JP3888963B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排尿の処理に伴う労力的、精神的、経済的な負担を軽減することのできる吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、おむつ交換に伴う労力的、経済的な負担を軽減すべく、補助吸収具(尿取りパッド)を使い捨ておむつの内表面上に載置し、該使い捨ておむつと併用することが広く行われている(特許文献1参照)。
しかし、従来の補助吸収具は、使い捨ておむつの内表面側に配置されて使用されるため、その交換の際には、使い捨ておむつを一旦外して、補助吸収具を取り出すといった煩雑な作業が必要であるため、交換に伴う労力的、精神的な負担は未だ大きいと言える。
【0003】
従って、本発明の目的は、排尿の処理に伴う労力的、精神的、経済的な負担を軽減することのできる吸収性物品を提供することにある(以下、この目的を第1の目的ともいう)。
本発明の他の目的(第2の目的)は、使い捨ておむつとパンツ型の吸収補助具とからなり、使い捨ておむつの内側に前記吸収補助具を併用することによって、その使い捨ておむつの吸収性能を向上させ、優れた漏れ防止性能を得ることができる、吸収性物品を提供することにある(以下、この目的を第2の目的ともいう)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−332899号公報
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パンツ型に形成された補助具と、該補助具の外表面側に止着される外装吸収部とからなる吸収性物品であって、前記補助具は、液透過性の領域を有しており、前記外装吸収部は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備しており、前記補助具及び前記外装吸収部の何れか一方又は両方に、該外装吸収部止着用の止着手段が設けられており、前記補助具の前記液透過性の領域に、吸収体が配されており、該吸収体には、液保持性の材料が配されていない通液部が部分的に形成されており、前記補助具の前記吸収体は、パルプ繊維及び/又は高吸水性ポリマーを主体として構成された吸収性コアと、該吸収性コアの上下面を被覆するシート材とからなり、該吸収性コアには複数の貫通孔が形成されており、前記シート材は、液透過性で且つ液保持性を有しない材料からなるか、又は該各貫通孔の両開口部と重なる部分に開孔が形成されている吸収性物品を提供することにより、上記第1の目的を達成したものである(以下、第1発明というときは、この発明をいう)。
【0006】
また、本発明は、使い捨ておむつと、該使い捨ておむつの内側に併用される吸収補助具とからなる吸収性物品であって、前記使い捨ておむつは、ファスニングテープを有する展開型の使い捨ておむつ又は予めパンツ型の形態に形成されたパンツ型の使い捨ておむつであり、前記吸収補助具は、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部、着用者の背側に位置する背側部及び該腹側部と該背側部との間に位置する股下部を有し、該腹側部及び該背側部それぞれの両側縁部同士が接合されてウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されており、液透過性の領域が、少なくとも前記股下部に形成されており、該液透過性の領域には液保持性の吸収体が配されておらず、該液透過性の領域は、該吸収補助具の前記腹側部から前記股下部を経て前記背側部に亘る方向の両端に達しない長さに形成されている、吸収性物品を提供することにより、上記第2の目的を達成したものである(以下、第2発明というときは、この発明をいう)。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
第1発明の一実施形態としての吸収性物品は、図5に示すように、パンツ型に形成された補助具1と、該補助具1の外表面側に止着される外装吸収部3との組み合わせからなる。
【0008】
先ず、本実施形態における補助具1について、図1及び図2を参照して説明する。
補助具1は、図1に示すように、ウエスト開口部22及び一対のレッグ開口部23を有するパンツ型の形態を有している。
補助具1は、図2に示すように、パンツ型に形成された外装体21と、該外装体21の内面(着用者側に向けられる面)に固定された縦長の補助具本体11とからなる。
【0009】
