JP3893481B2 - 両面描画用シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、両面描画用シートに関するものであって、このシートはインクジェットプリンターによる印刷を施して、屋内外におけるコマーシャル(宣伝広告)又はディスプレイなどに有用なものである。より詳しく述べるならば、本発明の両面描画用シートは、繊維布帛、または繊維布帛を樹脂被覆した加工膜材などを印刷基材として用い、その両面にインクジェットプリントを施して屋内外で使用され、表裏の描画が互いに裏映りすることのなく、軽量、かつ、柔軟性に優れた印刷用のクロス調シート或は繊維複合シート(ターポリン、メッシュ)であって、さらには防炎性を有し、燃やしても有毒ガス(ハロゲン化水素)を発生させる心配のない印刷用のクロス調シート、及び繊維複合シート(ターポリン、メッシュ)を包含する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、産業資材シートにスクリーン印刷やグラビア印刷を施したものが、店舗の軒出しテント、建築現場の養生シート、懸垂幕、横断幕などに使用されてきた。最近のインクジェットプリント技術の発達に伴い、屋内外で使用されるコマーシャルメディアの多様化が進んでいる。その理由として、従来のスクリーン印刷やグラビア印刷では、その印刷には多ロット印刷を前提とし、高価な製版が不可欠なだけでなく、熟練技術を必要とするため、専門業者による印刷が行われていたが、これに対して、インクジェットプリントではデジタルカメラやパーソナルコンピューターなどに取り込んだデジタル画像データを即時インクジェットプリンターを用いて必要量だけ出力メディアに精密画像プリントができるという手軽さが挙げられる。また、このインクジェットプリントは納期のスピードアップ化が可能であり、さらに、デザインや文字などの変更にも1枚ごとに対応できるというメリットがある。このため、昨今では、特に商業的コマーシャルに広く普及し、例えば、新商品(家電、雑誌、新譜、食品、メニューなど)、イベント、キャンペーン、バーゲンセールなど、次々と繰り出される商品や企画の告知・宣伝などに使用され、今や広告・宣伝業界にとって不可欠な印刷手段となっている。
【0003】
インクジェットプリントメディアの素材には、紙、フィルム、布、繊維複合樹脂シートなど様々で、これらはユーザーの利用形態、使用環境、使用期間、外見品位、アイキャッチ性などの要因を考慮して選択される。特に、ポリエステル繊維織物を基布として、この両面を、軟質ポリ塩化ビニル樹脂で表面被覆したシート及びメッシュなどの産業資材シートは、強度、耐久性、防炎性などの性能に優れているため、そのプリント物は、主に店舗の軒出しテント、建築現場の養生シート、内照式看板などの施工物用途に使用されている。また、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、綿、絹などの繊維布帛にプリント描画したものは、主にコンビニエンスストア、ファミリーレストラン、ガソリンスタンドなどの店頭先に並べられる旗や幟、あるいは百貨店、大型小売店、警察署、消防署、市役所などの屋上から垂れ下げられる懸垂幕などに使用され、これらは風に靡く特性や、風によるはためき音が小さいことがその用途に適した特長として挙げられる。また、特に光沢織物(防炎加工なし)へのプリント描画物は、ハンカチ、スカーフ、ネクタイ、シャツなどの衣料品分野に適して用いられている。
【0004】
上記産業資材シートや、繊維布帛へのプリントは通常片面だけに施されるが、この時、プリント描画が裏面に裏映りしたり、裏面に描画の陰影が浮き出たりすることはプリント画像の見栄え上好ましいことではない。また、屋内(駅、展示会場)の天井からの吊り下げ用途に対しては、アピールの対象が両面となるため、必然的に両面プリントの需要が発生する。しかし、1枚の産業資材シート、あるいは1枚の繊維布帛に対して施した両面プリントでは反対面のプリント描画が表面に透けて描画、または描画の陰影などが重なり合って見苦しいものとなる。そこで、1).2枚の片面プリント膜体を作製し、非プリント面同士を背中合わせに重ねて縫製して一体化したもの、及び2).予め2枚の繊維布帛を、黒色フィルムや黒べた印刷などを中間に介在させて接着して積層した両面プリント用膜体などが提案されている。前記2).の膜体は確かにプリント描画の裏映りを防止する効果に優れるが、印刷面の色相が下地の黒色フィルムや黒べた印刷の影響を受けて黒ずんでしまい、印刷描画の白の鮮明さが失われる欠点がある。さらに、3).また繊維布帛の生地厚を相当に厚くすることによってプリント描画の裏映りを回避し、かつクロス感を維持することも可能であるが、しかし、上記1)〜3).の繊維布帛では消防法の定める防炎性能(消防法施工規則第4条:JIS L−1091)を得ることが困難であるため、不特定多数の人間が往来する場所における大型ディスプレイに用いることはできなかった。
【0005】
そこで、これらの防炎性を必要とするディスプレイ用途には、軟質ポリ塩化ビニル樹脂で繊維布帛を樹脂被覆した産業資材シート(帆布、ターポリン、メッシュ)が、元来、消防法施工規則第4条(JIS L−1091)に適合した設計であることから、特にターポリン、メッシュなどが、プリントメディアとして重宝されている。特に両面プリントの要求に対しては、1).繊維布帛を黒染めして、この両面に着色軟質ポリ塩化ビニル樹脂を被覆する設計のターポリン、及びメッシュ、及び2).繊維布帛に黒色フィルム、または、アルニウム粉末を練り込んだ暗灰色のフィルムを中間層として設け、この基材の両面に着色軟質ポリ塩化ビニル樹脂を被覆する設計のターポリン、などが使用されている。しかし、これらは何れも黒染め、あるいは黒色(暗灰色)中間層の色が表面被覆層の色相をくすませるため、被覆層フィルムをより肉厚化する必要があり、薄手のターポリンを得ることが困難であった。
【0006】
また、広告・宣伝業界では、それに係わるメディアが多様化している分、総合的に広告メディアの消費量が膨大であると同時に、これらメディアのライフサイクルが1週間から3ヶ月と短期間であるため、廃棄量が圧倒的に多く、現在これらの廃棄処理の問題を抱えているのが実情である。例えば、プリント描画したターポリン、メッシュのディスプレイ物を廃棄する場合、これらは、そのまま産業廃棄物として排出され、専門業者によって埋め立て処理されている。しかし、最近では、国内の産業廃棄物処理場が不足傾向となっているだけでなく、埋め立てたプラスチック全般の製品廃棄物が土中に残留することによる環境負荷の心配と、プラスチック全般に添加された化学物質による生態系汚染の懸念が論議されている。一方、塩化ビニル樹脂製品の焼却処理は、燃焼時に発生する塩化水素ガス(または塩化水素ガスと水蒸気との混和から生成する塩酸)が焼却炉を腐蝕する問題と、さらには焼却時に有毒なダイオキシン類を発生する可能性が社会的に危惧されているため、ダイオキシン対策の設備を備えた焼却炉以外では焼却が規制されているのが実情である。
【0007】
従って、表裏の描画が互いに裏映りすることなく両面プリントが可能で、軽量、かつ、柔軟性に優れた印刷(インクジェットプリント)用のクロス調シートで、さらに防炎性を有し、燃やしても有毒ガス(ハロゲン化水素)を発生させる心配のない両面描画用シートが望まれていた。また、表裏の描画が互いに裏映りすることなく両面プリントが可能で、軽量、かつ、柔軟性に優れた印刷(インクジェットプリント)用の産業資材シート(ターポリン)で、さらに防炎性を有し、燃やしても有毒ガス(ハロゲン化水素)を発生させる心配のない両面描画が可能なシートが望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題であった繊維布帛メディアにおける印刷、例えばインクジェット両面プリント時の表裏描画の裏映り問題を、従来の繊維布帛の黒染め、また黒色(暗灰色)フィルム中間層などの手段に頼ることなく解決し、軽量、かつ、柔軟性の、インクジェットプリントに適したクロス調シート、さらに防炎性を有し、燃やしても有毒ガス(ハロゲン化水素)を発生させる心配のない両面描画用シートを提供しようとするものである。さらに本発明は、軽量、かつ、柔軟性の、インクジェットプリントに適した産業資材シート(メッシュ、ターポリン)で、さらに防炎性を有し、燃やしても有毒ガス(ハロゲン化水素)を発生させる心配のない両面描画に適したシートを提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべく研究、検討を重ねた結果、1).特定のセラミック物質を含有、または担持した熱可塑性樹脂繊維から形成された繊維布帛の両面に、特定の白色度を有する熱可塑性樹脂塗膜層(特定のハロゲン非含有難燃性付与剤を特定量含有することもできる)を形成した積層体の光透過率を特定範囲内に設定することによって、表裏描画の裏映りのなく、軽量、かつ、柔軟性の両面描画に適したクロス調シートが得られ、2).さらに、特定のセラミック物質を含有、または担持した熱可塑性樹脂繊維からなる繊維布帛の両面に、特定の白色度を有する熱可塑性樹脂被覆層(特定のハロゲン非含有難燃性付与剤を特定量含有することもできる)を形成して、さらにその両表面上に特定の白色度を有する熱可塑性樹脂塗膜層(特定のハロゲン非含有難燃性付与剤を特定量含有することもできる)、または無色透明の熱可塑性樹脂塗膜層を形成した積層体の光透過率を特定範囲内に設定することによって、表裏描画の裏映りのなく、軽量、かつ、柔軟性の両面描画に適した産業資材シート(ターポリン)が得られることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明の両面描画用シートは、熱可塑性樹脂を紡糸原料として含む繊維により形成された繊維布帛からなる基布と、この基布の表裏両面上に形成され、かつ熱可塑性樹脂を含む表・裏両面塗膜層とを含み、
前記基布用繊維がそれを形成する前記熱可塑性樹脂の質量に対し、0.1〜20質量%の、前記熱可塑性樹脂中に含まれているか、或は、繊維表面上に担持されているセラミック物質を含み、
前記表・裏両面熱可塑性樹脂塗膜層が、それぞれ互に独立に、85〜100のハンター白色度W値(JIS P 8123)を有することを特徴とするものである。
本発明の両面描画シートにおいて、前記基布の表裏面と、その上に形成されている前記表裏両面熱可塑性樹脂塗膜層との間に85〜100のハンター白色度W値を有する、又は、無色透明な熱可塑性樹脂被覆層がさらに形成されていてもよい。
本発明の両面描画シートにおいて、前記セラミック物質が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及び、窒化ホウ素から選ばれた1種以上の白色微粒子を含むことが好ましい。
本発明の両面描画シートにおいて、前記基布用繊維布帛が、マルチフィラメント糸条、モノフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、スプリット糸条、及び、テープ糸条から選ばれた1種以上により構成されていることが好ましい。
本発明の両面描画シートにおいて、前記基布用熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、アクリル、ポリビニルアルコール、レーヨン、アセテート、及び、これらの変性体から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明の両面描画シートにおいて、前記基布用繊維布帛が、前記セラミック物質が練り込まれている熱可塑性樹脂を溶融紡糸して形成された繊維、または、前記セラミック物質が分散含有されている熱可塑性樹脂溶液を乾式又は湿式紡糸して形成された繊維、あるいは、前記セラミック物質で表面被覆された繊維から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明の両面描画シートにおいて、前記表裏両面熱可塑性樹脂塗膜層が、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン系共重合体樹脂、及び、ポリビニルアルコール樹脂から選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂を含有する溶液の塗工/乾燥によって形成されたものであることが好ましい。
本発明の両面描画シートにおいて、前記表裏両面熱可塑性樹脂塗膜層が、その熱可塑性樹脂の質量に対して10〜60質量%の白色微粒子を含むことが好ましい。
本発明の両面描画シートにおいて、前記表裏両面熱可塑性樹脂塗膜層が、熱可塑性樹脂の質量に対して10〜100質量%のハロゲン非含有難燃性付与剤を含むことが好ましい。
本発明の両面描画シートにおいて、前記表裏両面熱可塑性樹脂被覆層が、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びスチレン系樹脂から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明の両面描画シートにおいて、前記熱可塑性樹脂被覆層が、それを形成する前記熱可塑性樹脂の質量に対して10〜100質量%のハロゲン非含有難燃性付与剤を含むことが好ましい。
本発明の両面描画シートにおいて、前記ハロゲン非含有難燃性付与剤が、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属硫酸塩化合物、ホウ酸化合物、無機系化合物複合体、金属リン酸塩、金属有機リン酸塩、リン酸誘導体、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム誘導体化合物、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及び、これらの誘導体化合物から選ばれた1種以上を含むものであることが好ましい。
本発明の両面描画シートは、0〜5%の光透過率(JIS L−1055A法準拠)を有することが好ましい。
本発明の両面描画シートにおいて、前記表裏両面に、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、及び、インクジェット印刷から選ばれたいずれかの印刷法による描画が施されている、表裏の描画が互いに裏映りしないことが好ましい。
本発明の両面描画シートにおいて、前記インクジェット印刷が、水性インク、溶剤系インク、及び、油性インクから選ばれたいずれかを用いて施されていることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の両面描画用シートは、1).熱可塑性樹脂紡糸原料に対しセラミック物質を0.1〜20質量%含有するか、又は繊維表面上に担持した熱可塑性樹脂繊維から形成された繊維布帛からなる基布の両面に、ハンター白色度W値85〜100を有する熱可塑性樹脂塗膜層(ハロゲン非含有難燃性付与剤を含有することもできる)を形成した積層体(その光透過率を0〜5%であることが好ましい。)、2).また、熱可塑性樹脂紡糸原料に対しセラミック物質を0.1〜20質量%含有するか、または繊維表面上に担持した熱可塑性樹脂繊維から形成された編織繊維布帛からなる基布両面に、ハンター白色度W値85〜100を有する熱可塑性樹脂被覆層(ハロゲン非含有難燃性付与剤を含有することもできる)を形成して、さらにその両表面上に、ハンター白色度W値85〜100を有する熱可塑性樹脂塗膜層(ハロゲン非含有難燃性付与剤を含有することもできる)、または無色透明の熱可塑性樹脂塗膜層を形成した積層体(その光透過率は0〜5%であることが好ましい。)を包含する。
