JP3889356B2 - 化学除染方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば放射性核種に汚染された一次冷却系等の金属部材の表面から放射性核種を化学的に除去する化学除染方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水冷却型原子力発電プラントの化学除染方法において、従来、還元除染剤としてシュウ酸とヒドラジンを用い原子炉の金属製構造部品の酸化皮膜を除去する方法が知られている。ここで、例えば沸騰水型原子力プラントは、通常、炭素鋼、ステンレス鋼等で製作された構造部材を含んでいる。このため、上記のような化学除染を行う際、除染対象部位によっては、炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼、鋭敏化したオーステナイト系ステンレス鋼といったシュウ酸で腐食されやすい金属材料が含まれる場合がある。このような場合、除染中に金属材料表面にシュウ酸鉄が付着し、このときに系統水中の放射能を取り込み除染部位の再汚染が生じる可能性がある。
【0003】
また、除染終了時に上記金属材料表面に付着したシュウ酸鉄が残留するが、供用中プラントの化学除染の場合、これらシュウ酸鉄は次の原子炉の運転時に高温水により熱分解され、炉水の導電率の一時的上昇やpH低下を招き、原子炉の運転制御に悪影響を与える可能性がある。
【0004】
そこで、従来、シュウ酸を含む還元除染剤を分解する還元除染剤分解工程が終了した後、1%程度の過酸化水素を添加することにより上記金属材料表面に付着したシュウ酸鉄を除去する手法が提唱されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000-121791号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、以下の課題が存在する。
【0007】
すなわち、上記従来技術では、金属材料表面に付着したシュウ酸鉄を除去するのみならず、さらに金属材料表面に酸化皮膜を形成することを目的としている。このため、還元除染剤分解工程が完全に終了するのを待って、その後の酸化処理工程で比較的大量かつ高濃度の過酸化水素水を注入しシュウ酸除去及び酸化皮膜形成を行うようになっている。また、この結果、さらに後に酸化除染剤分解工程を設け、上記添加した高濃度の過酸化水素を分解処理する必要が生じる。すなわち、還元除染剤分解工程終了後、酸化処理工程及び酸化除染剤分解工程が新たに加わる。さらにこのとき、シュウ酸鉄除去のための過酸化水素添加によって溶出したものを除去する必要もある。
【0008】
以上のように、上記従来技術では、除染作業全体の工程の長期化を招き、特に、供用中プラントの除染作業の場合にはプラント運転停止期間が長くなるため、稼働率低下をも招くこととなる。
【0009】
本発明の目的は、除染作業全体の工程の長期化を招くことなく、金属材料表面に付着したシュウ酸鉄を除去できる化学除染方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、除染対象部位の金属材料表面に付着したシュウ酸鉄を除去することのみを目的とする場合(酸化被膜の形成までを意図しない場合)には、比較的低濃度の過酸化水素を比較的少量だけ加えれば足りることを知見した。また、シュウ酸濃度がある程度小さくなっていれば、除去したシュウ酸鉄の再付着もほぼ防止できることも知見した。
【0011】
本発明では、これらの知見に基づき、還元除染剤分解工程の完全な終了を待つことなく、還元除染剤分解工程中の例えばシュウ酸濃度がある程度小さくなった末期において還元除染剤分解操作を一時中断し、あるいは中断することなく同時並行して、除染対象部位に必要最小限の低濃度少量の過酸化水素又はオゾンを供給し、還元除染工程で除染対象部位に付着したシュウ酸鉄を除去する。これにより、還元除染剤分解工程終了後に過酸化水素を供給しシュウ酸鉄を除去する従来技術と異なり、当該還元除染剤分解工程が終了する前(還元除染剤分解工程中)にシュウ酸鉄の除去をすばやく終了させることができる。また、このシュウ酸鉄除去の後の還元除染剤分解操作時に、過酸化水素又はオゾン添加による溶出物除去を併せて行うことができる。また、放射性物質除去装置への流路を閉止した状態で過酸化水素又はオゾンを供給することにより、放射性物質除去装置で通常用いられるイオン交換樹脂またはイオン交換膜の過酸化水素又はオゾンによる劣化を防止することができる。
具体的には、第1の発明は、放射性核種に汚染された金属部材表面から前記放射性核種を除去する化学除染方法において、シュウ酸を含む還元除染剤を前記金属部材表面の除染対象部位に供給して除染するとともに、溶出物を陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜で除去し、その後、前記還元除染剤の分解操作を開始し、シュウ酸濃度が所定濃度以下となったら前記還元染剤の分解操作を一時中断し、前記陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜への流路を閉止して、その状態で、前記除染対象部位に過酸化水素又はオゾンを供給して、前記還元除染剤の供給操作で除染対象部位に付着したシュウ酸鉄を除去し、このシュウ酸鉄除去の後に、前記還元除染剤の分解操作を再開するとともに、前記陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜への流路を連通させて、前記シュウ酸鉄除去時における溶出物の除去を併せて行うことを特徴とする。
また、第2の発明は、放射性核種に汚染された金属部材表面から前記放射性核種を除去する化学除染方法において、シュウ酸を含む還元除染剤を前記金属部材表面の除染対象部位に供給して除染するとともに、溶出物を陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜で除去し、その後、前記還元除染剤の分解操作を開始し、シュウ酸濃度が所定濃度以下となったら前記陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜への流路を閉止して、その状態で、前記除染対象部位に過酸化水素又はオゾンを供給して、前記還元除染剤の供給操作で除染対象部位に付着したシュウ酸鉄を除去し、このシュウ酸鉄除去の後に、前記還元除染剤の分解操作とともに、前記陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜への流路を連通させて、前記シュウ酸鉄除去時における溶出物の除去を併せて行うことを特徴とする。