補助具本体11は、液透過性の表面シート12、液透過性の裏面シート13及び両シート12,13間に介在された液保持性の吸収体14を具備し、実質的に縦長の矩形状をなしている。吸収体14は、補助具本体11とほぼ相似形状である。表面シート12及び裏面シート13は、吸収体14の周縁部において互いに接合されており、吸収体14は、表裏面シート12,13間に挟持固定されている。
【0010】
補助具1は、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部Aと、着用者の背側に位置する背側部Bと、及び腹側部Aと背側部Bとの間に位置し、着用時に着用者の股下部に位置する股下部Cとからなり、腹側部A及び背側部Bそれぞれの両側縁部同士、より具体的には腹側部A及び背側部Bにおける外装体21の両側縁同士が、ヒートシール等の公知の接合手段により接合されて、一対のサイド接合部24(一方のみ図示)、ウエスト開口部22及び一対のレッグ開口部23が形成されている。股下部Cは、その両側縁部が、前記レッグ開口部の開口周縁部を形成している。
【0011】
ウエスト開口部22の開口周縁部及び一対のレッグ開口部23,23それぞれの開口周縁部には、それぞれ弾性部材が配されて、ウエストギャザー(ウエスト弾性部)25及びレッグギャザー(レッグ弾性部)26が形成されている。また、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける胴回り部には、複数本の糸状の弾性部材が所定の間隔でそれぞれ周方向に配されて、胴回りギャザー(胴回り弾性部)27が形成されている。胴回り部とは、ウエストギャザー形成用の弾性部材の配置位置よりも下方で且つ前記レッグ開口部よりも上方に位置する部分である。
【0012】
外装体21は、補助具1の外表面を形成する外層シート28と、その内側に積層され該外層シート28に接着された内層シート29とを具備してなり、これら両シート28,29間に、ウエストギャザー25形成用の弾性部材、レッグギャザー26形成用の弾性部材、及び胴回りギャザー27形成用の弾性部材が、それぞれ伸張状態で挟持固定されている。
外装体21を構成する外層シート28及び内層シート29は、それぞれ、吸収体14と重なる部分の全域が液透過性である。また、裏面シート13は、吸収体14と重なる部分の全域が液透過性である。
【0013】
補助具1における吸収体14が配された領域R(厚み方向の内部に吸収体14が存在する部分)は、上述したように、該吸収体14よりも肌当接面側が液透過性の表面シート13によって形成されており、また、該吸収体14よりも非肌当接面側が、何れも液透過性である裏面シート3、内層シート29及び外層シート28によって形成されている。そのため、該領域Rは、その全域が、厚み方向に液が透過可能な液透過性の領域R1となっている。
吸収体14は、股下部Cのみに配されていても良いし、股下部Cから腹側部A及び/又は背側部Bに亘って配されていても良いが、本実施形態における吸収体14は、股下部Cのみに配されている。
尚、液透過性の領域には、装着脱着を容易にすることを目的として指を入れるために設けた孔や、通気性のみを目的として孔やスリット等を設けた部分は含まれない。
【0014】
補助具本体11は、吸収体14が股下部Cに位置するように、腹側部Aから股下部Cを経て背側部Bに亘る方向に配されており、その裏面シート13側の面が接着剤により内層シート29に固定されている。
吸収体14と裏面シート13との間、裏面シート13と内層シート29との間、内層シート29と外層シート28との間は、それぞれ、液の透過を阻害しないパターンで塗工された接着剤により接着されている。液の透過を阻害しないな接着剤の塗工パターンとしては、ドットパターン、スパイラルパターン、ストライプパターン(線状接着部を間隔を開けて多数本形成するパターン)等が挙げられる。
【0015】
尚、補助具1における吸収体14が配された領域Rの、腹側部Aから股下部Cを経て背側部Bに亘る方向の両側には、弾性部材15を有する立体ギャザー形成用のシート材16が固定されて立体ギャザー17が形成されている。
【0016】
補助具1における吸収体14には、図1及び図2に示すように、液保持性の材料が配されていない通液部Tが部分的に形成されている。
詳細には、吸収体14は、パルプ繊維及び/又は高吸水性ポリマーを主体として構成された吸収性コア41と、該吸収性コア41を被覆するシート材42とからなり、全体として見れば液保持性を有している。しかし、吸収性コア41には、貫通孔43が複数個、分散した状態に形成されており、各貫通孔43の両開口部を覆う前記シート材42は液透過性で且つ液保持性を有しない材料から構成されている。本実施形態における通液部Tは、各貫通孔(空間)43及び各貫通孔の両開口部を覆う前記シート材42の一部からなる。
