は著しく劣化される重大な悪影響をもたらす結果となる。すなわち、感光性樹脂表面に堆積したホコリ、ゴミ、その他異物等は、真空密着、画像露光することにより、感光性樹脂表面に固着され、さらに、画像マスクまたはネガフイルムを通して露光の際に光散乱し、未硬化部分を溶解、現像処理した印刷版は劣悪な解像力・画像劣化を招く。また印刷版の表面上には、多数のクレーター状のピンホールが発生し、感光性凸版、感光性平版、感光性凹版、感光性フレキソ版及びフォトレジスト等に重大な欠陥をもたらすという問題がある。
【0003】
このような感光性積層体に於いて発生する帯電(静電気)防止対策として、一般には、アイオナイズ処理、除電ブラシ処理、リンス処理、又は製版作業室の湿度を調整する等の方法が用いられている。しかし、これ等の方法は、応急処置的な方法であり、カバーフイルム基材の帯電及びカバーフイルムの剥離時に発生する摩擦帯電を低減させるものではなく、従って製版作業周囲に浮遊しているホコリ、ゴミ、その他異物等の付着を防止できるものではなかった。
【0004】
そこで、このような静電気の発生によるホコリ、ゴミ、その他異物等の付着の問題を解決するために、例えば、特開平1−154138号公報には、膨潤可能で粘着しない光透過性被覆層にカチオン系化合物を配合する方法が開示されている。ところがこのような光透過性被覆層にカチオン系化合物を配合する方法は、感光性樹脂表面に転写された光透過性被覆層が電気的に帯電(静電気)の発生を押えているものなら製版作業周囲に浮遊しているホコリ、ゴミ、その他異物等の吸着・付着をある程度減少させる効果があると思われるが、この方法では、カバーフイルム基材の帯電(静電気)防止及びカバーフイルム剥離時に発生する摩擦帯電を本質的に防止するものではなく、さらにカバーフイルム基材の帯電放電による人体に感ずる感電障害をなくすものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように従来技術にあっても感光性積層体を用いて画像形成する製版工程において、帯電防止し、ホコリ、ゴミ、その他異物等の吸着・付着を押え、高品質の画像形成を得る技術がないのが現状である。従って本発明では、感光性積層体を用いて画像形成する製版工程において、感光性積層体の上層のカバーフイルム基材の帯電(静電気)防止及びカバーフイルム剥離時に発生する摩擦帯電(静電気)を防止し、ホコリ、ゴミ、その他異物等の吸着・付着を押え、高品質の画像形成を得ると共に、人体に感ずる感電障害をなくし、製版作業時の精神的・人体的苦痛から開放させる帯電防止感光性積層体を得ることを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、帯電防止感光性積層体について前記課題を解決するため、鋭意・検討した結果、遂に本発明を完成するに到った。すなわち本発明は少なくとも上層より、帯電防止性カバーフイルム、感光性樹脂層および支持体を有することを特徴とする帯電防止性感光性積層体および支持体上に感光性樹脂層および帯電防止性カバーフイルムを有する帯電防止性感光性積層体の、押出積層による製造方法である。
【0007】
本発明帯電防止性感光性積層体は、図1に示すように、少なくとも支持体1上に感光性樹脂層2および帯電防止性カバーフィルム3をこの順で有する。
支持体1には公知のプラスチックフィルムが用いられるが、本発明においてはポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートの2軸延伸されたフィルムが好ましい。支持体の厚みは、取扱易さや印刷時の版胴への取り付け易さを考慮して、好ましくは25〜250μm、より好ましくは75〜188μm、特に100〜125μmが望ましい。支持体表面1aの表面粗さは、ロールによる搬送のし易さ等を考慮して、好ましくは1.0〜0.05、より好ましくは0.7〜0.1、特に0.6〜0.5μmが望ましい。また支持体表面1aの動摩擦係数も、ロールによる搬送のし易さ等を考慮して、好ましくは0.35〜0.15、より好ましくは0.30〜0.20、特に0.30〜0.25が望ましい。さらに支持体表面1aの表面固有抵抗値は、製造時の静電気障害によるトラブル等を考慮して、好ましくは1013Ω/cm2 以下、より好ましくは1011Ω/cm2 以下、特に望ましくは109 Ω/cm2 以下である。
【0008】
さらに、本発明においては、支持体1は該支持体が感光性樹脂層2と接する側の表面に接着剤層を有することが好ましい。接着剤層には公知の接着剤組成物が用いられ、本発明では特にポリエステル系接着剤が好ましい。接着剤層の厚みは、塗工斑や気泡発生等を起こさせないために、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜40μm、特に20〜30μmが望ましい。
【0009】
