JP6036518B2 - 射出成形装置及び補強リブ押出し装置 - Google Patents
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Description
この車両用樹脂部品には、近年の地球環境問題に対応するため、一層の薄肉化と高剛性化が求められている。しかし、車両用樹脂部品の薄肉化を進めると、補強リブの基端部に対応するパネル本体表面側にヒケが生じやすく、また、補強リブが凝固するとき収縮して型溝に密着するため、離型しにくくなる問題があった。
そのため、車両用樹脂部品の意匠面における見映えを確保しつつ、離型性を高める射出成形装置に関する技術が開発されている(例えば、特許文献1−3参照)。
そして、両方の金型を加温することによって、薄板部に較べて板厚の厚い補強リブの固化がおそくなり、補強リブ内の溶融樹脂が薄板部方向に引張られる一方、薄板部表面は温度が高いため濡れ性が高い状態、すなわち、密着状態になり、薄板部の意匠面側にヒケが発生しにくい状態を実現することができる。また、これに加えて、補強リブ形成用の凹部及びその周辺に、溶融樹脂と点接触する程度の微細な凹凸を形成することで、溶融樹脂の型離れを促進させることができる。
この熱可塑性樹脂成形用金型によれば、溶融樹脂がキャビティ部に充填されると、キャビティ型表面は瞬時に昇温し、濡れ性を発現して溶融樹脂は該型表面に強く密着する。一方、コア型表面は離型性断熱層を有するため、溶融樹脂と接触はしているが密着はしていない状態に保たれる。このため、コア側の溶融樹脂は、コア型面から直ちに離型が進行し、型面との間に空気断熱層が形成され、冷却速度の鈍化が起こる。その結果、キャビティ型面での樹脂は密着したまま、コア側の樹脂のみ収縮が進行する状態となり、キャビティ側の成形品表面にはヒケを発生させることなく、成形品の固化を完了させることができる。
すなわち、特許文献1の技術では、溶融樹脂を注入した後、固定型と可動型の両方の温度を加温し、一定温度を保持したまま溶融樹脂を凝固させるので、凝固時間が増加して、射出成形における生産性が著しく低下する。特に、補強リブの肉厚を、薄板部(パネル本体に相当)の肉厚より薄くすると、補強リブの固化が早まるのを防止するため、より高い温度に加温せざるを得なくなり、凝固時間の更なる増加につながり、射出成形における生産性が低下する問題が顕著となる。また、特許文献1の技術では、補強リブ形成用の凹部が含まれる部分及びその周辺に、溶融樹脂と点接触する程度の微細な凹凸を形成(例えば、無電解ニッケルメッキにより形成)するので、型製作費が増加することになり好ましくない。
しかし、特許文献3の技術では、可動型の近傍に可動型の型開きストロークを測定するための測定検出機構が設けられ、この測定検出機構によって可動型の型開きストロークを測定するとともに、この測定値に基づいて型締め用シリンダユニットの作動を制御するようにしている。また、押出し用ロッドの近傍に押出しピンの移動ストロークを測定するための他の測定検出機構が設けられ、この測定検出機構によって測定した測定値に基づいて押出し用シリンダユニットの作動を制御するようにしている。このように、複数の測定検出機構や制御装置が必要となり、射出成形装置の複雑化と高コスト化を招くことになる。
また、特許文献3の技術では、成形収縮によって可動型に貼り付いた成形品を押出しピンで押圧するので、成形品(パネル本体に相当)の肉厚を薄くすると、押圧力による変形や白化のおそれが増大する。
(1)パネル本体の裏面側に複数の補強リブが突設される車両用樹脂部品の射出成形装置であって、
キャビ型とコア型と補強リブ用キャビ型とを備え、前記補強リブ用キャビ型は前記コア型に入子されていること、
前記補強リブ用キャビ型には、前記キャビ型及び前記コア型の冷却回路と独立して制御される冷却回路を有することを特徴とする。
