JP3889693B2 - エアバッグカバー体の成形装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、エアバッグカバー体の成形装置に関する。本明細書でいう「エアバッグカバー体」とは、自動車などの車両においてエアバッグ装置を覆うのに利用される部材を意味しており、その一例としては、インストルメントパネルが挙げられる。
【0002】
【従来の技術】
自動車の助手席用のエアバッグ装置は、一般的には、インストルメントパネルの内側に設けられており、このような場合の構造としては、種々のものがある(たとえば、特許文献1,2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−39254号公報
【特許文献2】
特開2001−47959号公報
【0004】
図7および図8は、インストルメントパネルの構造の一例を示している。図示された構造においては、インストルメントパネル1の内側にエアバッグ装置8が固定して配されており、インストルメントパネル1のうち、エアバッグ装置8の正面部分がエアバッグドア部10となっている。このエアバッグドア部10は、インストルメントパネル1の他の部分と一体的に繋がっている。インストルメントパネル1の裏面には、エアバッグドア部10をインストルメントパネル1の他の部分から分離させるための複数の破断用溝11が形成されている。これら複数の破断用溝11としては、たとえばインストルメントパネル1の横方向(長手方向)に延びる3条の破断用溝11(11a〜11c)と、これら3条の破断用溝11(11a〜11c)の両端部を互いに繋ぐようにして縦方向に延びる2条の破断用溝11(11d,11e)とがある。このような構成によれば、エアバッグ装置8が作動してエアバッグ(図示略)が膨張展開したときには、上記複数条の破断用溝11a〜11eの形成部分が破断し、図8の仮想線で示すように、エアバッグドア部10は破断用溝11bの部分において分断した2つのプレート状となって開く。その結果、上記エアバッグがインストルメントパネル1の外面側に出現する。
【0005】
エアバッグドア部10は、複数のリテーナ80を介してエアバッグ装置8の筐体に連結されている。各リテーナ80は、折り曲げ可能な比較的薄肉の金属板からなり、エアバッグドア部10の裏面に形成された複数のリブ13に対してたとえば超音波融着手段などを利用して接合されている。このような構成によれば、エアバッグドア部10を各リテーナ80に支持させたまま開かせることができ、エアバッグドア部10が車室内に飛散することが防止される。
【0006】
従来において、上記したインストルメントパネル1を樹脂成形する場合には、たとえば図9に示すような成形装置が用いられている。
【0007】
この従来の成形装置は、インストルメントパネル1を成形するためのキャビティ70を形成可能な上型7Aおよび下型7Bと、複数の溝形成刃39とを備えている。各溝形成刃39の先端部は、キャビティ70内に進入しており、このことによってインストルメントパネル1には複数条の破断用溝11を形成可能である。複数の溝形成刃39のそれぞれはプレート状であり、かつ平面視矩形状に繋がっている。このため、下型7Bは、複数の溝形成刃39によって囲まれた2つのコア71を有している。これらのコア71は、下型7Bの他の部分とは別体に形成されている。複数の溝形成刃39は、各コア71の周囲に形成されたスリット72に進入している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の成形装置においては、次のような不具合を生じる場合があった。
【0009】
すなわち、溝形成刃39については、キャビティ70と対向する矢印Na方向に往復動可能に設けることが望まれる。このようにすれば、たとえばキャビティ70内に樹脂が充填されるときには溝形成刃39をキャビティ70内から退出させておくことによって、溝形成刃39が樹脂の流れを阻害しないようにすることができるからである。
【0010】
一方、コア71の温度は、キャビティ70内に溶融樹脂が充填されることに起因して高くなる。とくに、コア71は、溝形成刃39やスリット72を介して下型7Bの他の部分とは仕切られた状態に設けられているために、熱を逃がし難く、高温になり易い。
【0011】
ところが、このようにコア71が高温になると、このコア71はスリット72の幅を狭めるように矢印Nb方向に熱膨張し、溝形成刃39を圧する。これでは、溝形成刃39を適切に往復動させることができない。その結果、従来においては、溝形成刃39の動作不良に起因して成形不良品が発生したり、あるいは溝形成刃39が破損するなどの不具合を生じる虞れがあった。
【0012】
