JP6036518B2 - 射出成形装置及び補強リブ押出し装置 - Google Patents

射出成形装置及び補強リブ押出し装置 Download PDF

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Description

本発明は、自動車の内外装部品に用いる車両用樹脂部品を射出成形する射出成形装置及びその射出成形装置に使用する補強リブ押出し装置に関する。
一般に、自動車の内外装部品(例えば、バンパーやクォータトリムなど)には、デザイン上の見映えを重視する意匠面を有するパネル本体と、パネル本体の剛性を確保するための補強リブとを備えている。また、自動車の内外装部品は、パネル本体と補強リブを一体的に成形するとともに、意匠面の自由度を高めるために、射出成形装置によって製造された車両用樹脂部品であることが多い。
この車両用樹脂部品には、近年の地球環境問題に対応するため、一層の薄肉化と高剛性化が求められている。しかし、車両用樹脂部品の薄肉化を進めると、補強リブの基端部に対応するパネル本体表面側にヒケが生じやすく、また、補強リブが凝固するとき収縮して型溝に密着するため、離型しにくくなる問題があった。
そのため、車両用樹脂部品の意匠面における見映えを確保しつつ、離型性を高める射出成形装置に関する技術が開発されている(例えば、特許文献1−3参照)。
例えば、特許文献1の技術は、薄板部に補強リブが形成される樹脂成形品を成形するための射出成形金型において、補強リブ形成側の金型成形面のうち、少なくとも補強リブ形成用の凹部が含まれる部分及びその周辺に、溶融樹脂と点接触する程度の微細な凹凸を形成し、また、補強リブ形成側の金型、及び補強リブに対向する金型の両方に、樹脂のガラス転移点または結晶化温度以下の所定温度に制御する温度制御機構を設けることを特徴とする。
そして、両方の金型を加温することによって、薄板部に較べて板厚の厚い補強リブの固化がおそくなり、補強リブ内の溶融樹脂が薄板部方向に引張られる一方、薄板部表面は温度が高いため濡れ性が高い状態、すなわち、密着状態になり、薄板部の意匠面側にヒケが発生しにくい状態を実現することができる。また、これに加えて、補強リブ形成用の凹部及びその周辺に、溶融樹脂と点接触する程度の微細な凹凸を形成することで、溶融樹脂の型離れを促進させることができる。
また、特許文献2の技術は、キャビティ型と、コア型と、該キャビティ型と該コア型との間で形成されており溶融樹脂が充填されるキャビティ部と、を有する熱可塑性樹脂射出成形用金型であって、該キャビティ型はその表面部に断熱層を有し、該コア型はその表面部に離型性かつ断熱性機能のある離型性断熱層を有することを特徴とする。
この熱可塑性樹脂成形用金型によれば、溶融樹脂がキャビティ部に充填されると、キャビティ型表面は瞬時に昇温し、濡れ性を発現して溶融樹脂は該型表面に強く密着する。一方、コア型表面は離型性断熱層を有するため、溶融樹脂と接触はしているが密着はしていない状態に保たれる。このため、コア側の溶融樹脂は、コア型面から直ちに離型が進行し、型面との間に空気断熱層が形成され、冷却速度の鈍化が起こる。その結果、キャビティ型面での樹脂は密着したまま、コア側の樹脂のみ収縮が進行する状態となり、キャビティ側の成形品表面にはヒケを発生させることなく、成形品の固化を完了させることができる。
また、特許文献3の技術は、固定型と可動型によって射出成形した成形品を、可動型に設けた押出しピンによって離型する方法であって、型開き前に押出しピンによって成形品を固定型キャビティ面に向けて圧接し、この圧接した状態を維持しながら、可動型から成形品を離型させる時の離型力が、固定型から成形品を離型させる時の離型力に一致する直前まで型開きする。そして、その後成形品を可動型に付着させた状態で型開きを完了させ、押出しピンによって成形品を可動型から離型させることによって、樹脂成形型における成形品の離型力を軽減する技術である。
特開2005−313330号公報 特開平6−218769号公報 特開平7−323445号公報
しかしながら、特許文献1−3には、以下のような問題があった。
すなわち、特許文献1の技術では、溶融樹脂を注入した後、固定型と可動型の両方の温度を加温し、一定温度を保持したまま溶融樹脂を凝固させるので、凝固時間が増加して、射出成形における生産性が著しく低下する。特に、補強リブの肉厚を、薄板部(パネル本体に相当)の肉厚より薄くすると、補強リブの固化が早まるのを防止するため、より高い温度に加温せざるを得なくなり、凝固時間の更なる増加につながり、射出成形における生産性が低下する問題が顕著となる。また、特許文献1の技術では、補強リブ形成用の凹部が含まれる部分及びその周辺に、溶融樹脂と点接触する程度の微細な凹凸を形成(例えば、無電解ニッケルメッキにより形成)するので、型製作費が増加することになり好ましくない。
次に、特許文献2の技術では、キャビティ型はその表面部に断熱層を有し、コア型はその表面部に離型性かつ断熱性機能のある離型性断熱層を有するので、特許文献1の技術と同様に、凝固時間が増加して、射出成形における生産性が低下する。また、断熱層(例えば、セラミックス等の板)は、割れや剥れなどのおそれもある。したがって、特許文献2の技術では、射出成形における生産性の低下とともに、射出成形型における耐久性の低下も問題となる。
この点、特許文献3の技術では、凝固時間の増加による射出成形における生産性が低下する問題は生じない。
しかし、特許文献3の技術では、可動型の近傍に可動型の型開きストロークを測定するための測定検出機構が設けられ、この測定検出機構によって可動型の型開きストロークを測定するとともに、この測定値に基づいて型締め用シリンダユニットの作動を制御するようにしている。また、押出し用ロッドの近傍に押出しピンの移動ストロークを測定するための他の測定検出機構が設けられ、この測定検出機構によって測定した測定値に基づいて押出し用シリンダユニットの作動を制御するようにしている。このように、複数の測定検出機構や制御装置が必要となり、射出成形装置の複雑化と高コスト化を招くことになる。