【0012】
本発明の両面描画シートの基布は、セラミック物質を含む熱可塑性樹脂繊維から形成された編織物である。熱可塑性樹脂繊維にセラミック物質を含ませる方法としては、1).公知の繊維の紡糸工程において、繊維を構成する熱可塑性樹脂中にセラミック物質を均一に練り込んだ樹脂溶融物を紡糸原液として用いて溶融紡糸する方法、2).公知の繊維の紡糸工程において、繊維を構成する熱可塑性樹脂を溶解して含む樹脂溶液中にセラミック物質を均一に分散させた樹脂溶液を紡糸原液として用いて乾式又は湿式紡糸する方法、3).繊維の紡糸後、または繊維布帛の編織後に、繊維の表面にセラミック物質をバインダー物質とともに付着させて被覆する方法などによって得ることができる。
【0013】
本発明に用いる基布用繊維布帛を形成する熱可塑性樹脂繊維としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、アクリル、ポリビニルアルコール、レーヨン、アセテート及び、これらの変性体から選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂を紡糸原料として製造されたものが好ましく、これらの1種以上からなる糸条はマルチフィラメント糸条、モノフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、スプリット糸条、及び、テープ糸条の何れの形態であってもよいが、本発明においては、特にマルチフィラメント糸条、または短繊維紡績糸条を用いることが、得られるシートのファブリック調外観の観点上好ましい。
【0014】
1).セラミック物質を含むマルチフィラメント糸条、モノフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、スプリット糸条、及び、テープ糸条の紡糸法としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、アクリルなどの熱可塑性樹脂紡糸原料に対し、後述のセラミック物質を0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%配合したコンパウンドを溶融温度(融点)以上の温度に加熱して流動性の粘重な溶融液化し、これを特定の口径の細孔を有する紡糸口金を通過させて空気、窒素、水などの不活性冷却媒体中に押出して引き取り、急激に冷却固化させて長繊維紡糸原糸とする従来公知の溶融紡糸法及び設備を用いて製造する方法が挙げられる。
【0015】
このうちセラミック物質を含むマルチフィラメント糸条は、上記長繊維紡糸束(トウ)を80〜100℃の加熱延伸、または常温近傍の冷延伸によって3.0〜5.0倍に延伸し、繊維のミクロ構造を配列、結晶化させて繊維の強度を高めることが好ましい。この延伸工程は紡糸工程に組み込まれていてもよく、また、延伸工程と撚糸工程が同時に行われていてもよい。更に必要に応じて熱処理2段延伸がされていてもよい。このフィラメント単繊維の太さは1〜11dtexのものが好ましい。本発明に使用するマルチフィラメント糸条としてはフィラメント数10〜1667の、111〜1667dtex、特に278〜1111dtexのマルチフィラメント糸条が好ましい。基布を構成するマルチフィラメント糸条が111dtex未満では糸条径が細くなりすぎ、両面プリント時に互いのプリント描画が裏映りすることがある。またそれが1667dtexを超えると、プリント描画時の裏映りを防止する効果をより向上させることができるが、糸条径が太くなる分、得られるシートの表面に凹凸を増し、プリント描画性に必要な平滑性を得ることが困難となる。また、セラミック物質を含むモノフィラメント糸条としては、上記フィラメント単繊維の太さが111〜1111dtexのものを用いることが好ましい。
【0016】
また、セラミック物質を含む短繊維紡績糸条は、上記マルチフィラメント糸条と同様の紡糸工程中間で得られたフィラメント単繊維太さが1〜12dtexの長繊維紡糸束(トウ)を2〜6cmの長さに切断して得られるステープルを開繊し、ダブリングドラフトを掛けながら練条し、得られたスライバを引き伸ばして繊維平行度を一定に揃えてロービング(粗糸)として、これに所定の番手太さにドラフトと撚りを掛けてトウ紡績したものが使用できる。撚糸は、単糸または2本以上の単糸を引き揃えてS(右)撚もしくはZ(左)撚によって加撚した片撚糸、単糸または2本以上の単糸を引き揃えて下撚りした加撚糸を2本以上引き揃えて上撚りを掛けた諸撚糸、強撚糸などが挙げられる。これらの撚糸の撚り回数は片撚糸、諸撚糸の普通撚糸で500〜2000回/m、強撚糸で2000回以上/mであることが好ましい。
【0017】
また、セラミック物質を含むテープ糸条としては、上記熱可塑性樹脂紡糸原料(特にポリプロピレン、ポリエチレン)をT−ダイ押出機で押し出して得られた50〜300μm厚のフィルムを、2〜50mm幅で流れ方向にスリットし、これを1軸延伸して得られる1〜30mm幅の扁平繊維からなる糸条(フラットヤーン)であり、また、セラミック物質を含むスプリット糸条としては、これらの1軸延伸フラットヤーンを針刃ロールでさらに割裂して機械的にマルチフィラメント化したものである。
【0018】
2).セラミック物質を含むマルチフィラメント糸条、モノフィラメント糸条、及び、短繊維紡績糸条の紡糸法としては、ポリビニルアルコール、レーヨン、アセテートなどの熱可塑性樹脂紡糸原料を溶解して含む樹脂溶液中に後述のセラミック物質を0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%均一に分散させた樹脂溶液を紡糸原液として用いて長繊維紡糸原糸とする従来公知の乾式、または湿式紡糸法及び設備を用いて製造する方法が挙げられる。特に変性ポリビニルアルコール糸条(マルチフィラメント糸条、短繊維紡績糸条)の製造に関しては、重合度1200〜1900のポリビニルアルコール樹脂を酢酸ナトリウムと共に水に加熱溶解したものを紡糸原液として、これにセラミック物質を均一に分散したものを、ボウ硝水溶液、硫酸アンモニウム水溶液、リン酸ナトリウム水溶液などの塩類水溶液、及び水酸化ナトリウム水溶液を凝固浴として凝固浴槽中に湿式紡糸して、得られた紡糸原糸を空気中延伸、または湿熱延伸に掛けた後、熱処理して紡糸原糸を得、次にホルムアルデヒドでアセタール化したものが好ましい。またセラミック物質含有レーヨン糸条としてはザントゲン化セルロース中にセラミック物質を均一に分散したものを紡糸原料として、湿式紡糸して得られるビスコースレーヨン、ポリノジック、及び、銅アンモニア溶液に可溶化させたセルロース溶液中にセラミック物質を均一に分散したものを紡糸原料として、湿式紡糸して得られるキュプラなどが挙げられる。また、セラミック物質含有アセテート糸条としては、セルロースをアセトン、または塩化メチレンを溶媒として硫酸触媒の存在下で無水酢酸処理したものを紡糸原料に用いこれにセラミック物質を分散して乾式紡糸して得られる酸化度45%以上の酢酸セルロース、酸化度59.5%以上のトリアセテートが挙げられる。これらのセラミック物質を含むマルチフィラメント糸条、モノフィラメント糸条、及び、短繊維紡績糸条の繊度は、上述に説明した1).のマルチフィラメント糸条、モノフィラメント糸条、及び、短繊維紡績糸条と同一の範囲内である。
【0019】
3).繊維の紡糸後、または繊維布帛の編織後に、繊維または繊維布帛の表面にセラミック物質をバインダー物質との併用で付着させて被覆する方法としては、例えば、バインダー樹脂を溶解して含む樹脂溶液中、あるいはバインダー樹脂分散水溶液(エマルジョン、またはディスパージョン)中に後述のセラミック物質を0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%均一分散した樹脂溶液を基布用編織物に公知のコーティング方法により塗布して乾燥させること、あるいは上記セラミック物質を含有するバインダー樹脂溶液中に繊維または繊維布帛を公知のディッピィング法で浸漬したものを乾燥させることによって得ることができる。
【0020】
本発明に使用できるバインダー樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)系共重合体樹脂、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、及びこれらの変性体、共重合体などであり、これらは2種以上を併用することもできる。セラミック物質を含有するバインダー樹脂の被覆率としては、繊維または繊維布帛に対して4〜40質量%、特に6〜30質量%であることが好ましい。被覆率が4質量%未満だと、得られるシートへの両面描画時に互いの描画が裏映りすることがあり、また、被覆率が40質量%を越えると、得られるシートの風合いが硬くなることがある。
【0021】
本発明に用いるセラミック物質は、具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及び、窒化ホウ素から選ばれた1種以上の白色微粒子であることが好ましい。その平均粒子径は1μm以下、好ましくは0.05〜0.6μmの範囲内にあることがより好ましい。平均粒子径が1μmを越えると、前記1)及び2)に記述したセラミック物質を含有する繊維の紡糸が困難となる。中でも特に酸化チタンは隠蔽力に優れ本発明に好ましい。酸化チタンとしては、チタン鉱石を硫酸と反応させて硫酸チタニルとし、これを加水分解して得た含水酸化チタンを焼成して得られるルチル型酸化チタン、及びアナタース型酸化チタン、またはチタン鉱石を還元剤と共に塩素を反応させ、得られた四塩化チタンを酸素と反応させて得られるルチル型酸化チタンなどが挙げられる。本発明に使用する酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタンを使用することが耐候性の観点上好ましく、平均粒子径は0.05〜0.6μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.35μmであって、このような酸化チタンが隠蔽性に優れ適している。
【0022】
本発明に用いる繊維布帛としては、織布、編布、不織布などの何れの形態でも使用できるが、特に強度、引裂強度の観点から織布、又は編布を用いることが好ましい。織布としては、例えば、平織物(経糸と緯糸とも最少2本ずつ用いた最小構成単位を有する)、綾織物(経糸と緯糸とも最少3本ずつ用いた最小構成単位を有する:3枚斜文、4枚斜文、5枚斜文、6枚斜文、8枚斜文など)、朱子織物(経糸と緯糸とも最少5本ずつ用いた最小構成単位を有する:2飛び、3飛び、4飛び、5飛びなどの正則朱子)などが使用できる。その他、拡大法、交換法、配列法、配置法、添糸法、削糸法などによって得られるこれらの変化平織物、変化綾織物、変化朱子織物など、さらに蜂巣織物、梨子地織物、破れ斜文織物、昼夜朱子織物、もじり織物(紗織物、絽織物)、縫取織物、二重織物などが挙げられるが、特に平織物が縦緯物性バランスに優れ好ましい。
【0023】
基布用編布としてはラッセル編物が引裂強度に優れ好ましい。また、不織布としては、スパンボンド法あるいはメルトブローン法によって製造されたウエブをケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、サーマルボンド法などの何れかの方法により接着して製造された不織布が使用できる。上記繊維布帛の目付量に特に制限はないが、50〜400g/m2 好ましくは100〜300g/m2 の繊維布帛が本発明に適している。これらの繊維布帛(織布、編布)の製織は、シャットル織機、シャットルレス織機(レピア方式、グリッパ方式、ウオータージェット方式、エアジェット方式)などの従来公知の織機を用いて製織することができる。上記の繊維布帛には公知の繊維処理加工、例えば、精練処理、漂白処理、染色処理、柔軟化処理、撥水処理、防水処理、防カビ処理、防炎処理、毛焼き処理、カレンダー処理、及びバインダー樹脂処理などの処理加工を施して使用することもできる。
【0024】
本発明において基布として使用する繊維布帛としては、短繊維紡績織布(スパン)、またはマルチフィラメント糸条からなるフィラメント織布であることが好ましく、短繊維紡績織布に用いる糸条の番手としては591dtex(10番手)〜97dtex(60番手)の範囲のもの、特に591dtex(10番手)、422dtex(14番手)、370dtex(16番手)、295dtex(20番手)、246dtex(24番手)、197dtex(30番手)などの短繊維紡績糸条が好ましく使用できる。短繊維紡績糸条の太さが97dtex(60番手)よりも細いと、得られるシートに両面描画した際に互いの描画が裏映りすることがあり、また591dtex(10番手)よりも太いと、得られるシートの表面に凹凸を増し、プリント描画性に必要な平滑性を得ることが困難となる。
【0025】
これらの短繊維紡績糸条は、単糸及び、双糸、さらには単糸3本以上の撚糸、またはこれらの2本合糸、あるいは2本合撚糸などの糸条を経糸及び緯糸として1インチ間に30〜160本打込んで織られた短繊維紡績布が好ましく、特に591〜197dtex(10〜30番手)の単糸、または591〜197dtex(10〜30番手)の双糸を用いて1インチ間に経糸、緯糸共に50〜100本の織密度で糸を打込んで織られた短繊維紡績布が最も適している。また、短繊維紡績織布の空隙率(目抜け部)は、0〜8%、好ましくは0〜4%のものが適している。空隙率が8%を越えると、両面描画の際に互いの描画がピンホール抜けして描画の精度が損なわれるため好ましくない。空隙率は繊維布帛の単位面積中に占める繊維糸条の面積を百分率として求め、100から差し引いた値として求めることができる。空隙率は経方向10cm×緯方向10cmの100cm2 を単位面積として求めることが簡便である。
【0026】
また、本発明に使用する繊維布帛としては、マルチフィラメント糸条からなる織布も好ましく用いることができる。マルチフィラメント糸条としては、111〜1667dtex、特に278〜1111dtexのマルチフィラメント糸条が好ましい。マルチフィラメント糸条が111dtexよりも小さいと、得られるシートに両面描画した際に互いの描画が裏映りすることがあり、また1667dtexよりも大きいと、糸径が太くなり得られるシートの表面に凹凸を増し、プリント描画性に必要な平滑性を得ることが困難となる。これらマルチフィラメント糸条からなるフィラメント織布の経糸及び緯糸の打込み密度に特に限定はないが、111〜1667dtexの糸条を経糸及び緯糸として1インチ間10〜80本打込んで織られた織布が使用できる。例えば278dtexのマルチフィラメント糸条で1インチ間に18〜44本、555〜1111dtexのマルチフィラメント糸条で1インチ間14〜38本、1667dtexのマルチフィラメント糸条で1インチ間10〜28本程度の打込み本数で織られる目抜け平織織布、または非目抜け平織織布が適している。これらのマルチフィラメント糸条は無撚であっても、撚りが掛けられたものであってもよい。
【0027】
また、マルチフィラメント織布の空隙率(目抜け部)は0〜8%、好ましくは0〜4%のものが適している。空隙率が8%を越えると、両面描画の際に互いの描画がピンホール抜けして描画の精度が損なわれるため好ましくない。またマルチフィラメント織布からなる基布の両面に熱可塑性樹脂被覆層が設けられ、さらにその上に熱可塑性樹脂塗膜層が形成される場合に限っては、マルチフィラメント織布の空隙率は0〜30%、好ましくは0〜20%のものを使用することもできる。空隙率が30%を越えると両面描画の際、目抜け部に互いの描画が裏映りすることがある。空隙率は繊維布帛の単位面積中に占める繊維糸条の面積を百分率として求め、100から差し引いた値として求めることができる。空隙率は経方向10cm×緯方向10cmの100cm2 を単位面積として求めることが簡便である。