また、一般的には、熱可塑性樹脂を成形する場合、成形用型の温度が高いことにより成形樹脂の冷却が長い時間をかけてゆっくりとなされるほど、硬化時における樹脂の収縮量は大きくなる。上記従来の成形装置においては、コア71が高温となるために、インストルメントパネル1のうち、コア71に対応するエアバッグドア部10の樹脂収縮量が大きくなる。その結果、エアバッグドア部10にいわゆるひけが発生してその表面部分が窪んでしまい、インストルメントパネル1の外観体裁が悪くなる場合があった。さらに、そのようなひけを生じたのでは、エアバッグドア部10が目立ってしまい、インストルメントパネル1の表面部分においてエアバッグドア部10がどこに形成されているのかを判別し難くしたいといったデザイン上の要望にも適切に応えることができない。
【0013】
本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、溝形成刃に動作不良を生じたり、樹脂成形されるインストルメントパネルなどのエアバッグカバー体のエアバッグドア部にひけを生じさせるようなことなく、エアバッグカバー体を体裁良く適切に成形することが可能なエアバッグカバー体の成形装置を提供することをその課題としている。
【0014】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0015】
本願発明によって提供されるエアバッグカバー体の成形装置は、エアバッグドア部を備えたエアバッグカバー体を樹脂成形するためのキャビティを形成可能な成形用型と、上記キャビティに先端部が進入することにより上記エアバッグカバー体に上記エアバッグドア部の破断用溝を形成する溝形成刃とを備えており、かつ、上記成形用型は、上記エアバッグドア部の片面を成形するためのコアを含んでいるとともに、このコアの周囲には、上記溝形成刃が位置する構成とされている、エアバッグカバー体の成形装置であって、上記コアを上記エアバッグドア部と対向する第1の方向に往復動自在とするとともに、上記コアを支持する従動ブロックと、この従動ブロックに当接し、駆動源による第2の方向への往復動によって上記従動ブロックを上記第1の方向に往復動させる駆動ブロックとを備えた往復動装置とを備えている一方、上記コアを冷却する冷却手段をさらに備えており、上記冷却手段は、上記従動ブロックの内部に形成された通路を介して上記コアの内部に冷却媒体を供給可能な構成とされていることを特徴としている。
【0016】
上記溝形成刃は、上記キャビティへの先端部の進入とその退出とが可能に往復動自在である構成とすることができる。
【0017】
本願発明によれば、上記冷却手段を利用して上記コアの温度上昇を抑制することができるために、上記コアが上記溝形成刃を圧するように熱膨張することが回避される。その結果、従来技術とは異なり、上記溝形成刃に動作不良を生じたり、あるいはこの溝形成刃が破損するといった虞れを無くすことができる。また、上記コアの温度上昇が抑制されれば、樹脂成形されるエアバッグカバー体のうち、上記コアに対応するエアバッグドア部にひけが生じないようにすることも可能となる。このため、ひけに起因してエアバッグカバー体の外観体裁が悪化することが解消され、さらにはエアバッグドア部を外部から判別できないようにエアバッグカバー体を成形することも可能となる。また、上記冷却手段は、上記従動ブロックの内部に形成された通路を介して上記コアの内部に冷却用媒体を供給可能な構成とされているので、成形用型の外部から上記コアの内部に冷却用媒体を供給する場合に、たとえば上記冷却用媒体の供給用配管を上記コアに直接連結する必要はない。上記従動ブロックは、上記コアとは異なり、溝形成刃によって囲まれていない位置に設けることができるために、この従動ブロックへの配管接続などは簡易に行なうことが可能である。
【0019】
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記キャビティ内において上記エアバッグカバー体が成形されたときに上記エアバッグドア部の上記片面に当接する少なくとも1つの支持部材をさらに備え、上記コアが上記エアバッグドア部から離反するときには、上記支持部材によって上記エアバッグドア部を支持可能な構成とされている。このような構成によれば、上記エアバッグカバー体を成形した後に、このエアバッグカバー体を成形用型から取り出す場合には、予め上記コアと上記エアバッグドア部とを適切に離反させてから、上記エアバッグカバー体を取り出すことができる。上記コアと上記エアバッグカバー体とはその密着力が強い場合があり、これらが密着したまま上記エアバッグカバー体を成形用型から取り出そうとした場合には、エアバッグカバー体が破断用溝の形成箇所において折れ曲がってしまい、破損するといった虞れがあるが、上記構成によれば、そのような虞れを無くすことが可能である。
【0022】
本願発明のその他の特徴および利点については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0024】