また、第3の発明は、放射性核種に汚染された金属部材表面から前記放射性核種を除去する化学除染方法において、シュウ酸を含む還元除染剤を前記金属部材表面の除染対象部位に供給して除染するとともに、溶出物を放射性物質除去装置で除去し、その後、前記還元除染剤の分解操作を開始し、シュウ酸濃度が所定濃度以下となったら前記還元染剤の分解操作を一時中断し、前記放射性物質除去装置への流路を閉止して、その状態で、前記除染対象部位に過酸化水素又はオゾンを供給して、前記還元除染剤の供給操作で除染対象部位に付着したシュウ酸鉄を除去し、このシュウ酸鉄除去の後に、前記還元除染剤の分解操作を再開するとともに、前記放射性物質除去装置への流路を連通させて、前記シュウ酸鉄除去時における溶出物の除去を併せて行うことを特徴とする。
また、第4の発明は、放射性核種に汚染された金属部材表面から前記放射性核種を除去する化学除染方法において、シュウ酸を含む還元除染剤を前記金属部材表面の除染対象部位に供給して除染するとともに、溶出物を放射性物質除去装置で除去し、その後、前記還元除染剤の分解操作を開始し、シュウ酸濃度が所定濃度以下となったら前記放射性物質除去装置への流路を閉止して、その状態で、前記除染対象部位に過酸化水素又はオゾンを供給して、前記還元除染剤の供給操作で除染対象部位に付着したシュウ酸鉄を除去し、このシュウ酸鉄除去の後に、前記還元除染剤の分解操作とともに、前記放射性物質除去装置への流路を連通させて、前記シュウ酸鉄除去時における溶出物の除去を併せて行うことを特徴とする。
また、第5の発明は、上記第1乃至第4の発明のいずれかにおいて、前記還元除染剤の分解操作中でシュウ酸濃度が100ppm以下となったときに、前記放射性物質除去装置への流路若しくは前記イオン交換樹脂又はイオン交換膜への流路を閉止して、その状態で、前記除染対象部位に過酸化水素又はオゾンを供給して、前記還元除染剤の供給操作で除染対象部位に付着したシュウ酸鉄を除去することを特徴とする。
また、第6の発明は、上記第1乃至第4の発明のいずれかにおいて、前記還元除染剤の分解操作中でシュウ酸濃度が50ppm以下となったときに、前記放射性物質除去装置への流路若しくは前記イオン交換樹脂またはイオン交換膜への流路を閉止して、その状態で、前記除染対象部位に過酸化水素又はオゾンを供給して、前記還元除染剤の供給操作で除染対象部位に付着したシュウ酸鉄を除去することを特徴とする。
また、第7の発明は、上記第1乃至第4の発明のいずれかにおいて、前記金属部材として、炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼、及びオーステナイト系ステンレス鋼のうち少なくとも1つを含む鋼材が含まれることを特徴とする。
【0012】
以上のようにしてシュウ酸鉄の除去を行うことにより、本発明では、従来技術と異なり、還元除染剤分解工程の後に、過酸化水素等添加によるシュウ酸鉄除去工程や余った過酸化水素等の分解工程やさらには溶出物除去工程を別途設ける必要がなくなるので、その分時間短縮を図れ、除染作業全体の工程を短期化することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
本発明の第1の実施形態を図1〜図6により説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の化学除染方法を実施するための化学除染装置300の一例を表す系統図である。
【0016】
図1において、放射性核種に汚染された一次冷却系の機器、配管、これらを含む系統、その他炉内構造物等の金属部材(例えば、炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼、及びオーステナイト系ステンレス鋼のうち少なくとも1つを含む鋼材)の除染対象部位1に閉ループを形成するように配管2が接続され、除染対象部位1と化学除染装置300を隔離するためにバルブ101,114が設置されている。バルブ101の下流側の配管2には、除染対象部位の水質をモニタするための水質モニタ17と、系統水を循環させるための循環ポンプ3とが接続されている。
【0017】
配管2のうち循環ポンプ3の下流側からは、配管2と平行して流れる配管2Aが分岐して設けられ、さらにこの配管2Aはその下流側で配管2Aaと配管2Abとに分岐したのち、最下流側で再び合流している。
【0018】
配管2Aaには、化学除染の最終浄化(詳細は後述)を行うための混床樹脂塔6と、混床樹脂塔6の上流側で混床樹脂塔6を流れる系統水を所定の温度以下に冷却するための系統水中冷却器5と、系統水中冷却器5の上流側及び混床樹脂塔6の下流側でこれらへの流れを制御(例えば流量調整や流路の遮断・閉止)するためのバルブ102a,102bがそれぞれ設けられている。
【0019】
配管2Abには、化学除染中に溶出した放射性イオンや金属イオンを除去する(詳細は後述)ための放射性物質除去装置としての陽イオン交換樹脂塔(又は陽イオン交換膜でもよい)7が設置され、その上流側及び下流側に、この陽イオン交換樹脂塔7への流れを制御(例えば流量調整や流路の遮断・閉止)するためのバルブ103a,103bがそれぞれ設けられている。
【0020】
配管2Aaと配管2Abとが合流した後の配管2A(言い換えれば、イオン交換樹脂塔7と混床樹脂塔6の下流側)には、陽イオン交換樹脂塔7と混床樹脂塔6での放射性イオンや金属イオンの除去状態を確認するために、水質モニタ18が設置される。
【0021】
一方、配管2にも、上記配管2Aの分岐点と合流点との間に、配管2と陽イオン交換樹脂塔7及び混床樹脂塔6とへ流れる系統水の流量(流量バランス)を制御するためのバルブ104が設けられている。
【0022】
配管2のうち、上記配管2Aの合流点よりさらに下流側には、系統水を加熱したり冷却したりするための加熱・冷却器4が接続され、さらにその下流からは、配管2と平行して流れる配管2Bが分岐して設けられている。
【0023】
配管2Bには、還元除染剤を分解する(詳細は後述)ための触媒(Ru,Pt,Rhなどの貴金属触媒あるいは貴金属を活性炭に担持した触媒が望ましい)を備えた触媒塔8と、その下流側で触媒による還元除染剤の分解状態(詳細は後述)を確認するための水質モニタ19と、触媒塔8の上流側及び水質モニタ19の下流側でこれらへの流れを制御(触媒塔8への通水流量調整や流路の遮断・閉止)するためのバルブ108,110がそれぞれ設けられている。なお、配管2Bは、バルブ110の下流側で再び配管2と合流している。
【0024】
なお、配管2Bのうち触媒塔8の上流側からは配管2Cが分岐しており、この配管2Cには、触媒分解に必要な過酸化水素を添加するための過酸化水素水タンク10と、過酸化水素注入ポンプ9と、この配管2Cから配管2Bへ供給される過酸化水素の流れを制御(例えば流量調整や流路の遮断・閉止・隔離)するためのバルブ107が設けられている。
