以下、本発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
また、本明細書において、「前身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分、「股下部」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の股下を覆う部分、「後身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分及びこの背側を覆う部分から腹周り方向に延出された腹周りを覆う部分を意味するものとする。
[1]本発明の使い捨ておむつの構成:
図1は、本発明の使い捨ておむつの一の実施形態を示す平面図であり、トップシート側から見た状態を示す図である。図2Aは、図1に示す使い捨ておむつの着用状態を示す正面図であり、図2Bは、図1に示す使い捨ておむつの着用状態を示す背面図である。また、図3は、本発明の使い捨ておむつの一の実施形態を示す概略断面図であり、図1に示す使い捨ておむつをA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
図1、図2A、図2B、及び図3に示すように、本発明の使い捨ておむつ1は、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成され、吸収体22と、吸収体22の上面を被覆するように配設された、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体22の下面側を被覆するように配設された、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えた使い捨ておむつ1である。この使い捨ておむつ1の後身頃6は、着用者の背側を覆う部分及びこの背側を覆う部分から腹周り方向に延出された腹周りを覆う部分を構成する外装部材16によって形成されている。
そして、本発明の使い捨ておむつ1は、後身頃6の左右の側縁近傍にそれぞれ配置された、又は後身頃6の左右の側縁から少なくとも1つずつ延出された、後身頃6と前身頃2とを固定するための止着部材13と、前身頃2の左右の側縁近傍に付設され、左右の止着部材13をそれぞれ止め付ける被止着領域15と、おむつの後身頃6の腹周り方向Xに沿って配設された、複数の腹周り伸縮材42とを更に備えている。
上述した本発明の使い捨ておむつ1の腹周り伸縮材42は、伸張率100〜500%の範囲内で繰り返し伸縮を行った際に、2往復目往路における300%伸張時の引張力が40gf以下のゴムからなる長尺の伸縮材が、吸収体22の配置領域と重ならない領域において伸張率300〜500%の範囲内で配置されたものである。
本発明の使い捨ておむつは、展開した状態のおむつを着用者に宛がって、上記止着部材を被止着領域に止め付けることによってパンツ型のおむつとして使用する使い捨ておむつである。このため、従来のテープ型おむつと同様に、衣服を全て脱がずとも、おむつの着脱が可能であるとともに、一旦おむつを着用した後は、パンツ型おむつと同様に、着用したまま(即ち、止着部材によって前身頃と後身頃を固定したまま)でおむつの上げ下げを容易に行うことができる。このため、例えば、排泄の介護が必要な着用者であっても、また、トイレでの排泄を自らでも行うことが可能な着用者であっても共に良好に使用することができる。
本発明の使い捨ておむつは、後身頃の腹周り方向に沿って配設された腹周り伸縮材として、特定の伸張率の長尺の伸縮材が用いられているため、様々な体型の着用者に対応可能なフィット性に優れたものである。
図1、図2A、図2B、及び図3に示す使い捨ておむつ1は、後身頃6の側縁側の部分によっておむつのサイドフラップが構成され、後身頃6の左右の側縁6a,6bから少なくとも1つずつ延出された止着部材13を、着用者腹側の前身頃2の対応する被止着領域15にそれぞれ止着して、後身頃6と前身頃2とを固定してパンツ型のおむつとして用いることができる。
本発明の使い捨ておむつ1は、上記被止着領域15が、前身頃2の左右の側縁近傍にそれぞれ付設されており、左右それぞれの止着部材13を前身頃2にて止着する止着位置が、腹周り方向において固定されている。そして、本発明の使い捨ておむつ1においては、腹周り伸縮材42として、特定の伸張率の長尺の伸縮材が用いられているため、腹周り方向におけるフィット性を良好なものとすることができる。
[1−1]各種伸縮材:
本発明の使い捨ておむつは、少なくとも腹周り伸縮材が後身頃の腹周り方向に沿って配置されている。腹周り伸縮材は、ウエスト周り開口部と脚周り開口部との間の部分(即ち、着用者の腹周りに相当する部分)に少なくとも配置される伸縮材である。腹周り伸縮材を配置することによって、着用者の腹周りに伸縮性に富むギャザー(タミーギャザー)を形成することができる。なお、腹周り伸縮材としては、着用者の腹周りに配置されるタミーギャザーに限定されることはなく、着用者のウエスト周りまで配置されていてもよい。このような場合には、腹周り伸縮材が、タミーギャザーとウエストギャザーとの両方の機能を果たすこととなる。このように構成することによって、おむつのフィット性やずり落ち防止効果を一層優れたものとすることができる。なお、本発明の使い捨ておむつにおいては、タミーギャザーとしての腹周り伸縮材とは別に、ウエスト周り開口部にウエストギャザーを別途配置してもよい。
本発明の使い捨ておむつにおいては、腹周り伸縮材は、伸張率100〜500%の範囲内で繰り返し伸縮を行った際に、2往復目往路における300%伸張時の引張力が40gf以下のゴムからなる長尺の伸縮材(以下、「長尺伸縮材」ということがある)が、吸収体の配置領域と重ならない領域において、伸張率300〜500%で連続的に配置されている。
伸張率100〜500%の範囲内で繰り返し伸縮を行った際に、2往復目往路における300%伸張時の引張力が40gf以下のゴムを用いると、ゴムを高い伸張率で配置したとしても、ゴムはまだ十分な伸び代を有していることになる。従って、着用者が太めの体型であっても、身体を締め付け過ぎることがない。また、このようなゴムは柔軟で伸縮性に富むため、着用者に対しておむつを脱がせ易い(或いは、着用者がおむつを脱ぎ易い)という利点もある。このような特性のゴムとしては、例えば、アサヒテック社製の「シルバークイーン」(商品名)を挙げることができる。
一方、長尺伸縮材は、300%伸張時の引張力が10gf未満であると、十分な強度が得られず、操業時に破断することがあるという問題があり、300%伸張時の引張力が10gf以上である。また、300%伸張時の引張力を10gf以上とすることにより、細め体型の着用者に対しても良好なフィット性を発揮させることができ、おむつのずり落ちを効果的に防止することができる。これらの効果をより確実に得るためには、300%伸張時の引張力が12〜35gfのゴムを用いることがより好ましい。
なお、ここにいう「300%伸張時の引張力」とは、テンシロン引張試験機を用い、前記長尺伸縮材を伸張率100〜500%の範囲内で繰り返し伸縮を行った際に、2往復目往路における300%伸張時において測定される引張力を意味するものとする。300%伸張時の引張力を基準としたのは、使用状態における平均的な伸張率を想定したものである。また、2往復目の引張力を測定するのは、長尺伸縮材はおむつの製造時において伸張状態で配置されるため、これを「1回目の伸張」と考えれば、着用者におむつをはかせる際には「2回目の伸張」が行われると考えられるからである。
また、「長尺伸縮材を伸張率100〜500%の範囲内で繰り返し伸縮を行う」とは、長尺伸縮材を、非伸張状態から、伸張率500%まで伸縮させた後、非伸張状態へ戻すまでの操作を1回の伸縮とする、繰り返し伸縮のことをいう。