【0028】
本発明に使用する短繊維紡績糸条、またはマルチフィラメント糸条には、汎用性のすぐれている特にポリエステル繊維、またはポリプロピレン繊維が用いられることが好ましく、ポリエステル繊維としては、具体的に、テレフタル酸とエチレングリコールとの重縮合によって得られるポリエチレンテレフタレート(PET)、テレフタル酸とブチレングリコールとの重縮合によって得られるポリブチレンテレフタレート(PBT)などが挙げられ、中でもポリエチレンテレフタレート樹脂から紡糸されたポリエステル繊維が繊維強力及び、セラミック物質(特に酸化チタン)を含有しての溶融紡糸性に優れ好ましく使用できる。またポリプロピレン繊維としては、チーグラー・ナッタ系触媒の存在下、気相法、スラリー液相法、または高圧法の何れかの方法によって重合されたポリプロピレン樹脂、またはシングルサイト(メタロセン)触媒の存在下、気相法、スラリー液相法、または高圧法の何れかの方法によって重合されたシンジオタクティック立体規則性、またはアイソタクティック立体規則性を有するポリプロピレン樹脂を使用することもできる。
【0029】
本発明において基布として使用する繊維布帛上に熱可塑性樹脂塗膜層を形成する場合、繊維布帛として空隙率(目抜け部)0〜8%の短繊維紡績布、特に空隙率4%以下の短繊維紡績布及び、空隙率0〜8%のマルチフィラメント織布、特に空隙率4%以下のマルチフィラメント織布を用い、これに、有機溶剤に溶解した熱可塑性樹脂、または水中で乳化重合して得られた熱可塑性樹脂エマルジョン(ラテックス)、あるいは熱可塑性樹脂を水中に強制分散して安定化した樹脂ディスパージョンなどの樹脂液を用いるデッピィング加工(繊維布帛への両面加工)、及びコーティング加工(繊維布帛への両面加工)を施す。この熱可塑性樹脂塗膜層には、熱可塑性樹脂に対して10〜60質量%の白色微粒子を含むことが好ましく、さらに熱可塑性樹脂に対して10〜100質量%のハロゲン非含有難燃性付与剤を含むことが防炎性の観点において特に好ましい。また、この熱可塑性樹脂塗膜層にはカチオン性化合物、水溶性高分子化合物、架橋剤などを含むことができる。
【0030】
また、必要に応じてこの熱可塑性樹脂塗膜層には白色顔料を含むことができる。特に熱可塑性樹脂塗膜層は白色顔料で着色されていることが画像描画の鮮明性の観点で好ましい。白色顔料とは具体的に、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどの金属酸化物であり、熱可塑性樹脂に対して1〜20質量%、好ましくは3〜10質量%配合することが好ましい。上記熱可塑性樹脂塗膜層のハンター白色度W値(JIS P−8123)は85〜100、特に90以上であることが画像描画の鮮明性の観点で好ましい。ハンター白色度W値が85未満だと、印刷描画の鮮明度と発色性が不十分となる。
【0031】
JIS P−8123に規定されるハンター白色度W値とは、L=10Y1/2 ,a=17.5(1.02X−Y)Y1/2 ,b=7.0(Y−0.847Z)Y1/2 で示される、L.a.b.表色系において完全な白を100%として、波長457mμでの反射率を表すものであり、W=100−[(100−L)2 +(a2 +b2 )]1/2 で示されるものである。(式中X,Y,Zは熱可塑性樹脂塗膜層の三刺激値である)
【0032】
熱可塑性樹脂塗膜層に用いる熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン系共重合体樹脂、及び、ポリビニルアルコール樹脂から選ばれた1種以上である。ポリウレタン系樹脂としては、具体的に、ジイソシアネート化合物とヒドロキシル基を分子構造内に2個以上有するポリオール化合物の中から選ばれた1種以上とイソシアネート基と反応する官能基を含有する化合物との付加重合反応によって得られる熱可塑性ポリウレタン系樹脂が使用できる。ジイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族、脂環式(水素添加物を包含する)のジイソシアネート化合物が用いられ、これらは具体的に、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどである。ポリオール化合物としては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ジヒドロキシポリエチレンアジペート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが用いられる。ポリウレタン系樹脂は、用いるポリオールの種類に応じてポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリカプロラクトン系ポリウレタン樹脂が使用できる。また、使用形態としては、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミドなどの有機溶剤(好ましくは混合溶剤)中にポリウレタン系樹脂を溶解して含む1液型ポリウレタン樹脂溶液、または、ポリウレタンプレポリマー樹脂溶液とジイソシアネート化合物とを別個に用いる2液型ポリウレタン樹脂溶液、さらにポリオール化合物とジイソシアネート化合物とを別個に用いる無溶剤2液型ポリウレタン樹脂、及び、乳化剤、分散剤を用いて水中に微粒子懸濁させたポリウレタン樹脂エマルジョン、ポリウレタン樹脂構造中に水酸基、カルボン酸基、4級アンモニウム塩基などを導入して水中安定性を向上させた変性ポリウレタン樹脂エマルジョンなどの何れであっても良い。
【0033】
ポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸成分とジオール(アルコール)成分との重合によって得られるポリエステル樹脂であり、ジカルボン酸成分としては具体的に、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられ、また、ジオール成分としては、炭素数2〜12の脂肪族、または脂環族ジオール、これらは具体的に、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが用いられる。特にジオール成分に炭素数2〜6の直鎖グリコールと炭素数2〜6の側鎖グリコールの2成分、または炭素数2〜6の直鎖グリコールと炭素数2〜6のエーテルグリコールの2成分とを用いてジカルボン酸成分と共重合して得られたポリエステル共重合体樹脂が柔軟性の観点で好ましい。炭素数2〜6の直鎖グリコールとしては具体的に、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどであり、炭素数2〜6の側鎖グリコールとしては具体的に、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどであり、また炭素数2〜6のエーテルグリコールとしては具体的に、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどである。また、使用形態としては、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどの有機溶剤(好ましくは混合溶剤)中にポリエステル系樹脂を溶解して含むポリエステル樹脂溶液、及び、乳化剤、分散剤を用いて水中に微粒子懸濁させたポリエステル樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂構造中に水酸基、カルボン酸基、4級アンモニウム塩基などを導入して水中安定性を向上させた変性ポリエステル樹脂エマルジョンなどの何れであっても良い。
【0034】
アクリル系樹脂としては、アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキルエステル類、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸ステアリルなどを重合用モノマーとする重合体が挙げられる。また、アルキル基の炭素数が1〜18のメタアクリル酸アルキルエステル類、例えば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピル、メタアクリル酸i−プロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸i−ブチル、メタアクリル酸−tブチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸ステアリルなどを重合用モノマーとする重合体が挙げられ、特に上記モノマーを2種以上併用して得られる共重合体樹脂を使用することが塗膜の柔軟性の観点で好ましい。またアクリル樹脂には、前記アクリルモノマーの1種以上と、これらと共重合可能である他のモノマーの1種以上とを共重合して得られる共重合体樹脂なども好ましく使用でき、これらの共重合用モノマーとしては具体的に、マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸などのエチレン性不飽和カルボン酸類、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのアミド化合物類、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタアクリル酸ヒドロキシエチルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸類、アクリル酸グリシジル、メタアクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル酸類、その他、エチレン、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1などのα−オレフィン類、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、ポリオキシエチレンアリルエーテル、エチルアリルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテルなどのアルケニル類、酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物類などが挙げられる。また、使用形態としては、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどの有機溶剤(好ましくは混合溶剤)中にアクリル系樹脂を溶解して含むアクリル樹脂溶液、及び、乳化剤、分散剤を用いて水中で乳化重合または懸濁重合したアクリル樹脂エマルジョン(例えばアクリル酸エステル−メタクリル酸メチル共重合樹脂、アクリル酸エステル−スチレン共重合樹脂など)、アクリル樹脂構造中に水酸基、カルボン酸基、アミド基などを導入した変性アクリル樹脂エマルジョンなどの何れであっても良い。
【0035】
酢酸ビニル系共重合体樹脂としては、酢酸ビニル−エチレン共重合樹脂(VAE)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、酢酸ビニル−ベオバ共重合樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合樹脂、酢酸ビニル−不飽和カルボン酸共重合樹脂、酢酸ビニル−アミド化合物共重合樹脂、酢酸ビニル−α−オレフィン共重合樹脂、酢酸ビニル−ビニルエーテル共重合樹脂、酢酸ビニル−ビニルエステル共重合樹脂、酢酸ビニル−芳香族ビニル化合物共重合樹脂などが挙げられる。酢酸ビニルモノマーと共重合する共重合用モノマーとしては、上記アクリル系樹脂に用いられるアクリル系モノマー、及びアクリルモノマーと共重合可能である他のモノマーと同一である。また、使用形態としては、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどの有機溶剤(好ましくは混合溶剤)中に酢酸ビニル系共重合体樹脂を溶解して含む酢酸ビニル系共重合体樹脂溶液、及び、乳化剤、分散剤を用いて水中で乳化重合または懸濁重合した酢酸ビニル系共重合体樹脂エマルジョン、酢酸ビニル系共重合体樹脂構造中に水酸基、カルボン酸基、アミド基などを導入した変性酢酸ビニル系共重合体樹脂エマルジョンなどの何れであってもよい。
【0036】
スチレン系共重合体樹脂としては、A−B−A型スチレンブロック共重合樹脂(Aはスチレン重合体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックである。)、A−B型スチレンブロック共重合樹脂(AとBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合樹脂及び、これらのスチレン系共重合樹脂の水素添加樹脂(二重結合を水素置換したもの)などが用いられる。これらの市販品としては、例えば、シェル.ケミカル社のスチレン系ブロック共重合体樹脂(商標:クレイトンG)、旭化成工業(株)のスチレン系ブロック共重合体樹脂(商標:タフテック)、(株)クラレのスチレン系ブロック共重合体樹脂(商標:ハイブラー、商標:セプトン)、日本合成ゴム(株)のスチレン系ランダム共重合体樹脂(商標:ダイナロン)などが挙げられる。また、スチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂なども使用できる。スチレン系共重合体樹脂の使用形態としては、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどの有機溶剤(好ましくは混合溶剤)中にスチレン系共重合体樹脂を溶解して含むスチレン系共重合体樹脂溶液、及び、乳化剤、分散剤を用いて水中で乳化重合または懸濁重合したスチレン系共重合体樹脂エマルジョン、スチレン系共重合体樹脂構造中に水酸基、カルボン酸基、アミド基などを導入した変性スチレン系共重合体樹脂エマルジョンなどの何れであっても良い。
【0037】
ポリビニルアルコール樹脂としては、ポリ酢酸ビニル樹脂をケン化して得られ、平均重合度(p)が800〜5000、特に1200〜3000のものが好ましく、ケン化度は、酢酸ビニル量100モル%に対して83〜98モル%、特に92〜98モル%であることが好ましい。ケン化度とは、ケン化後のポリビニルアルコール樹脂中に含有するビニルアルコール単位のモル分率、すなわち、ビニルアルコール単位を(n)、酢酸ビニル単位を(m)とするとき、ケン化度=(n/n+m)×100で表される量である。また、ポリビニルアルコール系共重合体樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系共重合体樹脂を前駆体として、これをケン化して得られるものが挙げられる。この前駆体となるポリ酢酸ビニル系共重合体樹脂としては、酢酸ビニルモノマーと共重合し得る他のモノマー、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸及びそのエステル化物、マレイン酸無水物及び、その開環物など、及びビニルピロリドン、ピバリン酸ビニルなどのビニル化合物、及び炭素数4以上の脂肪酸のビニルエステル類などとの共重合体樹脂が挙げられる。不飽和カルボン酸のエステル化物としては、例えばアクリル酸エチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸グリシジルなどが挙げられる。ポリビニルアルコール系共重合体樹脂前駆体としては、これらのモノマーの1種以上を0.5〜10モル%、特に1〜6モル%と酢酸ビニルモノマー90.5〜90モル%、特に99〜94モル%とを共重合して得られた、平均重合度(p)800〜5000、特に1200〜3000のポリ酢酸ビニル系共重合体樹脂が好ましい。これらの樹脂の使用形態としては、水または、水とアルコールの混合液、及びアルコール中にポリビニルアルコール樹脂を溶解して含むポリビニルアルコール樹脂溶液であることが好ましい。
