JP3889270B2 - 建築物の防蟻構造および防蟻工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の防蟻構造および防蟻工法に関し、詳しくは、建築物の白蟻被害を防止するために、床下空間に施工される防蟻構造と、このような防蟻構造の施工方法とを対象にしている。
【0002】
【従来の技術】
建築物の白蟻対策として、床下空間に防蟻シートを敷設することが行なわれている。
防蟻シートは、白蟻が食い破ることができない樹脂材料からなるものや、白蟻の駆除作用がある薬剤が配合されたもの、白蟻が忌避する薬剤を配合したものなどが使用される。
建築物の床下構造として、床下空間の地盤面に、厚みのあるコンクリート層を打設することがある。このようなコンクリート層は土間コンクリートと呼ばれている。
【0003】
土間コンクリートは、地盤からの浸出水を防止する機能があるほか、床下空間の地盤面からの白蟻侵入を阻止する機能もあるとされている。
床下空間の防蟻効果を高めるために、床下空間の地盤面に防蟻シートを敷設した上に、さらに土間コンクリート層を打設することも提案されている。防蟻シートが土間コンクリート層で押さえつけられるため、防蟻シートがまくれ上がることを防ぎ、防蟻シートと地盤面の間に隙間が生じるのも防げるので、白蟻の侵入阻止が良好に達成できるとされている。
しかし、土間コンクリート層は、打設後の硬化過程における収縮や経時変化によって、布基礎との間に隙間が生じることがある。白蟻は、地盤内から布基礎の表面に沿い、防蟻シートの端部を超え、土間コンクリート層と布基礎との隙間を通って床下空間や布基礎上方の建築部材へと侵入してしまうことがある。
【0004】
特公平7−86251号公報、特開2001−40791号公報、特開2001−49753号公報などには、土間コンクリート層を有する床下構造において、防蟻機能を高める技術が種々提案されている。
例えば、土間コンクリート層と布基礎との境界部分に防蟻剤を充填して、この部分から白蟻が侵入するのを防ぐ技術がある。地盤と布基礎との境界部分に防蟻剤を充填するとともに、この充填された防蟻剤が床下空間側に侵出しないように、土間コンクリート層の上面と布基礎の側面にかけて遮断シートを貼りつける技術も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、土間コンクリート層と防蟻シートとを組み合わせ、さらに、土間コンクリート層の端面と布基礎との間の防蟻機能を高めておいたとしても、白蟻の侵入を確実に阻止できない場合がある。
例えば、土間コンクリート層の端面と布基礎との間に防蟻剤を充填したり防蟻シートを設置していたりしても、土間コンクリート層の変形が大きくなると、どうしても布基礎との間に隙間があいて防蟻効果が低下する。地震等で大きな外力が加わると、土間コンクリート層と布基礎との隙間が拡がったり、土間コンクリート層に地盤面まで到達するような大きな亀裂が生じたりすることがある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、前記した防蟻シートと土間コンクリート層とを組み合わせた防蟻技術をさらに改良して、土間コンクリート層と布基礎などの基礎構造との間における防蟻機能を向上させることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる防蟻構造は、建築物の床下空間における防蟻構造であって、前記床下空間の地盤面を覆う底面防蟻シートと、前記床下空間の基礎構造の側面から地盤面にかけて覆い、地盤面において前記底面防蟻シートと重ねられる端部防蟻シートと、前記端部防蟻シートを前記基礎構造に接合する接合部と、前記端部防蟻シートのうち地盤面を覆う部分と底面防蟻シートとを覆って打設される土間コンクリート層とを備える。前記端部防蟻シートは、その上端部を土間コンクリート層の表面よりも突出させた状態で前記基礎構造に接合しておく。
〔床下空間〕
一般住宅や集合住宅など、各種建築物の床下空間に適用できる。
【0008】
床下空間は、建築物の床や壁などの上部構造と、布基礎などの基礎構造と、地盤面とで囲まれた空間である。
基礎構造は、コンクリートあるいは鉄筋コンクリート、コンクリートブロックなどで構築され、布基礎、束基礎などと呼ばれる構造が含まれる。
