JP3892531B2 - 木質材の寸法安定化方法 - Google Patents
木質材の寸法安定化方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3892531B2 JP3892531B2 JP16233797A JP16233797A JP3892531B2 JP 3892531 B2 JP3892531 B2 JP 3892531B2 JP 16233797 A JP16233797 A JP 16233797A JP 16233797 A JP16233797 A JP 16233797A JP 3892531 B2 JP3892531 B2 JP 3892531B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sealed space
- pressure steam
- wood material
- space
- size
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Chemical And Physical Treatments For Wood And The Like (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は木質材の寸法安定化処理方法に関し、特に、木質材の内部に高圧水蒸気を供給することにより木質材の寸法安定性を向上させるようにした木質材の処理方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
木材は水分の吸放出により膨潤又は収縮する。このことは無垢の挽き板、木材薄板(厚さ0.2mm〜10mm程度)やパーティクルボード、MDF(中質繊維板)、OSB(配向性ストランドボード)等でも同様である。建築用あるいは家具用材料として木質材を用いる場合には、環境により木質材が膨潤又は収縮することは好ましくなく、環境に左右されない寸法安定性を持つことが望まれる。
【0003】
そのための対策として、プレス盤で木質材を上下に挟持してオートクレーブ内に入れ、高圧水蒸気で数分間処理して木質材の寸法安定化を図る方法等が行われている。しかし、この方法は設備が大がかりであることに加え、木質材内部(中央部)への高圧水蒸気の浸透が難しく、木質材の中央部と周辺部での処理状態が異なる場合が生じる。
【0004】
本出願人は、その不都合を解消すべく多くの実験と研究を行い、従来の木材処理で用いられる熱盤を持つ平盤プレスの熱盤間に処理すべき木質材を配置し、さらにその周囲に弾性シリコン材等の弾性密封材料と、さらにその周囲にステンレス材等の材料で作られる厚さ規制治具であって処理すべき木質材の厚みと同じか幾分低い高さである厚さ規制治具とを配置し、プレス盤の移動により密封して密封空間を形成し、該密封空間内に上下の熱盤に設けた蒸気供給孔から高圧水蒸気を供与して高圧水蒸気による木質材の寸法安定化を図る方法を提案した(特開平6−238616号公報)。
【0005】
上記の処理方法は、木材の圧締や複合材の製造に用いられる通常の熱盤を持つ平盤プレスを用いて行うことができ、木質材の寸法安定化処理が簡素化される。さらに、この高圧水蒸気による木質材の寸法安定化処理は、フェノールやホルマリンのような薬剤を使わずに木質材に寸法安定化処理を施すことができ、処理後も薬剤が残らないクリーンな方法であることからも有用である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記処理方法による木質材の寸法安定化を実施していく過程において、木質材の比重や厚さ・大きさ、その表面状態等によっては、木質材の内部に高圧水蒸気が均一に供与されず、その結果、所期の寸法安定性が達成されない場合があることを経験した。
【0007】
また、平板状の木質材の場合、表裏面と比較して木口面からの高圧水蒸気の侵入は容易であるが、従来行われている寸法安定化処理方法では、上下のプレス盤側から高圧水蒸気を供給しており、その結果木質材内部への高圧水蒸気の侵入は、主として該木質材の表裏面側から行われるので、高圧水蒸気の木質材内部への侵入に長い時間を要している。高圧水蒸気(飽和水蒸気又は過熱水蒸気)を得るには高いエネルギーが必要であり、処理コストを高騰させないために、必要とされる高圧水蒸気量はできるだけ少なくすることが望まれる。
【0008】
