以下、本発明のパンツ型使い捨ておむつを実施するための最良の形態について具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備えるパンツ型使い捨ておむつを広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において「パンツ型使い捨ておむつ」というときは、図1に示すパンツ型使い捨ておむつ1のように、前身頃2と後身頃6の対応する側縁部同士(側縁部2a,6a、側縁部2b,6b)を接合することによって、接合部8、一つのウエスト周り開口部10及び一対の脚周り開口部12a,12bが形成され、予めパンツ型に構成されたおむつを意味するものとする。
また、本明細書において、「前身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分、「股下部」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の股下を覆う部分、「後身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分を意味するものとする。
[1]本発明のパンツ型使い捨ておむつの構成:
本発明のパンツ型使い捨ておむつは、図1〜図4に示すパンツ型使い捨ておむつ1のように、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成され、前身頃2と後身頃6の対応する側縁部2a,6a(2b,6b)同士が接合されて(接合部8)、一つのウエスト周り開口部10及び一対の脚周り開口部12(12a,12b)が形成されたパンツ型使い捨ておむつ1である。
この本発明のパンツ型使い捨ておむつ1は、外装部材16と、吸収性本体14とを備え、外装部材16は、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部を形成するものであり、吸収性本体14は、排泄物吸収用の吸収体22と、吸収体22の表面を被覆するように配置された、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体22の裏面を被覆するように配置されたバックシート20とを有するものであり、吸収性本体14は、外装部材16の少なくとも股下部4に取り外し可能な状態で結合されており、吸収性本体14と外装部材16との結合部23が、吸収性本体14の長手方向の少なくとも両端部に形成されているとともに、吸収性本体14の長手方向の中央部の両側縁は外装部材16と結合されておらず、且つこの両側縁から吸収性本体14の幅方向中央部に向かって、吸収性本体14と外装部材16との間に非結合部24が形成され、図5に示すように、その非結合部24に手を差し入れることができるように構成されている。
ここで、図1は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの一の実施形態を示す概略斜視図であり、本発明のパンツ型使い捨ておむつをその前方から見た状態を示す図である。また、図2は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの一の実施形態を示す一部切り欠き平面図であり、図1に示すパンツ型使い捨ておむつを展開し、おむつの吸収性本体側から見た状態を示す図である。なお、図1及び図2に示すパンツ型使い捨ておむつにおいては、吸収性本体として、その両側縁に沿って付設された、一対の吸収性本体用立体ギャザーを省略して示している。また、図3は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの一の実施形態を示す概略断面図であり、図3の(a)は、図2に示すパンツ型使い捨ておむつをX1−X1’線に沿って切断した断面の例を示す概略断面図であり、図3の(b)は、吸収性本体に一対の吸収性本体用立体ギャザーが付設された場合の断面を示す概略断面図である。図4は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの一の実施形態を示す概略断面図であり、図4の(a)は、図2に示すパンツ型使い捨ておむつをX2−X2’線に沿って切断した断面の例を示す概略断面図であり、図4の(b)は、吸収性本体に一対の吸収性本体用立体ギャザーが付設された場合の断面を示す概略断面図である。また、図5は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつの非結合部に手を差し入れた状態を示す概略斜視図である。
本発明のパンツ型使い捨ておむつは、上記したように、吸収性本体14が、外装部材16に取り外し可能な状態で結合されているため、おむつ着用時に排泄を行った際に、おむつ全体を交換する必要はなく、吸収性本体14のみを交換することによって対応することができ、経済的である。また、このように吸収性本体14のみを交換することができるので、衣服の着脱を伴うパンツ型使い捨ておむつ1(具体的には、外装部材16)の交換を行う必要がなく、簡便におむつを利用することができる。また、吸収性本体が外装部材に完全に固定された従来のパンツ型使い捨ておむつに尿取りパッド等を併用して用いた場合と比較して、おむつの股下部が厚くならず、着用者の装着感が極めて良好であるとともに、着用者の足の動きが制限され難い。
また、本発明のパンツ型使い捨ておむつのように、吸収性本体と外装部材との結合部が、吸収性本体の長手方向の両端部に形成されていない場合には、おむつ装着時において外装部材を引き上げる際に、吸収性本体の長手方向端部が体に引っ掛かって引き上げ難くなる。また、本発明のパンツ型使い捨ておむつにおいては、吸収性本体の長手方向端部が着用面側に向って丸まるなどの問題も生じ難く、容易に取り外しが可能である。