床下空間には、各種の配管やダクトなどの設備が設置される場合があり、このような設備類も基礎構造の一部とみなせる。
白蟻は、地盤内から床下空間に侵入しようとする。
〔底面防蟻シート〕
基本的には、通常の床下空間に施工される防蟻シートと同様のものが使用できる。
【0009】
底面防蟻シートの材料には、通常の防蟻剤を配合した樹脂シートが使用できる。防蟻剤が配合されていなくても、白蟻が食い破ることができない樹脂や金属からなるシートが使用できる。白蟻が忌避する物質からなるものや、忌避物質を配合した材料からなるシートが使用できる。防蟻機能に加えて、防湿機能や抗菌機能などを備えた材料も使用できる。上側に打設される土間コンクリート層の重量に耐える機械的強度や耐久性を有するものが好ましい。
樹脂材料の具体例として、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂や、EVA樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂などが挙げられる。防蟻剤として、トリアジン系、クロルニコチル系、ピレスロイド系、有機リン系などの防蟻剤が挙げられる。防蟻剤は、樹脂材料に配合しておいたり、樹脂シートの表面に塗工しておいたりできる。
【0010】
底面防蟻シートは、床下空間の地盤面を覆って敷設される。基本的には、地盤面の全面に隙間なく、敷き詰められる。帯状のシートを、互いに一部が重なるように並べて敷き詰めれば、継目部分の防蟻機能が維持できる。シート材料同士を接着や熱融着で貼り合わせることもできる。地盤面に配管などの設備構造が突出している個所に、貫通孔や切れ目を設けておくことができる。
地盤面のうち端部防蟻シートが配置される個所では、地盤面の最端辺まで底面防蟻シートで覆っておかなくてもよい。地盤面における端部防蟻シートと重なる部分が存在していればよい。
【0011】
〔端部防蟻シート〕
床下空間の基礎構造の側面から地盤面にかけて覆い、地盤面において底面防蟻シートと重ねられる。
端部防蟻シートの材料は、底面防蟻シートの材料と同様の材料が使用できる。底面防蟻シートと全く同一の材料であってもよいし、材質や厚みの違うものでもよい。底面防蟻シートと同様に、防蟻剤が配合された材料であってもよいし、白蟻の通過を遮断できる機能があれば、防蟻剤が配合されていない材料でもよい。
端部防蟻シートは、施工し易い帯状をなすものが好ましい。帯状の端部防蟻シートは、基礎構造の側面に沿って配置することで、自然に垂れて、基礎構造の側面から地盤面の上を必要な幅で覆うことができる。帯状の端部防蟻シートの幅は、床下空間の構造によっても異なるが、通常は、20〜100cmに設定される。
【0012】
端部防蟻シートを透明または半透明の材料で構成しておくと、基礎構造の側面に形成され、土間コンクリート層のレベル位置決めを果たすスミ付け線が、透明な端部防蟻シートを通して見えることになり、作業が行ない易くなる。
さらに、端部防蟻シートの表面に、土間コンクリート層の前記レベル位置を示す線やマークを印刷しておけば、土間コンクリート層の打設が行ない易くなる。
〔接合部〕
端部防蟻シートを基礎構造に接合する構造である。基本的には、通常の防蟻シートに対する固定手段や接合手段が採用できる。
【0013】
接合部としては、端部防蟻シートと基礎構造との間を白蟻が侵入し難い材料や構造を採用するのが好ましい。
具体的には、基礎構造の材質によっても異なるが、各種の接着剤や粘着剤が使用できる。接着剤には、1液型と2液型のものが知られているが、1液型の接着剤のほうが作業は容易である。水性タイプあるいはエマルジョンタイプの接着剤が使い易い。接着に加えて、釘打ちやねじ釘による接合を併用することもできる。接着テープや粘着テープを用いることもできる。熱接着も採用できる。接合部の材料に、防蟻機能を有する材料を使用したり、防蟻剤が配合された材料を使用したりすることができる。
【0014】
接合部は、端部防蟻シートと基礎構造との対面個所の全面に設けることもできるし、一部だけに設けることもできる。但し、基礎構造の側面を登る白蟻の侵入を効果的に阻止するには、接合部を、基礎構造の側面で水平方向の全長にわたって連続して帯状に設けることが望ましい。
帯状の接合部を、端部防蟻シートの上端辺に沿って設けておけば、端部防蟻シートの接合が確実に行なえるとともに、端部防蟻シートの接合されていない下方部分が自重で垂れて、基礎構造の側面から地盤面の表面を自然に覆うことができる。帯状の接合部の幅を、1〜20cmに設定しておくことができる。
