JP3891965B2 - 複合錠 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばボタン錠とシリンダ−錠等の複数の錠前を装備し、個々の錠前の機能を補完し、かつそれらの防御機能を相加することで、不正解錠を確実かつ強力に阻止し得るようにした、複合錠に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にシリンダ−錠は簡単かつ安価な錠前として、自動販売機やロッカ−等の扉に使用され、その構造は嵌合孔に装着可能なシリンダ−錠本体と、該本体に回動可能に収容したロ−タとからなり、前記ロ−タは前端に鍵孔を開口し、後端に駆動軸部を突設していて、該軸部を扉に内臓した錠前に連係していた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、鍵孔は外部に露出してドリルやドライバ−等の攻撃を受け易く、そのために前記従来例では、ロ−タの前端に高硬度のハ−ドキャップを取り付けていたが、部品点数が増加しコスト高になる問題があった。
【0004】
また、一般にシリンダ−錠は、不正な鍵によるピッキングを受け易いため、このピッキング対策として、精密な複数のタンブラ−ピンをシリンダ−本体に内蔵し、前記タンブラ−ピンを鍵孔に挿入した鍵に当接し、それらのシア−ラインが一致した際に解錠可能にして、ピッキングを防止するようにしていた(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、前記シリンダ−錠はタンブラ−ピンを傾斜方向に配置するため、タンブラ−ピンを収容する内外筒のピン孔の加工が複雑になり、また使用する鍵に対しては、その長さ方向にタンブラ−ピンと当接可能な斜面の加工を要し、該斜面は複雑な形状をしているため加工が難しく、シリンダ−錠および鍵の加工コストが共に高価になる問題があった。
しかも、シリンダ−錠はタンブラ−ピンの個数や斜面の形状に、加工上または加工スペ−ス上に制約があり、また鍵の複製や拾得した鍵による不正な解錠には基本的に対応できない、という問題があった。
【0006】
一方、出願人は、鍵の使用を廃し、錠本体に複数の操作ボタンを備え、該ボタンを押圧操作し特定の暗証番号等の情報を入力することで、施解錠可能にしたボタン錠を種々提案している(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
しかし、従来のボタン錠は、シリンダ−錠に比べ、ピッキング対策に有効な膨大な情報を設定でき、高い信頼性を得られるが、万一、暗証番号を知られると不正に解錠される惧れがあり、ピッキング対策に完全を期することができなかった
【0008】
【特許文献1】
特開平11−324426号公報
【特許文献2】
特開2002−357031号公報
【特許文献3】
特開平6−66055号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題を解決し、例えばボタン錠とシリンダ−錠等の複数の錠前を装備し、個々の錠前の機能を補完し、かつそれらの防御機能を相加することで、不正解錠を確実かつ強力に阻止し得るようにした、複合錠を提供することを目的とする。
【0010】
このため、請求項1の発明は、本締錠に連係するボタン錠とシリンダ−錠とを備え、前記ボタン錠は軸方向に変位し所定の情報を設定または入力可能な複数の操作ボタンと、該操作ボタンの操作毎に間欠回動可能なボタンギヤと、該ボタンギヤの回動角度を形成し、かつ復帰回動可能なリセットギヤと、該リセットギヤと同動可能な係合溝と、該係合溝に係脱可能な係合爪を有する制御板と、本締錠に連係する連結バ−と係合可能な駆動カムとを有し、前記シリンダ−錠は鍵を挿入かつ回動可能な内筒を備え、該内筒の作動を前記本締錠に連係し、該本締錠を施解錠可能にし、前記ボタン錠とシリンダ−錠の解錠操作を介して本締錠を解錠可能にし、かつボタン錠またはシリンダ−錠の施錠操作を介して、前記本締錠を施錠可能にした複合錠において、前記駆動カムを前記シリンダ−錠の内筒と同動可能に連係し、該駆動カムの前記内筒側と他側にビスを螺着し、該ビスの頭部に前記制御板に揺動可能に連結したロックプレ−トの先端部を係合可能に配置し、前記操作ボタンによる所定の情報を設定または入力を介し、前記ロックプレ−トの先端部を前記ビスの頭部に係合可能にし、前記駆動カムないし内筒を回動不能にし、高い防御能力と保安性能を確保し、不正解錠を強力に防止するようにしている。
