JP3107484B2 - 木質材の熱処理方法 - Google Patents

木質材の熱処理方法

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JP3107484B2
JP3107484B2 JP05199638A JP19963893A JP3107484B2 JP 3107484 B2 JP3107484 B2 JP 3107484B2 JP 05199638 A JP05199638 A JP 05199638A JP 19963893 A JP19963893 A JP 19963893A JP 3107484 B2 JP3107484 B2 JP 3107484B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は木質材の熱処理方法に関
し、特に、圧密化することにより寸法安定性及び表面特
性等を改善しそれにより建築用あるいは家具用等として
有効に用いられる圧密化木質材を得るための熱処理方法
において、得られる圧密化木質材が圧密時に使用する熱
盤の表面特性に左右されない表面特性を持つことのでき
るようにした圧密化木質材の熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、良質の広葉樹材が減少して充分な
供給が得られなくなったため、広葉樹材の代替材料とし
て針葉樹材、中質繊維板(MDF)、パーチクルボード
などが注目されている。しかし、針葉樹は広葉樹に比較
して一般的に柔らかく、建築用あるいは家具用材料とし
て用いるには、表面硬度や表面の耐磨耗性などの表面特
性、水分や熱に対する耐久性、及び強度などに問題があ
った。MDFやパーチクルボードは水分に対する厚み方
向の膨潤が大きな問題であった。
【0003】そのため、針葉樹であれば煮沸したり、水
蒸気処理を施して軟化させた後、平盤プレス機で熱圧し
て針葉樹を最初の厚みの20〜70%位の厚みにまで圧
密化する技術が公知になっている。針葉樹を圧密化する
と、前述した表面特性や耐久性及び強度などに顕著な効
果が得られるが、水分と熱の一方あるいは両方の作用に
より、圧密化された針葉樹材が元の状態に戻ろうとする
力が働き、せっかく圧密化されて性能が向上した針葉樹
材が元の状態近くにまで復元してしまう欠点があった。
【0004】圧密化した木質材をオートクレープ内に入
れ160〜220℃の高圧水蒸気で数分間処理すること
により、圧密化した木質材の復元を防止する方法も提案
されているが、この方法は高圧水蒸気の木質材内部(特
に木質材中央部)への浸透が難しく、処理効果が均一で
なく、木質材の中央部と周辺部の処理状態が往々にして
異なる場合があった。
【0005】本出願人は、従来の木質材の処理方法の持
つ不都合を解決すべく鋭意研究を重ね、圧密化した木質
材が水分や熱によって元の厚みに復元することを防止で
きるだけでなく、木質材全体にわたって均一にかつ効率
よく木質材を処理することのできる木質材の新規な処理
方法を発案し既に出願している(特願平5−28957
:特開平6−238615号公報、特願平5−289
58号:特開平6−238617号公報)。
【0006】この処理方法は、オートクレープ内で木質
材を処理することなく、従来の木材処理で用いられる熱
盤を持つ圧締装置を利用した方法であり、圧締装置の熱
盤間に処理すべき木質材を配置し、さらにその周囲に弾
性シリコン材などの弾性密封材料を配置するか木質材の
周縁に木質材の周縁部を圧縮し得る枠体を配置し、さら
にその周囲にステンレス材などの所要の厚さ規制治具と
を配置したのち、該熱盤により木質材を加熱、圧縮し
て、木質材そのものが有する水分を蒸気化することによ
り木質材を圧密化する方法であり、木材の圧締や複合材
の製造に用いられる通常の熱盤を持つ圧締装置を用いて
行うことができることから、処理自体が簡素化される利
点を有している。
【0007】さらに、本出願人は、上記の提案による木
質材の熱処理方法が言わばバッチ処理方式であることに
鑑み、それを連続処理可能なものとした新規な処理方法
をさらに発案し出願している(特願平5−165723
:特開平7−68510号公報)。この処理方法は、
