JP2009189380A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】着用者が必要により任意にフィット性を向上させることが可能であり、さらに、シンプルな構造で容易に製造することができる吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収体と、前記吸収体の一方の面を被覆する、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の他方の面に、前記吸収体に対して直接的または間接的に最外部に配設される外装体とを備えた吸収性物品であって、前記外装体は、前記吸収体とは反対面側に、前記吸収体の幅方向中央部において前記吸収体の長手方向に沿って前記外装体の一部を谷折りした状態で保持可能である保持手段および前記外装体の谷折りさせるべき部位が認識できるマーカーを備えている吸収性物品である。
【選択図】図1

Description

本発明は、漏れを減少させかつフィット感を向上させることが可能な吸収性物品に関するものである。
近年、乳幼児用、或いは高齢者・障害者用のおむつとして、吸収体と、吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えた使い捨ておむつが汎用されている。この使い捨ておむつは、トップシートの表面を着用者の肌に接するように宛がって使用することにより、着用者の排泄した尿はトップシートを透過して、吸収体によって吸収・保持されるとともに、防漏性に優れたバックシートによって、排泄物のおむつ外部への漏洩が防止されるというものである。
しかしながら、前記のような構成の使い捨ておむつでは、トップシートとバックシートとの間に吸収体が長手方向に沿って平坦に位置しているため、股下部分で吸収面も平坦になり、液の流れが定まらず、吸収体の本来の機能が有効に作用しないで横漏れの原因となり、液漏れが生じないように吸収体の幅を広くすると装着時に肌との密着性が悪く、違和感が生じる問題を有している。
そこで、おむつの装着時に常に一定の褶曲部が形成され、おむつ本体の長手方向および幅方向への液の拡散性が向上し、股下域付近での液を吸収するための比表面積を広くし、かつ、吸収体が股下域にて肌と密着し、液漏れを防止できるとともにおむつの使用時の違和感を軽減できる使い捨ておむつが提案されている(特許文献1)。
また、実質的に縦長の吸収体において、幅方向中央部において長手方向に沿って位置する折り曲げ部を配設して、フィット性及び吸収力を促進することが提案されている(特許文献2)。
特許第3501635号公報 特許第3859308号公報
これらの文献に記載されたおむつ等においては、一定程度の液漏れ防止、違和感の低減、フィット性の向上、吸収力の促進を期待することができる。しかしながら、実際の着用者の体型や、麻痺の有無等により脚周りの太さが違う等の個体差に十分に対応することはできないという課題を有する。また、特許文献1または2の技術では、製造工程が複雑となりコスト増となるという課題を有する。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下に示す特定の構成によって、上記課題を解決することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下に示す吸収性物品が提供される。
[1] 吸収体と、前記吸収体の一方の面を被覆する、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の他方の面に、前記吸収体に対して直接的または間接的に最外部に配設される外装体とを備えた吸収性物品であって、前記外装体は、前記吸収体とは反対面側に、前記吸収体の幅方向中央部において前記吸収体の長手方向に沿って前記外装体の一部を谷折りした状態で保持可能である保持手段および前記外装体の谷折りさせるべき部位が認識できるマーカーを備えている吸収性物品。
[2] 前記保持手段が粘着面である上記[1]に記載の吸収性物品。
[3] 前記粘着面が剥離紙で覆われている上記[2]に記載の吸収性物品。
[4] 前記剥離紙が部分的に剥離可能である上記[3]に記載の吸収性物品。
本発明の吸収性物品においては、外装体に、吸収体の幅方向中央部において前記吸収体の長手方向に沿って外装体の外面の一部を谷折りした状態で保持可能である保持手段が配設されているので、着用者は、必要により任意に、吸収体の幅方向中央部において吸収体の長手方向に沿って外装体の一部を谷折りした状態で保持させることができ、これによりトップシートに、吸収体の幅方向中央部において前記吸収体の長手方向に沿って凸状の部位を形成させることができる。この凸状の部位は、着用者の排尿口(股下)に沿っているので、身体とトップシートとの間の空間を少なくすることができ、排泄された排泄物は速やかにトップシートを介して吸収体に吸収させることができる。また、この凸状の部位は着用者の排尿口(股下)に沿っているので、着用者に良好なフィット感を与える。さらに、この凸状の部位を必要としない場合には、形成させないことを選択することもできる。