請求項2の発明は、前記ビスはドアの吊元位置設定用ビスで、施錠の合理化と構成の簡潔化を図り、操作の簡便化と低廉化を得られるようにしている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をシリンダ−錠とボタン錠を備えた複合錠に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図12において1はドアで、その吊元側の一側端が枠体(図示略)に回動可能に取り付けられ、その他側端部の外面に、第1の錠前であるボタン錠2と、第2の錠前であるシリンダ−錠3とが取り付けられている。
図中、4はドア1の内側に取り付けた略皿状の丸座で、施解錠用のサムタ−ン摘み5が設けられ、6はドア1の戸当り側の枠体である。
【0014】
前記ボタン錠2は縦長小判形のケ−ス7と、該ケ−ス7の開口部を閉塞するカバ−8を備え、これらを亜鉛またはアルミ合金ダイカストで成形している。
前記ケ−ス7の上半部の一側に、複数の操作ボタン9が縦一列に配置され、該ボタン9の近接位置に操作孔10が形成され、該孔10の近接位置にボタン表示番号11が設けられている。
【0015】
前記操作ボタン9は、ボタンケ−ス12とボタンギヤ13とセットスプリング14とからなり、ボタンケ−ス12を前記ケ−ス7の外側に突出し、該ケ−ス12の内部にボタンギヤ13を収容している。
前記ボタンケ−ス12の基部外周面に複数の掛止爪15が設けられ、該掛止爪15,15の間に、ボタンケ−ス12の内面に設けたガイドリブ21を係脱可能に挿入している。
【0016】
前記ボタンケ−ス12の端部に鋸歯状の係合爪16が設けられ、また前記ボタンギヤ13の一側に同様な鋸歯状の係合爪17が設けられ、これらの係合爪16,17が噛合可能に配置されている。
前記セットスプリング14は、カバ−8とボタンギヤ13との間に介挿され、その弾性を介してボタンギヤ13とボタンケ−ス12とを外側へ付勢している。
【0017】
そして、前記操作ボタン9の押圧操作を介して、ボタンギヤ13を一定方向へ所定角度回動し、その回動力と回動変位を、これと噛合するタ−ミナルギヤ18へ伝達可能にしている。
実施形態では操作ボタン9を1回所定変位押圧することで、ボタンギヤ13を45°回動させ、その回動力と回動変位を、これと噛合するタ−ミナルギヤ18へ伝達可能にしている。
前記タ−ミナルギヤ18は、ブロック本体19に回動可能に収容され、該ギヤ18に円筒状のクラッチシャフト20が回動自在に挿入されている。
【0018】
前記ブロック本体19は、亜鉛若しくはアルミ合金ダイカストによって異形の厚板状に成形され、その一側面に前記タ−ミナルギヤ18を収容する凹孔22と、リセットギヤ23を収容する凹孔24とが連通して形成され、その他側面に前記凹孔22に連通する凹孔25が形成されている。
【0019】
図中、26はブロック本体19の一側面に形成したネジ孔で、該ネジ孔26にビス27をねじ込んで、カバ−プレ−ト28を取り付けている。
29はブロック本体19の一端に形成したフック部、30はブロック本体19の他側面に形成した凹孔状のバネ受で、シフトスプリング31を収容可能にしており、32は前記凹孔22の底部に突設したスリワリで、捩りバネ33の一端を掛け止め、該バネ33に形成される弾性によって、リセットギヤ23を原位置へ復帰回動可能に付勢している。
【0020】