図1〜図6は、本願発明に係るエアバッグカバー体の成形装置の一例を示している。本実施形態のエアバッグカバー体の成形装置Aは、図7および図8を参照して先に説明したインストルメントパネル1を樹脂成形するためのものである。したがって、インストルメントパネル1の各部については、従来技術で用いた符号と同一の符号を用いて説明する。
【0025】
図1によく表われているように、本実施形態のエアバッグカバー体の成形装置Aは、上型2Aおよび下型2Bを有する金型と、複数の溝形成刃3と、下型2Bの一部を構成する可動型としての2つのコア21a,21bを同図の矢印N1方向において昇降させるための往復動装置Bと、コア21a,21bを冷却するための冷却水流路5とを具備して構成されている。上記金型は、本願発明でいう成形用型の一例に相当する。
【0026】
上型2Aおよび下型2Bは、たとえば上型2Aが昇降自在であることにより互いに接近および離反が自在である。これらは、図1および図2に示すように型締めされたときにインストルメントパネル1を成形するためのキャビティ20を形成可能である。
【0027】
複数の溝形成刃3は、キャビティ20内にそれらの先端部が進入するように配置されることによりインストルメントパネル1に複数の破断用溝11を形成するためのものである。これら複数の溝形成刃3は、上記従来技術のものと同様に、金属製のプレート状であり、かつ複数の破断用溝11の形状に対応した平面視矩形状に繋がっている。これら複数の溝形成刃3の基端部どうしは、連結部材30を介して繋がっている。複数の溝形成刃3は、たとえば往復動シリンダ(図示略)によって矢印N1方向に往復動自在である。
【0028】
下型2Bのコア21a,21bは、エアバッグドア部10の片面12を形成するための部分である。これらのコア21a,21bは、下型2Bの他の部分とは別体に形成され、かつその周囲は複数の溝形成刃3によって囲まれている。この成形装置Aにおいては、図2に示すように、これらのコア21a,21bと連結部材30とを貫通してエアバッグドア部10の片面12に当接する複数の支持ロッド4も備えている。これら複数の支持ロッド4は、固定されており、後述するように、インストルメントパネル1の成形後においてコア21a,21bを下降させるときにエアバッグドア部10を支持する役割を果たす。コア21a,21bには、複数のリブ13を形成するための複数の凹部22が設けられており、その配列はたとえば図3に示すようになっている。複数の支持ロッド4の配列も、同図に示すようになっている。
【0029】
図1において、往復動装置Bは、往復動シリンダ40、駆動ブロック41、従動ブロック42、補助部材43、および支持部44を具備して構成されている。駆動ブロック41および従動ブロック42は、コア21a,21bや連結部材30の下方に配されており、コア21a,21bは、複数の連結杆29を介して従動ブロック42に連結支持されている。
【0030】
往復動シリンダ40は、たとえば油圧式のものである。駆動ブロック41は、この往復動シリンダ40のロッド40aに連結されていることにより、支持部44の表面上をスライドして矢印N1方向と直交する矢印N2方向に往復動自在である。支持部44としては、駆動ブロック41を支持して矢印N2方向への往復動を許容する機能を果たすものであれば種々の部材を利用して形成することが可能である。たとえば、樹脂成形用の金型の一部、あるいは金型を支持する適当な部材を支持部44とすることもできる。
【0031】
駆動ブロック41と従動ブロック42とは、矢印N1方向において互いに対向接触しており、これらが対向し合う部分はいずれも階段状に形成され、かつこれらの部分には、複数のカム面45a,45bと、複数の圧接面46a,46bとが設けられている。カム面45a,45bは、矢印N2方向に対してたとえば45度程度の角度で傾斜した平面である。したがって、これらのカム面45a,45bを当接させ合うようにして駆動ブロック41を矢印N2方向に移動させることにより、従動ブロック42およびコア21a,21bを矢印N1方向に昇降させることが可能である。圧接面46a,46bは、矢印N2方向に対する傾斜角がゼロまたは略ゼロの平面である。従動ブロック42を昇降させることなく、コア21a,21bを一定高さに維持させておくときには、これら圧接面46a,46bどうしを接触させる。
【0032】
補助部材43は、従動ブロック42に下降力を付与するためのものであり、図4に示すように、この補助部材43の一端部43aは駆動ブロック41に軸47を介して回転可能に取り付けられている。補助部材43の他端部43bには、従動ブロック42の側面に形成された凹部48に係入した突起状の係合部49が形成されている。凹部48は、図1に表われているように係合部49に矢印N1,N2方向への適度な遊びをもたせる形状およびサイズに形成されている。駆動ブロック41が矢印N2b方向に一定量以上後退するときには、凹部48を規定する壁面48aに係合部49が係合し、このことにより補助部材43は従動ブロック42を引っ張って下降させることが可能である。従動ブロック42の下降は、重力によりなされるために、コア21a,21bとインストルメントパネル1とが密着し、かつこの密着力が強い場合には、従動ブロック42を重力のみによっては円滑に下降させることができない場合があり得る。補助部材43は、そのような場合に従動ブロック42を強制的に下降させるのに役立つ。