さらに、本発明の吸収性物品においては、外装体において、外装体を谷折りさせるべき部位が認識できるマーカーを備えているので、着用者はマーカーに従って外装体を谷折りすることにより、容易に排尿口(股下)に沿った谷折りの部位を形成させることができ、これによりトップシートに排尿口(股下)に沿った凸状の部位を形成させることができる。
また、保持手段としての粘着面を備えた本発明の一実施形態に係る吸収性物品は、上記のメリットに加えて、製造者にとっては安価に製造でき、また薄くコンパクトな状態で包装できるので保管・運搬しやすいというメリットを有し、同時に着用者にとっては、手軽に外装体の一部を谷折りした状態で保持させることができるというメリットを併せ持つ。
粘着面が剥離紙で覆われている本発明の一実施形態に係る吸収性物品は、上記のメリットに加えて、取り扱いが容易であるというメリットを有する。
剥離紙が部分的に剥離可能である本発明の一実施形態に係る吸収性物品は、上記のメリットに加えて、剥離紙を部分的に剥離させることにより、トップシートの凸状の部位の形状を調節することができ、容易に着用者の体型や、麻痺の有無等により脚周りの太さが違う等の個体差により合わせた形状とすることができる。
以下、本発明の吸収性物品を実施するための最良の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える吸収性物品を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
[1]本発明の吸収性物品の構成:
本発明の吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体の一方の面を被覆する、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の他方の面に、前記吸収体に対して直接的または間接的に最外部に配設される外装体とを備えた吸収性物品であって、前記外装体は、前記吸収体とは反対面側に、前記吸収体の幅方向中央部において前記吸収体の長手方向に沿って前記外装体の一部を谷折りした状態で保持可能である保持手段および前記外装体の谷折りさせるべき部位が認識できるマーカーを備えて構成されているものである。
吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつにおいては、吸収体が排尿口から遠いので尿速の勢いで拡散しやすい。これに対し、本発明の吸収性物品の第一の実施形態である使い捨ておむつ1においては、図1および図3に示すように、外装体としてのバックシート20の外側(吸収体22とは反対側)に、前記吸収体22の幅方向中央部において前記吸収体22の長手方向に沿って保持手段としての粘着面52が配設されている。そして、この粘着面52は剥離紙54により粘着面52が外部から保護されている。さらに、図1および図3に示すように、外装体としてのバックシート20の外側には、前記吸収体22の幅方向中央部において前記吸収体22の長手方向に沿ってマーカー50が配設されている。このため、着用者は、任意に前記剥離紙54を剥がして、前記マーカー50に沿って、マーカー50の両側の粘着面52を互いに貼り合わせることにより、図4に示すように、トップシート18に着用者の個体差に合わせて凸部を形成することができる。この構成により、排泄された尿は、速やかに吸収体中に移行する。また、着用者に対して良好なフィット感を与える。
[1−1]外装体:
(1−1−1)バックシート
本発明の一実施形態である使い捨ておむつにおける外装体としてのバックシートは、着用者の身体を被包するための装着機能を担う部材であり、具体的には、前身頃、股下部及び後身頃の各部を形成するシート状の部材である。バックシートは、吸収体の下面(おむつの装着時において着用者の着衣側に位置する面)を被覆するように配置される。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
(1−1−2)カバーシート
バックシートには、その外表面側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。なお、カバーシートを採用した本発明の一実施形態においては、カバーシートが外装体となる。図14は、カバーシート16を採用した本発明の第八の実施形態を示す図面である。
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
[1−2−1]保持手段:
本発明の一実施形態である使い捨ておむつにおける外装体は、保持手段を備える。保持手段は、外装体の外側面(以下説明する吸収体とは反対側の面)において、吸収体の幅方向中央部において吸収体の長手方向(おむつの幅方向中央部においておむつの縦方向)に沿って前記外装体の一部を谷折りした状態で保持可能である。
