JP3891636B2 - 半導体製造装置および半導体ウェハの移載方法 - Google Patents
半導体製造装置および半導体ウェハの移載方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造技術に関し、特に半導体ウェハに熱処理を行う半導体製造装置および半導体ウェハの移載方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下に説明する技術は、本発明を研究、完成するに際し、本発明者によって検討されたものであり、その概要は次のとおりである。
【0003】
半導体ウェハを熱処理する半導体製造装置の一例として、半導体ウェハ(ミラーウェハ)に単結晶の薄膜(エピタキシャル薄膜)を成長させるエピタキシャル成長装置が知られている。
【0004】
ここで、枚葉式のエピタキシャル成長装置を用いた薄膜形成方法について説明する。
【0005】
まず、室温状態の半導体ウェハを高温(500℃以上)状態の反応室(反応容器)内に搬入し、3点支持形式のリフトピン(ウェハ移載部材)によって一度半導体ウェハを中継支持する。
【0006】
その後、半導体ウェハをリフトピンからサセプタに移載し、熱処理すなわちエピタキシャル薄膜(以降、エピ膜と略す)の形成が行われる。
【0007】
なお、半導体ウェハにエピ膜を成長させて形成する種々のエピタキシャル成長装置については、例えば、株式会社工業調査会、1994年11月25日発行、「電子材料11月号別冊、超LSI製造・試験装置ガイドブック<1995年版>」、55〜56頁に記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記した技術において、500℃以上の高温雰囲気が形成された反応容器内に半導体ウェハを搬入すると、高温のため半導体ウェハに鞍形の反りが形成される。
【0009】
さらに、この後、反った状態の半導体ウェハをサセプタに移載すると、サセプタ上で反りが回復する際に半導体ウェハの裏面エッジ部とサセプタとが擦れて発塵し、これにより、異物が発生し、その結果、この異物が半導体ウェハに付着することが問題とされる。
【0010】
また、半導体ウェハの裏面エッジ部が損傷する。
【0011】
これらにより、半導体ウェハの品質を低下させることが問題とされる。
【0012】
なお、サセプタ上にSiのコーティングが形成されている場合、このコーティングが半導体ウェハの裏面エッジ部との摩擦によって発塵する。
【0013】
本発明の目的は、熱処理時の半導体ウェハの損傷を低減して半導体ウェハの品質を向上させる半導体製造装置および半導体ウェハの移載方法を提供することにある。
【0014】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0017】
すなわち、本発明の半導体製造装置は、半導体ウェハの熱処理が行われる反応容器と、熱処理時に前記半導体ウェハを加熱する加熱手段と、前記反応容器内に設置されかつ熱処理時に前記半導体ウェハを支持するウェハ支持台と、前記半導体ウェハの前記反応容器への搬入出を案内するウェハ搬送部材と、前記半導体ウェハを前記ウェハ搬送部材から前記ウェハ支持台に移載する際に、前記半導体ウェハを中継支持するウェハ移載部材と、前記ウェハ移載部材を介して前記半導体ウェハを前記ウェハ搬送部材から前記ウェハ支持台に移載する際に、加熱されて反った前記半導体ウェハの反りが回復した後、前記移載を行うように制御する制御部とを有し、前記ウェハ移載部材によって中継支持された前記半導体ウェハの画像を取り込みかつ前記制御部に接続されたモニタ手段が設置され、前記モニタ手段によって取り込まれた反り時の前記半導体ウェハの画像に基づいて、前記制御部において反り時の前記半導体ウェハの特定部位の形状と非反り時の前記特定部位の形状とを比較し、両者の形状が同一となった後、前記ウェハ移載部材から前記ウェハ支持台への前記半導体ウェハの移載を行うものである。
【0018】
これにより、半導体ウェハがウェハ支持台に移載された際には、反りが無くなった状態となっている。したがって、半導体ウェハがサセプタ上で反り回復動作を行うことを防止できる。
【0019】
その結果、半導体ウェハの裏面エッジ部とサセプタとの接触が低減され、異物の発生や巻き上げを防止できるとともに、半導体ウェハの裏面エッジ部が損傷することを防止できる。これにより、半導体ウェハの品質を向上させることができる。
【0021】
さらに、本発明の半導体ウェハの移載方法は、ウェハ搬送部材によって前記半導体ウェハを案内して前記半導体製造装置の反応容器内に前記半導体ウェハを搬入する工程と、ウェハ移載部材によって前記ウェハ搬送部材から前記半導体ウェハを受け取り、前記ウェハ移載部材によって前記半導体ウェハを中継支持する工程と、前記反応容器内に設置されたウェハ支持台に前記半導体ウェハを移載して熱処理する際に、前記反応容器内に搬入されたことにより加熱されて反った前記半導体ウェハの反りが前記ウェハ移載部材上において回復した後、前記半導体ウェハを前記ウェハ移載部材から前記ウェハ支持台に移載する工程とを有し、前記ウェハ移載部材によって中継支持された前記半導体ウェハの画像をモニタ手段によって制御部に取り込み、前記制御部において、反り時の前記半導体ウェハの特定部位の形状と非反り時の前記特定部位の形状とを比較し、両者の形状が同一となった後、前記ウェハ移載部材から前記ウェハ支持台に前記半導体ウェハを移載するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明による半導体製造装置(エピタキシャル成長装置)の構造の実施の形態の一例を一部断面にして示す構成概念図、図2は本発明による半導体ウェハの移載方法の実施の形態の一例を一部断面にして示す移載手順図、図3は図1に示すエピタキシャル成長装置における半導体ウェハのモニタ状態を表すモニタ結果図であり、(a)は非反り時のモニタ図、(b)は反り時のモニタ図、(c)は歪み原理図、図4は本発明の半導体ウェハの移載方法に対する比較例1を一部断面にして示す移載手順図、図5は図4に示す比較例1によって半導体ウェハを移載した際の半導体ウェハの反り状態を示すテスト結果図、図6は本発明の半導体ウェハの移載方法に対する比較例2を一部断面にして示す移載手順図である。
【0024】
なお、本実施の形態においては、半導体ウェハ1を熱処理する半導体製造装置の一例として、気相雰囲気の中でミラーウェハである半導体ウェハ1にエピ膜(単結晶の薄膜)を成長させて形成する枚葉式のエピタキシャル成長装置を取り上げて説明する。
【0025】
すなわち、本実施の形態における熱処理は、半導体ウェハ1に前記エピ膜を成長させる成膜処理である。
【0026】
図1〜図3を用いて、図1に示すエピタキシャル成長装置の構成について説明すると、半導体ウェハ1の成膜処理が行われる反応容器2と、成膜処理時に半導体ウェハ1を加熱する加熱手段であるランプ3と、反応容器2内に設置されかつ成膜処理時に半導体ウェハ1を支持するウェハ支持台であるサセプタ4と、半導体ウェハ1の反応容器2への搬入出を案内するウェハ搬送部材である搬送用ブレード5と、半導体ウェハ1を搬送用ブレード5からサセプタ4に移載する際に、半導体ウェハ1を中継支持するウェハ移載部材である3点支持形式のリフトピン6と、リフトピン6を介して半導体ウェハ1を搬送用ブレード5からサセプタ4に移載する際に、加熱されて反った半導体ウェハ1の反りが回復した後、前記移載を行うように制御する制御部7とからなる。
【0027】
さらに、本実施の形態のエピタキシャル成長装置には、リフトピン6によって中継支持された半導体ウェハ1の画像8(図3参照)を取り込みかつ制御部7に接続されたモニタ手段であるCCD(Charge Coupled Device)カメラ9が設置されており、これにより、前記エピタキシャル成長装置は、CCDカメラ9によって取り込まれた反り時の半導体ウェハ1の画像8による信号に基づいて、制御部7において反り時の半導体ウェハ1の特定部位の形状(画像8による信号)と非反り時の前記特定部位の形状の信号とを比較し、両者の形状(信号)が許容範囲内で同一となった(一致した)後、リフトピン6からサセプタ4への半導体ウェハ1の移載を行うものである。