【0033】
冷却水流路5は、上型2Aおよび下型2Bの外部に位置する冷却水供給源50から配管51を介して従動ブロック42まで供給されてきた冷却水を、コア21a,21bの内部に導いて通過させるための流路である。配管51の従動ブロック42に接続されている一端部およびその近傍部分については、従動ブロック42に伴わせて昇降させる必要があるため、配管51の少なくともそれらの部分はフレキシブル性を有する構成とされている。冷却水流路5は、具体的には、従動ブロック42に形成されている流路5a,連結杆29に形成されている流路5b、およびコア21a,21bのそれぞれに形成された流路5cを含み、かつこれらが一連に繋げられた構成を有している。図3に示すように、コア21a,21bは平面視長矩形状であるのに対し、流路5cはその長手方向に延びており、コア21a,21bの広い領域を効率良く冷却できるように形成されている。流路5cを通過した冷却水は、図1に示されている冷却水流路5とは別個に設けられている流路(図示略)を通過して金型の外部に排出される構成となっている。
【0034】
次に、エアバッグカバー体の成形装置Aの作用について説明する。
【0035】
まず、図1および図2に示すように、上型2Aおよび下型2Bにより形成されたキャビティ20内に樹脂を充填することにより、インストルメントパネル1を成形する。ただし、樹脂の充填時には各溝形成刃3を下降させておき、その先端部がキャビティ20内に進入しないようにしておく。このようにすれば、樹脂の流れが各溝形成刃3によって妨げられないようにして、キャビティ20の全域に上記樹脂がまんべんなく、かつ迅速に行き渡ることとなる。各溝形成刃3は、上記樹脂の充填後であって、上記樹脂が硬化する前の段階に上昇させる。このことにより、インストルメントパネル1には複数の破断用溝11が形成される。
【0036】
上記した樹脂成形時においては、冷却水流路5に冷却水を流通させておく。このようにすれば、コア21a,21bが上記冷却水によって直接的に、かつ効率良く冷却され、キャビティ20内に樹脂が充填されることに伴う温度上昇が抑制される。したがって、コア21a,21bの熱膨張量を少なくし、これらコア21a,21bが熱膨張によって複数の溝形成刃3を下型2Bの他の部分に強く押しつけるといった現象が生じないようにすることができる。その結果、各溝形成刃3の動作不良や、上記押しつけによる破損などが適切に防止される。
【0037】
コア21a,21bの温度上昇が抑制されると、キャビティ20内への樹脂充填後において、エアバッグドア部10に相当する部分は、比較的短時間で冷却硬化する。すると、この部分における樹脂収縮量は少なくなるため、エアバッグドア部10に不体裁なひけが生じ難くなる。したがって、インストルメントパネル1の外観体裁も良好となる。
【0038】
上記した樹脂成形時には、駆動ブロック41および従動ブロック42の各圧接面46a,46bどうしを当接させておく。このように設定しておけば、従動ブロック42の下降が阻止されるために、キャビティ20内の圧力によってコア21a,21bが不当に押し下げられないようにすることができる。圧接面46aは矢印N2方向に対して傾斜のない面、あるいは傾斜が殆ど無い面であるために、圧接面46aにおいては、従動ブロック42から受ける押圧力に矢印N2方向の大きな分力が生じないようにし、この押圧力の全部または略全部を支持部44により負担させることが可能となる。このことにより、上記押圧力が往復動シリンダ40に直接作用することが回避され、往復動シリンダ40の負担軽減による往復動シリンダ40の小型化を図ることができる。
【0039】
インストルメントパネル1の樹脂成形が完了した後に、このインストルメントパネル1を取り出すには、上型2Aを上昇させて金型を開いてから、往復動装置Bを駆動させることにより、図5および図6に示すように、下型2Bのコア21a,21bを矢印N1方向において下降させる。このようにすれば、次のような利点が得られる。すなわち、コア21a,21bの凹部22とリブ13とは樹脂成形時に嵌合していることによりこれらの密着力が強いために、図示されていない押出ピンなどを利用していきなりインストルメントパネル1のエアバッグドア部10以外の部分を上方に押圧したのでは、エアバッグドア部10がコア21a,21bに密着したままインストルメントパネル1の他の部分のみが押し出される虞れがある。このような事態が生じると、インストルメントパネル1の破断用溝11の形成部分が折れ曲がって損傷する。これに対し、上記したようにコア21a,21bを先に下降させておけば、そのような虞れを回避することが可能である。コア21a,21bの下降時には、図6に示すように、複数の支持ロッド4がエアバッグドア部10に当接していることにより、このエアバッグドア部10がコア21a,21bに伴って下降することが阻止される。したがって、破断用溝11の形成部分に大きな応力を発生させることなく、コア21a,21bをエアバッグドア部10から適切に離反させることが可能である。