前記クラッチシャフト20の一端にネジ孔34が形成され、該ネジ孔34に情報変更子であるビス35がねじ込まれている。 前記ビス35の頭部35aとカバ−プレ−ト28との間に、バネ36と座金37が介挿され、該バネ36の弾性によって、クラッチシャフト20を上方へ付勢し、係合爪38と後述する係合穴とを係脱可能にしている。
前記クラッチシャフト20の他端に、略菱形の係合爪38と円板状の掛止板39が設けられ、該掛止板39の端面に略平板状のカム軸40を突設している。
【0021】
前記タ−ミナルギヤ18の内側に係合孔41が形成され、該係合孔41の内面に係合穴66が形成され、該穴66の内面に複数、実施形態では8個の係合歯(図示略)が形成され、該係合歯に前記係合爪38が係脱可能に収容されている。すなわち、前記係合爪38は、前記バネ36の弾性によって係合穴66と係合可能に付勢され、ボタン錠2の暗証番号の設定ないしは入力時、操作具42を介してビス頭部35aが押圧された際、係合穴66との係合を解除可能にされている。
【0022】
前記カム軸40は制御カム43の通孔44に挿入され、該カム43をクラッチシャフト20と同動可能にしている。
前記制御カム43は前記凹孔25に回動可能に収容され、これは合成樹脂によって略円板状に成形され、その内側周面に切欠溝45を形成し、該切欠溝45に制御板46の係合爪47を係脱可能に配置している。
【0023】
前記制御板46は鋼板をプレス成形して略細長矩形に形成され、その一側端部をケ−ス7の側壁内面の段部(図示略)に係合し、この係合部を支点に板厚方向へ揺動可能に配置している。
前記制御板46の基端部、つまり係合爪47と反対側と、ケ−ス7内面との間にセットスプリング48が介挿され、該スプリングの弾性を介して、前記係合爪47を切欠溝45側へ係合可能に付勢している。
【0024】
前記制御板46の他側端部に、操作ボタン9と同数の円弧状凹部49が形成され、該凹部49をボタン受50に係合可能に配置している。
図中、51は前記凹孔25の周壁を切り欠いた切溝で、該溝51に前記係合爪47が挿入され、該係合爪47の先端部を掛止板39に係合可能に配置している
【0025】
前記制御板46の一端部に、バネ52を介して鋼板製のロックプレ−ト53が揺動自在に連結され、該プレ−ト53の先端部に円弧状凹部54が形成されている。
前記円弧状凹部54は駆動カム55のボス56に係合可能に配置され、かつその張出部57を駆動カム55に取り付けたビス58に係合して、駆動カム55の回動を阻止し、ボタン錠2を実質的に施錠可能にしている。
【0026】
図中、58はリセットギヤ23に設けたストッパで、当該部でタ−ミナルギヤ18との噛合を不能し、それらの回動を阻止可能にしている。59はブロック本体19の他側面の両端部に斜状に形成したガイド溝で、該溝59に記憶解除リンク60に突設したピン61が係入している。
【0027】
前記記憶解除リンク60は、ケ−ス本体7の長さ方向に移動可能に収容され、これはアルミ合金若しくは亜鉛合金ダイカストによって略コ字形状に形成され、その両端部に係合ア−ム62,63を突設している。
このうち、係合ア−ム62が駆動カム55のカムエンド64に係合可能に配置され、該ア−ム62の張出部62aが前記ロックプレ−ト53に係合可能に配置されている。
【0028】
また、一方の係合ア−ム63とケ−ス本体7の内壁との間に、セットスプリング65が介挿され、該スプリング65の弾性を介して、前記記憶解除リンク60を図7上下方へ付勢している。
図中、67,68はカバ−プレ−ト28に形成した通孔で、通孔68にバネケ−ス69が取り付けられている。
【0029】
前記駆動カム55は、ケ−ス本体7内の一側に設けたカム穴70に回動可能に収容され、その一側に設けた軸筒部71を軸孔72に挿入している。
前記軸筒部71の端部に段付孔73が設けられ、該孔73の開口縁部に一対のドグ74が突設され、該ドグ74をケ−ス本体7の外側の凹孔75に表出させている。