また、本発明のパンツ型使い捨ておむつ1は、上記した非結合部24(即ち、吸収性本体14と外装部材16との隙間)に手を差し入れることができるように構成されている。このため、吸収性本体14を交換する際には、図5に示すように、非結合部24に手を差し入れて、吸収性本体14の裏側から持ち上げることができ、取り外した吸収性本体14から排泄物がこぼれ落ちないようにすることができる。このため、着用者や交換作業を行う介護者等の身体、及び繰り返し使用することができる外装部材等に排泄物が付着することを有効に防止することができる。更に、取り外した後の吸収性本体14の廃棄も容易となる。
[1−1]外装部材:
外装部材は、着用者の身体を被包するための装着機能を担う部材であり、具体的には、前身頃、股下部及び後身頃の各部を形成するシート状の部材である。
本発明のパンツ型使い捨ておむつにおいては、着用者の排泄物を吸収し、保持する吸収・保持機能については、専ら吸収性本体が果たすことになる。吸収性本体に漏れ防止のための液不透過性シートが配置されている場合は、外装部材を構成する材料として液不透過性材料を用いる必要はなく、不織布から構成されていてもよい。このような不織布としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維によって構成された不織布等が主に用いられるが、外装部材の内側面のみ綿不織布などを用いたものであってもよい。但し、吸収性本体に液不透過性材料が用いられていない場合、また、吸収性本体に液不透過性材料が用いられている場合であっても、外装部材の全体又は一部に液不透過性材料を用いてもよい。
そして、外装部材は、ウエスト周り伸縮材や脚周り伸縮材等を挟み込んだ状態で固定するために、2枚以上の不織布を貼り合わせて構成されることが多い。例えば、図1〜図5に示すパンツ型使い捨ておむつ1の外装部材16は、2枚の不織布16a,16b、例えば、アウターカバー(不織布16a)とインナーカバー(不織布16b)とを貼り合わせて、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部を構成し、それらの不織布16a,16bの間に脚周り伸縮材40、ウエスト周り伸縮材42及び腹周り伸縮材44を挟み込み固定した例である。
また、図1に示すパンツ型使い捨ておむつ1は、所謂、ブリーフ型のおむつ(パンツ型おむつ)であるが、例えば、図6及び図7に示すように、外装部材16が、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成され、前身頃2と後身頃6の対応する側縁部同士が接合されて(接合部8)、一つのウエスト周り開口部10及び一対の脚周り開口部12(12a,12b)が形成され、一対の脚周り開口部12が、前身頃2及び後身頃6の下端が股下部4より下方まで延出されて脚周り被覆部13が形成された、所謂、ボクサー型のおむつ(パンツ型使い捨ておむつ100,110)であってもよい。
ここで、図6は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの他の実施形態を示す概略斜視図であり、本発明のパンツ型使い捨ておむつをその前方から見た状態を示す図であり、図7は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの他の実施形態を示す概略斜視図であり、本発明のパンツ型使い捨ておむつをその前方から見た状態を示す図である。
また、本発明のパンツ型使い捨ておむつにおいては、図8及び図9に示すように、外装部材16が、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部を形成する不織布からなる外装体17と、外装体17の内面に配置された液不透過性材料からなる液不透過性シート25とから構成され、吸収性本体14は、液不透過性シート25に取り外し可能な状態で結合されていてもよい。なお、液不透過性シート25は、外装体17から取り外しができないように固定されている。また、この例では、前身頃2側及び後身頃6側の端縁に、液不透過性シート25を固定するための不織布16c(抑えシート)を更に貼り合わせ、液不透過性シート25のそれぞれの端部を固定している。
ここで、図8は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの他の実施形態を展開した一部切り欠き平面図であり、図9は、図8に示すパンツ型使い捨ておむつをX3−X3’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。なお、符号51で示す塗りつぶした三角印は、ぞれぞれの部材が取り外しができないように固定された固定部を示す。
このように構成することによって、仮に、吸収性本体から排泄物が漏れ出したり、その表面を伝って尿が拡散したとしても、この液不透過性シートによって、不織布からなる外装体への排泄物の染み込みを有効に防止することができる。特に、このような液不透過性シートを配置することにより、例えば、吸収性本体を構成するバックシートが、必ずしも液不透過性材料から構成されたものである必要がなくなり、例えば、撥水性材料からなるバックシートを用いることも可能となる。
この液不透過性シートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
図8及び図9においては、外装部材16を構成する外装体17の内面(即ち、不織布16bの表面)に、吸収性本体14と略同程度の大きさの液不透過性シート25が配設され、この液不透過性シート25の表面に吸収性本体14が取り外し可能な状態で結合された場合の例を示してる。なお、液不透過性シート25の大きさは、吸収性本体14の大きさよりも大きなものであってもよい。なお、外装部材に配置された液不透過性シートが外装部材全体に亘って配置されていてもよいが、吸収性本体の略下部にのみ配置されていてもよい。吸収性本体の略下部にのみ配置されている場合には、パンツ型使い捨ておむつの通気性が高くなり、着用者が快適に使用することができる。図8及び図9においては、外装部材に配置された液不透過性シートが、外装部材の上部である内側面に配置されているが、外装部材を構成するシート(例えば、インナーカバーとアウターカバー)間に配置してもよい。このように構成することによって、インナーカバー、アウターカバーの他に液不透過性シートの長手方向の両端部を抑える抑えシートを別途配置する必要がなくなる。