【0028】
なお、CCDカメラ9は、反応容器2の上方に設置されるものであるが、ランプ3の周囲に設けられた反射板10を利用し、ランプ3の光が入りにくい位置に設置することが好ましい。
【0029】
また、ランプ3は、例えば、赤外線を使用したものであり、半導体ウェハ1の均熱性を向上させるために、半導体ウェハ1の円周形状にほぼ対応させて複数個設置され、かつ半導体ウェハ1の表裏面の両側にそれぞれ設置されている。
【0030】
これにより、反応容器2内の急速な昇降温を行えるとともに、半導体ウェハ1における熱応力転位の発生を抑制できる。さらに、ランプ3の周囲は、反射板10によって囲まれ、その結果、ランプ3の熱を効率良く反応容器2および半導体ウェハ1に到達させることができる。
【0031】
なお、本実施の形態では、前記特定部位が半導体ウェハ1の中心部付近であり、CCDカメラ9によって半導体ウェハ1の前記中心部付近に反射して映し出されたランプ3と反射板10との形状のモニタを行い、制御部7において、両者の形状の比較を行う。
【0032】
ここで、図3に示す半導体ウェハ1の画像8は、反応容器2内で半導体ウェハ1の成膜処理を行うにあたり、搬送用ブレード5からサセプタ4に半導体ウェハ1を移動させる際に、リフトピン6によって中継支持されている半導体ウェハ1をCCDカメラ9によって撮影したものであり、図3(a)は、非反り時の半導体ウェハ1の表面に映った複数個のランプ3の反射像であるランプ反射像8aと、このランプ反射像8aの中央に映った反射板10の反射像である反射板反射像8bとを撮影したものである。
【0033】
なお、ランプ反射像8aは、光を発しかつ円周状に配置されたランプ3が半導体ウェハ1に映ったものであるため、半導体ウェハ1上でリング状に明るく輝いて見える像であり、さらに、図3(a)においては、半導体ウェハ1が非反り時であるため、ランプ反射像8aおよび反射板反射像8bは、円形を成す。
【0034】
これに対し、図3(b)は、半導体ウェハ1の反り時のランプ反射像8aと反射板反射像8bである。これは、半導体ウェハ1が、図3(c)に示すように、鞍形に反ることによってその形状が変形して見えるものであり、これをCCDカメラ9によって上方から撮影すると半導体ウェハ1が楕円に見える。
【0035】
ここで、本実施の形態における半導体ウェハ1の歪み方向は、その結晶方位により、半導体ウェハ1のオリエンテーションフラットに対して45°の方向である。
【0036】
なお、本実施の形態では、図3(a)に示す円形(非反り時)の反射板反射像8bの直径をLとし、図3(b)に示す楕円(反り時)の反射板反射像8bの長軸の長さをAとし、かつ短軸の長さをBとする。これにより、反り量の定義をA/L、B/Lとする。
【0037】
さらに、本実施の形態のエピタキシャル成長装置は、非反り時の半導体ウェハ1の前記特定部位の形状、すなわち非反り時の半導体ウェハ1の前記中心部付近に反射して映し出された図3(a)に示すランプ3と反射板10との形状が、予め、制御部7に登録されているものであり、この場合、前記円形(非反り時)の反射板反射像8bの直径であるLの実際の値を登録しておく。
【0038】
また、前記エピタキシャル成長装置は、反応容器2の外部上方に設置されたCCDカメラ9によって反応容器2内に配置された半導体ウェハ1の画像8を捕らえる構造であるため、反応容器2は、各々石英などの透明材料によって形成された上部ドーム2aと下部ドーム2bとからなり、上部ドーム2aと下部ドーム2bとが分割可能な構造となっている。
【0039】
つまり、反応容器2に対して半導体ウェハ1を搬入出させる際には、上部ドーム2aと下部ドーム2bとを分割し、これにより、半導体ウェハ1の搬入出を行う。
【0040】
また、図1に示すように、熱処理時つまり成膜処理時には、反応ガスが半導体ウェハ1の側面の一方側から供給され、かつ他方側に排気されるが、サセプタ4が回転可能に取り付けられ、成膜処理時には、これを回転させることにより、膜厚の均一性を実現させている。
【0041】
なお、サセプタ4は、カーボンなどによって形成され、ウェハ載置面4aを含むその表面にはSiCがコーティングされている。
【0042】
さらに、搬送用ブレード5は、例えば、石英によって形成されている。
【0043】
次に、図1〜図3を用いて、本実施の形態の半導体ウェハの移載方法について説明する。
【0044】
なお、前記半導体ウェハ1の移載方法は、半導体ウェハ1に熱処理を行う半導体製造装置で用いるものであり、本実施の形態では、前記半導体製造装置が図1に示すエピタキシャル成長装置であり、このエピタキシャル成長装置を用いて半導体ウェハ1にエピ膜(単結晶の薄膜)を成長させる際の半導体ウェハ1の移載方法について説明する。
【0045】
すなわち、本実施の形態で説明する前記熱処理は、ミラーウェハである半導体ウェハ1にエピ膜を形成する成膜処理である。
【0046】
まず、本実施の形態においては、非反り時(反っていない時)の半導体ウェハ1の中心部付近に反射して映し出されたランプ3と反射板10との形状の信号を、予め、制御部7に登録しておく。
【0047】
ここでは、図3(a)に示す半導体ウェハ1の円形(非反り時)の状態における反射板反射像8bの直径であるLの実際の値を制御部7に登録しておく。
【0048】
その後、エピタキシャル成長装置の反応容器2内をランプ3によって所定温度(例えば、700℃程度)に加熱し、さらに、反応容器2の上部ドーム2aと下部ドーム2bとを分割し、反応容器2を開いた状態とする。
【0049】
続いて、ウェハ搬送部材である搬送用ブレード5によって半導体ウェハ1を保持し、反応容器2内に半導体ウェハ1を搬入する。
【0050】
さらに、図2(a)に示すように、搬送用ブレード5によって半導体ウェハ1を案内してサセプタ4のウェハ載置面4a上まで半導体ウェハ1を搬送し、このウェハ載置面4a上に半導体ウェハ1を配置させる。
【0051】
その後、図2(b)に示すように、ウェハ移載部材であるリフトピン6を上昇させ、リフトピン6が搬送用ブレード5から半導体ウェハ1を受け取るとともに、搬送用ブレード5を進入方向に移動させる。これにより、リフトピン6によって半導体ウェハ1を中継支持する。
【0052】
なお、リフトピン6上に中継支持された半導体ウェハ1の形状(画像8)をモニタ手段であるCCDカメラ9によって常にモニタしておく。
【0053】
ここで、半導体ウェハ1は反応容器2内に挿入されたことにより、急激に加熱され、これにより、図2(c)に示すように、リフトピン6上で反りが発生する。
【0054】
この際、半導体ウェハ1は、その結晶方位の影響によって、図3(c)に示すように、鞍形に反る。
【0055】
続いて、この反りが発生した半導体ウェハ1の画像8をCCDカメラ9によって制御部7に信号に変換して取り込むとともに、制御部7において、この反った半導体ウェハ1の特定部位の形状(信号)と、予め制御部7に登録された非反り時の前記特定部位の形状(信号)とを比較する。
【0056】
ここで、本実施の形態における前記特定部位は、半導体ウェハ1のほぼ中心部付近であり、CCDカメラ9によって半導体ウェハ1の表面に映った複数個のランプ3の反射像であるランプ反射像8aと、このランプ反射像8aの中央に映った反射板10の反射像である反射板反射像8bとを撮影する。
【0057】
なお、半導体ウェハ1が反った状態では、半導体ウェハ1を上方から眺めた場合、図3(b)に示すように、その形状が楕円に見えるため、制御部7においては、楕円の反射板反射像8bの長軸の長さをA、かつ短軸の長さをBと認識し、半導体ウェハ1におけるAとBとの値をモニタし続ける。