図中、76は駆動カム55とケ−ス本体7との間に介挿したカムスプリングで、駆動カム55を原位置へ復帰回動可能に付勢している。
【0030】
前記ドグ74に連結片77の係合溝78が嵌合し、また前記段付孔73に連結片77の軸部79が挿入され、該軸部79のネジ孔80にボルト81をねじ込んで、連結片77を駆動カム55と同動可能に取り付けている。
前記連結片77の他端部に角穴82が形成され、該角穴82に、シリンダ−錠3の内筒83の端部に突設した角軸84が嵌合している。
【0031】
前記シリンダ−錠3は、略円錐台形の錠ケ−ス85と、該ケ−ス85に固定された外筒86と、該外筒86に回動自在に取り付けた内筒83とからなり、該内筒83に鍵87を差し込み可能な鍵孔88が形成されている。
図中、89はカム穴70の底部に設けた透孔、90は錠ケ−ス85の端部に形成したネジ孔で、これらにビス91をねじ込み、錠ケ−ス85を凹孔75に取り付けている。
【0032】
この他、92は錠ケ−ス85の端部にねじ込んだビスで、錠ケ−ス85に外筒86を固定している。93は鍵87の差し込み部周面に形成したピン孔で、鍵孔88の内面に臨ませて配置したタンブラ−ピン(図示略)と係合可能にされている。
【0033】
前記ボルト81の頭部81aは、ボス56の異形のボス穴94に収容され、該頭部81aの係合凹部95に、軸部96を介して、連結バ−受97が回動自在に支持されている。
前記連結バ−受97の端面にスリワリ98が形成され、該スリワリ98に連結バ−99の基端部が係入している。前記連結バ−99の他端部は、ドア1に埋設した本締錠100のカム穴(図示略)を貫通し、前記サムタ−ン摘み5の軸部のスリワリ(共に図示略)に係合している。
【0034】
図中、101は本締錠100に連動するデッドボルトで、枠体6に設けたトロヨケ(図示略)に進退可能に配置されている。
102,103はドア1の内外に回動可能に取り付けたドアハンドルで、前記ボタン錠2の直下または長座4の直下に取り付けられ、そのハンドル操作を介して、空錠104に連動するラッチ105を、枠体6に設けたトロヨケ(図示略)に進退可能にしている。
【0035】
この他、図中106はケ−ス本体7の底部に摺動可能に取り付けた細長の防護板で、その一側に前記操作孔10に連通可能な複数の透孔107が形成されている。
前記防護板106の両端部に屈曲片108と係合片109とが設けられ、前記屈曲片108とケ−ス本体7内の張出壁110との間にバネ111が介挿され、該バネ111の弾性を介して、防護板106を駆動カム55側へ付勢している。
【0036】
また、前記係合片109は、ケ−ス本体7内面と駆動カム55の係合段部112との間に係合可能に挿入され、ボタン錠2の施錠時、操作具42を操作孔10に差し込み、シリンダ−錠3のキ−操作で不正に解錠する際、駆動カム55の回動を阻止して、不正解錠を防止可能にしている。
【0037】
この他、図中113はケ−ス本体7のネジ孔114にねじ込み可能な棒ネジで、一端に六角穴が形成され、該ネジ113に丸座4連結用のパイプネジ115がねじ込み可能にされている。
116は駆動カム55に設けたビス58のネジ孔、117はカバ−8に複数形成した通孔で、前記カム軸40を係入可能にしている。
【0038】
このように構成した複合錠は、複数の錠前、実施形態では第1の錠前であるボタン錠2と、第2の錠前であるシリンダ−錠3とを要し、これらを本締錠100に連係させて、一体的に配置しているから、これらを別々に配置する場合に比べて、取り付けスペ−スのコンパクト化と、施解錠操作の容易化を図れる。
【0039】
特に、前記ボタン錠2は、単一の操作ボタン9の押圧操作によって、8種類の暗証番号を設定および入力し得るから、従来のボタン錠に比べて操作ボタン9の数を減少でき、その分構成が簡潔になり、ボタン錠2の小形軽量化を図れる。この状況は図1乃至図3のようで、ドア1周辺の体裁が向上する。
【0040】