【0015】
接合部は、端部防蟻シートの上端のほかに、端部防蟻シートの幅方向の途中や底面防蟻シートとの重なり部分に設けることもできる。底面防蟻シートと端部防蟻シートとを接合しておけば、両シートの間に隙間があいたり、白蟻が侵入したりすることを阻止するのに有効である。但し、底面防蟻シートと端部防蟻シートとは、土間コンクリート層を打設することで圧接されるので、重なり部分には接合部がなくても構わない。
〔土間コンクリート層〕
基本的には、通常の建築物で床下空間に施工される土間コンクリート層と同様の材料および構造が適用される。
【0016】
土間コンクリート層は、端部防蟻シートのうち地盤面を覆う部分と底面防蟻シートとを覆って打設される。
土間コンクリート層の材料は、モルタルや土砂であり、必要に応じて、鉄筋が配筋されたり、補強材が埋め込まれたしする。
土間コンクリート層の厚みは、施工条件によって適宜に設定できる。土間コンクリート層の上端が、基礎構造の側面で端部防蟻シートの上端あるいは接合部よりも低い位置に配置されてもよいし、土間コンクリート層が端部防蟻シートを完全に埋めてしまってもよい。土間コンクリート層の具体的な厚みとしては、3〜30cmの範囲に設定できる。
【0017】
〔防蟻工法〕
防蟻構造を施工するには、基本的には通常の防蟻工法と同様の技術を組み合わせて作業する。個々の作業条件や使用工具、材料などについては、通常の防蟻工法と同様でよい。
<接着剤塗工>
床下空間の基礎構造の側面に水平方向に沿って、接合部となる防蟻剤配合接着剤を塗工する。
接着剤の塗工は、ハケやローラ、スプレーなどの通常の塗工手段が採用できる。比較的に粘性のある接着剤の場合、ノズル付き容器から押し出せば、基礎構造の垂直な側面の途中でも連続した帯状に塗工することが容易である。
【0018】
<端部防蟻シート敷設>
床下空間の基礎構造の側面から地盤面にかけて端部防蟻シートで覆い、前工程で塗工された接着剤で端部防蟻シートを基礎構造に接合する。
基礎構造の側面が水平方向に延びる平坦面の場合は、帯状の端部防蟻シートを接合部となる接着剤の上に貼りつけていけばよい。基礎構造に突起や凹み、段差などの凹凸がある場合は、凹凸に沿って端部防蟻シートを覆うことが望ましい。端部防蟻シートの一部に切り込みや貫通孔を加工して、凹凸に沿わせ易くすることも有効である。切り込みや貫通孔の周囲では、前記接着剤を用いて、端部防蟻シートと基礎構造との間に隙間があかないように接合しておくことが好ましい。
【0019】
端部防蟻シートは、基礎構造の側面から、その一部が地盤面をも覆うように配置される。端部防蟻シートのうち、地盤面を覆う部分の幅が広いほうが、底面防蟻シートとの重なりを多くとれて防蟻機能を高められる。但し、端部防蟻シートの寸法が大きくなり過ぎると不経済である。通常、端部防蟻シートが地盤面を覆う幅を、10〜90cmの範囲に設定できる。
<底面防蟻シート敷設>
床下空間の地盤面を覆い、端部防蟻シートに重ねて底面防蟻シートを敷設する。
【0020】
底面防蟻シートの施工は、通常の床下空間における防蟻シートの施工と同様に行なえる。
重なり部分においては、端部防蟻シートが上になっても、底面防蟻シートが上になっても構わない。
端部防蟻シートは、その一部が地盤面に配置されているので、端部防蟻シートの施工後に底面防蟻シートを敷設すれば、必然的に、端部防蟻シートの上に底面防蟻シートの一部が重ねられ、作業性がよい。また、土間コンクリートの打設時に、コンクリート液が端部防蟻シートの端辺から底面防蟻シートとの隙間内に浸入したり、コンクリート液の圧力で端部防蟻シートが捲くれ上がったりすることが起き難い。
【0021】
但し、底面防蟻シートのほうを下に重ねることも可能である。例えば、先に施工した端部防蟻シートの端を少し持ち上げて、その下に底面防蟻シートを挟み込むようにすればよい。
底面防蟻シートと端部防蟻シートとの重なり幅を5〜30cmに設定しておけば、白蟻の侵入阻止が十分に達成できる。
底面防蟻シートと端部防蟻シートとを、接着剤や接着テープで接合しておくこともできる。これは、コンクリート液の浸入防止や防蟻シートの捲くれ防止に有効である。
【0022】