また、低くても8〜10%程度の含水率であり、温度が15〜25℃程度である常温、常態にある木質材をそのまま熱盤プレス間等に形成された密封空間に配置する場合、当該木質材に含まれる水分が水蒸気化する温度までに木質材を昇温させ、かつ、水分を高圧水蒸気化するのに、高いコストをかけて製造した高圧水蒸気の持つエネルギーを使用することは、処理時間の面及びエネルギーの面でロスがあるといえる。また、処理すべき木質材が無垢の挽き板や木材薄板のように自然木から製板した板材の場合には、前記のように内部水分が発散しにくいこと、高圧水蒸気が侵入しにくいことから、処理に時間がかかる。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、外から供給する高圧水蒸気が木質材内部への侵入するのを容易化し、それにより、高圧水蒸気処理に要する時間を短縮化しての処理コストの低減を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、木質材を密封空間内に収容し、該密封空間内を減圧した後に、該減圧された密封空間内へ高圧水蒸気を導入して該木質材の高圧水蒸気処理による寸法安定化を図る木質材の寸法安定化処理方法であって、該木質材表面と密封空間との間に網状体を介在させた状態で木質材を密封空間を構成する上下面によって挟持し、その状態で該密封空間の減圧及び該減圧された密封空間内への高圧水蒸気の供給を行い、かつ、該密封空間内の減圧は、密封空間の上下面の一方又は双方側からの真空引きにより、又は、密封空間の側面側からの真空引きにより、又は、密封空間の側面側及び上下面の一方又は双方の側から真空引きにより、行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明において、前記密封空間内への高圧水蒸気の供給は、密封空間の減圧状態が確立された後であれば、どのような位置からどのような態様で行ってもよく、例えば、前記密封空間の側面、上面、又は下面のいずれか、あるいはそれらの任意の面の組み合わせからの噴出により行うようにしてもよく、さらに、該密封空間内の減圧を密封空間の上下面の一方面からの真空引きで行い、減圧状態が確立された後に真空引きを停止し、密封空間の上下面の他方の面から、さらには必要に応じて、該密封空間の側面側から、高圧水蒸気の供給を行うようにしてもよい。
【0012】
さらに、高圧水蒸気の供給を開始した後に、密封空間の真空引きを停止してもよく、高圧水蒸気の供給と並行して密封空間内の真空引きを継続して行うようにしてもよい。
【0013】
本発明において、処理すべき木質材に特に制限はなく、無垢の挽き板や木材単板のように自然木から製材した板材だけでなく、MDF、OSBやパーティクルボード等の木質加工材料も処理可能である。自然木から製材した板材の場合に、プレス盤により加圧圧縮を施しながら、本発明の処理を行なうことは特に有効である。
【0014】
本発明において、密封空間は、好ましくは、木材の圧締や複合材の製造に従来用いられる平盤プレスのプレス盤間に形成されるが、これに限らない。また、プレス盤を用いる場合に、熱源を有するもの、有しないもののいずれであってもよい。プレス盤が外部に連通する多数の細孔を有するものである場合には、一方のプレス盤の該細孔を従来公知の高圧水蒸気発生源に適宜の配管及び弁手段等を介して接続し、他方のプレス盤の細孔を従来公知の好ましくは耐熱性の真空ポンプ等の真空引き源にやはり適宜の配管及び弁手段等を介して接続する。好ましくは、真空引き側の配管には吸引ブロアーが配置される。それにより、プレス盤を介して木質材を収容した密封空間内を真空引きして減圧状態とし、かつ、高圧水蒸気を供給することが可能となる。上下のプレス盤の一方又は双方の細孔を真空引き源と高圧水蒸気源とに切り替え自在に接続し、上下のプレス盤の一方又は双方から真空引きを行い、所定の減圧状態に到達した時点で、真空引き源から高圧水蒸気源側に切り替え、上下のプレス盤の一方又は双方から高圧水蒸気の供給を行うようにしてもよい。
【0015】
水蒸気の供給及び真空引きの他の方法として、上下のプレス盤と木質材との間に、上下面及び必要な場合には側面に多数の細孔を有し、かつ耐圧性、耐熱性を有する別部材を配置して行なうようにしてもよい。その場合には、該別部材に形成した細孔を前記プレス盤に形成した細孔の場合と同様にして、蒸気発生源及び/又は真空引き源に接続する。それにより、前記別部材の細孔を介して密封空間の減圧と高圧水蒸気の供給が可能となる。この種の別部材の好ましい態様は処理すべき木質材を収容できる内部空間を持つ箱状部材と該内部空間を密閉する蓋部材とから構成される。
【0016】