また、複合錠の施解錠は後述のように、各錠前2,3の施錠と解錠を要するから、それだけ解錠に時間が掛かり、その分防御能力の向上を図れる。
特に、実施形態ではボタン錠2にシリンダ−錠3を組み合わせているから、特定の暗証番号の知得と鍵87の所持が不可欠になり、それらの条件が満たされた場合にのみ解錠し得ることとなって、極めて高い防御能力を得られる。
【0041】
このような複合錠は、例えば図1および図2のように、玄関ドア1の外側にドアハンドル102と一緒に取り付けられ、ドア1の内側に、丸座4とドアハンドル103が取り付けられる。
前記複合錠を構成するボタン錠2には、使用者毎に特定の暗証番号が入力設定され、シリンダ−錠3には特定の鍵87が使用される。
【0042】
このうち、前記暗証番号は実施形態の場合、4個の操作ボタン9によって4桁の番号が設定され、各操作ボタン9は後述のように8通りの番号を設定し得るから、8の4乗、つまり4096通りの暗証番号を設定し得る。
【0043】
次に、前記ボタン錠2に暗証番号を入力設定する場合は、例えばドア1を閉鎖した状態で、ドア1の外側から入力設定する。
すなわち、所定の操作孔10に操作具42を挿入し、クラッチシャフト20をバネ36の弾性に抗して押し下げ、係合爪38と係合穴66との係合を解除するこの状況は図8および図9のようで、タ−ミナルギヤ18がクラッチシャフト20に回転自在に支持され、タ−ミナルギヤ18がボタンギヤ13とリセットギヤ23に噛合する。
【0044】
このような状況の下で図10のように、対応する操作ボタン9をセットスプリング14の弾性に抗して押し下げ、ボタンギヤ13を同動させた後、ボタンギヤ13から手を離す。
このようにすると、ボタンギヤ13がセットスプリング14の弾性によって前方へ押し戻され、かつその際、前記ギヤ13に突設した係合爪17がガイドリブ21の内側端部に係合して、ヘリカル回動する。
【0045】
このため、前記係合爪17がガイドリブ21の1ピッチ分、つまり45°回動し、そのトルクをボタンギヤ13と噛合するタ−ミナルギヤ18へ伝達し、更にそのトルクが噛合するリセットギヤ23へ伝達される。
この結果、リセットギヤ23が回動し、内部に掛け止めたリセットバネ33を捩り込み、その蓄積した弾性をタ−ミナルギヤ18へ作用して、該ギヤ18を原位置へ復帰可能に付勢する。
【0046】
この場合、操作ボタン9を2回押圧すると、ボタンギヤ13がガイドリブ21の2ピッチ分、つまり90°回動し、操作ボタン9を3回押圧すると、ボタンギヤ13が135°回動する。
したがって、例えば暗証番号が4桁の「2345」の場合は、ボタン表示部11の「1」表示の最上位置の操作ボタン9を2回押圧し、ボタン表示部11の「2」表示の操作ボタン9を3回押圧し、ボタン表示部11の「3」表示の操作ボタン9を4回押圧し、ボタン表示部11の「4」表示の操作ボタン9を5回押圧する。
【0047】
こうして各操作ボタン9の暗証番号を設定後、操作具42を操作孔10から引き抜き、クラッチシャフト20の原状を回復して、係合爪38を係合穴66に係合する。
そして、鍵87をシリンダ−錠3の鍵孔88に差し込み、これを例えば時計方向へ回動し、図7上では反時計方向へ回動して、リセット操作する。
【0048】
このようにすると、鍵87と一緒に内筒83が回動し、そのトルクが同動する連結片77を介して、係合溝78と嵌合するドグ74から駆動カム55へ伝達され、該カム55が同期回動する。
このため、駆動カム55に組み付けた連結バ−受97が同動し、スリワリ98に係合した連結バ−99が同動して、本締錠100のカム(図示略)が作動し、デットボルト101がトロヨケ(図示略)に突出して、シリンダ−錠3が施錠される。
【0049】
一方、前記駆動カム55の回動に伴って、そのカムエンド64が記憶解除リンク60の係合ア−ム62と係合し、前記リンク60をセットスプリング65の弾性に抗して押し上げ、ピン61と係合下のブロック本体19を、シフトスプリング31の弾性に抗して図7上左方へ引き寄せる。