【0025】
一方、配管2にも、上記配管2Bの分岐点と合流点との間に、触媒塔8への通水流量を制御するためのバルブ109が設けられている。
【0026】
配管2のうち、上記配管2Bの合流点よりさらに下流側には、配管2D,2E,2F,2Gがこの順序でそれぞれ分岐して設けられている。
【0027】
配管2Dには、還元除染剤であるシュウ酸を注入する(詳細は後述)ためのシュウ酸溶液タンク11と、シュウ酸注入ポンプ12と、この配管2Dから配管2Aへ供給されるシュウ酸の流れを制御(例えば流量調整や流路の遮断・閉止・隔離)するためのバルブ111が設けられている。
【0028】
配管2Eには、pH調整する(詳細は後述)ためのヒドラジン溶液タンク13と、ヒドラジン注入ポンプ14と、この配管2Eから配管2Aへ供給されるヒドラジンの流れを制御(例えば流量調整や流路の遮断・閉止・隔離)するためのバルブ112が設けられている。
【0029】
配管2Fには、酸化除染剤(詳細は後述)である過マンガン酸カリウムを添加するための過マンガン酸カリウム溶液タンク15と、過マンガン酸カリウム注入ポンプ16と、この配管2Fから配管2Aへ供給される過マンガン酸カリウムの流れを制御(例えば流量調整や流路の遮断・閉止・隔離)するためのバルブ113が設けられている。
【0030】
配管2Gには、シュウ酸鉄除去(詳細は後述)のために過酸化水素を注入するための過酸化水素水タンク20と、過酸化水素注入ポンプ21と、この配管2Gから配管2Aへ供給される過酸化水素の流れを制御(例えば流量調整や流路の遮断・閉止・隔離)するためのバルブ117が設けられている。
【0031】
なお、配管2のうち前述の循環ポンプ3の下流側で前述の配管2Aの分岐点の上流側からは、配管2Hが分岐しており、この配管2Hには系統に流す水の給排水を行うための給排水弁115が設けられている。また、配管2のうち前述の配管2Bの合流点より下流側で配管2Dの分岐点より上流側からは、配管2Jが分岐しており、この配管2Jには、化学除染中に発生したガスなどを配管2から排気するためのベント116が設置されている。
【0032】
図2は、上記化学除染装置300で使用する水質モニタ17,18,19の詳細構成の一例を表す系統図である。
【0033】
図2において、この水質モニタでは、配管2,2A,2Bを流れる水(以下系統水と呼ぶ)が流れる配管205には、まず系統の流量を測定するための流量計201が設けられている。配管205のうち流量計201の下流側からは、配管205と平行して流れる配管205Aが設けられている。
【0034】
配管205Aには、系統水の温度、導電率、pHをそれぞれ測定するための上流側から温度計202、導電率計203、pH計204と、温度計202の上流側及びpH計204の下流側でこれらへの流れを制御(例えば流量調整や流路の遮断・閉止)するためのバルブ221,224がそれぞれ設けられている。バルブ224の下流側で配管205Aは配管205に再び合流している。
【0035】
なお、配管205Aのうち温度計202の上流側からは配管205Bが分岐しており、この配管205Bには、系統水の金属イオン濃度や放射性イオン濃度、添加する除染剤、過酸化水素の濃度を測定するために、系統水をサンプリングするためのサンプリング弁222が設けられている。
【0036】
一方、配管205にも、上記配管205Aの分岐点と合流点との間に、配管205と上記温度計202、導電率計203、pH計204とへ流れる系統水の流量(流量バランス)を制御するためのバルブ223が設けられている。
【0037】
図3は、本実施形態による化学除染方法の全体概略工程を表す図である。
【0038】
図3において、本実施形態の化学除染は、まず最初に、昇温工程を行う。
【0039】
(1)昇温工程
この昇温工程では、給排水弁115を開いて化学除染装置300に水を注入し、バルブ101,104,109,114を開き、残りのバルブを閉じ状態にして循環ポンプ3で系統水を循環させ、加熱・冷却器4により系統水を所定の温度(例えば90±10℃、但し沸点未満)に昇温する。
【0040】
上記(1)昇温工程が終了したら、その後、(2)酸化除染工程、(3)酸化除染剤分解工程、(4)還元除染工程、(5)還元除染剤分解工程、及び(6)浄化工程からなる(2)〜(6)の一連の手順を1回から複数回実施する。
【0041】
すなわち、原子力発電プラントで生成された放射性核種は、一次冷却系の機器、配管、これらを含む系統、その他炉内構造物等の金属部材の表面に存在する酸化皮膜(ヘマタイト(α−Fe)、ニッケルフェライト(NiFe)、マグネタイト(Fe)といった鉄を多く含む酸化物(=鉄系酸化物)や、クロム酸化物(Cr)、鉄クロマイト(FeCr)といったクロムを多く含む酸化物(=クロム系酸化物)などの中に取り込まれている。そして、鉄系酸化物は酸及び還元剤に溶解し易く、またクロム系酸化物は酸化剤に溶解し易い。従って、酸化皮膜中に存在する鉄系酸化物及びクロム系酸化物を除去するために、還元除染剤及び酸化除染剤を交互に使用するものである。
【0042】
(2)酸化除染工程
上記(1)昇温工程によって所定の温度に達したら、バルブ113を開き状態にして過マンガン酸カリウム注入ポンプ16を起動し、過マンガン酸カリウム溶液タンク15内から過マンガン酸カリウムを注入する。その後、水質モニタ17で配管2内の系統水をサンプリングして過マンガン酸カリウム濃度を検出し、所定の濃度(例えば200ppm〜500ppmが望ましい)になったら、過マンガン酸カリウム注入ポンプ16を停止しバルブ113を閉じ状態にする。
【0043】
なお、系統水の量から所定の濃度に必要な過マンガン酸カリウム量を、
Figure 0003889356
によって予め算出して注入制御するようにしてもよい。
【0044】
上記過マンガン酸カリウム所定濃度状態で、酸化除染を例えば4〜8時間程度実施し、これによって除染対象部位1の酸化皮膜中に存在するクロム系酸化物を除去する。
【0045】
(3)酸化除染剤分解工程
上記(2)酸化除染工程が終了したら、バルブ111を開き状態にするとともに、シュウ酸注入ポンプ12を起動してシュウ酸溶液タンク11からシュウ酸を注入する。このとき、過マンガン酸イオンはモル数で5倍のシュウ酸と反応してマンガンイオンと二酸化炭素、水、水素イオンに分解されることから、所定量(例えば反応に必要な量の1.5倍程度)のシュウ酸を注入して酸化除染剤である過マンガン酸イオンを分解する。
【0046】