また、本発明のパンツ型使い捨ておむつにおいては、外装部材が、少なくとも股下部の一対の脚周り開口部の間の領域に、一対の外装部材用立体ギャザーが付設されたものであってもよい。なお、吸収性本体は、この一対の外装部材用立体ギャザーの間の領域に、取り外し可能に結合されている。
立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。このように、少なくとも股下部の一対の脚周り開口部の間の領域に、一対の外装部材用立体ギャザーが付設されていることによって、トップシートの上に尿が排泄され、トップシートを伝って尿が拡散してしまった場合でも、この外装部材用立体ギャザーが防波堤となり、おむつの脚周り開口部等からの漏れ(いわゆる「横漏れ」)を有効に防止することができる。
外装部材用立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される立体ギャザーの構成を採用することができる。例えば、撥水性のシート材の一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
この外装部材用立体ギャザーは、股下部からの漏れを防止するため、少なくとも股下部の一対の脚周り開口部の間に形成されていればよいが、前身頃や後身頃に形成されていてもよい。例えば、図10及び図11に示すパンツ型使い捨ておむつ1は、おむつの長手方向に沿って、股下部4から前身頃2と後身頃6の双方にかけて連続的に、一対の外装部材用立体ギャザー26(26a,26b)が付設された例を示すものである。なお、この例では、外装部材用立体ギャザー26a,26bを構成する立体ギャザー形成シート32a,32bの端部(立体ギャザー26a,26bの上端縁に相当する側の端部)を折り返し、その折り返し部分に各1本の立体ギャザー伸縮材36a,36bを挟み込むように配置している。また、外装部材用立体ギャザーは、少なくとも一対形成する必要があるが、二対以上形成してもよい。なお、図面においては、各1本の立体ギャザー伸縮材36a,36bを挟み込んでいるが、各1本に限らず、複数本配置してもよい。なお、図10においては、外装部材16における前身頃2側及び後身頃6側の端縁に、外装部材用立体ギャザー26a,26bの端部を固定するための不織布16c(抑えシート)を更に貼り合わせ、外装部材用立体ギャザー26a,26bのそれぞれの端部を固定している。
この外装部材用立体ギャザーは、おむつの内側に向かって傾倒する内倒しギャザーであってもよいし、おむつの外側に向かって傾倒する外倒しギャザーであってもよく、C折りやZ折りなどの外装部材用立体ギャザーの起立部から自由端部までの間に折り返し部を設けたものであってもよい。本発明のパンツ型使い捨ておむつにおいては、外装部材用立体ギャザーの少なくとも一部が、おむつの内側に向かって傾倒する内倒しギャザーであることが好ましい。この内倒しギャザーは、防漏性において特に優れている。
また、外装部材用立体ギャザーは、その少なくとも一部が着色されたものであることが好ましい。外装部材に外装部材用立体ギャザーが付設されたものである場合には、一対の外装部材用立体ギャザーの間の領域に、吸収性本体が取り外し可能に結合されるため、上記したように外装部材用立体ギャザーの少なくとも一部が着色されたものとすることにより、吸収性本体を取り外しするための領域が確認し易くなり、吸収性本体の剥離や装着、特に適切な位置への装着が容易になる。
[1−2]吸収性本体:
本発明のパンツ型使い捨ておむつに用いられる吸収性本体は、排泄物吸収用の吸収体と、吸収体の表面を被覆するように配置された、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートとを有するものである。例えば、図1〜図4に示すパンツ型使い捨ておむつ1は、トップシート18とバックシート20の間に吸収体22を挟み込み、吸収体22の周縁部を封着することによって、トップシート18とバックシート20との間に吸収体22が介装された構造の吸収性本体14を構成した例である。
本発明のパンツ型使い捨ておむつにおいては、この吸収性本体が、外装部材の少なくとも股下部に取り外し可能に結合されおり、吸収性本体と外装部材との結合部が、吸収性本体の長手方向の少なくとも両端部に形成されている。更に、吸収性本体の長手方向の中央部の両側縁は外装部材と結合されておらず、且つこの両側縁から吸収性本体の幅方向中央部に向かって、吸収性本体と外装部材との間に非結合部が形成され、その非結合部に手を差し入れることができるように構成されている。このため、着用者が排泄を行った際には、この非結合部に手を差し入れて、吸収性本体を外装部材から取り外して交換することができる。使用済みの吸収性本体を取り外した後は、新たな吸収性本体を、外装部材の少なくとも股下部に装着することにより、外装部材を繰り返して使用することができる。
吸収性本体は、少なくともおむつの股下部をカバーするサイズに構成される。但し、漏れ防止の効果を確実なものとするため、股下部のみならず前身頃や後身頃の一部をもカバーする大きさに構成することが好ましい。