本発明において、処理すべき木質材は、その当初厚みに等しいかそれよりわずかに狭い高さを持つ密封空間内に配置され、挟持される。すなわち、本発明において「挟持される」とは、非圧縮状態での挟持のみならず、加圧圧縮しながら挟持される態様も含まれる。該挟持により、木質材表面と密封空間の上面及び下面とは密着した状態となり、噴出する高圧水蒸気の木質材内部の侵入が確実化する。
【0017】
メッシュの小さい網状体、例えば金網を、木質材の上下面又はいずれかの面に配置するか、あるいは、密封空間の上下の内面の双方又はいずれかの面に取り付けた状態で、上記処理を行うことも可能であり、それにより、供給される高圧水蒸気の分散が確実化され、短時間でのかつ均一な処理が可能となる。
【0018】
2枚のプレス盤間に密封空間を形成する好ましい態様では、木質材の周囲に、その当初厚みと等しいかわずかに低い高さの厚さ規制治具を配置する。厚さ規制治具の材料は必要な剛性と耐熱性を持つ部材であればよく、アルミ材、ステンレス材等が好ましく用いられる。前記のように、別部材として箱状部材と蓋部材とからなるものを用いる場合には、それ自体で厚さ(高さ)が規制された密封空間を形成することが可能であり、厚さ規制治具を用いることは必ずしも必要でない。この場合には、例えば、上下のプレス盤間の距離を測定し、該測定値に基づきプレス盤の移動距離を所望距離に制御するような手段によって、木質材の当初厚みと等しいかわずかに低い高さを持つ密封空間を内部に形成することが可能である。
【0019】
また、厚さ規制治具を配置する場合、この厚さ規制治具の内面側に多くの細孔を形成し、該細孔を高圧水蒸気発生源及び/又は真空引き源に接続するようにしてもよい。この場合には、該厚さ規制治具の側面からの真空引き及び/又は高圧水蒸気の供給が可能となり、寸法安定化処理方法の一層の均質化と迅速化が確保される。
【0020】
2枚のプレス盤間に密封空間を形成する場合、厚さ規制治具よりも高さの高い弾性密封材料を、厚さ規制治具と共に配置することは有効である。該弾性密封材料としては、プレス盤あるいは前記別部材から噴出する高圧水蒸気を外方に漏出しないだけの密封機能を持ちかつ耐熱性と圧縮性のある材料であれば使用可能であるが、シリコン弾性パッキン材は特に好ましい。この場合に、好ましくは前記厚さ規制治具は弾性密封材料の外側に配置する。
【0021】
2枚のプレス盤間に密封空間を形成する場合、必要に応じてプレス盤を熱源により供給しようとする高圧水蒸気の温度よりも若干高い温度にまで加熱した状態で、上下のプレス盤を接近させ、2枚のプレス盤(又は別部材)の間に木質材を収容する。それにより、密封空間は高温状態となり、後で供給する高圧水蒸気の熱損失を低減することができる。その状態では、真空引きを開始し、好ましくは、60〜750mmHg程度に減圧した状態となった時点で、密封空間内に飽和水蒸気又は過熱水蒸気(飽和水蒸気より高い温度の水蒸気)を噴出する。この時点では真空ポンプ等の真空引き手段は停止させてもよく、停止せずに真空引きを継続した状態で高圧水蒸気の供給を行ってもよい。いずれの場合でも、密封空間が減圧状態とされていることから、細孔から木質材に向けて噴出される高圧水蒸気は木質材の表面及び周囲から短時間で木質材の内部にまで侵入し、等しくかつ均一に行き渡る。その結果、寸法安定化処理が全域にわたり迅速に進行する。また、高圧水蒸気の外部への放出が抑制され、蒸気のロスを無くすことができる。前記のようにして減圧状態とされ、かつ好ましくは加熱状態とされた密封空間内に高圧水蒸気を所定量供給した後に、再び真空引きをしながら高圧水蒸気の供給を行うようにしてもよく、この場合には、高圧水蒸気の有効利用と共に処理の迅速化が可能となる。
【0022】
なお、処理条件は対象となる木質材の種類及び寸法等によって実験的に最適値が定められるが、高圧水蒸気の圧力は数kgf/cm2 〜30kgf/cm2 、温度は150℃〜230℃程度が好ましい。
【0023】
所定の高圧水蒸気の噴出を終えた後にすぐに高圧水蒸気を大気に解放して解圧を行なってもよく、しばらく所定時間放置してから高圧水蒸気を大気に解放して解圧を行ってもよい。解圧は一定時間をかけて徐々に行うようにしてもよく、また熱盤に冷却水を供給していわゆるコールドの状態で行ってもよい。実験によれば徐々に解圧を行う場合よりもコールド状態で解圧を行う場合のほうが得られた最終製品の寸法変化率は小さくかつ表面状態も滑らかなものであった。
【0024】
