JP3893512B2 - 複合構造物作製装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脆性材料微粒子を含むエアロゾルを基板に吹き付け、脆性材料構造物を基板上に形成させることによって、基板と脆性材料構造物からなる複合構造物を作製する複合構造物作製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板上の膜の形成方法としては数μm以上の厚膜の場合、溶射法が一般に知られているが、その他ガスデポジション法(加集誠一郎:金属 1989年1月号)が提案されている。この方法は金属やセラミックスの超微粒子をガス攪拌にてエアロゾル化し、微小なノズルを通して加速せしめ、基材表面に超微粒子の圧粉体層を形成させ、これを加熱して焼成させることにより被膜を形成する。
【0003】
上記ガスデポジション法を改良した先行技術として微粒子ビーム堆積法あるいはエアロゾルデポジション法と呼ばれる脆性材料の膜あるいは構造物の形成方法がある。これは、脆性材料の微粒子を含むエアロゾルをノズルから高速で基板に向けて噴射し、基板に微粒子を衝突させて、その機械的衝撃力を利用して脆性材料の多結晶構造物を基板上にダイレクトに形成させる方法であり、特開平11−21677号公報、特開2000−212766号公報に開示されるものが知られている。
【0004】
特開平11−21677号公報に開示される技術は、前記した超微粒子を含むエアロゾルを搬送する際あるいはセラミックスなどを加熱蒸発させる際に、超微粒子同士が凝集して大きな粒子となるのを防止するために、中間の経路に分級装置を配置するようにしている。
【0005】
特開2000−212766号公報は、粒径が10nmから5μmの範囲にあるセラミックスなどの超微粒子をガスに分散させてエアロゾルとした後、ノズルより高速の超微粒子流として基板に向けて噴射して堆積物を形成させる。このときに超微粒子や基板に、イオン、原子、分子ビームや低温プラズマなどの高エネルギー原子などを照射して作製される構造物を強固なものとする工夫がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ガスデポジション装置やエアロゾルデポジション法を利用した複合構造物形成装置は、チャンバーなどの容器のなかにノズルと基板を配置した構造ととっており、多くの場合真空ポンプを使用してチャンバー内を減圧環境とし、ノズルより微粒子を噴射させる。
【0007】
金属の超微粒子を使って圧粉体層を形成させるガスデポジション法と異なり、脆性材料の微粒子粉体をガス中に分散させてエアロゾルとし、これをノズルより基板に向けて噴射して、基板上にダイレクトに脆性材料の構造物を形成させるエアロゾルデポジション法は、エアロゾル中の微粒子の利用効率が悪く、噴射された微粒子のうち構造物となるものは実質的に1%以下である場合が多く、従って構造物形成に関らなかったほとんどの割合を占める微粒子は衝突後のガス流に乗って装置内に飛散しチャンバー内壁に付着したり、真空ポンプに吸い込まれるなどする。
このためチャンバー内を掃除する頻度が高く、また真空ポンプへの粉体混入による機能低下の懸念があった。またチャンバー内にはXYステージなど機械装置を設置するため、この駆動部分やセンサ部分に微粒子が付着し、機能障害を引き起こすことがままあった。
真空ポンプの前段に粉体回収フィルターを設けることも可能であるが、この場合はフィルター自体により真空ポンプの吸気性能を絶対的に落としたり、またフィルターに徐々に蓄積する粉体により吸気性能が段々と劣化する問題があった。また原料となる微粒子を大量に用意しても、構造物となった一部以外はすべて廃棄物となるため、資源、コストともに大きな無駄が生じていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
まず脆性材料構造物を形成するエアロゾルデポジション法について説明する。延展性を持たない脆性材料(セラミックス)に機械的衝撃力を付加すると、結晶子同士の界面などの劈開面に沿って結晶格子のずれを生じたり、あるいは破砕される。そして、これらの現象が起こると、ずれ面や破面には、もともと内部に存在し別の原子と結合していた原子が剥き出しの状態となった新生面が形成される。この新生面の原子一層の部分は、もともと安定した原子結合状態から外力により強制的に不安定な表面状態に晒され、表面エネルギーが高い状態となる。この活性面が隣接した脆性材料表面や同じく隣接した脆性材料の新生面あるいは基板表面と接合して安定状態に移行する。外部からの連続した機械的衝撃力の付加は、この現象を継続的に発生させ、微粒子の変形、破砕などの繰り返しにより接合の進展、緻密化が行われ、脆性材料構造物が形成される。