上記所定の量を注入が終了したら、シュウ酸注入ポンプ12を停止する。実際に分解が完了したことは、水質モニタ17のサンプリング水が過マンガン酸特有の紫色が透明になることにより確認する。
【0047】
(4)還元除染工程
上記(3)酸化除染剤分解工程が終了したら、バルブ103a,103bを開き状態にしバルブ104の開度を調整することによって陽イオン交換樹脂塔7への系統水の通水を開始し、次にバルブ111を開き状態にしシュウ酸注入ポンプ12を起動することにより、シュウ酸溶液タンク11からシュウ酸を注入する。さらにシュウ酸注入とほぼ同時に、バルブ112を開き状態にしつつヒドラジン注入ポンプ14を断続的に起動してヒドラジン溶液タンク13からヒドラジンを注入する。
【0048】
シュウ酸の注入量は水質モニタ17でのサンプリング水のシュウ酸濃度測定結果を監視し、所定の濃度(例えば2000〜3000ppmが望ましい)になったら、シュウ酸注入ポンプ12を停止しバルブ111を閉じ状態にする。なお、系統水量、過マンガン酸イオン分解に消費されるシュウ酸の量を加味して、
Figure 0003889356
によって予め算出して注入制御するようにしてもよい。
【0049】
ヒドラジンは陽イオン交換樹脂塔7で一定量捕獲されるためその分のヒドラジンも注入する必要があるが、注入量としては、水質モニタ18のpH計を監視し、pHが所定の値(例えばpH≒2.5程度が望ましい)になったらヒドラジン注入ポンプ14を停止し、バルブ112を閉じ状態にして注入を終了する。
【0050】
シュウ酸及びヒドラジンの所定濃度状態で、還元除染を例えば4〜15時間程度実施し、これによって除染対象部位1の酸化皮膜中に存在する鉄系酸化物を除去する。
【0051】
(5)還元除染剤分解工程
上記(4)還元除染工程が終了したら、バルブ108,110を開き状態にして触媒塔8に系統水の通水を開始しバルブ109によってその通水流量を調整する。またバルブ107を開き状態にして過酸化水素注入ポンプ9を起動し、過酸化水素水タンク10から過酸化水素を注入する。これにより、還元除染剤であるシュウ酸((COOH))及びヒドラジン(N)は過酸化水素(H)と、
(COOH)+H=2CO+2H
+2H=N+4H
の化学式で反応し、二酸化炭素(CO)と窒素(N)、水(HO)に分解され、溶出したイオンは陽イオン交換樹脂塔7にて捕捉される。
【0052】
このとき、水質モニタ19で配管2B内の系統水をサンプリングしてシュウ酸、ヒドラジンの濃度を測定する。シュウ酸、ヒドラジンの分解率が小さい場合は過酸化水素注入流量を適宜増加させる。
【0053】
それらの濃度が低下して検出限界濃度(例えばシュウ酸、ヒドラジンとも10ppm程度)にまで達したら、過酸化水素注入ポンプ9を停止しバルブ107を閉じ状態にして過酸化水素の注入を停止し、バルブ108,110を閉じ状態にして触媒塔8への通水を停止する。
【0054】
なお、水質モニタ19でサンプリングした系統水のシュウ酸、ヒドラジン濃度の濃度分析結果を元に、必要な過酸化水素注入流量を、
Figure 0003889356
によって算出して注入制御するようにしてもよい。
【0055】
(6)浄化工程
上記(5)還元除染剤分解工程が終了したら、バルブ103a,103bを閉じ状態にするとともにバルブ102a,102bを開き状態にし、放射性物質除去装置としての混床樹脂塔6への系統水の通水を開始する。これにより、上記(4)還元除染工程及び(5)還元除染剤分解工程で陽イオン交換樹脂塔7で除去されなかった化学除染による溶出物や除染剤の残物を混床樹脂塔6で除去する。このとき、一般に、混床樹脂塔6で使用する陰イオン交換樹脂は高温水中で劣化しやすいので、冷却器5を起動して系統水温度が所定の温度(例えば約60℃)以下に冷却しつつ通水する。この浄化工程は、例えば6時間から12時間程度実施する。
【0056】
なお、以上説明した(2)酸化除染工程、(3)酸化除染剤分解工程、(4)還元除染工程、(5)還元除染剤分解工程、及び(6)浄化工程からなる(2)〜(6)の一連の手順のうち、除染対象部位1表面の酸化皮膜に取り込まれるCr濃度が高くない場合は、上記(2)酸化除染工程及び(3)酸化除染剤分解工程を省略してもよい。除染対象部位1の表面の酸化皮膜に取り込まれるCr濃度が水素注入運転等によって高められている場合は上記(2)酸化除染工程及び(3)酸化除染剤分解工程を含む手順で除染を行う。
【0057】
上記した(2)〜(6)の工程(あるいはそれらの繰り返し)が終了したら、次に、(7)酸化除染工程→(8)酸化除染剤分解工程→(9)還元除染工程の順で行うが、これらはそれぞれ、前述した、(2)酸化除染工程→(3)酸化除染剤分解工程→(4)還元除染工程と同様なので、説明を省略する。
【0058】
(10)還元除染剤分解工程A(中断前)
上記(4)還元除染工程が終了したらこの還元除染剤分解工程Aに移るが、基本的な操作は、前述した(5)還元除染剤分解工程と同じである。すなわち、バルブ108,110を開き状態にして触媒塔8に系統水の通水を開始するとともにバルブ107を開き状態にして過酸化水素を注入する。
【0059】
このとき、本実施形態の特徴の一つとして、水質モニタ17でサンプリングした系統水中のシュウ酸の濃度が低下して100ppm(より好ましくは50ppm)に達したら、この還元除染剤分解工程をいったん中断する。すなわち、過酸化水素注入ポンプ9を停止しバルブ107を閉じ状態にして過酸化水素の注入を停止し、バルブ108,110を閉じ状態にして触媒塔8への通水を停止する。その後、(11)シュウ酸鉄除去工程に移る。
【0060】
(11)シュウ酸鉄除去工程
この工程では、バルブ104,109を開状態にすると共にバルブ103a,103bを閉じ状態にして陽イオン交換樹脂塔7への通水を停止(すなわち系統水は陽イオン交換樹脂塔7をバイパスしてバルブ104のみを介して流れる)した後、バルブ117を開き状態にして過酸化水素注入ポンプ21を断続的起動する。これにより、過酸化水素水タンク20から過酸化水素を注入し、除染対象部位1に付着したシュウ酸鉄の分解除去を開始する。
【0061】
すなわち、このときの反応は、
2Fe(C)+H+2H
=(4/3)Fe(OH)+(2/3)HFe(C…(式1)
で表され、付着しているシュウ酸鉄Fe(C)が溶解しやすい形態のシュウ酸鉄(2/3)HFe(Cとなって溶解し除去される。
【0062】
このとき、過酸化水素の注入は、水質モニタ17で配管2内の系統水をサンプリングして過酸化水素濃度測定結果を監視し、系統水の過酸化水素が所定の濃度(例えば1〜50ppm、より好ましくは5〜20ppmに調整する)となるように注入量を調整する。上記所定の濃度に達したら、過酸化水素注入ポンプ21を停止しバルブ117を閉じ状態にして過酸化水素の注入を停止する。