保持手段としては、上記図1〜4に示されたような、バックシート20の外側に、前記吸収体22の幅方向中央部において前記吸収体22の長手方向に沿って(おむつの縦方向の中心線に沿って)配設された粘着面52を例示することができる。図5は、本発明の吸収性物品の第二の実施形態である使い捨ておむつを展開し、おむつの外装体側から見た状態を示す平面図である。図5に示すとおり、保持手段をおむつの縦方向の中心線よりもずらして配設しても良い。この場合には、粘着面同士が貼り合わされるのではなく、粘着面と、粘着面が配設されていない外装体面とが貼り合わされることになる。このように構成しても本発明の効果を奏する。
また、保持手段としての粘着面52は上記図1および図5で示したような矩形形状に限定されない。図9は、本発明の吸収性物品の第六の実施形態に使用する保持手段としての粘着面の様子を示す模式的平面図である。図9に示すような、長さ方向において幅狭部と幅広部とを有する粘着面52を採用すると、おむつ内部に高さの異なる凸部を形成することが可能となり、よりフィット性を高めることができる。また、保持手段としての粘着面52の形状はこれら以外の形状とすることもできる。たとえば、ひし形形状とすれば、長さ方向中央部が盛り上がった凸部をおむつ内部に形成することができるし、ひょうたん形状または砂時計形状とすれば、長さ方向両端が盛り上がった凸部をおむつ内部に形成することができる。
本発明における保持手段は上記で説明した粘着面に限られず、外装体の外側面において、外装体の一部を谷折りした状態で保持可能であればいずれでも良い。例えば、メカニカルテープ等の手段であっても良い。
[1−2−2]剥離紙:
本発明の吸収性物品は、保持手段として粘着面を採用する場合には、粘着面の外装体とは反対側に剥離紙を配設しても良い。剥離紙は着用者により任意に剥がされるまで、保持手段としての粘着面を保護する作用を有する。図1に示すように、剥離紙54は、粘着面52と相似形でかつ粘着面52よりもやや大きい形状が好ましい。
剥離紙には、図7および図8に示すように横方向または縦方向にミシン目を入れても良い。図7は本発明の吸収性物品の第四の実施形態に使用する保持手段としての粘着面と剥離紙の様子を示す模式的平面図である。この実施形態によれば、剥離紙を必ずしも全て剥がす必要は無くなり、必要に応じて、剥離紙をミシン目に沿って一部分だけ切り取って剥がすことにより、外装体の一部分だけを粘着面により貼付することが可能となる。これにより、着用者の体型、麻痺等の症状等にあわせて各個人の状態に適したおむつ内部の位置に凸部を局所的に設けることが可能となり、個人差に合わせたフィット性を付与することが可能となる。
図8は、本発明の吸収性物品の第五の実施形態に使用する保持手段としての粘着面と剥離紙の様子を示す模式的平面図である。この実施形態によれば、剥離紙を必ずしも全て剥がす必要は無くなり、必要に応じて、剥離紙をミシン目に沿って一部分だけ切り取って剥がすことにより、外装体の一部分だけを粘着面により貼付することが可能となる。これにより、着用者の体型、麻痺等の症状等にあわせて各個人の状態に適したおむつ内部の位置に凸部の高さを調節して設けることが可能となり、個人差に合わせたフィット性を付与することが可能となる。
なお、図7および図8のミシン目は両方同時に配設しても良い。この場合には、おむつ内部の凸部を局所的に設けることが可能となり、かつ、おむつ内部の凸部の高さを調節することが可能となる。この構成によれば、より個人差に合わせたきめの細かいフィット性を付与することが可能となる。
[1−3]マーカー:
本発明の一実施形態である使い捨ておむつにおける外装体は、マーカーを備える。マーカーは、外装体の外側面(以下説明する吸収体とは反対側の面)において、吸収体の幅方向中央部において吸収体の長手方向(おむつの幅方向中央部においておむつの縦方向)に沿った線を指示可能である。マーカーとしては図1に示すように、外装体としてのバックシート20の外側面において、吸収体22の幅方向中央部にインク等で実際に引いた線を例示することができる。このように形成すれば、着用者は容易に外装体の谷折りすべき部位を特定することができ、手軽におむつ内部に凸部を形成させることができる。なお、マーカーとしては、外装体の外側面において、吸収体の幅方向中央部にインク等で実際に引いた線に限定されず、着用者が外装体の外側面における吸収体の幅方向中央部付近を谷折りする際の目印となるものであればいずれでも良い。例えば、外装体の外側面における吸収体の幅方向中央部を挟んだ両側面の重ね合わせるべき部位をインク等で示したものであっても良い。また、粘着材に着色したものを用いることにより、重ね合わせる粘着面が容易に認識できるものであっても良い。さらに、マーカーの位置は、外側から視認可能であれば、一番外側に限らず、カバーシートの内側、バックシートの外側、内側、吸収体の下面に配置される親水性シートの外側、内側でもよい。