【0050】
この結果、ブロック本体19がボタンギヤ13から離反し、ボタンギヤ13とタ−ミナルギヤ18との噛合が解除され、また制御板46の各係合爪47が、ブロック本体19の切溝51から引き抜かれる。
【0051】
このようにすることで、タ−ミナルギヤ18とリセットギヤ23が回動可能になり、リセットギヤ23が捩りバネ33の弾性によって復帰回動し、つまり操作ボタン9の押圧操作時と反対方向へ回動し、該ギヤ23と噛合するタ−ミナルギヤ18を、操作ボタン9の押圧操作時と同方向へ回動させる。
【0052】
前記タ−ミナルギヤ18の回動変位は、捩りバネ33に形成された前記弾性に比例し、その回動変位が係合穴66に係合する係合爪38を介して、カム軸40に形成される。
このため、カム軸40がタ−ミナルギヤ18と同期回動し、該軸40に嵌合した制御カム43がこれに同動して、該カム43の切欠溝45の位置が形成されるすなわち、各切欠溝45の位置が、捩りバネ33の弾性ないし暗証入力情報に基いて設定される。
【0053】
このような暗証番号設定時は、各切欠溝45の位置が記憶情報「0」の位置、つまり係合爪47と係合可能な位置から係合不可能な位置へ移動し、各係合爪47がリセットスプリング48の弾性に抗して切欠溝45から引き出され、掛止板39と制御カム43との間に位置する。
【0054】
したがって、ロックプレ−ト53の一端がロックスプリング52の弾性によって、制御板46の厚さ方向に引き寄せられ、該板46に重合するとともに、その他端の張出部57が吊元位置設定用ビス58に係合し、その移動が拘束される。この結果、駆動カム55ないし内筒86の回動が不能になり、ボタン錠2が実質的に施錠される。
【0055】
このようなボタン錠2とシリンダ−錠3の施錠を解錠する場合は、ボタン錠2とシリンダ−錠3を順次解錠操作する。
先ず、前記ボタン錠2を解錠する場合は、ドア1の外側から各操作ボタン9を操作し、前記設定した暗証番号「2345」を入力する。
すなわち、最上位置の操作ボタン9を2回押圧し、その直下の操作ボタン9を3回押圧し、次の操作ボタン9を4回押圧し、最下位置の操作ボタン9を5回押圧する。
【0056】
このようにすると、各操作ボタン9のボタンギヤ13が前記押圧回数に45°を乗じた角度、つまり90°、135°、180°、225°回動し、各ボタンギヤ13と噛合するタ−ミナルギヤ18が、前記ギヤ13と反対方向へ回動する
【0057】
この場合、前記タ−ミナルギヤ18の回動方向は、前記暗証番号設定時におけるリセット操作時の回動方向と反対で、その回動角度はそれぞれ同一であるから、各タ−ミナルギヤ18は暗証番号設定時と反対方向へ回動し、暗証番号設定時の回動角度を相殺して、当該暗証情報を解消する。
【0058】
すなわち、全てのタ−ミナルギヤ18が回動角度「零」の状態に置かれ、同動する各制御カム43ないし切欠溝45が同様な暗証番号「0」の状態を形成し、各切欠溝45が制御板46の係合爪47と係合可能になる。
【0059】
このため、各係合爪47がセットスプリング48の弾性によって各切欠溝45に係入し、制御板46がカバ−8側へ斜めに押し倒され、これにロックプレ−ト53が追随して、該プレ−ト53の張出部57がドア吊元位置設定ビス58から離間し、駆動カム55が回動可能になる。これによって、ボタン錠2が実質的に解錠される。
【0060】
次に、前記状況の下でシリンダ−錠3を解錠する。
シリンダ−錠3を解錠する場合は、鍵87をシリンダ−錠3の鍵孔88に差し込み、これを前記リセット方向と反対方向へ回動し、図7上では時計方向へ回動する。
このようにすると、鍵87と一緒に内筒83が回動し、そのトルクが同動する連結片77を介して、係合溝78と嵌合するドグ74から駆動カム55へ伝達され、該カム55が同期回動する。
【0061】
このため、駆動カム55に組み付けた連結バ−受97が同動し、スリワリ98に係合した連結バ−99が同動して、本締錠100のカム(図示略)が作動し、デットボルト101がトロヨケ(図示略)から後退して、シリンダ−錠3が解錠される。