感光性樹脂層2には、公知の感光性樹脂組成物が使用され得る。この感光性樹脂組成物としては、例えば、特開昭60−211451号、特開昭60−173055号、特開昭63−8648号、特開平2−175702号、特開平1−108542号、特開平2−305805号、特開平3−228060号などに記載の感光性樹脂組成物を採用することができる。
感光性樹脂層2の厚みは、適正な印刷物を得るために、好ましくは0.3〜10mm、より好ましくは、0.6〜4mm、特に1.0〜3.0mmが望ましい。
【0010】
帯電防止性カバーフイルム3としては、図2に示すようにカバーフイルム基材31(例えばポリエステルフィルム等)の一方の面に帯電防止性コート層32を設けた多層帯電防止性カバーフイルムが挙げられる。
【0011】
帯電防止性カバーフイルム3の厚みは、積層体の取扱易さや、露光時の剥離のし易さ等を考慮して、好ましくは25〜250μm、より好ましくは50〜188μm、特に75〜125μmが望ましい。
帯電防止性カバーフイルム表面3aの表面粗さは、ロールによる搬送のし易さ等を考慮して、好ましくは3.55〜1.05μm、より好ましくは3.0〜1.5μm、特に2.5〜2.0μmが望ましい。また帯電防止性カバーフイルム表面3aの動摩擦係数も、ロールによる搬送のし易さ等を考慮して、好ましくは0.29〜0.21、より好ましくは0.29〜0.22、特に0.28〜0.25が望ましい。さらに帯電防止性カバーフイルム表面3aの表面固有抵抗値は、製造時の静電気障害によるトラブル等を考慮して、好ましくは1013Ω/cm2 以下、より好ましくは1011Ω/cm2 以下、特に望ましくは109 Ω/cm2 以下である。また摩擦帯電圧が10KV以下、剥離帯電圧が10KV未満、好ましくは5KV以下、特に3KV以下になっていることが望ましい。
【0012】
なお図1における帯電防止性カバーフイルム表面3a又は図2における帯電防止性コート層表面32aの表面粗さと支持体表面1aの表面粗さとの差は、好ましくは3.5μm以下、より好ましくは3.0μm以下、特に2.5μm以下が望ましい。この差が3.5μmを越えると、後述の積層体製造時に、ロールによる支持体の搬送速度とロールによる帯電防止性カバーフイルムの搬送速度との差が大きくなる。そのため、積層体表面に波打ちが生じ、画像再現性に劣る。また帯電防止性カバーフイルム表面3a又は帯電防止コート層表面32aの動摩擦係数と支持体表面1aの動摩擦係数との差は0.15以下、より好ましくは0.10以下、特に0.05以下が望ましい。この差が0.15を越えると、後述の積層体製造時に、ロールによる支持体の搬送速度とロールによる帯電防止性カバーフイルムの搬送速度との差が大きくなる。そのため、積層体表面に波打ちが生じ、画像再現性に劣る。
【0013】
前記カバーフイルム基材31には、前記ポリエステルに加えて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどが使用され得る。これらは、通常の方法でフィルムに成形され、基材31として使用される。寸法安定性、耐熱性および機械的特性を考慮するとポリエチレンテレフタレートが好ましい。カバーフイルム基材の表面は平滑でもよく、表面粗度が5μ以下のいわゆるマット状のフイルム基材でもよい。
【0014】
前記帯電防止性コート層32は、好ましくは、ポリオレフィン樹脂およびカチオン系界面活性剤を含有する組成物からなり、該コート層32は、ポリオレフィン樹脂およびカチオン系界面活性剤を含有するエマルジョンを、基材31に塗布、乾燥することにより形成される。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなオレフィンホモポリマー;エチレン−アクリル酸共重合体のようなアクリル変性ポリオレフィン;ウレタン変性ポリオレフィン;ナイロン変性ポリオレフィンなどが挙げられる。これらは結晶性であっても非晶性であってもよい。塗工性;透明性;耐スクラッチ性;耐ブロッキング性;温度安定性;湿度安定性のような環境安定性の観点からは、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。ポリオレフィン樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは1500〜5000、より好ましくは3500〜5000、最も好ましくは4000〜4500である。
【0015】
カチオン系界面活性剤としては、公知のカチオン系界面活性剤が使用され得る。代表的な例としては、アルキルアンモニウムクロリド、トリメチルアルキルアンモニウムプロミド、アルキルピロジニウムクロリドなどが挙げられる。
カチオン系界面活性剤は、上記ポリオレフィン樹脂を含むエマルジョンの全重量に対して、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.05〜20重量%、最も好ましくは、0.1〜10重量%の割合で含有される。含有量が0.01重量%未満では、帯電防止性に劣る。含有量が20重量%を超えると、界面層の透明性が不十分である。さらに、得られる積層体の耐ブロッキング性および環境安定性が不十分である。
