JP3891722B2 - 鉄シリサイド結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄とシリコンの化合物であるα−FeSi2 またはβ−FeSi2からなる鉄シリサイド結晶の製造方法に関し、特に、光学的、磁気的、電気的な応用の多面性をもつ次世代半導体材料として期待されている環境半導体材料であるβ−FeSi2 結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、α−FeSi2 、β−FeSi2 等の鉄シリサイドは、FeとSiの2種類の原料を混合し、高周波加熱法やアーク加熱法等で加熱溶解して結晶成長させる融液成長法やヨウ素を輸送媒体に用いた化学気相輸送法(CVT法)によってバルク結晶成長が行われてきた。
【0003】
また、Siを種子結晶基板として、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、RDE(Reactive Deposition Epitaxy )法、IBS(Ion Beam Synthesis)法、PLD(Pulsed Laser Deposition )法、SPE(Solid Phase Epitaxy )法などによりβ−FeSi2 薄膜のヘテロエピタキシーが行われている(「日本結晶成長学会誌」第25巻、第1号、第46〜54頁、1998年)。
【0004】
その他、Fe−Siの溶融体を鋳型に鋳込んで所望の形態としたα−FeSi2 をアニールしてβ−FeSi2 に相転移させる方法(特開平6−177436号公報)、ガスアトマイズ法によって得られたα−FeSi2 粉末を焼結固化するとともにβ−FeSi2 に相転移させる方法(特開平6−144825号公報)、酸化鉄とシリコンとを含む粉末をメカニカルアロイングし、次いで熱処理する方法(特開平10−237671号公報)、高純度鉄とSiを真空雰囲気中などで直接接触させた状態で保持し、700〜900℃の温度範囲に加熱する方法(特開平10−317086号公報)等によりβ−FeSi2 を製造する方法も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
鉄シリサイドは、高融点元素であるFeとSiとからなり、Siの反応性が高温で非常に高いために蒸発源としてP−BNルツボが使用できないこと、鉄が酸化しやすいこと等から高品質の薄膜試料の作成は極めて困難とされ、また、Fe−Si化合物は、多様な結晶形態をとるためにバルクβ−FeSi2 の製作も困難とされてきた。
【0006】
上記の従来技術の内、FeとSiからなる融液からβ−FeSi2 を成長させる場合は、成長温度を1200℃以上の高温に上げる必要があり、さらに、単一相を得るためには、長時間(100時間〜8日間)の熱処理を施す必要がある。CVT法では、針状の結晶しか得られず、大型の鉄シリサイド結晶を得ることは困難である。また、β−FeSi2 薄膜のヘテロエピタキシー法等は、高額な設備が必要な上、厚膜の結晶を得ることは現実的に困難である。
【0007】
そこで、本発明は、成長温度が低く且つ成長速度の速い、且つ安価に実施できる新規な鉄シリサイド結晶の成長方法を見出すことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、Inなどの低融点金属を溶媒とすれば、これにFeおよびSiの両方を溶解させ、少なくとも3元の飽和溶液とすることができ、この溶液から溶媒との化合物を形成させずに、鉄シリサイド結晶を成長させることができることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、FeとSiの両方に溶解度をもつ金属としてIn、Ga、Zn、
Sn、またはBiのいずれかを選択して溶媒とし、これに溶質としてFeとSiとを溶解した少なくとも3元の飽和溶液を所定温度範囲で冷却することにより該溶液からα−FeSi2 またはβ−FeSi2 を析出させ、結晶成長させることを特徴とする鉄シリサイド結晶の製造方法である。
【0010】