高圧水蒸気処理を施す木質材として、予め加熱されて昇温しかつ自然乾燥状態よりも含水率が低くされた木質材を用いることもできる。この場合には、高圧水蒸気処理が開始する温度までに木質材が昇温する時間は短縮され、また、木質材の含水率分の水蒸気化に要する供給高圧水蒸気のエネルギーの量を低減できる。それにより、高圧水蒸気処理でのエネルギーの損失は回避され、密封空間内の寸法安定化処理に要する時間も短縮される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明をさらに詳細に説明する。図1は本発明の木質材の寸法安定化処理方法を実施する装置の一例を示している。図において、1a、1bは、従来の木材処理で用いられる平板プレスに装着されると同様のプレス盤であり、それぞれに熱源としてのヒータ2a、2bが設けられ、さらに、表面部分には多数の細孔3a、3bが形成されている。上方のプレス盤1aに形成された細孔3aは配管4a及び開閉弁Vを介して高圧水蒸気発生源Sに接続しており、下方のプレス盤1bに形成された細孔3bは配管4bを介して真空ポンプVPに接続している。真空ポンプに変えてブロアー(図1には示されない)を用いてもよい。さらに、上方のプレス盤1aには、処理しようとする木質材Wの当初厚さと等しいかわずかに低くい高さの厚さ規制治具10が図示しない適宜の固定手段によって取り付けられている。なお、11は密封を保持するために該厚さ規制治具10の上縁及び下縁に設けた弾性パッキンである。
【0026】
この装置を用いて本発明による処理方法を実施するに際しては、まず、処理材としての平板状の木質材Wを下方のプレス盤1b上の、好ましくは細孔3bが形成されている位置に載置し、次に、プレス盤1a、1bを該厚さ規制治具10により規制されるまで接近させ、停止させる。それにより、木質材Wは上プレス盤1aと下プレス板1bの両表面との間で密着状態に挟持された姿勢で、厚さ規制治具10内の密封空間内に収容される。前記のように、木質材Wの周囲に図示しない弾性密封材料を配置して、プレス盤1a、1bの間の密封度を高めるようにしてもよい。
【0027】
その状態で、真空ポンプVP(又は、ブロアー)を作動させて、下方のプレス盤1bに形成した細孔3bから真空引きを行ない、密封空間内を減圧状態とする。所定の減圧が得られた時点で真空引きを停止し、高圧水蒸気発生源S側の配管4aに設けた開閉弁Vを開き、プレス盤1aに形成した細孔3aから高圧水蒸気を噴出させる。それにより、噴出する水蒸気は木質材の木質材Wの内部にまで容易にかつ均一に到達する。さらに、真空引きが行なわれていることから、外部に高圧水蒸気が漏洩することはなく、高圧水蒸気の無駄を無くすと共に周囲の安全も補償される。
【0028】
所望量の高圧水蒸気の噴出を終えた後は、以下、従来法による場合と同様にして、高圧水蒸気の大気への解放による解圧及び冷却工程を行なうことにより、本発明による木質材の寸法安定化処理方法は終了する。
【0029】
図2は本発明の木質材の寸法安定化処理方法を実施する装置の他の例を示している。この例は、プレス盤に外部に連通する細孔が設けられていない平板プレスを本発明の処理方法に用いる場合に好適な例であり、蒸気噴出用の細孔23aを有する平板状の第1の別部材20aがネジ21aを用いて上方のプレス盤1aに固定され、さらに、真空引き用の細孔23bを有する平板状の第2の別部材20bがネジ21bを用いて下方のプレス盤1bに固定されている。そして、それぞれの細孔23a、23bは、図1に示した装置の場合と同様に、高圧水蒸気発生源S及び真空ポンプVPに接続している。
【0030】
さらに該平板状の第1の別部材20aには、処理しようとする木質材Wの当初厚さと等しいかわずかに低い高さであり、かつ、上縁及び下縁に弾性パッキン11を持つ厚さ規制治具10が適宜の固定手段により取り付けてある。また、この厚さ規制治具10には内周面側に開孔した多数の細孔10aが形成されており、該細孔10aは配管4aを介して高圧水蒸気発生源Sに接続している。この装置の使用方法は図1の場合と実質的に同じであるが、高圧水蒸気が前記厚さ規制治具10の内周面側に形成した木質材Wの側面に近接した箇所に位置する細孔10aからも供給されるので、そこから供給される高圧水蒸気は木質材Wの木口面から容易に内部に侵入することができ、均一かつ迅速な高圧水蒸気処理が進行する。
【0031】
図3は本発明の木質材の寸法安定化処理方法を実施する装置のさらに他の例を示している。この装置は、第2の別部材30bが上方側を開放した開放空間35を持つ有底箱状の耐圧容器であり、かつ、該開放空間35の深さは、処理しようとする木質材Wの当初厚さとほぼ等しいかわずかに浅いものとされる。さらに、開放空間35の内周面側には多数の細孔33cが形成されており、該細孔33cは配管4bを介して真空ポンプVPに接続している。また、該第2の別部材30bの上端面にはパッキン36が取り付けられている。この装置では、厚さ規制治具10や密封材を別途配置することなく、プレス盤の間に容易に密封空間を形成することができ、さらに、密封された状態では、前記開放空間35は内周面側に開孔した細孔33cからも真空引きが行われるので、密封空間の減圧を迅速に行いうるメリットがある。
