JP3889657B2 - ダイマージオール誘導体及びダイマージオール誘導体を含有する組成物 - Google Patents

ダイマージオール誘導体及びダイマージオール誘導体を含有する組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はダイマージオール誘導体及びダイマージオール誘導体を含有する組成物に関し、その目的は、皮膚に対する優れた保湿効果を有するとともに、優れた顔料分散性を有し、しかも安全性の高いダイマージオール誘導体及びダイマージオール誘導体を含有する組成物を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
化粧料の原料として、オリーブ油、ヤシ油、ゴマ油、マカデミアナッツ油、ミンク油などの脂肪酸トリグリセライド型の油脂類、あるいはラノリンなどのロウ類が広く使用されている。
油脂類の主な機能は、皮膚及び毛髪に柔軟性、滑沢性、光沢の付与、皮膚面に疎水性被膜を形成し、有害物の侵入の抑制、皮膚からの水分蒸散の抑制、有効成分の経皮吸収の促進などがある。またロウ類の主な機能は、製品の耐温度安定性の向上、皮膚からの水分蒸散の防止、光沢の付与などである。
特に、ラノリン脂肪酸とラノリンアルコールとのエステルであるラノリンは、優れた抱水性を有し、乳化安定性に優れ、しかも皮膚に対する優れたエモリエント効果を有するために、乳化製品だけでなく、各種メークアップ製品、頭髪用化粧料などに広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、油脂類或いはラノリンなどのロウ類には、以下のような問題が存在した。
油脂類やロウ類を配合した化粧料は、処方が適切でないと経時的に分離を起こし、使用感が悪化した。またラノリンは、その組成が皮脂に近く抱水性もあるために皮膚に対する優れた効果を有しているが、近年、動物愛護の観点から動物性原料を嫌う傾向がある。さらにラノリンは、アルコールと脂肪酸のエステルであるために、安定性が悪く、分解して嫌な臭いが発生することがあった。
【0004】
上記した実情に鑑み、本発明者らは鋭意研究を行った結果、ダイマージオールとエポキシドとを反応させて得られるダイマージオール誘導体が、優れた保湿性を有するとともに、優れた顔料分散性を有し、しかも高い安全性と安定性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、請求項1に係る発明は、式11(化11)で示されるダイマージオール誘導体が必須成分として含有されてなることを特徴とする化粧料組成物に関する。
【化11】
Figure 0003889657
(尚、式中、Rはダイマージオール残基であり、Xは水素原子、次式12(化12)又は次式13(化13)であり、Yは水素原子、次式12(化12)又は次式13(化13)である(但し、X及びYが共に水素原子の場合を除く。)。)
【化12】
Figure 0003889657
(尚、式中、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。Zは次式14(化14)及び/又は次式15(化15)であり、nは0を含む整数である。)
【化13】
Figure 0003889657
(尚、式中、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。Zは次式14(化14)及び/又は次式15(化15)であり、nは0を含む整数である。)
【化14】
Figure 0003889657
(尚、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。)
【化15】
Figure 0003889657
(尚、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。)
【0006】
請求項2に係る発明は、イマージオールとエポキシドとを反応させることにより得られる式16(化16)で示されるダイマージオール誘導体が必須成分として含有されてなることを特徴とする化粧料組成物に関する。
【化16】
Figure 0003889657
(尚、式中、Rはダイマージオール残基であり、Xは水素原子、次式17(化17)又は次式18(化18)であり、Yは水素原子、次式17(化17)又は次式18(化18)である(但し、X及びYが共に水素原子の場合を除く。)。)
【化17】
Figure 0003889657
(尚、式中、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。Zは次式19(化19)及び/又は次式20(化20)であり、nは0を含む整数である。)
【化18】
Figure 0003889657
(尚、式中、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。Zは次式19(化19)及び/又は次式20(化20)であり、nは0を含む整数である。)
【化19】
Figure 0003889657
(尚、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。)
【化20】
Figure 0003889657
(尚、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。)
【0007】
請求項3に係る発明は、ダイマージオールとエポキシドとを、1:0.5〜40(モル比)の割合で反応させることを特徴とする請求項2に記載の化粧料組成物に関する。
【0008】
請求項4に係る発明は、前記エポキシドが、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセン、1,2−エポキシ−9−ヘキサデセンのうちから選択された一種以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載の化粧料組成物に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るダイマージオール誘導体及びダイマージオール誘導体を含有する組成物について説明する。