また、吸収性本体は、その両側縁に沿って、一対の吸収性本体用立体ギャザーが付設されたものであってもよい。例えば、図12に示すように、トップシート18やバックシート20とは全く別個のシート材(吸収性本体用立体ギャザー形成シート33a,33b)を、吸収性本体14の両側縁部に貼り合わせ、立体的に起立可能な構造とすることにより、一対の吸収性本体用立体ギャザー27a,27bを付設した例である。この例では、吸収性本体用立体ギャザー形成シート33a,33bの端部(吸収性本体用立体ギャザー27a,27bの上端縁に相当する側の端部)を折り返し、その折り返し部分に各1本の吸収性本体用立体ギャザー伸縮材38a,38bを挟み込むように配置している。また、吸収性本体用立体ギャザーは、一対に限定されることはなく、二対以上形成されたものであってもよい。例えば、図12において、吸収性本体用立体ギャザー形成シート33a,33bがバックシート20とともに吸収性本体用立体ギャザー27a,27bの外側にて起立している部位に、別の伸縮材を配置して、更にもう一対の吸収性本体用立体ギャザーを形成してもよい。ここで、図12は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの更に他の実施形態における概略断面図である。
なお、吸収性本体の両側縁(両サイド)は、トップシートとバックシートが延出して両シートが貼り合わされていてもよいし、吸収性本体の両側縁に延出したシートを形成しなくともよい。また、吸収性本体の両側縁からシートが延出している場合において、この両シートの幅が同一の大きさであってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは、吸収性本体をコンパクトにするために、吸収体の広幅部分に合わせて両側縁のシートを折り返して吸収性を包み込む形を取る。図3の(a)及び図4(a)においては、トップシート18の下側にバックシート20の側縁が折り返されているが、例えば、図示は省略するが、トップシートの上側に折り返していてもよい。なお、吸収体が吸収した排泄物の沁み出しを防止するために、バックシートをトップシートの上側に折り返して吸収体を包み込む方法が好ましいが、例えば、バックシートがフィルムから形成されたものである場合には、フィルムが直接肌に接触してしまわないように、トップシートの下側にバックシートの側縁が折り返されて、吸収性本体の上面がトップシートによって構成されていることが好ましい。
[1−2a]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿や体液を吸収し保持する必要から、吸収性材料によって構成される。
吸収体を構成する吸収性材料としては、使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に通常使用される従来公知の吸収性材料、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウムを、親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。また、吸収体の型崩れ対策として熱融着繊維等の合成繊維を含んでいてもよい。
これらの吸収性材料は、通常、単層ないしは複層のマット状として用いられる。この際、前記の吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装されることが好ましい。通常、吸収体は、トップシートとバックシートの間に挟み込まれ、その周縁部が封着されることによって、トップシートとバックシートとの間に介装される。従って、吸収体の周縁部にはトップシートとバックシートの間に吸収体が介装されていないフラップ部が形成されているか、前記トップシート及び/又はバックシートにより吸収体縁部が包まれている。
吸収体は、その全体が親水性シートによって包み込まれていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
吸収体の形状については特に制限はないが、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。
[1−2b]トップシート:
トップシートは、吸収体の表面(おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その裏面側に配置された吸収体に、着用者の尿を吸収させる必要から、その少なくとも一部(全部ないし一部)が液透過性材料により構成される。
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。
[1−2c]バックシート:
バックシートは、吸収体の裏面(おむつの装着時において着用者の着衣側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。
本発明のパンツ型使い捨ておむつにおいては、上記したバックシートは、液不透過性材料又は撥水性材料からなるものであることが好ましい。
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
また、バックシートを構成する撥水性材料としては、例えば、スパンボンドやカードエンボス等の不織布を用いてもよいが、耐水圧が高いという理由から、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)、メルトブローシート等の不織布を挙げることができる。
[1−3]結合部:
本発明のパンツ型使い捨ておむつにおいては、吸収性本体の長手方向の少なくとも両端部に、吸収性本体と外装部材との結合部が形成されている。このような位置に結合部が形成されているため、パンツ型使い捨ておむつを装着する際に、吸収性本体が外装部材から剥がれ難くなり、良好な装着感を実現することができる。
図2においては、矩形状の吸収性本体14の長手方向の両端部に、吸収性本体14と外装部材16との結合部23が形成された例を示しているが、結合部は、吸収性本体の長手方向の少なくとも両端部の一部に形成されていればよい。例えば、図13に示すように、矩形状の吸収性本体14において、その両端部における四隅に結合部23が形成されていてもよい。なお、図13においては、吸収性本体14の両端部における四隅に加えて、その中央部にも結合部23が形成されている。ここで、図13は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの更に他の実施形態を展開した一部切り欠き平面図である。