【0058】
さらに、制御部7において、予め登録されたLの値と前記Aと前記Bとにより、定義した反り量であるA/LとB/Lとを算出し続ける。
【0059】
なお、半導体ウェハ1の反りが回復するまで、リフトピン6上で半導体ウェハ1を待機させる。
【0060】
その後、リフトピン6上で半導体ウェハ1の反りが回復して元の形状(非反り時の形状)に戻ると、制御部7では、図2(c),(d)に示すように、A=B、つまりA/L=B/Lと判定し、これにより、両者の形状(非反り時の半導体ウェハ1の形状と反り後の半導体ウェハ1の形状)が同一となった(一致した)ことを検知して、半導体ウェハ1が元の形状(非反り時の形状)に回復したことを認識する。
【0061】
ここで、半導体ウェハ1では、高温の雰囲気中に挿入されて急激に高温に加熱されたことにより、反りが形成された。これは、半導体ウェハ1の面内における温度分布が一時的にばらつくためである。
【0062】
したがって、時間の経過とともに、面内における温度分布が均一になると、形成された反りは回復する。
【0063】
その後、リフトピン6上で半導体ウェハ1を待機させてA/L=B/Lとなって反りがなくなったことを制御部7が認識したら、図2(c)に示すように、サセプタ4を上昇させ、これにより、リフトピン6からサセプタ4に半導体ウェハ1を移載する(図2(e)参照)。
【0064】
すなわち、サセプタ4のウェハ載置面4aに半導体ウェハ1を載置する。
【0065】
その後、反応容器2内に供給した所定の反応ガスと反応させて半導体ウェハ1にエピ膜を所定厚さ成長させて形成する。
【0066】
ここで、図4〜図6に示す半導体ウェハ1の移載方法の比較例について説明する。
【0067】
図4に示す比較例1は、リフトピン6上に半導体ウェハ1を待機させる時間を1秒とした場合の半導体ウェハ1の反り状態を示したものであり、さらに、図5は、この場合のリフトピン6上に半導体ウェハ1が移載されてからの経過時間と反り量(A/L、B/L)との関係をグラフ化したものである。
【0068】
まず、図4(a)に示すように、搬送用ブレード5によって半導体ウェハ1を案内して、サセプタ4のウェハ載置面4a上に半導体ウェハ1を配置させる。
【0069】
その後、リフトピン6を上昇させ、リフトピン6が搬送用ブレード5から半導体ウェハ1を受け取るとともに、搬送用ブレード5を進入方向に移動させる。これにより、図4(b)に示すように、リフトピン6によって半導体ウェハ1を中継支持する。
【0070】
続いて、リフトピン6上で半導体ウェハ1を1秒待機させた後、図4(c)に示すように、サセプタ4を上昇させ、これにより、リフトピン6からサセプタ4のウェハ載置面4aに半導体ウェハ1を移載する。
【0071】
その後、図4(d)に示すように、サセプタ4のウェハ載置面4a上において半導体ウェハ1に反りが発生する。
【0072】
続いて、図4(e)に示すように、サセプタ4上で半導体ウェハ1の反りが回復する。
【0073】
なお、比較例1における半導体ウェハ1の反り発生・回復の状態を図4および図5を用いて説明すると、半導体ウェハ1の反りは、半導体ウェハ1をリフトピン6によって中継支持してから約2秒後に始まり、3秒弱でサセプタ4に移載された後、さらに反り続け、約11秒経過した時点で回復している。
【0074】
すなわち、この場合は、サセプタ4に移載後に半導体ウェハ1で反りが発生している(実際には移載直前から反り始めている)ため、この比較例1における半導体ウェハ1の移載方法は好ましくない。
【0075】
また、図6に示す比較例2の移載方法は、リフトピン6上に半導体ウェハ1を待機させる時間を1秒以上25秒以下(例えば、本実施の形態では25秒)とした場合の半導体ウェハ1の反り状態を示したものである。
【0076】
まず、図6(a)に示すように、搬送用ブレード5によって半導体ウェハ1を案内して、サセプタ4のウェハ載置面4a上に半導体ウェハ1を配置させる。
【0077】
その後、リフトピン6を上昇させ、リフトピン6が搬送用ブレード5から半導体ウェハ1を受け取るとともに、搬送用ブレード5を進入方向に移動させる。これにより、図6(b)に示すように、リフトピン6によって半導体ウェハ1を中継支持する。
【0078】
続いて、リフトピン6上で半導体ウェハ1を25秒間待機させる。
【0079】
この際、半導体ウェハ1の反りは、半導体ウェハ1をリフトピン6によって中継支持してから、約4秒後(図7参照)に始まる。
【0080】
つまり、図6(c)に示すように、リフトピン6上で半導体ウェハ1は反り始める。
【0081】
さらに、25秒経過後、サセプタ4を上昇させ、これにより、リフトピン6からサセプタ4のウェハ載置面4aに半導体ウェハ1を移載する。
【0082】
この時点でも、図6(d)に示すように、サセプタ4のウェハ載置面4a上において半導体ウェハ1の反りは、まだ、完全には回復していない。
【0083】
その後、3秒程度経過すると(図7に示すようにリフトピン6上に移載されてから28秒経過後)、図6(e)に示すように、サセプタ4上で半導体ウェハ1の反りが回復する。
【0084】
これにより、図6に示す比較例2においても、サセプタ4に半導体ウェハ1を移載した後に、半導体ウェハ1が反り回復動作を行っているため、この移載方法についても好ましくない。
【0085】
本実施の形態の半導体製造装置(エピタキシャル成長装置)および半導体ウェハの移載方法によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0086】
すなわち、半導体ウェハ1を搬送用ブレード5からサセプタ4に移載する際に、加熱されて反った半導体ウェハ1の反りがリフトピン6上で回復した後、サセプタ4への移載を行うように制御するため、半導体ウェハ1がサセプタ4に移載された際には、反りが無くなった状態となっている。
【0087】
つまり、リフトピン6上で半導体ウェハ1を中継支持している間に、半導体ウェハ1の面内温度が均一になり、これにより、一度反った半導体ウェハ1がリフトピン6上で回復する。
【0088】
その後、サセプタ4に半導体ウェハ1を移載することにより、半導体ウェハ1がサセプタ4上で反り回復動作を行うことを防止できる。
【0089】
これにより、半導体ウェハ1の局部すなわち裏面エッジ部1a(図2参照)とサセプタ4のウェハ載置面4aとの接触が低減され、異物の発生や巻き上げを防止できるとともに、半導体ウェハ1の裏面エッジ部1aが損傷することを防止できる。
【0090】
その結果、半導体ウェハ1の品質を向上させることができる。
【0091】
なお、CCDカメラ9によって取り込まれた反り時の半導体ウェハ1の画像8に基づいて、制御部7において反り時の半導体ウェハ1の中心部付近(特定部位)の形状(本実施の形態では、半導体ウェハ1の前記中心部付近に反射して映し出されたランプ3と反射板10との形状による信号)と、非反り時の前記中心部付近の形状による信号とを比較し、両者の形状が同一となった(一致した)後、リフトピン6からサセプタ4への半導体ウェハ1の移載を行うことにより、制御部7において半導体ウェハ1の反りが全て回復したことを確実に検知してから半導体ウェハ1をサセプタ4に移載することができる。
【0092】
これにより、半導体ウェハ1がサセプタ4上で反り回復動作を行うことを確実に防止でき、その結果、サセプタ4上で起こる半導体ウェハ1からの異物の発生や巻き上げを確実に防止できる。
【0093】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0094】
例えば、前記実施の形態においては、予め制御部7に登録された半導体ウェハ1の特定部位の形状による信号と、CCDカメラ9が撮影した反り時の半導体ウェハ1の特定部位の形状による信号との比較によって、半導体ウェハ1の反りが回復したことを制御部7において認識し、これにより、半導体ウェハ1をリフトピン6からサセプタ4に移載させる移載方法について説明したが、前記移載方法は、予め、リフトピン6上で反りが完全に回復する所定時間を設定し、この所定時間経過後、リフトピン6からサセプタ4に半導体ウェハ1を移載するものであってもよい。