上記マーカーにはさらに、目盛りを設けてもよい。図6は本発明の吸収性物品の第三の実施形態である使い捨ておむつを展開し、おむつの外装体側から見た状態を示す平面図である。図6においては、外装体の外側面における吸収体の幅方向中央部を示すマーカー50に加えて、股下を示す股下ライン56が配設されている。さらに、マーカー50および股下ライン56には、目盛り58が配設されている。マーカー50に設けられた目盛り58により着用者はおむつ内面の凸部の長さを調節する目安とすることができる。また、股下ライン56に設けられた目盛り58により着用者はおむつ内面の凸部の高さを調節する目安とすることができる。
[1−4]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材で、吸収性材料によって構成される。
吸収体を構成する吸収性材料としては、使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に通常使用される従来公知の吸収性材料、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウムを、親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。
これらの吸収性材料は、通常、単層ないしは複層のマット状として用いられる。この際、前記の吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装されることが好ましい。通常、吸収体は、トップシートとバックシートの間に挟み込まれ、その周縁部が封着されることによって、トップシートとバックシートとの間に介装される。従って、吸収体の周縁部にはトップシートとバックシートの間に吸収体が介装されていないフラップ部が形成されることになる。
吸収体は、その全体が親水性シートによって包み込まれていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
吸収体の形状については特に制限はないが、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。
[1−5]トップシート:
本発明の一実施形態である使い捨ておむつにおけるトップシートは、吸収体の上面(おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その下面側に配置された吸収体に、着用者の尿を吸収させる必要から、その少なくとも一部(全部ないし一部)が液透過性材料により構成される。
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。例えば、テープ型おむつにおいては、おむつの中央部には液透過性材料からなるトップシート(センターシート)を配置し、おむつのサイドフラップ部分には撥水性材料からなるトップシート(サイドシート)を配置する形態がよく利用される。
[1−6]立体ギャザー:
立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。この立体ギャザーを形成することにより、トップシートの上に尿が排泄され、トップシートを伝って尿が拡散してしまった場合でも、立体ギャザーが防波堤となり、おむつの脚周り開口部等からの漏れ(いわゆる「横漏れ」)を有効に防止することができる。
立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、シート材の一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
立体ギャザーを構成するシート材としては、立体ギャザーの防漏性を向上させるという観点から、撥水性材料を用いる。撥水性材料としては、スパンボンドやカードエンボス等の不織布を用いてもよいが、耐水圧が高いという理由から、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)等の不織布を用いることが好ましい。
立体ギャザーは、トップシートやバックシートを折り返すことにより形成することができる。また、立体ギャザーは、トップシート、バックシート等とは全く別個のシート材を貼り合わせて形成することができる。
立体ギャザーは、尿の横漏れを防止するという目的から、吸収体の両側に形成されていることが好ましい。中でも、吸収体の両側縁部に沿って形成されていることが好ましい。こうすることにより、トップシート上に尿が排泄され、瞬時に吸収しきれなかった尿がトップシート表面を伝って尿が拡散してしまった場合でも、立体ギャザーが確実に防波堤としての機能を果たし、脚周り開口部からの横漏れを有効に防止することができる。
例えば、図1〜図3に示す使い捨ておむつ1の場合には、吸収体22の両側縁部までセンターシート18が配置されており、立体ギャザー26をそのセンターシート18の両側縁、即ち、吸収体22の両側縁に沿って形成した例である。なお、図1〜図3に示す使い捨ておむつ1は、立体ギャザー26が吸収体22の両側縁全域に渡って形成された例であるが、尿の横漏れを防止するという目的から、少なくともおむつの股下部に相当する部分に配置されていればよい。
なお、使い捨ておむつにおいては、少なくとも一対の立体ギャザーが形成されていることが好ましいが、二対以上形成されていてもよい。
[1−7]各種伸縮材:
使い捨ておむつにおいては、脚周り伸縮材を配置したり、ウエスト周り伸縮材を配置することがよく知られている。
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。従って、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつの背・腹側からの漏れが防止される。
なお、図1〜図3に示す使い捨ておむつ1は、脚周り開口部の周縁には脚周り伸縮材40を配置し、ウエスト周り開口部の周縁にはウエスト周り開口部の近傍にウエスト周り伸縮材42を配置した例である。
これらの伸縮材としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等をあげることができる。そして、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を決定すればよい。
[1−8]その他の実施形態:
本発明の吸収性物品の一実施形態に係る使い捨ておむつにおいては、上記の構成に加えて、トップシートおよび/または外装体にエンボスを設けても良い。図10〜図13は本発明の吸収性物品の第七の実施形態である使い捨ておむつを示す概略図である。図10および図12に示すように外装体としてのバックシート20の外側面における吸収体の幅方向中央部を示すマーカーとしてエンボスを採用することにより、マーカー兼用エンボス62をバックシート20の外側に配設し、図11および図12に示すようにトップシートの長さ方向中央部の両側やや離れた部位にエンボス64を配設しても良い。これにより、図13に示すように、容易にバックシート20の所定部位を谷折り状にすることができ、容易におむつの内面に凸部を形成することができる。
なお、「テープ型使い捨ておむつ」とは、図1〜図3に示すように、吸収体と、吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えるとともに、前身頃、股下部及び後身頃の各部から構成されており、後身頃の左右の各側縁から延出するように配置され、前身頃と後身頃とを固定するための止着テープ10を更に備え、止着テープによっておむつの前身頃と後身頃とを相互に固定し得る使い捨ておむつを意味するものとする。止着テープの先端側領域にはメカニカルファスナーのフック材46を、おむつの前身頃の部分にフロントパッチとしてメカニカルファスナーのループ材47を配置してもよい。
また、「パンツ型使い捨ておむつ」とは、前身頃と後身頃の対応する側縁部同士を接合することによって、一つのウエスト周り開口部及び一対の脚周り開口部が形成され、予めパンツ型に構成されたおむつを意味するものとする。
更に、「1ピースタイプ」とは、トップシート、バックシート、吸収体を備えているが、吸収・保持機能を担う吸収体がトップシートとバックシートの間に介装(内蔵)され、装着機能を担うトップシート及び/又はバックシートと一体的に構成されたタイプのおむつを意味するものとする。
一方、「2ピースタイプ」とは、着用者の排泄物を吸収し、保持する機能(吸収・保持機能)を担う吸収性本体と、着用者の身体を被包する機能(装着機能)を担う外装体とから構成され、外装体の内側に吸収性本体が配置されたタイプのおむつを意味するものとする。ここで「吸収性本体」とは、吸収体、トップシート及びバックシートを構成要素として備えた部材である。
本発明の吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体の一方の面を被覆する、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の他方の面に、前記吸収体に対して直接的または間接的に最外部に配設される外装体とを備えた吸収性物品であって、前記外装体は、前記吸収体とは反対面側に、前記吸収体の幅方向中央部において前記吸収体の長手方向に沿って前記外装体の一部を谷折りした状態で保持可能である保持手段および前記外装体の谷折りさせるべき部位が認識できるマーカーを備えている点に特徴があり、前記吸収体、前記トップシート、前記所定の外装体および前記保持手段を備えている限り、特に制限されるものではない。
例えば、テープ型の使い捨ておむつであってもよいし、パンツ型の使い捨ておむつであってもよい。また、パンツ型使い捨ておむつの場合には、それが1ピースタイプのものであってもよいし、2ピースタイプのものであってもよい。更には、使い捨ておむつに限らず、尿パッド等であってもよい。
尿パッドである本発明の一実施形態に係る吸収性物品は、前記トップシートと、前記吸収体と、前記外装体としてのバックシートとを備えており、前記保持手段は、前記外装体としてのバックシートを所定の形状に保持可能とすることができる。
[2]製造方法:
以下、本発明の使い捨ておむつを製造する方法の一例を、図1〜図3に示す吸収性物品としての使い捨ておむつ1(1ピースタイプのテープ型おむつ)を製造する場合の例により説明する。
[2−1]
バックシート20上面に、親水性シートに包まれた吸収体22及び脚周り伸縮材40を配置し、更にその上面にトップシート27を配置する。この際、トップシート27はセンターシート18とサイドシート15の2種類が使用される。サイドシート15は、一方の端部を折り返し、その折返し部分に、2本の立体ギャザー伸縮材36を挟み込んだ状態で貼り合わせることによって、立体ギャザー26が形成されている。また、バックシート20の幅方向中央部には、吸収体の長手方向に沿ってマーカー50となるラインがあらかじめ印刷されている。
[2−2]保持手段の製造:
バックシート20の外面の所定位置に、片面に剥離紙54が貼付されている粘着シートの剥離紙とは反対側の面を貼着する。
前記のような一連の工程は、機械的な手段によって連続的に行うことが可能である。例えば、長尺のシート材や伸縮材をローラーから連続的に送出する等の方法・装置を採用することにより、使い捨ておむつの連続製造が可能となり、生産性の向上に資する。
本発明の吸収性物品は、乳幼児用、或いは介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用の使い捨ておむつ及びその補助部材として好適に利用することができる。
本発明の吸収性物品の第一の実施形態である使い捨ておむつを展開し、おむつの外装体側から見た状態を示す平面図である。 本発明の吸収性物品の第一の実施形態である使い捨ておむつを展開し、おむつのトップシート側から見た状態を示す平面図である。 本発明の吸収性物品の第一実施形態である使い捨ておむつの概略断面図であり、図2に示す使い捨ておむつをX−X’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。 本発明の吸収性物品の第一の実施形態である使い捨ておむつの概略断面図であり、図3に示す使い捨ておむつを保持手段により保持させた状態を示す図である。 本発明の吸収性物品の第二の実施形態である使い捨ておむつを展開し、おむつの外装体側から見た状態を示す概略平面図である。 本発明の吸収性物品の第三の実施形態である使い捨ておむつを展開し、おむつの外装体側から見た状態を示す概略平面図である。 本発明の吸収性物品の第四の実施形態に使用する保持手段としての粘着面と剥離紙の様子を示す模式的平面図である。 本発明の吸収性物品の第五の実施形態に使用する保持手段としての粘着面と剥離紙の様子を示す模式的平面図である。 本発明の吸収性物品の第六の実施形態に使用する保持手段としての粘着面の様子を示す模式的平面図である。 本発明の吸収性物品の第七の実施形態である使い捨ておむつを展開し、おむつの外装体側から見た状態を示す概略平面図である。 本発明の吸収性物品の第七の実施形態である使い捨ておむつを展開し、おむつのトップシート側から見た状態を示す概略平面図である。 本発明の吸収性物品の第七の実施形態である使い捨ておむつの概略断面図であり、図11に示す使い捨ておむつをY−Y’線に沿って切断した断面を模式的に示す概略断面図である。 本発明の吸収性物品の第七の実施形態である使い捨ておむつの概略断面図であり、図12に示す使い捨ておむつを保持手段により保持させた状態を示す図である。 本発明の吸収性物品の第八の実施形態である使い捨ておむつの概略断面図である。
符号の説明
1:使い捨ておむつ(吸収性物品)、10:止着テープ、15:サイドシート、16:カバーシート、18:センターシート、20:バックシート、22:吸収体、26:立体ギャザー、27:トップシート、36:立体ギャザー伸縮材、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、46:フック材、47:ループ材、50:マーカー、52:粘着面(保持手段)、54:剥離紙、56:股下ライン、58:目盛り、60:ミシン目、62:マーカー兼用エンボス、64:エンボス。

Claims (4)

  1. 吸収体と、前記吸収体の一方の面を被覆する、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の他方の面に、前記吸収体に対して直接的または間接的に最外部に配設される外装体とを備えた吸収性物品であって、
    前記外装体は、前記吸収体とは反対面側に、前記吸収体の幅方向中央部において前記吸収体の長手方向に沿って前記外装体の一部を谷折りした状態で保持可能である保持手段および前記外装体の谷折りさせるべき部位が認識できるマーカーを備えている吸収性物品。
  2. 前記保持手段が粘着面である請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記粘着面が剥離紙で覆われている請求項2に記載の吸収性物品。
  4. 前記剥離紙が部分的に剥離可能である請求項3に記載の吸収性物品。
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