相対向した区域を有しかつ相対向した面が同一方向に移
動するように配置された一対の無端ベルト状の熱盤の間
に、木質材をその周囲に密封材料及び所要の厚さ規制治
具とを配置した状態で供給し、該木質材が前記無端ベル
トの間を通過する間に木質材を圧縮かつ加熱し圧密化す
るものである。この方法は連続的に処理が行えることか
ら生産性が高くなる利点を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の平板状の熱盤を
持つ圧締装置あるいは無端ベルト状の熱盤を持つ圧締装
置を利用した木質材の熱処理方法はそれ自体で有効なも
のであるが、本出願人は実験と研究を継続して行う過程
において、さらに改良すべき点がいくつかあることを知
覚した。
【0009】例えば、近年圧密化木質材に対してもその
表面性状が単に平坦で艶のあるものばかりでなく、微細
な凹凸を持つなど意匠性に富むものが求められつつある
が、先に提案した熱処理方法は基本的に平板状及び無端
ベルト状を問わず使用している熱盤の表面を加熱及び圧
密面として用いることを前提しており、処理される木質
材の表面は熱盤の表面状態に依存し、それ以上のあるい
は異なった表面特性を持つものを得ることはできない
(なお、熱盤の上に薄い鏡面板を配置して圧密化処理を
行う場合もあり、その場合には当然にその鏡面板の表面
状態に依存する。従って、本明細書において「熱盤」と
いうときには、熱盤単独のもの及び熱盤表面に鏡面板を
配置したものの双方を意味するものとして用いられ
る)。熱盤表面は通常鏡面であり、得られる圧密化木質
材の表面が平坦なつや有り状態のものとなるのが普通で
ある。もちろん表面に微細な凹凸(エンボス)加工が施
された特別の熱盤を用いつや消しされた表面を持つ圧密
化木質材を得ることも可能ではあるが、同じ熱盤により
表面が平坦なつや有り状態のものを得ることはできず、
用途に汎用性がないという不都合を生じる。
【0010】また、処理すべき木質材の表面状態の違い
あるいは熱処理条件の違いによっては、熱処理後の圧密
化木質材と熱盤との離間がスムースに行われない場合が
あり作業性の低下をもたらすことある。このことは無端
ベルト状の熱盤を用いる場合に特に問題となる。さらに
は、処理すべき木質材の物性や処理条件によっては密閉
空間内部の水蒸気圧がきわめて高くなり、弾性シリコン
材料などから構成される弾性密封材料がその圧力の影響
で移動したり変形したりして、発生した水蒸気の気密が
保持されない場合が起こりうる、などである。
【0011】本発明は、本出願人がすでに提案している
木質材の熱処理方法をさらに改善することを目的として
おり、より具体的には、熱盤の形態を問わずその表面特
性に左右されない表面特性を持つ圧密化木質材を得るこ
とのできる木質材の熱処理方法を提供することを目的と
している。本発明の他の目的は、熱処理後の圧密化木質
材と熱盤との離間が円滑に行われるようにし、それによ
り作業性を向上させるようにした木質材の熱処理方法を
提供するにある。
【0012】本発明のさらに他の目的は、密封性を一層
向上することにより処理条件にかかわらず安定した圧密
化処理を行うことができる木質材の熱処理方法を提供す
るにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、基本的に、無垢材又は木質繊維、木質
チップあるいは木質切削片などを熱圧成形して作られる
MDF又はパーチクルボードのような木質加工材料であ
る木質材の熱処理方法であって、熱盤間に前記木質材を
密封状態に挟持するに際して、処理すべき木質材の一方
又は両方の表面と熱盤との間にシート状部材を配置し、
その状態で熱盤により前記木質材の圧縮と加熱を行い圧
密化することを特徴とする木質材の熱処理方法を開示す
る。
【0014】本発明にいう熱盤とは、通常の圧締装置に
用いられる平板状の熱盤であってもよく、従来公知のベ
ルトプレスやロールプレスに用いられている無端ベルト
状あるいはロール状の熱盤であってもよい。また、熱盤
間に木質材を密封状態に挟持する態様も任意であるが、
処理すべき木質材の周囲に密封材料及び所要の厚さ規制
治具とを配置し、その状態で熱盤により圧縮と密封を行