結晶成長させた鉄シリサイドがα−FeSi2 の場合には、これを公知の手段によってアニールすることによりβ−FeSi2 に相転移させることができる。
【0011】
また、本発明の製造方法によれば、Si基板上に鉄シリサイド結晶の異種接合を形成することができる。
【0012】
In、Ga、Zn、Sn、またはBiは、α−FeSi2 またはβ−FeSi2 の成長温度よりも低い融点をもち、鉄シリサイド結晶の成長温度範囲でFeとSiの両方に一定の溶解度をもつ金属であるから、これらの金属を溶融して溶媒とすることが可能となる。
【0013】
しかも、FeおよびSiはこれらの低融点金属とは全く化合物を形成しないか、形成する可能性がある場合でも、結晶成長条件を制御することによりそのような化合物の形成を抑制できるので、鉄シリサイド結晶の製造が可能となる。
【0014】
In、Ga、Zn、Sn、Biに対するFeおよびSiの溶解度は、二元合金状態図に示されるとおりであるが、Inの場合は、920℃では、Feの溶解度は約0.4原子%、Siの溶解度は約2原子%である。また800℃では、Feの溶解度は0.4原子%より小さくなり、Siの溶解度は約1原子%である。
【0015】
また、Gaの場合は、800℃では、Feの溶解度は約8原子%、Siの溶解度は約8原子%である。Znの場合は、800℃では、Feの溶解度は約8原子%、Siの溶解度は約5原子%である。Snに対するFeおよびSiの溶解度の程度は、GaとInの間であり、Sn溶液を溶媒とした場合800℃の低温度での結晶成長が可能となる。Biに対するFeとSiの溶解度はInの場合よりも低く、900℃でどちらも0.2原子%程度である。
【0016】
このように、GaまたはZnを溶媒とした場合、Fe、Siの溶解度がInやSnよりも大きいため、鉄シリサイドの成長温度を800〜600℃程度とすることができ、成長温度が600℃程度の低温度でも十分な結晶成長が可能になる。したがって、結晶中への800℃以上の高温において安定な鉄シリサイド相の混入が避けられる。
【0017】
Inを溶媒とした場合、成長温度は1000〜800℃程度となるが、溶媒のInは、1000℃以下の成長温度でSiの溶解度がFeの溶解度よりも約1桁大きいため、成長温度を高くすることによってα−FeSi2 を、低くすることによってβ−FeSi2 を選択的に成長させることができる。また、同様にして、所望しない他の鉄シリサイド相(FeSi,Fe3 Si,Fe5 Si3 ,Fe9 Si)の析出を抑えることができる。例えば、成長温度を980℃から880℃までとするとα−FeSi2 が、900℃から850℃までとするとβ−FeSi2 が成長する。
【0018】
また、In、Biは、SiおよびFeのどちらとも化合物を作らないため、溶質同士の化合物である鉄シリサイドのみが成長し、成長した結晶に不要な化合物を混入しない。Zn、GaおよびSnの場合は、Siとの化合物は作らないが、溶質の濃度や成長温度等によってはFeとの化合物が形成される場合がある。しかし、前記低融点金属からなる溶媒中の溶質であるSiとFeの濃度の調整と成長温度の制御により、鉄シリサイドの相の種類を選択し、混入するその他の相を抑制することができる。
【0019】
溶媒にFeとSiを溶解させた3元組成の相図では、ある温度での飽和値は曲線で示されるが、溶媒中に溶解させるFeとSiの濃度比は、Fe:Si=1:2の原子比に厳密に調整する必要はなく、Si濃度が過剰であればよい。なぜなら、Fe−Siの状態図からFe:Siの原子比が1:2よりSiが多い場合は、FeSi2 が析出するからである。よって、Inを溶媒とした場合、Fe、Siとも飽和濃度まで溶解させてもSi濃度が過剰となりFeSi2 が析出する。Ga、Zn、Sn、Biでは、温度に対するFe、Siの溶解度の変化により決まるが、その時のSiの析出量がFeに対し2倍以上になるように調節すればよく、目安としてFeがSiのおよそ1/3以下になるように濃度を調整すればよい。
【0020】
通常の液相成長、例えば、GaAsの成長では、成長させたい化合物であるGaAsをGa溶媒に溶解して成長を行い、通常、GaにAsを溶解して成長は行わないが、本発明の製造方法では、In、Ga、Zn、Sn、またはBiから選ばれる低融点金属の溶媒に、FeとSiを個別に溶解することができる。溶媒に溶質を溶解させる方法としては、まず、Feを溶解させ、次にSiを溶解させることで所望する組成の飽和溶液が得られやすいが、逆にSiを溶解させ、次にFeを溶解させることもできる。このように、原料としてFeとSiの元素を個別に溶解する方法を用いれば、特定の組成比の高価な原料を用いることなく溶媒中のFeとSiの濃度の調整を容易に行うことができる。Fe原料としては、電解鉄などの高純度Fe板や粉末、Si原料としては融液成長原料などのSi多結晶や粉末を使用できる。
【0021】
また、予め製造されたFeSiまたはFeSi2 の型の一定の組成比の原料として溶媒にFeとSiを溶解させることもできる。
【0022】
本発明は、さらに、下型と上型とをそれぞれの上下面を接触して組み合わせて用いられ、相互に滑動するスライドボードの上型のスライドボードに設けた上下の貫通孔にIn、Ga、Zn、Sn、またはBiから選ばれる低融点金属からなる溶媒を溜めるとともに、下型のスライドボードの上面部に設けた複数の浅い溝に該溶媒に溶解させるFeとSi原料および結晶成長用の基板を載置し、上型と下型を相互に滑動させて、FeとSi原料の上面と溶媒の底面とを接触させてFeとSiを溶媒に溶解した後、溶液を結晶成長用の基板表面に接触させることによる鉄シリサイド結晶の製造方法を提供するものである。
【0023】
ス ライド式カーボンボードを用いた成長法は、従来液相エピタキシャル(LPE)法として使用されているが、本発明の上記製造方法は、FeとSiの元素を溶解する方法として好適であり、前記低融点金属からなる溶媒にFeおよびSiを溶解させた少なくとも3元の飽和溶液の形成が容易になし得るとともに溶解から結晶成長までの工程を単一の電気炉内で連続的に行うことができ、また何枚もの基板に対して連続的に行うようにすることもできる。
【0024】
本発明の製造方法において、種子結晶基板を用いれば、発光ダイオードや半導体レーザの製造プロセスとしてよく知られる液相成長法と同様に、基板上にデバイスを作成するプロセスとして用いることができ、ドーパントとして公知のAl、Mn、Co、Ni、Cr等の不純物元素の添加でpn接合を形成できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の方法を実施するのに好適な装置の断面と工程を示すものであり、下型2と上型1をそれぞれの上下面を接触して組み合わせたスライドボードを電気炉10中の石英反応管9内に配置して、スライドボード部が一定温度に均熱されるようにしたものである。
【0026】
電気炉10内には、好ましくはH2 ガスを流して還元性雰囲気とする。この上下のスライドボードは、例えば、カーボン製とし、石英スライド棒3を押すことにより互いに滑動(図で左右方向)するようになされている。
【0027】
上型1のスライドボードには、In、Ga、Zn、Sn、またはBiから選ばれる低融点金属からなる溶媒Mを溜めるための上下の貫通孔4を設けている。下型2のスライドボードの上面部には、浅い溝5、6、7を設け、それぞれの溝に原料用Feソースの高純度Fe板、原料用SiソースとしてSi多結晶板、結晶成長用Si基板を下型2の上面と面一となるように載置する。下型2のスライドボード内部には温度計測用の熱電対8を設置している。なお、原料としては、Fe粉末とSi粉末の混合物や、予めアーク溶解法や粉末焼結法などによりバルクとして製造したFeSi、FeSi2 を溶解させてもよい。この場合は、原料用の浅い溝は1つでよい。
【0028】
この装置を使用し、図1の(a)に示すように、上型1のスライドボードの貫通孔4に溶媒Mとなる前記低融点金属の原料を入れ、溶媒溜めの貫通孔4の位置をFeソースを載置した溝5の位置に合わせる。そして、抵抗加熱型の電気炉10に通電してスライドボード全体を一定温度に加熱維持して均熱部を形成し、所定時間この状態を維持する。これにより溶媒MにFeソースからFeを溶解させる。
【0029】
次に、石英スライド棒3を図で右方向に押して、図1の(b)に示すように、貫通孔4の位置をSiソースを載置した溝6の位置に合わせる。この状態を所定時間維持することによりSiを溶媒M中に飽和濃度まで溶解させ、結晶成長溶液とする。
【0030】
ついで、再度、石英スライド棒3を図で右方向に押して、図1の(c)に示すように、貫通孔4の位置を結晶成長用Si基板を載置した溝7の位置に合わせる。この(c)の状態でSi基板の表面とFeおよびSiを溶解した溶液の下面が接触する。この時、スライドボードは均熱部に置かれているため、Si基板の温度は溶液の温度と等しくなる。ついで、所定の徐冷速度、好ましくは10℃/min以下の冷却速度で徐々に冷却することによりスライドボード全体を冷却する。この徐冷を所定の結晶成長温度範囲で継続することにより溶質同士の化合物であるFeSi2 結晶をSi基板等の基板上に析出させ結晶成長させる。溶液の温度が結晶成長温度以下に低下したら石英スライド棒3を図で右方向に押して、図1の(d)に示すように、貫通孔4の位置を移動させて、状態(d)とし、Si基板上に結晶成長したFeSi2 および溶液を冷却する。
【0031】
なお、Al、Mn、Co、Ni、Cr等の不純物元素の添加でpn接合を形成する場合は、p型、n型それぞれのための不純物元素の溶液溜めを上型1のスライドボードに上下の貫通孔4と同様に設け、鉄シリサイドの結晶成長後にその表面に溶液溜めの不純物元素が接触するようにして不純物元素をドープさせることができる。
【0032】
上記のとおりスライドボードを用いた本発明の方法によれば、金属の溶融容器等として通常使用される材料、例えばカーボン、黒鉛等の材料を使用でき、溶解、成長の連続操作も容易であり、FeSi2 結晶をSi基板上に異種接合を行う方法として安価、簡便な方法を提供することができるものであり、本発明の製造方法の実施に極めて有用である。
【0033】
しかしながら、本発明の製造方法は、液相成長(LPE)法として公知のその他の方法、例えば溶液中に基板を上方から降下させ引き上げるディツプ法、容器を傾けて基板上に溶液を流す傾斜法なども用いることができる。
【0034】
さらに、Si基板を用いないで、通常の溶液成長法と同様な温度差法や溶質供給法などの手段を用いて鉄シリサイドのバルク結晶成長を行うことも、もちろんできる。
【0035】
【実施例】
実施例1
図1に示す装置を用いて、Inを溶媒として鉄シリサイド結晶の成長を行った。原料用Feソースの高純度Fe板[純度99.998%(株)ニラコ製]、原料用SiソースとしてSi多結晶板[東芝セラミックス(株)製]、結晶成長用Si(100)基板[東芝セラミックス(株)製]を下型2のスライドボードの上面と面一となるように浅い溝5、6、7に載置した。上型1のスライドボードの貫通孔4に溶媒MとなるInの塊を約5g入れ、貫通孔4の位置をFeソースを載置した溝5の位置に合わせ、スライドボードを約900℃に加熱保持し、Inを加熱溶融し、約2時間この状態を維持した。これによりFeソースからIn溶媒中にFeを飽和量まで溶解させた。
【0036】
次に、石英スライド棒3を図で右方向に押して、貫通孔4の位置をSiソースを載置した溝6の位置に合わせた。この状態を約2時間維持することによりSiをIn溶媒に飽和量まで溶解させて結晶成長用の溶液を形成した。
【0037】
ついで、再度、石英スライド棒3を図で右方向に押して、貫通孔4の位置を結晶成長用Si基板を載置した溝7の位置に合わせた。約30分経過後に、約1℃/minの徐冷速度となるように電気炉の温度を下げて成長を行った。この徐冷をIn溶液の温度が約850℃となるまで継続することによりFeSi2 結晶をSi基板に析出させ、エピタキシャル結晶成長させた。
【0038】
In溶液の温度が850℃に低下したら石英スライド棒3を図で右方向に押して貫通孔4の位置を移動させてSi基板上に結晶成長したFeSi2 および成長溶液を切り離し、室温まで冷却した。
【0039】
図2は、上記の製造方法における経過時間tとIn溶液の温度Tとの関係を示す温度プログラムである。下型2のスライドボードに設けた熱電対8により温度T測定し、図2に示すように、成長温度T1 を900℃とする場合、Feの溶解過程A(図1のaの状態)の終了までの時間をt0 、Siの溶解過程B(図1のbの状態)の終了までの時間をt1 、結晶成長開始までの時間をt2 とし、この間溶液の温度を900℃の一定温度に維持し、結晶成長過程C(図1のcの状態)の時間t2 において電気炉の温度を下げることにより溶液全体の温度を下げ溶液の温度が成長終了温度T2 となる時間t3 まで結晶成長を継続させた。時間がt3 を経過した後の冷却過程D(図1のdの状態)では適宜の冷却速度で成長した結晶および溶液を冷却した。Si基板上に析出したFeSi2 については、X線回折により、β−FeSi2 であることを確認した。
【0040】
実施例2
実施例1のInに代えてGaを溶媒として使用し、実施例1と同様な方法で結晶成長を行った。ただし、溶液の温度が750℃から徐冷し結晶成長させた。その結果、β−FeSi2 およびFeSi相の膜がSi基板上にエピタキシャル成長していることをX線回折により確認した。膜厚は、Inを溶媒として用いて900℃から結晶成長させた実施例1の場合より厚くなっており、Gaを溶媒とした場合、Inを溶媒とした場合より成長速度が速いことは明らかである。
【0041】
Fe−Siの2元状態図からα−FeSi2 相は937℃以上、Fe2 Si相は1080℃以上、Fe5 Si3 相は825℃以上で生成されるため、Gaを溶媒とした場合、低温でのこれらの相の析出が避けられる。実施例2では、低温で成長するFe9 Si相の析出は避けられている。さらに、溶媒に溶解させるFe濃度を調整することでFeSi相の混入は避けられる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、従来困難とされたβ−FeSi2 膜等の鉄シリサイド膜を安価、簡便な方法により、Si基板などに容易にかつ速い成長速度で成長させることができるものであり、また、大型のバルク結晶を成長させることも可能であり、次世代半導体として期待される環境半導体であるβ−FeSi2 の各種分野における応用を進める上で大いに貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いた装置の側面図と実施例の工程を示す概念図。
【図2】本発明の実施例のβ−FeSi2 膜の成長工程の時間−温度プログラム図。
【符号の説明】
1 上型
2 下型
3 スライド棒
4 貫通孔
5 浅い溝
6 浅い溝
7 浅い溝
8 熱電対
9 石英反応管
10電気炉
Claims (5)
- In、Ga、Zn、Sn、またはBiを溶媒とし、これに溶質としてFeとSiとを溶解した少なくとも3元の飽和溶液を所定温度範囲で冷却することにより該溶液からα−FeSi2 またはβ−FeSi2 を析出させ、結晶成長させることを特徴とする鉄シリサイド結晶の製造方法。
- 溶媒に原料としてFeとSiの個別元素を溶解させることを特徴とする請求項1記載の鉄シリサイド結晶の製造方法。
- 溶媒に原料としてFeとSiをFeSiまたはFeSi2 の型で溶解させることを特徴とする請求項1記載の鉄シリサイド結晶の製造方法。
- Si基板上に鉄シリサイド結晶の異種接合を形成することを特徴とする請求項1記載の鉄シリサイド結晶の製造方法。
- 下型と上型とをそれぞれの上下面を接触して組み合わせて用いられ、相互に滑動するスライドボードの上型のスライドボードに設けた上下の貫通孔にIn,Ga,Zn,Sn,またはBiから選ばれる低融点金属からなる溶媒を溜めるとともに、下型のスライドボードの上面部に設けた複数の浅い溝に該溶媒に溶解させるFeとSi原料および結晶成長用の基板を載置し、上型と下型を相互に滑動させて、FeとSi原料の上面と溶媒の底面とを接触させてFeとSiを溶媒に溶解した後、溶液を結晶成長用の基板表面に接触させることを特徴とする鉄シリサイド結晶の製造方法。
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