【0038】
また、上記熱可塑性樹脂塗膜層には、水性インク印刷性を向上させるために、水溶性高分子化合物を、前記熱可塑性樹脂に対して1〜30質量%程度含むことが好ましい。この水溶性高分子化合物としては、カチオン変性デンプン、ゼラチン、ポリアミノ酸、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、デンプン−アクリロニトリル重合体の加水分解生成物、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアミン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリエチレンポリアミド系樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミドポリアミン系樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ジシアンジアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体樹脂等のポリアルキレンオキサイド誘導体樹脂、さらには、カルボン酸基、水酸基、エーテル基、4級アンモニウム塩基などを導入することにより得られる親水性ポリエステル系樹脂や親水性ポリウレタン系樹脂などを用いることができる。
【0039】
また、上記熱可塑性樹脂塗膜層には、水性インク定着性を向上させるために、ポリエチレンイミン塩、ジメチルアミンエピハロヒドリン縮合体、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム縮合体、ポリビニルアミン塩、ポリアリルアミン塩、(メタ)アクリル酸アルキル4級アンモニウム塩、(メタ)アクリルアミドアルキル4級アンモニウム塩、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、ポリスチレン4級アンモニウム塩、ポリビニールピリジウムハライド、ポリビニールベンジルトリメチルアンモニウム塩などのカチオン性化合物を使用することが好ましい。これらは複数併用することもできる。これらのカチオン性化合物は水性インクの分子構造に含まれるスルホン酸基、カルボン酸基などとイオン結合して水に不溶性の錯体を形成するものであり、熱可塑性樹脂に対して1〜20質量%程度含むことが好ましい。また、インク吸収性が損なわれない範囲において、上記熱可塑性樹脂被覆層の耐摩耗性向上と耐水性との向上を目的として、硬化剤や架橋剤を添加してもよい。硬化剤及び架橋剤としては、エポキシ系硬化剤、メラミン系硬化剤、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤などを使用する樹脂系が含有する官能基の種類及び、官能基量に応じて適量使用することができる。
【0040】
上記熱可塑性樹脂塗膜層に配合される白色微粒子としては、シリカ、カオリンクレー、ゼオライト、セピオライト、ハイドロタルサイト、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、タルク、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ケイ藻土、酸化チタン、などの無機系化合物、及び、ナイロン系樹脂微粒子、尿素系樹脂微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子などの有機系化合物、その他の白色微粒子として、セルロース微粒子、ケラチン微粒子、キトサン微粒子、アルギン酸重合物微粒子、アミノ酸重合物微粒子(プロテイン)、コラーゲン変性化合物微粒子などの天然物由来の有機系化合物が挙げられるが、本発明に用いる白色微粒子としては、特にシリカが好ましい。シリカ(二酸化珪素)としては、珪酸ソーダと鉱酸(硫酸)及び塩類を、水溶液中で反応させる湿式法によって得られる合成非晶質シリカを、熱可塑性樹脂に対し10〜60質量%、特に25〜40質量%配合することが好ましい。この湿式法によって合成される非晶質シリカは、シリカ表面のシラノール基(Si−OH基)に水素結合で結合する水分と、シラノール基自体が含有する水酸基として存在する水分を結合水分として有するため含水シリカとして、シリカの他の乾式合成法やエアロゲル合成法によって得られる水分含有率の極めて少ない無水シリカと区別されるものである。本発明に用いる非晶質含水シリカの平均凝集粒径は、平均凝集粒径(コールカウンター法)が1〜20μm、であることが好ましく特に2〜10μmであることがより好ましい。また非晶質含水シリカの含水率は、3〜15質量%、であることが好ましく、特に5〜10質量%であることがより好ましい。シリカの配合量が10質量%より少ないと、得られるシートのインク吸着性と発色性が十分に得られないことがあり、また、シリカの配合量が60質量%を超えると、熱可塑性樹脂塗膜層の耐摩耗性を悪くし、折り曲げによって亀裂を生じることがある。
【0041】
本発明の両面描画用シートは防炎性を有することが好ましく、このために、上記熱可塑性樹脂塗膜層にはハロゲン非含有難燃性付与剤を配合することが好ましい。用いるハロゲン非含有難燃性付与剤としては、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属硫酸塩化合物、ホウ酸化合物、無機系化合物複合体、金属リン酸塩、金属有機リン酸塩、リン酸誘導体、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム誘導体化合物、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及び、これらの誘導体化合物などから選ばれた1種以上で、これらを熱可塑性樹脂に対して10〜100質量%、特に20〜50質量%配合することが好ましい。ハロゲン非含有難燃性付与剤の配合量が10質量%より少ないと、得られるシートの防炎性能が不十分となり、また、ハロゲン非含有難燃性付与剤の配合量が100質量%を超えると、樹脂溶液の塗工が困難となるだけでなく、熱可塑性樹脂塗膜層の耐摩耗性を悪くし、折り曲げによって亀裂を生じることがあり好ましくない。
【0042】
金属水酸化物としては具体的に、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウムなど、金属酸化物としては具体的に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、酸化アンチモンなど、金属炭酸塩化合物としては具体的に、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム−カルシウムなどが用いられ、金属硫酸塩化合物としては具体的に、硫酸アルミニウム、硫酸バリウムなどが用いられ、ホウ酸化合物としては具体的に、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウムなどが用いられ、無機系化合物複合体としては具体的に、アルミナ水和物、ゼオライト、セピオライト、ハイドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト、ケイ藻土などが挙げられる。これらのハロゲン非含有難燃性付与剤の粒径は、1〜20μmであることが好ましく、特に2〜10μmであるものがより好ましく、必要に応じて、ステアリン酸、オレイン酸、パルチミン酸、などの脂肪酸またはその金属塩、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、またはこれらの変性物、有機ボラン、有機チタネート、シランカップリング剤などで上記ハロゲン非含有難燃性付与剤の表面を被覆して改質したものを使用することによって熱可塑性樹脂塗膜の塗工液中への分散性を向上し、さらに熱可塑性樹脂塗膜の耐水性を改善することができる。上記無機系化合物は分子構造中にハロゲン原子を含有しないため、燃焼させてもハロゲンガスを発生する心配がない。
【0043】
金属リン酸塩としては具体的に、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸などの金属塩が挙げられ、これらと塩を形成する金属としてはNa,K,Li,Ca,Ba,Mg,Al,Znなどであり、具体的には、リン酸二水素カルシウム(過リン酸石灰)、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウムなどが挙げられる。金属有機リン酸塩としては、リン酸オクチルカリウム、リン酸ヘキシルカルシウムなど、PO(OR)(OH)2 で示されるリン酸モノアルキルエステルの金属塩、また、リン酸ジブチルカリウム、リン酸ジヘキシルカルシウムなど、PO(OR)2 OHで示されるリン酸ジアルキルエステルの金属塩、また、亜リン酸ジオクチルカリウム、亜リン酸ブチルカルシウムなど、P(OR)(OH)2 で示される亜リン酸モノアルキルエステルの金属塩、また、亜リン酸ジドデシルカリウム、亜リン酸ジブチルカルシウムなど、P(OR)2 OHで示される亜リン酸ジアルキルエステルの金属塩が挙げられ、これらと塩を形成する金属としてはNa,K,Li,Ca,Ba,Mg,Al,Znなどが挙げられる(但しRはアルキル基を表す)。また、リン酸誘導体としては具体的に、トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェートなどのリン酸エステル類、及び芳香族縮合リン酸エステル類、また、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、ブチルホスホン酸などのホスホン酸類、また、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸類など、さらに窒素含有化合物(メラミン、メラミンの2量体、メラミンの3量体など)のホスホン酸塩、またはホスフィン酸塩などが挙げられる。ポリリン酸アンモニウムとしては具体的に、(NH4 PO3n で示され、重合度nが30〜1200のものが好ましい。また、ポリリン酸アンモニウムは、メラミン樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂などの窒素含有樹脂から選ばれた1種以上により表面被覆されたものを使用することもできる。ポリリン酸アンモニウム誘導体化合物としては具体的に、リン酸アンモニウムとメラミン、尿素、トリアジンなどの含窒素化合物との縮合物である縮合系リン酸塩化合物で、これらは例えば、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、リン酸メラミンなどが使用できる。
【0044】
(イソ)シアヌレート系化合物としては具体的に、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレートなどのシアヌレート誘導体、及びこれらの(イソ)シアヌレート誘導体とメラミン系化合物との複合物、トリメチルイソシアヌレート、トリエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌレート誘導体などが用いられ、(イソ)シアヌル酸系化合物としては具体的に、メラミン(シアヌル酸アミド)、グアナミン、ベンゾグアナミン、硫酸メラミン、トリメチロールメラミン、シアヌル酸トリメチルエステル、シアヌル酸トリエチルエステル、シアヌル酸モノアミド、シアヌル酸ジアミド、及び1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリオキシ−1,3,5−トリアジンなどのシアヌル酸誘導体、また、イソシアヌル酸モノイミド、イソシアヌル酸ジイミド、イソシアヌル酸トリイミド、カルシウムシアナミド(石灰窒素)、トリメチルジシアナミド、トリエチルジシアナミド、トリカルボイミド、及びジシアナミドの3量体(メロン)などのイソシアヌル酸誘導体などが用いられ、グアニジン系化合物としては具体的に、ジシアンジアミド、ジシアンジアミジシン、グアニジン、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、硫酸グアニジン、及びジグアニドなどのグアニジン誘導体などが用いられ、尿素系化合物としては具体的に、尿素、チオ尿素、ジメチロール尿素、ジアセチル尿素、エチレン尿素、トリメチル尿素、N−ベンゾイル尿素、及びリン酸グアニル尿素などの尿素系化合物、及び上記窒素含有化合物複合物などが挙げられる。また上記窒素含有化合物とリン含有化合物との複合塩、例えば(ポリ)リン酸とメラミン系化合物の複合塩、(ポリ)リン酸とメラミン系化合物の2〜3量体との複合塩、ホスホン酸とメラミン系化合物の複合塩、ホスホン酸とメラミン系化合物の2〜3量体との複合塩、ホスフィン酸とメラミンの複合塩、ホスフィン酸とメラミン系化合物の2〜3量体との複合塩、スルファミン酸とメラミン系化合物の複合塩などを用いることができる。その他の窒素含有化合物として、ピロール類、インドール類、オキサゾール類、オキサジン類、チアジン類、ピリダジン類などの複素環式化合物なども使用することができる。上記リン含有化合物、及び窒素含有化合物などは分子構造中にハロゲン原子を含有しないため、燃焼させてもハロゲンガスを発生する心配がない。
【0045】
また、熱可塑性樹脂塗膜層には、必要に応じて、有機系顔料、無機系顔料によって着色されていても良く、必要に応じて更に、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、可塑剤、軟化剤、安定剤、ワックス、消泡剤、分散剤、浸透剤、界面活性剤、各種フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、HALS系耐候安定剤、蛍光増白剤、老化防止剤、増粘剤などの通常使用される添加剤を本発明の効果を阻害しない範囲で使用することができる。
【0046】
熱可塑性樹脂塗膜層を形成する上記熱可塑性樹脂溶液の塗布の方法に制限はなく、これらの溶液を繊維布帛の表面に均一、かつ均質に塗布できる様な塗布方式、コーティング方式が望ましく、例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコート法、フローコート法、デッピィング法などが好適である。この時、表裏の熱可塑性樹脂塗膜層の配合を、それぞれ異なった組み合わせで実施することもできる。熱可塑性樹脂塗膜層の厚さに特に制限はないが、上記コーティング方法のいずれか、もしくは、組み合わせなどによって、熱可塑性樹脂塗膜層(片面あたりの固形分付着量)が、50〜300g/m2 、特に100〜200g/m2 に形成されることが好ましい。熱可塑性樹脂塗膜層が50g/m2 よりも少ないと、シートに両面描画した際に互いの描画が裏映りすることがあり、また、シートの印刷性も不十分となる。また300g/m2 を超えるとコーティング処理の工程数が増えるだけでなく得られる両面描画用シートの塗膜屈曲性に劣り、折り曲げによって亀裂を生じることがある。