【0016】
上記エマルジョンは、好ましくは、水性媒質中に、ポリオレフィン系エマルジョンおよびカチオン系界面活性剤をこの順序で添加することにより調整される。ポリオレフィン系エマルジョンおよびカチオン系界面活性剤をこの順序で添加することにより、ゲル状物が生成しない。さらに、得られるフィルムの透明性が優れる。塗布方法としては、グラビアコーティング、リバースロールコーティング、スプレーコーティング、浸漬法などが挙げられる。乾燥温度は、好ましくは100〜120℃、より好ましくは105〜115℃、最も好ましくは105〜110℃である。乾燥時間は、乾燥温度およびその他の乾燥条件に依存して変化するが、好ましくは2〜5分、より好ましくは2〜4分、最も好ましくは2〜3分である。
【0017】
帯電防止性コート層32の厚みは、帯電防止性能やブロッキング発生を考慮して、好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.02〜0.06μm、特に0.02〜0.05μmが望ましい。
帯電防止性コート層表面32aの表面粗さは、ロールによる搬送のし易さ等を考慮して、好ましくは3.50〜1.05、より好ましくは3.0〜1.5、特に2.5〜2.0μmが望ましい。また帯電防止性コート層表面32aの動摩擦係数も、ロールによる搬送のし易さ等を考慮して、好ましくは0.28〜0.22、より好ましくは0.27〜0.23、特に0.27〜0.25が望ましい。さらに帯電防止性コート層表面32aの表面固有抵抗値は、製造時の静電気障害によるトラブル等を考慮して、好ましくは1013Ω/cm2 以下、より好ましくは1011Ω/cm2 以下、特に望ましくは109 Ω/cm2 以下である。また摩擦帯電圧が10KV以下、剥離帯電圧が10KV未満、好ましくは5KV以下、特に3KV以下になっていることが望ましい。
【0018】
図2は、前記したように本発明の好適な実施態様における帯電防止性感光性積層体の断面図であるが、図2における4は粘着防止層であり、カバーフィルム3を剥離して、感光性樹脂層2上にネガフィルムを置いて露光する際に、感光性樹脂層表面に粘着性があると気泡が抜けない等の弊害を防止するために、感光性樹脂層上に設けられた層である。なお本発明製造方法においては、前記カバーフイルム基材31に予め塗布しておいて、積層する際に感光性樹脂層上に転移させるのが好ましい。
【0019】
粘着防止層4としては、非粘着層であればよく、具体的には、ポリアミド系、ポリビニルアルコール系、セルロース系、エチレンオキサイド系、高分子電解質系等の樹脂が含まれる。粘着防止層は、これらの樹脂を、高ケン化度のエステルや界面活性剤と混合し、前記基材に塗布、乾燥することにより形成される。塗布方法としては、グラビアコーティング、リバースロールコーティング、スプレーコーティング、浸漬法などが挙げられる。乾燥温度は、好ましくは100〜120℃、より好ましくは105〜115℃、最も好ましく105〜110℃である。乾燥時間は、乾燥温度およびその他の乾燥条件に依存して変化するが、好ましくは2〜5分、より好ましくは2〜4分、最も好ましくは2〜3分である。さらに必要に応じてコロナ処理などの表面処理が施される。粘着防止層の厚みは好ましくは1.5〜5.0μm、より好ましくは1.8〜3.5μm、最も好ましくは2〜3μmである。厚みが1.5μm未満ではカバーフィルムの剥離が困難となり、厚みが5μmを越えると異常剥離を起こしたりするので好ましくない。
【0020】
本発明製造法における好ましい実施態様例を図面を用いて説明する。
図3は、本発明の製造方法を示す模式図であり、1対のロール101および102を準備し、ロール102により支持体用フィルム10を移送する。支持体用フィルム10は、ロール102と接触しない例の表面10bに接着剤層を有していることが好ましい。ロール101により帯電防止性カバーフィルム30を移送する。帯電防止性カバーフィルム30は、ロール102と接触しない側の表面30bに粘着防止層4を有していることが好ましい。押出機200により、感光層を形成する感光性樹脂組成物20を支持体用フィルム表面10bと接触させながらロール101、102のニップ部分103に供給する。
ロール101と接触する側の帯電防止性カバーフィルムの表面30aの表面粗さと、ロール102と接触する側の支持体用フィルムの表面10aの表面粗さとの差は、3.5μm以下、好ましくは3.0μm以下、より好ましくは2.5μm以下である。差が3.5を超えると、ロールによる支持体用フィルムの搬送速度とロールによる帯電防止性カバーフィルムの搬送速度との差が大きくなる。そのため、積層体表面に波打ちが生じ、画像再現性に劣る。