【0095】
すなわち、この移載方法は、リフトピン6によって中継支持された半導体ウェハ1の反りが回復する所定時間を予め導き出し、前記所定時間を予め制御部7に登録することにより、リフトピン6上で半導体ウェハ1を前記所定時間待機させた後、リフトピン6からサセプタ4に半導体ウェハ1を移載するものである。
【0096】
ここで、図7に示す他の実施の形態は、リフトピン6上で30秒間(実際の動作としては32秒程度)半導体ウェハ1を待機させた後、サセプタ4に半導体ウェハ1を移載させた際の経過時間と、反り量(a/L、b/L)との関係を求めたものである。
【0097】
図7によれば、リフトピン6上で28秒程度経過した時点で、半導体ウェハ1の反りが回復しているため、制御部7に予め登録する所定時間(リフトピン6上に半導体ウェハ1を待機させる時間)を少なくとも30秒程度、好ましくは、33〜35秒程度に設定すればよいことがわかる。
【0098】
これにより、エピタキシャル成長装置において、CCDカメラ9などが不必要となり、装置構成を簡略化できるとともに、制御部7における移載方法の制御についてもその手順を簡略化できる。
【0099】
さらに、CCDカメラ9などのモニタ手段が不要になるため、反応容器2を不透明な材料によって形成することも可能になり、エピタキシャル成長装置の製造コストを低減できる。
【0100】
また、前記実施の形態においては、半導体ウェハ1の特定部位としてその中心部付近の形状(半導体ウェハ1の前記中心部付近に反射して映し出されたランプ3と反射板10との形状)をモニタする方法について説明したが、半導体ウェハ1におけるモニタ箇所は、他の特定部位であってもよい。
【0101】
例えば、半導体ウェハ1の外周形状や半導体ウェハ1の主面に形成されたパターニング形状などを画像信号として取り込み、非反り時の形状の信号と比較することが可能な特定部位であれば他のものであってもよい。
【0102】
また、これに伴い、CCDカメラ9の設置箇所についても、反応容器2の上方に限らず、半導体ウェハ1の形状変化をモニタ可能な箇所であれば、特に、限定されるものではない。
【0103】
さらに、半導体ウェハ1をモニタする他の方法としては、CCDカメラ9の代わりに赤外線カメラを用いてもよい。
【0104】
すなわち、反応容器2内に配置された半導体ウェハ1の面内温度が監視できる箇所に前記赤外線カメラを設置し、これにより、半導体ウェハ1の面内における温度分布を計測する。
【0105】
これにより、この温度分布が許容値内に到達した際に、リフトピン6からのサセプタ4への半導体ウェハ1の移載を開始する。
【0106】
つまり、半導体ウェハ1の反りによる形状変化を視覚的に捕らえるのではなく、半導体ウェハ1の面内の温度分布をモニタし、温度分布が均一になった時点で反りが無くなったことと判断するものである。
【0107】
これによっても、前記実施の形態とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0108】
また、前記実施の形態においては、サセプタ4上に半導体ウェハ1を移載する際に、ウェハ移載部材であるリフトピン6上で半導体ウェハ1を待機させる場合について説明したが、ウェハ搬送部材が半導体ウェハ1をハンドリング可能な把持ロボット(図示せず)などの場合には、ウェハ移載部材であるリフトピン6上で特に半導体ウェハ1を待機させる必要はなく、例えば、サセプタ4のウェハ載置面4a上において、前記把持ロボットによって半導体ウェハ1の反りが回復するまで半導体ウェハ1を把持して待機させればよい。
【0109】
これによって、リフトピン6が不要になり、半導体製造装置(エピタキシャル成長装置)の構造をさらに簡略化できる。
【0110】
また、前記実施の形態においては、非反り時の半導体ウェハ1におけるLの値(非反り時の半導体ウェハ1の直径)が予め制御部7に登録されている場合を説明したが、前記Lの値は、予め登録されていなくてもよく、CCDカメラ9によってモニタしている段階で非反り時の半導体ウェハ1の形状から前記Lの値を算出してもよい。
【0111】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0112】
(1).半導体ウェハをウェハ搬送部材からウェハ支持台に移載する際に、加熱されて反った半導体ウェハの反りがウェハ移載部材上で回復した後、ウェハ支持台への移載を行うように制御するため、一度反った半導体ウェハがウェハ移載部材上で回復し、その後、ウェハ支持台に半導体ウェハを移載することにより、半導体ウェハの裏面エッジ部とサセプタとの接触が低減され、異物の発生や巻き上げを防止できるとともに、半導体ウェハの裏面エッジ部の損傷を防止できる。
【0113】
(2).前記(1)により、半導体ウェハの品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による半導体製造装置(エピタキシャル成長装置)の構造の実施の形態の一例を一部断面にして示す構成概念図である。
【図2】(a),(b),(c),(d),(e)は本発明による半導体ウェハの移載方法の実施の形態の一例を一部断面にして示す移載手順図である。
【図3】(a),(b),(c) は図1に示すエピタキシャル成長装置における半導体ウェハのモニタ状態を表すモニタ結果図であり、(a)は非反り時のモニタ図、(b)は反り時のモニタ図、(c)は歪み原理図である。
【図4】(a),(b),(c),(d),(e)は本発明の半導体ウェハの移載方法に対する比較例1を一部断面にして示す移載手順図である。
【図5】図4に示す比較例1によって半導体ウェハを移載した際の半導体ウェハの反り状態を示すテスト結果図である。
【図6】(a),(b),(c),(d),(e)は本発明の半導体ウェハの移載方法に対する比較例2を一部断面にして示す移載手順図である。
【図7】本発明の他の実施の形態である半導体ウェハの移載方法によって半導体ウェハを移載した際の半導体ウェハの反り状態を示すテスト結果図である。
【符号の説明】
1 半導体ウェハ
1a 裏面エッジ部
2 反応容器
2a 上部ドーム
2b 下部ドーム
3 ランプ(加熱手段)
4 サセプタ(ウェハ支持台)
4a ウェハ載置面
5 搬送用ブレード(ウェハ搬送部材)
6 リフトピン(ウェハ移載部材)
7 制御部
8 画像
8a ランプ反射像
8b 反射板反射像
9 CCDカメラ(モニタ手段)
10 反射板
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造技術に関し、特に半導体ウェハに熱処理を行う半導体製造装置および半導体ウェハの移載方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下に説明する技術は、本発明を研究、完成するに際し、本発明者によって検討されたものであり、その概要は次のとおりである。
【0003】
半導体ウェハを熱処理する半導体製造装置の一例として、半導体ウェハ(ミラーウェハ)に単結晶の薄膜(エピタキシャル薄膜)を成長させるエピタキシャル成長装置が知られている。
【0004】
ここで、枚葉式のエピタキシャル成長装置を用いた薄膜形成方法について説明する。
【0005】
まず、室温状態の半導体ウェハを高温(500℃以上)状態の反応室(反応容器)内に搬入し、3点支持形式のリフトピン(ウェハ移載部材)によって一度半導体ウェハを中継支持する。
【0006】
その後、半導体ウェハをリフトピンからサセプタに移載し、熱処理すなわちエピタキシャル薄膜(以降、エピ膜と略す)の形成が行われる。
【0007】