前記補強リブ用キャビ型の型冷却温度は、前記キャビ型及び前記コア型の型冷却温度より高いことを特徴とする。
(3)(1)又は(2)に記載された射出成形装置において、
前記補強リブ用キャビ型は、前記キャビ型及び前記コア型より熱伝導率が高い亜鉛合金鋳物を溝加工して形成したことを特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された射出成形装置において、
前記パネル本体を昇降する昇降装置と、前記補強リブを押出す補強リブ押出し装置とを備え、
前記補強リブ押出し装置の押出しストローク長を前記昇降装置の昇降ストローク長以下としたことを特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された射出成形装置において、
前記補強リブの交差部には筒状体が形成され、該筒状体を押出す筒状体押出し装置を備えることを特徴とする。
前記補強リブの一般部に当接するリブ押出しピンと、
前記リブ押出しピンを昇降自在に保持する押出し板と、
前記昇降装置の昇降板と前記押出し板との間で伸縮する伸縮部材とを備え、
前記昇降板の上昇に伴い前記押出し板が上端に到達した後、前記昇降板の更なる上昇により前記伸縮部材が短縮することを特徴とする。
(7)(6)に記載された補強リブ押出し装置において、
前記リブ押出しピンの摺動部から前記補強リブ用キャビティ内のガスを逃がすことを特徴とする。
(1)パネル本体の裏面側に複数の補強リブが突設される車両用樹脂部品の射出成形装置であって、キャビ型とコア型と補強リブ用キャビ型とを備え、補強リブ用キャビ型はコア型に入子されていること、補強リブ用キャビ型には、キャビ型及びコア型の冷却回路と独立して制御される冷却回路を有することを特徴とするので、簡単な構造及び方法で、意匠面のヒケを防止しつつ、薄肉化した車両用樹脂部品の離型性を向上することができる。
したがって、(1)の射出成形装置によれば、簡単な構造及び方法で、意匠面のヒケを防止しつつ、薄肉化した車両用樹脂部品の離型性を向上することができる。
また、補強リブ用キャビ型は亜鉛合金鋳物であるため、一般にキャビ型及びコア型に使用される高強度合金鋼より被切削性が大幅に向上する。例えば、幅が0.5mm程度で、深さが5.0〜6.0mm程度の補強リブ用溝加工をエンドミルを用いて行うことができる。したがって、補強リブの超薄肉化を実現する補強リブ用キャビ型を簡単に製作することができる。
また、補強リブ押出し装置は、直接に補強リブを押出すことによって離型させるので、補強リブの型喰い付きを効果的に解除することができ、また、パネル本体の変形や白化等の不具合が生じるおそれが少ない。
また、昇降装置の昇降板と押出し板との間に伸縮部材を設けるだけでよいので、特許文献3の技術のように、複数の測定検出機構や制御装置を必要としない。よって、簡単な構造と方法で、射出成形装置の離型性を向上できる。
ここで、伸縮部材は、所定の荷重までは短縮せず、所定の荷重を超過した段階で短縮する部材が好ましい。具体的には、補強リブの型喰い付きを解除可能な所定の荷重に対しては短縮せず、押出し板が上端に到達して所定の荷重を超過したとき短縮する部材が好ましい。例えば、伸縮部材には、所定の圧縮ガス(窒素ガス)を内蔵するガススプリングが適している。
すなわち、リブ押出しピンは、補強リブ用キャビ型に穿設された通孔を摺動するため、押出しピン外周と通孔との間には、略0.05mm程度のクリアランスが設けられている。そして、この程度のクリアランスであるので、補強リブ用キャビティ内のガスを逃がしつつ、所定の粘度を有する溶融樹脂を漏洩させることがない。
よって、射出成形後に補強リブを押出して、パネル本体を変形させることなく車両用樹脂部品を射出成形装置から取り出すことができるとともに、補強リブ用キャビティ内のガスが残留することによる欠肉等の成形欠陥を低減できる。