ロール101と接触する側の帯電防止性被服フィルムの表面30aの動摩擦係数と、ロール102と接触する側の支持体用フィルムの表面10aの動摩擦係数との差は、0.15以下、好ましくは0.10以下、より好ましくは0.05以下である。差が0.15を超えると、ロールによる支持体用フィルムの搬送速度とロールによる帯電防止性カバーフィルムの搬送速度との差が大きくなる。そのため、積層体表面に波打ちが生じ、画像再現性に劣る。
【0021】
次いで、ロール101および102による加熱圧着により、支持体用フィルム10、感光性樹脂組成物20、および帯電防止性カバーフィルム30を積層して、積層シート40を得る。加熱圧着時のロール温度は、好ましくは80〜120℃、より好ましくは80〜110℃、最も好ましくは90〜100℃である。圧着時間は、ロール温度に依存して変化するが、好ましくは10秒〜15分、より好ましくは20秒〜5分、最も好ましくは30秒〜3分である。好ましい圧着時間を与えるフィルムの搬送速度は、好ましくは2〜135m/hr、より好ましくは5〜60m/hr、最も好ましくは6〜40m/hrである。
以上のようにして得られる本発明帯電防止性感光性積層40の厚みは、好ましくは0.3〜10mm、より好ましくは0.6〜4mm、最も好ましくは1〜3mmである。厚みが0.3mm未満では、感光層の弾性が乏しく適正な印刷が得られない為、積層体として適さない。厚みが10mmを超えると、厚み精度が劣り印刷に適正な積層体が得られない。
【0022】
【作用】
本発明における帯電防止性カバーフイルムは、驚くべきことに帯電防止性コート層の反対面であるコートされていないカバーフイルム基材にも帯電防止性が発現する。このことは、一般的な電気法則では説明し難いものである。なおホコリ、ゴミ、その他異物等との吸着、付着機構は、これ等ホコリ、ゴミ等は、一般に電気的に+又は−符号に帯電している状態にあるが、カバーフイルム又は感光性積層体が強い帯電をしていた場合、ホコリ、ゴミ等とカバーフイルム又は感光性積層体の反対符号同志が吸引し合い、吸着・付着するものである。従って、ホコリ、ゴミ等の吸着・付着を押える手段としては、帯電を出来るだけ押えることが必要となり、本発明における帯電防止性カバーフイルムそのものが、前記の如く、すでに帯電(静電気)防止されたものであり、このことがカバーフイルム剥離時に発生する摩擦帯電も押える結果となると思われる。
【0023】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中、部とあるのは重量部を意味する。また、実施例における評価方法は、次に述べる方法による。
(1)表面粗さ:非触針式表面粗さのことであり、明神工機(株)製SAS−2010型非触針式表面形状解析装置を用いて以下の条件で測定した。
条件
半導体レーザーのビーム焦点直径/焦点距離;2μm/0.9mm
半導体レーザーのレーザー波長/電力 ;800nm/0.2mV
トレース速度 ;0.5mm/sec
作動範囲/測定範囲 ;±250μm/ペルトメーターにて選択
表面粗さの高さ ;10K(1μm/10mm)
X軸のレンジ ;1.024mm
Y軸のレンジ ;0.40mm
X軸のピッチ ;1.0μm
Y軸のピッチ ;2.0μm
(2)動摩擦係数(μd):ASTM法に準じて、以下の条件で測定評価した。
測定器機;テンシロン((株)オリエンテック製)
荷重(F);4.4kg
フルスケール;10kg
チャートスピード;200mm/分
評価専用台に標準資料を固定し、更に評価用資料を荷重専用台に固定し、お互いに重ねた後、上記条件下で、引張抵抗値fdを測定し、動摩擦係数は以下の計算より求めた。
μd=(fd)/F
(3)表面固有抵抗値
三菱油化(株)製「ハイレスタIP」(MCP−HT260)抵抗器を用い、20℃30%RHの雰囲気下で試料に設置し、500V30秒で電圧印下し、表面固有抵抗値を測定した。
(4)摩擦帯電圧
オーディオ・テクニカ社製「スタティックチェッカー」(SC−201)帯電測定器を用い、20℃30%RHの雰囲気下で試料をPPC用紙に20回こすり、その時の試料の帯電圧を測定した。
(5)剥離帯電圧
オーディオ・テクニカ(株)製の機器を用いて感光性積層体上層のカバーフイルムを剥離した直後のカバーフイルム基材及び感光樹脂表面を20℃30%RHの雰囲気下で測定した。
(6)ホコリ、ゴミ、その他異物等の吸着・付着個数
ムトウ(株)製「ミクロプロッター」(PR8−8LT)を用いて、A4サイズの感光性積層体の上層のカバーフイルムを剥離し、90%網ベタネガを用い、真空密着、露光直後の感光性樹脂表面の付着個数を測定した。
【0024】
参考例1
純水500部にオレフィン系樹脂エマルジョンE6000〔東邦化学工業(株)製、固形分35%高結晶ポリエチレン系〕を0.15部添加し、攪拌後、ケミスタット6300H〔三洋化成工業(株)製〕2.4部添加し、10分間攪拌して、E6000H0.01%、ケミスタット6300H0.17%含有の組成物を作成した。次にこの溶液をケミカルマットフイルム(マット状ポリエチレンテレフタレートフィルム東洋クロス(株)TC−5002)厚み95μを用い、ワイヤバー#6でコートし、風速0.5m/Sの乾燥機で110℃×2分乾燥させた。このようにして得られたコート層の膜厚みは0.02μであった。次にこのカバーフイルム基材の特性を評価したところ、表面固有抵抗値=1×1011Ω/cm2 、摩擦帯電圧=2〜4KVであった。さらに、摩擦したコート層の反面の帯電圧を摩擦直後に測定した所、3KVであり、また測定時人体に感ずる感電はなかった。