帯状の底面防蟻シートを並べて床下空間全体に敷設する場合、隣接するシート同士を一定の幅で重ねておけば、隙間が生じ難く、防蟻効果も良好に維持できる。
底面防蟻シートあるいは端部防蟻シートを施工する前に、地盤面に防蟻剤を散布しておいたり、地盤面と基礎構造との境界に防蟻剤を充填しておいたりすることができる。
<土間コンクリート打設>
端部防蟻シートのうち地盤面を覆う部分と底面防蟻シートとを覆って土間コンクリート層を打設する。
【0023】
基本的には、通常の床下空間における土間コンクリートの施工と同様に行なえる。コンクリート打設作業によって、底面防蟻シートおよび端部防蟻シートがまくれたり移動したりしないようにすることが望ましい。底面防蟻シートおよび端部防蟻シートを、ガムテープや釘打ちその他の固定手段で仮止めしておくこともできる。
底面防蟻シートおよび端部防蟻シートは、打設されたコンクリートの重みで、地盤面や基礎構造に密着して圧接されるように、ある程度の伸縮や変形ができる余裕を持たせて敷設しておくことが望ましい。
【0024】
土間コンクリートは、基礎構造の側面で、端部防蟻シートの上端よりも低い位置まで打設してもよいし、端部防蟻シートを完全に埋め込んでしまっても構わない。
端部防蟻シートの上端辺の一部が、土間コンクリート層の上方に出ていれば、施工状態の確認や施工管理に役立つ。例えば、端部防蟻シートの施工忘れのほか、端部防蟻シートの剥がれや破れ、端部防蟻シートと基礎構造との間へのコンクリートの浸入などを発見することができる。
打設された土間コンクリート層が硬化すれば、床下防蟻工法は完了する。土間コンクリート層と基礎構造の側面または端部防蟻シートとの間に、さらに防蟻機能を有するシートを貼ったり、防蟻剤を塗工したり、充填したりすることもできる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1、2に示す建築物の防蟻構造は、住宅の床下空間に適用した場合である。
〔建築物の構造〕
コンクリートからなり、断面逆T字形をなす布基礎10が、一部を地盤Eに埋め込まれた状態で構築されている。布基礎10は、建築物の外周に沿う外周枠および外周枠の内部を縦横に仕切る位置に格子状に配置される。
布基礎10の上に、土台12を介して外壁14が施工されたり、根太16を介して床面18が施工されたりして、建築物の上部構造が構築される。
【0026】
床面18と地盤Eとの間で、布基礎10に囲まれた空間が床下空間Uである。
床下空間Uで、布基礎10の側面には、高さ方向の途中に水平方向に沿って細幅の接着剤層30が連続的に塗工されている。接着剤層30は、チューブ容器に充填された練り状接着剤を、チューブ容器の先端ノズルから押し出し、布基礎10の表面に押し付けるようにして施工する。具体的には、接着剤層30を、布基礎10の根元から150mmの高さ位置に幅20mmで塗工しておくことができる。
接着剤層30の表面に、帯状の端部防蟻シート20が配置される。端部防蟻シート20は、防蟻剤が配合された樹脂シートが使用される。端部防蟻シート20の片側の側辺が、接着剤層30のほぼ上端に配置される。端部防蟻シート20は、布基礎10の垂直な側面に沿って垂れ下がり、布基礎10と地盤Eとの境界で折れ曲がって、一部は地盤面Eに載った状態になる。端部防蟻シート20の具体例として、幅330mmのEVA樹脂シートが使用できる。
【0027】
図2に示すように、端部防蟻シート20の表面には、長さ方向に伸びるレベル線21が印刷されており、後述するコンクリート打設のレベル決めに利用できる。
地盤面Eには床面防蟻シート40が敷設される。床面防蟻シート40は、床下空間U内で地盤面Eの全面に敷き詰められる。床面防蟻シート40の端部は、端部防蟻シート20の上に載って重ねられている。床面防蟻シート40の具体例として、幅1000mmの汎用の防蟻・防湿シートが使用できる。床面防蟻シート40と端部防蟻シート20との重ね代を150mmに設定できる。
【0028】
床面防蟻シート40の上には土間コンクリート層50が打設されている。土間コンクリート層50は、その重みによって、床面防蟻シート40を地盤面Eに押さえつける。また、床面防蟻シート40と端部防蟻シート20との重なり部分も、土間コンクリート層50によって地盤面Eに押さえつけられる。土間コンクリート層50の側端面は、端部防蟻シート20を介して布基礎10の側面と密着している。端部防蟻シート20の一部は、土間コンクリート層50の上端よりも少し上方に露出している。土間コンクリート層50の上端位置が、端部防蟻シート20のレベル線21に合わせられており、コンクリート液を注入する際の目安として利用されている。