まず、本発明に係る実施形態である射出成形装置によって成形する車両用樹脂部品(第1実施例)について、バンパー(半完成品)の例でその構造を説明する。図1に、本発明に係る射出成形装置によって成形する車両用樹脂部品(第1実施例)であるバンパー(半完成品)の斜視図を示す。
意匠面の見映えや、部品板厚の薄肉化及び部品全体の高剛性化等を確保するため、射出成形時における樹脂流動性を高めるべく、例えば、複数の樹脂注入部R1〜R6をパネル本体1の上下端13、14やフォグランプ取付穴15等に設けている。そして、樹脂注入部R1〜R6は、射出成形後に除去する。
また、パネル本体1において、特に断面曲率の小さい箇所(例えば、A部)の裏面側12には、以下に説明する補強リブ2が形成されている。
次に、車両用樹脂部品10(第1実施例)におけるパネル本体1の裏面側12に突設されている補強リブ2の構造を説明する。図2に、図1のA部における裏面斜視図を示す。図3に、図2のB部における補強リブの斜視図を示す。
次に、本発明に係る実施形態である射出成形装置によって成形する車両用樹脂部品(第2実施例)について、サイドマッドガード(半完成品)の例でその構造を説明する。図4に、本実施形態に係る射出成形装置によって成形する車両用樹脂部品(第2実施例)の裏面斜視図を示す。図5に、図4のE部における補強リブの斜視図を示す。
図4に示すように、車両用樹脂部品(第2実施例)であるサイドマッドガード10Aは、車両側面に沿って取り付けられ、車両前後方向において略同一断面形状をなしている。車両用樹脂部品10Aは、パネル本体1と、補強リブ(以下、「段付き補強リブ」ともいう)2Aと、樹脂供給路3と、ガゼットリブ4とを備えている。ここで、矢印Xは車両前後方向を示し、矢印Yは車両上下方向を示し、矢印Zは車両幅方向を示す。
パネル本体1は、意匠面を構成する断面曲率の小さい一般部16と断面曲率の大きい湾曲部17と稜線部18、19とを備えた薄肉の板状体である。一般部16の裏面側12には、一方の側面にアンダーカット形状を形成した複数個の段付き補強リブ2Aが立設されている。稜線部18、19には、デザイン上のキャラクターライン(18)と部品端末の見切りライン(19)等が該当する。見切りライン(19)には、金型のキャビティ内へ溶融樹脂を供給するゲートが配設されている。
図4に示すように、車両用樹脂部品(第2実施例)における段付き補強リブ2Aは、パネル本体1の裏面側12に接合する基端部21の肉厚を、先端部22の肉厚より薄く形成されている。段付き補強リブ2Aの断面は、リブ延在方向(矢印Xの方向)において略一定である。段付き補強リブ2Aのリブ延在方向(矢印Xの方向)端末である側端部23Aは、一般部16の境界近傍で開放されている。段付き補強リブ2Aは、パネル本体1の稜線部18から略平行に離間して延設されている。段付き補強リブ2Aは、リブ延在方向(矢印Xの方向)において略直線状に形成されているが、パネル本体1の稜線部18に沿って、大きく湾曲させることは可能である。複数個の段付き補強リブ2Aの間隔は、立設する一般部16の断面曲率に応じて増減する。一般部16の断面曲率が小さくなれば、段付き補強リブ2Aの間隔を狭くする。一般部16の断面曲率が略一定であれば、段付き補強リブ2Aの間隔は、略等間隔とする。
先端部22Aの下端222Aには、樹脂供給路3を経由して先端部22Aに溶融樹脂が供給される樹脂供給口32が形成されている。
また、ガゼットリブ4は、基端部21Aの根元側212Aとパネル本体1の裏面側12とを連結する三角形状の補強リブである。ガゼットリブ4は、リブ延在方向(矢印Xの方向)で所定の間隔をあけて形成されている。ガゼットリブ4は、基端部21Aの根元側212Aのみを補強することによって、射出成形後の離型時において、パネル本体1の変形、歪を防止している。
次に、本実施形態に係る射出成形装置100の全体構造及び動作を説明する。図6に、本実施形態に係る射出成形装置の模式的断面図を示す。