また、特許文献3の技術では、成形収縮によって可動型に貼り付いた成形品を押出しピンで押圧するので、成形品(パネル本体に相当)の肉厚を薄くすると、押圧力による変形や白化のおそれが増大する。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、簡単な構造及び方法で、意匠面のヒケを防止しつつ、薄肉化した車両用樹脂部品の離型性を向上する射出成形装置及びその射出成形装置に使用する補強リブ押出し装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る射出成形装置及び補強リブ押出し装置は、次のような構成を有している。
(1)パネル本体の裏面側に複数の補強リブが突設される車両用樹脂部品の射出成形装置であって、
キャビ型とコア型と補強リブ用キャビ型とを備え、前記補強リブ用キャビ型は前記コア型に入子されていること、
前記補強リブ用キャビ型には、前記キャビ型及び前記コア型の冷却回路と独立して制御される冷却回路を有することを特徴とする。
(2)(1)に記載された射出成形装置において、
前記補強リブ用キャビ型の型冷却温度は、前記キャビ型及び前記コア型の型冷却温度より高いことを特徴とする。
(3)(1)又は(2)に記載された射出成形装置において、
前記補強リブ用キャビ型は、前記キャビ型及び前記コア型より熱伝導率が高い亜鉛合金鋳物を溝加工して形成したことを特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された射出成形装置において、
前記パネル本体を昇降する昇降装置と、前記補強リブを押出す補強リブ押出し装置とを備え、
前記補強リブ押出し装置の押出しストローク長を前記昇降装置の昇降ストローク長以下としたことを特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された射出成形装置において、
前記補強リブの交差部には筒状体が形成され、該筒状体を押出す筒状体押出し装置を備えることを特徴とする。
(6)(4)に記載された射出成形装置に使用する補強リブ押出し装置であって、
前記補強リブの一般部に当接するリブ押出しピンと、
前記リブ押出しピンを昇降自在に保持する押出し板と、
前記昇降装置の昇降板と前記押出し板との間で伸縮する伸縮部材とを備え、
前記昇降板の上昇に伴い前記押出し板が上端に到達した後、前記昇降板の更なる上昇により前記伸縮部材が短縮することを特徴とする。
(7)(6)に記載された補強リブ押出し装置において、
前記リブ押出しピンの摺動部から前記補強リブ用キャビティ内のガスを逃がすことを特徴とする。
次に、本発明に係る射出成形装置及び補強リブ押出し装置の作用及び効果について説明する。
(1)パネル本体の裏面側に複数の補強リブが突設される車両用樹脂部品の射出成形装置であって、キャビ型とコア型と補強リブ用キャビ型とを備え、補強リブ用キャビ型はコア型に入子されていること、補強リブ用キャビ型には、キャビ型及びコア型の冷却回路と独立して制御される冷却回路を有することを特徴とするので、簡単な構造及び方法で、意匠面のヒケを防止しつつ、薄肉化した車両用樹脂部品の離型性を向上することができる。
すなわち、キャビ型とコア型と補強リブ用キャビ型とを備え、補強リブ用キャビ型はコア型に入子されているので、補強リブ用キャビ型の冷却回路をキャビ型とコア型の冷却回路と分離独立して設けることが容易である。また、補強リブ用キャビ型はコア型に入子されているので、補強リブ用キャビ型とコア型との間で、型温度の伝達を遮断しやすくなる。また、補強リブ用キャビ型の冷却回路は、キャビ型及びコア型の冷却回路と独立して制御されるので、パネル本体及び補強リブ全体の肉厚を薄くした場合でも、補強リブ用キャビ型を補強リブの肉厚に最適な冷却温度にすることができ、パネル本体のヒケ等を生じさせることなく、パネル本体及び補強リブの凝固時間を短縮させることができる。
したがって、(1)の射出成形装置によれば、簡単な構造及び方法で、意匠面のヒケを防止しつつ、薄肉化した車両用樹脂部品の離型性を向上することができる。
(2)(1)に記載された射出成形装置において、補強リブ用キャビ型の型冷却温度は、前記キャビ型及び前記コア型の型冷却温度より高いことを特徴とするので、補強リブ用キャビ型の冷却温度を補強リブの成形収縮量を抑制するように制御することによって、補強リブの離型性を更に向上させることができる。すなわち、離型時における、補強リブ側の温度をパネル本体側の温度より高くすることによって、補強リブの成形収縮量をパネル本体の成形収縮量に比較して相対的に低減させることができる。補強リブとパネル本体との成形収縮量に差を設けることによって、補強リブの型喰い付きを低減して、離型性を向上させることができる。なお、補強リブ用キャビ型の冷却温度を50℃程度とし、キャビ型及びコア型の冷却温度を20℃程度とするのが好ましい。
(3)(1)又は(2)に記載された射出成形装置において、補強リブ用キャビ型は、キャビ型及びコア型より熱伝導率が高い亜鉛合金鋳物を溝加工して形成したことを特徴とするので、補強リブ用キャビ型の型温度が、キャビ型及びコア型の型温度に影響されることなく、全体的に略均一になり、意匠面のヒケを防止しつつ、薄肉化した車両用樹脂部品の離型性をより一層向上させることができる。