なお、半導体ウェハにエピ膜を成長させて形成する種々のエピタキシャル成長装置については、例えば、株式会社工業調査会、1994年11月25日発行、「電子材料11月号別冊、超LSI製造・試験装置ガイドブック<1995年版>」、55〜56頁に記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記した技術において、500℃以上の高温雰囲気が形成された反応容器内に半導体ウェハを搬入すると、高温のため半導体ウェハに鞍形の反りが形成される。
【0009】
さらに、この後、反った状態の半導体ウェハをサセプタに移載すると、サセプタ上で反りが回復する際に半導体ウェハの裏面エッジ部とサセプタとが擦れて発塵し、これにより、異物が発生し、その結果、この異物が半導体ウェハに付着することが問題とされる。
【0010】
また、半導体ウェハの裏面エッジ部が損傷する。
【0011】
これらにより、半導体ウェハの品質を低下させることが問題とされる。
【0012】
なお、サセプタ上にSiのコーティングが形成されている場合、このコーティングが半導体ウェハの裏面エッジ部との摩擦によって発塵する。
【0013】
本発明の目的は、熱処理時の半導体ウェハの損傷を低減して半導体ウェハの品質を向上させる半導体製造装置および半導体ウェハの移載方法を提供することにある。
【0014】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0017】
すなわち、本発明の半導体製造装置は、半導体ウェハの熱処理が行われる反応容器と、熱処理時に前記半導体ウェハを加熱する加熱手段と、前記反応容器内に設置されかつ熱処理時に前記半導体ウェハを支持するウェハ支持台と、前記半導体ウェハの前記反応容器への搬入出を案内するウェハ搬送部材と、前記半導体ウェハを前記ウェハ搬送部材から前記ウェハ支持台に移載する際に、前記半導体ウェハを中継支持するウェハ移載部材と、前記ウェハ移載部材を介して前記半導体ウェハを前記ウェハ搬送部材から前記ウェハ支持台に移載する際に、加熱されて反った前記半導体ウェハの反りが回復した後、前記移載を行うように制御する制御部とを有し、前記ウェハ移載部材によって中継支持された前記半導体ウェハの画像を取り込みかつ前記制御部に接続されたモニタ手段が設置され、前記モニタ手段によって取り込まれた反り時の前記半導体ウェハの画像に基づいて、前記制御部において反り時の前記半導体ウェハの特定部位の形状と非反り時の前記特定部位の形状とを比較し、両者の形状が同一となった後、前記ウェハ移載部材から前記ウェハ支持台への前記半導体ウェハの移載を行うものである。
【0018】
これにより、半導体ウェハがウェハ支持台に移載された際には、反りが無くなった状態となっている。したがって、半導体ウェハがサセプタ上で反り回復動作を行うことを防止できる。
【0019】
その結果、半導体ウェハの裏面エッジ部とサセプタとの接触が低減され、異物の発生や巻き上げを防止できるとともに、半導体ウェハの裏面エッジ部が損傷することを防止できる。これにより、半導体ウェハの品質を向上させることができる。
【0021】
さらに、本発明の半導体ウェハの移載方法は、ウェハ搬送部材によって前記半導体ウェハを案内して前記半導体製造装置の反応容器内に前記半導体ウェハを搬入する工程と、ウェハ移載部材によって前記ウェハ搬送部材から前記半導体ウェハを受け取り、前記ウェハ移載部材によって前記半導体ウェハを中継支持する工程と、前記反応容器内に設置されたウェハ支持台に前記半導体ウェハを移載して熱処理する際に、前記反応容器内に搬入されたことにより加熱されて反った前記半導体ウェハの反りが前記ウェハ移載部材上において回復した後、前記半導体ウェハを前記ウェハ移載部材から前記ウェハ支持台に移載する工程とを有し、前記ウェハ移載部材によって中継支持された前記半導体ウェハの画像をモニタ手段によって制御部に取り込み、前記制御部において、反り時の前記半導体ウェハの特定部位の形状と非反り時の前記特定部位の形状とを比較し、両者の形状が同一となった後、前記ウェハ移載部材から前記ウェハ支持台に前記半導体ウェハを移載するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明による半導体製造装置(エピタキシャル成長装置)の構造の実施の形態の一例を一部断面にして示す構成概念図、図2は本発明による半導体ウェハの移載方法の実施の形態の一例を一部断面にして示す移載手順図、図3は図1に示すエピタキシャル成長装置における半導体ウェハのモニタ状態を表すモニタ結果図であり、(a)は非反り時のモニタ図、(b)は反り時のモニタ図、(c)は歪み原理図、図4は本発明の半導体ウェハの移載方法に対する比較例1を一部断面にして示す移載手順図、図5は図4に示す比較例1によって半導体ウェハを移載した際の半導体ウェハの反り状態を示すテスト結果図、図6は本発明の半導体ウェハの移載方法に対する比較例2を一部断面にして示す移載手順図である。
【0024】
なお、本実施の形態においては、半導体ウェハ1を熱処理する半導体製造装置の一例として、気相雰囲気の中でミラーウェハである半導体ウェハ1にエピ膜(単結晶の薄膜)を成長させて形成する枚葉式のエピタキシャル成長装置を取り上げて説明する。
【0025】
すなわち、本実施の形態における熱処理は、半導体ウェハ1に前記エピ膜を成長させる成膜処理である。
【0026】
図1〜図3を用いて、図1に示すエピタキシャル成長装置の構成について説明すると、半導体ウェハ1の成膜処理が行われる反応容器2と、成膜処理時に半導体ウェハ1を加熱する加熱手段であるランプ3と、反応容器2内に設置されかつ成膜処理時に半導体ウェハ1を支持するウェハ支持台であるサセプタ4と、半導体ウェハ1の反応容器2への搬入出を案内するウェハ搬送部材である搬送用ブレード5と、半導体ウェハ1を搬送用ブレード5からサセプタ4に移載する際に、半導体ウェハ1を中継支持するウェハ移載部材である3点支持形式のリフトピン6と、リフトピン6を介して半導体ウェハ1を搬送用ブレード5からサセプタ4に移載する際に、加熱されて反った半導体ウェハ1の反りが回復した後、前記移載を行うように制御する制御部7とからなる。
【0027】
さらに、本実施の形態のエピタキシャル成長装置には、リフトピン6によって中継支持された半導体ウェハ1の画像8(図3参照)を取り込みかつ制御部7に接続されたモニタ手段であるCCD(Charge Coupled Device)カメラ9が設置されており、これにより、前記エピタキシャル成長装置は、CCDカメラ9によって取り込まれた反り時の半導体ウェハ1の画像8による信号に基づいて、制御部7において反り時の半導体ウェハ1の特定部位の形状(画像8による信号)と非反り時の前記特定部位の形状の信号とを比較し、両者の形状(信号)が許容範囲内で同一となった(一致した)後、リフトピン6からサセプタ4への半導体ウェハ1の移載を行うものである。
【0028】
なお、CCDカメラ9は、反応容器2の上方に設置されるものであるが、ランプ3の周囲に設けられた反射板10を利用し、ランプ3の光が入りにくい位置に設置することが好ましい。
【0029】
また、ランプ3は、例えば、赤外線を使用したものであり、半導体ウェハ1の均熱性を向上させるために、半導体ウェハ1の円周形状にほぼ対応させて複数個設置され、かつ半導体ウェハ1の表裏面の両側にそれぞれ設置されている。
【0030】
これにより、反応容器2内の急速な昇降温を行えるとともに、半導体ウェハ1における熱応力転位の発生を抑制できる。さらに、ランプ3の周囲は、反射板10によって囲まれ、その結果、ランプ3の熱を効率良く反応容器2および半導体ウェハ1に到達させることができる。
【0031】
なお、本実施の形態では、前記特定部位が半導体ウェハ1の中心部付近であり、CCDカメラ9によって半導体ウェハ1の前記中心部付近に反射して映し出されたランプ3と反射板10との形状のモニタを行い、制御部7において、両者の形状の比較を行う。
【0032】