【0047】
熱可塑性樹脂塗膜層のハンター白色度W値(JIS P−8123)は85〜100、特に90以上であることが画像描画の鮮明性の観点で好ましい。ハンター白色度W値が85未満だと、印刷描画の鮮明度と発色性が不十分となる。また上記説明の手順によって得られたシートの光透過率(JIS L−1055A法準拠)は0〜5%であることが両面描画性の観点で好ましい。光透過率が5%を越えると両面描画した際に、互いの描画が裏映りしたり、また互いの描画の陰影が重なり合ったりすることがある。光透過率はJIS L−1055A法に規定の遮光率の補数、すなわち、光透過率は100−遮光率(%)で得られる数値である。
【0048】
また一方、空隙率0〜30%、特に8〜30%のマルチフィラメント織布、または短繊維紡績布には、後述の熱可塑性樹脂から得られたフィルム状成型物を、織布の両面に、接着剤を用いて、あるいは熱圧着だけによって積層して熱可塑性樹脂被覆層を形成し、これを基材として、さらにこの両面に、上述の有機溶剤に可溶化した熱可塑性樹脂、または水中で乳化重合された熱可塑性樹脂エマルジョン(ラテックス)、あるいは熱可塑性樹脂を水中に強制分散させ安定化したディスパージョン樹脂などを用いて熱可塑性樹脂塗膜を形成して両面描画機能を有するターポリンを得ることができる。また、空隙率8〜30%のマルチフィラメント織布、または短繊維紡績布に対して、上記熱可塑性樹脂、及びハロゲン非含有難燃性付与剤などを固形分濃度で5〜40質量%含む樹脂溶液を用いてディッピィング加工することによって熱可塑性樹脂被覆層を有するメッシュ状シートを製造することができる。特にメッシュ状シートの製造に関しては空隙率は30%を越える繊維布帛を用いてもよい。この場合、被覆層用熱可塑性樹脂としては特に環境問題に配慮して、焼却廃棄時にハロゲン化水素ガスを排出させないハロゲン非含有熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン系樹脂から選ばれた少なくとも1種以上であることが好ましい。具体的に、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂などが挙げられ、中でもポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂に関しては、公知の製造方法によって重合されたものが使用でき、さらにシングルサイト(メタロセン)触媒の存在下で重合された立体規則性ポリオレフィン樹脂や重合度分布制御ポリオレフィン樹脂なども好ましく使用できる。
【0049】
被覆層用エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂は、エチレンモノマーと炭素数3〜18のα−オレフィンモノマーとを共重合することにより得られる、密度0.880〜0.920g/cm3 、MFR(メルトフローレート:190℃、2.16kg荷重)が、0.3〜15g/10min のもので、α−オレフィンには、例えばプロピレン、ブテン−1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1などが用いられるが、中でも炭素数4〜10のα−オレフィンが特に好ましい。また、これらのα−オレフィンを2種以上用いて共重合して得られる共重合体樹脂であってもよい。上記共重合体樹脂に含まれるα−オレフィン成分量は3〜35質量%、特に10〜25質量%であるものが好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、エチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーとをラジカル共重合して得られるもので、酢酸ビニル成分を3〜35質量%、特に10〜25質量%含有する、密度0.925〜0.960g/cm3 、MFR(メルトフローレート:190℃、2.16kg荷重)0.3〜15g/10min であるものが特に好ましい。また、特に乳化重合によって得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の水分散体(エマルジョン)を用いて熱可塑性樹脂被覆層を形成する場合においては、酢酸ビニル成分を60〜95質量%、特に75〜90質量%含有するものが好ましい。
【0050】
被覆層用エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂としては具体的に、エチレンモノマーと例えばアクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸、及びそのエステル化物や酸無水物などの共重合性モノマーとの共重合によって得られる、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体樹脂などであり、不飽和カルボン酸のエステル化物としては例えば、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチル、アクリル酸グリシジル、メタアクリル酸グリシジルなどが挙げられる。これらのモノマーは、1種のみならず2種以上用いることができ、上記共重合体樹脂に含まれる(メタ)アクリル酸(エステル)成分量は3〜35質量%、特に10〜25質量%であり、密度0.925〜0.960g/cm3 、MFR(メルトフローレート:190℃、2.16kg荷重)0.3〜15g/10min であるものが特に好ましい。また、特に乳化重合によって得られるエチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂の水分散体(エマルジョン)を用いて熱可塑性樹脂被覆層を形成する場合においては、(メタ)アクリル酸(エステル)成分を60〜95質量%、特に75〜90質量%含有するものが好ましい。
【0051】
被覆層用ポリプロピレン系樹脂としては、具体的に、プロピレンモノマーの単独重合によって得られるホモポリマー、及びプロピレンモノマーとエチレンモノマーとを共重合して得られるエチレン−プロピレン共重合体樹脂、及び、プロピレンモノマーとα−オレフィンモノマーとを共重合して得られるプロピレン−α−オレフィン共重合体樹脂、及び、予備重合で得られたエチレン−プロピレン共重合体に連続してプロピレンモノマーを共重合させる多段階重合によって得られるプロピレン・エチレン−プロピレン系共重合体樹脂、及び予備重合で得られたエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体に連続してプロピレンモノマーを共重合させる多段階重合によって得られるプロピレン−エチレン・プロピレン・非共役ジエン系共重合樹脂などである。プロピレン−α−オレフィン共重合体樹脂の重合に使用するに好ましいα−オレフィンとしては、炭素数4〜10のα−オレフィン、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、ヘプテン−1、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1などが挙げられ、得られるプロピレン系共重合体は、ランダム共重合体であっても、あるいはブロック共重合体の何れの共重合体であってもよい。
【0052】
このうちポリプロピレン系樹脂として、特にメタロセン系触媒の存在下で気相法、スラリー液相法、または高圧法の何れかの方法によって重合されたシンジオタクティック立体規則性を有するポリプロピレン系樹脂、またはアイソタクティック立体規則性を有するポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。また、プロピレン−エチレン・プロピレン系共重合体樹脂及び、プロピレン−エチレン・プロピレン・非共役ジエン系共重合体樹脂は、具体的に、例えば下記の様な連続多段階重合法により製造されたものが使用できる。まず、第1段階として、チタン化合物触媒及び、アルミニウム化合物触媒、またはメタロセン系触媒の存在下において、プロピレンモノマー及び、必要に応じてプロピレンモノマー以外のα−オレフィンモノマーを用いて重合を行い、第1のプロピレン系ポリオレフィンを得る。このポリオレフィンはプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などであり得る。第2段階として、前記触媒を含有したままで、次のオレフィンモノマー(例えば、エチレン、プロピレン、非共役ジエンなど)とを共重合させることによって得ることができ、この多段階重合によって得られるプロピレン系共重合体樹脂は、通常のポリプロピレン樹脂とプロピレン−エチレン共重合体樹脂とのポリマーブレンドによって得られる樹脂混合体とは、分子構造において種類を異にするものである。これらのポリプロピレン系樹脂のMFR(メルトフローレート:230℃、2.16kg荷重)は、0.5〜50g/10min 、特に1〜20g/10min のものが好ましい。またポリエチレン樹脂としてはエチレンモノマーの単独重合によって得られる密度が、0.915〜0.945g/cm3 の分岐構造ポリエチレンが柔軟性の観点で好ましい。
【0053】
被覆層用上記オレフィン系樹脂には、柔軟性、及び加工性を改良する目的で、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−共役ジエン系ゴムなどのソフト成分と上記ポリオレフィン系樹脂との架橋、加硫アロイ体であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)などをブレンド使用することもできる。特に、両面描画用シートの柔軟化の目的で、上記ポリオレフィン系樹脂に、スチレン系共重合体樹脂をブレンドすることが好ましく、スチレン系共重合体樹脂としては、A−B−A型スチレンブロック共重合樹脂(Aはスチレン重合体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックである。)、A−B型スチレンブロック共重合樹脂(AとBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合樹脂及び、これらのスチレン系共重合樹脂の水素添加樹脂(二重結合を水素置換したもの)などである。これらの市販品としては、例えば、シェル.ケミカル社のスチレン系ブロック共重合体樹脂(商標:クレイトンG)、旭化成工業(株)のスチレン系ブロック共重合体樹脂(商標:タフテック)、(株)クラレのスチレン系ブロック共重合体樹脂(商標:ハイブラー、商標:セプトン)、日本合成ゴム(株)のスチレン系ランダム共重合体樹脂(商標:ダイナロン)などが挙げられる。これらのスチレン系共重合体樹脂は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、10〜50質量部をブレンドして使用することが好ましい。またこれらのスチレン系共重合体樹脂は、単独で熱可塑性樹脂被覆層を形成することもできる。
【0054】
被覆層用ポリウレタン系樹脂としては具体的に、ポリウレタン系樹脂としては、具体的に、ジイソシアネート化合物とヒドロキシル基を分子構造内に2個以上有するポリオール化合物の中から選ばれた1種以上とイソシアネート基と反応する官能基を含有する化合物との付加重合反応によって得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂が使用できる。ジイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族、脂環式(水素添加物を包含する)のジイソシアネート化合物が用いられ、これらは具体的に、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどである。ポリオール化合物としては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ジヒドロキシポリエチレンアジペート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが用いられる。ポリウレタン系樹脂は、用いるポリオールの種類に応じてポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリカプロラクトン系ポリウレタン樹脂が使用できる。
【0055】
被覆層用ポリエステル系樹脂としては、具体的に、ポリエステル系樹脂としては、高融点結晶性ポリエステルセグメント(A)と、脂肪族ポリエーテル単位及び/又は脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメント(B)とからなるブロック共重合体樹脂が挙げられ、(A)セグメントはジカルボン酸と、ジオールとの重合によって得られるポリエステルであり、ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。ジオール成分としては、炭素数2〜12の脂肪族、または脂環族ジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。また、(B)セグメントを構成する脂肪族ポリエーテル単位としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコール、及びこれらの共重合体のグリコールなどが挙げられる。また、(B)セグメントを構成する脂肪族ポリエステル単位としては、ポリε−カプロラクトン、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。
【0056】
本発明の両面描画用シートは高い防炎性を有することが好ましく、上記熱可塑性樹脂被覆層には、上記熱可塑性樹脂に対して10〜100質量%のハロゲン非含有難燃性付与剤を含むことが好ましい。ハロゲン非含有難燃性付与剤は前述の、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属硫酸塩化合物、ホウ酸化合物、無機系化合物複合体、金属リン酸塩、金属有機リン酸塩、リン酸誘導体、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム誘導体化合物、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及び、これらの誘導体化合物などであり、これらは1種のみならず複数種用いることもできる。特に複数種組み合わせることによって、難燃効果、加工性、燃焼ガス組成などを改善したりすることができる。また、上記熱可塑性樹脂には必要に応じて、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、着色剤、滑剤、発泡剤、帯電防止剤、界面活性剤、架橋剤、硬化剤、フィラー、紫外線吸収剤、HALS系耐候安定剤、酸化防止剤など公知の添加剤を使用することもできる。特に熱可塑性樹脂被覆層は白色顔料で着色されていることが画像描画の鮮明性の観点で好ましい。白色顔料とは具体的に、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどの金属酸化物であり、必要に応じて有機系顔料を少量併用することもできる。白色顔料の配合量には特に制限はないが、熱可塑性樹脂に対して1〜20質量%、好ましくは3〜10質量%である。上記熱可塑性樹脂被覆層のハンター白色度W値(JIS P−8123)は85〜100、特に90以上であることが画像描画の鮮明性の観点で好ましい。ハンター白色度W値が85未満だと、印刷描画の鮮明度と発色性が不十分となることがあり好ましくない。
【0057】
熱可塑性樹脂被覆層を形成する方法、すなわちフィルム(シート)の積層方法としては、特別に限定されるものではないが、上記熱可塑性樹脂コンパウンドをフィルム状に熱溶融させたもの、あるいは熱溶融して製造したフィルムを繊維布帛の両面に均一に積層する方法が望ましい。フィルムの製造方法としては、カレンダー圧延法、T−ダイ押出法、インフレーシヨン吹出法などが適している。これらの何れかの方法によって製造されたフィルムは、フィルムの製造直後に、熱溶融した状態で、そのまま繊維布帛に積層することができ、また、これらのフィルムは後工程でラミネーターを使用して繊維布帛に積層しても良い。フィルムの厚さとしては50〜300μmであることが好ましく、特に80〜200μmであるものがより好ましく、これらは複数積層することもできる。フィルム厚さが50μよりも小さいと、空隙率8〜30%のマルチフィラメント織布、または短繊維紡績布を用いた時に空隙部分の耐久性が不十分となることがある。またフィルム厚さが300μmを越えて大きくなると、シートの取り扱い性に劣るのみならず、ディスプレイ用途に極めて重いものとなるため一部の特殊例を除き、好ましいものではない。
【0058】
この熱可塑性樹脂被覆層の両面には前述の熱可塑性樹脂塗膜層が、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコート法、フローコート法、デッピィング法などの方法によって形成される。この時、表裏の熱可塑性樹脂塗膜層の配合を、それぞれ異なった組み合わせで実施することもできる。熱可塑性樹脂塗膜層の厚さに特に制限はないが、上記コーティング方法のいずれか、もしくは、組み合わせなどによって、熱可塑性樹脂塗膜層(片面あたりの固形分付着量)が、10〜150g/m2 、特に30〜100g/m2 に形成されることが好ましい。熱可塑性樹脂塗膜層が10g/m2 よりも少ないと、シートの印刷性が不十分となる。また150g/m2 を超えると得られる両面描画用シートの塗膜屈曲性に劣り、折り曲げによって亀裂を生じることがある。上記説明の手順によって得られたシートの光透過率(JIS L−1055A法)は0〜5%であることが好ましい。光透過率が5%を越えると両面描画した際に、互いの描画が裏映りしたり、また互いの描画の陰影が重なり合ったりすることがある。光透過率はJISL−1055A法に規定の遮光率の補数、すなわち、光透過率は100−遮光率(%)で得られる数値である。
【0059】
また、空隙率0〜8%のマルチフィラメント織布、または短繊維紡績布に熱可塑性樹脂被覆層を設ける方法には、上記ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂、プロピレン系樹脂などの水分散樹脂(エマルジョン、ディスパージョン)、または有機溶剤に可溶化させた形態のものを塗布して、これを乾燥して実施することもできる。特にエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンは、エチレンと酢酸ビニルとの乳化重合によって得られる60〜95質量%の酢酸ビニル成分を含有するもの、またエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂ディスパージョンとしては、酢酸ビニル成分含有量が10〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を水中に強制分散させたものである。特に水分散樹脂の場合、これらの水分散樹脂は水酸基、カルボン酸基、4級アンモニウム塩基などを導入した親水性の変性体であっても良い。また水分散樹脂はコア/シェル型異相構造のハイブリッドエマルジョンなども使用でき、さらに必要に応じて、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体樹脂、酢酸ビニル−マレイン酸ジブチル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン−バーサチック酸ビニル共重合体樹脂、アクリル酸エステル−スチレン共重合樹脂、アイオノマー樹脂などのエマルジョンも併用できる。これらの水分散樹脂の樹脂固形分含有量に限定はないが、樹脂固形分含有率20〜70質量%、特に30〜50質量%であるものが好ましい。また、特に有機溶剤に可溶化または分散させて使用するエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及びエチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂としては、酢酸ビニル成分、または(メタ)アクリル酸(エステル)の含有率が18〜45質量%、MFR(メルトフローレート:190℃、2.16kg荷重)が1.0〜20g/10min の共重合体樹脂が好ましい。
【0060】
上記熱可塑性樹脂、及びハロゲン非含有難燃性付与剤などを固形分濃度で5〜40質量%含む樹脂溶液を用いての繊維布帛への表面被覆は、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、ナイフコート法、キスコート法、フローコート法など公知のコーティング法、またはデッピング法などによって繊維布帛表面に樹脂溶液を均一に塗布し、これを乾燥することによって熱可塑性樹脂被覆層を形成することができる。本発明において、熱可塑性樹脂被覆層の厚みに特に制限はないが、上記コーティング方法のいずれか、もしくは、組み合わせなどによって、熱可塑性樹脂被覆層(片面あたりの固形分付着量)が、50〜300g/m2 であることが好ましく、特に100〜200g/m2 に形成されることがより好ましい。熱可塑性樹脂被覆層が50g/m2 よりも少ないと、シートに両面描画した際に互いの描画が裏映りすることがあり、また、シートの摩耗耐久性が不十分となる。また300g/m2 を超えるとコーティング処理の工程数が増えるだけでなく得られる両面描画用シートが重くなり、取り扱い性が困難となる。
【0061】
これらの熱可塑性樹脂被覆層には、熱可塑性樹脂に対して10〜100質量%のハロゲン非含有難燃性付与剤を含むことが防炎性の観点において好ましい。また、上記熱可塑性樹脂には必要に応じて、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、着色剤、滑剤、発泡剤、帯電防止剤、界面活性剤、架橋剤、硬化剤、フィラー、紫外線吸収剤、HALS系耐候安定剤、酸化防止剤など公知の添加剤を使用することもできる。特に熱可塑性樹脂被覆層は白色顔料で着色されていることが画像描画の鮮明性の観点で好ましい。白色顔料とは具体的に、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどの金属酸化物であり、必要に応じて有機系顔料を少量併用することもできる。白色顔料の配合量には特に制限はないが、熱可塑性樹脂に対して1〜20質量%、好ましくは3〜10質量%である。上記熱可塑性樹脂被覆層のハンター白色度W値(JIS P−8123)は85〜100、特に90以上であることが画像描画の鮮明性の観点で好ましい。ハンター白色度W値が85未満だと、印刷描画の鮮明度と発色性が不十分となることがある。
【0062】
この熱可塑性樹脂被覆層の両面には前述の熱可塑性樹脂塗膜層が、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコート法、フローコート法、デッピィング法などの方法によって形成される。この時、表裏の熱可塑性樹脂塗膜層の配合を、それぞれ異なった組み合わせで実施することもできる。熱可塑性樹脂塗膜層の厚みに特に制限はないが、上記コーティング方法のいずれか、もしくは、組み合わせなどによって、熱可塑性樹脂塗膜層(片面あたりの固形分付着量)が、10〜150g/m2 であることが好ましく、特に30〜100g/m2 に形成されることがより好ましい。熱可塑性樹脂塗膜層が10g/m2 よりも少ないと、シートの印刷性が不十分となることがあり、またそれが150g/m2 を超えると得られる両面描画用シートの塗膜屈曲性に劣り、折り曲げによって亀裂を生じることがある。
【0063】
熱可塑性樹脂被覆層のハンター白色度W値(JIS P−8123)は85〜100、特に90以上であることが画像描画の鮮明性の観点で好ましい。ハンター白色度W値が85未満だと、印刷描画の鮮明度と発色性が不十分となることがある。上記説明の手順によって得られたシートの光透過率(JIS L−1055A法)は0〜5%であることが両面描画性の観点で好ましい。光透過率が5%を越えると両面描画した際に、互いの描画が裏映りしたり、また互いの描画の陰影が重なり合ったりすることがある。光透過率はJIS L−1055A法に規定の遮光率の補数、すなわち、光透過率は100−遮光率(%)で得られる数値である。
【0064】
本発明の両面描画用シートの印刷方法としては、公知の印刷方法、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷など、何れの方法でも可能であるが、特にインクジェット印刷によって印刷を施すことが好ましい。インクジェット印刷は、市販のインクジェットプリンターを用いて容易に行うことができる。本発明の両面描画用シートに使用できるインクジェット印刷用のインクとしては、水性インク、溶剤系インク(油性インク)のいずれを用いることができる。このうち水性インクは、顔料、染料の分散溶媒として水と水溶性有機溶剤を主成分とするものである。水溶性有機溶剤としてはジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類や、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン類をインクの湿潤剤として含み、また、水溶性有機溶剤としてエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類をインクの浸透剤として含むものである。その他、水性インク組成中にはpH調整剤、界面活性剤、水性高分子分散剤、キレート化剤、消泡剤、防腐防黴剤などの添加剤が添加されるものである。また、油性インクは顔料の分散溶媒として、ガス油、ナフサ、あるいは150℃以上の沸点をもつ有機溶剤を主体とするインクであり、また、溶剤系インクは顔料の分散溶媒として、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトンなどの150℃以下の沸点をもつ有機溶剤を主体とするインクである。溶剤系インク及び、油性インクの組成としては、有機系顔料、染料などの着色剤と有機溶剤の他、バインダー樹脂として、フェノール樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ロジン樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂などの熱可塑性樹脂を含み、その他添加剤として、界面活性剤、キレート化材、防腐防黴剤などの添加剤を含むことができる。
【0065】
また、水性インク、溶剤系インク(油性インク)に使用する顔料としては、公知の有機系顔料、無機系顔料、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジコ系、ベンチジン系、チオインジコ系、ペリノン系、ペリレン系、イソインドリノン系、酸化チタン、カドミウム系、酸化鉄系、カーボンブラック系の顔料などが挙げられ、特に水性インクにおいては染料も使用することができる。これらの染料としては、公知の天然染料、合成染料、例えばニトロソ系、ニトロ系、アゾ系、スチルベン系、ジフェニルメタン系、トリアリールメタン系、キノリン系、メチン系、ポリメチン系、チアゾール系、インダミン系、インドフェノール系、アジン系、オキサジン系、チアジン系、アミノケトン系、オキシケトン系、アントラキノン系、インジゴイド系、フタロシアニン系の染料などが挙げられる。
【0066】
【実施例】
次ぎに実施例、及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例の範囲に限定されるものではない。下記実施例、及び比較例において両面描画用シートの評価に関する試験方法は下記の通りである。
【0067】
(I)印刷性
i).熱可塑性樹脂塗膜層を両面に形成した繊維布帛(繊維布帛複合基材)の片面に、下記水性インクを装備した市販のインクジェットプリンターを用いて音楽CDのジャケット絵柄:CONCERTO SUITE FOR ELECTRIC GUITAR AND ORCHESTRA IN E FLAT MINOR:LIVE WITH THE NEW JAPAN PHILHARMONIC/YNGWIE JOHANN MALMSTEEN/規格番号:PCCY−01551/ポニーキャニオン(株))を1200mm×1200mm大にフルカラー拡大出力(インクジェット印刷)し、また、その反対面には、同じプリンターを用いて音楽CDのジャケット絵柄(CARL ORFF・<CARMINA BURANA>/小澤征爾・ベルリンフィル/規格番号:PHCP1614/日本フォノグラム(株))を1200mm×1200mm大にインクジェット印刷し、その両面印刷性、インクの吸収性、発色性などの評価を下記基準にて判定した。
<水性インクによる印刷>
インクジェットプリンター機種名:Hi−Fi JET FJ−50
(6色ピエゾ型):ローランドディー・ジー(株)印刷出力:720dpi
インク顔料:シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ
【0068】
ii).熱可塑性樹脂塗膜層を両面に形成した繊維布帛(繊維布帛複合基材)の片面に、下記溶剤インクを装備した市販のインクジェットプリンターを用いて音楽CDのジャケット絵柄:LIVE SCENES FROM NEW YORK/DREAM THEATER/規格番号:AMCY−72913/イースト・ウエスト(株)を1200mm×1200mm大にフルカラー拡大出力(インクジェット印刷)し、また、その反対面には、同じプリンターを用いて音楽CDのジャケット絵柄:PROJECT SHANGRI−LA/LANA LANE/規格番号:PHCP1614/日本フォノグラム(株)を1200mm×1200mm大にインクジェット印刷し、その両面印刷性、インクの吸収性、発色性などの評価を下記基準にて判定した。
<溶剤系インクによる印刷>
インクジェットプリンター機種名:ラミレスPJ−1304NX(オンデマンド方式):武藤工業(株)
インク顔料:シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、印刷出力:384dpi
<印刷性の評価>
○:インクの吸収性が良く輪郭がシャープ、発色も良好である。(印刷性良好)
△:インクが滲むか、発色がくすむ。
×:インクが滲み、発色もくすんでいる。(印刷性が悪い)
<両面印刷性の評価>
両面にインクジェット描画したシートを官製はがきの上に重ねて、裏面描画の画像が裏映りしているか、否かを目視判定した。
○:裏面描画の画像が判らない。(両面印刷可能)
△:裏面描画の画像の陰影が判る。
×:裏面描画の画像が明瞭に判る。(両面印刷不能)
【0069】