【0025】
参考例2
ケミカルマットフイルム(東洋クロス(株)製TC−5002)厚み95μのなにもコート処理していないカバーフイルム基材を用いて実施例1と同様な方法で特性を評価したところ、表面固有抵抗値=1013Ω/cm2 以上、摩擦帯電圧=20KVであった。さらに摩擦した基材の反面の帯電圧を測定した所、20KVであり、人体に感電を感じた。
【0026】
参考例3
純水964部にゴーセノールAH−26〔日本合成化学工業(株)製、ケン化度97.0〜98.8%〕を25部添加し、90℃で1時間撹拌した。次に室温まで冷却した後、この水溶液に1、2−プロピレングリコール10.7部とエパン740〔第一工業製薬(株)製〕0.3部をゆっくり撹拌下に添加し、さらに30分間撹拌して粘着防止層用組成物を得た。次に、参考例1および2で作成したカバーフイルム基材を用いてカバーフイルム基材の反面に前記粘着防止組成物をワイヤバー#36でコートし、風速0.5m/Sの乾燥機で110℃×3分乾燥させた。このようにして粘着防止層の厚みが1.9μを有するカバーフイルムをそれぞれ作成した。
【0027】
参考例4
感光性樹脂組成物を次に述べるような方法で作成した。ヘキサメチレンジイソシアネート21.8部、ジメチロールプロピオン酸15.4部、ポリテトラメチレングリコール(PG−100 日本ポリウレタン工業(株)製)7.6部、およびジラウリン酸シ−n−ブチルスズ1.0部をテトラヒドロフラン300部に溶解した溶液を撹拌機の付いた1リットルフラスコに入れ、撹拌を続けながらフラスコを65℃に加熱し3時間反応を続けた。別の容器で、末端アミノ基含有アクリロニトリル・ブタジエンオリゴマー(Hycar ATBNX 1300×16宇部興産(株)製)55.3部、メチルエチルケトン100部に溶解して調整した溶液を上記のフラスコ内に室温下で撹拌しながら添加した。得られたポリマー溶液を減圧乾燥してテトラヒドロフラン、メチルエチルケトンを除去し、数平均分子量が21000のポリマーを得た。次に該ポリマー100部をメチルエチルケトン100部に溶解した溶液に、水酸化リチウム4.8部をメチルアルコール100部に溶解した溶液を室温下で撹拌しながら添加し、さらに30分間撹拌することによって親水性ポリマー〔I〕を得た。
【0028】
上記親水性ポリマー〔I〕10部、疎水性ポリマーとして、塩素化ポリエチレン(H−135 大阪曹達(株)製)45部、スチレン・ブタジエンゴム(JSR1507 日本合成ゴム(株)製)15部、ブタジエンオリゴアクリレート(PB−A 共栄社油脂(株)製)28.5部、ベンジルジメチルケタール(イルガキュア651、チバガイギー(株)製)1部およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.5部をトルエン40部、水10部に溶解、分散させ、加熱ニーダーを用いて105℃で混練、溶解し、脱泡後、感光性樹脂組成物を得た。
【0029】
参考例5
帯電防止支持体を以下に述べる方法で作成した。
100μインラインコート帯電防止ポリエステルフイルムA6300〔東洋紡(株)製表面固有抵抗値=8×109 Ω/cm2 、摩擦帯電圧=4〜6KV〕を用い、共重合ポリエステル(RV−30SS〔東洋紡(株)製〕)59部、RV−20SS〔東洋紡(株)製〕25部、コロネートL(日本ポリウレタン社製、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応物)10部、触媒0.2部からなる接着剤を作成し、厚み20μになるようコートし、110℃×3分乾燥処理した。
【0030】
実施例1
参考例4で得られた感光性樹脂組成物を用いて、ヒートプレス機で100℃、15kg/cm2 の圧力で、参考例5で得た帯電防止支持体と参考例1で作成し、参考例3の方法で作成した粘着防止層を有するカバーフイルム間で、粘着防止層が感光性樹脂と接するように30秒間加熱加圧し厚さ2.0mmのシート(印刷厚版)を作成した。次に、A4サイズに裁断した印刷原版の最上層のカバーフイルムを剥離して、カバーフイルム剥離帯電圧を測定したところ、カバーフイルムの上層の帯電防止コート層面は、0〜1KV、反対面のすでに粘着防止層が感光性樹脂表面に転写し、粘着防止層がないカバーフイルム面は0〜1KV、さらに感光性樹脂表面は、0〜1KVであった。次にこの版に90%網ベタネガフイルムをその上に密着して水銀灯(大日本スクリーン社製)で、照度25w/m2 、5分間露光を行った。ネガフイルムを除いた後、ホコリ、ゴミ、その他の異物等の吸着・付着個数を測定したところ、3個であった。また製版時、人体に感ずる感電は皆無であり、作業が容易であった。