【0009】
そして、上記機械的衝撃を搬送ガスにて脆性材料を基材に衝突させるようにした方法がエアロゾルデポジション法である。
この方法はガスデポジション法より発展してきた手法であり、脆性材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを搬送し、高速で基材表面に噴射して衝突させ、微粒子を破砕・変形せしめ、基板との界面にアンカー層を形成して接合させるとともに、破砕した断片粒子同士を接合させることにより、基材との密着性が良好で強度の大きい脆性材料構造物を基材上にダイレクトに形成させることができる。
【0010】
このエアロゾルデポジション法で使用される脆性材料構造物作製装置において、次に述べる構造を採用することで、従来抱えていた不具合を解消できた。すなわち、脆性材料微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを高速で基板に衝突させて脆性材料の構造物を作製する脆性材料構造物作製装置において、エアロゾルを高速で基板に向けて噴射するノズルと、エアロゾルと基板の衝突部位近傍に設置された基板に衝突した後に構造物の形成に与らないエアロゾルを吸入する吸引部材と、吸引部材に連結し構造物の形成に与らないエアロゾル中の脆性材料微粒子とガスを分離し脆性材料微粒子を捕捉し貯留する微粒子回収容器と、微粒子回収容器に連結し脆性材料と分離されたガスを装置外へ排出する排気装置とを有する。
ここで、衝突部位近傍とは吸引部材がこれに極力近い位置にあることを指すが、実質的には構成上の問題から好ましくは2mm以上となる。距離が大きい場合でも吸引部材の開口の最も近い部分で基板の表面からの距離が50mmを越えない程度であるにするのが好ましい。
【0011】
さらにはエアロゾルを高速で基板に向けて噴射するノズルと、エアロゾルが基板に衝突した後に構造物の形成に与らないエアロゾルを吸入する吸引部材と、吸引部材に連結し構造物の形成に与らないエアロゾル中の脆性材料微粒子とガスを分離し脆性材料微粒子を捕捉し貯留する微粒子回収容器と、微粒子回収容器に連結し脆性材料と分離されたガスを装置外へ排出する排気装置とを有し、基板に衝突したエアロゾルの整流のために基板の構造物形成表面と噴射するエアロゾルとの衝突角度を基板表面の鉛直方向から10°以上傾け、衝突後整流された流れ方向の先に吸引部材の開口部を位置させた。
【0012】
ノズルから噴出されたエアロゾルに含まれる脆性材料微粒子のうち、一部は構造物形成に与るが、大部分の微粒子は基板に衝突後反射して飛び散る。この際吸引部材を極力エアロゾルの衝突部位の近傍に据え付けて、飛散した微粒子をこの吸引部材内に導入し、その下流側に設けられた微粒子回収容器に微粒子を堆積させる。上流側であるノズルから噴出された気流と、微粒子回収容器の下流側に設置された真空ポンプなどの排気装置との間に、ガスの定常的な流れ場を形成させることにより、飛散した微粒子をこの流れに乗せて誘導させることが好適である。それには基板表面に対するエアロゾルの衝突角度すなわちノズルの角度に傾きをつけてやることでガスの流れを衝突後に基板表面に沿う方向に変向させて整流するとなおよい。その流れの先に吸引部材を設置することによりほとんどの微粒子をこれに導入することができる。このようにして吸引し、ガスと分離して回収された微粒子は再度利用することができる。チャンバー内に飛散し内壁に付着する微粒子の量は大幅に減少するため、装置の粉体除去清掃の頻度が低下する。チャンバーを減圧環境に保つための真空ポンプに微粒子が混入する不具合も解消することができる。
【0013】
さらに、本発明の脆性材料微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを高速で基板に衝突させて脆性材料の構造物を作製する脆性材料構造物作製装置の一態様としては、エアロゾルを高速で基板に向けて噴射するノズルと、エアロゾルが基板に衝突して反射した後の構造物の形成に関わらないエアロゾルの流れを変向させて吸引部材へとこのエアロゾルを導くエアロゾル誘導板と、構造物の形成に関らないエアロゾルを吸入する吸引部材と、吸引部材に連結し構造物の形成に関らないエアロゾル中の脆性材料微粒子とガスを分離し脆性材料微粒子を捕捉し貯留する微粒子回収容器と、微粒子回収容器に連結し脆性材料と分離されたガスを装置外へ排出する排気装置とを備えることを特徴とする。
【0014】
装置の構成上、基板へ衝突したのちのエアロゾルの流れの先に吸引部材を設置し難い場合には、吸引部材を許容できる位置に配置し、基板や基板の固定手段に例えば緩やかなカーブを形成してエアロゾル流を受け止めてその流れ方向を変えるエアロゾル誘導板を設置し、その方向を吸引部材の開口へと向けてやることが有効である。