【0063】
なお、系統水の量から所定の濃度に必要な過酸化水素注入量を、
Figure 0003889356
によって予め算出して注入制御するようにしてもよい。
【0064】
上記過酸化水素水の所定濃度状態での通水を所定時間(例えば0.5〜2時間程度が望ましい)実施し、これによって上記(10)還元除染剤分解工程で除染対象部位1に付着したシュウ酸鉄を除去する。
【0065】
上記のように所定時間系統に過酸化水素を通水したら、バルブ108,110を開き状態にして触媒塔8に系統水を通水し、系統水中の過酸化水素が所定の濃度(例えば1ppm未満が好ましい)になるまで過酸化水素を分解する。
【0066】
(12)還元除染剤分解工程B(再開後)
上記(11)シュウ酸鉄除去工程の後半で系統水中の過酸化水素が所定の濃度まで低下したら、上記(10)でいったん中断していた還元除染剤分解工程を再開する(還元除染剤分解工程B)。
【0067】
すなわち、前述した(10)還元除染剤分解工程Aと同様、バルブ107を開き状態にしポンプ9を起動して過酸化水素水タンク10から過酸化水素を注入するとともに、バルブ103a,103bを開き状態にして陽イオン交換樹脂塔7への系統水を通水を開始する。
【0068】
これにより、前述したように、還元除染剤であるシュウ酸((COOH))及びヒドラジン(N)を、さらにひきつづき二酸化炭素(CO)と窒素(N)、水(HO)とに分解し、溶出したイオンを陽イオン交換樹脂塔7にて捕捉する。ここで、本実施形態のもうひとつの特徴として、この陽イオン交換樹脂塔7での溶出イオンの捕捉時において、上記(11)シュウ酸鉄除去工程で過酸化水素を添加しシュウ酸鉄を除去することにより生じた溶出物も、併せて除去することができる。
【0069】
このとき、水質モニタ19で配管2Bの系統水をサンプリングしてシュウ酸、ヒドラジンの濃度を測定し、検出限界濃度(例えばシュウ酸、ヒドラジンとも10ppm以下)にまで達したら過酸化水素注入ポンプ9を停止しバルブ107を閉じ状態にして過酸化水素の注入を停止し、バルブ108,110を閉じ状態にして触媒塔8への通水を停止する。なお、このときの過酸化水素注入量は前述した(5)還元除染剤分解工程と同様にして決めればよい。
【0070】
(13)浄化工程
上記(12)還元除染剤分解工程Bが終了したらこの浄化工程に移るが、基本的な操作は、前述した(6)浄化工程と同じである。水質モニタ17で導電率を測定し所定の導電率(例えば10μS/cm以下が望ましい)に達するまで混床樹脂塔6及び冷却器5への通水を実施する。
【0071】
(14)冷却工程
上記(13)浄化工程終了後、加熱・冷却器4を起動して配管2を流れる系統水を室温まで冷却する。室温まで冷却後、循環ポンプ3を停止し、バルブ114,101を閉じ状態にし、給排水バルブ115を開にして除染設備300の系統水を排水する。
【0072】
なお、この(14)冷却工程における系統水の冷却を上記(13)浄化工程と同時に並行して行ってもよい。この場合、化学除染期間をより短縮できる。
【0073】
この(14)冷却工程が完了すると、最終的に除染作業はすべて終了する。
【0074】
以上のような本実施形態の作用効果を以下に説明する。
【0075】
本実施形態は、上記したように、最後の還元除染剤分解工程(上記(10)還元除染剤分解工程A+(12)還元除染剤分解工程B)の完全な終了を待つことなく、最後の還元除染剤分解工程中の例えばシュウ酸濃度がある程度小さくなった末期(上記(10)還元除染剤分解工程Aの終了時)において還元除染剤分解操作を一時中断し、除染対象部位1に必要最小限の低濃度少量の過酸化水素を供給し、直前の(9)還元除染工程で除染対象部位に付着したシュウ酸鉄を除去することをその要部とするものである。
【0076】
これは、本願発明者等の実験によって得られた、▲1▼除染対象部位の金属材料表面に付着したシュウ酸鉄を除去することのみを目的とする場合(酸化被膜の形成までを意図しない場合)には、比較的低濃度の過酸化水素を比較的少量だけ加えれば足りること;▲2▼シュウ酸濃度がある程度小さくなっていれば、除去したシュウ酸鉄の再付着もほぼ防止できること;の2つの知見に基づくものである。
【0077】
以下、その実験について詳細に説明する。
【0078】
(実験1)シュウ酸環境におけるシュウ酸鉄付着特性
上記(11)シュウ酸鉄除去工程のように、還元除染剤分解工程の途中(すなわち還元除染剤であるシュウ酸が系統水中に存在している環境の中)でこれを中断してシュウ酸鉄の溶解除去を図ろうとした場合、付着性のシュウ酸鉄2Fe(C)を過酸化水素Hで酸化して溶解性のシュウ酸鉄(2/3)HFe(Cとしても、本来還元剤であるシュウ酸が周囲に多ければ、母材のFeの腐食や、溶解性のシュウ酸鉄HFe(Cが再びFeで還元されて付着性のシュウ酸鉄Fe(C)として再付着する可能性がある。
【0079】
そこで本願発明者等は、まずシュウ酸鉄の付着性とシュウ酸濃度との関係を考察する実験を行った。すなわち、例えば特開2000-105295号や特開2001-74887号に示されている還元除染剤を用いて、シュウ酸を含む還元除染剤中に炭素鋼を浸漬させた場合に生じるシュウ酸鉄の付着量と、還元除染剤中のシュウ酸濃度との関係を実験により求めた。
【0080】
実験では、シュウ酸2000ppmの溶液にヒドラジンを添加してpHを2.5に調整した溶液を、シュウ酸濃度が10ppm,20ppm,50ppm,100ppm,200ppm,500ppm,1000ppm,2000ppmとなるように純水で希釈し、これらを試験溶液とした。そして、各試験溶液500mlをそれぞれ500mlのビーカーに入れ、ヒーターで90±5℃となる様に加熱し、その溶液に表面積10cmの炭素鋼3枚を四フッ化エチレン樹脂製の治具を使って3時間浸漬させた。そして、炭素鋼に付着したシュウ酸鉄を希塩酸で溶解させ、その溶液中に含まれるシュウ酸濃度をイオンクロマトグラフィーで測定して、シュウ酸付着量としてシュウ酸鉄付着量を求めた。
【0081】
図4は、この実験結果を表す図であり、横軸に還元除染剤中のシュウ酸濃度[ppm]をとり、縦軸に炭素鋼へのシュウ酸鉄付着量をシュウ酸の量[/g・m- ]をとって表している。
【0082】
図4に示すように、還元除染剤中のシュウ酸濃度が10,20,50ppmでは炭素鋼にシュウ酸鉄ほほとんど付着せず、50ppmを超えると炭素鋼にシュウ酸鉄が付着し始めるが100ppmでは0.8[/g・m- ]程度にとどまっている。しかしながら100ppmを超えると急激に付着量が増大し、200ppm,50ppmでは5[/g・m- ]以上にもなっていることが分かる。
【0083】