【0017】
ここで、液保持性の材料とは、液の保持を目的として通常用いられるもの(例えば上述したパルプ繊維や高吸水性ポリマー等)の他、液の保持を目的としないものであるが、親水性のもの(例えば吸収性コア41を被覆するのに汎用される台紙等)が挙げられる。これに対して、液保持性を有しない材料としては、撥水性で液を拡散も保持もしないもの等を挙げることができる。
前記液透過性の領域に、通液部Tが部分的に形成された吸収体14を配することにより、該補助具1と組み合わせて用いられる外装吸収部3に対する液の移行性を損なうことなく、液の移行安定性を向上させることができる。液の移行安定性とは、液が導出される部位として予め設計された部位から液が導出されることをいう。
【0018】
吸収性コア41に貫通孔を設けて通液部Tを形成する場合、該貫通孔の開口面積、開口総面積、貫通孔を配置する位置等は、排泄量や排尿量を考慮の上、補助具1の吸収体14と、外装吸収部3の吸収体34とに排泄物を効率良く分配させるという観点、あるいは装着者の姿勢から、それぞれ下記範囲内であることが好ましい。
【0019】
各貫通孔の開口面積;1×10-4〜8×10-1cm2、特に8×10-3〜8×10-1cm2であると、補助具1と外装吸収部3の両吸収体を特に効率良く使用することができる。
【0020】
開口総面積;吸収体の全面積(貫通孔の開口部の面積を含む面積)に対して10〜40%、特に15〜25%であると、補助具1と、外装吸収部3の両吸収体を特に効率良く使用することができる。前記範囲の下限値未満であると外装吸収部3側の吸収体が、上限値超であると補助具側の吸収体が有効に利用されないまま、漏れを生じる恐れがある。
【0021】
貫通孔を配置する位置;本実施形態の補助具1の装着者としては、歩行が可能であるが介助が必要な高齢者が特に想定されるため、排泄物も股下部から真下方向へ拡散させる必要がある。よって、補助具の前後方向中心点の前後合計で股下部全長の30%の範囲内に開口総面積の50〜100%、好ましくは70%〜100%が存在することが好ましい。このように貫通孔を配置すると、補助具1に重ねる外装吸収部3への拡散が特にスムーズであり、補助具の幅方向両側からの漏れが一層確実に防止される。
【0022】
貫通孔の平面視形状(開口部の形状);円形、楕円形、四角形、菱形等、任意の形状とすることができるが、円形又は楕円形等が好ましい。
【0023】
また、吸収性コア41に貫通孔を設けて通液部Tを形成する場合、その貫通孔は、内部が空洞であっても良いが、該貫通孔内に、液透過性で且つ液保持性を有しない材料が充填されていると、該貫通孔が潰れて通液部Tとして充分に機能しなくなることを防止できる。液透過性で且つ液保持性を有しない材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル又はこれらの組み合わせからなる繊維等の撥水性の繊維等が好ましい。
【0024】
次に、本実施形態における外装吸収部3について、図3及び図4を参照して説明する。
外装吸収部3は、液透過性の表面シート32、液不透過性の裏面シート33及び両シート間に介在された液保持性の吸収体34を具備し、該表面シート32側に、外装吸収部3を補助具1の外表面側に止着するための止着手段35,35を有している。
外装吸収部3及び吸収体34は、実質的に縦長の形状を有しており、補助具1の股下部Cの形状に適合するように、その長手方向の中央部が括れた形状をしている。表面シート32及び裏面シート33は、吸収体34の周縁部において互いに接合されており、吸収体34は、表面シート32と裏面シート33との間に挟持固定されている。
本実施形態における止着手段35は、機械的面ファスナーのオス部材であり、長手方向の両端部にそれぞれ設けられており、補助具1の外表面を構成する不織布に直接係合可能である。
【0025】
尚、外装吸収部固定用の止着手段としては、本実施形態におけるような機械的面ファスナーのオス部材に代えて、粘着剤の塗布や粘着テープの貼着等により形成した粘着部を設けても良い。また、止着手段としての機械的面ファスナーのオス部材は、補助具1の外表面に直接係合させるものに代えて、補助具1の外表面に設けた機械的面ファスナーのメス部材に係合させるものであっても良い。更に、機械的面ファスナーのオス部材を補助具に設け、外装吸収部3に設けた機械的面ファスナーのメス部材をこれに止着するようにしても良い。機械的面ファスナーのオス部材としては、例えば、クラレ社製の「マジックテープ(登録商標)」等を用いることができる。