また、本発明の使い捨ておむつは、腹周り伸縮材が、伸張率100〜500%の範囲内で繰り返し伸縮を行った際に、2往復目復路における300%伸張時の引張力が、2往復目往路における300%伸張時の引張力の75%以上の値を示すゴムからなるものである。換言すれば、繰り返し伸縮を行っても、引張力が減殺され難いゴムからなるものである。
一般に、ゴムを繰り返し伸縮させると、ゴムが伸びきってしまい、完全に元の状態には戻らなくなる。これに対し、前記ゴムは、繰り返し伸縮の2往復目においても高い引張力が維持される特性を有するものである。このような特性を有するゴムを用いることにより、着用時においてもゴムが伸びきらず、適正な締め付け力を発揮させることが可能となる。
なお、繰り返し伸縮時の引張力は、既に説明した「300%伸張時の引張力」と同様の測定方法により測定することができる。
長尺伸縮材を構成するゴムとしては、伸張率100〜500%の範囲内で繰り返し伸縮を行った際に、2往復目往路における300%伸張時の引張力が40gf以下のゴムである限り、天然ゴム、合成ゴム等、いかなる材質のゴムでも用いることができる。例えば、柔軟性・伸縮性に富む天然ゴムを構成成分として含有するゴム、或いはこれと同様の柔軟性・伸縮性を有する合成ゴム等を挙げることができる。これらのゴムを含有する伸縮材は、フィット性と柔らかさという、相反する特性を兼ね備えた使い捨ておむつを提供することが可能となる点において好ましい。
長尺伸縮材の形態についても特に制限はなく、糸ゴム、平ゴム等の形態を採用することができる。従来、腹周り伸縮材としては、糸ゴムが用いられてきたが、糸ゴムは細い糸が撚られた撚糸であるため、後述するような伸縮材を配置した後に切断する方法を採用すると、全ての糸を切断しきれない場合があり、条件によっては伸縮材の切り残しが発生するおそれがある。従って、本発明の使い捨ておむつには、平ゴムを用いることが好ましい。平ゴムは一本のゴムが一体的な構造物から構成されており、糸ゴムのように細い糸が撚り合わされているわけではない。従って、糸ゴムのように全ての糸を切断しきれずに切り残しが発生するということはない。特に、後述するように高い伸張率で伸縮材を配置した状態で伸縮材を切断する場合には、伸縮材の一部に切れ目が入りさえすれば、ゴムの伸長応力によってその切れ目が伸展し、伸縮材が引き裂かれるため、容易かつ確実に伸縮材を切断することができるという利点がある。
長尺伸縮材として平ゴムを用いる場合、ゴムの幅が0.2〜1.3mmのものが好ましく、繊度が1400〜5000dtexのものが好ましい。
本発明の使い捨ておむつにおける腹周り伸縮材は、長尺伸縮材が伸張率300〜500%で連続的に配置され、少なくとも吸収体の配置領域と重ならない領域に塗布された接着剤により固定された後、吸収体の配置領域と重なる領域において切断されたものであることが好ましい。
例えば、図1に示すように、吸収体22が、後身頃6におけるおむつの腹周りを構成する領域にまで延長して配置されている場合には、吸収体22の配置領域は図1におけるY(吸収体の配置領域Y)の範囲であり、長尺伸縮材は、後身頃6における吸収体22の配置領域と重ならない領域Z、即ち、吸収体22の両側縁よりも外方の領域において、伸張率300〜500%の範囲内で配置されることとなる。なお、吸収体の配置領域Yにおける長尺伸縮材は、上述したように、接着剤等により固定された後、切断されていることが好ましい。このため、吸収体の配置領域Yにおける長尺伸縮材は、伸張率100%(非伸張状態)であることが好ましい。
なお、図4に示す使い捨ておむつ1aのように、腹周り伸縮材42が配置された領域に吸収体22が配置されていない場合には、腹周り伸縮材42は、おむつの腹周りを構成する全領域が吸収体の配置領域と重ならない領域Zとなるため、腹周り伸縮材42を構成する長尺伸縮材は、伸張率300〜500%の範囲内で配置されることとなる。このように、本発明の使い捨ておむつにおいては、吸収体の配置領域と重ならない領域において、伸張率300〜500%の範囲内で腹周り伸縮材を構成する長尺伸縮材が配置されている。ここで、図4は、本発明の使い捨ておむつの他の実施形態を示す平面図であり、トップシート側から見た状態を示す図である。
上記したように、吸収体の配置領域と重なる領域において、腹周り伸縮材を切断することにより、吸収体に対して伸縮力が作用し、吸収体が収縮してしまう不具合を防止することができる。従って、おむつのフィット性や着用感に優れ、更に従来の使い捨ておむつと比較して、製造も容易である。即ち、製造に際し、伸縮材をシート状の支持体に接合した伸縮テープを作成する工程が不要であり、この伸縮テープを間欠的に不織布シートに配置する必要もないために、簡素な工程で製造することができ、高い生産性で生産することができる。
なお、吸収体の配置領域と重なる領域にて腹周り伸縮材を切断する場合、伸縮材を吸収体の配置領域において、各々の伸縮材の一部分のみを切断することが好ましい。即ち、一本の腹周り伸縮材につき、一部分のみを切断するとよい。こうすることで、伸縮材の切断片が多数形成されることがなくなり、伸縮材の切断に伴う製品外観の不良を防止することが可能となる。
なお、本明細書において、「一部分のみを切断する」というときは、伸縮材の一箇所のみを切断する場合は勿論のこと、至近の領域において複数箇所を切断する場合も含むものとする。例えば、後述する伸縮材切断ロールを用いた場合、第1ロールの隣接する複数の切断突起によって、一本の伸縮材について複数箇所が切断される場合も生じ得る。しかしながら、このように極めて限定された領域において、伸縮材が複数箇所切断された場合には、伸縮材の切断片が多数残存し、製品外観を低下させることはない。
また、長尺伸縮材を配置する際に、300%以上の高い伸張率で配置・固定することによって、着用者が細め体型の場合でも、身体からずり落ち難くすることができ、良好なフィット性を得ることができる。
一方、伸張率は500%以下で配置する。500%以下とすることにより、伸縮材を引き伸ばすことが容易となり、おむつをはかせ易くなる。また、着用者に対して過度の締め付け力が作用することを回避し、着用時にきつい感じを与えたり、肌にゴムの跡がついたりする不具合を効果的に防止することができる。これらの効果をより確実に得るためには、長尺伸縮材を伸張率330〜470%で連続的に配置することがより好ましい。なお、「伸張率」とは、長尺伸縮材の非伸張状態の長さに対する、伸張状態の長さの比率(百分率)を示すものとする。即ち、長尺伸縮材の非伸長状態の伸縮率は100%であり、その伸縮材を2倍に伸張した場合の伸張率は200%となる。
例えば、図1、図2A、図2B、及び図3に示す使い捨ておむつ1は、図5及び図6に示す伸縮材切断ロール80によって、腹周り伸縮材42を吸収体の配置領域Yと重なる領域において切断した使い捨ておむつの例である。なお、図2Bの符号54は、腹周り伸縮材を構成する長尺伸縮材の切断痕である。
図5及び図6に示す伸縮材切断ロール80は、切断突起82(82a,82b,82c,82d,82e)を複数個有する第1ロール84と、前記第1ロール84と相対向するように配置された第2ロール70とを備えている。切断突起82はロールの回転軸(O−O’)方向に沿って区分された、複数の領域86(86a,86b,86c,86d,86e)に分割して配置されている。なお、図5の符号74は、外装部材を構成するシート材79を送り出すための送出ロールである。
腹周り伸縮材は、例えば、複数本の伸縮材が略平行となるように間隔を空けて配置される。この配置間隔については特に制限はないが、3〜10mm間隔で複数の伸縮材が配置されていることが好ましい。なお、良好なフィット性が得られる腹周り伸縮材の配置間隔としては、サイドフラップ幅の方向に、0.5〜3本/cmであることが好ましく、品質上の観点から、1〜2本/cmであることが更に好ましい。