【0029】
上記のような床下空間Uでは、地盤Eから白蟻が侵入しようとすると、まず、地盤面Eを覆う床面防蟻シート40で、侵入を阻止される。土間コンクリート層50の重みで床面防蟻シート40は地盤Eに強く押さえつけられており、床面防蟻シート40と地盤面Eとの隙間を白蟻が移動することも難しい。
白蟻が、床面防蟻シート40と端部防蟻シート20との隙間を通過しようとしても、土間コンクリート層50で押さえつけられた床面防蟻シート40と端部防蟻シート20との隙間を通過することはできない。
地盤面Eと布基礎10との境界から布基礎10の側面も、端部防蟻シート20が配置されていて、土間コンクリート層50で固定されているので、白蟻の侵入は阻止される。たとえ、白蟻が、端部防蟻シート20と布基礎10との隙間を垂直方向に登っていったとしても、接着剤層30が、端部防蟻シート20と布基礎10との隙間を塞いでいるので、白蟻が接着剤層30を超えて床下空間Uに侵入することはできない。
【0030】
上記したように、白蟻の侵入が、何重もの関門で阻止されることになるので、床下空間Uの防蟻機能は極めて高いものとなる。
土間コンクリート層50は、施工後に時間が経つと収縮することがある。気温の変化などで膨張収縮することもある。布基礎10側から荷重が加わったり、地震等の外力を受けたりもする。その結果、土間コンクリート層50は、変形したり、ひび割れを生じたりする。特に、布基礎10の側面と土間コンクリート層50の側端面との間が広がることがある。
その場合でも、布基礎10の側面に、端部防蟻シート20が接着剤層30で強力に接合されていれば、白蟻の侵入は阻止される。土間コンクリート層50が水平方向に少しぐらいずれても、床面防蟻シート40と端部防蟻シート20とが十分に重なりをもっていれば、地盤E側から床面防蟻シート40および端部防蟻シート20を超えて、白蟻が床下空間U側に侵入することはない。
【0031】
〔束基礎の防蟻構造〕
図3〜図5に示す実施形態は、束基礎の防蟻構造である。
図3に示すように、束基礎60は、鋼板やコンクリートで構築された直方体の台状をなしている。この束基礎60の上に柱材が建てられ、建築物の上部構造が構築される。束基礎60は、前記した布基礎10で囲まれた床下空間Uの内側に配置される。
束基礎60の四方の側面にそれぞれ、端部防蟻シート20が配設される。各面の端部防蟻シート20は、全体が帯状をなすとともに、両端部分に切り込みをいれて重ね片22、24を設けている。
【0032】
図4に示すように、直交して隣接している2側面において、端部防蟻シート20同士の重ね片22、24を相手側の重ね片22,24に重ねることで、端部防蟻シート20同士の境界に隙間があかないようにして、防蟻機能を高めている。
束基礎60の側面上端辺に沿って、前記同様の接着剤層30が形成され、接着剤層60の表面に端部防蟻シート20が貼りつけられる。さらに、図4に示すように、端部防蟻シート20の重ね片22、24の重なり部分にも接着剤層32を配置して接合している。
このようにして、束基礎60の四方の側面は端部防蟻シート20で確実に覆われている。
【0033】
図5に示すように、束基礎60の周囲の地盤面Eに、床面防蟻シート40が敷設される。帯状の床面防蟻シート40を平行に並べ、互いの側辺が少し重なるようにして敷設される。
その後、土間コンクリート層50が打設される。土間コンクリート層50は、束基礎60の周囲を埋めて、端部防蟻シート20の上端近くまで設けられる。
したがって、土間コンクリート層50が、床面防蟻シート40と端部防蟻シート20の重なり部分を押さえつけたり、端部防蟻シート20が束基礎60の側面に押し付けられたりしている点で、前記した図1の防蟻構造と同様の機能が発揮される。
【0034】
〔布基礎の開口部〕
図6に示すように、布基礎10には、通風などを目的にして部分的に切り欠いたような開口部11が設けられることがある。
この場合も、基本的な防蟻構造は前記実施形態と同様でよい。
接着剤層30は、開口部11を横断する個所では、開口部11の下縁に沿って塗工されている。チューブ入り容器などから押し出して施工する接着剤であれば、このような屈曲線状の塗工も容易である。