ここで、図3に示す半導体ウェハ1の画像8は、反応容器2内で半導体ウェハ1の成膜処理を行うにあたり、搬送用ブレード5からサセプタ4に半導体ウェハ1を移動させる際に、リフトピン6によって中継支持されている半導体ウェハ1をCCDカメラ9によって撮影したものであり、図3(a)は、非反り時の半導体ウェハ1の表面に映った複数個のランプ3の反射像であるランプ反射像8aと、このランプ反射像8aの中央に映った反射板10の反射像である反射板反射像8bとを撮影したものである。
【0033】
なお、ランプ反射像8aは、光を発しかつ円周状に配置されたランプ3が半導体ウェハ1に映ったものであるため、半導体ウェハ1上でリング状に明るく輝いて見える像であり、さらに、図3(a)においては、半導体ウェハ1が非反り時であるため、ランプ反射像8aおよび反射板反射像8bは、円形を成す。
【0034】
これに対し、図3(b)は、半導体ウェハ1の反り時のランプ反射像8aと反射板反射像8bである。これは、半導体ウェハ1が、図3(c)に示すように、鞍形に反ることによってその形状が変形して見えるものであり、これをCCDカメラ9によって上方から撮影すると半導体ウェハ1が楕円に見える。
【0035】
ここで、本実施の形態における半導体ウェハ1の歪み方向は、その結晶方位により、半導体ウェハ1のオリエンテーションフラットに対して45°の方向である。
【0036】
なお、本実施の形態では、図3(a)に示す円形(非反り時)の反射板反射像8bの直径をLとし、図3(b)に示す楕円(反り時)の反射板反射像8bの長軸の長さをAとし、かつ短軸の長さをBとする。これにより、反り量の定義をA/L、B/Lとする。
【0037】
さらに、本実施の形態のエピタキシャル成長装置は、非反り時の半導体ウェハ1の前記特定部位の形状、すなわち非反り時の半導体ウェハ1の前記中心部付近に反射して映し出された図3(a)に示すランプ3と反射板10との形状が、予め、制御部7に登録されているものであり、この場合、前記円形(非反り時)の反射板反射像8bの直径であるLの実際の値を登録しておく。
【0038】
また、前記エピタキシャル成長装置は、反応容器2の外部上方に設置されたCCDカメラ9によって反応容器2内に配置された半導体ウェハ1の画像8を捕らえる構造であるため、反応容器2は、各々石英などの透明材料によって形成された上部ドーム2aと下部ドーム2bとからなり、上部ドーム2aと下部ドーム2bとが分割可能な構造となっている。
【0039】
つまり、反応容器2に対して半導体ウェハ1を搬入出させる際には、上部ドーム2aと下部ドーム2bとを分割し、これにより、半導体ウェハ1の搬入出を行う。
【0040】
また、図1に示すように、熱処理時つまり成膜処理時には、反応ガスが半導体ウェハ1の側面の一方側から供給され、かつ他方側に排気されるが、サセプタ4が回転可能に取り付けられ、成膜処理時には、これを回転させることにより、膜厚の均一性を実現させている。
【0041】
なお、サセプタ4は、カーボンなどによって形成され、ウェハ載置面4aを含むその表面にはSiCがコーティングされている。
【0042】
さらに、搬送用ブレード5は、例えば、石英によって形成されている。
【0043】
次に、図1〜図3を用いて、本実施の形態の半導体ウェハの移載方法について説明する。
【0044】
なお、前記半導体ウェハ1の移載方法は、半導体ウェハ1に熱処理を行う半導体製造装置で用いるものであり、本実施の形態では、前記半導体製造装置が図1に示すエピタキシャル成長装置であり、このエピタキシャル成長装置を用いて半導体ウェハ1にエピ膜(単結晶の薄膜)を成長させる際の半導体ウェハ1の移載方法について説明する。
【0045】
すなわち、本実施の形態で説明する前記熱処理は、ミラーウェハである半導体ウェハ1にエピ膜を形成する成膜処理である。
【0046】
まず、本実施の形態においては、非反り時(反っていない時)の半導体ウェハ1の中心部付近に反射して映し出されたランプ3と反射板10との形状の信号を、予め、制御部7に登録しておく。
【0047】
ここでは、図3(a)に示す半導体ウェハ1の円形(非反り時)の状態における反射板反射像8bの直径であるLの実際の値を制御部7に登録しておく。
【0048】
その後、エピタキシャル成長装置の反応容器2内をランプ3によって所定温度(例えば、700℃程度)に加熱し、さらに、反応容器2の上部ドーム2aと下部ドーム2bとを分割し、反応容器2を開いた状態とする。
【0049】
続いて、ウェハ搬送部材である搬送用ブレード5によって半導体ウェハ1を保持し、反応容器2内に半導体ウェハ1を搬入する。
【0050】
さらに、図2(a)に示すように、搬送用ブレード5によって半導体ウェハ1を案内してサセプタ4のウェハ載置面4a上まで半導体ウェハ1を搬送し、このウェハ載置面4a上に半導体ウェハ1を配置させる。
【0051】
その後、図2(b)に示すように、ウェハ移載部材であるリフトピン6を上昇させ、リフトピン6が搬送用ブレード5から半導体ウェハ1を受け取るとともに、搬送用ブレード5を進入方向に移動させる。これにより、リフトピン6によって半導体ウェハ1を中継支持する。
【0052】
なお、リフトピン6上に中継支持された半導体ウェハ1の形状(画像8)をモニタ手段であるCCDカメラ9によって常にモニタしておく。
【0053】
ここで、半導体ウェハ1は反応容器2内に挿入されたことにより、急激に加熱され、これにより、図2(c)に示すように、リフトピン6上で反りが発生する。
【0054】
この際、半導体ウェハ1は、その結晶方位の影響によって、図3(c)に示すように、鞍形に反る。
【0055】
続いて、この反りが発生した半導体ウェハ1の画像8をCCDカメラ9によって制御部7に信号に変換して取り込むとともに、制御部7において、この反った半導体ウェハ1の特定部位の形状(信号)と、予め制御部7に登録された非反り時の前記特定部位の形状(信号)とを比較する。
【0056】
ここで、本実施の形態における前記特定部位は、半導体ウェハ1のほぼ中心部付近であり、CCDカメラ9によって半導体ウェハ1の表面に映った複数個のランプ3の反射像であるランプ反射像8aと、このランプ反射像8aの中央に映った反射板10の反射像である反射板反射像8bとを撮影する。
【0057】
なお、半導体ウェハ1が反った状態では、半導体ウェハ1を上方から眺めた場合、図3(b)に示すように、その形状が楕円に見えるため、制御部7においては、楕円の反射板反射像8bの長軸の長さをA、かつ短軸の長さをBと認識し、半導体ウェハ1におけるAとBとの値をモニタし続ける。
【0058】
さらに、制御部7において、予め登録されたLの値と前記Aと前記Bとにより、定義した反り量であるA/LとB/Lとを算出し続ける。
【0059】
なお、半導体ウェハ1の反りが回復するまで、リフトピン6上で半導体ウェハ1を待機させる。
【0060】
その後、リフトピン6上で半導体ウェハ1の反りが回復して元の形状(非反り時の形状)に戻ると、制御部7では、図2(c),(d)に示すように、A=B、つまりA/L=B/Lと判定し、これにより、両者の形状(非反り時の半導体ウェハ1の形状と反り後の半導体ウェハ1の形状)が同一となった(一致した)ことを検知して、半導体ウェハ1が元の形状(非反り時の形状)に回復したことを認識する。
【0061】
ここで、半導体ウェハ1では、高温の雰囲気中に挿入されて急激に高温に加熱されたことにより、反りが形成された。これは、半導体ウェハ1の面内における温度分布が一時的にばらつくためである。
【0062】
したがって、時間の経過とともに、面内における温度分布が均一になると、形成された反りは回復する。
【0063】
その後、リフトピン6上で半導体ウェハ1を待機させてA/L=B/Lとなって反りがなくなったことを制御部7が認識したら、図2(c)に示すように、サセプタ4を上昇させ、これにより、リフトピン6からサセプタ4に半導体ウェハ1を移載する(図2(e)参照)。
【0064】
すなわち、サセプタ4のウェハ載置面4aに半導体ウェハ1を載置する。