【0026】
本実施形態の吸収性物品は、図5に示すように、外装吸収部3を、止着手段35を介して補助具1の外表面に着脱自在に止着して用いられる。外装吸収部3を止着する際には、外装吸収部3が補助具1の外表面の一部を覆うように且つその吸収体34が補助具1の前記液透過性の領域R1の全体を覆うように止着する。本実施形態の吸収性物品によれば、図6に示すように、補助具1内に排出された尿が、前記液透過性の領域R1を介して、外装吸収部3に良好に移行するため、外装吸収部3を、補助具1から取り外して交換することにより、補助具1を取り外すことなく、排尿の処理を行うことができる。そのため、排尿の処理に伴う労力的、精神的な負担を軽減することができる。
【0027】
本実施形態における補助具1及び外装吸収部3の各部の形成材料について説明する。
補助具1における、表面シート12、立体ギャザー形成用のシート材16の形成材料としては、従来、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品において、それぞれ表面シート、立体ギャザー形成用のシート材として用いられているものを特に制限なく用いることができる。尚、立体ギャザー形成用のシート材16は、液不透過性の材料、例えば撥水性の不織布や樹脂フィルム等からなるものが好ましい。
【0028】
裏面シート13、外層シート28、内層シート29の形成材料としては、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に従来用いられている各種の材料のなかから、少なくとも一部が液透過性である材料を適宜選択して用いることができる。例えば、裏面シート13の形成材料としては、開孔を設けた樹脂フィルム、開孔を設けた液不透過性の不織布、液透過性の不織布、編物、織物等を用いることができ、内層シート及び外層シートそれぞれの形成材料としては、開孔を設けた樹脂フィルム、開孔を設けた液不透過性の不織布、液透過性の不織布、編物、織物等を用いることができる。
【0029】
本実施形態において、液透過性の領域R1を構成するシート材(上記各シート12,13,28,29)は、それぞれ、該領域R1を構成する部分の耐水圧が1.0g/cm2未満であり、本実施形態における前記領域R1には、耐水圧が1.0g/cm2以上のシート材は配されていない。上述した液不透過性の不織布とは、耐水圧が1.0g/cm2以上の不織布をいい、このような不織布(シート材)であっても、開孔を設ける等の加工を施し耐水圧を1.0g/cm2未満に下げることによって、前記領域R1の構成材料として用いることができる。
【0030】
〔耐水圧の測定方法〕
耐水圧は、図10に示すように、内径が約3.5cmで、断面積が9.6cm2の2つの円筒管101,101’でゴムパッキン102,102’を介して不織布(シート材)10を挟み、更に上方の円筒管101の上端にチューブ103を設けてなる装置100を用いて測定する。そして、上記チューブ103により、1分間に4gの注入速度でイオン交換水を円筒管101内に入れてゆき、該イオン交換水が不織布(シート材)10を通って下の円筒管101’に漏れるまでの時間を測定する。得られた時間のデータを下記測定式に代入して、耐水圧を求める。
耐水圧(g/cm2)=測定時間(秒)×(4g/60秒)/9.6cm2
【0031】
ウエストギャザー22、レッグギャザー23、胴回りギャザー27形成用の各弾性部材としては、それぞれ、パンツ型の使い捨ておむつ等に従来用いられているものと同様のものを用いることができる。
例えば、各弾性部材の形成素材としては、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、スパンデックス、発泡ポリウレタン等を挙げることができる。各弾性部材としては、各種形態のものを用いることができ、平ゴム、糸ゴム、薄膜状のもの等を用いることができる。
【0032】
外装吸収部3における、表面シート32,裏面シート33及び吸収体34の形成材料としては、従来、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品において、それぞれ表面シート、液不透過性の裏面シート、吸収体として用いられているものを特に制限なく用いることができる。
【0033】