次に、ブラシによる現像を行い、レリーフ(印刷版)を作成し、得られたレリーフを用いて印刷を行ったところ、印刷物にはピンホールの発生が認められなかった。
【0031】
比較例1
実施例1と同様な方法で、参考例2で作成し、参考例3の方法で作成した粘着防止層を有するカバーフイルムを用い厚さ2.0mmのシート(印刷原版)を作成した。次に、A4サイズに裁断した前記印刷原版の最上層のカバーフイルムを剥離し、カバーフイルム剥離帯電圧を測定したところ、カバーフイルムの両面共に20KVで、感光性樹脂表面は15〜20KVであった。次にこの版を用い参考例4と同様な方法で露光製版し、ホコリ、ゴミ、その他異物等の吸着・付着個数を測定したところ、17〜18個であった。また、製版時、人体に強い感電をうけ、作業が困難であった。次にブラシによる現像を行い、レリーフ(印刷版)を作成し、得られたレリーフを用いて印刷を行ったところ印刷物にはピンホールの発生が認められた。
【0032】
実施例2
純水10部にオレフィン系樹脂エマルジョンE6000〔東邦化学工業(株)製、固形分35%、高結晶ポリエチレン系〕を0.06部添加し、室温下で撹拌した。この溶液にエレコンドPQ−10を0.05部添加し、更にメタノールを10部添加し、10分間撹拌し、E−6000 0.1%、PQ−10 0.12%含有の組成物を作成した。次にこの溶液をケミカルマットフイルムを用い、ワイヤバー#6でコートし、110℃×2分乾燥した。得られたカバーフイルム基材の特性を評価したところ、表面固有抵抗値=1.5×1012Ω/cm2 、摩擦帯電圧=1〜3KV、コート層反面の帯電圧=3KVであった。また、測定時、人体に感ずる感電はなかった。次に、参考例3と同様な方法で粘着防止層を有するカバーフイルムを作成した。そして、参考例4と同様な方法で厚さ2.0mmのシート(印刷原版)を作成した。得られた印刷原版をA4サイズに裁断し、最上層のカバーフイルムを剥離して、カバーフイルム剥離帯電圧を測定したところ、コート層面が0〜1KV、反対面が0〜1KV、感光樹脂表面が0〜1KVであった。次にこの版を用い実施例1と同様な方法で露光・製版し、ホコリ、ゴミ、その他異物等の個数を測定したところ、5個であった。また製版時、人体に感ずる感電はなく、作業が容易であった。次にブラシによる現像を行い、レリーフ(印刷版)を作成し、得られたレリーフを用いて印刷を行ったところ、印刷物にはピンホールの発生が全く認められなかった。
【0033】
実施例3
純水12部にオレフィン系樹脂エマルジョンE433N〔東邦化学工業(株)製、固形分30%、結晶ポリプロピレン系〕を0.6部添加し、室温下で撹拌した。この溶液にエレコンドPQ−10 0.25部添加し更にメタノールを47部添加し、10分間撹拌し、E433N0.3%、PQ−10 0.2%含有の組成物を得た。次にこの溶液をケミカルマットフイルムを用い参考例1と同様な方法で帯電防止性カバーフイルムを作成した。次にこのカバーフイルム基材の特性を評価したところ、表面固有抵抗値=3.0×1012Ω/cm2 、摩擦帯電圧=1〜3KV、コート層反面の帯電圧=1〜2KVであった。また測定時、人体に感ずる感電はなかった。次に参考例3と同様な方法で粘着防止層を有するカバーフイルムを作成した。そして実施例1と同様な方法で厚さ2.0mmのシート(印刷原版)を作成した。得られた印刷原版をA4サイズに裁断し、最上層のカバーフイルムを剥離して、カバーフイルム剥離帯電圧を測定したところ、コート層面が0〜1KV、反対面が0〜1KV、感光性樹脂表面が0〜1KVであった。次にこの版を用いて実施例1と同様な方法で露光・製版し、ホコリ、ゴミ、その他の異物等の個数を測定したところ、2個であった。また製版時、人体に感ずる感電はなく、作業が容易であった。次にブラシによる現像を行い、レリーフ(印刷版)を作成し、得られたレリーフを用いて印刷を行ったところ、印刷物にはピンホールの発生が認められなかった。
【0034】
比較例2
純水12部にオレフィン系樹脂エマルジョンE68A0.6部を添加し、室温下で撹拌した。この溶液にエレコンドPQ−10 0.01部添加し、更にメタノールを47部添加し10分間撹拌し、E68A0.2%、PA−10 0.008%含有の組成物を得た。次にこの溶液をケミカルマットフイルムを用い参考例1と同様な方法でカバーフイルムを作成した。次にこのカバーフイルムの特性を評価したところ、表面固有抵抗値=1013Ω/cm2 以上、摩擦帯電圧=20KV、コート層反面の帯電圧=20KVであり、測定時、人体に感ずる感電があった。次に参考例3と同様な方法で粘着防止層を有するカバーフイルムを作成した。そして実施例1と同様な方法で厚さ2.0mmのシート(印刷原版)を作成した。得られた印刷原版をA4サイズに裁断し、最上層のカバーフイルムを剥離してカバーフイルム剥離帯電を測定したところコート層面が20KV、反対面が20KV、感光性樹脂表面が10〜15KVであった。次にこの版を用いて実施例1と同様な方法で露光・製版し、ホコリ、ゴミ、その他の異物等の付着個数を測定したところ15〜20個であった。また製版時、人体に感ずる感電があり作業が困難であった。次にブラシによる現像を行い、レリーフ(印刷版)を作成し得られたレリーフを用いて印刷を行ったところ印刷物にはピンホールの発生が認められた。