また、補強リブ用キャビ型は亜鉛合金鋳物であるため、一般にキャビ型及びコア型に使用される高強度合金鋼より被切削性が大幅に向上する。例えば、幅が0.5mm程度で、深さが5.0〜6.0mm程度の補強リブ用溝加工をエンドミルを用いて行うことができる。したがって、補強リブの超薄肉化を実現する補強リブ用キャビ型を簡単に製作することができる。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された射出成形装置において、パネル本体を昇降する昇降装置と、補強リブを押出す補強リブ押出し装置とを備え、補強リブ押出し装置の押出しストローク長を昇降装置の昇降ストローク長以下としたことを特徴とするので、補強リブ押出し装置は、補強リブを補強リブ用キャビ型溝の外に押出すストローク長で足りる。それ以上のストローク長は、パネル本体を昇降する昇降装置が、その役割を担うよう、成形後の取出しストローク長を夫々分担させることができる。したがって、薄肉化した補強リブを押出すリブ押出しピンの径が細くても、ストローク長が短いので、補強リブ押出し装置においてリブ押出しピンが折損する等の不具合が生じにくい。
また、補強リブ押出し装置は、直接に補強リブを押出すことによって離型させるので、補強リブの型喰い付きを効果的に解除することができ、また、パネル本体の変形や白化等の不具合が生じるおそれが少ない。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された射出成形装置において、補強リブの交差部には筒状体が形成され、該筒状体を押出す筒状体押出し装置を備えることを特徴とするので、交差部に隣接する補強リブに押出し荷重が分散されて、パネル本体や補強リブ一本当たりに作用する押出し荷重を低減できる。その結果、パネル本体及び補強リブ全体をより一層薄肉化しても、離型の際に、パネル本体及び補強リブの変形や白化等の不具合が生じるおそれを、より一層低減することができる。
(6)(4)に記載された射出成形装置に使用する補強リブ押出し装置であって、補強リブの一般部に当接するリブ押出しピンと、リブ押出しピンを昇降自在に保持する押出し板と、昇降装置の昇降板と押出し板との間で伸縮する伸縮部材とを備え、昇降板の上昇に伴い押出し板が上端に到達した後、昇降板の更なる上昇により伸縮部材が短縮することを特徴とするので、簡単な構造及び方法で、意匠面のヒケを防止しつつ、薄肉化した車両用樹脂部品の離型性を向上することができる。
すなわち、リブ押出しピンを昇降自在に保持する押出し板は、昇降板の上昇に伴い押出し板が上端に到達した後、昇降板の更なる上昇により伸縮部材が短縮するので、リブ押出しピンが直接に補強リブを押出すことによって離型性を向上させつつ、リブ押出しピンのストローク長を伸縮部材が短縮することによって短くできる。リブ押出しピンのストローク長を短くするので、リブ押出しピンの折損、曲がり、かじり等の不具合を低減することができる。
また、昇降装置の昇降板と押出し板との間に伸縮部材を設けるだけでよいので、特許文献3の技術のように、複数の測定検出機構や制御装置を必要としない。よって、簡単な構造と方法で、射出成形装置の離型性を向上できる。
ここで、伸縮部材は、所定の荷重までは短縮せず、所定の荷重を超過した段階で短縮する部材が好ましい。具体的には、補強リブの型喰い付きを解除可能な所定の荷重に対しては短縮せず、押出し板が上端に到達して所定の荷重を超過したとき短縮する部材が好ましい。例えば、伸縮部材には、所定の圧縮ガス(窒素ガス)を内蔵するガススプリングが適している。
(7)(6)に記載された補強リブ押出し装置において、リブ押出しピンの摺動部から補強リブ用キャビティ内のガスを逃がすことを特徴とするので、補強リブに欠肉やウェルド等の欠陥が生じることを防止できる。
すなわち、リブ押出しピンは、補強リブ用キャビ型に穿設された通孔を摺動するため、押出しピン外周と通孔との間には、略0.05mm程度のクリアランスが設けられている。そして、この程度のクリアランスであるので、補強リブ用キャビティ内のガスを逃がしつつ、所定の粘度を有する溶融樹脂を漏洩させることがない。
よって、射出成形後に補強リブを押出して、パネル本体を変形させることなく車両用樹脂部品を射出成形装置から取り出すことができるとともに、補強リブ用キャビティ内のガスが残留することによる欠肉等の成形欠陥を低減できる。
本実施形態に係る射出成形装置によって成形する車両用樹脂部品(第1実施例)の斜視図である。 図1のA部における裏面斜視図である。 図2のB部における補強リブの斜視図である。 本実施形態に係る射出成形装置によって成形する車両用樹脂部品(第2実施例)の裏面斜視図である。 図4のE部における補強リブの斜視図である。 本実施形態に係る射出成形装置の模式的断面図である。 図5に示す補強リブを成形する入子構造の斜視図である。 図6における補強リブ押出し装置の断面図である。 図8の補強リブ押出し装置において、補強リブ押出し完了段階の断面図である。 図8の補強リブ押出し装置において、パネル本体上昇完了段階の断面図である。 補強リブの一般部を押出すリブ押出しピンの部分斜視図である。 図3に示す補強リブの筒状体を押出す筒状体押出し装置の断面図である。
次に、本発明に係る実施形態である射出成形装置及び補強リブ押出し装置について、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、本実施形態に係る射出成形装置によって成形する車両用樹脂部品(第1実施例及び第2実施例)の構造及び補強リブの詳細構造を説明する。次に、本実施形態に係る射出成形装置及び車両用樹脂部品(第2実施例)の段付き補強リブを成形する入子構造を説明する。最後に、補強リブ押出し装置の構造及び動作を説明する。
<車両用樹脂部品(第1実施例)の構造>
まず、本発明に係る実施形態である射出成形装置によって成形する車両用樹脂部品(第1実施例)について、バンパー(半完成品)の例でその構造を説明する。図1に、本発明に係る射出成形装置によって成形する車両用樹脂部品(第1実施例)であるバンパー(半完成品)の斜視図を示す。