端部防蟻シート20は、開口部11に対応する個所に凹みを形成している。予め用意されている帯状の端部防蟻シート20を、開口部11に貼りつける際に、カッターナイフなどで凹みを切り欠けばよい。
【0035】
床面防蟻シート40の施工は、前記した実施形態と同様でよい。
図7に示すように、土間コンクリート層50は、開口部11の下端よりも高い位置まで打設される。その結果、開口部11の両側では、土間コンクリート層50よりも高い位置に、端部防蟻シート20および接着剤層30の上端が配置されるが、開口部11の個所では、土間コンクリート層50の下方に端部防蟻シート20および接着剤層30が完全に埋め込まれている。
このように、土間コンクリート層50に端部防蟻シート20および接着剤層30が埋め込まれていても、防蟻機能は良好に発揮できる。
【0036】
【発明の効果】
本発明にかかる建築物の防蟻構造および防蟻工法は、床下空間で、地盤面を覆う底面防蟻シートと、基礎構造の側面から地盤面にかけて覆い接合部で基礎構造に接合される端部防蟻シートとを、地盤面で重ね合わせ、その上に土間コンクリート層を打設していることで、地盤側から床下空間側あるいは基礎構造の上部へと白蟻が侵入してくるのを確実に阻止することができる。
特に、土間コンクリートの重みを利用して、床面防蟻シートと端部防蟻シートとを押さえつけているので、両者の継目における防蟻機能が格段に向上する。
【0037】
しかも、土間コンクリートは、施工後に収縮したり、変形したり、ひび割れが生じたりすることがあるが、そのような場合でも、床面防蟻シートと端部防蟻シートとによる防蟻機能は低下することなく、長期間にわたって良好な防蟻効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を表す床下の防蟻構造を示す断面図
【図2】 斜視断面図
【図3】 束基礎の防蟻構造で土間コンクリート打設前の斜視図
【図4】 端部防蟻シートの重ね合わせ部分を示す一部斜視図
【図5】 完成状態の一部切欠斜視図
【図6】 布基礎開口部の防蟻構造で土間コンクリート打設前の斜視断面図
【図7】 完成状態の斜視断面図
【符号の説明】
10 布基礎
11 開口部
20 端部防蟻シート
30 接着剤層(接合部)
40 床面防蟻シート
50 土間コンクリート層
60 束基礎
E 地盤
U 床下空間
Claims (7)
- 建築物の床下空間における防蟻構造であって、
前記床下空間の地盤面を覆う底面防蟻シートと、
前記床下空間の基礎構造の側面から地盤面にかけて覆い、地盤面において前記底面防蟻シートと重ねられる端部防蟻シートと、
前記端部防蟻シートを前記基礎構造に接合する接合部と、
前記端部防蟻シートのうち地盤面を覆う部分と底面防蟻シートとを覆って打設される土間コンクリート層と
を備え、前記端部防蟻シートは、その上端部が土間コンクリート層の表面よりも突出した状態で前記基礎構造に接合されている、
ことを特徴とする、防蟻構造。 - 前記地盤面で、前記端部防蟻シートが前記底面防蟻シートの下側に重ねられる、請求項1に記載の防蟻構造。
- 前記接合部が、防蟻剤が配合された接着剤の塗工層である、請求項1または2に記載の防蟻構造。
- 前記端部防蟻シートおよび/または底面防蟻シートが、防蟻剤が配合されたシート材料からなる、請求項1から3までのいずれかに記載の防蟻構造。
- 端部防蟻シートが透明または半透明の材料で構成されている、請求項1から4までのいずれかに記載の防蟻構造。
- 端部防蟻シートの表面に、土間コンクリート層のレベル位置を示す線やマークが印刷されている、請求項1から5までのいずれかに記載の防蟻構造。
- 建築物の床下空間における防蟻工法であって、
前記床下空間の基礎構造の側面に水平方向に沿って連続的に、防蟻剤が配合された接着剤を塗工する工程(a)と、
前記床下空間の基礎構造の側面から地盤面にかけて端部防蟻シートで覆い、前記接着剤で端部防蟻シートを基礎構造に接合する工程(b)と、
前記床下空間の地盤面を覆い、前記端部防蟻シートに重ねて底面防蟻シートを敷設する工程(c)と、
前記端部防蟻シートのうち地盤面を覆う部分と底面防蟻シートとを覆って土間コンクリート層を打設する工程(d)と
を含む防蟻工法。
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