【0035】
実施例4
純水12部にオレフィン系樹脂エマルジョンE68Aを0.4部添加し、撹拌後、エレコンドPQ−10 15部添加し、さらにメタノール47部添加し、10分間撹拌し、E68A0.12%、PQ−10 10%含有の組成物を得た。次にこの溶液をケミカルマットフイルムを用い参考例3と同様な方法で作成しカバーフイルム基材の特性を評価したところ、表面固有抵抗値=3.4×107 Ω/cm2 、摩擦帯電圧=1〜2KV、コート層反面の帯電圧=1〜2KVであった。また測定時の感電はなかった。次に参考例3と同様な方法で粘着防止層を目的を有するカバーフイルムを作成した。そして実施例1と同様な方法で厚さ2.0mmのシート(印刷原版)を作成した。得られた印刷原版をA4サイズに裁断し、最上層のカバーフイルムを剥離して剥離帯電圧を測定したところ、コート層面が0〜1KV、反対面が0〜1KV、感光性樹脂表面が0〜1KVであった。次にこの版を用いて実施例1と同様な方法で露光・製版し、ホコリ、ゴミ、その他の異物等の個数を測定したところ2個であった。また製版時、人体に感ずる感電はなく作業が容易であった。次にブラシによる現像を行い、レリーフ(印刷版)を作成し、得られたレリーフを用いて印刷を行ったところ、印刷物にはピンホールの発生が認められなかった。
【0036】
実施例5
純水12部にオレフィン系樹脂エマルジョンE68A0.6部添加し、撹拌後、エレコンドPQ−10 36部添加し、さらにメタノール47部添加し、10分間撹拌し、E68A0.12%、PQ−10 20%含有の組成物を得た。次にこの溶液をケミカルマットフイルムを用い参考例3と同様な方法で作成し、カバーフイルム基材の特性を評価したところ、表面固有抵抗値=1.3×107 Ω/cm2 、摩擦帯電圧=1〜2KV、コート層反面の帯電圧=1〜2KVであった。又、測定時の感電はなかった。次に、実施例1と同様な方法で厚さ2.0mmのシート作成、カバーフイルム剥離帯電圧の評価、ホコリ、ゴミ、その他の異物等の付着個数の測定を行ったところ同じような結果であった。又、ブラシ現像したレリーフを用いて印刷を行ったところ印刷物にはピンホールの発生は認められなかった。
【0037】
比較例3
純水10部にオレフィン系樹脂エマルジョンE68Aを0.12部添加し、撹拌後、サンノールPP2030〔ライオン(株)製、アニオン系固形分30%〕0.08部添加し、さらにメタノール10部添加し、10分間撹拌しE68A0.12%、PP2030 0.1%含有の組成物を作成した。次にこの溶液をケミカルマットフイルムを用い参考例3と同様な方法で粘着防止層を有するカバーフイルムを作成した。次にこのカバーフイルム基材の特性を評価したところ、表面固有抵抗値=1.2×1012Ω/cm2 、摩擦帯電圧=15KV、反対面の帯電圧=15KVであった。そして実施例1と同様な方法で厚さ2.0mmのシート(印刷原版)を作成し、カバーフイルム剥離帯電を測定したところコート層面が15KV、反対面が15KV、感光性樹脂表面が10〜15KVであった。また露光・製版後のホコリ、ゴミ、その他の異物の付着個数を測定したところ、17個であった。さらにブラシ現像により、レリーフ(印刷版)を作成し、印刷したところ印刷物にピンホールの発生が認められた。
【0038】
比較例4
純水10部にオレフィン系樹脂エマルジョンE68Aを0.12部添加、撹拌後、エパン740〔第1工業製薬(株)製ノニオン系界面活性剤、固形分100%〕0.02部添加し、さらにメタノール10部添加し、10分間撹拌し、E68A0.12%、エパン740 0.1%含有の組成物を得た。次にこの溶液をケミカルマットフイルムを用い参考例3と同様な方法で粘着防止層を有するカバーフイルムを作成した。次にこのカバーフイルム基材の特性を評価したところ、表面固有抵抗値=2.7×1012Ω/cm2 、摩擦帯電圧=15KV、反対面の帯電圧=15KVであった。以下、比較例4と同様な方法で作成し、評価したところホコリ、ゴミ、その他の異物の付着個数は25個で、又、レリーフ作成し印刷したところ印刷物にピンホールが発生していた。
【0039】
比較例5
純水10部にオレフィン系樹脂エマルジョンE68Aを0.12部添加、撹拌後、エレクトロスリッパーAC〔花王(株)両性等、固形分25%〕0.1部添加し、更にメタノール10部添加し、10分間撹拌し、E68A0.12%、エレクトロストリッパーAC0.12%含有の組成物を得た。次にこの溶液をケミカルマットフイルムを用いて参考例3と同様な方法で粘着防止層を有するカバーフイルムを作成した。次にこのカバーフイルム基材の特性を評価したところ、表面固有抵抗値=4×1012Ω/cm2 、摩擦帯電圧=15KV、反対面の帯電圧=15KVであった。以下、比較例5と同様な方法で作成し評価したところ、ホコリ、ゴミ、その他異物の付着個数は23個で、又レリーフ作成し印刷したところ印刷物にピンホールが発生していた。
