JP3888091B2 - ジャンクションブロック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車等に搭載されるジャンクションブロックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近時、この種のジャンクションブロックでは、自動車に搭載される車両用負荷機器の急増に伴い、電気的回路構成が複雑化するとともに高密度化する傾向にある。ジャンクションブロックは、バッテリーに接続される電源側回路と、車両用負荷機器に接続される出力側回路とを備えている。従来、電源側回路及び出力側回路はいずれも平バスバーによって構成されている。この平バスバーは、ジャンクションブロックの本体ケース内に収容されたものであって、合成樹脂製の絶縁板を介して積層されている。
【0003】
ところが、平バスバーは一枚の金属板をプレス装置で打ち抜いたものであることから、平バスバーが回路の複雑化及び高密度化により大型化すれば、プレス装置に用いる金型の大型化を招くばかりか、設備投資額も高くなる。また、金型が大型化すれば、それを設置するためのスペースも確保する必要があり、平バスバーを生産する場所が限定されることとなる。更に、自動車の仕様の違いによって電源側回路及び出力側回路を変更あるいは追加するには、平バスバーを成形するための金型を新たに設備投資する必要がある。電源側回路及び出力側回路の変更が小規模なものであっても、金型をモディファイすることは、コスト的に容易なことではない。
【0004】
そこで、上述した不具合を解消するために、電源側回路及び出力側回路を平バスバーで形成するのではなく、本体ケースを構成する第1ケース及び第2ケースの底面に対し垂直に配置した縦バスバーで形成することが考えられる。図9に示すように、縦バスバー51には、本体ケース内に挿入された第1の縦バスバー用コネクタ52及び第2の縦バスバー用コネクタ53が接続されている。詳しくは、縦バスバー51の第1ケース側の端縁に第1の縦バスバー用コネクタ52が接続されるとともに、縦バスバー51の第2ケース側の端縁に第2の縦バスバー用コネクタ53が接続されている。また、縦バスバー51は、帯状素材を所定の長さに切断することで得ることができる。そのため、電源側回路及び出力側回路をプレス装置を用いずに形成することができる。従って、電源側回路及び出力側回路をいずれも縦バスバー51で構成すれば、金型をモディファイすることがない、金型の設備投資が必要ないといった利点を得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電源側回路及び出力側回路を全て縦バスバー51で構成すると、以下に示す別の問題を生む。即ち、縦バスバー51は、平バスバーのように絶縁板を介して何層も積層する構成を採用することができない。このことから、電源側回路は、出力側回路と比較してレイアウトが複雑であるため、縦バスバー51の配置が複雑となり、縦バスバー51を立体的に交差させなければならない。要するに、電源側回路に縦バスバー51を用いれば、その配置スペースが大きくなり、縦バスバー51を用いたジャンクションブロックが平バスバーを用いたジャンクションブロックよりも大きくなる。
【0006】
また、車両用負荷機器の急増によって減少した搭載スペースにジャンクションブロックを確実に搭載するためには、ジャンクションブロックの更なる小型化を図らなければならない。例えば、ジャンクションブロックを小型化するために、通常よりも幅狭な縦バスバー51を用いて本体ケースを薄くすることが考えられている。この場合、第1の縦バスバー用コネクタ52及び第2の縦バスバー用コネクタ53は互いに縦バスバー51の延びる方向にずらして一つおきに配置されており、それにより、隣接する両コネクタ52,53の側面が互いに接触するのが防止されている。
【0007】