【0015】
【発明の実施の態様】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。まず従来の複合構造物作製装置の構成とその作用を述べる。
図1は本発明の装置の前提となる複合構造物作製装置1を示したものであり、窒素ガスボンベ101の先にガス搬送管102を介してエアロゾル発生器103が設置され、その下流側にエアロゾル搬送管104を介して構造物形成室105内にノズル106が設置されている。エアロゾル発生器103内には脆性材料微粒子例えば酸化アルミニウム微粒子粉体が充填されている。ノズル106の開口の先には基板107が配置され、基板107はXYステージ108に固定されている。構造物形成室105は真空ポンプ109と接続されている。
【0016】
以下にエアロゾルデポジション法に基づく複合構造物作製装置1の作用を述べる。窒素ガスボンベ101を開栓し、ガスをエアロゾル発生器103内に送り込み、同時にエアロゾル発生器103を運転させて脆性材料微粒子と窒素ガスが適当比で混合されたエアロゾルを発生させる。また真空ポンプ109を稼動させ、エアロゾル発生器103と構造物形成室105の間に差圧を生じさせる。このエアロゾルをエアロゾル搬送管104を通して加速させ、ノズル106より基板107に向けて噴射する。基板107はXYステージ108により揺動され、エアロゾル衝突位置を変化させつつ、微粒子の衝突により基板107上に膜状の脆性材料構造物が形成されていく。このとき構造物形成に与る脆性材料微粒子は少なく、残りの脆性材料微粒子は窒素ガスの流れとともに構造物形成室105内に飛散する。エアロゾルの衝突角度と基板表面の角度が鉛直の場合は、衝突後のガスの流れは四方に拡散するため、微粒子の飛散方向はランダムであった。そしてその一部は構造物形成室105の内壁に付着し、一部はガス流とともに真空ポンプ109へ吸い込まれる。ノズルから噴射された脆性材料微粒子の量と、形成された脆性材料構造物の量からその重量比を算出した結果、99%以上の微粒子が構造物形成に寄与していないことがわかった。これらの微粒子は構造物形成室105や真空ポンプ109を掃除をすることによりある程度回収することは可能であるが、この際形成室内壁の摩耗粉などコンタミネーションが混入するため再利用は困難である。
【0017】
次に本発明に係る実施の態様を述べる。
図2は本発明の一態様としての複合構造物作製装置2を示したものであり、窒素ガスボンベ201の先にガス搬送管202を介してエアロゾル発生器203が設置され、その下流側にエアロゾル搬送管204を介して構造物形成室205内にノズル206が設置されている。エアロゾル発生器203内には脆性材料微粒子例えば酸化アルミニウム微粒子粉体が充填されている。ノズル206の先には基板207がXYステージ208に固定されて配置される。ノズル206の先端から基板207までの距離は10mmである。
構造物形成室205は真空ポンプ209と接続されている。ノズル206を取り囲むように中空状で縦横60mmの開口を基板方向に向けた吸引部材としての吸引筒211が配置され、配管212を介して微粒子回収容器213が設置され、さらに下流側に真空ポンプ214が設置される。基板207上のエアロゾル衝突位置から吸引筒211の開口までの最短距離は10mm程度である。
【0018】
以下にエアロゾルデポジション法に基づく複合構造物作製装置2の作用を述べる。
窒素ガスボンベ201を開栓し、ガスをエアロゾル発生器203内に送り込み、同時にエアロゾル発生器203を運転させて脆性材料微粒子と窒素ガスが適当比で混合されたエアロゾルを発生させる。また真空ポンプ209および214を稼動させ、エアロゾル発生器203と構造物形成室205の間に差圧を生じさせる。
このエアロゾルをエアロゾル搬送管204を通して加速させ、ノズル206より基板207に向けて噴射する。
基板207はXYステージ208により揺動され、エアロゾル衝突位置を変化させつつ、微粒子の衝突により基板207上に膜状の脆性材料構造物が形成されていく。
このとき多くの微粒子は構造物形成に与らず、基板に衝突後四方に跳ね返り飛行するが、これをエアロゾル衝突位置の近傍に設けた吸引筒211で受け、構造物形成室205内に飛散する微粒子の量を抑える。
吸引されたエアロゾル粒は搬送管212を通って粉体回収容器213内に導入されて、窒素ガスと脆性材料微粒子とが分離され、ガスは真空ポンプ214に吸引されるとともに、脆性材料微粒子が微粒子回収容器213内に蓄積される。