また、図1に示す使い捨ておむつ1においては、後身頃及び腹周りを構成する腹周り外装部材16に対して吸収体22を配置した構成となっているが、例えば、図7に示すように、吸収体22に対して腹周り外装部材16を配置したものであってもよい。ここで、図7は、本発明の使い捨ておむつの他の実施形態を示す平面図であり、トップシート側から見た状態を示す図である。図7に示す使い捨ておむつ1bにおいて、図1に示した各要素と共通する要素については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。
また、図1及び図3に示す使い捨ておむつ1においては、腹周り伸縮材42を外装部材16を構成する2枚のシート材によって、腹周り方向全域に亘って挟持した構成となっているが、例えば、吸収体の配置領域と重ならない領域のみに腹周り伸縮材を配置する構成(即ち、吸収体の配置領域には、伸張状態の腹周り伸縮材を配置しない構成)の場合には、例えば、図示は省略するが、腹周り伸縮材を配置する領域(即ち、吸収体の配置領域と重ならない領域)のみ、外装部材を2枚のシート材によって形成し、吸収体の配置領域については外装部材を1枚のシート材によって形成してもよい。
本発明の使い捨ておむつにおいては、腹周り伸縮材の他、ウエスト周り伸縮材や脚周り伸縮材が配置されていてもよい。
ウエスト周り伸縮材は、本発明の使い捨ておむつにおける後身頃のウエスト周りに対応する部位に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、おむつ装着時におけるウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり落ちが防止される。
前記のように、ウエスト周り開口部に沿って伸張状態で連続的に配置されるウエスト周り伸縮材を備えている場合にあっては、腹周り伸縮材が配置される伸張率よりも、ウエスト周り伸縮材が配置される伸張率を低く構成することが好ましい。通常は、ウエスト周りからの排泄物の漏れを防止するべく、腹周り伸縮材よりもウエスト周り伸縮材の伸張率を高く構成することが一般的である。しかし、本発明においては、剛性の高い吸収体による伸縮力の減殺を考慮し、腹周り伸縮材よりもウエスト周り伸縮材の伸張率を低く構成することができる。ウエスト周り開口部の近傍には、吸収体は配置されないことがあるからである。これにより、着用者が太目体型の場合であっても、ウエスト周りが過度に締め付けられることを有効に防止することができることに加え、おむつをはかせ易く、脱がせ易いという本発明の効果を十分に発揮させることが可能となる。
図1、図2A、及び図2Bにおいては、後身頃6のウエスト周りに対応する部位に沿って、3本のウエスト周り伸縮材44が等間隔で配置された場合の例を示している。
また、図1に示す使い捨ておむつ1においては、おむつの脚周りを構成する部位に、脚周り伸縮材40(40a,40b)が配置された場合の例を示している。
本発明の使い捨ておむつにおいては、例えば、図8に示すように、使い捨ておむつ1cの全体形状に対応したカバーシート17を、おむつの裏面側に配置し、外装部材16とカバーシート17との間に、ウエスト周り伸縮材44や脚周り伸縮材40(図7参照)を配置してもよい。このように構成することによって、ウエスト周り伸縮材等の各伸縮材を良好に配置することができる。なお、図8に示す使い捨ておむつ1cにおいては、T字型のカバーシート17が用いられている。
ここで、図8は、本発明の使い捨ておむつの他の実施形態における、おむつを幅方向中心部分にて、おむつの長手方向に沿って切断した断面を示す断面図である。図8に示す使い捨ておむつ1cにおいて、図7に示した各要素と共通する要素については、図7と同一の符号を付して説明を省略する。
なお、本発明の使い捨ておむつにおいては、例えば、図9に示すように、吸収体22の下面にカバーシート17を配置し、且つ、立体ギャザー26の裾部をおむつの幅方向外側に延長させ、この立体ギャザー26の裾部とカバーシート17との間のおむつの脚周りに相当する部位に脚周り伸縮材40を配置してもよい。ここで、図9は、本発明の使い捨ておむつの他の実施形態を、吸収体の幅方向に股下部にて切断した断面を示す断面図である。図9に示す使い捨ておむつ1dにおいて、図1に示した各要素と共通する要素については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。
また、使い捨ておむつの裏面にカバーシートを配置した使い捨ておむつにおいては、例えば、図10A、及び図10Bに示すように、おむつの裏面にカバーシート17を配置して構成されたものであってもよい。ここで、図10Aは、本発明の使い捨ておむつの他の実施形態における、おむつの後身頃を幅方向に沿って切断した断面を示す断面図であり、図10Bは、本発明の使い捨ておむつの他の実施形態を示す概略断面図であり、図10Aに示す使い捨ておむつをE−E’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
また、本発明の使い捨ておむつにおいては、例えば、図11に示すように、腹周り伸縮材42を配置する領域(即ち、吸収体22の配置領域と重ならない領域)のみ、外装部材16を2枚のシート材によって形成し、吸収体22の配置領域については外装部材16を1枚のシート材によって形成し、更に、この外装部材16の裏面に、カバーシート17を配置してもよい。ここで、図11は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態における、おむつの後身頃を幅方向に沿って切断した断面を示す断面図である。図10A、図10B、及び図11に示す使い捨ておむつ1e,1fにおいて、図1に示した各要素と共通する要素については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。
[1−2]止着部材:
本発明の使い捨ておむつに用いられる止着部材は、おむつの後身頃と前身頃とを固定して、展開された状態のおむつをパンツ型として用いるための止着部材である。この止着部材は、おむつの後身頃の左右の側縁近傍にそれぞれ配置されるか、又は、後身頃の左右の側縁から少なくとも1つずつ延出されている。
図1、及び図2Aに示す本発明の使い捨ておむつ1においては、止着部材13として、後身頃6の左右の側縁6a,6bから延出された基材25の表面に、上記した止着部21が付設された止着テープ13aを備えている。この左右の止着テープ13aを、前身頃2の左右の側縁近傍に付設された対応する被止着領域15に止着することにより、ウエスト周り開口部27と、一対の脚周り開口部12a,12bとが形成されて、おむつ全体をパンツ型とすることができる。
本発明の使い捨ておむつ1においては、後身頃6の左右側縁6a,6bの止着部材13に対して、前身頃2の左右の側縁近傍にそれぞれ被止着領域15a,15bが付設されているため、腹周り方向における止着位置を所定の位置に定めることができる。
また、この止着部材13は着脱が可能であるため、衣服を全て脱がずともおむつの着脱が可能であるとともに、一旦着用した後は、パンツ型おむつと同様に、着用したままでおむつの上げ下げを容易に行うことができる。
この止着部材13に設けられた止着部21としては、例えば、メカニカルファスナーのフック材や、粘着剤からなる粘着層を挙げることができ、特に、メカニカルファスナーのフック材を好適に用いることができる。上記した「メカニカルファスナー(面状ファスナーとも称される)」とは、機械的結合を用いた面状ファスナーであり、例えば、表面に多数の突起(鉤状、きのこ状、錨状等)が形成された凸部材(フック材)と、表面にループ状の繊維が配置された凹部材(ループ材)とを組み合わせたもの等が用いられることが多い。このファスナーは、ループ材の表面にフック材を重ね合わせ、フック材の多数の突起をループ材の表面に係合させることにより、両部材を剥離可能な状態に、かつ、強固に固着させることができるものである。