(II)シートの熱可塑性樹脂塗膜層の白色度、及び熱可塑性樹脂被膜層の白色度両面描画用シートの熱可塑性樹脂塗膜層の白色度、及び熱可塑性樹脂被膜層の白色度は、東洋精機製作所製デジタルハンター・白色度計を使用して数値化した。ハンター白色度(JIS P−8123)は、L=10Y1/2 、a=17.5(1.02X−Y)Y1/2 、b=7.0(Y−0.847Z)Y1/2 で示されるL.a.b表色系において完全な白を100%として、波長457mμでの反射率を表し、また、W=100−〔(100−L)2 +(a2 +b2 )〕1/2 で示されるものである。(式中、X,Y,Zは熱可塑性樹脂塗膜層、または熱可塑性樹脂被膜層の三刺激値である)
【0070】
(III)シートの光透過率
両面描画用シート(未印刷)の光透過率(JIS L−1055A法準拠)は0〜10000ルクス(Lx)の範囲で照度の計測が可能な市販の照度計(例えばTOPCON(株)製IM−3型)を用いて、測定に使用する光源ランプ以外の光源の影響を受けない環境設定された筐体を用いて、両面描画用シート(未印刷)を照度計と光源ランプとの間に介在させた場合と介在させない場合との照度を測定し、下記式より求めた。
【数1】
Figure 0003893481
光透過率は、外部光の影響のない筐体内において、100V、500Wのハロゲンランプから照度計までの距離を30cmに設定し、光源ランプから20cmの位置に両面描画用シートを光源ランプに対して垂直方向に設置し、両面描画用シート78.5cm2 面積を透過する光量(照度Lxt)を測定し、この透過光量(Lxt)の、シートを介在させないときの光量(Lxo)に対する百分率をもって表すことができる。
【0071】
(IV)防炎性
消防法施工規則第4条(JIS L−1091:A−2法区分3:2分加熱)に従い防炎試験し、下記の判定基準により評価した。
○:炭化面積40cm2 以下、残炎時間5秒以下、残じん時間20秒以下、炭化距離20cm以下である。
×:炭化面積、残炎時間、残じん時間、炭化距離の項目の1項目以上が基準値を越えている。
【0072】
〔実施例1〕
i).<短繊維紡績糸条>
極限粘度0.69、融点256℃のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂に対し平均粒子径0.6μmの酸化チタンを3質量%(PET100質量部に対して3質量)配合したコンパウンドを押出機で溶融混練し、溶融紡糸機を使用して270℃で溶融紡糸した収束粗糸を温度60℃で倍率3倍に延伸し、これに撚りを掛けてフィラメント数196のマルチフィラメント原糸(326dtex)を得た。次にこの紡糸原糸を6cmに切断して得られたステープルを開繊し、ダブリングドラフトを掛けながら練条したスライバを引き伸ばして繊維平行度を一定に揃えてロービング(粗糸)として、これに16回/2.54cmの撚りとドラフトを掛けてトウ紡績した粗糸(295dtex)2本を、撚数12回/2.54cmで合撚し、これを160℃で熱セットして295dtex/×2の20番双糸(590dtex)を得た。
ii).<短繊維紡績布>
得られたPET20番双糸を経糸、及び緯糸に用いてシャットルレス織機でエアジェット製織した平織短繊維紡績布(経糸密度:48本/2.54cm×緯糸密度:44本/2.54cm:空隙率1%以下:布帛質量245g/m2 )を繊維布帛(基布)として用いた。
【0073】
iii).<熱可塑性樹脂塗膜層の形成>
短繊維紡績布の片面全面に下記配合組成の塗工液をドクターナイフで均一にコーティングし、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させて熱可塑性樹脂塗膜層を形成した。塗工液の乾燥付着量は46g/m2 であった。次にもう一方の片面全面に同一の塗工液を同様の方法でコーティングし、もう一方の面に対し乾燥付着量43g/m2 の熱可塑性樹脂塗膜層を形成した。得られた両面描画用シートの厚さは、0.28mm、質量334g/m2 、また、ハンター白色度Wは94、シートの光透過率は3.8%であった。
<熱可塑性樹脂塗膜層を形成する塗工液>
Figure 0003893481
〔註〕この熱可塑性樹脂塗膜層が含有する白色微粒子(シリカ)量は熱可塑性樹脂に対して20質量%、また、ハロゲン非含有難燃性付与剤(ポリリン酸アンモニウム、メラミン・シアヌレート)の総和量は熱可塑性樹脂に対して30質量%であった。
【0074】
〔実施例2〕
実施例1の短繊維紡績糸条の製造において、セラミック物質(酸化チタン)3質量部を平均粒子径0.6μmの酸化ジルコニウム3質量部(PET樹脂に対して3質量%)に置き換え、実施例1と同様の手順によって得られた20番双糸を、実施例1と同様に製織して得た平織短繊維紡績布を用いた。また、熱可塑性樹脂塗膜層を形成する塗工液の組成中の白色微粒子20質量部をシリカ(商標:ニップシールE−220)からプロテイン(商標:出光シルクパウダーK−30:平均粒子径3〜4μm:出光石油化学工業(株))に置き換えて配合した。上記以外は実施例1と同一として、実施例1と同様の手順によって厚さが、0.28mm、質量334g/m2 、また、ハンター白色度Wが96であり、シートの光透過率が3.3%の両面描画用シートを得た。
〔註〕この熱可塑性樹脂塗膜層が含有する白色微粒子(プロテイン)量は熱可塑性樹脂に対して20質量%、また、ハロゲン非含有難燃性付与剤(ポリリン酸アンモニウム、メラミン・シアヌレート)の総和量は熱可塑性樹脂に対して30質量%であった。
【0075】
〔実施例3〕
i).<短繊維紡績糸条>
ポリプロピレン樹脂(商標:グランドポリプロS106LA:(株)グランドポリマー:メルトロフローレート15g/10min /230℃、密度0.91)に対し平均粒子径0.6μmの酸化チタンを3質量%(ポリプロピレン樹脂100質量部に対して3質量部)配合したコンパウンドを押出機で溶融混練し、溶融紡糸機を使用して220℃で溶融紡糸した収束粗糸を温度50℃で倍率4.5倍に延伸し、これに撚りを掛けてフィラメント数196のマルチフィラメント原糸(326dtex)を得た。次にこの紡糸原糸を6cmに切断して得られたステープルを開繊し、ダブリングドラフトを掛けながら練条したスライバを引き伸ばして繊維平行度を一定に揃えてロービング(粗糸)として、これに16回/2.54cmの撚りとドラフトを掛けてトウ紡績した粗糸(295dtex)2本を、撚数12回/2.54cmで合撚し、これを100℃で熱セットして295dtex/×2の20番双糸(590dtex)を得た。
ii).<短繊維紡績布>
得られたポリプロピレン20番双糸を経糸、及び緯糸に用いてシャットルレス織機でエアジェット製織した平織短繊維紡績布(経糸密度:45本/2.54cm×緯糸密度:42本/2.54cm:空隙率1%以下:布帛質量218g/m2 )を繊維布帛(基布)として用いた。
iii).<熱可塑性樹脂塗膜層の形成>
実施例1の熱可塑性樹脂塗膜層の形成に用いた塗工液の無黄変型エステル系ポリウレタン樹脂エマルジョン(商標:アデカボンタイターHUX290H)145質量部をエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン(商標:パンフレックOM5500(固形分55質量%):(株)クラレ)164質量部に置き換えた以外は実施例1と同一として、ポリプロピレン短繊維紡績布の片面全面に上記塗工液を実施例1と同様の手順でコーティングし、熱可塑性樹脂塗膜層を形成した。得られた両面描画用シートの厚さは、0.30mm、質量は307g/m2 また、ハンター白色度Wは94であり、シートの光透過率は3.9%であった。
【0076】
〔実施例4〕
i).<短繊維紡績糸条>
重合度1700のポリビニルアルコール樹脂を15質量%濃度で酢酸ナトリウムと共に水に加熱溶解したものに、平均粒子径0.6μmの酸化チタンを3質量%(ポリビニルアルコール100質量部に対して3質量部)配合したものを紡糸原液として、これを紡糸口金から押出し、ボウ硝水溶液凝固浴槽中に湿式紡糸して、得られた紡糸原糸を3.2倍に湿熱延伸後、220℃で熱処理して防糸原糸とし、次にホルムアルデヒド水溶液浴中でアセタール化(変性)し、さらに220℃で熱処理した収束粗糸を6cmに切断して得られたステープルを開繊し、ダブリングドラフトを掛けながら練条したスライバを引き伸ばして繊維平行度を一定に揃えてロービング(粗糸)として、これに16回/2.54cmの撚りとドラフトを掛けてトウ紡績した粗糸(295dtex)2本を、撚数12回/2.54cmで合撚し、これを160℃で熱セットして295dtex/×2の20番双糸(590dtex)を得た。
ii).<短繊維紡績布>
得られた変性ポリビニルアルコール20番双糸を経糸、及び緯糸に用いてシャットルレス織機でエアジェット製織した平織短繊維紡績布(経糸密度:48本/2.54cm×緯糸密度:44本/2.54cm:空隙率1%以下:布帛質量234g/m2 )を繊維布帛(基布)として用いた。
iii).<熱可塑性樹脂塗膜層の形成>
変性ポリビニルアルコール短繊維紡績布の片面全面に実施例1と同一の、塗工液を、実施例1と同様の手順でコーティングして熱可塑性樹脂塗膜層を形成した。得られた両面描画用シートの厚さは、0.28mm、質量は323g/m2 また、ハンター白色度Wは94であり、シートの光透過率は3.8%であった。
【0077】
〔実施例5〕
i).<マルチフィラメント糸条>
極限粘度0.69、融点256℃のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂に対し平均粒子径0.6μmの酸化チタンを3質量%(PET100質量部に対して3質量部)配合したコンパウンドを押出機で溶融混練し、溶融紡糸機を使用して270℃で溶融紡糸した収束粗糸を温度60℃で倍率3.8倍に延伸し、これに撚りを掛けてフィラメント数196のマルチフィラメント原糸(555dtex)を得た。これに16回/2.54cmの撚りとドラフトを掛け、160℃で熱セットして555dtexのPETマルチフィラメント糸条を得た。
ii).<フィラメント織布>
得られた555dtexのPETマルチフィラメント糸条を経糸、及び緯糸に用いてシャットルレス織機でエアジェット製織した平織フィラメント織布(経糸密度:17本/2.54cm×緯糸密度:17本/2.54cm:空隙率21%:布帛質量96g/m2 )を繊維布帛(基布)として用いた。
iii).<熱可塑性樹脂塗膜層の形成>
PET平織フィラメント織布を実施例2の塗工液と同一の塗工液浴中に浸漬し、織布に塗工液を含浸付着させ、これを引き上げると同時に硬質ゴム製のマングルロールで圧搾して、余分な塗工液を除去し、100℃の熱風炉内で1分間乾燥させて熱可塑性樹脂塗膜層を形成した。塗工液の乾燥付着量は24g/m2 であった。得られたメッシュ状両面描画用シートの厚さは、0.25mm、質量は120g/m2 、また、ハンター白色度Wは95、シートの非空隙部の光透過率は3.5%であった。この光透過率は平織フィラメント織布(経糸密度:555dtex30本/2.54cm×緯糸密度:555dtex30本/2.54cm:空隙率1%以下:布帛質量172g/m2 )を用いて実施例5と同様の手順によって得た、厚さ0.25mm、質量210g/m2 の両面描画用シートの光透過率と同一であった。
【0078】
〔実施例6〕
i).<熱可塑性樹脂塗膜層の形成>
実施例5と同一のPET平織フィラメント織布を用い、下記組成からなる樹脂溶液浴中に織布を浸漬し、織布に樹脂液を含浸付着させ、これを引き上げると同時に硬質ゴム製のマングルロールで圧搾して、余分な樹脂液を除去し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させて熱可塑性樹脂被膜層を形成した。樹脂液の乾燥付着量は26g/m2 であり、ハンター白色度Wは93であった。
<熱可塑性樹脂被覆層を形成する塗工液>
商標:アデカボンタイターHUX290H:無黄変型エステル系ポリウレタン樹脂:固形分濃度62質量%:旭電化工業(株) 162質量部
商標:エクソリットAP423:ポリリン酸アンモニウム(重合度n=1000):クラリアントジャパン(株) 20質量部
商標:MC640:メラミン・シアヌレート:日産化学(株) 10質量部
商標:ULS−383MG:一方社油脂工業(株):ベンゾフェノン系高分子エマルジョン(固形分30質量%) 4質量部
商標:リュウダイ−W69ホワイト:大日本インキ化学工業(株):ルチル型酸化チタン(固形分50質量%) 2質量部
〔註〕この熱可塑性樹脂被覆層が含有するハロゲン非含有難燃性付与剤(ポリリン酸アンモニウム、メラミン・シアヌレート)の総和量は熱可塑性樹脂に対して30質量%であった。
ii).<熱可塑性樹脂塗膜層の形成>
熱可塑性樹脂被覆層を形成したPET平織フィラメント織布(質量122g/m2 )を、実施例1と同一の熱可塑性樹脂塗膜層を形成する塗工液浴中に浸漬し、塗工液をさらに表面に付着させ、これを引き上げると同時に硬質ゴム製のマングルロールで圧搾して、余分な塗工液を除去し、100℃の熱風炉内で1分間乾燥させて熱可塑性樹脂塗膜層を形成した。塗工液の乾燥付着量は13g/m2 であった。得られたメッシュ状両面描画用シートの厚さは、0.26mm、質量は133g/m2 、また、ハンター白色度は94、シートの非空隙部の光透過率は1.2%であった。この光透過率は平織フィラメント織布(経糸密度:555dtex30本/2.54cm×緯糸密度:555dtex30本/2.54cm:空隙率1%以下:布帛質量172g/m2 )を用いて実施例6と同様の手順によって得た、厚さ0.26mm、質量237g/m2 の両面描画用シートの光透過率と同一であった。
【0079】
〔実施例7〕
i).<マルチフィラメント糸条>
極限粘度0.69、融点256℃のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂に対し平均粒子径0.6μmの酸化チタンを3質量%(PET100質量部に対して3質量部)配合したコンパウンドを押出機で溶融混練し、溶融紡糸機を使用して270℃で溶融紡糸した収束粗糸を温度60℃で倍率3.8倍に延伸し、これに撚りを掛けてフィラメント数294のマルチフィラメント原糸(833dtex)を得た。これに16回/2.54cmの撚りとドラフトを掛け、160℃で熱セットして833dtexのPETマルチフィラメント糸条を得た。
ii).<フィラメント織布>
得られた833dtexのPETマルチフィラメント糸条を経糸、及び緯糸に用いてシャットルレス織機でエアジェット製織した平織フィラメント織布(経糸密度:23本/2.54cm×緯糸密度:24本/2.54cm:空隙率16%:布帛質量136g/m2 )を繊維布帛(基布)として用いた。
iii).<熱可塑性樹脂被覆層の形成>
下記配合組成からなるポリエステル系樹脂コンパウンドを160℃に温度設定のバンバリーミキサーで溶融混練し、次に180℃に温度設定したカレンダーフィルム製造装置を用いて厚さ0.14mmのポリエステル系樹脂フィルムを作製した。次に、得られたフィルムを180℃に温度設定したラミネート装置を使用して、平織フィラメント織布の両面に熱ラミネート法で被覆して、厚さ、0.48mm、質量532g/m2 、ハンター白色度94のポリエステル系樹脂製ターポリンを得た。
<熱可塑性樹脂被覆層を形成するコンパウンド組成>
商標:ハイトレル3548W:東レ・デュポン(株) ポリエーテル・エステル:硬度85A 100質量部
商標:エクソリットAP423:クラリアントジャパン(株) ポリリン酸アンモニウム(重合度n=1000) 20質量部
商標:MC−640:メラミン・シアヌレート:日産化学(株) 10質量部