【0040】
上記したコア21a,21bの下降動作は、駆動ブロック41を図5の矢印N2b方向に後退させて、従動ブロック42を下降させることにより行なう。既述したとおり、コア21a,21bとインストルメントパネル1との密着力が強いときには、従動ブロック42を重力によって下降させることが困難となる場合があるが、補助部材43を利用して従動ブロック42を強制的に下降させることが可能であるから、コア21a,21bの下降動作の確実化も図られる。再度の樹脂成形を行なう場合には、コア21a,21bを再度上昇させるが、この上昇動作は、駆動ブロック41を矢印N2a方向に適当量だけ前進させることにより、やはり的確に行なわせることが可能である。
【0041】
本願発明は、上述した実施形態に限定されない。本願発明に係るエアバッグカバー体の成形装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0042】
コアを冷却させるための冷却手段は、コアの内部に設けた流路に冷却水を通す構成が簡易であるものの、これに代えて、たとえばコアの外表面のうち、キャビティには対向しない部分に冷却用媒体が触れるように冷却用媒体の供給を行なう手段を用いてもかまわない。冷却用媒体の具体的な種類も問わない。
【0043】
本願発明は、成形されるインストルメントパネルの具体的な形状やサイズなどが特定されないことは勿論のこと、本願発明でいうエアバッグカバー体は、インストルメントパネルに限定されない。エアバッグドア部としては、たとえば図7および図8で示した破断用溝11bに相当する溝を有しないものとして構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るエアバッグカバー体の成形装置の一例を示す要部断面図である。
【図2】図1に示すエアバッグカバー体の成形装置の図1の断面部分とは異なる部分の断面図である。
【図3】図1および図2に示す樹脂成形装置の下型の要部平面図である。
【図4】図1のIV−IV断面図である。
【図5】図1および図2に示す樹脂成形装置の動作を示す要部断面図である。
【図6】図1および図2に示す樹脂成形装置の動作を示す要部断面図である。
【図7】インストルメントパネルの一例を示す斜視図である。
【図8】図7のVIII −VIII 断面図である。
【図9】従来技術の一例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
A 樹脂成形装置
B 往復動装置
1 インストルメントパネル(エアバッグカバー体)
2A 上型(成形用型)
2B 下型(成形用型)
3 溝形成刃
5 冷却水流路(冷却手段)
11 破断用溝
21a,21b コア
40 往復動シリンダ(駆動源)
41 駆動ブロック
42 従動ブロック
44 支持部
45a,45b カム面

Claims (3)

  1. エアバッグドア部を備えたエアバッグカバー体を樹脂成形するためのキャビティを形成可能な成形用型と、上記キャビティに先端部が進入することにより上記エアバッグカバー体に上記エアバッグドア部の破断用溝を形成する溝形成刃とを備えており、かつ、上記成形用型は、上記エアバッグドア部の片面を成形するためのコアを含んでいるとともに、このコアの周囲には、上記溝形成刃が位置する構成とされている、エアバッグカバー体の成形装置であって、
    上記コアを上記エアバッグドア部と対向する第1の方向に往復動自在とするとともに、上記コアを支持する従動ブロックと、この従動ブロックに当接し、駆動源による第2の方向への往復動によって上記従動ブロックを上記第1の方向に往復動させる駆動ブロックとを備えた往復動装置とを備えている一方、
    上記コアを冷却する冷却手段をさらに備えており、
    上記冷却手段は、上記従動ブロックの内部に形成された通路を介して上記コアの内部に冷却媒体を供給可能な構成とされていることを特徴とする、エアバッグカバー体の成形装置。
  2. 上記溝形成刃は、上記キャビティへの先端部の進入とその退出とが可能に往復動自在である、請求項1に記載のエアバッグカバー体の成形装置。
  3. 上記キャビティ内において上記エアバッグカバー体が成形されたときに上記エアバッグドア部の上記片面に当接する少なくとも1つの支持部材をさらに備えており、
    記コアが上記エアバッグドア部から離反するときには、上記支持部材によって上記エアバッグドア部を支持可能な構成とされている、請求項1または2に記載のエアバッグカバー体の成形装置。
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