【0040】
実施例6
純水500部にオレフィン系樹脂エマルジョンE6000〔東邦化学工業(株)製、固形分35%高結晶ポリエチレン系〕を0.15部添加し、攪拌後、ケミスタット6300H〔三洋化成工業(株)製〕2.4部添加し、10分間攪拌して、E6000H0.01%、ケミスタット6300H0.17%含有の組成物を作成した。次にこの溶液をケミカルマットフイルム(マット状ポリエチレンテレフタレートフィルム東洋クロス(株)TC−5002)厚み95μを用い、レバースコーターでコートし、風速0.5m/Sの乾燥機で110℃×2分乾燥させた。このようにして得られたコート層の膜厚みは0.03μであった。次にこのカバーフイルム基材の特性を評価したところ、表面固有抵抗値=1×1011Ω/cm2 、摩擦帯電圧=2〜4KVであった。さらに、摩擦したコート層の反面の帯電圧を摩擦直後に測定した所、3KVであり、また測定時人体に感ずる感電はなかった。
前記帯電防止層がコートされたカバーフィルムの反対側に、参考例3と同様な方法で、厚みが1.9μmとなるように粘着防止層を設け、ロール状の多層帯電防止性カバーフイルムを作成した。
【0041】
次に、速度3cm/分のカレンダー処理機(ロール温度80℃)を用いて、前記多層帯電防止性カバーフィルムと、参考例5と同様にして得られたロール状の支持体との間に、参考例3で得られた感光性樹脂組成物を、多層帯電防止性カバーフィルムにおける粘着防止層が感光性樹脂組成物と接するように挿入し、約1分間、カレンダー処理し、厚さ2.84mmのシートを作成し、A4サイズにそれぞれ裁断して複数の印刷原版を得た。
得られた印刷原版の最上層の表面粗さは約2.5、最下層は約0.5であり、その差は2.0であった。またそれぞれの動摩擦係数は最上層が約0.17、最下層は約0.25であり、その差は0.08であった。従って印刷原版表面は平滑で、全く波うつことはなかった。
【0042】
次に、前記印刷原版の帯電防止層がコートされたカバーフィルムを剥離して、カバーフイルム剥離帯電圧を測定したところ、カバーフイルムの上層の帯電防止コート層面は、0〜1KV、反対面のすでに粘着防止層が感光性樹脂表面に転写し、粘着防止層がないカバーフイルム面は0〜1KV、さらに感光性樹脂表面は、0〜1KVであった。次にこの版に90%網ベタネガフイルムをその上に密着して水銀灯(大日本スクリーン社製)で、照度25w/m2 、5分間露光を行った。ネガフイルムを除いた後、ホコリ、ゴミ、その他の異物等の吸着・付着個数を測定したところ、3個であった。また製版時、人体に感ずる感電は皆無であり、作業が容易であった。
次に、ブラシによる現像を行い、レリーフ(印刷版)を作成し、得られたレリーフを用いて印刷を行ったところ、印刷物にはピンホールの発生が認められなかった。
【0043】
参考例6
前記実施例1〜5および比較例1〜5による結果を下記表1および表2に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】
以上かかる構成よりなる本発明帯電防止性感光性積層体は、印刷版等の製版作業をするに当り、帯電(静電気)の発生を押え、作業場周囲に浮遊しているホコリ、ゴミ、その他異物等の感光性樹脂表面への付着を防止し、高品質の画像形成が得られる。また製版作業時、帯電(静電気)の発生は作業性を困難とし、作業者は精神的、人体的な障害を受け苦痛を供なっているが、これ等の課題も解決したものであり、印刷産業界に寄与すること大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明帯電防止性感光性積層体の一実施態様例の断面図である。
【図2】本発明帯電防止性感光性積層体の好適な一実施態様例の断面図である。
【図3】本発明の製造方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1:支持体
2:感光性樹脂層
3:帯電防止性カバーフィルム
31:カバーフィルム基材
32:帯電防止性コート層
4:粘着防止層
10:支持体
20:感光性樹脂組成物
30:帯電防止性カバーフィルム
40:帯電防止性感光性積層体
Claims (1)
- 少なくとも上層より、帯電防止性カバーフイルム、ポリビニルアルコール系の粘着防止層、感光性樹脂層および支持体を有する帯電防止性感光性積層体であって、前記帯電防止性カバーフイルムが帯電防止層およびカバーフイルムからなり、且つ前記帯電防止層がオレフィン系樹脂およびカチオン系界面活性剤を含有する組成物であることを特徴とする帯電防止性感光性積層体。
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