図1に示すように、車両用樹脂部品(第1実施例)であるバンパー10は、左右両端が車両側面方向に湾曲した略コ字状の形状をなしている。バンパー10の上端13には、ラジエターグリルやフェンダとの見切り部が形成されている。また、バンパー10のパネル本体1には、ナンバープレート取付座(中央付近)やフォグランプ取付穴(両サイド)が形成されている。これら他部品の取付座、取付穴を除く、車両外方に沿う外形面(パネル本体の表面側)が意匠面となり、外観品質(見映え)を重視して成形されている。
意匠面の見映えや、部品板厚の薄肉化及び部品全体の高剛性化等を確保するため、射出成形時における樹脂流動性を高めるべく、例えば、複数の樹脂注入部R1〜R6をパネル本体1の上下端13、14やフォグランプ取付穴15等に設けている。そして、樹脂注入部R1〜R6は、射出成形後に除去する。
また、パネル本体1において、特に断面曲率の小さい箇所(例えば、A部)の裏面側12には、以下に説明する補強リブ2が形成されている。
<車両用樹脂部品(第1実施例)における補強リブの構造>
次に、車両用樹脂部品10(第1実施例)におけるパネル本体1の裏面側12に突設されている補強リブ2の構造を説明する。図2に、図1のA部における裏面斜視図を示す。図3に、図2のB部における補強リブの斜視図を示す。
図2に示すように、パネル本体1の裏面側12には、複数の補強リブ2が互いに交差しながら突設されている。補強リブ2は、放射状に交差して複数のハニカム形状を構成しながら、パネル本体1の裏面側12に所定の範囲に亘って形成されている。補強リブ2は、基端部がパネル本体1に接続され、先端部が開放されている。補強リブ2の基端部と先端部は、同一の肉厚で形成されている。
図3に示すように、パネル本体1の裏面側12には、補強リブ2が交差する交差部22、22Bを含む撓み部C、Dが形成されている。撓み部Cの箇所では、3本の補強リブ2の一般部21が一箇所で交差して、交差部22を形成している。また、撓み部Dの箇所では、3本の補強リブ2の一般部21が筒状体23と交差して、交差部22Bを形成している。したがって、パネル本体の裏面側12には、補強リブ2の一般部21が直線的に交差する交差部22を含む撓み部C、及び補強リブ2の一般部21が筒状体23と交差する交差部22Bを含む撓み部Dを介して閉鎖するループ形状(ここでは、ハニカム形状)が形成されている。なお、撓み部Dを備えないループ形状(ハニカム形状)も形成されている。また、補強リブ2の肉厚は、パネル本体1の肉厚の1/3程度以下である。
<車両用樹脂部品(第2実施例)の構造>
次に、本発明に係る実施形態である射出成形装置によって成形する車両用樹脂部品(第2実施例)について、サイドマッドガード(半完成品)の例でその構造を説明する。図4に、本実施形態に係る射出成形装置によって成形する車両用樹脂部品(第2実施例)の裏面斜視図を示す。図5に、図4のE部における補強リブの斜視図を示す。
図4に示すように、車両用樹脂部品(第2実施例)であるサイドマッドガード10Aは、車両側面に沿って取り付けられ、車両前後方向において略同一断面形状をなしている。車両用樹脂部品10Aは、パネル本体1と、補強リブ(以下、「段付き補強リブ」ともいう)2Aと、樹脂供給路3と、ガゼットリブ4とを備えている。ここで、矢印Xは車両前後方向を示し、矢印Yは車両上下方向を示し、矢印Zは車両幅方向を示す。
パネル本体1は、意匠面を構成する断面曲率の小さい一般部16と断面曲率の大きい湾曲部17と稜線部18、19とを備えた薄肉の板状体である。一般部16の裏面側12には、一方の側面にアンダーカット形状を形成した複数個の段付き補強リブ2Aが立設されている。稜線部18、19には、デザイン上のキャラクターライン(18)と部品端末の見切りライン(19)等が該当する。見切りライン(19)には、金型のキャビティ内へ溶融樹脂を供給するゲートが配設されている。
<車両用樹脂部品(第2実施例)における補強リブの構造>
図4に示すように、車両用樹脂部品(第2実施例)における段付き補強リブ2Aは、パネル本体1の裏面側12に接合する基端部21の肉厚を、先端部22の肉厚より薄く形成されている。段付き補強リブ2Aの断面は、リブ延在方向(矢印Xの方向)において略一定である。段付き補強リブ2Aのリブ延在方向(矢印Xの方向)端末である側端部23Aは、一般部16の境界近傍で開放されている。段付き補強リブ2Aは、パネル本体1の稜線部18から略平行に離間して延設されている。段付き補強リブ2Aは、リブ延在方向(矢印Xの方向)において略直線状に形成されているが、パネル本体1の稜線部18に沿って、大きく湾曲させることは可能である。複数個の段付き補強リブ2Aの間隔は、立設する一般部16の断面曲率に応じて増減する。一般部16の断面曲率が小さくなれば、段付き補強リブ2Aの間隔を狭くする。一般部16の断面曲率が略一定であれば、段付き補強リブ2Aの間隔は、略等間隔とする。
図5に示すように、基端部21Aの根元側212Aの肉厚は、所定の高さ(一点鎖線の位置)まで最小(極薄)に形成され、先端部22Aの下端222Aと接合する上端側211Aの肉厚が、根元側212Aの肉厚より僅かに厚く形成されている。例えば、根元側212Aの肉厚は0.3〜0.4mm程度で、上端側211Aの肉厚は0.4〜0.6mm程度が好ましい。このとき、基端部の高さは、3.0mm程度で、その根元側212の高さは、0.5mm程度である。
図5に示すように、先端部22Aの下端222Aは、基端部21Aに向かって徐々に肉厚が薄くなるようテーパ状に形成されている。テーパ状に形成した下端222Aの水平方向に対する傾斜角は、45度程度が好ましい。先端部22Aは、軽量化を図りながらリブ延在方向の剛性を高めるため、高さを低くしたとき肉厚を厚くし、高さを高くしたとき肉厚を薄くすることが、好ましい。例えば、先端部22Aの高さを5.0mm程度としたとき、肉厚を2.0mm程度とする。また、先端部22Aの高さを3.0mm程度としたとき、肉厚を3.0mm程度とする。