以上の結果から、還元除染剤中のシュウ酸の濃度が100ppm以下、より望ましくは50ppm以下の場合においてはシュウ酸鉄の付着がほとんどなく、還元除染剤中のシュウ酸濃度が100ppmを超える場合においてはシュウ酸鉄の著しい付着が生じる(言い換えれば、例えば還元除染剤分解工程の末期等において過酸化水素を添加してシュウ酸鉄を除去すれば再付着の可能性はほとんど生じないが、還元除染剤分解工程中の初期等において過酸化水素を添加してシュウ酸鉄を除去しても、シュウ酸鉄が再び付着する可能性がある)ことがわかる。
【0084】
(実験2)低濃度過酸化水素によるシュウ酸鉄除去特性
上記(実験1)により、比較的低濃度のシュウ酸環境となっていれば、還元除染剤分解工程の途中でも再付着を防止しつつシュウ酸鉄の溶解除去を図れる可能性が示唆された。しかしながら、シュウ酸鉄除去のための過酸化水素Hをあまり大量に(あるいはあまり高濃度に)加えると、余剰となって消費されず、前述した従来技術と同様、還元剤分解工程終了後にこの過酸化水素H自体の分解工程が別途必要となる可能性がある。
【0085】
そこで本願発明者等は、このシュウ酸鉄除去のために必要な過酸化水素量を考察する実験を行った。すなわち、例えば特開2000-105295号や特開2001-74887号に示されている還元除染剤中において過酸化水素を添加したときにおける、過酸化水素濃度と炭素鋼に付着したシュウ酸鉄の除去特性との関係を実験により求めた。
【0086】
実験では、まず、シュウ酸2000ppmの溶液にヒドラジンを添加してpHを2.5に調整した溶液をビーカーに入れヒーターで90±5℃に加熱したものに4時間炭素鋼を浸漬させることにより、炭素鋼にシュウ酸鉄を付着させた。
【0087】
一方、シュウ酸2000ppmの溶液にヒドラジンを添加してpHを2.5に調整した溶液を作製し、さらにこの溶液をシュウ酸濃度が20ppm(上記実験1で再付着がないことを確認できた濃度)となるように純水で希釈した。
【0088】
そして、この希釈溶液100mlを100mlのビーカーに入れて90±5℃に加熱した後、上記シュウ酸鉄を付着させた炭素鋼を治具を使って浸漬させ、さらに各種濃度(case1=10ppm、case2=20ppm、case3=50ppm、case4=100ppm)の過酸化水素を添加し、5-20分間、シュウ酸鉄除去を行った。シュウ酸鉄の量は(実験1)と同じ方法で求めた。
【0089】
図5は、この実験結果を表す図であり、上記case1,2,3,4について、過酸化水素添加前に対する過酸化水素添加後の構造材付着シュウ酸鉄の残留割合を表している。
【0090】
図5に示すように、case1〜4のいずれもが、残留割合0.2±0.15程度の範囲に収まっている。このことから、過酸化水素を少なくともcase1相当の10ppm以上添加すれば、ほぼ十分なシュウ酸鉄除去効果を得られ、それ以上添加量を増大しても、シュウ酸除去の反応は促進されず除去量はほぼ一定となることがわかる。
【0091】
(実験3)過酸化水素添加環境におけるシュウ酸鉄再付着特性
上記(実験1)により100ppm以下の低濃度のシュウ酸環境でシュウ酸鉄の付着を防止できるという特性がわかり、一方上記(実験2)でそのうち20ppmのシュウ酸環境であれば10ppmの過酸化水素を添加すればシュウ酸鉄を除去できるという特性がわかった。
【0092】
そこで本願発明者等は、上記(実験1)と(実験2)の結果を踏まえつつ実際の還元除染剤分解工程の途中でシュウ酸鉄の溶解除去を図った場合を模擬し、上記(実験1)のような比較的低濃度シュウ酸環境においてさらに上記(実験2)の必要最小限の過酸化水素を添加した場合に、再付着防止効果が得られるかどうか(言い換えれば、過酸化水素添加によるシュウ酸鉄除去後にシュウ酸鉄再付着が起こらないかどうか)を考察する実験を行った。
【0093】
実験では、まず、シュウ酸2000ppmの溶液にヒドラジンを添加してPHを2.5に調整した溶液をビーカーに入れヒーターで90±5℃に加熱したものに4時間炭素鋼を浸漬させることにより、炭素鋼にシュウ酸鉄を付着させた。
【0094】
一方、シュウ酸2000ppmの溶液にヒドラジンを添加してpHを2.5に調整した溶液を作製し、さらにこの溶液を各種シュウ酸濃度(case1=10ppm、case2=20ppm、case3=50ppm)となるように純水で希釈した。
【0095】
そして、各希釈溶液100mlを100mlのビーカーに入れて90±5℃に加熱した後、シュウ酸鉄を付着させた炭素鋼を治具を使って浸漬させ、さらに過酸化水素を10ppm添加し、5-20分間、シュウ酸鉄除去を行った。
【0096】
図6は、この実験結果を表す図であり、上記case1,2,3について、過酸化水素添加前に対する過酸化水素添加後の構造材付着シュウ酸鉄の残留割合を表している。
【0097】
図6に示すように、case1〜3のいずれもが、ほぼ残留割合0.2以下の範囲に収まっている。このことから、還元除染剤中のシュウ酸濃度が50ppm以下の場合はシュウ酸鉄の再付着がほとんど起こらないことがわかる。
【0098】
以上の実験例から、還元除染剤に含まれるシュウ酸の濃度が比較的小さく(例えば100ppm以下、より好ましくは50ppm以下)になった時点で比較的低濃度(例えば50ppm以下、より好ましくは20ppm以下)の過酸化水素を添加すれば、シュウ酸鉄の再付着を起こさずシュウ酸鉄を除去できることがわかる。
【0099】
本実施形態においては、前述したように、還元除染剤分解工程Aで系統水中のシュウ酸の濃度が低下して100ppm(より好ましくは50ppm)になったら還元除染剤分解工程をいったん中断し、(11)シュウ酸鉄除去工程に移って1〜50ppm、より好ましくは5〜20ppmの過酸化水素を注入している。これにより、還元除染剤分解工程終了後に過酸化水素を供給しシュウ酸鉄を除去する従来技術と異なり、還元除染剤分解工程の完全な終了を待つことなく(還元除染剤分解工程Bを残したまま)シュウ酸鉄の再付着を起こさずに除染部位1のシュウ酸鉄を除去できる。また、このときバルブ103a,103bを閉じ状態として陽イオン交換樹脂塔7への流路を閉止した状態で過酸化水素を供給することにより、イオン交換樹脂(またはイオン交換膜)の過酸化水素による劣化を防止することができる。さらに、前述したように、(11)シュウ酸鉄除去の後の(12)還元除染剤分解工程において、過酸化水素添加による溶出物除去を併せて行うことができる。
【0100】
以上のようにしてシュウ酸鉄の除去を行うことにより、本実施形態では、従来技術と異なり、還元除染剤分解工程の後に、過酸化水素等添加によるシュウ酸鉄除去工程や余った過酸化水素等の分解工程やさらには過酸化水素添加時の溶出物除去工程を別途設ける必要がなくなるので、その分時間短縮を図れ、除染作業全体の工程を短期化することができる。