止着部21を付設するための基材25については特に制限はなく、従来のテープ型おむつに用いられている止着テープ用の基材、例えば、プラスチックフィルムや、織布、不織布、フェルト等の布材からなる基材を用いることができる。
なお、図12に示す使い捨ておむつ1gのように、止着部材13が、後身頃6の左右の側縁6a,6b近傍にそれぞれ配置されたものである場合には、上記したメカニカルファスナーを止着部材13として、後身頃6の左右の側縁6a,6b近傍に付設すればよい。
また、図1に示すように、本発明の使い捨ておむつ1においては、止着部材13の先端側の部分に、被止着領域15(図2A参照)に止着されない非止着部からなる摘み部23を更に有するものであることが好ましい。このように構成することによって、止着部材13の着脱を容易に行うことができる。この摘み部23は、例えば、基材25の先端側の部分に止着部21を設けずにおくことによって形成することができる。
なお、図12に示すように、止着部材13が、後身頃6の左右の側縁6a,6b近傍にそれぞれ配置されたものである場合には、図示は省略するが、例えば、後身頃の左右の側縁から延出された摘み部を別途設けてもよい。
なお、止着部材を被止着領域に止着する際の止着方法については特に制限はなく、上記したメカニカルファスニングシステム(面状ファスナー)による止着方法以外にも、例えば、粘着剤による止着方法を用いてもよい。なお、図1においては、後身頃6の左右に、連続した2つの止着部分を有する止着テープ13aが配置されているが、この止着テープ13aの止着部21は非連続に形成されたものであってもよい。また、連続した2つの止着部21を有する止着テープ13aにおいて、その略中央に切り離し線が設けられていてもよい。なお、連続した2つの止着部を有する止着テープを用いる場合には、図1に示すように、S字カットされたものであることが好ましい。
また、図13に示すように、本発明の使い捨ておむつ1hにおける止着部材13としては、後身頃6の側縁6a,6bの後端部側の一部からそれぞれ延出されたものであってもよい。このように、後身頃6の側縁6a,6bの一部のみから止着部材13(止着テープ13b)が延出され、後身頃6の側縁6a,6bにおける股下部側には止着部材13が配置されない構成とすることによって、使い捨ておむつ1hを装着した際に、脚周りのフィット感を向上させることができるとともに、着用者の臀部を後身頃によって適切に包み込むことが可能となる。
なお、図12に示すように、止着部材13が、後身頃6の左右の側縁6a,6b近傍にそれぞれ配置されたものである場合であっても、例えば、図14に示す使い捨ておむつ1iのように、止着部材13は、後身頃6の左右の側縁6a,6bの後端部側の一部にそれぞれ配置されたものであってもよい。このように構成することによって、図13に示す使い捨ておむつ1hと同様の効果を得ることができる。
更に、本発明の使い捨ておむつにおいては、図15に示すように、後身頃6の左右の側縁6a,6b側部分がおむつのサイドフラップを構成し、サイドフラップの股下側端部に切込み部29が形成されていてもよい。このように構成することによって、図13に示す使い捨ておむつ1hと同様に、使い捨ておむつ1jを装着した際に、脚周りのフィット感を向上させることができるとともに、着用者の臀部を後身頃によって適切に包み込むことが可能となる。このような切込み部が形成されたものとすることによって、止着部材に用いられる止着部(例えば、メカニカルファスニングシステム)を大きく設計することができ、止着部の止着力を高め、おむつのずり落ちをより有効に防止することができる。また、切込み部が形成されることによって、脚周り開口部を広くすることができ、パンツ型にした状態のおむつがはき易くなる。
なお、図12に示すような後身頃6の左右の側縁6a,6b近傍に止着部材13が配置された使い捨ておむつ1gにおいても、上記した切込み部を設けることによって同様の効果を得ることができる。なお、上記切込み部は、サイドフラップの股下側端部に切れ目を入れて形成されたものであってもよいし、図15に示すように、股下側端部を一部切り欠いた切欠部として形成されたものであってもよい。
ここで、図13〜図15は、それぞれ本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態を示す平面図であり、トップシート側から見た状態を示す図である。図13〜図15に示す使い捨ておむつ1h,1i,1jにおいて、図1に示した各要素と共通する要素については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。
[1−3]被止着領域:
被止着領域は、上記した止着テープを止着する領域のことである。図1、図2A、図2B、及び図3に示す使い捨ておむつ1は、後身頃6の左右の側縁6a,6b近傍に配置された、又は後身頃6の左右の側縁6a,6bからそれぞれ延出された止着部材13を、着用者の脇腹を経由して前腹部側にて固定するためのものであるため、被止着領域15は前身頃2の外表面に付設されている。
本発明の使い捨ておむつにおいては、被止着領域は、前身頃の左右の側縁近傍にそれぞれ付設されており、左右の脇腹を経由して前腹部側に廻されたそれぞれの止着部材を、左右の被止着領域にてそれぞれ止着させることができるように構成されている。本発明の使い捨ておむつにおいては、後身頃の腹周り方向に沿って腹周り伸縮材が配置されているため、腹周り方向における伸縮性が担保されており、止着部材の腹周り方向における止着位置を調節する必要はなく、止着部材と被止着領域とが左右それぞれで一対一の関係で付設されている。
この被止着領域は、止着部材の止着部を止着することが可能なものであれば、その材質については特に制限はないが、例えば、止着部材の止着部がメカニカルファスナーのフック材である場合には、メカニカルファスナーのループ材からなるフロントパッチ等を用いることができる。また、メカニカルファスナーのフック材は、これと対応するメカニカルファスナーのループ材以外にも、織布、不織布、フェルト、パイル等の繊維状の表面を有する素材にも係合させることが可能であるので、メカニカルファスナーのループ材に代えて、これらの素材からなるシート材を用いて被止着領域を形成することができる。
また、止着部材の止着部が粘着剤からなる粘着層である場合には、この粘着層を止着することが可能な、その表面に粘着剤が剥離可能なコーティング処理を行ったフィルム等を用いることができる。
なお、被止着領域の大きさや形状については特に制限はないが、それぞれの止着部材における止着部の腹周り方向の幅と、それぞれの被止着領域における被止着部の腹周り方向の幅とが同一に構成されていることが好ましい。
[1−4]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿や体液を吸収し保持する必要から、吸収性材料によって構成される。
吸収体を構成する吸収性材料としては、使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に通常使用される従来公知の吸収性材料、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウムを、親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。また、吸収体の型崩れ対策として、熱融着繊維等の合成繊維を含んだものであってもよい。
これらの吸収性材料は、通常、単層ないしは複層のマット状として用いられる。この際、前記の吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装されることが好ましい。通常、吸収体は、トップシートとバックシートの間に挟み込まれ、その周縁部が封着されることによって、トップシートとバックシートとの間に介装される。従って、吸収体の周縁部にはトップシートとバックシートの間に吸収体が介装されていないフラップ部が形成されることになる。吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装される。より具体的には、吸収体は少なくとも股下部に介装され、この吸収体が前身頃や後身頃にまで及んでいてもよい。