可動型3は、上端311にパネル本体裏面側12の成形面を有するコア型31と、スペーサ部材である型ブロック32と、成形機(図示しない)に取り付ける型台33とを有する。コア型31の上端311には、補強リブ2又は段付き補強リブ2Aが形成される範囲に亘って凹部312が形成されて、その凹部312に補強リブ成形型5(5A)が入子されている。また、コア型31の内部には、型冷却用の流路(冷却回路)34が形成されている。
昇降ピン61は、パネル本体1の内、剛性の高い箇所を昇降するように配置する。また、昇降板62は、型台33を貫通して進退する成形機(図示しない)のシリンダーロッド9によって、所定の昇降ストローク長S2(図10を参照)だけ上下動する。昇降装置6のストローク長S2は、射出成形された車両用樹脂部品10(10A)をコア型31から取り出せる位置まで昇降させるように設定する。
コア型31、キャビ型41、及び補強リブ用キャビ型51(51A)にそれぞれ形成された型冷却用の流路(冷却回路)34、44、52(52A)は、互いに独立した冷却回路を構成している。そして、各冷却回路の温度を独立して制御する制御部(図示しない)を有している。
次に、車両用樹脂部品(第2実施例)の補強リブを成形する入子構造を説明する。図7に、図5に示す補強リブを成形する入子構造の斜視図を示す。
図7に示すように、コア型31には、矩形状の入子構造の補強リブ用キャビ型51Aが挿入されている。補強リブ用キャビ型51Aには、段付き補強リブ2Aに対応する位置に矩形状のリブ溝51a、51b、51cを形成されている。リブ溝51a、51b、51c内には、略L字状断面を有するスライド駒53(53a、53b、53c)が上下動可能に挿入されている。スライド駒53(53a、53b、53c)は、昇降装置6の昇降板62(図6を参照)に図示しない弾性部材を介して連結されている。スライド駒53(53a、53b、53c)は、段付き補強リブ2Aの射出成形時における樹脂収縮を弾性部材を介することによって吸収できる。
なお、補強リブ用キャビ型51Aには、リブ溝51a、51b、51cと干渉しない位置に、型冷却用の流路(冷却回路)52Aが、コア型31及びキャビ型41の型冷却用の流路(冷却回路)34、44とは独立して形成されている。
また、ガゼットリブのキャビティは、補強リブ用キャビ型51Aに形成したリブ溝51a、51b、51cの肩に形成することもできる。
次に、補強リブ2を補強リブ用キャビ型51から押出す補強リブ押出し装置7について説明する。図8に、図6における補強リブ押出し装置の断面図を示す。図9に、図8の補強リブ押出し装置において、補強リブ押出し完了段階の断面図を示す。図10に、図8の補強リブ押出し装置において、パネル本体上昇完了段階の断面図を示す。図11に、補強リブの一般部を押出すリブ押出しピンの部分斜視図を示す。
リブ押出しピン71は、補強リブ2の肉厚より大きい径の棒状押出しピンであり、補強リブ用キャビ型51に穿設された通孔513内を摺動する。リブ押出しピン71と通孔513との隙間は、略0.05mm程度であり、成形時のガス抜き通路となっている。
また、図11に示すように、リブ押出しピン71の上端には、補強リブ2の一般部21に当接する第1当接部711と、補強リブ2の側壁に当接する第2当接部712と、パネル本体裏面側12に当接する第3当接部713を有している。リブ押出しピン71は、補強リブ2を直接押出すことによって、離型性を向上させている。なお、第2当接部712は、補強リブ2を押出す際、補強リブ2が横方向へ撓むのを防止する働きを有している。
連結ロッド74は、第1押出し板72の下端に配設されている。連結ロッド74の上端には、鍔部741を有している。鍔部741は第1押出し板72の下端に当接している。コア型31には、連結ロッド74が挿通する通孔314が穿設されている。