本発明に係るダイマージオール誘導体は、次式21(化21)で示される。
【化21】
Figure 0003889657
(尚、式中、Rはダイマージオール残基であり、Xは水素原子、次式22(化22)又は次式23(化23)であり、Yは水素原子、次式22(化22)又は次式23(化23)である(但し、X及びYが共に水素原子の場合を除く。)。)
【化22】
Figure 0003889657
(尚、式中、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。Zは次式24(化24)及び/又は次式25(化25)であり、nは0を含む整数である。)
【化23】
Figure 0003889657
(尚、式中、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。Zは次式24(化24)及び/又は次式25(化25)であり、nは0を含む整数である。)
【化24】
Figure 0003889657
(尚、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。)
【化25】
Figure 0003889657
(尚、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。)
【0011】
上記式21(化21)中、X及びYは、水素原子、上記式22(化22)又は上記式23(化23)である(但し、X及びYが共に水素原子である場合を除く。)。
【0012】
上記式21(化21)中、Rは、ダイマージオールから二つの水酸基を取り除いたダイマージオール残基であり、具体的には、次式26(化26)又は次式27(化27)で示される。
【化26】
Figure 0003889657
(尚、式中、R及びRはアルキル基であり、R及びRはアルキレン基であり、R,R,R,Rの炭素数の合計は14〜42である。)
【化27】
Figure 0003889657
(尚、式中、a,b,c,dはそれぞれ整数であり、a+b+c+d=16〜44の範囲内である。)
【0013】
また上記式26(化26)中、R及びRはアルキル基、具体的には直鎖状アルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を例示することができる。R、Rは、互いに同じ種類のアルキル基であっても、また異なる種類のアルキル基であっても構わない。
【0014】
上記式26(化26)中、R及びRはアルキレン基である。例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、エイコシレン基等を例示することができる。R、Rは、互いに同じ種類のアルキレン基であっても、また異なる種類のアルキレン基であっても構わない。
【0015】
上記式26(化26)中、R、R、R、Rの炭素数の合計は14〜42とされる。特に本発明では、合計の炭素数が18〜40、好ましくは30〜40とされる。
【0016】
上記式27(化27)中、a,b,c,dは、それぞれ整数であり、a+b+c+d=16〜44である。本発明においては、a+b+c+d=18〜40が好ましく、a+b+c+d=30〜40であることが特に好ましい。
【0017】
上記式22(化22)、式23(化23)、式24(化24)及び式25(化25)中、Rは水素原子又は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基は、直鎖の脂肪族炭化水素基及び分岐の脂肪族炭化水素基のいずれであっても構わない。例えば、直鎖又は分岐のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基などを例示することができる。
具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ベヘニル基などの直鎖の飽和脂肪族炭化水素基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、イソステアリル基、イソヘプタデシル基、イソトリデシル基などの分岐の飽和脂肪族炭化水素基、エチニル基、ビニル基、プロピニル基、プロペニル基、ゲラニル基、リナリル基、ネリル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、ヘキサデセニル基などの直鎖の不飽和脂肪族炭化水素基、イソプロペニル基、イソプロピリデン基などの分岐の不飽和脂肪族炭化水素基などを例示することができる。
【0018】
本発明では、Rとして、炭素数6〜22の直鎖又は分岐の飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数10〜18の直鎖又は分岐の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。この理由は、炭素数が6未満の直鎖又は分岐炭化水素基の場合、組成物中において他の油脂類との相溶性が不良となるために、また炭素数が22を超える場合、皮膚への親和性が不良となるために、いずれの場合も好ましくないからである。
【0019】
上記式22(化22)及び式23(化23)中、Zは上記式24(化24)及び又は上記式25(化25)であり、nは整数である。
Zは、上記式24(化24)のみから構成されていても、また上記式25(化25)のみから構成されていても、さらには、上記式24(化24)及び上記式25(化25)の両方から構成されていても構わない。上記式24(化24)及び上記式25(化25)の両方から構成される場合、上記式24(化24)及び上記式25(化25)の配列順は特に限定されず、任意の配列を採用することができる。
またnは0を含む整数であり、概ね38以下の整数、好ましくは20以下の整数である。