吸収体は、その全体が親水性シートによって包み込まれていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
吸収体の形状については特に制限はないが、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。図1に示す本発明の使い捨ておむつ1は、吸収体22として、砂時計型の吸収体を用いた例である。
なお、吸収体には、その上面側に(例えば、吸収体とトップシートとの間に)、尿や体液等の液体を拡散させるためのシート(セカンドシート)を付帯的に配置してもよい。このセカンドシートを付設すると、着用者の姿勢等に起因して、トップシート裏面側の空間が十分に形成されないような場合でも、尿や体液等の吸収速度が低下し難く、吸収速度の低下による尿や体液等の漏れを防止することが可能となる。
セカンドシートを構成する材料としては、親水性で液透過性の材料、例えば、織布、不織布、多孔性プラスチック、フラッフパルプ等を挙げることができる。これらの構成素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、パルプ、或いはこれらの複合繊維等を挙げることができる。パルプとしては、カーリーセルロースファイバー等のけん縮繊維を好適に用いることができる。
[1−5]トップシート:
トップシートは、吸収体の上面(おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その下面側(裏面側)に配置された吸収体に、着用者の尿を吸収させる必要から、その少なくとも一部(全部ないし一部)が液透過性材料により構成される。通常、少なくとも吸収体の表面近傍については、着用者の尿や体液を透過させ得る液透過性の材料によって構成される。少なくとも一部が液透過性材料により構成されている限り、必ずしもトップシート全体が液透過性材料で構成されている必要はない。
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。不織布の種類についても特に制限はなく、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。
トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。
[1−6]バックシート:
バックシートは、吸収体の下面側(おむつの装着時において着用者の着衣側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
なお、バックシートには、その外表面側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
[1−7]吸収性本体:
本発明の使い捨ておむつにおいては、トップシート、バックシート及び吸収体を、吸収・保持機能を担う「吸収性本体」という一つの部材として構成し、これに外装部材を接合することにより使い捨ておむつを構成してもよい。この吸収性本体は、吸収体の上面側にトップシート、下面側にバックシートが配置されたものであり、トップシートとバックシートとの間に吸収体が介装された構造となっている。例えば、図1に示す使い捨ておむつ1は、トップシート18とバックシート20の間に吸収体22を挟み込み、吸収体22の周縁部を封着することによって、トップシート18とバックシート20との間に吸収体22が介装された構造の吸収性本体14を構成した例である。なお、本発明においては、吸収体22の後身頃6側の下面に外装部材16を配置し、この吸収体22及び外装部材16の下面側にバックシート20を配置している。
吸収性本体は、少なくともおむつの股下部をカバーするサイズに構成される。但し、漏れ防止の効果を確実なものとするため、股下部のみならず前身頃や後身頃の一部をもカバーする大きさに構成されたものであってもよい。吸収性本体は、例えば、ホットメルト接着剤等を用いて、外装部材に対して固定することができる。
[1−8]スキンコンタクトシート:
本発明の使い捨ておむつは、図16及び図17に示す使い捨ておむつ1kのように、トップシート18の上方に配置されたスキンコンタクトシート24を備えていてもよい。スキンコンタクトシート24は、着用者の肌とトップシート18とを離隔するための部材であり、トップシート18の上方に配置され、便を通過させ得る便通過用開口部28aが形成されたシート状部材である。ここで、図16は、本発明の使い捨ておむつの他の実施形態を示す平面図であり、トップシート側から見た状態を示す図であり、図17は、図16に示す使い捨ておむつをB−B’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
スキンコンタクトシートを構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂からなる不織布、メッシュシート、フィルム等を用いることができる。中でも、肌触りが良好である点において、不織布を用いることが好ましい。これらの材料は、液透過性であっても、液不透過性であっても、撥水性であってもよい。但し、長時間着用した際にもさらっとした触感(ドライ性)を維持することができるという点において、撥水性の材料(撥水性の不織布等)であることが好ましい。
スキンコンタクトシートには、着用者の排泄した便を通過させ得る開口部(便通過用開口部)が形成されている必要がある。このような構造とすることによって、着用者の排泄した便がスキンコンタクトシートを通過してトップシート上に落下することになり、便と着用者の肌とが直接接触する機会を大幅に減少させることが可能となる。即ち、トップシートと着用者の肌との間にスキンコンタクトシートという遮蔽層が介在していることにもなる。従って、たとえトップシート上に便が残存していたとしても、その便と着用者の肌とが直接接触する機会を大幅に減少させる効果を奏する。
本発明の使い捨ておむつがスキンコンタクトシートを更に備えたものである場合には、着用者がおむつを装着する際に、スキンコンタクトシートの便通過用開口部が着用者の肛門の位置に配置されるように、おむつの前身頃を宛がう位置を着用者の体型に応じて腹側の上下方向に調整し、その状態にて、おむつの後身頃と前身頃とを止着テープにより固定することができる。
便通過用開口部は便を通過させ得る形状である限り、その形状について特に制限はない。即ち、便を通過させ得る「開口部」には、円形開口部、楕円形開口部、菱形開口部等のいわゆる開口部(孔)の他、直線状スリット、十字状スリット、3本以上のスリットを交差させた星型スリット等のスリットも含まれる。中でも、おむつの前後方向(長手方向)を長軸方向とする楕円形開口部、或いは星型スリットが好ましい。楕円形開口部には、便がスキンコンタクトシートの便通過用開口部を通過し易いという利点があり、星型スリットには、一旦、スキンコンタクトシートの便通過用開口部を通過してトップシート上に落下した便が、再びスキンコンタクトシートの便通過用開口部から露出し、着用者の臀部を汚してしまうことを有効に防止することができるという利点がある。
例えば、図16に示す使い捨ておむつ1kは、スキンコンタクトシート24のおむつの股下部4に相当する部分に、便通過用開口部28aとして、おむつの前後方向に長い楕円形状の開口部を形成した例である。なお、孔やスリットのサイズについては、「便を通過させる」という機能を考慮した上で適宜決定すればよい。