伸縮部材75は、ガススプリングであって、第1押出しシリンダーケース752内には、圧縮ガス(窒素ガス)が内蔵されている。圧縮ガス圧は、圧縮ばね77力及び補強リブ2の型喰い付き力より大きく、第1押出し板72が補強リブ用キャビ型51の凹部512上端に当接して停止してから、第1押出しシリンダーロッド751が第1押出しシリンダーケース752内に収納されるよう設定されている。
次に、補強リブ2の交差部22Bに形成された筒状体23を押出す筒状体押出し装置8について説明する。図12に、図3に示す補強リブの筒状体を押出す筒状体押出し装置の断面図を示す。
図12に示すように、筒状体押出し装置8には、環状押出しパイプ81、芯部材82、第2押出し板83、及び第2押出しシリンダ84を備えている。
環状押出しパイプ81は、筒状体23と略同径の先端部を有し、筒状体23の下端を押圧して補強リブ用キャビ型51溝から押出すパイプである。環状押出しパイプ81の下端は、第2押出し板83に締結されている。第2押出し板83の下端には、第2押出しシリンダ84が配置され、第2押出し板83を昇降させる。第2押出しシリンダ84は、可動型3の型台33に固定されている。芯部材82は、筒状体23内周側の中空部を形成する棒状体であり、環状押出しパイプ81及び第2押出し板83の案内部材を兼ねている。芯部材82の下端は、可動型3の型台33に固定されている。芯部材82と環状押出しパイプ81との隙間は、0.05mm程度であり、補強リブ用キャビ型51溝のガス抜き通路となっている。
筒状体押出し装置8は、必要に応じて設けるが、筒状体23に隣接する補強リブ2に押出し荷重が分散されて、パネル本体1や補強リブ2一本当たりに作用する押出し荷重を低減できる。したがって、パネル本体1の断面曲率が小さく、張り剛性の少ない箇所に設けると、パネル本体1の変形、白化等の低減に有効である。
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る射出成形装置100によれば、キャビ型41とコア型31と補強リブ用キャビ型51(51A)とを備え、補強リブ用キャビ型51(51A)はコア型31に入子されているので、補強リブ用キャビ型51(51A)の冷却回路52(52A)をキャビ型41とコア型31の冷却回路44、34と分離独立して設けることが容易である。また、補強リブ用キャビ型51(51A)はコア型31に入子されているので、補強リブ用キャビ型51(51A)とコア型31との間で、型温度の伝達を遮断しやすくなる。また、補強リブ用キャビ型51(51A)の冷却回路52(52A)は、キャビ型41及びコア型31の冷却回路44、34と独立して制御されるので、パネル本体1及び補強リブ2全体の肉厚を薄くした場合でも、補強リブ用キャビ型51(51A)を補強リブ2(2A)の肉厚に最適な冷却温度にすることができ、パネル本体1のヒケ等を生じさせることなく、パネル本体1及び補強リブ2(2A)の凝固時間を短縮させることができる。
また、補強リブ用キャビ型51(51A)は亜鉛合金鋳物であるため、一般にキャビ型41及びコア型31に使用される高強度合金鋼より被切削性が大幅に向上する。例えば、幅が0.5mm程度で、深さが5.0〜6.0mm程度の補強リブ用溝加工をエンドミルを用いて行うことができる。したがって、補強リブ2(2A)の超薄肉化を実現する補強リブ用キャビ型51(51A)を簡単に製作することができる。
また、補強リブ押出し装置7は、直接に補強リブ2を押出すことによって離型させるので、補強リブ2の型喰い付きを効果的に解除することができ、また、パネル本体1の変形や白化等の不具合を生じるおそれが少ない。
また、昇降装置6の昇降板62と第1押出し板72との間に伸縮部材75を設けるだけでよいので、特許文献3の技術のように、複数の測定検出機構や制御装置を必要としない。よって、簡単な構造と方法で、射出成形装置の離型性を向上できる。
すなわち、リブ押出しピン71は、補強リブ用キャビ型51に穿設された通孔513を摺動するため、リブ押出しピン外周と通孔との間には、略0.05mm程度のクリアランスが設けられている。そして、この程度のクリアランスであるので、補強リブ用キャビティ内のガスを逃がしつつ、所定の粘度を有する溶融樹脂を漏洩させることがない。
よって、射出成形後に補強リブ2を押出して、パネル本体1を変形させることなく車両用樹脂部品10を射出成形装置100から取り出すことができるとともに、補強リブ用キャビティ内のガスが残留することによる欠肉等の成形欠陥を低減できる。
本実施形態では、補強リブ用キャビ型51(51A)は、キャビ型41及びコア型31より熱伝導率が高い亜鉛合金鋳物をエンドミルによって溝加工して形成した。しかし、溝加工方法は、エンドミルによる切削加工に限る必要はない。
例えば、放電加工を用いた溝加工も可能である。亜鉛合金鋳物の場合、放電加工しても加工面が硬化しないので、その後の研磨をスムーズに行うことができる。また、放電加工であれば、補強リブの肉厚や外形形状を自由に加工できる効果も奏する。
2 補強リブ
2A 段付き補強リブ
3 可動型
4 固定型
5 補強リブ成形型
5A 補強リブ成形型
6 昇降装置
7 補強リブ押出し装置
8 筒状体押出し装置
10 車両用樹脂部品(バンパー)
10A 車両用樹脂部品(サイドマッドガード)
21 補強リブの一般部
21A 段付き補強リブの基端部
22A 段付き補強リブの先端部
23 筒状体
31 コア型
41 キャビ型
51 補強リブ用キャビ型
51A 補強リブ用キャビ型
52 補強リブ用キャビ型の流路(冷却回路)
52A 補強リブ用キャビ型の流路(冷却回路)
53 スライド駒
71 リブ押出しピン
75 伸縮部材
81 環状押出しパイプ
100 射出成形装置
Claims (6)
- パネル本体の裏面側に複数の補強リブが突設される車両用樹脂部品の射出成形装置であって、
キャビ型とコア型と補強リブ用キャビ型とを備え、前記補強リブ用キャビ型は前記コア型に入子構造で挿入固定されていること、
前記補強リブ用キャビ型には、前記キャビ型及び前記コア型の冷却回路と独立して制御される冷却回路を有すること、
前記パネル本体を昇降する昇降装置と、前記補強リブを前記補強リブ用キャビ型の溝から離脱させるストローク長を有するリブ押出しピンを備えた補強リブ押出し装置とを備え、
前記リブ押出しピンは、シリンダーケース内に少なくとも前記補強リブの型喰い付き力に対抗できる圧縮ガスが内蔵されている伸縮部材を介して前記昇降装置の昇降板に連結されていることを特徴とする射出成形装置。 - 請求項1に記載された射出成形装置において、
前記補強リブ用キャビ型の型冷却温度は、前記キャビ型及び前記コア型の型冷却温度より高いことを特徴とする射出成形装置。 - 請求項1又は請求項2に記載された射出成形装置において、
前記補強リブ用キャビ型は、前記キャビ型及び前記コア型より熱伝導率が高い亜鉛合金鋳物を溝加工して形成したことを特徴とする射出成形装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された射出成形装置において、
前記補強リブの交差部には筒状体が形成され、該筒状体を押出す筒状体押出し装置を備えることを特徴とする射出成形装置。 - 請求項4に記載された射出成形装置に使用する補強リブ押出し装置であって、
前記補強リブの一般部に当接するリブ押出しピンと、
前記リブ押出しピンを昇降自在に保持する押出し板と、
前記昇降装置の昇降板と前記押出し板との間で伸縮する伸縮部材とを備え、
前記昇降板の上昇に伴い前記押出し板が上端に到達した後、前記昇降板の更なる上昇により前記伸縮部材が短縮することを特徴とする補強リブ押出し装置。 - 請求項5に記載された補強リブ押出し装置において、
前記リブ押出しピンの摺動部から補強リブ用キャビティ内のガスを逃がすことを特徴とする補強リブ押出し装置。
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