【0032】
図4は本発明の木質材の寸法安定化処理方法を実施する装置のさらに他の例を示している。図2に示した装置と比較して、第2の別部材30bが上方側を開放した開放空間35を持つ有底箱状の耐圧容器である点、及び、第1の別部材30aは該開放空間35の断面形状とほぼ同じ断面形状を有する挿入用凸部31aを有し、該挿入用凸部31aの先端面にまで細孔33aは達している点、で相違している。そして、前記第1の別部材30aの凸部31aの周囲にはパッキン36が取り付けられる。この装置では、プレス盤の間に容易に密封空間を形成することができると共に、異なった厚さの木質材Wに対しても、プレス盤1a、1bの距離を調整することにより、容易にその間に挟持することが可能となる。
【0033】
図5は本発明の木質材の寸法安定化処理方法を実施する装置のさらに他の例を示している。この例では、プレス盤1a、1bの表面に、金網等の耐熱性と耐圧性を有する材料で作られた網状体が固定的に取り付けられている。網状体の存在により、木質材表面とプレス盤1a、1bの表面との間の真空引きは容易となり、また、供給される高圧水蒸気の分散が良好となって、短時間でのかつ均一な処理が可能となる。網状体61をプレス盤1a、1bに取り付けることなく、単に、下方のプレス盤1bの上、あるいは、木質材Wの上面に取り外し自在に単に配置するだけでもよい。
【0034】
図示しないが、厚さ規制治具10の内面側に形成した細孔10aを真空引き源VPに接続し、厚さ規制治具の側面から真空引き行うこともできる。これは単独で行ってもよく、上下のプレス盤1a、1bからの真空引きと並行して行ってもよい。また、図3に示す装置の場合に、第2の別部材30bの内側側面に形成した細孔33cを高圧水蒸気発生源Sに接続して、その側面から高圧水蒸気の供給を行うことも可能である。さらに、図示しないが、図4に示す装置の場合にも、その第2の別部材30bの内側側面に多数の細孔を形成し、それを真空引き源VP及び/又は高圧水蒸気発生源Sに接続して、その側面から真空引き及び/又は高圧水蒸気の供給を行うことも可能である。
【0035】
【発明の効果】
木質材の寸法安定化処理方法によれば、従来法に比較して、短い処理時間で高い寸法安定性を持つ処理済木質材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】木質材の寸法安定化処理方法を実施する装置の一例を示す図。
【図2】木質材の寸法安定化処理方法を実施する装置の他の例を示す図。
【図3】木質材の寸法安定化処理方法を実施する装置のさらに他の例を示す図。
【図4】木質材の寸法安定化処理方法を実施する装置のさらに他の例を示す図。
【図5】木質材の寸法安定化処理方法を実施する装置のさらに他の例を示す図。
【符号の説明】
1a、1b…プレス盤、2a、2b…ヒータ、3a…高圧水蒸気噴出用細孔、3b…真空引き用細孔、4a…高圧水蒸気供給用配管、5b…真空引き用配管、10…厚さ規制治具、W…木質材、S…高圧水蒸気供給源、VP…真空ポンプ
Claims (8)
- 木質材を密封空間内に収容し、該密封空間内を減圧した後に、該減圧された密封空間内へ高圧水蒸気を導入して該木質材の高圧水蒸気処理による寸法安定化を図る木質材の寸法安定化処理方法であって、木質材表面と密封空間との間に網状体を介在させた状態で木質材を密封空間を構成する上下面によって挟持し、その状態で該密封空間の減圧及び該減圧された密封空間内への高圧水蒸気の供給を行い、かつ、該密封空間内の減圧を、密封空間の上下面の一方又は双方の側からの真空引きにより行うことを特徴とする木質材の寸法安定化処理方法。
- 木質材を密封空間内に収容し、該密封空間内を減圧した後に、該減圧された密封空間内へ高圧水蒸気を導入して該木質材の高圧水蒸気処理による寸法安定化を図る木質材の寸法安定化処理方法であって、木質材表面と密封空間との間に網状体を介在させた状態で木質材を密封空間を構成する上下面によって挟持し、その状態で該密封空間の減圧及び該減圧された密封空間内への高圧水蒸気の供給を行い、かつ、該密封空間内の減圧を、密封空間の側面側からの真空引きにより行うことを特徴とする木質材の寸法安定化処理方法。