商標:イルガノックスE201:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株):ビタミンE系化合物酸化防止剤 0.2質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.2質量部
商標:LicowaxE:クラリアントジャパン(株):モンタン酸エステルワックス 0.2質量部
商標:酸化チタンCR:ルチル型:石原産業(株) 5質量部
〔註〕この熱可塑性樹脂被覆層が含有するハロゲン非含有難燃性付与剤(ポリリン酸アンモニウム、メラミン・シアヌレート)の総和量は熱可塑性樹脂に対して30質量%であった。
【0080】
iv).<熱可塑性樹脂塗膜層の形成>
ポリエステル系樹脂製ターポリンの片面に、実施例1と同一の熱可塑性樹脂塗膜層を形成する塗工液をコンマコーターを用いてクリアランスコートし、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させて熱可塑性樹脂塗膜層を形成した。塗工液の乾燥付着量は16g/m2 であった。次にもう一方の片面全面に同一の塗工液を同様の方法でコーティングし、もう一方の面に対し乾燥付着量16g/m2 の熱可塑性樹脂塗膜層を形成した。得られた両面描画用シートの厚さは、0.52mm、質量564g/m2 、また、ハンター白色度Wは94であり、シートの光透過率は1.1%であった。
【0081】
〔実施例8〕
i).<テープ糸条>
ポリプロピレン樹脂(商標:グランドポリプロS106LA:(株)グランドポリマー:メルトフローレート15g/10min /230℃、密度0.91)に対し平均粒子径0.6μmの酸化チタンを3質量%(ポリプロピレン樹脂100質量部に対して3質量部)配合したコンパウンドを押出機で溶融混練し、Tダイス押出機を使用して220℃でフィルム状に押し出した200μm厚のフィルムを、16mm幅で流れ方向にスリットし、これを1軸(流れ)方向に4倍に延伸して4mm幅、1132dtexのテープ状糸条(フラットヤーン)を得た。
ii).<織布>
得られた1132dtexのポリプロピレンテープ糸状を経糸、及び緯糸を用いて製織した平織フラットヤーン織布(経糸密度:6.3本/2.54cm×緯糸密度:6.3本/2.54cm:空隙率1%:布帛質量125g/m2 )を繊維布帛(基布)として用いた。
iii).<熱可塑性樹脂被覆層の形成>
下記配合組成からなるポリプロピレン系樹脂コンパウンドを140℃に温度設定のバンバリーミキサーで溶融混練し、次に170℃に温度設定したカレンダーフィルム製造装置を用いて厚さ0.14mmのポリプロピレン系樹脂フィルムを作製した。次に、得られたフィルムを170℃に温度設定したラミネート装置を使用して、平織フラットヤーン織布の両面に熱ラミネート法で被覆して、厚さ、0.38mm、質量404g/m2 、ハンター白色度95のポリプロピレン系樹脂製ターポリンを得た。
<熱可塑性樹脂被覆層を形成するコンパウンド組成>
商標:出光TPO/E−2640:出光石油化学(株):MFR2.5g/10min /230℃:シンジオタクティックポリプロピレン 75質量部
商標:ハイブラー7125(HVS−3):(株)クラレ:スチレン−水素添加ビニルイソプレン−スチレン共重合樹脂:MFR6.0g/10min /230℃:スチレン含有量20質量% 25質量部
商標:エクソリットAP423:クラリアントジャパン(株) ポリリン酸アンモニウム(重合度n=1000) 20質量部
商標:MC−640:メラミン・シアヌレート:日産化学(株) 10質量部
商標:イルガノックスE201:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株):ビタミンE系化合物酸化防止剤 0.2質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.2質量部
商標:LicowaxE:クラリアントジャパン(株):モンタン酸エステルワックス 0.2質量部
商標:酸化チタンCR:ルチル型:石原産業(株) 5質量部
〔註〕この熱可塑性樹脂被覆層が含有するハロゲン非含有難燃性付与剤(ポリリン酸アンモニウム、メラミン・シアヌレート)の総和量は熱可塑性樹脂に対して30質量%であった。
【0082】
iv).<熱可塑性樹脂塗膜層の形成>
ポリプロピレン系樹脂製ターポリンの片面に、実施例2と同一の熱可塑性樹脂塗膜層を形成する塗工液をコンマコーターを用いてクリアランスコートし、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させて熱可塑性樹脂塗膜層を形成した。塗工液の乾燥付着量は16g/m2 であった。次にもう一方の片面全面に同一の塗工液を同様の方法でコーティングし、もう一方の面に対し乾燥付着量16g/m2 の熱可塑性樹脂塗膜層を形成した。得られた両面描画用シートの厚さは、0.41mm、質量436g/m2 、また、ハンター白色度Wは96であり、シートの光透過率は0.7%であった。
【0083】
【表1】
Figure 0003893481
【0084】
〔実施例の効果〕
実施例1〜8で得られた、描画性の熱可塑性樹脂塗膜層を繊維布帛の両面に設けたシート(実施例1〜4はクロス調シート、実施例4,5はメッシュ状シート、実施例7,8はターポリン)に市販のインクジェットプリンター(水性インク及び、溶剤系インク)を用いて印刷を施した結果、本発明に於いて熱可塑性樹脂塗膜層のハンター白色度Wを85以上、特に90以上に規定したことによって、印刷描画の色彩が鮮明、かつ美麗なものとなった。また、実施例1〜8で得られたシートは、その光透過率を5%以内(但し、メッシュ状シートの場合、非空隙部分のみの光透過率に限定する)に規定したことによって、互いに印刷描画が裏映りしない両面に描画を施したシートを得ることができた。また、実施例1〜8で得られたシートは、消防法施工規則に定められている防炎性(防炎試験)を満足しているため、屋内外での広告用途、またはディスプレイ用途に於いて長期間設置可能なものである。さらに実施例の両面描画用シートは、ハロゲン原子を極力含有しない樹脂設計、及び防炎設計に基づいて完成させたものであるため、焼却処理の際に有毒なハロゲン化水素ガス、及びダイオキシン誘導体などを発生する心配の極めて少ないものである。尚、本発明のシートにインクジェット印刷を行う場合には、インク成分に含まれる有機系化合物顔料の化学構造に於いて、ハロゲン原子を含まない有機系化合物顔料からなるインクを使用することが好ましい。
【0085】
〔比較例1〜4〕
実施例1〜4で使用した繊維布帛(セラミック物質を含有する繊維糸条により製織)を、比較例1〜4(実施例1〜4に対応する)では、それぞれ繊維糸条からセラミック物質の配合を全て省き、同一熱可塑性樹脂、同一繊度からなる繊維糸条、及び同一織組織の繊維布帛(通常の繊維布帛)に変更した。また、繊維布帛の変更以外の設計、及び手順などは実施例1〜4と同一である。得られたクロス調シートにインクジェット印刷し、両面描画を施した結果、描画の鮮明性と発色性に優れるものではあったが、互いの描画が裏映りして重なり合ってしまい、非常に見苦しいものとなった。
【0086】
〔比較例5〕
実施例7の繊維布帛(セラミック物質を含有するマルチフィラメント糸条により製織)を、マルチフィラメント糸条からセラミック物質の配合を全て省き、同一熱可塑性樹脂、同一繊度からなるマルチフィラメント糸条、及び同一織組織の繊維布帛(通常の繊維布帛)に変更した。また、繊維布帛の変更以外にとして、実施例7の熱可塑性樹脂被覆層から、ハロゲン非含有難燃性付与剤(商標:エクソリットAP423<ポリリン酸アンモニウム>20質量部と商標:MC−640<メラミン・シアヌレート>10質量部)を全て省いた。これらの変更以外の設計、及び手順などは実施例7と同一である。得られたターポリンシートにインクジェット印刷し、両面描画を施した結果、描画の鮮明性と発色性に優れるものではあったが、互いの描画の陰影が裏映りして重なり合ってしまい、見苦しいものとなった。また、このターポリンシートでは消防法施工規則に定められている防炎性(防炎試験)を満足できるものではなかった。
【0087】
〔比較例6〕
実施例8の繊維布帛(セラミック物質を含有するテープ状糸状により製織)を、テープ状糸状からセラミック物質の配合を全て省き、替わりにカーボンブラック(商標:ハイコンクマスターHCM1717ブラック:大日精化工業(株):カーボンブラック10質量%含有マスターバッチ)を3質量部に置き換えて同一繊度からなる黒色テープ状糸条を製造し、実施例8と同一織組織の繊維布帛を得た。また、繊維布帛の変更以外にとして、実施例8の熱可塑性樹脂被覆層から、ハロゲン非含有難燃性付与剤(商標:エクソリットAP423<ポリリン酸アンモニウム>20質量部と商標:MC−640<メラミン・シアヌレート>10質量部)を全て省いた。これらの変更以外の設計、及び手順などは実施例8と同一である。得られたターポリンシートにインクジェット印刷し、両面描画を施した結果、互いの描画が裏映りして重なり合う不都合はなかったが、熱可塑性樹脂塗膜層が灰色にくすみ、描画の鮮明性と発色性とを阻害するもので、装飾性やデザイン性に乏しいものであった。また、このターポリンシートでは消防法施工規則に定められている防炎性(防炎試験)を満足できるものではなかった。
【0088】
【表2】
Figure 0003893481
【0089】
【発明の効果】
本発明の両面描画用シートはインクジェット印刷に適し、特に精緻な印刷画像をシートの両面描画するのに適した材料であり、これらはクロスシート、ターポリンシート、メッシュシートなどの形態で産業資材シート、及び広告媒体として屋内外で使用することができる。また、本発明の両面描画シートは消防法施工規則に定められている防炎性を有するため、大型広告媒体にも使用することができるものである。さらに本発明の両面描画用シートは、廃品を焼却処分するに際しても、有毒なハロゲン化水素ガス、及びダイオキシン誘導体などを発生する心配の極めて少ないものである。尚、本発明のシートにインクジェット印刷を行う場合には、インク成分に含まれる有機系化合物顔料の化学構造に於いて、ハロゲン原子を含まない有機系化合物顔料からなるインクを使用することが望ましい。

Claims (15)

  1. 熱可塑性樹脂を紡糸原料として含む繊維により形成された繊維布帛からなる基布と、この基布の表裏両面上に形成され、かつ熱可塑性樹脂を含む表・裏両面塗膜層とを含み、
    前記基布用繊維がそれを形成する前記熱可塑性樹脂の質量に対し、0.1〜20質量%の、前記熱可塑性樹脂中に含まれているか、或は、繊維表面上に担持されているセラミック物質を含み、
    前記表・裏両面熱可塑性樹脂塗膜層が、それぞれ互に独立に、85〜100のハンター白色度W値(JIS P 8123)を有することを特徴とする両面描画用シート。
  2. 前記基布の表裏面と、その上の前記表裏両面熱可塑性樹脂塗膜層との間に85〜100のハンター白色度W値を有する、又は、無色透明な熱可塑性樹脂被覆層がさらに形成されている、請求項1に記載の両面描画用シート。
  3. 前記セラミック物質が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及び、窒化ホウ素から選ばれた1種以上の白色微粒子を含む、請求項1または2に記載の両面描画用シート。
  4. 前記基布用繊維布帛が、マルチフィラメント糸条、モノフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、スプリット糸条、及び、テープ糸条から選ばれた1種以上により構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の両面描画用シート。
  5. 前記基布用熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、アクリル、ポリビニルアルコール、レーヨン、アセテート、及び、これらの変性体から選ばれた1種以上を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の両面描画用シート。
  6. 前記基布用繊維布帛が、前記セラミック物質が練り込まれている熱可塑性樹脂を溶融紡糸して形成された繊維、または、前記セラミック物質が分散含有されている熱可塑性樹脂溶液を乾式又は湿式紡糸して形成された繊維、あるいは、前記セラミック物質で表面被覆された繊維から選ばれた1種以上を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の両面描画用シート。
  7. 前記表裏両面熱可塑性樹脂塗膜層が、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン系共重合体樹脂、及び、ポリビニルアルコール樹脂から選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂を含有する溶液の塗工/乾燥によって形成されたものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の両面描画用シート。
  8. 前記表裏両面熱可塑性樹脂塗膜層が、熱可塑性樹脂の質量に対して10〜60質量%の白色微粒子を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の両面描画用シート。
  9. 前記表裏両面熱可塑性樹脂塗膜層が、熱可塑性樹脂の質量に対して10〜100質量%のハロゲン非含有難燃性付与剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の両面描画用シート。
  10. 前記表裏両面熱可塑性樹脂被覆層が、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びスチレン系樹脂から選ばれた1種以上を含む、請求項2〜9のいずれか1項に記載の両面描画用シート。
  11. 前記熱可塑性樹脂被覆層が、それを形成する前記熱可塑性樹脂の質量に対して10〜100質量%のハロゲン非含有難燃性付与剤を含む、請求項2〜10のいずれか1項に記載の両面描画用シート。
  12. 前記ハロゲン非含有難燃性付与剤が、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属硫酸塩化合物、ホウ酸化合物、無機系化合物複合体、金属リン酸塩、金属有機リン酸塩、リン酸誘導体、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム誘導体化合物、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及び、これらの誘導体化合物から選ばれた1種以上を含むものである、請求項9又は11に記載の両面描画用シート。
  13. 0〜5%の光透過率(JIS L−1055A法準拠)を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の両面描画用シート。
  14. 前記表裏両面に、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、及び、インクジェット印刷から選ばれたいずれかの印刷法による描画が施されている、表裏の描画が互いに裏映りしない、請求項1〜13のいずれか1項に記載の両面描画用シート。
  15. 前記インクジェット印刷が、水性インク、溶剤系インク、及び、油性インクから選ばれたいずれかを用いて施されている、請求項14に記載の両面描画用シート。
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