う態様(この態様は本出願人の先の出願である特願平5
−28957号に開示のものである)、密封材料を処理
すべき木質材の周囲に配置する代わりに木質材の周縁部
を圧縮し得る枠体を木質材の周縁部に配置し、さらに該
木質材の周囲には所要の厚さ規制治具とを配置し、その
状態で熱盤により圧縮と密封を行う態様(この態様は本
出願人の先の出願である特願平5−28958号に開示
のものである)、さらには、熱盤が無端ベルト状をなし
ており、その一対の無端ベルト状の熱盤の間に、木質材
をその周囲に密封材料及び所要の厚さ規制治具とを配置
した状態で供給して該木質材が前記無端ベルト状の熱盤
の間を通過する間に木質材の圧縮と密封を行う態様(こ
の態様は本出願人の先の出願である特願平5−1657
23に開示のものである)、などが有効である。
【0015】なお、いずれの場合も、厚さ規制治具は熱
処理後の木質材の厚さを規定する目的で熱盤間の距離を
制限するために配置されるものでり、密封材料の場合と
は異なり、少なくとも木質材の対向する2つの側辺に沿
って配置されれば目的は達せられる。本発明において木
質材とは、無垢材だけでなくMDFあるいはパーチクル
ボードのような木質繊維、木質チップあるいは木質切削
片などを熱圧成形して作られる木質加工材料も含むもの
であり、等しく目的は達せられる。また、無垢材として
は一般に柔らかいとされている針葉樹材に本発明を適用
することにより特に効果を発揮するが、広葉樹材の場合
にも適用可能である。
【0016】加熱手段としてマイクロ波加熱を含む高周
波加熱(本明細書において、以下高周波加熱という)を
用いてもよくその場合に処理される木質材の近傍に公知
のマイクロ波発生装置あるいは高周波発生装置を備える
ようにする。シート状部材は耐熱性を持つものであれば
任意であり、目的に応じて適宜選択して用いる。また、
シート状部材の厚みも任意であるが、0.3〜1.0mm好
ましくは0.3〜0.5mm程度であることは特に好まし
い。シート状部材の例として、例えば、圧密化後の木質
材の表面特性に変化を付けて意匠性を高めようとする場
合には、表面に適宜のエンボス処理を施した例えはエポ
キシ系樹脂、フェノール系樹脂などの樹脂フィルム、シ
リコン系樹脂などのシート状部材が好適であり、圧密化
後の木質材と熱盤との離間を良くしようとする場合に
は、テフロンシート、シリコンコート紙、離型紙などの
シート状部材が好適であり、密封性を高めようとする場
合にはシリコンゴムシートなどのシート状部材、が好適
である。
【0017】特に、シート状部材としてシリコンゴムシ
ートを用いる場合には、シリコンゴムシートの持つ高い
気密性、密着性により木質材の周囲に配置した密封部材
と熱盤などとの間の密封性をさらに高めることが可能と
なり木質材の内部から生じる蒸気が外部へ流出するのを
より確実に防止することができ高い圧密化を持つ製品が
得られると同時に、シリコンゴムシートの持つ弾性に起
因して木質材表面の硬度分布に応じた凹凸を表面に持つ
より意匠性の高い圧密化製品を得ることができる効果が
ある。
【0018】このようなシート状部材は木質材の一表面
側にのみ配置しても両表面側に配置してよい。以下、本
発明による木質材の熱処理方法の好ましい態様を図1、
図2、図3を参照しつつ説明することにより、本発明を
より詳細に説明する。
【0019】図1は前記した本出願人の先の出願に係る
特願平5−28957号に開示した熱処理方法に本発明
を適用した状態を示すものであり、一対の平板状熱盤1
a、1bのうち下方に位置する熱盤1a上にシート状部
材Sを配置する。そのシート状部材Sの上に、所定の厚
みと大きさに採寸した木質材Wを設置し、次に木質材W
の4周に最終製品としての木質材の厚さよりも幾分高さ
の高い弾性密封材料2を配置し、さらにその4周に最終
製品としての木質材の厚さと同じ高さの厚さ規制治具3
を配置する。次に、その上からシート状部材S’を少な
くとも木質材Wの4周に設置した前記弾性密封材料2を
覆う状態で配置する。シート状部材S’はすでに配置し
たシート状部材Sと同じ材質のものであってもよく異な
る材質のものであってもよい。前記のように目的に応じ
て適宜選択する。
【0020】また、弾性密封材料2は木質材Wの加熱に