また、本発明のパンツ型使い捨ておむつにおいては、吸収性本体の長手方向の中央部の両側縁が外装部材と結合されておらず、且つこの両側縁から吸収性本体の幅方向中央部に向かって、吸収性本体と外装部材との間に非結合部が形成され、この非結合部(即ち、吸収性本体と外装部材との隙間)に手を差し入れることができるように構成されている限りにおいては、例えば、図14及び図15に示すように、吸収性本体14の幅方向中央部にも結合部23が形成されていてもよい。ここで、図14は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの更に他の実施形態を展開した一部切り欠き平面図であり、図15は、図14に示すパンツ型使い捨ておむつをX5−X5’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
吸収性本体と外装部材との結合部の大きさについては特に制限はないが、吸収性本体と外装部材との接触面積に対する、上記結合部の面積の割合が、15〜80%であることが好ましく、30〜60%であることが更に好ましい。このように構成することによって、吸収性本体を外装部材に確実に結合させることができるとともに、吸収性本体を取り外すための非結合部を形成するための領域を良好に確保することができる。なお、吸収性本体と外装部材との接触面積に対する、上記結合部の面積の割合が15%未満であると、結合部の面積が少な過ぎて、パンツ型使い捨ておむつを装着する際に、吸収性本体が剥がれてしまったり、位置ずれが生じたりすることがある。また、80%を超えると、非結合部が小さくなり過ぎて、吸収性本体と外装部材との間に手を差し入れることが困難になることがある。
本発明のパンツ型使い捨ておむつにおける結合部としては、吸収性本体を外装部材から取り外すことができるような粘着剤層によって構成されたものを挙げることができる。この粘着剤層は、外装部材側に配置されたものであってもよいし、吸収性本体側に配置されたものであってもよい。
このような粘着剤層としては、使用済みの吸収性本体を外装部材から少なくとも取り外すことができるように構成されていればよい。即ち、新規のパンツ型使い捨ておむつを使用する際には、吸収性本体は予め外装部材に装着された状態であるため、使用済みの吸収性本体を取り外した後には、この吸収性本体を再び外装部材に装着することは極めて稀であり、通常はそのまま廃棄される。このため、上記した粘着剤層は、一度、吸収性本体と外装部材とを接着させた後は、剥離は可能であるが再接着が不可能な粘着剤層であってもよい。勿論、再度結合が可能なものであってもよい。
外装部材に新たに装着する吸収性本体には、外装部材に結合するための手段を設ける必要があり、この結合手段は粘着剤層を設けたものであってもよいが、機械的結合手段であってもよい。すなわち、後者の場合(機械的結合手段の場合)は、取り外し可能に結合されていた吸収性本体の外装部材への結合手段と、交換用の吸収性本体の外装部材への結合手段とが異なることとなる。例えば、外装部材に予め配置されている吸収性本体は、吸収性本体を外装部材に着用者が装着するという行為が必要なく、取り外しのみに特化した結合手段でよいため、パンツ型使い捨ておむつの製造が容易で、機械的結合手段等よりも安価である接着剤を用いることができ、コスト面において有利である。一方、吸収性本体を取り外した後に、新たに配置する交換用の吸収性本体は、外装部材に対して、装着と取り外しという両方の行為に対応する必要がある。このため、交換用の吸収性本体は、装着時に体や衣類等の余計な箇所に貼着するような粘着剤よりも、余計な箇所に結合し難い機械的結合手段を配置したものであることが好ましい。
上述したような粘着剤層は、例えば、従来のパンツ型使い捨ておむつにおいて、吸収性本体を固定するための粘着剤の粘着力を、吸収性本体を固定する領域のみ弱く、例えば、仮止めの状態とすることによって形成することができる。
また、本発明のパンツ型使い捨ておむつの結合部として、吸収性本体を外装部材に機械的結合させることが可能な結合部材(上記した機械的結合手段)を用いる場合には、例えば、メカニカルファスナーのフック材、又は前記フック材と結合可能なループ材もしくは繊維状の表面を有する素材からなるシート材等を好適に用いることができる。
上記した「メカニカルファスナー(面状ファスナーとも称される)」とは、機械的結合を用いた面状ファスナーであり、例えば、表面に多数の突起(鉤状、きのこ状、錨状等)が形成された凸部材(フック材)と、表面にループ状の繊維が配置された凹部材(ループ材)とを組み合わせたもの等が用いられることが多い。このメカニカルファスナーは、ループ材の表面にフック材を重ね合わせ、フック材の多数の突起をループ材の表面に係合させることにより、両部材を取り外し可能な状態に、且つ、強固に固着させることができるものである。
また、メカニカルファスナーのフック材は、これと対応するメカニカルファスナーのループ材以外にも、織布、不織布、フェルト、パイル等の繊維状の表面を有する素材にも係合させることが可能であるので、メカニカルファスナーのループ材に代えて、フック材と結合可能な繊維状の表面を有する素材からなるシート材を結合部材として用いることもできる。なお、本発明のパンツ型使い捨ておむつにおける結合部は、全てが同一の結合手段によって結合されたものであってもよいが、複数の結合手段によって結合されたものが混在していてもよい。すなわち、結合部全体を剥離可能な接着剤によって結合していてもよいが、結合部の一部が再剥離可能な接着剤や機械的結合手段を用いたものであってもよい。
[1−4]非結合部:
本発明のパンツ型使い捨ておむつは、吸収性本体の長手方向の中央部の両側縁が外装部材と結合されておらず、且つこの両側縁から吸収性本体の幅方向中央部に向かって、吸収性本体と外装部材との間に非結合部が形成されている。本発明のパンツ型使い捨ておむつは、この非結合部(即ち、吸収性本体と外装部材との隙間)に手を差し入れることができるように構成されている。このため、吸収性本体を交換する際には、非結合部に手を差し入れて、吸収性本体の裏側から持ち上げて取り外すことができる。