なお、例えば、図18に示す使い捨ておむつ1lのように、スキンコンタクトシート24には、前述した便通過用開口部28aより前身頃側に、尿通過用開口部28bが形成されることも好ましい形態の一つである。即ち、スキンコンタクトシート24には、便通過用開口部28aに加えて、尿通過用開口部28bが更に形成されていることが好ましい。ここで、図18は、本発明の使い捨ておむつの他の実施形態を示す平面図であり、トップシート側から見た状態を示す図である。なお、図18に示す使い捨ておむつ1lにおいて、図16に示した各要素と共通する要素については、図16と同一の符号を付して説明を省略する。
前記のように尿通過用開口部28bを形成することによって、その尿通過用開口部28bを通過させて着用者の排泄した尿をスキンコンタクトシート24とトップシート18の間の空間に確実に流入させることが可能となり、スキンコンタクトシート24を伝って尿が拡散し、おむつの脚周り開口部12a、12b等からの横漏れを生ずる事態を有効に防止することができる上、尿と便とが混ざり合うことを有効に防止しできるのである。
また、本発明の使い捨ておむつにおいては、スキンコンタクトシートに伸縮材が配置されていることが好ましい。中でも、便通過用開口部の外縁に開口部伸縮材が配置されたものが好ましい。開口部伸縮材を配置すると、スキンコンタクトシートがへたってトップシート側に落ち込み難くなり、スキンコンタクトシートを着用者の肌に接触し易くさせる。また、スキンコンタクトシートをトップシートから浮かせた状態を維持し、スキンコンタクトシートとトップシートとを確実に離隔させることが可能となる。但し、本発明の使い捨ておむつにおいて、開口部伸縮材は必須の部材ではなく、配置しなくてもよい。
開口部伸縮材としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
開口部伸縮材の配置パターンは、前記効果を発揮し得るパターンである限り特に制限はないが、開口部に確実に伸縮力を作用させるため、開口部伸縮材が開口部の周縁を取り囲むようなパターンに配置されていることが好ましい。例えば、開口部の周縁を取り囲むように、円形、楕円形、菱形等のパターンで開口部伸縮材を配置すればよい。
また、開口部伸縮材として2本の開口部伸縮材を用い、その2本の開口部伸縮材が開口部の前後の少なくとも1点で交差し、開口部の周縁の一部を取り囲むようなパターンに配置されていることも好ましい形態の一つである。このようなパターンで開口部伸縮材を配置すると、開口部伸縮材をおむつの前後方向に向かって連続的に配置することが可能となるため、使い捨ておむつの連続的な製造が容易になる。
例えば、図18に示す使い捨ておむつ1lは、開口部伸縮材30として2本の開口部伸縮材30a,30bを用い、その2本の開口部伸縮材30a,30bが便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bの間の点で交差し、便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bの周縁の一部を取り囲むようなパターンに配置した例である。このようなパターンで開口部伸縮材30a,30bを配置すると、吸収性本体14が長手方向に向かって連続して配置されたような吸収性本体連続体を容易に製造することが可能となる。
また、図18に示す使い捨ておむつ1lは、股下部4の中央で開口部伸縮材30a,30bが交差する配置となっている。このような配置とすることにより、おむつの前身頃2側や後身頃6側よりも股下部4(即ち、点P近傍)において幅方向(おむつ左右方向)への伸縮力を大きく作用させることができる。従って、スキンコンタクトシート24の中でも比較的弛み易い、便通過用開口部28aと尿通過用開口部28bとの間の部分を着用者の肌に対してより密着させることができる。
また、図18に示す使い捨ておむつ1lは、開口部伸縮材30a,30bが股下部4の中央の点P以外では交差しておらず、便通過用開口部28aの後身頃6側の周縁及び尿通過用開口部28bの前身頃2側の周縁が開放されたパターンに配置されている。このような配置とすることにより、スキンコンタクトシート24の前身頃2側や後身頃6側が着用者の肌に対して過度に密着しないため、通気性を確保することができる。従って、スキンコンタクトシートの当接による発汗が抑制され、汗に起因するムレやスキントラブルを効果的に防止することができる。
前記のような開口部伸縮材は、スキンコンタクトシートに対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
開口部伸縮材は、開口部に十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、開口部伸縮材が天然ゴムや合成ゴムである場合には、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、開口部に十分な伸縮力を作用させ、かつ、開口部が必要以上に縮小されるのを防止することができる。
開口部伸縮材の配置方法は特に限定されないが、例えば、図17に示す使い捨ておむつ1kのように、スキンコンタクトシート24を2枚のシート材(アッパーシート24a、ライナーシート24b)を貼り合わせることにより構成し、アッパーシート24aとライナーシート24bの間に開口部伸縮材30a,30bを挟み込むように配置することが好ましい。このような配置方法を採用すると、必要最小限の伸縮材によりスキンコンタクトシートに伸縮力を付与するとともに、隆起部を下支えすることができるという効果を奏するため好ましい。
図16及び図17に示す使い捨ておむつ1kは、スキンコンタクトシート24としてトップシート18の表面全体を覆うような形状のものを用いている。但し、本発明の使い捨ておむつにおけるスキンコンタクトシートは、このようなものに限定されるわけではなく、トップシートの表面よりも上方に配置されるシート体であれば足りる。
スキンコンタクトシートの固定方法としては、(1)図17に示す使い捨ておむつ1kのように、立体ギャザー26a,26bを構成するシート材32a,32bと、トップシート18(ないしは、バックシート20)との貼り合わせ部分に挟み込むようにスキンコンタクトシート24を固定する方法、(2)立体ギャザーの内側の面であって、立体ギャザーの上端縁と下端縁(起立線)との間の部分にスキンコンタクトシートを固定する方法等を挙げることができる。また、立体ギャザーと接触させることなく、対となる立体ギャザーによって包囲された内側の領域にスキンコンタクトシートを固定してもよい。例えば、(3)立体ギャザーによって包囲された領域のうち、トップシートと、バックシートとの貼り合わせ部分(いわゆるフラップ部)にスキンコンタクトシートを固定する方法等を挙げることができる。これらの方法の中では、着用者の肌に対してスキンコンタクトシートを密着させる効果が高いという点で、(1)の方法が好ましい。
[1−8a]尿便分離壁:
本発明の使い捨ておむつは、スキンコンタクトシートとトップシートとの間の空間を、便通過用開口部に連通する空間と前身頃側の空間とが区画されていることが好ましい。このような構成により、尿と便が混ざり難くなり、アンモニアの発生によるおむつかぶれを効果的に防止することができる。
前記のような空間を区画する形態としては、通気撥水性シートからなり、前記スキンコンタクトシートと前記トップシートの後身頃側表面との間に形成される空間を前身頃側の空間から仕切る尿便分離壁を更に備え、この尿便分離壁は、通気撥水性シートの一端がスキンコンタクトシートの前端部に接合され、他端がトップシートの表面まで垂下されることによって形成されたものが好ましい。
例えば、図19及び図20に示す使い捨ておむつ1kは、通気撥水性シート52からなり、スキンコンタクトシート24とトップシート18との間に形成される空間46を前身頃2側の空間から仕切る尿便分離壁48を更に備え、尿便分離壁48は、通気撥水性シート52の一端がスキンコンタクトシート24の前端部に接合され(接合部62)、他端がトップシート18の表面まで垂下され、接合される(接合部66)ことによって形成されている。