しかし、両コネクタ52,53を縦バスバー51に接続するためには、両コネクタ52,53をずらした長さだけ縦バスバー51を長くする必要がある。それに伴い、延長された縦バスバー51を収容するために本体ケースを大型化しなければならない。その結果、本体ケースは、薄くはなるが、厚さ方向から投影したときの面積は大きくなってしまう。ゆえに、ジャンクションブロックの厚さ方向に直交する方向への小型化が実現されず、ジャンクションブロックの搭載の困難さは解消されない。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型化を実現することにより車両への搭載を容易にしたジャンクションブロックを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、第1ケース及び第2ケースからなる本体ケース内に、前記両ケースの底面に対し平行に配置される平バスバーと、前記両ケースの底面に対し垂直に配置される縦バスバーとを収容するとともに、バッテリーに接続される電源側回路を前記平バスバーによって構成し、かつ車両用負荷機器に接続される出力側回路を前記縦バスバーによって構成し、接続端子を有する第1の縦バスバー用コネクタを、前記縦バスバーの前記第1ケース側の端縁に接続するとともに、接続端子を有する第2の縦バスバー用コネクタを、前記縦バスバーの前記第2ケース側の端縁に接続したジャンクションブロックであって、前記第1の縦バスバー用コネクタと前記第2の縦バスバー用コネクタとを、前記本体ケースの厚さ方向において対峙し、かつ前記本体ケースをその厚さ方向から投影したときに重なるように配設し、前記両コネクタにおいて前記本体ケースの厚さ方向から投影したときに重なる部分の長さを、前記両コネクタの幅が異なる場合、幅が広い方のコネクタの幅の半分以上の大きさに設定したことを要旨とする。
【0010】
本発明においては、縦バスバーは出力側回路に用いられている。縦バスバーは単純な形状に形成できるため、その配置スペースが小さくなる。ゆえに、出力側回路に平バスバーを用いた場合に比べてジャンクションブロックが小さくなる。また、平バスバーは、出力側回路と比較してレイアウトが複雑な電源側回路に用いられている。電源側回路が平バスバーで構成される場合、平バスバーの配策が複雑になっても電源側回路は比較的コンパクトになるため、その配置スペースが小さくなる。ゆえに、電源側回路に縦バスバーを用いた場合に比べてジャンクションブロックが小さくなる。
【0011】
また、縦バスバーに2種の縦バスバー用コネクタを本体ケースの厚さ方向において対峙して接続した場合に、両コネクタが本体ケースをその厚さ方向から投影したときに重なるように配設される。このため、両コネクタ間のズレが小さくなり、縦バスバーが短くて済む。それに伴い、本体ケースにおいてその厚さ方向から投影したときの面積が小さくなる。
【0012】
従って、電源側回路を平バスバー、出力側回路を縦バスバーで構成するとともに、2種のコネクタを本体ケースの厚さ方向から投影したときに重なるように配設することによる相乗効果により、ジャンクションブロックを小型化できる。ゆえに、車両へのジャンクションブロックの搭載が容易になる。
【0013】
ここで、両コネクタの幅がそれぞれ異なる場合、「コネクタの幅の半分以上」とは、幅が広い方のコネクタの幅の半分以上のことを言うものとする。
請求項2に記載の発明では、前記第1の縦バスバー用コネクタと前記第2の縦バスバー用コネクタとを、前記本体ケースの厚さ方向において対峙し、かつ前記本体ケースをその厚さ方向から投影したときに重なるように配設し、前記両コネクタにおいて前記本体ケースの厚さ方向から投影したときに重なる部分の長さを、前記両コネクタの幅が同一である場合、前記両コネクタの幅と同一の大きさに設定したことを要旨とする。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の発明において、前記縦バスバーの幅を前記第1の縦バスバー用コネクタ及び前記第2の縦バスバー用コネクタの差し込み長さの2倍以上の大きさに設定したことを要旨とする。
【0014】