図5に示すように、先端部22Aの上端221Aは、パネル本体1の裏面側12と略平行に形成されている。先端部22Aの上端221Aと、アンダーカット形状を形成した一方の側面と対向する他方の側面と交差するコーナ部223Aには、湾曲面が形成されている。コーナ部223Aに湾曲面を形成することによって、後述する樹脂供給路3から先端部22Aに供給された溶融樹脂を、他方の側面に沿って基端部21Aに向けて流れるように案内することができる。
先端部22Aの下端222Aには、樹脂供給路3を経由して先端部22Aに溶融樹脂が供給される樹脂供給口32が形成されている。
なお、樹脂供給路3は、図4に示すゲートからパネル本体1の金型キャビティ内へ供給された溶融樹脂を、段付き補強リブ2Aの先端部22Aに基端部21Aより先行して、供給する湯路である。樹脂供給路3は、パネル本体1の裏面側12との接合部31から段付き補強リブ2Aの先端部22Aの下端222Aまで基端部21Aに沿って形成され、樹脂供給口32に連通されている。樹脂供給路3は、基端部21Aのアンダーカット側の肉厚を、部分的に厚くしてリブ高さ方向(矢印Zの方向)に形成されている。樹脂供給路3は、リブ延在方向(矢印Xの方向)で所定の間隔をあけて形成され、射出成形後に離型させるとき、段付き補強リブ2Aとともにリブ延在方向と直交する方向(矢印Yの方向)に撓むことができる。
また、ガゼットリブ4は、基端部21Aの根元側212Aとパネル本体1の裏面側12とを連結する三角形状の補強リブである。ガゼットリブ4は、リブ延在方向(矢印Xの方向)で所定の間隔をあけて形成されている。ガゼットリブ4は、基端部21Aの根元側212Aのみを補強することによって、射出成形後の離型時において、パネル本体1の変形、歪を防止している。
<射出成形装置の全体構造>
次に、本実施形態に係る射出成形装置100の全体構造及び動作を説明する。図6に、本実施形態に係る射出成形装置の模式的断面図を示す。
図6に示すように、射出成形装置100には、可動型3、固定型4、補強リブ成形型5(5A)、昇降装置6、及び補強リブ押出し装置7を備えている。
可動型3は、上端311にパネル本体裏面側12の成形面を有するコア型31と、スペーサ部材である型ブロック32と、成形機(図示しない)に取り付ける型台33とを有する。コア型31の上端311には、補強リブ2又は段付き補強リブ2Aが形成される範囲に亘って凹部312が形成されて、その凹部312に補強リブ成形型5(5A)が入子されている。また、コア型31の内部には、型冷却用の流路(冷却回路)34が形成されている。
図6に示すように、補強リブ成形型5(5A)には、補強リブ用キャビ型51(51A)と補強リブ押出し装置7とを有する。補強リブ押出し装置7は、取付板73によって補強リブ用キャビ型51(51A)の下端に締結されている。取付板73から下方には、伸縮部材75が延設されて、後述する昇降装置6の昇降板62に固定されている。また、補強リブ用キャビ型51(51A)の内部には、型冷却用の流路(冷却回路)52(52A)が形成されている。補強リブ用キャビ型51(51A)は、高強度合金鋼からなるコア型及びキャビ型に比較して熱伝導率が高く、被切削性の良い亜鉛合金鋳物(例えば、ZAS(三井金属鉱業株式会社の商品名))である。なお、亜鉛合金の組成は、例えば、Alが約4%、Cuが約3%、Mgが約0.05%、そして残部がZnである。熱伝導率は、通常の合金鋼に比べて、2.5〜4倍程度高くなっている。
図6に示すように、コア型31の下端313と型台33との間には、パネル本体1を昇降する昇降装置6が格納されている。昇降装置6は、上端でパネル本体裏面側12に当接する昇降ピン61と、複数の昇降ピン61の下端が当接する共通の昇降板62を備えている。昇降板62は、可動型3の型台33に当接している。
昇降ピン61は、パネル本体1の内、剛性の高い箇所を昇降するように配置する。また、昇降板62は、型台33を貫通して進退する成形機(図示しない)のシリンダーロッド9によって、所定の昇降ストローク長S2(図10を参照)だけ上下動する。昇降装置6のストローク長S2は、射出成形された車両用樹脂部品10(10A)をコア型31から取り出せる位置まで昇降させるように設定する。
図6に示すように、固定型4は、下端411にパネル本体表面側11の成形面を有するキャビ型41と、スペーサ部材である型ブロック42と、成形機(図示しない)に取り付ける型台43とを有する。また、キャビ型41の内部には、型冷却用の流路(冷却回路)44が形成されている。
コア型31、キャビ型41、及び補強リブ用キャビ型51(51A)にそれぞれ形成された型冷却用の流路(冷却回路)34、44、52(52A)は、互いに独立した冷却回路を構成している。そして、各冷却回路の温度を独立して制御する制御部(図示しない)を有している。
<入子構造>
次に、車両用樹脂部品(第2実施例)の補強リブを成形する入子構造を説明する。図7に、図5に示す補強リブを成形する入子構造の斜視図を示す。
図7に示すように、コア型31には、矩形状の入子構造の補強リブ用キャビ型51Aが挿入されている。補強リブ用キャビ型51Aには、段付き補強リブ2Aに対応する位置に矩形状のリブ溝51a、51b、51cを形成されている。リブ溝51a、51b、51c内には、略L字状断面を有するスライド駒53(53a、53b、53c)が上下動可能に挿入されている。スライド駒53(53a、53b、53c)は、昇降装置6の昇降板62(図6を参照)に図示しない弾性部材を介して連結されている。スライド駒53(53a、53b、53c)は、段付き補強リブ2Aの射出成形時における樹脂収縮を弾性部材を介することによって吸収できる。
ここで、補強リブ用キャビ型51Aに形成したリブ溝51a、51b、51cとスライド駒53a、53b、53cとの隙間が、段付き補強リブ2Aのキャビティを構成する。そのため、上記隙間を調節することによって、段付き補強リブ2Aの肉厚を簡単に変更することができる。特に、基端部21Aの肉厚を薄く設定することが、容易となる。
なお、補強リブ用キャビ型51Aには、リブ溝51a、51b、51cと干渉しない位置に、型冷却用の流路(冷却回路)52Aが、コア型31及びキャビ型41の型冷却用の流路(冷却回路)34、44とは独立して形成されている。
また、図7に示すように、スライド駒53a、53b、53cの上端には、所定の間隔で樹脂供給路のキャビティ53ag、53bg、53cgが形成されている。スライド駒53a、53b、53cの上端には、所定の間隔でガゼットリブのキャビティ53ah、53bh、53chが形成されている。樹脂供給路のキャビティ53ag、53bg、53cg、及びガゼットリブのキャビティ53ah、53bh、53chは、いずれも狭い溝形状であるが、スライド駒53a、53b、53cを補強リブ用キャビ型51Aから取り出して加工できるので、加工性が向上する。
また、ガゼットリブのキャビティは、補強リブ用キャビ型51Aに形成したリブ溝51a、51b、51cの肩に形成することもできる。
<補強リブ押出し装置>
次に、補強リブ2を補強リブ用キャビ型51から押出す補強リブ押出し装置7について説明する。図8に、図6における補強リブ押出し装置の断面図を示す。図9に、図8の補強リブ押出し装置において、補強リブ押出し完了段階の断面図を示す。図10に、図8の補強リブ押出し装置において、パネル本体上昇完了段階の断面図を示す。図11に、補強リブの一般部を押出すリブ押出しピンの部分斜視図を示す。
図8に示すように、補強リブ押出し装置7は、リブ押出しピン71、第1押出し板72、取付板73、連結ロッド74、伸縮部材75、ガイドピン76、及び圧縮ばね77を備えている。
リブ押出しピン71は、補強リブ2の肉厚より大きい径の棒状押出しピンであり、補強リブ用キャビ型51に穿設された通孔513内を摺動する。リブ押出しピン71と通孔513との隙間は、略0.05mm程度であり、成形時のガス抜き通路となっている。
また、図11に示すように、リブ押出しピン71の上端には、補強リブ2の一般部21に当接する第1当接部711と、補強リブ2の側壁に当接する第2当接部712と、パネル本体裏面側12に当接する第3当接部713を有している。リブ押出しピン71は、補強リブ2を直接押出すことによって、離型性を向上させている。なお、第2当接部712は、補強リブ2を押出際、補強リブ2が横方向へ撓むのを防止する働きを有している。
図8に示すように、第1押出し板72は、補強リブ用キャビ型51の下端に形成された凹部512内に収納されている。第1押出し板72には、リブ押出しピン71の下部が係止されている。補強リブ用キャビ型51の凹部512上端と第1押出し板72との間には、所定の隙間が設けられている。補強リブ押出し時には、リブ押出しピン71及び第1押出し板72は上記所定の隙間を移動して、第1押出し板72が補強リブ用キャビ型51の凹部512上端に当接して停止する。第1押出し板72の上端と補強リブ用キャビ型51の凹部512上端には、夫々ばね座722、514が穿設され、その間に戻し用の圧縮ばね77が挿入されている。
図8に示すように、取付板73は、補強リブ用キャビ型51の下端に締結されている。取付板73上端と補強リブ用キャビ型51の凹部512上端との間には、ガイドピン76が立設され、ガイドピン76によって第1押出し板72の移動を案内している。補強リブ押出し前においては、取付板73の上端に第1押出し板72が当接している。
連結ロッド74は、第1押出し板72の下端に配設されている。連結ロッド74の上端には、鍔部741を有している。鍔部741は第1押出し板72の下端に当接している。コア型31には、連結ロッド74が挿通する通孔314が穿設されている。
図8に示すように、伸縮部材75は、第1押出しシリンダーロッド751と第1押出しシリンダーケース752とを備えている。第1押出しシリンダーロッド751は、連結ロッド74に連結されている。第1押出しシリンダーケース752の下端は、昇降装置6の昇降板62に固定されている。
伸縮部材75は、ガススプリングであって、第1押出しシリンダーケース752内には、圧縮ガス(窒素ガス)が内蔵されている。圧縮ガス圧は、圧縮ばね77力及び補強リブ2の型喰い付き力より大きく、第1押出し板72が補強リブ用キャビ型51の凹部512上端に当接して停止してから、第1押出しシリンダーロッド751が第1押出しシリンダーケース752内に収納されるよう設定されている。
図9に示すように、昇降板62の上昇に伴って、補強リブ押出し装置7は、全体的に上昇するが、第1押出し板72が補強リブ用キャビ型51の凹部512上端に当接して、停止する。このときのストローク長S1は、補強リブ2を補強リブ用キャビ型51の溝511から離脱させる程度である。第1押出しシリンダーケース752内には、圧縮ばね77及び補強リブ2の型喰い付き力に対抗できる圧縮ガス(窒素ガス)が内蔵されているので、この段階では、第1押出しシリンダーロッド751は、第1押出しシリンダーケース752内に収納されない。
図10に示すように、昇降板62が更に上昇すると、第1押出し板72が補強リブ用キャビ型51の凹部512上端に当接しているので、第1押出しシリンダーロッド751が第1押出しシリンダーケース752内に収納される。したがって、昇降板62の更なる上昇については、伸縮部材75が短縮して対応する。なお、昇降板62の更なる上昇により、射出成形された車両用樹脂部品10をコア型31から取り出せる位置まで昇降させることができる。このとき、昇降ピン61は、パネル本体1の内、剛性の高い箇所を昇降するように配置されているので、パネル本体1の変形や白化等の不具合が生じるおそれはない。