この例では、通気撥水性シート52は、断面Z字型に折り曲げられ、接合部62,66以外の部分は固定されていないため、通気撥水性シート52の中途の折り畳み部が自由に伸張する。従って、尿便分離壁48によって、スキンコンタクトシート24の立ち上がりが阻害されることが少ないという利点がある。但し、本発明の使い捨ておむつにおいて、尿便分離壁は必須の部材ではなく、配置しなくてもよい。即ち、スキンコンタクトシートとトップシートとの間に形成される空間が前方に向かって開放されていてもよい。
ここで、図19及び図20は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態を示す概略断面図であり、図19は、図16に示す使い捨ておむつをC−C’線に沿って切断した断面を示す概略断面図であり、図20は、図16に示す使い捨ておむつをD−D’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
なお、図19及び図20に示す使い捨ておむつ1kでは、スキンコンタクトシート24とトップシート18との間に形成される空間46が後側に向かって開放されているが、スキンコンタクトシート24後方の空間から仕切ってもよい。これにより、軟便や水様便が着用者の背中側に回り込み、ウエスト周り開口部から漏れる事態を有効に防止することができる。例えば、尿便分離壁と同様の構成で分離壁を形成し、又はスキンコンタクトシートの後端をトップシートに固定することにより、空間を仕切ることが可能である。
また、図19及び図20に示す使い捨ておむつ1kでは、通気撥水性シート52の他端をトップシート18の表面に固定しているが、本発明の使い捨ておむつは、このような形態に限定されるものではない。例えば、スキンコンタクトシートに一端を固定した通気撥水性シートをトップシートの表面の一部を覆う程度に垂下させるのみでも空間を仕切ることは可能であり、他端を固定した場合と同様の効果を得ることができる。
また、スキンコンタクトシートの前端部が、トップシートの表面に接合され、スキンコンタクトシートとトップシートとの間に形成される空間が、前身頃側の空間から仕切られているものも好ましい。
前記構造について、図21に示す使い捨ておむつ1mを例に説明する。図21は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態を示す概略断面図であり、図16に示す使い捨ておむつ1kのD−D’断面図(即ち、図20)に対応する図面である。図21に示す使い捨ておむつ1mにおいて、図16に示した各要素と共通する要素については、図16と同一の符号を付して説明を省略する。
図21に示す使い捨ておむつ1mは、スキンコンタクトシート24の前端部が、断面Z字型に折り曲げられた上で、トップシート18の表面に接合され、スキンコンタクトシート24とトップシート18との間に形成される空間46が、前身頃2側の空間から仕切られている。
但し、本発明の使い捨ておむつは、図21のような形態に限定されるものではない。例えば、スキンコンタクトシートの前端部をトップシートの表面の一部を覆う程度に垂下させるのみでも空間を仕切ることは可能であり、当該前端部を固定した場合と同様の効果を得ることができる。
なお、図21に示す使い捨ておむつ1mは、スキンコンタクトシート24の後端部が、断面Z字型に折り曲げられた上で、トップシート18の表面(フラップ部)に接合され、スキンコンタクトシート24とトップシート18との間に形成される空間46が、スキンコンタクトシート後方の空間からも仕切られている。但し、このような構成は必須ではなく、採用してもよいし、採用しなくてもよい。例えば、既に述べた尿便分離壁と同様の構造で分離壁を形成してもよいし、図20に示す使い捨ておむつ1kと同様に、スキンコンタクトシートとトップシートとの間に形成される空間を後側に向かって開放する構成としてもよい。
[1−9]立体ギャザー:
着用者の排泄した尿の横漏れを防止するため、立体ギャザーを備えていてもよい。立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。このような立体ギャザーを形成することにより、立体ギャザーが防波堤となり、おむつの脚周り開口部等からの漏れ(いわゆる「横漏れ」)を有効に防止することができる。
立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、撥水性のシート材の一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
立体ギャザーは、トップシートやバックシートを折り返すことにより形成することもできるし、これらとは全く別個のシート材を貼り合わせて形成することもできる。例えば、図1、図2A、図2B、及び図3に示す使い捨ておむつ1は、トップシート18やバックシート20とは全く別個のシート材32(32a,32b)の端部(立体ギャザー26a,26bの上端縁34に相当する側の端部)を折り返し、その折り返し部分に2本の立体ギャザー伸縮材36a,36bないしは立体ギャザー伸縮材36c,36dを挟み込むように配置して一対の立体ギャザー26(26a,26b)を形成した例である。
この立体ギャザーは、股下部からの漏れを防止するため、少なくとも股下部に形成されていればよいが、前身頃や後身頃に形成されていてもよい。例えば、図1に示す使い捨ておむつ1は、おむつの長手方向に沿って、股下部4から前身頃2と後身頃6の双方にかけて連続的に、一対の立体ギャザー26(26a,26b)が形成された例を示すものである。また、立体ギャザーは、少なくとも一対形成することが好ましく、二対以上形成してもよい。
立体ギャザーはおむつの内側に向かって傾倒する内倒しギャザーであってもよいし、おむつの外側に向かって傾倒する外倒しギャザーであってもよい。また、高さ方向の一部に、曲げ部や折り返し部を形成した立体ギャザー(C折りギャザーやZ折りギャザー等)とすることもできる。例えば、図3に示す使い捨ておむつ1は、立体ギャザー26(26a,26b)を内倒しギャザーとした例である。
[1−10]外装部材:
外装部材は、着用者の身体を被包するための装着機能を担う部材であり、おむつを構成する前身頃、股下部及び後身頃の各部の少なくとも一部を形成するシート状の部材である。図1に示す使い捨ておむつ1においては、外装部材16が、おむつの腹周りを構成するための後身頃6を形成しており、前身頃及び股下部は、外装部材16以外の吸収体22等によって形成されている。このような腹周りを構成する外装部材(以下、「腹周り外装部材」ということがある)は、着用者の腹周りを被包することができるように、帯状に形成されたシート状の部材である。なお、本発明の使い捨ておむつに用いられる外装部材は、上記した腹周りを被包する帯状の外装部材(腹周り外装部材)に限定されることはなく、後身頃とともに、股下部や前身頃を形成するシート状の部材であってもよい。
本発明の使い捨ておむつにおいては、着用者の排泄物を吸収し、保持する吸収・保持機能については、専ら吸収体が果たすことになるので、外装部材を構成する材料として液不透過性材料を用いる必要はない。外装部材を構成する材料としては、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。具体的には、例えば、スパンボンド、SMS、エアースルー不織布等を挙げることができる。特に、スパンボンドは強度が高いため好適に用いることができる。また、エアースルー不織布は手触り感に優れていることから、外装部材の表面(外側)の素材としてエアースルー不織布を用いることもできる。