真空ポンプ209は構造物形成室205の内気圧全体を一定レベルに下げる役割を果たし、真空ポンプ214はエアロゾルの流れを吸引筒211方向へ誘導し整流する役割を果たしている。この機構を備えることにより、構造物形成室205内で散逸する脆性材料微粒子の量を大幅に減少させることが可能となり、従ってXYステージ208の機構部へ脆性材料微粒子が付着してリミッタなどの異常動作を引き起こすなどの故障を大幅に減少させ、また形成室内壁の掃除の頻度が低下した。また真空ポンプ209へ流入する脆性材料微粒子が減少したため、ポンプの機能が使用時間とともに劣化して、構造物形成室205内の真空度が徐々に上昇するという不具合が解消された。構造物形成室205内の真空度は形成される構造物の機械的特性や電気的特性に影響を与える大きな要因であるため、この不具合解消は構造物の品質の安定に寄与する。
【0019】
基板207と吸引筒211の開口部との距離は短いほど粉体の回収率は高まる。また基板207表面が平面であるなら吸引筒211の開口の面積は基板207表面の面積より小さい方が好ましい。
【0020】
ここで微粒子回収容器213は、固気分離の際にしばしば利用されるサイクロンを用いても良いし、細孔フィルターを用いても良いし、衝突板にエアロゾルを衝突させて板状に微粒子を堆積させることにより固気を分離させても良いし、静電気により微粒子を回収しても良い、他にもガス中で超音波を作用させて微粒子を凝集させてから重力分級させる方法も有用である。
これらの手段で回収した微粒子は再度エアロゾル発生器に戻して利用することが可能であり、資源の有効活用ができる。
【0021】
図3は本発明の一態様としての複合構造物作製装置3を示したものであり、窒素ガスボンベ301の先にガス搬送管302を介してエアロゾル発生器303が設置され、その下流側にエアロゾル搬送管304を介して構造物形成室305内にノズル306が設置されている。
エアロゾル発生器303内には脆性材料微粒子例えば酸化アルミニウム微粒子粉体が充填されている。ノズル306の先には基板307が、エアロゾルが衝突する表面からの鉛直線がノズル306から噴出するエアロゾル流の流線に対して30°傾斜した状態で配置される。
ノズル306の開口から基板307のエアロゾル衝突部までの距離は10mmである。基板307はXYステージ309に固定されている。また基板307にはエアロゾル誘導板308が設置されている。構造物形成室305は真空ポンプ310と接続されている。ノズル306と基板307の近傍、図2に示されるような位置にエアロゾルを吸引する吸引筒311が配置される。基板307のエアロゾル衝突部から吸引筒311の開口までの最短距離は40mmほどである。
配管312を介して微粒子回収容器313が設置され、さらに下流側に真空ポンプ314が設置される。
【0022】
以下にエアロゾルデポジション法に基づく複合構造物作製装置3の作用を述べる。エアロゾル発生から衝突までの作用は複合構造物作製装置2に準じるため省略する。図4は構造物形成時のエアロゾルの流れを示した断面模式図である。
ノズル306より噴射されたエアロゾルは基板に斜めに衝突するため構造物形成に関らなかった脆性材料微粒子を含むエアロゾル流は衝突後基板に沿って図4の矢印で示されるように右側に方向を向ける。さらにエアロゾル流はエアロゾル誘導板308に従って方向を下向きに変え、吸引筒311に吸い込まれていく。
【0023】
図5は本発明の一態様としての複合構造物作製装置4を示したものであり、窒素ガスボンベ401の先にガス搬送管402を介してエアロゾル発生器403が設置され、その下流側にエアロゾル搬送管404を介して構造物形成室405内にノズル406が設置されている。
エアロゾル発生器403内には脆性材料微粒子例えば酸化アルミニウム微粒子粉体が充填されている。ノズル406の先には基板407が、エアロゾルが衝突する表面からの鉛直線がノズル406から噴出するエアロゾル流の流線に対して30°傾斜した状態で配置される。
ノズル406の開口から基板407のエアロゾル衝突部までの距離は10mmである。基板407はXYステージ408に固定されている。構造物形成室405は真空ポンプ409と接続されている。また図4に示す位置に開口が縦20mm、横30mmでエアロゾルを吸引する吸引筒410が配置される。配管411を介して微粒子回収容器412が設置され、さらに下流側に真空ポンプ413が設置される。
【0024】
以下にエアロゾルデポジション法に基づく複合構造物作製装置4の作用を述べる。エアロゾル発生から衝突までの作用は複合構造物作製装置2に準じるため省略する。
ノズル406より噴射されたエアロゾルは基板に斜めに衝突するため構造物形成に関らなかった脆性材料微粒子を含むエアロゾル流は衝突後基板に沿って図5の矢印で示されるように右側に方向を向ける。そしてその先に設置してある吸引筒410へと導入され、配管411を通って微粒子回収容器412へと導かれる。