本発明においては、縦バスバーの幅が両縦バスバー用コネクタの差し込み長さの2倍以上の大きさに設定されているため、両縦バスバー用コネクタを縦バスバーに目一杯差し込むことができる。ゆえに、2種の縦バスバー用コネクタを縦バスバーに確実に接続できる。また、縦バスバーの幅方向において対峙する2種の縦バスバー用コネクタの先端同士が離間するため、それらの干渉を防ぐために、両コネクタの構造を変更しなくてもよくなる。また、両コネクタ同士のズレがなくなるため、縦バスバーの長さがより一層短くてもよくなる。ゆえに、ジャンクションブロックをより確実に小型化できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した車両の室内に搭載される自動車用ジャンクションブロックの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1〜図4に示すように、ジャンクションブロック11は合成樹脂製の本体ケース12を備え、その本体ケース12は、第2ケースとしてのロアケース14と、第1ケースとしてのアッパーケース15とから構成されている。ロアケース14は上面が開口され、アッパーケース15は下面が開口されている。アッパーケース15の外周縁には複数の係止孔15aが形成され、この係止孔15aにロアケース14の下端縁に形成された係止突部14aが着脱可能に係合されている。この係合によって、ロアケース14とアッパーケース15とが嵌合した状態に保持される。
【0017】
図4に示すように、ロアケース14内にはバスバー積層体25が収容されている。バスバー積層体25は、本体ケース12内のアッパーケース15側に配設されている。バスバー積層体25は、合成樹脂からなる複数の絶縁板26と平バスバー27とを交互に積層することにより構成されている。平バスバー27とは、アッパーケース15及びロアケース14の底面に対して平行に配置されたバスバーを指す。平バスバー27は、一枚の金属板材をプレス装置で打ち抜いたものであって、その端部にはタブ28が直角に折曲されている。タブ28の先端部には図示しない挿入口が設けられている。
【0018】
タブ28は、アッパーケース15の上面から外方へ突出され、アッパーケース15に形成されたコネクタ装着部29、リレー装着部30及びヒューズ装着部31内にそれぞれ挿入されている。そして、コネクタ装着部29にコネクタ33が装着されることで、そのコネクタ33に設けられた端子(図示しない)がタブ28に接続され、図示しないバッテリーから電力が供給される。
【0019】
また、リレー装着部30にリレー34が装着されることにより、そのリレー34に設けられた端子34aがタブ28に接続される。因みに、本実施形態におけるリレー34は、自動車のワイパー装置に設けられた駆動モーターをオン・オフするためのものである。更に、ヒューズ装着部31にヒューズ35が装着されることにより、そのヒューズ35に設けられた端子35aがタブ28の挿入口に挟入される。このヒューズ35により、図示しない自動車の車両用負荷機器の保護が図られる。車両用負荷機器としては、既に上述したワイパー装置以外に、例えば、ヘッドライト、ウインカーランプ等がある。
【0020】
図4に示すように、バスバー積層体25には、平板を打ち抜いて形成した複数の圧接端子40が貫設されている。バスバー積層体25に対する各圧接端子40のなす角度は直角に設定されている。ヒューズ35用の圧接端子40については、その一端が一部のヒューズ装着部31の内側に挿入されている。また、リレー34用の圧接端子40については、その一端が一部のリレー装着部30の内側に挿入されている。さらに、コネクタ33用の圧接端子40については、その一端が一部のコネクタ装着部29の内側に挿入されている。各装着部29,30,31に各圧接端子40が挿入される箇所としては、前記平バスバー27のタブ28が挿入されていないところが挙げられる。
【0021】
図5に示すように、圧接端子40は、その中央部に形成された基部41と、基部41の両端部にそれぞれ突設された二股状をなす2つの挟持部42,43とから構成されている。基部41の両側部には、2つの係止突部44がそれぞれ形成されている。つまり、本実施形態では、基部41の一側部につき2つの係止突部44があることから、1つの圧接端子40につき合計4つの係止突部44が設けられている。その結果、圧接端子40の基部41の両側部がジグザグ状になっている。そして、圧接端子40がバスバー積層体25に圧入されることにより、その基部41の両側部が絶縁板26に係合されるようになっている。この係合によって、圧接端子40は、その取付姿勢が適正に保持される。即ち、バスバー積層体25の両面に対して直交する角度で圧接端子40が保持される。
【0022】
上部挟持部42及び下部挟持部43は、それぞれ先端部に挿入口42a,43aを備えている。そして、コネクタ33の端子、リレー34の端子34a、ヒューズ35の端子35aが上部挟持部42の挿入口42aに挟入されることにより、圧接端子40に対する電気的接続が図られる。それに対して、縦バスバー16が下部挟持部43の挿入口43aに挟入されることにより、圧接端子40に対する電気的接続が図られる。要するに、コネクタ33、リレー34、ヒューズ35はそれぞれ圧接端子40を介して縦バスバー16に接続されている。
【0023】
圧接端子40は、バスバー積層体25に設けられた平バスバー27によって形成される回路とは電気的に接続されていない。このことから、電気回路的には圧接端子40と平バスバー27とは無関係であるといえる。従って、コネクタ33、リレー34及びヒューズ35に設けられた複数ある端子34a,35aのうち一部は、平バスバー27で形成された電気回路を介すのではなく、圧接端子40を介して縦バスバー16にダイレクトに接続されている。
【0024】
図4に示すように、前記バスバー積層体25の下方におけるロアケース14内には縦バスバー16が複数収容されている。各縦バスバー16は、本体ケース12内のロアケース14側に配設されている。即ち、本実施形態のジャンクションブロック11には、バスバー積層体25に設けられた平バスバー27と縦バスバー16とが混在している。各縦バスバー16は、アッパーケース15及びロアケース14の底面に対し垂直に配置されている。従って、縦バスバー16及び平バスバー27の配置向きは、直交する関係にある。各縦バスバー16は、それらのうち殆どが一方向に沿って一定の間隔をおいて配列されている。具体的に言うと、縦バスバー16は、ロアケース14の長手方向に沿って延設されている。尚、本実施形態では、これら縦バスバー16として、銅製の帯状素材を所定の長さに切断して得られるフレキシブルバスバーを用いている。
【0025】
また、縦バスバー16の上下方向において本体ケース12の上下両面に位置する箇所には、それぞれコネクタ挿入口17が形成されている。これらコネクタ挿入口17は、本体ケース12の厚さ方向において平バスバー27が配設されていない部分に集中配置されている。アッパーケース15側のコネクタ挿入口17とロアケース14側のコネクタ挿入口17とは、本体ケース12の厚さ方向において対峙している。これらコネクタ挿入口17は、本体ケース12の幅方向に沿って延びる細長い形状となっている。各コネクタ挿入口17は全て同一の幅となるように形成されている。各コネクタ挿入口17の長手方向における両端部外側面には、嵌合突起17aがそれぞれ突設されている。
【0026】
図8に示すように、各コネクタ挿入口17には、第1の縦バスバー用コネクタ18a及び第2の縦バスバー用コネクタ18bが着脱可能に挿入されている。具体的には、第1の縦バスバー用コネクタ18aはアッパーケース15側に設けられたコネクタ挿入口17に挿入され、第2の縦バスバー用コネクタ18bはロアケース14側に設けられたコネクタ挿入口17に挿入されている。縦バスバー16の延びる方向において隣り合う第1の縦バスバー用コネクタ18aは互いに離間した状態に配設されている。また、縦バスバー16の延びる方向において隣り合う第2の縦バスバー用コネクタ18bは互いに離間した状態に配設されている。両コネクタ18a,18bは、本体ケース12の厚さ方向において対峙している。尚、両コネクタ18a,18bの挿入方向は縦バスバー16の延びる方向に直交している。
【0027】
各コネクタ18a,18bは複数の端子収容孔19aを備えており、それらの内部には接続端子19が収容されている。それら接続端子19の先端は、縦バスバー16のアッパーケース15側の端縁またはロアケース14側の端縁に接続されている。一方、各接続端子19の基端部は、ワイヤーハーネスを構成するリード線20に圧着されている。各リード線20は、図示しない自動車の車両用負荷機器に電気的に接続されている。前記各コネクタ18a,18bのリード線20は、前記コネクタ33に接続される電線よりも細くなっている。具体的に言うと、各コネクタ18a,18bのリード線20は、導体断面積が1.5mm2以下の細物である。一方、コネクタ33の電線は、導体断面積が2mm2以上の太物である。
【0028】
ここで、自動車の車両用負荷機器としては、例えば、パワーウィンドウ、フォグランプ、ヘッドライト等が挙げられる。尚、各コネクタ18a,18bにおいて、全ての端子収容孔19aに接続端子19が収容されている訳ではない。これら端子収容孔19aには接続端子19が選択的に収容されるようになっている。従って、車両用負荷機器を変更するようなことがあっても、縦バスバー16の接続を変更することが可能になり、自動車の仕様が多少違っていても容易に対応することが可能となる。
【0029】
図1及び図6に示すように、各コネクタ18a,18bの長手方向における両端部には、ロック部21がそれぞれ設けられている。各ロック部21には嵌合孔21aが設けられている。これら嵌合孔21aに嵌合突起17aを嵌合させることにより、各コネクタ18a,18bが各コネクタ挿入口17に固定される。
【0030】
また、各コネクタ18a,18bの先端部には、複数の係合溝22が両コネクタ18a,18bの挿入方向に沿って設けられている。各係合溝22は、コネクタ18a,18bの長手方向に沿って並んでいる。本実施形態では、各係合溝22の幅は、縦バスバー16の厚さよりもやや小さくなっていることが望ましい。各係合溝22の深さは、縦バスバー16の幅の2分の1以下に設定されることが望ましい。即ち、図8に示すように、縦バスバー16の幅は、第1の縦バスバー用コネクタ18a及び第2の縦バスバー用コネクタ18bの差し込み長さの2倍以上の大きさに設定されることが望ましい。
【0031】
図4及び図8に示すように、各係合溝22には縦バスバー16が挟入されるようになっている。その結果、第1の縦バスバー用コネクタ18aが縦バスバー16のアッパーケース15側の端縁に接続され、第2の縦バスバー用コネクタ18bが縦バスバー16のロアケース14側の端縁に接続さる。このとき、両コネクタ18a,18bの先端部分は互いに離間した状態になっている。
【0032】
また、第1の縦バスバー用コネクタ18a及び第2の縦バスバー用コネクタ18bは、前記本体ケース12をその厚さ方向から投影したときに重なるように配設されている。本実施形態において、本体ケース12の厚さ方向から投影したときに両コネクタ18a,18bが重なる部分の長さは、両コネクタ18a,18bの幅と同一の大きさに設定されている。
【0033】
次に、このジャンクションブロック11の回路構成について説明する。
図7に示すように、ジャンクションブロック11の回路構成としては、特定の電気部品であるリレー34及びヒューズ35を境界にして、電源側回路47と出力側回路48とに分けることができる。電源側回路47は、バッテリーに接続されるものであって、平バスバー27によって形成されている。一方、出力側回路48は、ワイパー装置等の車両用負荷機器に接続されるものであって、縦バスバー16によって形成されている。
【0034】
電源側回路47を平バスバー27で構成した理由は次のことによる。即ち、電源側回路47は、出力側回路48よりもレイアウトが複雑である。そのため、平バスバー27を用いれば、それを何層も積層すること可能であるため、平バスバー27の配線スペースをできる限り小さくすることが可能になるためである。
【0035】
これに対して、出力側回路48を縦バスバー16で構成した理由は次のことによる。出力側回路48は、電源側回路47のようにコネクタ33の端子、リレー34の端子34a及びヒューズ35の端子35aに接続する必要がない。そのため、出力側回路48を、平バスバー27のように複数層積層することによって三次元的に構成する必要がない。ゆえに、出力側回路48が電源側回路47よりも比較的単純なレイアウトとなるからである。それに加え、縦バスバー16を用いれば、前記本体ケース12に設けたコネクタ挿入口17に、配線経路が異なる縦バスバー用コネクタ18a,18bを自在に交換することが可能となるからである。即ち、自動車の仕様の違いによって車両用負荷機器が追加あるいは変更になっても、容易に対応することが可能となる。また、出力側回路48を縦バスバー16で構成すれば、出力側回路48を構成するためにプレス装置を用いる必要がなくなるからである。従って、出力側回路48を縦バスバー16で構成すれば、出力側回路48において金型の設備投資が必要ないといった利点を得ることができる。