【0065】
その後、反応容器2内に供給した所定の反応ガスと反応させて半導体ウェハ1にエピ膜を所定厚さ成長させて形成する。
【0066】
ここで、図4〜図6に示す半導体ウェハ1の移載方法の比較例について説明する。
【0067】
図4に示す比較例1は、リフトピン6上に半導体ウェハ1を待機させる時間を1秒とした場合の半導体ウェハ1の反り状態を示したものであり、さらに、図5は、この場合のリフトピン6上に半導体ウェハ1が移載されてからの経過時間と反り量(A/L、B/L)との関係をグラフ化したものである。
【0068】
まず、図4(a)に示すように、搬送用ブレード5によって半導体ウェハ1を案内して、サセプタ4のウェハ載置面4a上に半導体ウェハ1を配置させる。
【0069】
その後、リフトピン6を上昇させ、リフトピン6が搬送用ブレード5から半導体ウェハ1を受け取るとともに、搬送用ブレード5を進入方向に移動させる。これにより、図4(b)に示すように、リフトピン6によって半導体ウェハ1を中継支持する。
【0070】
続いて、リフトピン6上で半導体ウェハ1を1秒待機させた後、図4(c)に示すように、サセプタ4を上昇させ、これにより、リフトピン6からサセプタ4のウェハ載置面4aに半導体ウェハ1を移載する。
【0071】
その後、図4(d)に示すように、サセプタ4のウェハ載置面4a上において半導体ウェハ1に反りが発生する。
【0072】
続いて、図4(e)に示すように、サセプタ4上で半導体ウェハ1の反りが回復する。
【0073】
なお、比較例1における半導体ウェハ1の反り発生・回復の状態を図4および図5を用いて説明すると、半導体ウェハ1の反りは、半導体ウェハ1をリフトピン6によって中継支持してから約2秒後に始まり、3秒弱でサセプタ4に移載された後、さらに反り続け、約11秒経過した時点で回復している。
【0074】
すなわち、この場合は、サセプタ4に移載後に半導体ウェハ1で反りが発生している(実際には移載直前から反り始めている)ため、この比較例1における半導体ウェハ1の移載方法は好ましくない。
【0075】
また、図6に示す比較例2の移載方法は、リフトピン6上に半導体ウェハ1を待機させる時間を1秒以上25秒以下(例えば、本実施の形態では25秒)とした場合の半導体ウェハ1の反り状態を示したものである。
【0076】
まず、図6(a)に示すように、搬送用ブレード5によって半導体ウェハ1を案内して、サセプタ4のウェハ載置面4a上に半導体ウェハ1を配置させる。
【0077】
その後、リフトピン6を上昇させ、リフトピン6が搬送用ブレード5から半導体ウェハ1を受け取るとともに、搬送用ブレード5を進入方向に移動させる。これにより、図6(b)に示すように、リフトピン6によって半導体ウェハ1を中継支持する。
【0078】
続いて、リフトピン6上で半導体ウェハ1を25秒間待機させる。
【0079】
この際、半導体ウェハ1の反りは、半導体ウェハ1をリフトピン6によって中継支持してから、約4秒後(図7参照)に始まる。
【0080】
つまり、図6(c)に示すように、リフトピン6上で半導体ウェハ1は反り始める。
【0081】
さらに、25秒経過後、サセプタ4を上昇させ、これにより、リフトピン6からサセプタ4のウェハ載置面4aに半導体ウェハ1を移載する。
【0082】
この時点でも、図6(d)に示すように、サセプタ4のウェハ載置面4a上において半導体ウェハ1の反りは、まだ、完全には回復していない。
【0083】
その後、3秒程度経過すると(図7に示すようにリフトピン6上に移載されてから28秒経過後)、図6(e)に示すように、サセプタ4上で半導体ウェハ1の反りが回復する。
【0084】
これにより、図6に示す比較例2においても、サセプタ4に半導体ウェハ1を移載した後に、半導体ウェハ1が反り回復動作を行っているため、この移載方法についても好ましくない。
【0085】
本実施の形態の半導体製造装置(エピタキシャル成長装置)および半導体ウェハの移載方法によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0086】
すなわち、半導体ウェハ1を搬送用ブレード5からサセプタ4に移載する際に、加熱されて反った半導体ウェハ1の反りがリフトピン6上で回復した後、サセプタ4への移載を行うように制御するため、半導体ウェハ1がサセプタ4に移載された際には、反りが無くなった状態となっている。
【0087】
つまり、リフトピン6上で半導体ウェハ1を中継支持している間に、半導体ウェハ1の面内温度が均一になり、これにより、一度反った半導体ウェハ1がリフトピン6上で回復する。
【0088】
その後、サセプタ4に半導体ウェハ1を移載することにより、半導体ウェハ1がサセプタ4上で反り回復動作を行うことを防止できる。
【0089】
これにより、半導体ウェハ1の局部すなわち裏面エッジ部1a(図2参照)とサセプタ4のウェハ載置面4aとの接触が低減され、異物の発生や巻き上げを防止できるとともに、半導体ウェハ1の裏面エッジ部1aが損傷することを防止できる。
【0090】
その結果、半導体ウェハ1の品質を向上させることができる。
【0091】
なお、CCDカメラ9によって取り込まれた反り時の半導体ウェハ1の画像8に基づいて、制御部7において反り時の半導体ウェハ1の中心部付近(特定部位)の形状(本実施の形態では、半導体ウェハ1の前記中心部付近に反射して映し出されたランプ3と反射板10との形状による信号)と、非反り時の前記中心部付近の形状による信号とを比較し、両者の形状が同一となった(一致した)後、リフトピン6からサセプタ4への半導体ウェハ1の移載を行うことにより、制御部7において半導体ウェハ1の反りが全て回復したことを確実に検知してから半導体ウェハ1をサセプタ4に移載することができる。
【0092】
これにより、半導体ウェハ1がサセプタ4上で反り回復動作を行うことを確実に防止でき、その結果、サセプタ4上で起こる半導体ウェハ1からの異物の発生や巻き上げを確実に防止できる。
【0093】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0094】
例えば、前記実施の形態においては、予め制御部7に登録された半導体ウェハ1の特定部位の形状による信号と、CCDカメラ9が撮影した反り時の半導体ウェハ1の特定部位の形状による信号との比較によって、半導体ウェハ1の反りが回復したことを制御部7において認識し、これにより、半導体ウェハ1をリフトピン6からサセプタ4に移載させる移載方法について説明したが、前記移載方法は、予め、リフトピン6上で反りが完全に回復する所定時間を設定し、この所定時間経過後、リフトピン6からサセプタ4に半導体ウェハ1を移載するものであってもよい。
【0095】
すなわち、この移載方法は、リフトピン6によって中継支持された半導体ウェハ1の反りが回復する所定時間を予め導き出し、前記所定時間を予め制御部7に登録することにより、リフトピン6上で半導体ウェハ1を前記所定時間待機させた後、リフトピン6からサセプタ4に半導体ウェハ1を移載するものである。
【0096】
ここで、図7に示す他の実施の形態は、リフトピン6上で30秒間(実際の動作としては32秒程度)半導体ウェハ1を待機させた後、サセプタ4に半導体ウェハ1を移載させた際の経過時間と、反り量(a/L、b/L)との関係を求めたものである。
【0097】
図7によれば、リフトピン6上で28秒程度経過した時点で、半導体ウェハ1の反りが回復しているため、制御部7に予め登録する所定時間(リフトピン6上に半導体ウェハ1を待機させる時間)を少なくとも30秒程度、好ましくは、33〜35秒程度に設定すればよいことがわかる。
【0098】
これにより、エピタキシャル成長装置において、CCDカメラ9などが不必要となり、装置構成を簡略化できるとともに、制御部7における移載方法の制御についてもその手順を簡略化できる。
【0099】