より木質材内部から発生する水蒸気を外部に漏出させな
いだけの密封機能を持ちかつ耐熱性と圧縮性のある材料
であればよく、シリコン弾性パッキン材は特に好まし
い。また、厚さ規制治具3の材料も必要な剛性と耐熱性
を持つ部材であればすべて使用可能であるが、アルミ合
金、ステンレス材等が好ましく、特にステンレス材は好
ましい。
【0021】熱処理に際して、熱盤1a上に配置したシ
ート状部材S、木質材W、弾性密封材料2、及び厚さ規
制治具3、さらにその上に配置したシート状部材S’に
対してもう一方の熱盤1bをシート状部材S’に接する
まで接近させ、その位置で熱盤1a、1bにより第1次
の加熱を行う。加熱は木質材内部の水分が蒸発しうる温
度であることが望ましい。この加熱により木質材Wはあ
る程度軟化する(なお、この第1次加熱は必ずしも必須
ではない)。この状態でさらに熱盤1a、1bを厚さ規
制治具3により規制されるまで接近させる。それにより
木質材Wは圧縮されかつ木質材の4周は周囲の密封材料
2及び上下に配置したシート状材料S、S’とにより密
封状態に置かれる。
【0022】その状態で熱盤による第2次の加熱を行
う。この時の加熱温度は木質材内部に含有された水分が
蒸発する温度以上の温度であることが必要である。加熱
温度を段階的に変えるようにしてもよく、例えは当初は
200℃程度とし時間と共に次第に低温としていくこと
によりあるいは所定時間経過後より低温で加熱すること
により木質材の表面の熱による変色を可能な限り防止す
ることが可能となる。
【0023】加熱手段として、熱盤による加熱に代え高
周波加熱を用いることもできる。この場合には木質材内
部から水分が一律に蒸気化することから一層均一な熱処
理が行われる。さらに他の態様においては、熱盤による
加熱と高周波加熱とを同時に行う。この場合には処理サ
イクルの一層の短縮化が図られる。所定の加熱を終えた
後に、解圧を行う。解圧は一定時間をかけて徐々に行う
ようにしてもよく、また特に図示しないが熱盤1a、1
bに冷却水を供給していわゆるコールドの状態で行って
もよい。実験によればコールド状態で解圧を行う場合に
は得られた最終製品の寸法変化率は他の解圧の場合に比
べて小さくまた表面状態も美しく仕上がっていた。
【0024】本発明の方法においては、熱盤1a、1b
と木質材Wの表面との間にはシート状部材S、S’が介
在する。それにより多くの効果がもたらされる。例え
ば、圧密後の木質材Wの表面特性は熱盤の表面特性とは
関係なくシート状部材の表面特性に左右される。すなわ
ち、熱盤表面が鏡面のものであっても、適宜の凹凸(エ
ンボス)加工が施されたシート状部材を用いることによ
り、つや消しされたあるいは表面に凹凸を持つ意匠性の
高い圧密化木質材を得ることが可能であり、逆に、表面
に例えば損傷などによる微細凹凸のある熱盤を用いて
も、PET樹脂シートのような表面が平滑なシート状部
材を用いれば、表面が平坦なつや有り状態の木質材を得
ることが可能となる。
【0025】また、処理すべき木質材の表面状態あるい
は熱処理条件により、熱処理後の圧密化木質材と熱盤と
の離間がスムースに行われない場合には、シリコンコー
ト紙や離型紙のようなものをシート状部材として用いる
ことにより、離間が容易となり処理効率の低下が避けら
れる。さらには、シート状部材を介在させることにより
気密性がさらに改善されることから木質材内部から発生
した水蒸気が外部に漏洩するのを完全に阻止することが
できる。それにより、圧密化は一層促進される。特にシ
ート状部材S、S’としてシリコンゴムシートを用いる
場合には、前記のようにシリコンゴムシートの持つ高い
密着性により密封性が向上すると同時に、シリコンゴム
シートの持つ高い弾性率により、木質材表面の硬度分布
に応じた凹凸を表面に持つより意匠性の高い圧密化製品
を得ることができる。
【0026】図2は本発明による木質材の熱処理方法の
他の態様を示しており、この態様は前記した本出願人の
先の出願に係る特願平5−28958号に開示した熱処
理方法に本発明を適用した状態を示すものである。この
例においては、図1の方法において用いた弾性密封材料
2は使用せず、木質材Wの上面及び裏面の周縁部にアル
ミ材、ステンレス材などからなる枠体5・・を配置して