【0101】
なお、上記第1の実施形態では、(5)(10)(12)還元除染剤分解工程で使用する過酸化水素水タンク10、過酸化水素注入ポンプ9、バルブ107とは別に、(11)シュウ酸鉄除去工程で使用する過酸化水素水タンク20、過酸化水素注入ポンプ21、バルブ117を設けていたが、これに限られない。すなわち、過酸化水素水タンク20、過酸化水素注入ポンプ21、バルブ117を省略してもよい。この場合、(11)シュウ酸鉄除去工程においても、過酸化水素注入ポンプ9を起動し、過酸化水素水タンク10からバルブ107を介し過酸化水素を注入するようにすればよい。
【0102】
この変形例においては、バルブ117、過酸化水素注入ポンプ21、過酸化水素水タンク20が不要となるので、装置コストを低減できるメリットがある。
【0103】
本発明の第2の実施形態を前述の図3を用いて説明する。
【0104】
本実施形態では、還元除染剤の分解を中断(停止)することなく同時並行して、シュウ酸鉄除去をおこなう実施形態である。
【0105】
本実施形態の除染方法では、図3に示す(10)還元除染剤分解工程A、(11)シュウ酸鉄除去工程、(12)還元除染剤分解工程Bの3つの工程のみが上記第1の実施形態と異なり、他の工程は同様である。したがって、以下、それら異なる3つの工程(′を付して表す)を詳細に説明する。
【0106】
(10′)還元除染剤分解工程A
本実施形態では、前述の(9)還元除染工程の後、上記(10)還元除染剤分解工程の前半と同様の操作を行う。すなわち、バルブ108,110を開き状態にして触媒塔8に系統水の通水を開始するとともにバルブ109により触媒塔8への通水流量を調整する。また、バルブ107を開き状態にして過酸化水素注入ポンプ9を起動し過酸化水素水タンク10から過酸化水素を注入する。このときの過酸化水素注入量は(5)還元除染剤分解工程と同様の方法で行う。
【0107】
このとき、上記第1実施形態では、水質モニタ17でサンプリングした系統水中のシュウ酸の濃度100ppm(より好ましくは50ppm)に達したら過酸化水素注入ポンプ9を停止しバルブ107を閉じ状態にして過酸化水素の注入を停止し、バルブ108,110を閉じ状態にして触媒塔8への通水を停止し、(11)シュウ酸鉄除去工程に移った。本実施形態では、シュウ酸濃度が100ppm(より好ましくは50ppmに達してもこのような操作を行わず、そのまま次の(11’)シュウ酸鉄除去工程に移る。
【0108】
(11′)シュウ酸鉄除去工程
この工程では、バルブ103a,103bを閉じ状態にして陽イオン交換樹脂塔7への通水を停止した後、バルブ117を開き状態にして過酸化水素注入ポンプ21を断続的に起動し、過酸化水素水タンク20から系統水の過酸化水素が所定の濃度(例えば、1〜50ppm、より好ましくは5〜20ppm)になるように過酸化水素を注入し、除染対象部位1に付着したシュウ酸鉄を分解除去する。このとき、注入する過酸化水素の量は水質モニタ17でサンプリングした系統水の過酸化水素濃度が所定の濃度になるように調整する。
【0109】
上記過酸化水素濃度が所定の値になった状態で、所定の時間(例えば0.5〜2時間程度が望ましい)過酸化水素を通水したら、過酸化水素注入ポンプ21を停止してバルブ117を閉じ状態にし過酸化水素水タンク20から系統水の過酸化水素の注入を停止するとともに、水質モニタ17のサンプリング水の過酸化水素濃度が所定の濃度(例えば、好ましくは1ppm未満)になったらバルブ103,103bを開にして陽イオン交換樹脂塔7への系統水の通水を再開する。
【0110】
なおこのとき、引き続き過酸化水素水タンク10から過酸化水素の注入が行われているが、その注入量は、過酸化水素水タンク20から注入される過酸化水素の濃度が過酸化水素タンク10から注入する過酸化水素濃度と比較して小さいことから、前述したように(5)還元除染剤分解工程と同様の方法で行えば足りる。
【0111】
(12′)還元除染剤分解工程B
この(12′)還元除染剤分解工程Bでは、上記(11′)シュウ酸鉄除去工程に引き続き過酸化水素水タンク10から過酸化水素を注入し陽イオン交換樹脂塔7への系統水を通水を行い、これによって前述したように還元除染剤であるシュウ酸及びヒドラジンを分解し、溶出したイオンを陽イオン交換樹脂塔7にて捕捉する。また、上記(12)還元除染剤分解工程Bと同様、上記(11′)シュウ酸鉄除去工程で過酸化水素を添加しシュウ酸鉄を除去することにより生じた溶出物も併せて除去する。
【0112】
このとき、水質モニタ19で配管2Bの系統水をサンプリングしてシュウ酸、ヒドラジンの濃度を測定し、検出限界濃度(例えばシュウ酸、ヒドラジンとも10ppm以下)にまで達したら、過酸化水素注入ポンプ9を停止しバルブ107を閉じ状態にして過酸化水素の注入を停止し、バルブ108,110を閉じ状態にして触媒塔8への通水を停止する。なお、このときの過酸化水素注入量は前述した(5)還元除染剤分解工程と同様にして決めればよい。
【0113】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果を得る。
【0114】
また、上記第1の実施形態のように還元除染剤の分解を中断(停止)することなく、同時並行してシュウ酸鉄除去をおこなう分、バルブ操作等が簡単となる効果もある。
【0115】
なお、以上第1及び第2の実施形態では、陽イオン交換樹脂塔7の劣化を防止する目的で、(11)(11′)シュウ酸鉄除去工程において、バルブ103a,103bを閉じ状態とし後に陽イオン交換樹脂塔7への流路を閉止した状態で過酸化水素を供給したが、これに限られない。すなわち、実際の流れの速度等を考慮すれば、バルブ103a,103bを開き状態としたまま陽イオン交換樹脂塔7への流路を連通させた状態でバルブ117を開いて過酸化水素水タンク20より過酸化水素を供給し、それら供給した過酸化水素が陽イオン交換樹脂塔7へ到達する前に、バルブ103a,103bを閉じ状態とし陽イオン交換樹脂塔7への連通を遮断するようにしてもよい。この場合も同様の効果を得る。
【0116】
また、以上第1及び第2の実施形態では、還元除染剤分解装置として触媒を備えた触媒塔8を用いた例を示したが、紫外線分解装置を用いてもよい。また、放射性物質除去装置(放射能除去装置)として陽イオン交換樹脂7や、混床樹脂塔6を使用した例を示したが、フィルターを使用したり、陽イオン交換膜、陰イオン交換膜を使用してもよい。
【0117】
さらに、上記第1及び第2の実施形態では、過酸化水素を添加して金属部材付着シュウ酸鉄の除去する方法を示したが、過酸化水素の変わりに過酸化水素と同等以上の酸化力を持ち反応後は無害化する酸化除染剤、例えばオゾンでもよい。この場合も同様の効果を得る。