次に、第2発明の一実施形態における吸収補助具1’について図7を参照して説明する。吸収補助具1’は、表面シート12と裏面シート13間に液保持性の吸収体が配されていない点が、上述した補助具1と大きく相違する以外は、ほぼ同様の構成を有している。そのため、上述した補助具1と同様の構成については、下記説明又は図7中に同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点については、上述した補助具1についての説明が適宜適用される。
【0034】
吸収補助具1’は、補助具1と同様に、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部A、着用者の背側に位置する背側部B及び該腹側部と該背側部との間に位置する股下部Cを有しており、該腹側部及び該背側部それぞれの両側縁部同士、より具体的には、腹側部Aに位置する外装体21の両側縁部と、背側部Bに位置する外装体21の両側縁部とが互いに接合されて、ウエスト開口部22及び一対のレッグ開口部23が形成されたパンツ型の形態を有している。
そして、液透過性の領域R1が、股下部Cの幅方向中央部に所定の幅で形成されている。液透過性の領域R1の幅は、立体ギャザー17同士間の幅とほぼ同じである。
また、液透過性の領域R1には液保持性の吸収体が配されておらず、該液透過性の領域R1は、補助具の腹側部Aから股下部Cを経て背側部Bに亘る方向(以下、長手方向ともいう)の両端(腹側部及び背側部におけるウエスト開口部縁端)に達しない長さに形成されている。
補助具1’の存在により、排泄物は補助具1’の股下部Cに集められ、該排出物が前記液透過性の領域R1から集中的に排出される。そのため、組み合わせる使い捨ておむつの吸収体の面積を小さくすることができる。液透過性の領域R1からの集中的に排出は、着用者が立っている場合又は座っている場合に特に顕著である。
尚、立体ギャザー17は、排尿された尿をその壁の内側で止め、そこで、一旦尿の拡散を抑制して立体ギャザーを越えて股の横からの漏れを防止し、液透過性領域R1から速やかに且つ安定的に尿を導出させることができるが、立体ギャザー17は省略することもできる。
【0035】
この吸収補助具1’における表面シート12は、液透過性の不織布からなり、裏面シート13は、多数の開孔を有する樹脂フィルムからなり、外層シート28及び内層シート29は、液透過性の領域R1を形成する部分のみが、多数の開孔が形成されて液透過性とされており、それ以外の部位が撥水性(液不透過性)である不織布から構成されている。尚、表面シート12及び裏面シート13は、それぞれ、あっても良いが、外層シート28、内層シート29に液透過性領域R1があれば、液透過性領域から速やかに且つ安定的に液を導出できる意味で、省略することもできる。
【0036】
第2発明における吸収補助具は、液保持性の吸収体を具備する使い捨ておむつと組み合わせて用いられる。この場合、例えば、吸収補助具を履いた後に、使い捨ておむつを重ねて履くことによって、該おむつの吸収性能を向上させることができ、該使い捨ておむつを単独で使用した場合に比べて、漏れ防止性能を格段に向上させることができる。斯かる効果は、液透過性の領域から安定的に液を導出させること、及び勢いのある尿であっても、その速度が表面シート等によって減速された状態で使い捨ておむつに移行されること等によって奏される。
吸収補助具と組み合わせて用いる使い捨ておむつとしては、ファスニングテープを有する、いわゆる展開型の使い捨ておむつであっても良いし、予めパンツ型の形態に形成された、いわゆるパンツ型の使い捨ておむつであっても良い。
【0037】
以上、本発明(第1及び第2発明)の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0038】
また、第1発明における補助具は、図8に示す構成のものであっても良い。
図8は、本発明の他の実施形態における補助具1Aを示す図であり、この補助具1Aにおける吸収体14は、その上面及び下面が、それぞれ液透過性である表面シート12及び裏面シート13で被覆されており、該吸収体14の長手方向の両側面部が、撥水性の材料からなる立体ギャザー形成用のシート材16により被覆されている。前記シート材16は、表面シート12及び裏面シート13に跨るように配され、吸収体14の上面側において表面シート11に固定され、該吸収体14の下面側において裏面シート13に固定されている。
この補助具1Aにおいては、吸収体14が配された領域Rにおける、幅方向中央の所定幅の領域で且つ長手方向(腹側部Aから股下部Cを経て背側部Bに亘る方向)の股下部Cの全長に亘る領域が、表面シート12側から外層シート28側まで液を通すことのできる液透過性の領域R1となっている。