いる。また、厚さ規制治具3は木質材Wの対向する2側
辺に沿ってのみ配置している。それら点の除き図1の場
合と同様であるので、図に同じ符号を付すことにより詳
細な説明は省略する。
【0027】熱処理に際し、熱盤の移動により木質材は
圧縮されるが、その際に枠体5・・の存在により木質材
の周縁部を中央部よりも多く圧縮される。それにより、
木質材の周縁部分は密封機能を持つようになり、木質材
内部で発生する水蒸気を外部に漏出することなく内部に
封じ込められ、木質材の圧密化が行われる。圧密化の詳
細については特願平5−28958号に示される。
【0028】この態様においても、熱盤1a上に配置し
たシート状部材S及び木質材Wの上に配置したシート状
部材S’が図1において説明したと同じ機能を果たしか
つ効果を奏することは容易に理解されよう。図3は本発
明による木質材の熱処理方法のさらに他の態様であり、
ベルトプレスやロールプレスに用いられる無端ベルト状
あるいはロール状の熱盤を用いる場合の一例として、前
記した本出願人の先の出願に係る特願平4−16572
3号に開示した無端ベルト状の熱盤による熱処理方法に
本発明を適用した状態を示すものである。
【0029】この例において、相対向して同一方向(矢
印A方向)に回動する一対の無端ベルト10、20の相
対向する部分には、加熱手段として適宜のヒータ34・
・を内蔵した加圧ローラ33・・が油圧シリンダ31、
ピストン32とからなるアクチュエータ30・・により
無端ベルト10に向けて押圧可能に複数個設けられてい
る。なお、図示のものにおいては、上方の無端ベルト1
0についてのみ示されるが、下方の無端ベルト20にも
同様の加熱手段が設けられる。
【0030】また、下方の無端ベルト20の周面にはそ
の全周にわたり図4に示すように左右2本の弾性密封部
材23、23及び横断方向の弾性密封部材24・・が設
けられ、その外側には左右2本の厚さ規制治具25、2
5が設けられている。処理すべき木質材Wは下方の無端
ベルト20の前記弾性密封部材23、24で構成される
空間S内に配置されて、一対の無端ベルト10、20の
相対向する部分に送り込まれる。その際に、図3に示す
ように、木質材Wの上方にシート状部材S’が配置され
る(前記空間Sの底面にも適宜の大きさのシート状部材
Sを配置しておいてもよい)。
【0031】この状態で木質材Wは、無端ベルト10、
20の間を通過する間に、厚さ規制治具25、25で規
制されるまでの圧縮と加熱ローラ33・・による加熱を
受け、木質材内部からの水蒸気により圧密化される(な
お、詳細については特願平4−165723号に示され
る)。この方法は連続的に処理が行えることから生産性
が高くなる利点を有していが、ここでも熱盤としての機
能を果たす無端ベルト10、20と木質材Wの間に配置
したシート状部材S、S’が図1において説明したと同
じ機能を果たしかつ効果を奏することは説明をするまで
もなく明らかであろう。さらに、上記の説明は無端ベル
ト状の熱盤を持つ装置により本発明を実施する場合の一
例にすぎず、無端ベルト状あるいはロール状の熱盤とし
ては、従来知られたベルトプレスやロールプレスに用い
られるものを任意に用い得ることも容易に理解されよ
う。
【0032】なお、本発明による上記のいずれの態様に
おいてもその実施に際して、シート状部材を木質材が熱
盤に接する両表面に配置することは必須でなく一方の表
面にのみ配置して圧密化を行ってもよく、また、熱盤に
よる加熱も上下の熱盤の双方による加熱に限ることな
く、木質材の厚さや圧密化木質材に求められる用途など
によっては、一方の熱盤による加熱であってもよい。そ
の場合には当然加熱される熱盤側にシート状部材は配置
される。
【0033】本発明の他の態様においては、熱盤上に配
置する木質材の初期厚さを、所望の最終製品の厚さとほ
ぼ同じ厚さのものを用い得る。その場合は特に木質材に
対して圧縮処理は施されず、熱盤は厚さ規制治具により
規制されるまで当初から接近する。その状態で熱盤によ
る及び/又は高周波による加熱を行う。針葉樹材のよう
に圧密処理を施して緻密化と共に表面状態の向上を必要
とするような場合には最終製品の厚さよりも厚い材料を