そこで、この後、外側のドアハンドル102を回動し、ラッチ105をトロヨケ(図示略)から後退させれば、ドア1が開放可能になる。
【0062】
このように、本発明の複合錠を解錠する場合は、第1の錠前であるボタン錠2と、第2の錠前であるシリンダ−錠3の解錠を要し、それぞれの解錠を条件に解錠可能にしているから、従来の単一の錠前によるものに比べ、高い防御能力と保安能力を得られ、不正解錠を強力に防止することができる。
しかも、ボタン錠2は暗証番号を基に解錠され、またシリンダ−錠3は鍵87を基に解錠され、それぞれ異質の解錠条件を備えているから、解錠条件の一致が難しく、それだけ不正解錠を強力に阻止し得る。
【0063】
なお、前記シリンダ−錠3の解錠操作によって、駆動カム55がリセット操作と反対方向に回動するが、カムエンド64が係合ア−ム62と係合し、記憶解除リンク60が押し上げられ、該リンク60が図7上左方へ引き寄せられる。
そして、ブロック本体19がボタンギヤ13から離反し、タ−ミナルギヤ18とボタンギヤ13の噛合が解除され、制御板46の各係合爪47がブロック本体19の切溝51から引き抜かれ、前述のリセット動作と同様な状態が形成される
【0064】
しかしながら、タ−ミナルギヤ18とボタンギヤ13の噛合が解除されても、捩りバネ33は僅かな弾性を有するだけで、前記ギヤ18,13を回動し得ないから、前記ギヤ18,13は回動しない。したがって、ボタン錠2は当初設定の暗証番号を維持し、その後のドア1の開操作ないし解錠作動に支障を来たさない
【0065】
一方、前述の施錠時にドア1を内側から開ける場合は、サムタ−ン摘み5を回動操作し、これに連係する連結バ−99を同動させて、本締錠100のカム(図示略)を作動し、デットボルト101をトロヨケ(図示略)から後退させれば、本締錠100が解錠される。
したがって、この後、内側のドアハンドル102を回動し、ラッチ105をトロヨケ(図示略)から後退させれば、ドア1が開放可能になる。
【0066】
次に、前記複合錠を外側から施錠する場合は、シリンダ−錠3による施錠操作で行なう。すなわち、外側のドアハンドル102を回動し、ラッチ105をトロヨケ(図示略)へ突出させて、ドア1を閉鎖する。
この後、鍵87をシリンダ−錠3の鍵孔88に差し込み、これを施錠方向へ回動する。
このようにすると、鍵87と一緒に内筒83が回動し、そのトルクが同動する連結片77を介して、係合溝78と嵌合するドグ74から駆動カム55へ伝達され、該カム55が同期回動する。
【0067】
このため、連結バ−受97が駆動カム55と同動し、スリワリ98に係合した連結バ−99がこれに同動して、本締錠100のカム(図示略)が作動し、デットボルト101がトロヨケ(図示略)へ突出して、シリンダ−錠3が施錠される
【0068】
このように、本発明の複合錠を外側から施錠する場合は、シリンダ−錠3による施錠だけでよく、ボタン錠2の施錠を要しないから、前記操作を簡易かつ速やかに行なえる。
この場合、ボタン錠2は解錠時に当初設定の暗証番号を維持しているが、前記施錠操作および施錠後においても、前記暗証番号を維持し、その施錠操作および施錠機能に支障を来たさない。しかも、シリンダ−錠3による施錠は、鍵87による従来の操作でよいから、前記操作を簡便に行なえる。
【0069】
一方、前記複合錠を内側から施錠する場合は、内側のドアハンドル102を回動し、ラッチ105をトロヨケ(図示略)へ突出させて、ドア1を閉鎖する。
そして、サムタ−ン摘み5を回動操作し、これに連係する連結バ−99を同動させて、本締錠100のカム(図示略)を作動し、デットボルト101をトロヨケ(図示略)へ突出させれば、本締100が施錠される。
【0070】