- 木質材を密封空間内に収容し、該密封空間内を減圧した後に、該減圧された密封空間内へ高圧水蒸気を導入して該木質材の高圧水蒸気処理による寸法安定化を図る木質材の寸法安定化処理方法であって、木質材表面と密封空間との間に網状体を介在させた状態で木質材を密封空間を構成する上下面によって挟持し、その状態で該密封空間の減圧及び該減圧された密封空間内への高圧水蒸気の供給を行い、かつ、該密封空間内の減圧を、密封空間の側面側及び上下面の一方又は双方の側から真空引きにより行うことを特徴とする木質材の寸法安定化処理方法。
- 密封空間内への高圧水蒸気の供給を、密封空間の側面側及び/又は上面側及び/又は下面側からの高圧水蒸気の噴出により行うことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の木質材の寸法安定化処理方法。
- 木質材を密封空間内に収容し、該密封空間内を減圧した後に、該減圧された密封空間内へ高圧水蒸気を導入して該木質材の高圧水蒸気処理による寸法安定化を図る木質材の寸法安定化処理方法であって、木質材表面と密封空間との間に網状体を介在させた状態で木質材を密封空間を構成する上下面によって挟持し、その状態で該密封空間の減圧及び該減圧された密封空間内への高圧水蒸気の供給を行い、かつ、該密封空間内の減圧を密封空間の上下面の一方の面からの真空引きで行い、高圧水蒸気の供給を密封空間の上下面の他方の面から行うようにし、さらに、該密封空間の側面側からも、真空引きと高圧水蒸気の供給とを行うようにしたことを特徴とする木質材の寸法安定化処理方法。
- 高圧水蒸気の供給と並行して密封空間内の真空引きを行うことを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の木質材の寸法安定化処理方法。
- 密封空間は上下のプレス盤の間に形成される密封空間であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の木質材の寸法安定化処理方法。
- プレス盤と木質材との間に密封空間の形成及び高圧水蒸気の供給と真空引きのための別部材を配置し、該別部材を介して高圧水蒸気の供給及び真空引きを行なうことを特徴とする請求項7記載の木質材の寸法安定化処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16233797A JP3892531B2 (ja) | 1997-06-19 | 1997-06-19 | 木質材の寸法安定化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16233797A JP3892531B2 (ja) | 1997-06-19 | 1997-06-19 | 木質材の寸法安定化方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1110608A JPH1110608A (ja) | 1999-01-19 |
JP3892531B2 true JP3892531B2 (ja) | 2007-03-14 |
Family
ID=15752643
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16233797A Expired - Fee Related JP3892531B2 (ja) | 1997-06-19 | 1997-06-19 | 木質材の寸法安定化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3892531B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6098679A (en) * | 1998-03-17 | 2000-08-08 | Noranda Forest Inc. | Dimensionally stable oriented strand board (OSB) and method for making the same |
NL2000405C2 (nl) * | 2006-12-22 | 2008-06-24 | Willems Holding B V W | Werkwijze voor het verduurzamen van hout, houtproduct en inrichting daarvoor. |
CN109910124B (zh) * | 2019-04-15 | 2024-01-19 | 南京林业大学 | 一种防裂竹材整形设备和整形方法 |
-
1997