そして、外装部材は、腹周り伸縮材やウエスト周り伸縮材等を挟み込んだ状態で固定するために、2枚以上の不織布を貼り合わせて構成されることが多い。例えば、図1、図2A、図2B、及び図3に示す使い捨ておむつ1は、外装部材16を2枚の不織布から構成し、その2枚の不織布の間に腹周り伸縮材42、及びウエスト周り伸縮材44を挟み込み固定した例である。なお、図4に示す使い捨ておむつ1aのように、腹周り伸縮材42が配置された領域に、吸収体22が配置されていない場合には、吸収体22の端部を別の不織布(抑えシート31)で抑えて固定することにより、外装部材16に吸収体22を配置することができる。
[2]本発明の使い捨ておむつの着用方法:
本発明の使い捨ておむつを着用方法について、図1示す使い捨ておむつ1を着用する方法を例として説明する。図1示す使い捨ておむつ1を着用する際には、まず、図1に示すような展開状態の使い捨ておむつ1の後身頃6を、着用者の背側(身体後方)に宛がい、その後、図22に示すように、股下部4を着用者の股下を通して、前身頃2を着用者の腹側(身体前方)に持ち上げる。
その後、図2Aに示すように、後身頃6の左右の側縁6a,6bを着用者の脇腹を経由して腹側まで移動させ、前身頃2に形成された被止着領域15に、左右の側縁6a,6bから延出された止着部材13を止着する。このようにして本発明の使い捨ておむつ1を着用することができる。上記方法で着用する場合には、衣服を全て脱がずとも着脱が可能である。ここで、図22は、図1に示す使い捨ておむつの着用手順を説明するための正面図である。
また、着用した使い捨ておむつ1を脱ぐ際には、止着部材13を引き剥がすことによって、衣類を全て脱がなくとも取り外すことができる。勿論、通常のパンツを脱ぐのと同様に、おむつを引き下げ、脚周り開口部12a,12b(図2A参照)からそれぞれの脚を引き抜いて脱ぐことも可能である。
また、本発明の使い捨ておむつは、上述したように展開状態のおむつをそのまま着用せずに、上記方法に準じて予めパンツ型の状態におむつを組立てた後、通常のパンツと同様に、脚周り開口部にそれぞれの脚を差し込んでおむつを着用してもよい。
[3]使い捨ておむつの製造方法:
以下、本発明の使い捨ておむつの製造方法を、図10Aに示すようなカバーシート17をおむつの裏面側に備えた使い捨ておむつ1eを製造する場合の例で説明する。
まず、長尺状の不織布を2枚用意し、このうちの1枚の不織布の上面に、腹周り伸縮材42及びウエスト周り伸縮材を配置し接着固定する。腹周り伸縮材42としては、伸張率100〜500%の範囲内で繰り返し伸縮を行った際に、2往復目往路における300%伸張時の引張力が40gf以下のゴムからなる長尺の伸縮材を用いる。また、長尺の伸縮は、伸張率300〜500%の範囲内となるように配置する。
次に、後に吸収体22を配置した際に、吸収体22の配置領域と重なる領域の腹周り伸縮材42を切断する。具体的な切断方法については、例えば、図5及び図6に示すような伸縮材切断ロール80を用いて腹周り伸縮材を切断する方法を挙げることができる。
次に、上記のようにして各伸縮材を配置・固定した不織布の上面に、更にもう1枚の不織布を積層して固定することにより、2枚の不織布の間に、腹周り伸縮材42及びウエスト周り伸縮材が介装された外装部材16が複数連続した長尺状の外装部材連続体を得る。その後、この外装部材連続体を個々の外装部材16に切断する。
次に、おむつの全体形状に対応したカバーシート17の上面にバックシート20を配置し、このバックシート20の上面に上記外装部材16を配置する。更にその上面に、親水性シートに包まれた吸収体22を配置し、更にその上面にトップシート18を配置する。次いで、吸収体22の周縁部をトップシート18とバックシート20とで挟み込むように封着する。
次に、使い捨ておむつ1に配置するための立体ギャザーを作製する。具体的には、シート材32a(32b)の一方の端部を折り返し、その折り返し部分に、2本の立体ギャザー伸縮材36a(36b)を挟み込んだ状態で貼り合わせることによって、立体ギャザー26a(26b)を得る。
このようにして得られた立体ギャザー26a,26bの下端を、吸収体22の側縁側に貼り合わせて立体ギャザー26a,26bを付設する。
次に、図1に示すような外装部材における後身頃6の左右の側縁6a,6bに、後身頃6と前身頃2とを固定する止着部21を有する止着部材13を付設する。止着部材13としての止着テープ13aは、基材25の一方の表面に、被止着領域に付着可能な止着部21(例えば、メカニカルファスナーのフック材)を配設して作製することができる。なお、止着テープは、テープ部分を折り畳んだ状態で、テープ根元部分を外装部材連続体に配置し、接合固定することが好ましい。
次に、バックシート20の裏面の前身頃2の左右の側縁近傍に、止着テープ13を止着する被止着領域15を付設する。被止着領域15としては、例えば、止着部材13の止着部21が、メカニカルファスナーのフック材である場合には、メカニカルファスナーのループ材等を用いることができる。なお、本発明の使い捨ておむつに使用する被止着領域15としては、腹周り方向における幅が、止着部材の止着部の幅と同一となるものを用いる。このようにして、本発明の使い捨ておむつを製造することができる。
なお、図16に示すようなスキンコンタクトシート24を備えた使い捨ておむつ1kを製造する場合には、以下のような方法によってスキンコンタクトシート24を製造し、トップシート18の表面に、スキンコンタクトシート24(ライナーシート24b)の前端側、後端側、左右側縁側を各々接合し、固定する工程を更に備えていてもよい。
スキンコンタクトシート24を製造する際には、まず、ライナーシート24bの上面に、2本の開口部伸縮材30a,30bを所定のパターンに配置しつつ、アッパーシート24aを貼り合わせる。この際、2本の開口部伸縮材30a,30bは、後に形成される便通過用開口部28aの前側の点で交差し、便通過用開口部28aの周縁の一部を取り囲むようなパターンに配置する。
次いで、貼り合わされたライナーシート24bとアッパーシート24aに、便通過用開口部28aを形成する。こうすることによって、2本の開口部伸縮材30a,30bが便通過用開口部28aの前側の点で交差し、便通過用開口部28aの周縁の一部を取り囲むようなパターンに配置された2層構造のスキンコンタクトシート24を得る。なお、スキンコンタクトシート24には、便通過用開口部28aとは別に、尿通過用開口部28b(図18参照)を形成してもよいし、尿便分離壁48となる通気撥水性シート52(図19参照)を付設してもよい。
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h,1i,1j,1k,1l,1m:使い捨ておむつ、2:前身頃、4:股下部、6:後身頃、6a,6b:側縁(後身頃の側縁)、12,12a,12b:脚周り開口部、13:止着部材、13a,13b:止着テープ、14:吸収性本体、15,15a,15b:被止着領域、16:外装部材(腹周り外装部材)、17:カバーシート、18:トップシート、20:バックシート、21:止着部、22:吸収体、23:摘み部、24:スキンコンタクトシート、24a:アッパーシート、24b:ライナーシート、25:基材(止着テープ用の基材)、26,26a,26b:立体ギャザー、27:ウエスト周り開口部、28a:便通過用開口部、28b:尿通過用開口部、29:切込み部、30,30a,30b:開口部伸縮材、31:抑えシート、32,32a,32b:シート材、34:上端縁、36a,36b,36c,36d:立体ギャザー伸縮材、40,40a,40b:脚周り伸縮材、42:腹周り伸縮材、44:ウエスト周り伸縮材、46:空間、48:尿便分離壁、52:通気撥水性シート、54:切断痕、62,66:接合部、70:第2ロール、74:送出ロール、79:シート材、80:伸縮材切断ロール、81:第1ロール、82,82a,82b,82c,82d,82e:切断突起、84:第1ロール、86,86a,86b,86c,86d,86e:領域、X:腹周り方向、Y:吸収体の配置領域、Z:吸収体の配置領域と重ならない領域。