以上のように、本発明の請求項1の発明は、駆動カムを前記シリンダ−錠の内筒と同動可能に連係し、該駆動カムの前記内筒側と他側にビスを螺着し、該ビスの頭部に前記制御板に揺動可能に連結したロックプレ−トの先端部を係合可能に配置し、前記操作ボタンによる所定の情報を設定または入力を介し、前記ロックプレ−トの先端部を前記ビスの頭部に係合可能にし、前記駆動カムないし内筒を回動不能にしたから、高い防御能力と保安性能を確保でき、不正解錠を強力に防止することができる。
ら、高い防御能力と保安性能を確保でき、不正解錠を強力に防止することができる。
請求項2の発明は、前記ビスをドアの吊元位置設定用ビスにしたから、施錠の合理化と構成の簡潔化を図れ、操作の簡便化と低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を、ボタン錠とシリンダ−錠の組み合わせに適用した実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の正面図で、ボタン錠とシリンダ−錠の施錠状態を示している。
【図3】図2の左側面図である。
【図4】本発明に適用したボタン錠の要部を分解して示す斜視図で、ケ−ス本体内の組み付け部品と、シリンダ−錠の組み付け状態を示している。
【図5】本発明に適用したボタン錠の要部を分解して示す斜視図で、ブロク本体と制御カム、タ−ミナルギヤとリセットギヤ等の組み付け状態を示している。
【図6】本発明に適用したボタン錠の要部を分解して示す斜視図で、ブロク本体と制御板、記憶解除リンクとカバ−の組み付け状態を示している。
【図7】本発明に適用したボタン錠の要部を分解して示す正面図で、記憶解除リンクと制御板とケ−ス本体等の組み付け状態を示している。
【図8】本発明に適用したボタン錠の暗証番号設定前の状況を拡大して示す断面図である。
【図9】本発明に適用したボタン錠の暗証番号設定途中の状況を拡大して示す断面図で、操作具を挿入し、クラッチシャフトを押し下げ、操作ボタンを押圧する前の状況を示している。
【図10】本発明に適用したボタン錠の暗証番号設定時の状況を拡大して示す断面図で、操作具を挿入し、クラッチシャフトを押し下げ、操作ボタンを押圧している状況を示している。
【図11】図2のA−A線に沿う断面図で、本発明に適用したボタン錠とシリンダ−錠の組み付け状態を示し、前記シリンダ−錠に鍵を差し込んでいる状況を示している
【図12】本発明に適用したボタン錠と、シリンダ−錠の組み付け状態の要部を分解して示す斜視図で、ボタン錠内の駆動カムと、シリンダ−錠との組み付け状態を示している。
【符号の説明】
2 ボタン錠(第1の錠前)
3 シリンダ−錠(第2の錠前)
9 操作ボタン
100 本締錠
Claims (2)
- 本締錠に連係するボタン錠とシリンダ−錠とを備え、前記ボタン錠は軸方向に変位し所定の情報を設定または入力可能な複数の操作ボタンと、該操作ボタンの操作毎に間欠回動可能なボタンギヤと、該ボタンギヤの回動角度を形成し、かつ復帰回動可能なリセットギヤと、該リセットギヤと同動可能な係合溝と、該係合溝に係脱可能な係合爪を有する制御板と、本締錠に連係する連結バ−と係合可能な駆動カムとを有し、前記シリンダ−錠は鍵を挿入かつ回動可能な内筒を備え、該内筒の作動を前記本締錠に連係し、該本締錠を施解錠可能にし、前記ボタン錠とシリンダ−錠の解錠操作を介して本締錠を解錠可能にし、かつボタン錠またはシリンダ−錠の施錠操作を介して、前記本締錠を施錠可能にした複合錠において、前記駆動カムを前記シリンダ−錠の内筒と同動可能に連係し、該駆動カムの前記内筒側と他側にビスを螺着し、該ビスの頭部に前記制御板に揺動可能に連結したロックプレ−トの先端部を係合可能に配置し、前記操作ボタンによる所定の情報を設定または入力を介し、前記ロックプレ−トの先端部を前記ビスの頭部に係合可能にし、前記駆動カムないし内筒を回動不能にしたことを特徴とする複合錠。
- 前記ビスはドアの吊元位置設定用ビスである請求項1記載の複合錠。
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