非結合部を形成するための、吸収性本体の各側縁における結合されていない部分の長さについては、上記したように、非結合部(即ち、吸収性本体と外装部材との隙間)に手を差し入れることができるように構成されている限り特に制限はない。なお、本発明のパンツ型使い捨ておむつにおいては、例えば、図2に示すように、吸収性本体の長手方向の長さL1に対する、吸収性本体の一方の側縁における結合されていない部分の長さL2の割合が、20〜80%であることが好ましく、30〜70%であることが更に好ましい。このように構成することによって、吸収性本体14を取り外す際に非結合部24に手を差し入れ易くなる。なお、吸収性本体の長手方向の長さL1に対する、吸収性本体の一方の側縁における結合されていない部分の長さL2の割合が20%未満であると、吸収性本体14の側縁における結合されていない部分が狭すぎて、吸収性本体14と外装部材16との間に手を差し入れることが困難になることがある。また、80%を超えると、吸収性本体14の側縁における結合されていない部分が広すぎて、吸収性本体14の側縁が装着時に捲れてしまい、装着感を悪化させることがある。
また、吸収性本体に対する股下領域での非結合部においては、吸収性本体の左右の側縁に向って、非結合部を構成する領域(即ち、結合していない部分)が連続して形成されていてもよいが、非連続に形成されていてもよい。また、一部分のみ左右(両側縁)で貫通していたり、吸収性本体の側縁からの非結合部の奥行きが一定であってもよいが、この非結合部の奥行きが吸収性本体の長手方向に沿って変化していてもよい。
本発明のパンツ型使い捨ておむつにおいては、例えば、吸収性本体の側縁から手を簡単に差し入れることができるように、100mm程度以上の幅(図2における長さL2)を持って吸収性本体の側縁に非結合部が形成されていることが好ましい。また、吸収性本体の側縁からの奥行き(深さ)も、指の第一関節までは差し込むことができるように、30mm以上の深さであることが好ましい。なお、この非結合部の奥行きが変化している場合には、吸収性本体の側縁に幅広の非結合部を形成して、特に特定の箇所を狙わずとも、指が引っ掛かるようにしながら、差し込んだ指を奥に進めて、深いポケットとなっている部位に誘導することも可能となる。このように構成することによって、吸収性本体の浮きを少なくしながら、吸収性本体の取り外しも容易に行うことができるパンツ型使い捨ておむつを提供することができる。
[1−5]各種伸縮材:
パンツ型使い捨ておむつにおいては、脚周り伸縮材を配置し、ウエスト周り伸縮材を配置することが一般的であり、更に腹周り伸縮材を配置することが好ましい。
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。従って、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。
腹周り伸縮材は、ウエスト周り開口部と脚周り開口部との間の部分(即ち、着用者の腹周りに相当する部分)に配置される伸縮材である。腹周り伸縮材を配置することによって、着用者の腹周りに伸縮性に富むタミーギャザーを形成することができる。このタミーギャザーは、ウエストギャザーと相俟って、おむつのフィット性やずり下がり防止効果を一層優れたものとすることができる。
なお、図1及び図2に示すパンツ型使い捨ておむつ1は、脚周り開口部12a,12bの周縁には複数本の脚周り伸縮材40を配置し、ウエスト周り開口部10の周縁にはウエスト周り開口部10を取り囲むように複数本のウエスト周り伸縮材42を配置し、更に、ウエスト周り開口部10と脚周り開口部12a,12bとの間の部分(即ち、着用者の腹周りに相当する部分)には、着用者の腹周りを取り囲むように複数本の腹周り伸縮材44を配置した例である。
なお、図2においては、脚周り伸縮材40は、前身頃2と後身頃6とにそれぞれ配置され、股下部4の脚周り開口部近傍で二度交差することで、脚周り開口部に連続した脚周りギャザーを形成しているが、必ずしも、前身頃2と後身頃6とに配置された脚周り伸縮材40が股下部4で交差する必要はない。また、股下部4の領域を横切る脚周り伸縮材40は、少なくとも一部が切断されて、非連続になっていることが好ましい。股下部40に伸長状態で脚周り伸縮材40が横切って配置されていると、吸収性本体14を取り外した際に、股下部4が縮こまってしまい、新たな吸収性本体を配置し難くなることがある。
これらの伸縮材については、既に述べた開口部伸縮材と同様の構成を採用することができる。そして、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を決定すればよい。
また、本発明のパンツ型使い捨ておむつは、図16及び図17に示すように、外装部材16又は吸収性本体14は、少なくとも股下部4の一対の脚周り開口部12a,12b(図1参照)の間の領域に、伸縮性素材からなる伸縮材48(以下、「股下部伸縮材」ということがある)が付設されたものであり、この伸縮材48は、前身頃2側から後身頃6側にかけて伸長状態で付設されているものであってもよい。このように構成することによって、おむつの股下部4に伸縮性を付与することができ、股下部4の装着感を更に向上させることができる。このような伸縮材としては、上記したギャザーに用いられる伸縮材と同様の伸縮性素材を好適に用いることができる。また、この伸縮材の伸長率については特に制限はないが、例えば、120%〜450%であることが好ましく、200%〜350%であることが更に好ましい。
ここで、図16は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの更に他の実施形態を展開した一部切り欠き平面図であり、図17は、図16に示すパンツ型使い捨ておむつをX6−X6’線に沿って切断した断面の例を示す概略断面図である。図17においては、外装部材16が、外装体17に2枚のシート47(47a,47b)が配置されており、この2枚のシート(47a,47b)の間に伸縮材48が付設されている。