用意することが好ましい。パーチクルボードのように特
に圧密を必要としない材料の場合には最終製品の厚さと
ほぼ同じ厚さのものを用意し、圧密化せずに処理を施す
ことも可能である。
【0034】
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。 〔実施例1〕木質材として、含水率20%、厚さ30m
m、幅150mm、長さ600mmの杉材を用意した。
図1により説明した形態の表面に鏡面を持つ熱盤を有す
る圧締装置の下方熱盤1a上に、厚さ0.4mmのシリコ
ンゴムシートSを敷きその上に前記杉材Wを配置した。
さらに、該杉材Wの4周に高さ32mm、幅30mmの弾性
シリコン材を密封部材2として、さらに該密封部材2の
4周に高さ12mm、幅50mmのステンレス材を厚さ規制
治具3として配置し、杉材、密封部材及び厚さ規制治具
の全体を、さらに厚さ0.4mmのシリコンゴムシート
S’で覆った。
【0036】熱盤1a、1bを200℃に設定した後、
圧力50kgf/cm2 で熱盤を移動させ、シリコンゴ
ムシートS、S’を介して杉材と接触させ、数分間第1
次加熱した後、圧締装置を操作し熱盤1bが厚さ規制治
具3により移動を拘束されるまで接近させて木質材Wを
徐々に圧密化した。それにより杉材は圧縮率約60%と
なった。その状態で5分間、10分間の加熱を継続して
行い、その後、熱盤1a、1bに冷却水を供給し5分間
後解圧して、熱盤間から圧密化した木質材を取り出し
た。
【0037】〔実施例2〕実施例1で使用した杉材及び
シリコンゴムシートを用い圧密化を行った。但し、ここ
では高周波の印加が可能な熱盤を有しているプレスを使
用した。実施例1と同様に各部材を配置した後に、熱盤
を180℃に設定し、圧力50kgf/cm2 で熱盤を
移動させて実施例1の場合と同様に上方に覆ったシリコ
ンゴムシートを介して杉材と接触させた。数分間第1次
加熱した後、圧締装置を操作し熱盤が厚さ規制治具によ
り移動を拘束されるまで接近させて木質材を圧縮し、そ
の状態で13.56MHz、出力200V 8kwの高周
波を2分間、4分間照射後、熱盤に冷却水を供給し5分
間後解圧して、熱盤間から圧密化した木質材を取り出し
た。
【0038】〔実施例3〕実施例2と同様な処理を行っ
た。但し、下方の熱盤上にはシート状部材は敷かずに直
接杉材を配置した。また、杉材、密封部材及び厚さ規制
治具の全体を上方から厚さ0.2mmの表面にエンボス加
工を行ったPETシートで覆った後に、圧縮と加熱を行
った。
【0039】〔比較例〕実施例1と同じ杉材を用い、シ
ート状部材を用いない以外は実施例1と同じ条件で圧密
化を行った。各実施例及び比較例で得られた最終製品そ
れぞれについて煮沸槽内で2時間煮沸したのち絶乾さ
せ、それぞれの厚みを測定し、次式により放射方向の厚
さ回復率を端部と中央部において測定した。その結果及
び表面性状を表1に示す。 回復率=(2時間煮沸後絶乾後厚さ−圧密後の厚さ)/
(圧密前の厚さ−圧密後の厚さ)×100%
【0040】
【表1】
【0041】〔考察〕表1から明らかなように本発明に
よる木質材の熱処理方法によれば、鏡面仕上げされた熱
盤の間に木質材を挟持して圧密化したにもかかわらず、
その表面には微細な凹凸が形成されており、木質材とし
てのリアリティが高く意匠性に富んだ製品が得られた。
回復率はシート状部材の使用により密封性が向上したこ
ともあり大きく改善されている。
【0042】また、特に実施例1及び実施例2の場合に
は、実施例3及び比較例の場合と比較して弾性密封材料
であるシリコンパッキンの変形量は少なく、処理はすべ
て内部まで均一でかつ完全であった。これは、シート状
部材として用いたシリコンゴムシートにより密封性がさ
らに向上した結果であると思われる。また、実施例3の
場合には表面に配置したPETシートの影響で熱盤との
離間が特に容易であり作業性が良好であった。
【0043】
【発明の効果】本発明の熱処理方法を用いることによ
り、中央部まで充分に圧密化されるばかりでなく、表面
の意匠性が高い圧密化木質材を容易得ることができる。
さらに、処理時に用いるパッキンなどの移動や損傷もな
く、長期にわたり安定した処理を継続して行うことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による木質材の熱処理方法を説明する
図。
【図2】本発明による木質材の他の熱処理方法を説明す
る図。
【図3】本発明による木質材のさらに他の熱処理方法を
説明する図。
【図4】図3による熱処理方法に用いられる無端ベルト
状の熱盤を示す図。
【符号の説明】
W…木質材、1a,1b…熱盤、S,S’…シート状部
材、2…弾性密封材料、3…厚さ規制治具

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無垢材又は木質繊維、木質チップあるい
    は木質切削片などを熱圧成形して作られるMDF又はパ
    ーチクルボードのような木質加工材料である木質材の熱
    処理方法であって、熱盤間に前記木質材を密封状態に挟
    するに際して、処理すべき木質材の一方又は両方の表
    面と熱盤との間にシート状部材を配置し、その状態で熱
    盤により前記木質材の加熱を行い、木質材内部に含有さ
    れた水分を水蒸気化して寸法安定化処理を行い、その
    後、解圧することを特徴とする木質材の熱処理方法。
  2. 【請求項2】 無垢材又は木質繊維、木質チップあるい
    は木質切削片などを熱圧成形して作られるMDF又はパ
    ーチクルボードのような木質加工材料である木質材の熱
    処理方法であって、熱盤間に前記木質材を密封状態に挟
    するに際して、処理すべき木質材の一方又は両方の表
    面と熱盤との間にシート状部材を配置し、その状態で熱
    盤により前記木質材の圧縮と加熱を行い、木質材内部に
    含有された水分を水蒸気化して寸法安定化処理と圧密化
    とを行い、その後、解圧することを特徴とする木質材の
    熱処理方法。
  3. 【請求項3】 無垢材又は木質繊維、木質チップあるい
    は木質切削片などを熱圧成形して作られるMDF又はパ
    ーチクルボードのような木質加工材料である木質材の熱
    処理方法であって、熱盤間に前記木質材を密封状態に挟
    するに際して、処理すべき木質材の一方又は両方の表
    面と熱盤との間にシート状部材を配置し、さらに処理す
    べき木質材の周囲には密封材料及び所要の厚さ規制治具
    とを配置し、その状態で熱盤により前記木質材の圧縮と
    加熱を行い、木質材内部に含有された水分を水蒸気化
    て寸法安定化処理と圧密化とを行い、その後、解圧する
    ことを特徴とする木質材の熱処理方法。
  4. 【請求項4】 無垢材又は木質繊維、木質チップあるい
    は木質切削片などを熱圧成形して作られるMDF又はパ
    ーチクルボードのような木質加工材料である木質材の熱
    処理方法であって、熱盤間に前記木質材を密封状態に挟
    するに際して、処理すべき木質材の一方又は両方の表
    面と熱盤との間にシート状部材を配置し、該木質材の周
    縁部を圧縮し得る枠体を木質材の周縁部に配置し、さら
    に該木質材の周囲には所要の厚さ規制治具を配置し、そ
    の状態で熱盤により前記木質材の圧縮と加熱を行い、木
    質材内部に含有された水分を水蒸気化して寸法安定化処
    理と圧密化とを行い、その後、解圧することを特徴とす
    る木質材の熱処理方法。
  5. 【請求項5】 木質材を密封状態として加熱する際に、
    加熱温度を段階的に変えるようにして加熱することを特
    徴とする請求項1ないし4いずれか記載の木質材の熱処
    理方法
  6. 【請求項6】 前記段階的加熱が、当初は200℃程度
    の加熱であり、次の段階ではより低い温度での加熱であ
    ることを特徴とする請求項5記載の木質材の熱処理方
  7. 【請求項7】 木質材を密封状態として加熱する前の工
    程として、木質材を加熱する工程をさらに備えることを
    特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の木質材の熱
    処理方法
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