【0118】
【発明の効果】
本発明によれば、還元除染剤分解工程の後に、過酸化水素等添加によるシュウ酸鉄除去工程や余った過酸化水素等の分解工程やさらには溶出物除去工程を別途設ける必要がなくなるので、その分時間短縮を図れ、除染作業全体の工程を短期化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の化学除染装置の系統を表す図である。
【図2】図1に示した水質モニタの詳細を表す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の化学除染方法の全体概略工程を表す図である。
【図4】シュウ酸環境におけるシュウ酸鉄付着特性に関する実験結果を表す図である。
【図5】低濃度過酸化水素によるシュウ酸鉄除去特性に関する実験結果を表す図である。
【図6】過酸化水素添加環境におけるシュウ酸鉄再付着特性に関する実験結果を表す図である。
【符号の説明】
1 除染対象部位
7 陽イオン交換樹脂塔(放射性物質除去装置)
9 過酸化水素注入ポンプ
10 過酸化水素水タンク、
11 シュウ酸溶液タンク
12 シュウ酸注入ポンプ
20 過酸化水素水タンク、
21 過酸化水素注入ポンプ
300 化学除染装置

Claims (7)

  1. 放射性核種に汚染された金属部材表面から前記放射性核種を除去する化学除染方法において、
    シュウ酸を含む還元除染剤を前記金属部材表面の除染対象部位に供給して除染するとともに、溶出物を陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜で除去し、
    その後、前記還元除染剤の分解操作を開始し、
    シュウ酸濃度が所定濃度以下となったら前記還元染剤の分解操作を一時中断し、前記陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜への流路を閉止して、その状態で、前記除染対象部位に過酸化水素又はオゾンを供給して、前記還元除染剤の供給操作で除染対象部位に付着したシュウ酸鉄を除去し、
    このシュウ酸鉄除去の後に、前記還元除染剤の分解操作を再開するとともに、前記陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜への流路を連通させて、前記シュウ酸鉄除去時における溶出物の除去を併せて行うことを特徴とする化学除染方法。
  2. 放射性核種に汚染された金属部材表面から前記放射性核種を除去する化学除染方法において、
    シュウ酸を含む還元除染剤を前記金属部材表面の除染対象部位に供給して除染するとともに、溶出物を陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜で除去し、
    その後、前記還元除染剤の分解操作を開始し、
    シュウ酸濃度が所定濃度以下となったら前記陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜への流路を閉止して、その状態で、前記除染対象部位に過酸化水素又はオゾンを供給して、前記還元除染剤の供給操作で除染対象部位に付着したシュウ酸鉄を除去し、
    このシュウ酸鉄除去の後に、前記還元除染剤の分解操作とともに、前記陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜への流路を連通させて、前記シュウ酸鉄除去時における溶出物の除去を併せて行うことを特徴とする化学除染方法。
  3. 放射性核種に汚染された金属部材表面から前記放射性核種を除去する化学除染方法において、
    シュウ酸を含む還元除染剤を前記金属部材表面の除染対象部位に供給して除染するとともに、溶出物を放射性物質除去装置で除去し、
    その後、前記還元除染剤の分解操作を開始し、
    シュウ酸濃度が所定濃度以下となったら前記還元染剤の分解操作を一時中断し、前記放射性物質除去装置への流路を閉止して、その状態で、前記除染対象部位に過酸化水素又はオゾンを供給して、前記還元除染剤の供給操作で除染対象部位に付着したシュウ酸鉄を除去し、
    このシュウ酸鉄除去の後に、前記還元除染剤の分解操作を再開するとともに、前記放射性物質除去装置への流路を連通させて、前記シュウ酸鉄除去時における溶出物の除去を併せて行うことを特徴とする化学除染方法。
  4. 放射性核種に汚染された金属部材表面から前記放射性核種を除去する化学除染方法において、
    シュウ酸を含む還元除染剤を前記金属部材表面の除染対象部位に供給して除染するとともに、溶出物を放射性物質除去装置で除去し、
    その後、前記還元除染剤の分解操作を開始し、
    シュウ酸濃度が所定濃度以下となったら前記放射性物質除去装置への流路を閉止して、その状態で、前記除染対象部位に過酸化水素又はオゾンを供給して、前記還元除染剤の供給操作で除染対象部位に付着したシュウ酸鉄を除去し、
    このシュウ酸鉄除去の後に、前記還元除染剤の分解操作とともに、前記放射性物質除去装置への流路を連通させて、前記シュウ酸鉄除去時における溶出物の除去を併せて行うことを特徴とする化学除染方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項記載の化学除染方法において、前記還元除染剤の分解操作中でシュウ酸濃度が100ppm以下となったときに、前記放射性物質除去装置への流路若しくは前記イオン交換樹脂又はイオン交換膜への流路を閉止して、その状態で、前記除染対象部位に過酸化水素又はオゾンを供給して、前記還元除染剤の供給操作で除染対象部位に付着したシュウ酸鉄を除去することを特徴とする化学除染方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項記載の化学除染方法において、前記還元除染剤の分解操作中でシュウ酸濃度が50ppm以下となったときに、前記放射性物質除去装置への流路若しくは前記イオン交換樹脂またはイオン交換膜への流路を閉止して、その状態で、前記除染対象部位に過酸化水素又はオゾンを供給して、前記還元除染剤の供給操作で除染対象部位に付着したシュウ酸鉄を除去することを特徴とする化学除染方法。
  7. 請求項1乃至4のいずれか1項記載の化学除染方法において、前記金属部材として、炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼、及びオーステナイト系ステンレス鋼のうち少なくとも1つを含む鋼材が含まれることを特徴とする化学除染方法。
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