<筒状体押出し装置>
次に、補強リブ2の交差部22Bに形成された筒状体23を押出す筒状体押出し装置8について説明する。図12に、図3に示す補強リブの筒状体を押出す筒状体押出し装置の断面図を示す。
図12に示すように、筒状体押出し装置8には、環状押出しパイプ81、芯部材82、第2押出し板83、及び第2押出しシリンダ84を備えている。
環状押出しパイプ81は、筒状体23と略同径の先端部を有し、筒状体23の下端を押圧して補強リブ用キャビ型51溝から押出すパイプである。環状押出しパイプ81の下端は、第2押出し板83に締結されている。第2押出し板83の下端には、第2押出しシリンダ84が配置され、第2押出し板83を昇降させる。第2押出しシリンダ84は、可動型3の型台33に固定されている。芯部材82は、筒状体23内周側の中空部を形成する棒状体であり、環状押出しパイプ81及び第2押出し板83の案内部材を兼ねている。芯部材82の下端は、可動型3の型台33に固定されている。芯部材82と環状押出しパイプ81との隙間は、0.05mm程度であり、補強リブ用キャビ型51溝のガス抜き通路となっている。
筒状体押出し装置8は、必要に応じて設けるが、筒状体23に隣接する補強リブ2に押出し荷重が分散されて、パネル本体1や補強リブ2一本当たりに作用する押出し荷重を低減できる。したがって、パネル本体1の断面曲率が小さく、張り剛性の少ない箇所に設けると、パネル本体1の変形、白化等の低減に有効である。
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る射出成形装置100によれば、キャビ型41とコア型31と補強リブ用キャビ型51(51A)とを備え、補強リブ用キャビ型51(51A)はコア型31に入子されているので、補強リブ用キャビ型51(51A)の冷却回路52(52A)をキャビ型41とコア型31の冷却回路44、34と分離独立して設けることが容易である。また、補強リブ用キャビ型51(51A)はコア型31に入子されているので、補強リブ用キャビ型51(51A)とコア型31との間で、型温度の伝達を遮断しやすくなる。また、補強リブ用キャビ型51(51A)の冷却回路52(52A)は、キャビ型41及びコア型31の冷却回路44、34と独立して制御されるので、パネル本体1及び補強リブ2全体の肉厚を薄くした場合でも、補強リブ用キャビ型51(51A)を補強リブ2(2A)の肉厚に最適な冷却温度にすることができ、パネル本体1のヒケ等を生じさせることなく、パネル本体1及び補強リブ2(2A)の凝固時間を短縮させることができる。
また、本実施形態によれば、補強リブ用キャビ型51(51A)の型冷却温度は、キャビ型41及びコア型31の型冷却温度より高いことを特徴とするので、補強リブ用キャビ型51(51A)の冷却温度を補強リブ2(2A)の成形収縮量を抑制するように制御することによって、補強リブ2(2A)の離型性を向上させることができる。すなわち、離型時における、補強リブ側の温度をパネル本体側の温度より高くすることによって、補強リブ2(2A)の成形収縮量をパネル本体1の成形収縮量に比較して相対的に低減させることができる。補強リブ2(2A)とパネル本体1との成形収縮量に差を設けることによって、補強リブ2(2A)の型喰い付きを低減して、離型性を向上させることができる。なお、補強リブ用キャビ型51(51A)の冷却温度を50℃程度とし、キャビ型41及びコア型31の冷却温度を20℃程度とするのが好ましい。
また、本実施形態によれば、補強リブ用キャビ型51(51A)は、キャビ型41及びコア型31より熱伝導率が高い亜鉛合金鋳物を溝加工して形成したことを特徴とするので、補強リブ用キャビ型51(51A)の型温度が、キャビ型41及びコア型31の型温度に影響されることなく、全体的に略均一になり、意匠面のヒケを防止しつつ、薄肉化した車両用樹脂部品10(10A)の離型性をより一層向上させることができる。
また、補強リブ用キャビ型51(51A)は亜鉛合金鋳物であるため、一般にキャビ型41及びコア型31に使用される高強度合金鋼より被切削性が大幅に向上する。例えば、幅が0.5mm程度で、深さが5.0〜6.0mm程度の補強リブ用溝加工をエンドミルを用いて行うことができる。したがって、補強リブ2(2A)の超薄肉化を実現する補強リブ用キャビ型51(51A)を簡単に製作することができる。
また、本実施形態によれば、パネル本体1を昇降する昇降装置6と、補強リブ2を押出す補強リブ押出し装置7とを備え、補強リブ押出し装置7の押出しストローク長を昇降装置6の昇降ストローク長以下としたことを特徴とするので、補強リブ押出し装置7は、補強リブ2を補強リブ用キャビ型51溝の外に押出すストローク長で足りる。それ以上のストローク長は、パネル本体1を昇降する昇降装置6が、その役割を担うよう、成形後の取出しストローク長を夫々分担させることができる。したがって、薄肉化した補強リブ2を押出すリブ押出しピン71の径が細くても、ストローク長が短いので、リブ押出しピン71が折損する等の不具合を生じにくい。
また、補強リブ押出し装置7は、直接に補強リブ2を押出すことによって離型させるので、補強リブ2の型喰い付きを効果的に解除することができ、また、パネル本体1の変形や白化等の不具合を生じるおそれが少ない。
また、本実施形態によれば、補強リブ2の交差部22Bには筒状体23が形成され、該筒状体23を押出す筒状体押出し装置8を備えることを特徴とするので、交差部22Bに隣接する補強リブ2に押出し荷重が分散されて、パネル本体1や補強リブ2一本当たりに作用する押出し荷重を低減できる。その結果、パネル本体1及び補強リブ2全体をより一層薄肉化しても、離型の際に、パネル本体1及び補強リブ2の変形や白化等の不具合が生じるおそれを、より一層低減することができる。
また、本実施形態に係る射出成形装置100に使用する補強リブ押出し装置7によれば、リブ押出しピン71を昇降自在に保持する第1押出し板72は、昇降板62の上昇に伴い第1押出し板72が上端に到達した後、昇降板62の更なる上昇により伸縮部材75が短縮するので、リブ押出しピン71が直接に補強リブ2を押出すことによって離型性を向上させつつ、リブ押出しピン71のストローク長を伸縮部材75が短縮することによって短くできる。リブ押出しピン71のストローク長を短くするので、リブ押出しピン71の折損、曲がり、かじり等の不具合を低減することができる。
また、昇降装置6の昇降板62と第1押出し板72との間に伸縮部材75を設けるだけでよいので、特許文献3の技術のように、複数の測定検出機構や制御装置を必要としない。よって、簡単な構造と方法で、射出成形装置の離型性を向上できる。
また、本補強リブ押出し装置7によれば、リブ押出しピン71の摺動部から補強リブ用キャビティ内のガスを逃がすことを特徴とするので、補強リブ2に欠肉やウェルド等の欠陥が生じることを防止できる。
すなわち、リブ押出しピン71は、補強リブ用キャビ型51に穿設された通孔513を摺動するため、リブ押出しピン外周と通孔との間には、略0.05mm程度のクリアランスが設けられている。そして、この程度のクリアランスであるので、補強リブ用キャビティ内のガスを逃がしつつ、所定の粘度を有する溶融樹脂を漏洩させることがない。
よって、射出成形後に補強リブ2を押出して、パネル本体1を変形させることなく車両用樹脂部品10を射出成形装置100から取り出すことができるとともに、補強リブ用キャビティ内のガスが残留することによる欠肉等の成形欠陥を低減できる。
上述した本実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で変更することができる。
本実施形態では、補強リブ用キャビ型51(51A)は、キャビ型41及びコア型31より熱伝導率が高い亜鉛合金鋳物をエンドミルによって溝加工して形成した。しかし、溝加工方法は、エンドミルによる切削加工に限る必要はない。
例えば、放電加工を用いた溝加工も可能である。亜鉛合金鋳物の場合、放電加工しても加工面が硬化しないので、その後の研磨をスムーズに行うことができる。また、放電加工であれば、補強リブの肉厚や外形形状を自由に加工できる効果も奏する。
本発明は、特に自動車のバンパーやトリム等の内外装部品に用いる車両用樹脂部品を射出成形する射出成形装置及びその射出成形装置に使用する補強リブ押出し装置として利用できる。
1 パネル本体
2 補強リブ
2A 段付き補強リブ
3 可動型
4 固定型
5 補強リブ成形型
5A 補強リブ成形型
6 昇降装置
7 補強リブ押出し装置
8 筒状体押出し装置
10 車両用樹脂部品(バンパー)
10A 車両用樹脂部品(サイドマッドガード)
21 補強リブの一般部
21A 段付き補強リブの基端部
22A 段付き補強リブの先端部
23 筒状体
31 コア型
41 キャビ型
51 補強リブ用キャビ型
51A 補強リブ用キャビ型
52 補強リブ用キャビ型の流路(冷却回路)
52A 補強リブ用キャビ型の流路(冷却回路)
53 スライド駒
71 リブ押出しピン
75 伸縮部材
81 環状押出しパイプ
100 射出成形装置

Claims (6)

  1. パネル本体の裏面側に複数の補強リブが突設される車両用樹脂部品の射出成形装置であって、
    キャビ型とコア型と補強リブ用キャビ型とを備え、前記補強リブ用キャビ型は前記コア型に入子構造で挿入固定されていること、
    前記補強リブ用キャビ型には、前記キャビ型及び前記コア型の冷却回路と独立して制御される冷却回路を有すること
    前記パネル本体を昇降する昇降装置と、前記補強リブを前記補強リブ用キャビ型の溝から離脱させるストローク長を有するリブ押出しピンを備えた補強リブ押出し装置とを備え、
    前記リブ押出しピンは、シリンダーケース内に少なくとも前記補強リブの型喰い付き力に対抗できる圧縮ガスが内蔵されている伸縮部材を介して前記昇降装置の昇降板に連結されていることを特徴とする射出成形装置。
  2. 請求項1に記載された射出成形装置において、
    前記補強リブ用キャビ型の型冷却温度は、前記キャビ型及び前記コア型の型冷却温度より高いことを特徴とする射出成形装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された射出成形装置において、
    前記補強リブ用キャビ型は、前記キャビ型及び前記コア型より熱伝導率が高い亜鉛合金鋳物を溝加工して形成したことを特徴とする射出成形装置。
  4. 請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載された射出成形装置において、
    前記補強リブの交差部には筒状体が形成され、該筒状体を押出す筒状体押出し装置を備えることを特徴とする射出成形装置。
  5. 請求項4に記載された射出成形装置に使用する補強リブ押出し装置であって、
    前記補強リブの一般部に当接するリブ押出しピンと、
    前記リブ押出しピンを昇降自在に保持する押出し板と、
    前記昇降装置の昇降板と前記押出し板との間で伸縮する伸縮部材とを備え、
    前記昇降板の上昇に伴い前記押出し板が上端に到達した後、前記昇降板の更なる上昇により前記伸縮部材が短縮することを特徴とする補強リブ押出し装置。
  6. 請求項に記載された補強リブ押出し装置において、
    前記リブ押出しピンの摺動部から補強リブ用キャビティ内のガスを逃がすことを特徴とする補強リブ押出し装置。
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