また、本発明のパンツ型使い捨ておむつにおいては、図18の(a)のように、上記した伸縮性素材からなる伸縮材48が、吸収性本体14側に付設されていてもよい。
また、本発明のパンツ型使い捨ておむつにおいては、図18の(b)のように、吸収性本体14に吸収性本体用立体ギャザー27(27a,27b)を形成することが、漏れ防止効果を高める上でも好ましい。このような吸収性本体用立体ギャザー27を形成する場合には、伸長状態の吸収性本体用立体ギャザー伸縮材38a,38bを挟み込むように撥水性のサイドシートなどを配置して吸収性本体用立体ギャザー27を形成する。この吸収性本体用立体ギャザー27を形成したサイドシートの連続体(サイドシート連続体)をトップシートの連続体(トップシート連続体)の両サイドに配置して結合した上で、間欠的に吸収体が配置されたバックシートの連続体(バックシート連続体)の上面に配置して貼り合わせる。この際、図18の(b)に示すように、更に吸収性本体14の端部に第二の吸収性本体用立体ギャザー28(28a,28b)を形成してもよい。具体的には、サイドシートとバックシートとの間にさらに伸長状態の立体ギャザー伸縮材39a,39bを配置して、サイドシート及び/又はバックシートで挟み込んで、吸収性本体14自体に第二の吸収性本体用立体ギャザー28を形成する。ここで、図18は、本発明のパンツ型使い捨ておむつの更に他の実施形態における概略断面図であり、図18の(a)は、股下部伸縮材48が、吸収性本体14側に付設されている場合の例を示し、図18の(b)は、外装部材16に外装部材用立体ギャザー26が付設され、更に、吸収性本体14には吸収性本体用立体ギャザー27と第二の吸収性本体用立体ギャザー28とが付設された場合の例を示している。
また、例えば、図17及び図18の(b)に示すように、外装部材に股下部伸縮材を付設する場合には、吸収性本体の連続体(吸収性本体連続体)を形成する際に、バックシートの裏面側に更に2枚のシートを連続して配置し、その両シート間に伸縮材を伸長状態で配置し、固定することで、容易に股下部に股下部伸縮材を配置することができる。この際、バックシートの裏面に配置する2枚のシートと、バックシートとを剥離可能に結合することで、股下部伸縮材は吸収性本体が取り外された後も、外装部材に残すことができる。この2枚のシートのうち、上面側(バックシート側)のシートは、メカニカルファスニングシステムによる凹材となる素材を用いてもよい。また、2枚のシートのうち、下面側(外装部材側)のシートは、液不透過性シートを用いてもよい。
一方、図18の(a)に示すように、吸収性本体とともに股下部伸縮材が取り外されるように構成する場合には、股下部伸縮材をトップシートとバックシートの間に挟み込んでもよいし、バックシートの裏面に更にシートを配置して、両シート間に股下部伸縮材を配置してもよい。
[2]本発明のパンツ型使い捨ておむつの製造方法:
以下、本発明のパンツ型使い捨ておむつを製造する方法について、図10に示すような、股下部4から前身頃2と後身頃6の双方にかけて連続的に、一対の外装部材用立体ギャザー26(26a,26b)が付設されたパンツ型使い捨ておむつ1の製造方法を例に挙げて説明する。
[2−1]吸収性本体の製造:
図19に示すように、バックシート20の表面に、親水性シートに包まれた吸収体22を配置し、更にその表面にトップシート18を配置する。次いで、吸収体22の周縁部をトップシート18とバックシート20とで挟み込むように封着することによって吸収性本体14を得る。なお、図19に示す製造方法においては、バックシート20及びトップシート18として各長尺シート材を用い、各長尺シート材をローラーから連続的に送出する方法・装置を採用した例を示している。
なお、パンツ型使い捨ておむつとして、図8に示すような、液不透過性シートを更に備えたものを製造する場合には、例えば、上記吸収性本体を製造する際に、バックシートの裏面に、液不透過性シートを取り外し可能な状態で配置してもよい。このような場合には、吸収性本体と液不透過性シートとの結合部が、吸収性本体の長手方向の少なくとも両端部に形成されているとともに、吸収性本体の長手方向の中央部の両側縁は液不透過性シートと結合されておらず、且つこの両側縁から吸収性本体の幅方向中央部に向かって、吸収性本体と液不透過性シートとの間に非結合部が形成されるようにする。図面のように、吸収性本体を連続して形成すると、各吸収性本体の腹側端部と背側端部が交互に連続して配置されるために、背腹部両端部に結合部を設ける場合には、吸収性本体の吸収体が未配置部位に結合部を連続して形成することで、吸収性本体連続体を単体に切り離すことで、容易に吸収性本体の長手方向の両端部に結合部を形成することができる。
また、このようにして吸収性本体連続体を製造する際に、吸収性本体連続体の裏面側に、結合部を形成するための結合手段を配置する。例えば、吸収性本体連続体の裏面側に粘着剤を塗工したり、メカニカルファスナー等の機械的結合手段を配設する。吸収性本体連続体の裏面側に結合手段を配置する際には、単体に切り離した吸収性本体において、その長手方向の少なくとも両端部に相当する部位にの結合手段を配置する。なお、このような結合部を形成するための結合手段は、後述するように、外装部材を構成する不織布に配置してもよい。
[2−2]外装部材用立体ギャザーの製造:
シート材32a(32b)の一方の端部を折り返し、その折り返し部分に、2本の立体ギャザー伸縮材36a(36b)を挟み込んだ状態で貼り合わせることによって、立外装部材用体ギャザー26a(26b)を得る。図19に示す製造方法においては、シート材32a(32b)として各長尺シート材を用い、各長尺シート材をローラーから連続的に送出する方法・装置を採用した例を示している。
[2−3]吸収性本体への立体ギャザーの付設:
図19に示すように、吸収性本体14の側縁、即ち、トップシート18とバックシート20との貼り合わせ部分を外側から包み込むように、連続した長尺状の外装部材用立体ギャザー26a,26bを貼り合わせる。この際、外装部材用立体ギャザー26a,26bは、吸収性本体14の側縁に仮止めの状態で貼り合わせておき、外装部材16に固定した際に、吸収性本体14のみを取り外せるようにしておく。その後、外装部材用立体ギャザー26a,26bが付設された吸収性本体14を所定の大きさに切断する。
[2−4]パンツ型使い捨ておむつの製造:
外装部材は、図20に示すように、長尺状の不織布49a,49bを2枚用意し、このうちの1枚の不織布49aの表面に、ウエスト周り伸縮材42、腹周り伸縮材44及び脚周り伸縮材40を配置し接着固定する。
なお、図20に示す製造方法においては、2枚の長尺状の不織布49を重ね合わせて積層し、その中心軸に沿って折り返すことにより、折り返し線を含む領域がおむつの股下部4となり、折り重ねられた不織布49の側縁部がおむつのウエスト周り開口部10となる。このため、伸縮材を配置する際には、ウエスト周り伸縮材42及び腹周り伸縮材44は、上記不織布49aの側縁部に配設し、脚周り伸縮材40は、上記不織布49aの中心軸側の脚周り開口部12a,12bが形成される領域近傍に配置する。その後、それぞれの伸縮材を配置した不織布49aの表面に、更にもう1枚の不織布49bを積層し固定する。また、上記した方法に従って、パンツ型使い捨ておむつを構成する外装部材又は吸収性本体の、少なくとも股下部の一対の脚周り開口部の間の領域に、伸縮性素材からなる伸縮材を付設してもよい。
また、吸収性本体連続体を製造する際に、吸収性本体に結合手段を配置していない場合には、この積層した不織布49における股下部4に相当する領域に、吸収性本体14を結合させるための粘着剤を塗工したり、機械的結合手段を配置したりして、結合部を形成する。本発明のパンツ型使い捨ておむつは、吸収性本体と外装部材との結合部が、吸収性本体の長手方向の少なくとも両端部に形成されているとともに、吸収性本体の長手方向の中央部の両側縁は外装部材と結合されておらず、且つこの両側縁から吸収性本体の幅方向中央部に向かって、吸収性本体と外装部材との間に非結合部が形成されているものであるため、塗布する粘着剤の位置、及びその粘着力等を調整する。
次に、先に製造した立体ギャザー26a,26bが付設された吸収性本体14を、不織布49における股下部4に相当する領域に配置する。この際、吸収性本体14は、外装部材(不織布49)とは取り外し可能な状態に(例えば、仮止めの状態で)結合され、立体ギャザー26a,26bは、外装部材(不織布49)に完全に固定される。
なお、上記したように、吸収性本体のバックシート側に液不透過性シートを配置した場合には、液不透過性シートを外装部材に完全に固定する。液不透過性シートと吸収性本体とは取り外し可能な状態で結合されているため、吸収性本体と外装部材とが取り外し可能な構成とすることができる。
次に、積層した不織布49における脚周り開口部12a,12bが形成される領域に、略円形の孔60を開ける。本製造方法においては、側縁部にて連結した複数のパンツ型使い捨ておむつを製造するため、上記した孔60の半円部分が1つの脚周り開口部12となる。
次に、積層した不織布49を、その中心軸に沿って折り返し、おむつの側縁部に相当する部位をヒートシール等の手段により接合し、接合部8を形成して、本発明のパンツ型使い捨ておむつを製造する。
[3]交換用の吸収性本体:
本発明のパンツ型使い捨ておむつは、外装部材から使用済みの吸収性本体を取り外して廃棄し、この外装部材に新たな吸収性本体を装着して繰り返し使用することができる。この際に用いられる新たな吸収性本体(交換用の吸収性本体)としては、使用済みの吸収性本体を取り外した外装部材の少なくとも股下部に着脱可能な状態で結合させることができるように構成され、排泄物吸収用の吸収体と、吸収体の表面を被覆するように配置された、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートとを有する吸収性本体を好適に用いることができる。
この交換用の吸収性本体を構成する、吸収体、トップシート、及びバックシートは、上述した本発明のパンツ型使い捨ておむつにて説明した吸収性本体を構成する各構成要素と同様に構成されたものを好適に用いることができる。
本発明のパンツ型使い捨ておむつに用いられる外装部材が、再接着が可能な粘着剤層等を有している場合には、この交換用の吸収性本体は、特別な結合手段を有していなくともよい。一方、例えば、外装部材に設けられた粘着剤層が再接着不可能なものある場合には、交換用の吸収性本体としては、外装部材の少なくとも股下部に着脱可能な状態で結合させるための結合手段を有していることが好ましい。このような結合手段としては、例えば、本発明のパンツ型使い捨ておむつにおける結合部にて説明した粘着剤層や結合部材等を好適例として挙げることができる。
1,100,110,120:パンツ型使い捨ておむつ、2:前身頃、2a,2b:側縁部、4:股下部、6:後身頃、6a,6b:側縁部、8:接合部、10:ウエスト周り開口部、12,12a,12b:脚周り開口部、13:脚周り被覆部、14:吸収性本体、16:外装部材、16a,16b,16c:不織布、17:外装体、18:トップシート、20:バックシート、22:吸収体、23:結合部、24:非結合部、25:液不透過性シート、26,26a,26b:立体ギャザー、27,27a,27b:吸収性本体用立体ギャザー、28,28a,28b:第二の吸収性本体用立体ギャザー、32,32a,32b:シート、33,33a,33b:吸収性本体用立体ギャザー形成シート、36,36a,36b:吸収性本体用立体ギャザー伸縮材、37,37a,37b:立体ギャザー伸縮材、38,38a,38b,39a,39b:立体ギャザー伸縮材、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、44:腹周り伸縮材、47,47a,47b:シート、48:伸縮材、49a,49b:不織布、51:固定部、60:孔、L1:吸収性本体の長手方向の長さ、L2:吸収性本体の一方の側縁における結合されていない部分の長さ。