この補助具1Aにおける吸収体14においては、複数の貫通孔43を有する吸収性コア41の上下面を被覆するシート材42が、液保持性を有する材料(台紙等)からなり、該シート材42の各貫通孔43の上下の両開口部と重なる部分に開孔42aが形成されている。詳細には、吸収性コア41の上下面をシート材42で被覆したものにニードリング加工等の開孔処理を施し、貫通孔43及び開孔42aを同時に形成してある。これによって、液保持性の材料が配されていない通液部Tが部分的に形成されている。
【0039】
補助具1Aは、パンツ型の形態を有し、吸収体14が配された領域Rの一部R1が液透過性とされているため、上述した外装吸収部3又は同様の構成を有する外装吸収部と組み合わせて用いることによって、上述した吸収性物品、即ち、補助具1と外装吸収部3とからなる吸収性物品と同様の作用効果が奏される。ここで、前記液透過性の領域R1の幅(図8の左右方向の幅)は、前記領域Rの幅に対して50〜95%、特に60〜80%であると、外表面側に止着した外装吸収部への液の移行を、幅方向中心部へ集中させることができるため、該外装吸収部の幅方向両側部からの漏れが防止されることが期待できる。尚、R1の幅及びRの幅は、補助具の吸収体の前後方向の中心位置での値とする。この補助具1Aの特に説明しない点は、上述した補助具1と同様である。
【0040】
尚、吸収体14に通液部Tを形成する他の方法としては、吸収性コア41の上下面を網状のシート材や開孔を有する樹脂フィルムで被覆し、該シート材42の各貫通孔43の上下の両開口部と重なる部分に網目や開孔が位置するようにすることもできる。網目又は開孔の開口面積は、例えば補助具1について説明した貫通孔の好ましい開口部の面積と同様とすることができる。吸収性コア41の上下の両面は、二枚のシート材で各々被覆されていたり、貫通孔43の上下の両開口部が、異なる方法により通液性とされたシート材により被覆されていても良い。
【0041】
また、図9に示す補助具1Bは、股下部における液透過性の領域R1に吸収体が配されており、該吸収体に、液保持性の材料が配されていない通液部Tが部分的に形成されている補助具の他の例であり、該補助具1Bにおいては、吸収体14の長手方向及び幅方向の中央部に縦長の通液部Tが形成されている。
【0042】
また、補助具1においては、吸収体14が配された領域Rの全域が液透過性とされており、補助具1Aにおいては、該領域Rの補助具幅方向(腹側部Aから股下部Cを経て背側部Bに亘る方向に直交する方向)中央の所定幅部分が液透過性とされていたが、それぞれ、前記各領域Rの他の部位が液透過性とされていても良い。例えば、前記領域Rの補助具幅方向の両端部分や補助具長手方向の両端部分が液透過性とされていても良いし、該領域Rにおける補助具幅方向の左右の何れか片側のみ、或いは該領域Rの補助具長手方向の前後何れか一方のみが液透過性とされていても良く、更には、該領域Rにおける、補助具幅方向及び/又は長手方向に相互に離間した複数箇所が液透過性とされていても良い。但し、該領域Rの長手方向及び幅方向の中央部分が少なくとも液透過性の領域とされていることが好ましい。
また、吸収補助具1Aにおいては、立体ギャザー17,17間に挟まれた領域のほぼ全域が液透過性の領域とされていたが、立体ギャザー17,17間に挟まれた領域の一部、例えば該領域の幅方向(腹側部Aから股下部Cを経て背側部Bに亘る方向に直交する方向)中央の所定幅部分や、該幅方向及び/又は該幅方向に直交する長手方向に相互に離間した複数箇所が液透過性とされていても良い。
【0043】
また、上述した補助具1,1A、1B及び吸収補助具1’は、それぞれ、外装体21と補助具本体11とからなるものであったが、補助具本体11を形成する表面シート12及び裏面シート13がパンツ型の形態を形成しており、外装体21を有しないものであっても良い。
【0044】
また、外装体21は、シート材からなるものに代えて、ネット状物、特に伸縮性を有するネット状物からなるものであっても良い。伸縮性を有するネット状物としては、合成ゴムや天然ゴム、スパンデックス等の弾性組成物を網状に成形したもの、弾性を有しないものを、ゴム編み等によって弾性伸縮性を有するようにしたもの等を用いることができる。
【0045】
尚、外装吸収部の形状、寸法、補助具に対する止着部位等は、補助具の液透過性の領域から導出された液体を吸収できる限り制限されない。
また、一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、実施形態間で相互に置換可能である。