この構成の場合、構造物形成に関らなかった脆性材料微粒子が吸引筒410に導入される割合は、基板407表面のエアロゾル衝突部位から比較的遠い距離として30cmの位置に吸引筒410の開口を置いた場合でも50%程度であり、ノズル406、基板407、吸引筒410の形状と位置関係を最適化することにより80%以上の導入が確認された。
勿論吸引筒410は基板407表面のエアロゾル衝突部位に近い方が良いが、実際には基板407は揺動しているため、基板407と吸引筒410の衝突を回避するためにそれに見合った距離を置く必要がある。また配管411を可撓性のものとし、吸引筒410を基板407の端に固定するということも考えられる。
【0025】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、エアロゾルデポジション法による脆性材料構造物形成において、従来利用効率が著しく低いゆえに廃棄されていた脆性材料微粒子を構造物形成室内に散逸させることなく回収し、再利用を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の複合構造物作製装置1を示す模式図
【図2】本発明の一態様である複合構造物作製装置2を示す模式図
【図3】本発明の一態様である複合構造物作製装置3を示す模式図
【図4】本発明の一態様である複合構造物作製装置3の基板近傍のエアロゾルの流れを示す断面模式図
【図5】本発明の一態様である複合構造物作製装置4を示す模式図
【符号の簡単な説明】
1…複合構造物作製装置
101…窒素ガスボンベ
102…ガス搬送管
103…アロゾル発生器
104…エアロゾル搬送管
105…構造物形成室
106…ノズル
107…基板
108…XYステージ
109…真空ポンプ
2…複合構造物作製装置
201…窒素ガスボンベ
202…ガス搬送管
203…アロゾル発生器
204…エアロゾル搬送管
205…構造物形成室
206…ノズル
207…基板
208…XYステージ
209…真空ポンプ
211…吸引筒
212…配管
213…微粒子回収容器
214…真空ポンプ
3…複合構造物作製装置
301…窒素ガスボンベ
302…ガス搬送管
303…アロゾル発生器
304…エアロゾル搬送管
305…構造物形成室
306…ノズル
307…基板
308…エアロゾル誘導板
309…XYステージ
310…真空ポンプ
311…吸引筒
312…配管
313…微粒子回収容器
314…真空ポンプ
4…複合構造物作製装置
401…窒素ガスボンベ
402…ガス搬送管
403…アロゾル発生器
404…エアロゾル搬送管
405…構造物形成室
406…ノズル
407…基板
408…XYステージ
409…真空ポンプ
410…吸引筒
411…配管
412…微粒子回収容器

Claims (2)

  1. 脆性材料微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを高速で基板に衝突させて脆性材料の構造物を作製する脆性材料構造物作製装置において、前記エアロゾルを高速で前記基板に向けて噴射するノズルと、前記エアロゾルが前記基板に衝突した後に前記構造物の形成に関らないエアロゾルを吸入する吸引部材と、前記吸引部材に連結し前記構造物の形成に関らないエアロゾル中の脆性材料微粒子とガスを分離し前記脆性材料微粒子を捕捉し貯留する微粒子回収容器と、前記微粒子回収容器に連結し前記脆性材料と分離されたガスを装置外へ排出する排気装置とを有し、前記基板に衝突したエアロゾルの整流のために前記基板の構造物形成表面と噴射するエアロゾルとの衝突角度を前記基板表面の鉛直方向から10°以上傾け、衝突後整流されたエアロゾルの流れ方向の先に前記吸引部材の開口部を位置させることを特徴とする複合構造物作製装置。
  2. 脆性材料微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを高速で基板に衝突させて脆性材料の構造物を作製する脆性材料構造物作製装置において、前記エアロゾルを高速で前記基板に向けて噴射するノズルと、前記エアロゾルが前記基板に衝突して反射した後の前記構造物の形成に関わらないエアロゾルを吸入する吸引部材と、前記構造物の形成に関わらないエアロゾルの流れを変向させて前記吸引部材のところへエアロゾルを導くエアロゾル誘導板と、前記吸引部材に連結し前記構造物の形成に関らないエアロゾル中の脆性材料微粒子とガスを分離し前記脆性材料微粒子を捕捉し貯留する微粒子回収容器と、前記微粒子回収容器に連結し前記脆性材料と分離されたガスを装置外へ排出する排気装置とを備えることを特徴とする複合構造物作製装置。
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