【0020】
本発明に係るダイマージオール誘導体のうち、最も好ましい誘導体は、次式28(化28)で示されるダイマージオール誘導体である。
【化28】
Figure 0003889657
(尚、式中、Rは水素原子、次式29(化29)又は次式30(化30)であり、Rは水素原子、次式29(化29)又は次式30(化30)である(但し、R及びRが共に水素原子の場合を除く。)。)
【化29】
Figure 0003889657
(尚、式中、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。)
【化30】
Figure 0003889657
(尚、式中、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。)
【0021】
本発明に係るダイマージオール誘導体は、優れた保湿効果を有している。本発明に係るダイマージオール誘導体は、ダイマージオール由来の部分と、炭化水素基由来の部分からなる。ダイマージオール由来の部分は分子の剛構造のため、角質間脂質のように液晶構造をとりやすく、高い抱水性(約200%以上)を有する。また炭化水素基由来の部分は皮脂の脂肪酸に類似する構造であるために、皮膚との高い親和性を有する。このように本発明に係るダイマージオール誘導体は優れた皮膚保湿効果を有し、特に炭化水素基の部分に皮脂に近い炭素鎖長のアルキル基を用いると、さらに優れた皮膚保湿効果を有するダイマージオール誘導体を得ることができる。
また本発明に係るダイマージオール誘導体は、ラノリンのように脂肪酸とラノリンアルコールとがエステル結合により結合しているのではなく、ダイマージオール由来の部分と炭化水素基由来の部分が化学的安定性の高いエーテル結合により結合しているために、加水分解安定性が高く、より安定性の高い物質を得ることができる。
【0022】
次に、本発明に係るダイマージオール誘導体の好適な製造方法の一例を説明する。本発明に係るダイマージオール誘導体は、ダイマージオールとエポキシドとを反応させることにより得ることができる。
ダイマージオールは、ダイマー酸を還元することによって得られるジオールである。ダイマージオールの炭素原子数は特に限定されないが、炭素数20〜48のものが好ましい。特に本発明では、炭素原子数18の脂肪族不飽和カルボン酸の二量体を還元することにより得られる炭素原子数36のダイマージオールが好ましく用いられる。
市販のダイマージオールとしては、ユニケマ・ジャパン社製の商品名PRIPOL 2033、東亜合成社製の商品名ペスポール HP−1000などを例示することができる。
【0023】
尚、脂肪族不飽和カルボン酸を二量化して得られるダイマー酸に水素添加して得られるダイマージオールは、式31(化31)及び式32(化32)で示される化合物を主として含有する。
【化31】
Figure 0003889657
(尚、式中、R及びRはアルキル基であり、R及びRはアルキレン基であり、R、R、R、Rの炭素数の合計は14〜42である。)
【化32】
Figure 0003889657
(尚、式中、a、b、c、dはそれぞれ整数であり、a+b+c+d=16〜44の範囲内である。)
【0024】
またエポキシドは、特に限定されないが、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセン、1,2−エポキシ−9−ヘキサデセン、1,2−エポキシデカン等を使用することができ、またこれらのうちの一種を単独で使用することもでき、二種以上を混合して使用することもできる。特に本発明では、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカンを使用することが好ましい。
【0025】
上記したダイマージオールとエポキシドとを反応させる際に溶媒に溶解して反応せさることもでき、無溶媒で反応させることもできる。使用することができる溶媒は、アルコール及び水を含有しない溶媒であれば特に限定はされない。例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサンなどを例示することができる。特に本発明では、溶媒を使用する場合は、ジメチルスルホキシドを使用することが好ましい。
【0026】
またダイマージオールとエポキシドは、モル比で1:0.5〜40、好ましくは1:1〜20の割合で仕込むことが好ましい。使用するダイマージオールの量とエポキシドの量の比を変化させることで、得られるダイマージオール誘導体の分子量を任意に調整することができる。
【0027】
次に、ダイマージオールとエポキシドを、50〜150℃、好ましくは80〜130℃の温度条件で反応させることにより、本発明に係るダイマージオール誘導体を得ることができる。
尚、前記ダイマージオールとエポキシドとを反応させる際に、触媒を添加することができる。使用することができる触媒は特に限定されないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ピリジン、トリエチルアミン、水酸化リチウムなどを例示することができる。
触媒を使用する場合、その使用量は特に限定されないが、エポキシドに対して、0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%とされる。
【0028】
上記の反応後、溶媒を除去することにより得られる粗製のダイマージオール誘導体は、一般に淡褐色で、未反応物や溶媒が含まれている。そのままの状態で配合原料として用いることができるが、精製処理することが好ましい。精製処理の方法としては、従来から行われている酸処理、アルカリ処理、活性炭処理、活性白土処理、減圧水蒸気脱臭、またはこれらを適宜組み合わせた方法などを例示することができる。特に本発明では、特開昭62−205005号公報に記載されているようなカラムクロマトグラフィーによる精製方法が好ましい。この方法によれば白色、無臭で経時安定性に優れたダイマージオール誘導体を得ることができる。