【0046】
【発明の効果】
第1発明の吸収性物品によれば、排尿の処理に伴う労力的、精神的、経済的な負担を軽減することができる。
第2発明の吸収性物品によれば、使い捨ておむつの内側にパンツ型の吸収補助具を併用することによって、その使い捨ておむつの吸収性能を向上させ、優れた漏れ防止性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明(第1発明)の一実施形態に係る補助具を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のX−X線断面を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る外装吸収部を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3のY−Y線断面を一部省略して示す模式断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る吸収性物品の使用方法を説明するための説明図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る吸収性物品の使用状態を示す模式断面図である。
【図7】 図7は、本発明(第2発明)の一実施形態における吸収補助具を示す断面図(図2相当図)である。
【図8】図8は、本発明(第1発明)の他の実施形態に係る補助具を示す断面図(図2相当図)である。
【図9】 図9は、本発明の更に他の実施形態に係る補助具を示す斜視図である。
【図10】図10は、耐水圧の測定方法を示す概略図である。
【符号の説明】
1,1A,1B 補助具
1’ 吸収補助具
11 補助具本体
12 表面シート
13 裏面シート
14 吸収体
21 外装体
28 外層シート
29 内層シート
3 外装吸収部
35 止着手段
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
R 股下部における吸収体が配された領域
R1 液透過性の領域
Claims (4)
- パンツ型に形成された補助具と、該補助具の外表面側に止着される外装吸収部とからなる吸収性物品であって、
前記補助具は、液透過性の領域を有しており、
前記外装吸収部は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備しており、
前記補助具及び前記外装吸収部の何れか一方又は両方に、該外装吸収部止着用の止着手段が設けられており、
前記補助具の前記液透過性の領域に、吸収体が配されており、該吸収体には、液保持性の材料が配されていない通液部が部分的に形成されており、
前記補助具の前記吸収体は、パルプ繊維及び/又は高吸水性ポリマーを主体として構成された吸収性コアと、該吸収性コアの上下面を被覆するシート材とからなり、該吸収性コアには複数の貫通孔が形成されており、
前記シート材は、液透過性で且つ液保持性を有しない材料からなるか、又は該各貫通孔の両開口部と重なる部分に開孔が形成されている吸収性物品。 - 前記貫通孔内に、液透過性で且つ液保持性を有しない材料が充填されている請求項1記載の吸収性物品。
- 使い捨ておむつと、該使い捨ておむつの内側に併用される吸収補助具とからなる吸収性物品であって、
前記使い捨ておむつは、ファスニングテープを有する展開型の使い捨ておむつ又は予めパンツ型の形態に形成されたパンツ型の使い捨ておむつであり、
前記吸収補助具は、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部、着用者の背側に位置する背側部及び該腹側部と該背側部との間に位置する股下部を有し、該腹側部及び該背側部それぞれの両側縁部同士が接合されてウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されており、液透過性の領域が、少なくとも前記股下部に形成されており、該液透過性の領域には液保持性の吸収体が配されておらず、該液透過性の領域は、該吸収補助具の前記腹側部から前記股下部を経て前記背側部に亘る方向の両端に達しない長さに形成されている、吸収性物品。 - 前記吸収補助具は、該吸収補助具の前記腹側部から前記股下部を経て前記背側部に亘る方向の左右両側に一対の立体ギャザーを備えており、一対の該立体ギャザー間に前記液透過性の領域が形成されている請求項3記載の吸収性物品。
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