さらに、CCDカメラ9などのモニタ手段が不要になるため、反応容器2を不透明な材料によって形成することも可能になり、エピタキシャル成長装置の製造コストを低減できる。
【0100】
また、前記実施の形態においては、半導体ウェハ1の特定部位としてその中心部付近の形状(半導体ウェハ1の前記中心部付近に反射して映し出されたランプ3と反射板10との形状)をモニタする方法について説明したが、半導体ウェハ1におけるモニタ箇所は、他の特定部位であってもよい。
【0101】
例えば、半導体ウェハ1の外周形状や半導体ウェハ1の主面に形成されたパターニング形状などを画像信号として取り込み、非反り時の形状の信号と比較することが可能な特定部位であれば他のものであってもよい。
【0102】
また、これに伴い、CCDカメラ9の設置箇所についても、反応容器2の上方に限らず、半導体ウェハ1の形状変化をモニタ可能な箇所であれば、特に、限定されるものではない。
【0103】
さらに、半導体ウェハ1をモニタする他の方法としては、CCDカメラ9の代わりに赤外線カメラを用いてもよい。
【0104】
すなわち、反応容器2内に配置された半導体ウェハ1の面内温度が監視できる箇所に前記赤外線カメラを設置し、これにより、半導体ウェハ1の面内における温度分布を計測する。
【0105】
これにより、この温度分布が許容値内に到達した際に、リフトピン6からのサセプタ4への半導体ウェハ1の移載を開始する。
【0106】
つまり、半導体ウェハ1の反りによる形状変化を視覚的に捕らえるのではなく、半導体ウェハ1の面内の温度分布をモニタし、温度分布が均一になった時点で反りが無くなったことと判断するものである。
【0107】
これによっても、前記実施の形態とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0108】
また、前記実施の形態においては、サセプタ4上に半導体ウェハ1を移載する際に、ウェハ移載部材であるリフトピン6上で半導体ウェハ1を待機させる場合について説明したが、ウェハ搬送部材が半導体ウェハ1をハンドリング可能な把持ロボット(図示せず)などの場合には、ウェハ移載部材であるリフトピン6上で特に半導体ウェハ1を待機させる必要はなく、例えば、サセプタ4のウェハ載置面4a上において、前記把持ロボットによって半導体ウェハ1の反りが回復するまで半導体ウェハ1を把持して待機させればよい。
【0109】
これによって、リフトピン6が不要になり、半導体製造装置(エピタキシャル成長装置)の構造をさらに簡略化できる。
【0110】
また、前記実施の形態においては、非反り時の半導体ウェハ1におけるLの値(非反り時の半導体ウェハ1の直径)が予め制御部7に登録されている場合を説明したが、前記Lの値は、予め登録されていなくてもよく、CCDカメラ9によってモニタしている段階で非反り時の半導体ウェハ1の形状から前記Lの値を算出してもよい。
【0111】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0112】
(1).半導体ウェハをウェハ搬送部材からウェハ支持台に移載する際に、加熱されて反った半導体ウェハの反りがウェハ移載部材上で回復した後、ウェハ支持台への移載を行うように制御するため、一度反った半導体ウェハがウェハ移載部材上で回復し、その後、ウェハ支持台に半導体ウェハを移載することにより、半導体ウェハの裏面エッジ部とサセプタとの接触が低減され、異物の発生や巻き上げを防止できるとともに、半導体ウェハの裏面エッジ部の損傷を防止できる。
【0113】
(2).前記(1)により、半導体ウェハの品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による半導体製造装置(エピタキシャル成長装置)の構造の実施の形態の一例を一部断面にして示す構成概念図である。
【図2】(a),(b),(c),(d),(e)は本発明による半導体ウェハの移載方法の実施の形態の一例を一部断面にして示す移載手順図である。
【図3】(a),(b),(c) は図1に示すエピタキシャル成長装置における半導体ウェハのモニタ状態を表すモニタ結果図であり、(a)は非反り時のモニタ図、(b)は反り時のモニタ図、(c)は歪み原理図である。
【図4】(a),(b),(c),(d),(e)は本発明の半導体ウェハの移載方法に対する比較例1を一部断面にして示す移載手順図である。
【図5】図4に示す比較例1によって半導体ウェハを移載した際の半導体ウェハの反り状態を示すテスト結果図である。
【図6】(a),(b),(c),(d),(e)は本発明の半導体ウェハの移載方法に対する比較例2を一部断面にして示す移載手順図である。
【図7】本発明の他の実施の形態である半導体ウェハの移載方法によって半導体ウェハを移載した際の半導体ウェハの反り状態を示すテスト結果図である。
【符号の説明】
1 半導体ウェハ
1a 裏面エッジ部
2 反応容器
2a 上部ドーム
2b 下部ドーム
3 ランプ(加熱手段)
4 サセプタ(ウェハ支持台)
4a ウェハ載置面
5 搬送用ブレード(ウェハ搬送部材)
6 リフトピン(ウェハ移載部材)
7 制御部
8 画像
8a ランプ反射像
8b 反射板反射像
9 CCDカメラ(モニタ手段)
10 反射板
Claims (3)
- 半導体ウェハを熱処理する半導体製造装置であって、
前記半導体ウェハの熱処理が行われる反応容器と、
熱処理時に前記半導体ウェハを加熱する加熱手段と、
前記反応容器内に設置され、かつ熱処理時に前記半導体ウェハを支持するウェハ支持台と、
前記半導体ウェハの前記反応容器への搬入出を案内するウェハ搬送部材と、
前記半導体ウェハを前記ウェハ搬送部材から前記ウェハ支持台に移載する際に、前記半導体ウェハを中継支持するウェハ移載部材と、
前記ウェハ移載部材を介して前記半導体ウェハを前記ウェハ搬送部材から前記ウェハ支持台に移載する際に、加熱されて反った前記半導体ウェハの反りが回復した後、前記移載を行うように制御する制御部とを有し、
前記ウェハ移載部材によって中継支持された前記半導体ウェハの画像を取り込みかつ前記制御部に接続されたモニタ手段が設置され、前記モニタ手段によって取り込まれた反り時の前記半導体ウェハの画像に基づいて、前記制御部において反り時の前記半導体ウェハの特定部位の形状と非反り時の前記特定部位の形状とを比較し、両者の形状が同一となった後、前記ウェハ移載部材から前記ウェハ支持台への前記半導体ウェハの移載を行うことを特徴とする半導体製造装置。 - 請求項1記載の半導体製造装置であって、前記特定部位は前記半導体ウェハの中心部であり、前記半導体ウェハの前記中心部に反射して映し出された前記加熱手段と前記加熱手段の反射板との形状のモニタを行うことを特徴とする半導体製造装置。
- 半導体ウェハに熱処理を行う半導体製造装置で用いる前記半導体ウェハの移載方法であって、
ウェハ搬送部材によって前記半導体ウェハを案内して前記半導体製造装置の反応容器内に前記半導体ウェハを搬入する工程と、
ウェハ移載部材によって前記ウェハ搬送部材から前記半導体ウェハを受け取り、前記ウェハ移載部材によって前記半導体ウェハを中継支持する工程と、
前記反応容器内に設置されたウェハ支持台に前記半導体ウェハを移載して熱処理する際に、前記反応容器内に搬入されたことにより加熱されて反った前記半導体ウェハの反りが前記ウェハ移載部材上において回復した後、前記半導体ウェハを前記ウェハ移載部材から前記ウェハ支持台に移載する工程とを有し、
前記ウェハ移載部材によって中継支持された前記半導体ウェハの画像をモニタ手段によって制御部に取り込み、前記制御部において、反り時の前記半導体ウェハの特定部位の形状と非反り時の前記特定部位の形状とを比較し、両者の形状が同一となった後、前記ウェハ移載部材から前記ウェハ支持台に前記半導体ウェハを移載することを特徴とする半導体ウェハの移載方法。
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