【0029】
本発明に係るダイマージオール誘導体に、通常の化粧品、医薬品、医薬部外品に用いられる各種成分を適宜任意に配合することで、本発明に係る組成物を得ることができる。
配合される各種成分としては、油脂類、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、ステロール、脂肪酸エステル、界面活性剤、高分子化合物、顔料、色素などを例示することができる。
【0030】
具体的には、油脂として、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ脂、牛脂、ゴマ油、小麦胚芽油、サフラワー油、シアバター、タートル油、ツバキ油、パーシック油、ヒマシ油、ブドウ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、卵黄油、モクロウ、ヤシ油、硬化油などを例示することができる。
【0031】
ロウ類としては、オレンジラフィー油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ、ホホバ油、モンタンロウ、ミツロウ、ラノリンなどを例示することができる。
炭化水素としては、流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワランなどを例示することができる。
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、オキシステアリン酸、リノール酸、ラノリン脂肪酸、合成脂肪酸などを例示することができる。
【0032】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコールなどを例示することができる。
ステロールとしては、コレステロール、ジヒドロコレステロール、フィトステロールなどを例示することができる。
脂肪酸エステルとしては、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、イソオクタン酸セチル、パルミチン酸セチル、トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリイソステアリン酸グルセリン、トリイソオクタン酸グリセリン、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリルなどを例示することができる。
【0033】
保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、乳酸ナトリウム、ソルビトール、ヒアルロン酸ナトリウムなどを例示することができる。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤を例示することができる。
【0034】
高分子化合物としては、アラビアゴム、トラガントゴム、グアガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、アイリスモス、クインスシード、ゼラチン、セラック、ロジン、カゼインなどの天然高分子化合物、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、エステルガム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロースなどの半合成高分子化合物、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミド樹脂、シリコーン油などの合成高分子化合物を例示することができる。
【0035】
顔料としては、酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、マンガンバイオレットなどの有色顔料、酸化チタン、酸化亜鉛などの白色顔料、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの体質顔料を例示することができる。
色素としては、アゾ系色素、ニトロ系色素、ニトロソ系色素、キサンテン系色素、キノリン系色素、アントラキノン系色素、インジゴ系色素、トリフェニルメタン系色素などのタール色素を例示することができる。
この他、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カリウム、硫酸亜鉛などの皮膚収斂剤、香料、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ホルモン類、ビタミン類、アミノ酸、発毛促進剤、美白剤、動植物抽出物、水、エタノール、プロパノールなどを適宜任意に配合することができる。
【0036】
本発明に係る組成物は、液状、固形状、ペースト状などの様々な形態の組成物に調製することができる。具体的には、化粧水、乳液、ローション、クリーム、美容液、オイル、パック、リップクリームなどの基礎化粧品、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、アイブロウライナーなどのメークアップ化粧品、ヘアクリーム、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアワックス、ヘアートニック、ヘアーリキッドなどの頭髪用化粧品を例示することができる。
本発明に係る組成物中のダイマージオール誘導体の含有量は、組成物の形態に応じて適宜任意に調整することができるが、通常の場合、0.001〜100重量%、好ましくは0.01〜70重量%とされる。
尚、本発明に係る組成物は、薬事法にいう化粧料、医薬部外品、医薬品のどれに属していても良く、属していなくても人体の外用に使用される物全てを含む。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1の試料の調製>