- 1997-06-19 JP JP16233797A patent/JP3892531B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1110608A (ja) | 1999-01-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4017980A (en) | Apparatus and process for treating wood and fibrous materials | |
US4233752A (en) | Apparatus and process for treating wood and fibrous materials | |
JP3813690B2 (ja) | 木質材の寸法安定化処理方法 | |
JP3892531B2 (ja) | 木質材の寸法安定化方法 | |
EP0611638B1 (en) | Process for stabilizing lignocellulosic material and device therefor | |
KR20210008771A (ko) | 국산 참나무 데크재 제조 방법 및 이에 의해 제조된 국산 참나무 데크재 | |
JP3660096B2 (ja) | 木質材の寸法安定化処理方法 | |
JP3892530B2 (ja) | 木質材の寸法安定化処理方法 | |
JP3107482B2 (ja) | 木質材の熱処理方法 | |
JP3813938B2 (ja) | 木質材の寸法安定化処理方法 | |
US2757114A (en) | Manufacture of glazed hardboard | |
JPH09193104A (ja) | 木質材の寸法安定化処理方法 | |
US5948311A (en) | Microwave plant press | |
JP3442229B2 (ja) | 木質材の寸法安定化処理方法 | |
JP4917367B2 (ja) | 木質板の乾燥処理方法 | |
JP3856524B2 (ja) | 木質材への薬液類の含浸方法 | |
JP3148501B2 (ja) | 木質材の熱処理方法 | |
JP3136051B2 (ja) | 木質材の熱処理方法 | |
JP4017720B2 (ja) | フローリング材及びその製造方法 | |
JP3803168B2 (ja) | 建築用複合木質材 | |
JP3092966B2 (ja) | 木材の乾燥方法及び乾燥装置 | |
JP3107484B2 (ja) | 木質材の熱処理方法 | |
JP2004345175A (ja) | 木材の熱処理方法 | |
JP2000289005A (ja) | 加熱処理された木質材の消臭方法 | |
JP3136046B2 (ja) | 木質材の寸法安定化方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040602 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060728 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060822 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061020 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061114 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061207 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101215 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111215 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111215 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121215 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131215 Year of fee payment: 7 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |