JP3892337B2 - 一部突出インサート体を備えた成形品の射出成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の成形型と、該一対の成形型のいずれか一方に取付けられ、インサート体を挿入セットした状態で前記一対の成形型の開閉方向と交差する方向にスライドするスライドコアとから成る射出成形装置を使用して、一部突出インサート体を備えた成形品の射出成形装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
射出成形装置は、一対の成形型を閉じて形成されたキャビティに溶融樹脂を射出し、その後、前記一対の成形型を開いて成形品を排出する。この射出成形において、予め、スライドコアに別部材(インサート体)を装填させておき、該インサート体を組み込んで射出成形する成形方法が存しており、「インサート成形」と称されている。
【0003】
例えば、図13の(イ),(ロ)に示される成形品Q(自動車部品)は、樹脂から成る成形本体部1(溶融樹脂Wが固化して形成される部分)に、金属より成るねじ軸B(バルブ)を斜めの状態で組み込み、しかも、その一部(フランジ部2とねじ軸本体部3)を、前記成形本体部1から突き出した形態で一体成形したものである。最初に、ねじ軸Bについて説明する。このねじ軸Bは、オイルシール(図示せず)が装着されるフランジ部2に対して、一方側に延設されたねじ軸本体部3と、該ねじ軸本体部3と軸心同一にして他方側に延設された抜止部4とから成る。前記ねじ軸本体部3は、先細となった段付き軸の形状を呈していて、2つの円筒部5a,5b と、2つの雄ねじ部6a,6b が交互に設けられている。また、前記抜止部4は、段付き状態(アンダーカット状態)となっていて、そのくびれ部分4aに溶融樹脂Wが入り込んで固化されることにより、成形本体部1からねじ軸Bが抜け出ないようになっている。そして、このねじ軸Bの軸心の部分には、エアを通すためのエア通し孔7が設けられている。
【0004】
次に、成形本体部1の構成について説明する。この成形本体部1は、平面視において略平板状であり、その内側には、別部材(図示せず)を装填させるための空間部8が、下面に臨む部分を開口させた状態で形成されている。前記成形本体部1の一端面は、ねじ軸Bのフランジ部2の一端面と、斜めの状態で接合されている。このため、ねじ軸Bにおける抜止部4の全体が、成形本体部1に埋設されている。また、成形本体部1において、ねじ軸Bの抜止部4に臨む部分には、該ねじ軸Bのエア通し孔7と成形本体部1の外部とを連通させるための連通孔9が設けられている。
【0005】
この成形品Qを射出成形(インサート成形)する場合、例えば、図14及び図15に示される射出成形装置A’が使用される。この射出成形装置A’は、成形品Qの成形本体部1に対応するキャビティ成形面11が形成されると共に、傾斜ピン12が斜めに突出された第1成形型Ka'(可動型)と、前記第1成形型Ka'に相対向して配設され、成形品Qの空間部8に対応するコア部13が、上面(パーティング面)に突設された第2成形型Kb'(固定型)とから成る。前記第2成形型Kb'におけるコア部13の側方の部分は斜めに切除されていて、当該部分に配設されるスライドコアS’のスライドを案内するための傾斜ガイド面14が形成されている。このスライドコアS’には、ねじ軸Bを挿入してセットさせるための挿入セット孔15が、第1成形型Ka'のキャビティ成形面11に向かって開口して設けられていると共に、前記傾斜ピン12と対応する位置に、該傾斜ピン12を入り込ませるための傾斜ピン挿通孔16が、前記傾斜ピン12の傾斜方向と平行にして設けられている。このスライドコアS’は、第1及び第2の各成形型Ka',Kb'が、開閉方向P1 に沿って接近・離隔されるとき、前記傾斜ピン12の作用により、傾斜ガイド面14上を、スライド方向P2 に沿ってスライドされる。即ち、一対の成形型Ka',Kb'が相互に接近されると、スライドコアS’の傾斜ピン挿通孔16に入り込んだ傾斜ピン12が、前記スライドコアS’をスライド方向P2 に沿って押し上げる。そして、一対の成形型Ka',Kb'が閉じられたとき、各成形型Ka',Kb'とスライドコアS’の前端面17(キャビティ成形面11に臨む面)とにより、キャビティCが形成される。
【0006】
図14に示されるように、射出ノズル18から射出された溶融樹脂Wは、スプルー19、各ランナ21a,21b 、ゲート22を通ってキャビティCに供給される。この溶融樹脂Wが冷却して固化すると、ねじ軸Bの抜止部4を組み込み、かつ、フランジ部2とねじ軸本体部3とを外部に突き出した成形品Qが成形される。
【0007】
図15に示されるように、一対の成形型Ka',Kb'を離隔させると、スライドコアS’は、傾斜ピン12の作用と自重により、第2成形型Kb'の傾斜ガイド面14に沿って下降する。こうすることによって、成形品QとスライドコアS’とが分離される。そして、プッシュピン23を突出させて、成形品Qを第2成形型Kb'から離型させて排出する。
【0008】
上記した射出成形装置A’では、前記ねじ軸Bは、予め、スライドコアS’の挿入セット孔15に挿入される。作業の効率化を図るため、ねじ軸Bの挿入作業を、ロボット等により自動で行わせることが想定される。そのために、スライドコアS’の前方に、大きな挿入空間部Vを設けなければならない。その結果、一対の成形型Ka',Kb'が離隔したときの間隔を大きくしなければならなくなり、1個の成形品Qを成形するためのサイクルタイムが長くなってしまう。しかも、スライドコアS’の挿入セット孔15が斜めに設けられていて、該ねじ軸Bを、水平面に対して斜めの状態で挿入させなければならない。また、前記ねじ軸Bを、前記挿入セット孔15に対してずれたりすることなく、確実に挿入セットさせなければならない。このため、ロボットのハンド44(図6参照)の構成が複雑になる。更に、スライドコアS’の前方には、コア部13が存している。このため、前記ロボットのハンド44の動きも複雑になる。上記した結果、ねじ軸Bの挿入セット作業を人手によって行わざるを得ず、作業効率が悪い。
【0009】
上記した不具合を解消するため、前記スライドコアS’を2分割させることが想定される。しかし、射出成形装置A’の構成が極めて複雑なものになってしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した不具合に鑑み、スライドコアにインサート体を挿入セットする作業が、容易にできるようにすることを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、一対の成形型と、該一対の成形型のいずれか一方に取付けられ、それらの開閉方向と交差する方向にスライドするスライドコアとから成り、該スライドコアには、インサート体の突出部となる部分を挿入セットするための挿入セット孔がキャビティ成形面に開口し、かつ、前記スライドする方向に沿って形成され、前記スライドコアの挿入セット孔に前記インサート体の突出部となる部分を挿入セットさせた状態で、前記一対の成形型と前記スライドコアとで形成されるキャビティに溶融樹脂を射出して、前記インサート体の少なくとも一部が外部に突き出した形態で成形品本体にインサート成形された成形品を射出成形する装置であって、前記スライドコアを、その後退端位置において挿入セット孔が前記一対の成形型の開閉方向にほぼ沿うように回動させるための回動手段を備え、前記回動手段は、スライドコアをスライド可能に支持するためのスライド支持台と、前記スライド支持台を回動させるための駆動モータとから成り、前記スライドコアは、その後退端位置において、駆動モータにより正逆方向に回動する構成であることを特徴としている。
【0012】
【0013】
請求項1に記載の発明では、一対の成形型が開かれ、成形品に組み込まれたインサート体の突出部とスライドコアとが分離されると、後退端位置に配置されたスライドコアが回動される。そして、その挿入セット孔は、前記一対の成形型の開閉方向に沿う。この状態で、前記挿入セット孔にインサート体が挿入セットされる。このとき、スライドコアにおける挿入セット孔の開口部の周囲には、大きな挿入空間部が形成される。このため、前記インサート体をロボットのハンド等により、スライドコアの挿入セット孔の直上まで搬送させることができる。即ち、スライドコアにインサート体を挿入セットする作業を自動化することができ、作業効率が良好である。また、前記インサート体は、ほぼ起立した状態でスライドコアの挿入セット孔に挿入セットされるため、ずれたり傾いたりすることなく、確実に挿入セットされる。この結果、成形時におけるインサート体が確実に位置決めされ、成形品の精度が良好である。また、スライドコアは、駆動モータによって正逆回動される。即ち、前記スライドコアの回動が、プッシュピンの作動から独立して行われるため、一対の成形型が開いたときの間隔を最小にすることができ、成形のサイクルタイムが短くなる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、旋回テーブルに同一構成の複数の固定型が、旋回軸を中心とする同一円周上に周方向に設けられて、前記旋回軸を中心にして旋回可能な固定型ユニットと、該固定型ユニットの射出成形位置に位置する固定型に対して開閉する単一の可動型とから成り、前記固定型ユニットの各固定型には、前記可動型の開閉方向と交差する方向にスライドするスライドコアがそれぞれ設けられて、前記スライドコアは、インサート体の突出部となる部分を挿入セットするための挿入セット孔がキャビティ成形面に開口し、かつ、前記スライドする方向に沿う挿入セット孔を備え、しかも、その後退端位置において、回動手段により前記挿入セット孔が前記可動型の開閉方向にほぼ沿うように回動可能に支持され、前記回動手段は、スライドコアをスライド可能に支持するためのスライド支持台と、前記スライド支持台を回動させるための駆動モータとから成って、前記スライドコアは、その後退端位置において、駆動モータにより正逆方向に回動する構成であり、前記固定型ユニットを構成する複数の固定型のうち、射出成形位置に位置する特定の固定型に設けられたスライドコアの挿入セット孔にインサート体の突出部となる部分を挿入セットした状態で、前記特定の固定型、前記可動型及び前記スライドコアとで形成されるキャビティに溶融樹脂を射出させて、前記インサート体の少なくとも一部が外部に突き出した形態で成形品本体にインサート成形された成形品の射出成形作業と、前記固定型ユニットを構成する複数の固定型のうち、インサート体の挿入セット位置に位置する固定型に設けられたスライドコアを回動させて、その挿入セット孔にインサート体を挿入セットする作業とを同時に行えるようにしたことを特徴としている。
【0015】
請求項2に記載の発明の射出成形装置では、射出成形位置に配置された特定の固定型と可動型とにより成形品を射出成形する射出成形作業と、インサート体の挿入セット位置に配置された他の固定型に取付けられたスライドコアを回動させて、その挿入セット孔にインサート体を挿入セットさせる作業とが、同時に行われる。即ち、射出成形位置に配置された特定の固定型のスライドコアには、既にインサート体が挿入セットされている。このため、射出成形作業に要する時間が著しく短縮され、成形のサイクルタイムが短くなる。
【0016】
【0017】
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、従来の技術で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付して記載する。図1は参考例の射出成形装置A1 の正面断面図、図2は第2成形型Kb1の平面図、図3は同じく側面断面図である。参考例の射出成形装置A1 の全体構成について説明する。図1ないし図3に示されるように、参考例の射出成形装置A1 は、上下に相対向して配設され、開閉方向P1 に沿って相互に接近・離隔可能な一対の成形型(上側の第1成形型Ka1と下側の第2成形型Kb1)と、前記第2成形型Kb1に配設され、前記開閉方向P1 と交差する方向(即ち、開閉方向P1 と平行でないすべての方向を意味し、「スライド方向P2 」と記載する)にスライドするスライドコアS1 とから成る。
【0019】
図1ないし図3に示されるように、第1及び第2の各成形型Ka1,Kb1は、スプルー19に対して左右対称に構成されていると共に、各成形型Ka1,Kb1における左右の両側には、奥行方向に2つのキャビティ成形面11と2つのコア部13とが設けられているため、一度に4個の成形品Qを射出成形することができる。即ち、射出ノズル18から射出された溶融樹脂Wは、第1成形型Ka1に設けられたスプルー19を通り、該スプルー19から4つの方向に振り分けられた各ランナ21a,21b 、及びゲート22を通って各キャビティCに供給される。各キャビティCの構成は全く同一であるため、本明細書では、いずれか1つのキャビティCの部分における射出成形装置A1 の構成と作用について説明する。
【0020】
最初に、上側の第1成形型Ka1について説明する。この第1成形型Ka1の下面で、下側の第2成形型Kb1と相対向する面(パーティング面)には、成形品Qの成形本体部1に対応するキャビティ成形面11が、前記パーティング面に開口して形成されていると共に、スライドコアS1 の上半部を収容するためのスライドコア収容面24が、前記キャビティ成形面11と連続して形成されている。そして、スライドコア収容面24の部分から、傾斜ピン12が、第1成形型Ka1の下方に向けて斜めに突出されている。また、前記キャビティ成形面11には、一対の成形型Ka1,Kb1が閉じられたときに、ねじ軸Bのエア通し孔7を閉塞すると共に、成形本体部1に連通孔9を形成するための孔閉塞突起体25が下方に突設されている。
【0021】
次に、下側の第2成形型Kb1について説明する。この第2成形型Kb1の上面で、上側の第1成形型Ka1と相対向する面(パーティング面)には、前述した第1成形型Ka1のパーティング面に設けられたランナ21aと対応するランナ21bと、前記ランナ21bとキャビティCとを接続するためのゲート22が設けられている。そして、前記ゲート22の側方には、成形本体部1に空間部8を形成するためのコア部13が突設されている。前記コア部13の更に側方の部分は斜めに切除されている。この切除部分には、前記傾斜ピン12の作用によって押し上げられて、前進端位置に配置されたスライドコアS1 の前端面17を当接させるためのストッパ面26が形成されていると共に、前記スライドコアS1 のスライドを案内するための傾斜ガイド面14が、前記ストッパ面26と直交して形成されている。前記傾斜ガイド面14の側方の部分は、更に下方に切除されていて、スライド支持台27を設置するためのスライド支持台設置面28が形成されている。また、前記スライド支持台設置面28における奥行方向の両側の部分は、スライド支持台設置面28よりも下方に彫り込まれていて、支持部材設置面29が設けられている。
【0022】
スライド支持台27について説明する。このスライド支持台27の上面は、横断面視において略三角形状に切除されていて、その傾斜部分に、スライドコアS1 のスライドを案内するための傾斜ガイド面27aが形成されている。また、その起立部分の内側に、前記傾斜ガイド面27aと接続し、後退端位置に配置されたスライドコアS1 の後端面31を当接させて停止させるためのストッパ面27bが形成されている。そして、傾斜ピン12と対応する部分には、該傾斜ピン12を通すための傾斜ピン逃し孔27cが設けられている。このスライド支持台27は、一対の成形型Ka1,Kb1が閉じている状態(即ち、射出成形が行われている状態)でスライド支持台設置面28に設置されている。そして、この状態で、スライド支持台27の傾斜ガイド面27aは、第2成形型Kb1の傾斜ガイド面14と連続する同一傾斜面内に配置されている。
【0023】
前記スライド支持台27は、その基端部を中心にして、垂直面内で回動可能である。次に、スライド支持台27の回動手段について説明する。正面視におけるスライド支持台27の基端部には、第2成形型Kb1の奥行方向に沿って回動支点軸32が挿通されていて、その両端部は、スライド支持台27の両側面部から突出されている。この回動支点軸32は、各支持部材設置面29に立設された一対の支持部材33により、スライド支持台27と一体に回動可能に支承されている。また、前記回動支点軸32において、前記スライド支持台27の両側面部と前記一対の支持部材33との間の部分には、それぞれカム板34が取付けられている。正面視における各カム板34の基端部は、スライド支持台27に対して所定の角度で、各キ−35によって回動支点軸32と一体に固着されている。同様に、各カム板34の先端部には、自身の長手方向に沿って長孔34aが設けられている。
【0024】
第2成形型Kb1における支持部材設置面29で、前記一対の支持部材33の側方の部分には、開閉方向P1 に沿って各押出ロッド挿通孔36が設けられている。これらの押出ロッド挿通孔36には、各押出ロッド37が、開閉方向P1 に沿って進退可能に挿通されている。そして、各押出ロッド37の上端部には、軸直角にして各連結ピン38が挿通されている。これらの連結ピン38の先端部は、各カム板34の長孔34aに挿入されている。前記各押出ロッド37は、図示しない突出手段により、開閉方向P1 に沿って進退される。各押出ロッド37が上昇されると、それらの上端部に取付けられた各連結ピン38も上昇される。そして、各連結ピン38が、各カム板34の先端部を押し上げようとする。ところが、各カム板34の基端部は、キー35によって回動支点軸32と一体に取付けられているため、各カム板34は、回動支点軸32の軸心を中心に上方に回動させられる。それと同時に、スライド支持台27も、回動支点軸32の軸心を中心に上方に回動される。
【0025】
次に、スライドコアS1 について説明する。このスライドコアS1 は、横断面視において略五角形状のブロック体であり、スライド支持台27の傾斜ガイド面27aに載置されている。そして、その前端面17の部分には、キャビティ成形面11に向かって開口し、ねじ軸Bを挿入セットさせるための各挿入セット孔15が、奥行方向に2箇所に設けられている。また、スライドコアS1 において、傾斜ピン12と対応する部分(傾斜ピン12の先端部に臨む部分)には、該傾斜ピン12を挿通させるための傾斜ピン挿通孔16が、前記傾斜ピン12の傾斜方向に沿って設けられている。このスライドコアS1 は、一対の成形型Ka1,Kb1の開状態で、その後端面31をスライド支持台27のストッパ面27bに当接させている。このため、正面視において、スライドコアS1 の底面と後端面31とが成す角度は、スライド支持台27の傾斜ガイド面27aとストッパ面27bとが成す角度とほぼ同一である。また、このスライドコアS1 は、一対の成形型Ka1,Kb1の閉状態で、その上半部が第1成形型Ka1のスライドコア収容面24に収容されると共に、その前端面17が第2成形型Kb1のストッパ面26に当接される。
【0026】
前記スライドコアS1 において、ねじ軸Bが装填される挿入セット孔15の深さは、該ねじ軸Bにおけるフランジ部2の厚みと、該フランジ部2の一方側に段付き状態で延設されたねじ軸本体部3の長さとの合計とほぼ同一である。また、前記挿入セット孔15は、前記ねじ軸本体部3における2つの円筒部5a,5b に対応して、段付き状態で設けられている。即ち、挿入セット孔15における開口側の挿入孔部15aの内径は、ねじ軸本体部3における第1円筒部5aの外径よりも僅かに大きいと共に、底側の挿入孔部15bの内径は、同じく第2円筒部5bの外径よりも僅かに大きい。このため、挿入セット孔15に挿入セットされたねじ軸Bは、そのフランジ部2とねじ軸本体部3の全体が、スライドコアS1 の挿入セット孔15に入り込む。そして、前記ねじ軸Bの下端面が、挿入セット孔15の底面に当接した状態でセットされる。この状態で、ねじ軸Bは、その抜止部4のみがスライドコアS1 の前端面17から突出されている。更に、前記ねじ軸Bは、そのねじ軸本体部3に設けられた各円筒部5a,5b が、挿入セット孔15の各挿入孔部15a,15b に僅かの隙間をもって挿入セットされている。上記した結果、ねじ軸Bが、スライドコアS1 の挿入セット孔15に挿入セットされたとき、該ねじ軸Bの抜止部4がスライドコアS1 から突出する長さが、常に、ほぼ一定になる。また、前記ねじ軸Bが傾いてセットされることはない。なお、図1において、符号41は、第2成形型Kb1のスライド支持台設置面28における傾斜ピン12の逃し孔である。
【0027】
このスライドコアS1 は、一対の成形型Ka1,Kb1が開閉されるときに、一直線にスライドされる必要がある。そのため、該スライドコアS1 の両側面部には、そのスライド方向P2 に沿って各突条42が張出し状態で設けられている。そして、スライド支持台27において前記各突条42に対応する部分には、それらを上方から押え付けてガイドするための一対のガイド板43が取付けられている。これらのガイド板43は、断面略L字状であり、各突条42の上方及び側方に対して、僅かの隙間をもって取付けられている。このため、該スライド支持台27は、一対のガイド板43にガイドされ、ほぼ一直線にスライドされる。
【0028】
次に、図1、図4ないし図6を参照しながら、参考例の射出成形装置A1 の作用について説明する。図1に示されるように、一対の成形型Ka1,Kb1の閉状態で、射出ノズル18から溶融樹脂Wが射出され、成形品Qが成形される。そして、一対の成形型Ka1,Kb1が、開閉方向P1 に沿って相互に離隔される。参考例の場合、上側の第1成形型Ka1に対して、下側の第2成形型Kb1が下降する。このとき、図4に示されるように、スライドコアS1 は、自重と第1成形型Ka1に取付けられた傾斜ピン12の作用とにより、第2成形型Kb1の傾斜ガイド面14上、及びスライド支持台27の傾斜ガイド面27a上を滑りながら、スライド方向P2 に沿って後退する。そして、前記スライドコアS1 から傾斜ピン12が抜き取られ、該スライドコアS1 はその後端面31を、スライド支持台27のストッパ面27bに当接させて停止する。即ち、スライドコアS1 は、後退端位置に配置される。このようにして、成形本体部1と一体に射出成形されたねじ軸Bのフランジ部2及びねじ軸本体部3が、スライドコアS1 の挿入セット孔15から抜き取られる。
【0029】
そして、図5に示されるように、第1成形型Ka1に取付けられた傾斜ピン12が、スライドコアS1 の傾斜ピン挿通孔16から完全に抜き取られ、一対の成形型Ka1,Kb1の間に十分な間隔が形成される。続いて、図示しない突出手段を作動させて、押出ロッド37を前進(上昇)させて、スライド支持台27を回動させる。このとき、前記押出ロッド37と同期させて、プッシュピン23も前進させる。第2成形型Kb1のコア部13に保持されていた成形品Qは、前記プッシュピン23により、前記第2成形型Kb1から離型されて排出される。
【0030】
次に、押出ロッド37が突き出されることによって、スライド支持台27が回動されるときの作用について詳細に説明する。図1及び図6に示されるように、押出ロッド37が前進すると、その上端部に取付けられた連結ピン38が、カム板34の先端部を押し上げようとする。ところが、カム板34の基端部は、キー35によって回動支点軸32と一体に取付けられているため、前記カム板34は、回動支点軸32の軸心を中心に上方に回動される。このとき、前記連結ピン38は、対応するカム板34の長孔34aに沿って移動する。それに伴い、スライド支持台27も、スライドコアS1 を載置したまま、回動支点軸32の軸心を中心として上方に回動される。このようにして、押出ロッド37の直線運動が、カム板34を介してスライド支持台27の回動運動に変換される。上方に回動されるスライドコアS1 は、起立状態(即ち、その前端面17が、ほぼ水平になった状態)となって停止する。このとき、スライドコアS1 の前端面17の周囲には、ねじ軸Bを挿入セットさせるための大きな挿入空間部Vが形成される。また、前記スライドコアS1 は、その両側面に取付けられた各突条42が、対応するガイド板43に嵌まり込んでいるため、該スライドコアS1 がスライド支持台27から落下するおそれはない。
【0031】
続いて、図6に示されるように、ロボットのハンド44によって、抜止部4のくびれ部分4aが支持されたねじ軸Bが搬送され、前記挿入空間部VにおけるスライドコアS1 の挿入セット孔15の直上に配置される。そして、そのまま下降され、ねじ軸Bにおけるねじ軸本体部3が、挿入セット孔15に挿入される。該ねじ軸Bは、その下端面が、挿入セット孔15の底面に当接されると共に、その各円筒部5a,5b が、挿入セット孔15の対応する挿入孔部15a,15b に僅かな隙間をもって配置される。このようにして、前記ねじ軸Bは、そのフランジ部2とねじ軸本体部3が挿入セット孔15に挿入され、その抜止部4が外方に突き出された状態でセットされる。こうすることによって、スライドコアS1 におけるねじ軸Bの軸方向の位置と周方向の位置が、高精度に定められる。
【0032】
前記押出ロッド37を後退(下降)させ、スライド支持台27を、スライドコアS1 を載置させたまま反対方向(逆方向)に回動させる。このときの作用は、上記した作用とまったく反対である。スライド支持台27が、スライド支持台設置面28に設置される。そして、一対の成形型Ka1,Kb1を相互に接近させる。第1成形型Ka1に取付けられた傾斜ピン12が、徐々にスライドコアS1 の傾斜ピン挿通孔16に入り込み、該スライドコアS1 を、スライド方向P2 に沿って押し上げる。一対の成形型Ka1,Kb1が閉じられたとき、前記スライドコアS1 の前端面17は、第2成形型Kb1のストッパ面26に当接された状態で保持される。即ち、スライドコアS1 は、前進端位置に配置されている。また、スライドコアS1 の上半部は、第1成形型Ka1のスライドコア収容面24に収容される。このとき、一対の成形型Ka1,Kb1の間には、第1成形型Ka1のキャビティ成形面11と、第2成形型Kb1のコア部13と、スライドコアS1 の前端面17とによってキャビティCが形成される。そして、ねじ軸Bは、その抜止部4のみがキャビティC内に入り込んでいる。しかも、第1成形型Ka1のキャビティ成形面11に設けられた孔閉塞突起体25の側面部が、対向配置されるねじ軸Bの抜止部4の前端面に接合される。このため、ねじ軸Bのエア通し孔7が閉塞される。
【0033】
この状態で、図1に示されるように、射出ノズル18から溶融樹脂Wを射出する。スプルー19、各ランナ21a,21b 及びゲートを通ってキャビティCに供給された溶融樹脂Wは、冷却されて成形本体部1を形成すると共に、ねじ軸Bの抜止部4のくびれ部分4aにも回り込んで固化される。このため、成形本体部1とねじ軸Bは、強固に一体成形される。しかも、ねじ軸Bのエア通し孔7は、孔閉塞突起体25によって閉塞されている。このため、ねじ軸Bのエア通し孔7に溶融樹脂Wが入り込むおそれはない。また、ねじ軸Bのねじ軸本体部3は、スライドコアS1 の挿入セット孔15に挿入されているため、溶融樹脂Wが入り込むことはない。溶融樹脂Wが固化した後、一対の成形型Ka1,Kb1を開くと、ねじ軸Bにおけるねじ軸本体部3を突き出した成形品Qが成形される。
【0034】
上記したように、参考例の射出成形装置A1 では、一対の成形型Ka1,Kb1が開いた状態でスライドコアS1 を回動させて起立状態にさせることにより、スライドコアS1 の前端面17の周辺に大きな挿入空間部Vを形成することができる。このため、前記挿入空間部Vにロボットのハンド44等を配置させることもでき、ねじ軸Bを、スライドコアS1 に自動で挿入セットさせることができる。また、挿入セット孔15の開口された前端面17をほぼ水平に配置させることができるため、前記ロボットのハンド44によって搬送されたねじ軸Bを、そのまま下降させるだけで済み、該ねじ軸Bを挿入セット孔15に確実に挿入セットさせることができる。更に、ロボットのハンド44の動きも単純なもので済むため、その制御が容易である。
【0035】
次に、本発明の実施形態の射出成形装置A2 について説明する。図7は本発明の実施形態の射出成形装置A2 の正面断面図、図8は第2成形型Kb2の平面図、図9は同じく側面断面図である。この射出成形装置A2 は、参考例の射出成形装置A1 が、押出ロッド37の進退によりスライドコアS1 を回動させる構成であるのに対し、駆動モータ(油圧モータM)によってスライドコアS2 を回動させる構成である。ねじ軸B及び成形品Qは、参考例の場合と同一である。このため、参考例の射出成形装置A1 を構成する部材と同一の部材には同一の符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0036】
図7ないし図9に示されるように、この射出成形装置A2 を構成する上側の第1成形型Ka2は、射出成形される成形品Qの数が一工程で2個である(スプルー19の軸心に対して左右対称である)ことと、傾斜ピン12が存しないことを除いて、参考例の射出成形装置A1 を構成する第1成形型Ka1と全く同一である。
【0037】
次に、下側の第2成形型Kb2について説明する。参考例における第2成形型Kb1と同様に、第2成形型Kb2の上面(パーティング面)には、成形品Qに空間部8を形成するためのコア部13が突設されていて、その側方の斜めに切除された部分には、油圧モータMの作用によって押し上げられて、前進端位置に配置されたスライドコアS2 の前端面45を当接させるためのストッパ面26と、前記スライドコアS2 のスライドを案内するための傾斜ガイド面14が、前記ストッパ面26と直交して形成されている。前記傾斜ガイド面14の側方の部分は、更に下方に切除されていて、スライド支持台46を設置するためのスライド支持台設置面47が設けられている。
【0038】
前記スライド支持台46について説明する。このスライド支持台46の上面は、横断面視において略三角形状に切除されていて、傾斜部分に、スライドコアS2 の移動を案内するための傾斜ガイド面46aが形成されている。また、その起立部分の内側に、前記傾斜ガイド面46aと接続し、後退端位置に配置されたスライドコアS2 の後端面48を当接させて停止させるためのストッパ面46bが形成されている。また、前記傾斜ガイド面46aの幅方向のほぼ中央部には、スライドコアS2 のスライド方向P2 に沿って、断面T字状のガイド部材49が取付けられている。
【0039】
正面視におけるスライド支持台46のほぼ中央部には、その幅方向(第2成形型Kb2の奥行方向)に沿って軸挿通孔51が設けられていて、該軸挿通孔51に回動支点軸52が挿通されている。この軸挿通孔51の内径は、前記回動支点軸52の外径よりも僅かに大きい。このため、前記回動支点軸52は、前記スライド支持台46に対して自由回転される。また、前記回動支点軸52の両端部は、スライド支持台46の両側面部から突出されている。
【0040】
この回動支点軸52は、スライド支持台設置面47に立設された一対の支持部材53により、回動可能に支承されている。また、前記回動支点軸52において、前記スライド支持台46の両側面部と前記一対の支持部材53との間の部分には、それぞれ回動円板54が配設されている。前記回動支点軸52と各回動円板54とは、キー55によって一体に連結されている。そして、各回動円板54の所定の位置には、スライドコアS2 をスライドさせるための長孔54aが、その半径方向に沿って設けられている。また、前記スライド支持台設置面47において、各回動円板54が配設されている部分には、各回動円板54の逃し部47aが設けられている。
【0041】
図8に示されるように、第2成形型Kb2の正面側の壁面部で、回動支点軸52と相対向する部分には、油圧モータMが装着されている。この油圧モータMは、そのモータ軸56の軸心が、前記回動支点軸52の軸心と同一になるように装着されていて、前記モータ軸56と前記回動支点軸52とは、キー57によって一体に連結されている。このため、油圧モータMを作動させて、そのモータ軸56を所定の方向に回転させると、一対の支持部材53に支承された各回動円板54が同方向に回動される。
【0042】
次に、スライドコアS2 について説明する。このスライドコアS2 の概略形状は、ねじ軸Bの挿入セット孔15が1つであることと、傾斜ピン挿通孔16が存しないことを除いて、参考例のスライドコアS1 とほぼ同一である。そして、スライドコアS2 における幅方向のほぼ中央部の底面部には、断面T字状のガイド溝部58が、そのスライド方向P2 に沿って設けられている。このガイド溝部58には、ガイド部材49が僅かな隙間をもって嵌合される。このスライドコアS2 は、参考例のスライドコアS1 と全く同様にして、スライド支持台46の傾斜ガイド面46a上を、スライド方向P2 に沿ってスライドされる。このとき、スライド支持台46に取付けられたガイド部材49が、スライドコアS2 のガイド溝部58に嵌合されているため、該スライドコアS2 は一直線にスライドされる。
【0043】
また、前記スライドコアS2 における後部の両側面から、一対の回動支持ピン59が同心にして突設されている。各回動支持ピン59の先端部は、対応する回動円板54の長孔54aに挿通されている。油圧モータMを作動させ、そのモータ軸56を回転させると、一対の回動円板54が同方向に回動される。各回動円板54と、スライドコアS2 とは一対の回動支持ピン59によって連結されているため、前記スライドコアS2 が、スライド方向P2 に沿ってスライドされる(後述)。
【0044】
本発明の実施形態の射出成形装置A2 の作用について説明する。一対の成形型Ka2,Kb2とスライドコアS2 とによって形成されるキャビティCに溶融樹脂Wを射出して、ねじ軸本体部3が突き出した成形品Qを成形するときの作用と、起立状態のスライドコアS2 の挿入セット孔15に、ねじ軸Bを挿入するときの作用は、参考例の射出成形装置A1 の場合と全く同様であるため、ここでは、スライドコアS2 をスライドさせるときの作用についてのみ説明する。図7に示されるように、一対の成形型Ka2,Kb2と、前進端位置に配置されたスライドコアS2 とによって形成されたキャビティCに溶融樹脂Wが射出される。前記溶融樹脂Wが冷却して、ねじ軸Bのねじ軸本体部3が突き出した形態で組み込まれた成形品Qが成形される。一対の成形型Ka2,Kb2を相互に離隔させる。本実施形態の場合、参考例と同様に、上側の第1成形型Ka2に対して、下側の第2成形型Kb2が下降する。
【0045】
続いて、図10に示されるように、油圧モータMを作動させ、そのモータ軸56を、正面視における時計回りの方向P3 に低速で回転させる。それに伴い、回動支点軸52と一対の回動円板54が、同方向P3 に回動される。ここで、回動支点軸52は、スライド支持台46に対して自由回転可能であるため、前記スライド支持台46は、そのままの状態(スライド支持台設置面47に設置された状態)を保持する。そして、前記回動円板54は、各回動支持ピン59により、スライドコアS2 と連結されている。しかも、該スライドコアS2 は、そのガイド溝部58に嵌合されたガイド部材49により、スライド方向P2 以外の方向への動きが拘束されている。このため、各回動円板54が時計回りの方向P3 に回動されると、スライドコアS2 は、スライド方向P2 に沿って引き下げられる。こうすることによって、成形品QとスライドコアS2 とが分離される。そして、スライドコアS2 の後端面48がスライド支持台46のストッパ面46bに当接して停止される。即ち、スライドコアS2 は、後退端位置に配置される。そして、第2成形型Kb2に保持されていた成形品Qは、プッシュピン23が突き出されることによって、前記第2成形型Kb2から離型され、排出される。
【0046】
この状態で、更に油圧モータMのモータ軸56を時計回りの方向P3 に回転させる。一対の回動円板54は、スライドコアS2 を更に押し下げようとする。該スライドコアS2 は後退端位置に配置されているため、それ以上スライド不能であるが、スライド支持台46が回動支点軸52に対して自由回転可能であるため、スライドコアS2 はスライド支持台46と一体になって、時計回りの方向P3 に回動される。そして、図11に示されるように、スライドコアS2 は、起立状態(即ち、その前端面45が、ほぼ水平になった状態)となって停止する。このとき、スライドコアS2 の前端面45の周囲には、ねじ軸Bを挿入セットさせるための大きな挿入空間部Vが形成される。また、前記スライドコアS2 は、そのガイド溝部58にガイド部材が嵌合されているため、該スライドコアS2 がスライド支持台46から落下するおそれはない。
【0047】
参考例の場合と全く同様にして、スライドコアS2 の挿入セット孔15にねじ軸Bが挿入セットされると、油圧モータMのモータ軸56が反時計回りの方向に回転され、一対の回動円板54が同方向に回動されることにより、一対の回動支持ピン59を介してスライドコアS2 をスライド方向P2 に沿って押し上げ、前進端位置に配置させる。
【0048】
この実施形態の射出成形装置A2 では、スライドコアS2 を回動させるための駆動力は、油圧モータMである。そして、前記スライドコアS2 の回動は、成形品Qを突き出す工程と独立して行うことができる。このため、参考例の射出成形装置A1 と比較して、プッシュピン23のストロークが僅かで済む。また、第1成形型Ka2には、傾斜ピン12が取付けられていない。このため、一対の成形型Ka2,Kb2を離隔させたときの間隔を、成形品Qが排出できて、かつ、ねじ軸Bを把持したロボットのハンド44を入り込ませることができるだけの最小限に設定することができる。この結果、参考例の射出成形装置A1 の利点に加えて、一対の成形型Ka2,Kb2を開閉するための時間を短くすることができ、成形品Qを成形するためのサイクルタイムを短くすることができる。
【0049】
本発明の実施形態の射出成形装置A2 を構成する一対の成形型Ka2,Kb2を複数個使用して、成形のサイクルタイムを、更に短縮させる場合について説明する。これは、図12に示されるように、溶融樹脂Wの射出成形工程と、ねじ軸Bの挿入セット工程とを別々に行わせる場合である。即ち、ベース体61に、旋回テーブル62が支持されている。この旋回テーブル62は、前記ベース体61に内装された回転手段(図示せず)により、水平面内で低速回転される。この旋回テーブル62の両側の上面には、固定型である同一の第2成形型Kb2が配設されていて、固定型ユニットUが形成されている。そして、前記旋回テーブル62の一方側(射出成形位置R1 )には、前記第2成形型Kb2に相対向して、可動型である第1成形型Ka2が配設されている。前記第1成形型Ka2は、図示しない手段により、上下方向(一対の成形型Ka2,Kb2の開閉方向P1 )に沿って昇降可能である。
【0050】
この装置の作用について説明する。射出成形位置R1 において、第1成形型Ka2が、旋回テーブル62の一端部に取付けられた第2成形型Kb2に接近し、一対の成形型Ka2,Kb2が閉じられる。射出ノズル18から射出された溶融樹脂Wが、キャビティCに供給され、ねじ軸Bのねじ軸本体部3を突き出した成形品Qが成形される。このとき、旋回テーブル62の他方側(ねじ軸Bの挿入セット位置R2 )においては、第2成形型Kb2に取付けられた油圧モータMを作動させ、そのモータ軸56が時計回りの方向P3 に回転される。すると、スライドコアS2 が回動され、起立状態となる。このスライドコアS2 に、ねじ軸Bを把持したロボットのハンド44が接近し、該スライドコアS2 に設けられた挿入セット孔15に、前記ねじ軸Bのフランジ部2とねじ軸本体部3を挿入する。油圧モータMのモータ軸56が、反対方向に回転されることによりスライドコアS2 の前端面45が、第2成形型Kb2のストッパ面26に当接して停止される。
【0051】
射出成形位置R1 における射出成形が終了すると、第1成形型Ka2が上昇され、一対の成形型Ka2,Kb2の間に所定の間隔が形成される。そして、プッシュピン23により、成形品Qが第2成形型Kb2から離型され、排出される。続いて、ベース体61に内装された回動手段により、旋回テーブル62が半回転され、予め、スライドコアS2 にねじ軸Bが挿入セットされた第2成形型Kb2が、射出成形位置R1 (第1成形型Ka2の直下)に配置されると共に、スライドコアS2 からねじ軸Bが抜き取られた第2成形型Kb2が、挿入セット位置R2 に配置される。そして、射出成形位置R1 では一対の成形型Ka2,Kb2に溶融樹脂Wが射出されると共に、挿入セット位置R2 では、スライドコアS2 にねじ軸Bが挿入される。
【0052】
上記したように、この装置では、成形品Qの射出成形作業と、ねじ軸Bの挿入セット作業とを平行して行うことができる。一般に、この種の装置では、成形品Qを射出成形するための時間(射出成形時間t1 )よりも、スライドコアS2 にねじ軸Bを挿入セットするための時間(挿入セット時間t2 )の方が長い。もし、1基の成形型Ka2,Kb2により、成形品Qを射出成形する場合、1回のサイクルタイムは、前記射出成形時間t1 と前記挿入セット時間t2 の合計となる。ところが、本装置の場合、成形品Qの射出成形工程と、ねじ軸Bの挿入セット工程が同時に行われるため、前記射出成形時間t1 と前記挿入セット時間t2 がほぼ同一と仮定すると、1回のサイクルタイムは、ほぼ半分となる。これは、成形品Qの生産効率が、ほぼ2倍になることを意味している。
【0053】
上記した装置を構成する固定型ユニットUは、1基の第1成形型Ka2(可動型)と、2基の第2成形型Kb2(固定型)が配設された場合である。しかし、前記第2成形型Kb2が、複数基であっても構わない。こうすることにより、1回のサイクルタイムは射出成形時間t1 のみとなり、更なる効率化が図られる。そして、第2成形型Kb2を、射出成形位置R1 から挿入セット位置R2 に変えるための手段は、上記した旋回テーブル62を回動させる以外に、固定型ユニットUをスライドさせても構わない。
【0054】
本明細書では、スライドコアS1,S2 が下側の第2成形型Kb1,Kb2に取付けられた場合について説明した。しかし、前記スライドコアS1,S2 は、一対の成形型Ka1,Kb1,Ka2,Kb2のうちのいずれに配設されていても構わない。また、スライドコアS1,S2 のスライド方向P2 は、一対の成形型Ka1,Kb1,Ka2,Kb2の開閉方向P1 と交差する方向、即ち、前記開閉方向P1 と平行でなければいかなる方向にスライドする形態であっても構わない。
【0055】
参考例、及び本発明の実施形態では、第1成形型Ka1,Ka2に対して、第2成形型Kb1,Kb2が移動する形態である。しかし、いずれの成形型が移動する形態であっても構わない。
【0056】
【発明の効果】
本発明に係る一部突出インサート体を備えた成形品の射出成形装置は、一対の成形型と、該一対の成形型のいずれか一方に取付けられ、それらの開閉方向と交差する方向にスライドするスライドコアとから成り、前記スライドコアは、インサート体の突出部となる部分を挿入セットするための挿入セット孔がキャビティ成形面に開口し、かつ、前記スライドする方向に沿って形成された射出成形装置を使用して、前記インサート体の少なくとも一部が外部に突き出した形態で成形品本体にインサート成形された成形品を射出成形する方法であって、前記スライドコアは、その後退端位置において挿入セット孔が前記一対の成形型の開閉方向にほぼ沿うように回動可能に構成されていて、該スライドコアの挿入セット孔が前記開閉方向にほぼ沿った姿勢で、該挿入セット孔に前記インサート体を挿入セットされる。即ち、インサート体が挿入セットされる際のスライドコアの周囲に、大きな挿入空間部が形成された状態でインサート体が挿入セットされる。このため、インサート体を挿入セットさせる作業が容易になると共に、確実に挿入セットでき、射出成形作業の効率化が図られる。また、スライドコアは、駆動モータによって正逆回動されて、前記スライドコアの回動が、プッシュピンの作動から独立して行われるため、一対の成形型が開いたときの間隔を最小にすることができ、成形のサイクルタイムが短くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例の射出成形装置A1 の正面断面図である。
【図2】 第2成形型Kb1の平面図である。
【図3】 同じく側面断面図である。
【図4】 一対の成形型Ka1,Kb1を開いて、ねじ軸Bのねじ軸本体部3とスライドコアS1 とを分離させる状態の作用説明図である。
【図5】 スライドコアS1 を後退端位置に配置させた状態の作用説明図である。
【図6】 スライドコアS1 を回動させて、ねじ軸Bを挿入セットさせる状態の作用説明図である。
【図7】 本発明の実施形態の射出成形装置A2 の正面断面図である。
【図8】 第2成形型Kb2の平面図である。
【図9】 同じく側面断面図である。
【図10】 一対の成形型Ka2,Kb2を開いて、ねじ軸Bのねじ軸本体部3とスライドコアS2 とを分離させる状態の作用説明図である。
【図11】 スライドコアS2 を回動させて、ねじ軸Bを挿入セットさせる状態の作用説明図である。
【図12】 溶融樹脂Wの射出成形工程と、ねじ軸Bの挿入セット工程とを別々に行う射出成形装置の模式図である。
【図13】 (イ)は、成形品Qの平面図であり、(ロ)は、同じく正面断面図である。
【図14】 従来の射出成形装置A’で、成形品Qを射出成形する場合の作用説明図である。
【図15】 同じく、一対の成形型Ka',Kb'を開いた状態を示す図である。
【符号の説明】
A1,A2 :射出成形装置
B:ねじ軸(インサート体)
C:キャビティ
Ka1, Ka2:第1成形型(可動型)
Kb1, Kb2:第2成形型(固定型)
M:油圧モータ(駆動モータ)
P1 :開閉方向
P2 :スライド方向(交差する方向)
Q:成形品
R1 :射出成形位置
R2 :挿入セット位置
S1,S2 :スライドコア
U:固定型ユニット
W:溶融樹脂
1:成形本体部(成形品本体)
2:フランジ部(突出部)
3:ねじ軸本体部(突出部)
11:キャビティ成形面
15:挿入セット孔
18:射出ノズル
23:プッシュピン
37:押出ロッド(作動ロッド)
62:旋回テーブル
Claims (2)
- 一対の成形型と、該一対の成形型のいずれか一方に取付けられ、それらの開閉方向と交差する方向にスライドするスライドコアとから成り、 該スライドコアには、インサート体の突出部となる部分を挿入セットするための挿入セット孔がキャビティ成形面に開口し、かつ、前記スライドする方向に沿って形成され、
前記スライドコアの挿入セット孔に前記インサート体の突出部となる部分を挿入セットさせた状態で、前記一対の成形型と前記スライドコアとで形成されるキャビティに溶融樹脂を射出して、前記インサート体の少なくとも一部が外部に突き出した形態で成形品本体にインサート成形された成形品を射出成形する装置であって、
前記スライドコアを、その後退端位置において挿入セット孔が前記一対の成形型の開閉方向にほぼ沿うように回動させるための回動手段を備え、
前記回動手段は、スライドコアをスライド可能に支持するためのスライド支持台と、前記スライド支持台を回動させるための駆動モータとから成り、
前記スライドコアは、その後退端位置において、駆動モータにより正逆方向に回動する構成であることを特徴とする一部突出インサート体を備えた成形品の射出成形装置。 - 旋回テーブルに同一構成の複数の固定型が、旋回軸を中心とする同一円周上に周方向に設けられて、前記旋回軸を中心にして旋回可能な固定型ユニットと、該固定型ユニットの射出成形位置に位置する固定型に対して開閉する単一の可動型とから成り、
前記固定型ユニットの各固定型には、前記可動型の開閉方向と交差する方向にスライドするスライドコアがそれぞれ設けられて、
前記スライドコアは、インサート体の突出部となる部分を挿入セットするための挿入セット孔がキャビティ成形面に開口し、かつ、前記スライドする方向に沿う挿入セット孔を備え、しかも、その後退端位置において、回動手段により前記挿入セット孔が前記可動型の開閉方向にほぼ沿うように回動可能に支持され、
前記回動手段は、スライドコアをスライド可能に支持するためのスライド支持台と、前記スライド支持台を回動させるための駆動モータとから成って、前記スライドコアは、その後退端位置において、駆動モータにより正逆方向に回動する構成であり、
前記固定型ユニットを構成する複数の固定型のうち、射出成形位置に位置する特定の固定型に設けられたスライドコアの挿入セット孔にインサート体の突出部となる部分を挿入セットした状態で、前記特定の固定型、前記可動型及び前記スライドコアとで形成されるキャビティに溶融樹脂を射出させて、前記インサート体の少なくとも一部が外部に突き出した形態で成形品本体にインサート成形された成形品の射出成形作業と、
前記固定型ユニットを構成する複数の固定型のうち、インサート体の挿入セット位置に位置する固定型に設けられたスライドコアを回動させて、その挿入セット孔にインサート体を挿入セットする作業と、
を同時に行えるようにしたことを特徴とする一部突出インサート体を備えた成形品の射出成形装置。
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