炭素数36のダイマージオール(商品名:PRIPOL2033、ユニケマ・ジャパン社製)102.5g(0.18mol)、炭素原子数12及び14の直鎖エポキシアルカン(商品名:AOE−X24、ダイセル化学工業社製)の混合物35.3g(0.18mol)を500mLの四つ口フラスコに仕込み、触媒として水酸化カリウム5.3gを添加し、105℃で3時間反応させた。反応後触媒を中和し、メチルイソブチルケトンで溶解後、水洗を行い、メチルイソブチルケトンを回収した。次いで、水蒸気蒸留して完全にメチルイソブチルケトンを除去することにより、次式33(化33)に示されるダイマージオール誘導体125.2gを得た。
【0038】
<実施例2の試料の調製>
ダイマージオールと炭素原子数12及び14の直鎖エポキシアルカンの仕込み比率を1:2(モル比)にした以外は、実施例1の調製方法と同様の手順で、次式33(化33)に示されるダイマージオール誘導体157.3gを得た。
【0039】
<実施例3の試料の調製>
ダイマージオールと炭素原子数12及び14の直鎖エポキシアルカンの仕込み比率を1:6(モル比)にした以外は、実施例1の調製方法と同様の手順で、次式35(化35)で示されるダイマージオール誘導体285.6gを得た。
【0040】
【化33】
Figure 0003889657
(尚、式中、R8、R9は水素原子又は次式34(化34)である(但し、R8及びR9が共に水素原子である場合を除く。)。)
【化34】
Figure 0003889657
(尚、式中、nは9又は11である。)
【0041】
【化35】
Figure 0003889657
(尚、式中、R8、R9は水素原子又は次式36(化36)である(但し、R8及びR9が共に水素原子である場合を除く。)。)
【0042】
【化36】
Figure 0003889657
(尚、式中、nは9又は11である。Aは次式37及び/又は次式38であり、m=0〜5である。)
【化37】
Figure 0003889657
(尚、式中、nは9又は11である。)
【化38】
Figure 0003889657
(尚、式中、nは9又は11である。)
【0043】
<試験例1:IR測定>
上記調製した実施例1及び3の試料のIR分析を行った。その結果を、それぞれ図1及び図2に示す。図1及び図2に示されるとおり、1118.8cm−1付近にエーテル結合由来の吸収が確認された。
尚、参考のために、図3に実施例の試料の調製に使用したダイマージオールのIRチャートを、図4に実施例の試料の調製に使用したエポキシアルカンのIRチャートを示す。
【0044】
<試験例2:抱水性の測定>
上記調製した実施例1〜3の試料と、ラノリンの抱水性を測定した。測定方法は、室温で乳鉢に上記各試料10gをいれ、少しずつ純水を滴下しながら練り、二層に分離せずに混合できる最大純水添加量を求めた。結果を表1に示す。尚、表1中の数値は、添加した水の量と使用した試料の重量比で示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003889657
【0046】
表1の結果に示されるとおり、本発明に係るダイマージオール誘導体は、抱水性に優れることが知られているラノリンと同等以上の抱水性を有することが分かる。
【0047】
<試験例3:顔料分散性>
上記調製した実施例1〜3の試料と液状ラノリンの顔料分散性を測定した。測定方法は、流動パラフィンで各試料を5重量%に希釈した。これを、乳鉢に入れた10gの酸化チタンに少しずつ滴下しながら練り、酸化チタンが全て濡れた時の試料添加量(湿潤点)と酸化チタンが流れ出す時の試料添加量(流動点)を求め、それぞれ酸化チタン100g当りの数値に換算した。尚、顔料分散性は流動点と湿潤点の差が小さい程良好である。結果を表2に記載する。
【0048】
【表2】
Figure 0003889657
【0049】
表2の結果に示されるように、本発明に係るダイマージオール誘導体は、顔料分散性に優れることが知られている液状ラノリンと比較して、格段に優れた顔料分散性を有することが分かる。
【0050】
<実施例4乃至6及び比較例1乃至3の試料の調製>
表3の処方に従って、実施例4乃至6及び比較例1乃至3の試料(乳液)を調製した。
【0051】
【表3】
Figure 0003889657
【0052】
<試験例4:安定性及び使用感の試験>
上記調製した実施例4乃至6及び比較例1乃至3の各試料を使用して、安定性および使用感の試験を行った。
安定性の評価は、40℃で30日間放置した後の外観を観察することで行った。また使用感の評価は、パネラー10名により以下の評価基準に従って評価を行い、その平均値を各試料の使用感とした。結果を表4に記載する。
【0053】
<評価基準:しっとり感>
5・・・非常にしっとりしている
4・・・しっとりしている
3・・・普通
2・・・しっとりしていない
1・・・まったくしっとりしていない
【0054】
【表4】
Figure 0003889657
【0055】
表4に示されるとおり、実施例4乃至6の試料は30日後も分離することなく非常に安定であった。また、しっとりしていて、使用感もすぐれていた。これらの結果から、本発明に係るダイマージオール誘導体はオリーブ油、やし油を配合したものに比較して、使用感、安定性とも優れていることがわかる。
【0056】
以下、本発明に係る組成物の処方例を示す。尚、配合量は重量%である。
<配合例1;エモリエントクリーム>

グリセリルモノステアレート 3.00
モノイソステアリン酸ポリグリセリル 0.50
ソルビタンモノステアレート 1.20
ミリスチルアルコール 2.00
実施例1の試料 6.00
メドフォーム油 25.05
水素添加大豆リン脂質 0.50
トコフェロール 0.05
プロピルパラベン 0.15

グリセリン 14.00
メチルパラベン 0.25
精製水 32.20

カルボキシビニルポリマー2%分散液 13.00

精製水 2.00
水酸化ナトリウム 0.10
合計 100.00
【0057】
A及びBを秤量後、80℃で均一に溶解する。BにAを加え、アンカーミキサー及びホモミキサー(5000rpm)で攪拌し、乳化を行う。乳化後、低速攪拌に切り替えてCを加えて均一になるまで攪拌を行ない、均一になった後、Dを加えて攪拌する。均一になったらホモミキサーを停止し、アンカーミキサーで攪拌しながら30℃以下まで冷却をすると同時に真空脱泡を行う。
【0058】
<配合例2;リキッドファンデーション>
油層
環状シリコーンオイル 5.00
ポリエーテル変性シリコーンオイル 15.00
ビーズワックス 1.20
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(2EO) 0.50
オクチルジメチルPABA 2.00
実施例1の試料 8.00
プロピルパラベン 0.15
フェノキシエタノール 0.15
カラーパウダー 14.50
水層
プロピレングリコール 8.00
塩化ナトリウム 2.00
精製水 43.00
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.30
エテド酸3ナトリウム 0.10
グリチルリチン酸ジカリウム 0.10
合計 100.00
Figure 0003889657
【0059】
油層を80〜90℃で加温溶解し、油層が完全に溶解したら50℃まで冷却し、油層に同温度の水層を加えてホモディスパーで乳化する。その後、攪拌を行ないながらカラーパウダーを徐々に添加して分散させる。分散したら、30℃以下になるまで冷却しながら攪拌する。冷却後、脱泡を行って充填する。
【0060】
<配合例3;トリートメント>
Figure 0003889657
【0061】
A及びBを秤量後、80〜90℃にて均一に溶解する。AにBを徐々に加えながらホモミキサーで攪拌・乳化(3000〜5000rpm)する。乳化後、冷却水で25℃以下まで冷却する。
【0062】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明に係るダイマージオール誘導体及びダイマージオール誘導体を含有する組成物は、皮膚に対する優れた保湿効果を有するとともに、優れた顔料分散性を有し、しかも高い安全性を有するという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の試料のIRチャートである。
【図2】実施例3の試料のIRチャートである。
【図3】実施例の試料の調製に使用したダイマージオールのIRチャートである。
【図4】実施例の試料の調製に使用したエポキシアルカンのIRチャートである。

Claims (4)

  1. 式1(化1)で示されるダイマージオール誘導体が必須成分として含有されてなることを特徴とする化粧料組成物
    Figure 0003889657
    (尚、式中、Rはダイマージオール残基であり、Xは水素原子、次式2(化2)又は次式3(化3)であり、Yは水素原子、次式2(化2)又は次式3(化3)である(但し、X及びYが共に水素原子の場合を除く。)。)
    Figure 0003889657
    (尚、式中、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。Zは次式4(化4)及び/又は次式5(化5)であり、nは0を含む整数である。)
    Figure 0003889657
    (尚、式中、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。Zは次式4(化4)及び/又は次式5(化5)であり、nは0を含む整数である。)
    Figure 0003889657
    (尚、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。)
    Figure 0003889657
    (尚、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。)
  2. ダイマージオールとエポキシドとを反応させることにより得られる式6(化6)で示されるダイマージオール誘導体が必須成分として含有されてなることを特徴とする化粧料組成物
    Figure 0003889657
    (尚、式中、Rはダイマージオール残基であり、Xは水素原子、次式7(化7)又は次式8(化8)であり、Yは水素原子、次式7(化7)又は次式8(化8)である(但し、X及びYが共に水素原子の場合を除く。)。)
    Figure 0003889657
    (尚、式中、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。Zは次式9(化9)及び/又は次式10(化10)であり、nは0を含む整数である。)
    Figure 0003889657
    (尚、式中、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。Zは次式9(化9)及び/又は次式10(化10)であり、nは0を含む整数である。)
    Figure 0003889657
    (尚、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。)
    Figure 0003889657
    (尚、Rは炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基である。)
  3. ダイマージオールとエポキシドとを、1:0.5〜40(モル比)の割合で反応させることを特徴とする請求項2に記載の化粧料組成物
  4. 前記エポキシドが、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセン、1,2−エポキシ−9−ヘキサデセンのうちから選択された一種以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載の化粧料組成物
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