【0036】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)縦バスバー16は出力側回路48に用いられている。縦バスバー16は、平バスバー27のようなタブ28を持たず、単純な形状に形成できるため、その配置スペースが小さくなる。ゆえに、出力側回路48に平バスバー27を用いた場合に比べてジャンクションブロック11が小さくなる。また、平バスバー27は、出力側回路48と比較してレイアウトが複雑な電源側回路47に用いられている。電源側回路47が平バスバー27で構成される場合、平バスバー27の配策が複雑になっても電源側回路47は比較的コンパクトになるため、その配置スペースが小さくなる。ゆえに、電源側回路47に縦バスバー16を用いた場合に比べてジャンクションブロック11が小さくなる。
【0037】
また、縦バスバー16に2種の縦バスバー用コネクタ18a,18bを接続した場合に、両コネクタ18a,18bが本体ケース12をその厚さ方向から投影したときに重なるように配設される。このため、両コネクタ18a,18b間のズレが小さくなり、縦バスバー16が短くて済む。それに伴い、本体ケース12においてその厚さ方向から投影したときの面積が小さくなる。
【0038】
従って、電源側回路47を平バスバー27、出力側回路48を縦バスバー16で構成するとともに、両コネクタ18a,18bを本体ケース12の厚さ方向から投影したときに重なるように配設することによる相乗効果により、ジャンクションブロック11を小型化できる。ゆえに、車両へのジャンクションブロック11の搭載が容易になる。
【0039】
また、本体ケース12が小型化されるため、本体ケース12の軽量化が可能になるとともに、アッパーケース15及びロアケース14を成形するための設備を小型化できる。さらに、両コネクタ18a,18bの集中配置が可能なるため、両コネクタ18a,18bから延出されるリード線20を短くすることができる。それとともに、各コネクタ挿入口17に対するコネクタ18a,18bの装着作業性を向上することができる。
【0040】
(2)縦バスバー16の幅は両コネクタ18a,18bの差し込み長さの2倍以上の大きさに設定されているため、両コネクタ18a,18bを縦バスバー16に目一杯差し込むことができる。ゆえに、2種の縦バスバー用コネクタ18a,18bを縦バスバー16に確実に接続できる。また、縦バスバー16の幅方向において対峙する2種の縦バスバー用コネクタ18a,18bの先端同士が離間するため、それらの干渉を防ぐために、両コネクタ18a,18bの構造を変更しなくてもよくなる。
【0041】
また、両コネクタ18a,18b同士のズレがなくなるため、縦バスバー16の長さがより一層短くてもよくなる。ゆえに、ジャンクションブロック11を確実に小型化できる。
【0042】
(3)第1の縦バスバー用コネクタ18a及び第2の縦バスバー用コネクタ18bは、本体ケース12の厚さ方向において平バスバー27が配設されていない部分に集中配置されている。そのため、両コネクタ18a,18bは、バスバー積層体25に邪魔されることなくダイレクトに縦バスバー16に接続される。よって、両コネクタ18a,18bを確実に縦バスバー16に接続することができる。
【0043】
(4)縦バスバー16の延びる方向において隣り合う第1の縦バスバー用コネクタ18aまたは第2の縦バスバー用コネクタ18bは、互いに離間した状態に配設されている。そのため、本体ケース12の上面及び下面には、指を挿入するためのスペースが生じる。よって、両コネクタ18a,18bを把持し易くなり、両コネクタ18a,18bの着脱が容易になる。
【0044】
(5)縦バスバー16の延びる方向と第1の縦バスバー用コネクタ18a及び第2の縦バスバー用コネクタ18bの挿入方向とが直交している。よって、縦バスバー16の延びる方向に対して両コネクタ18a,18bが斜めに挿入される場合と比べ、コネクタ挿入口17を容易に成形できる。
【0045】
(6)縦バスバー16は、金属製の帯状素材を所定の長さに切断するだけで得られるため、縦バスバー16の配索が容易になる。ゆえに、出力側回路48の構成が容易になる。
【0046】
(7)本体ケース12がアッパーケース15及びロアケース14に分けられているため、平バスバー27と絶縁板26とからなるバスバー積層体25を本体ケース12内に容易に収容できる。
【0047】
(8)自動車の仕様の違いによって、主に出力側回路48のレイアウトを変更あるいは追加する必要が生じる場合がある。しかし、このような場合であっても、各コネクタ挿入口17に対する各コネクタ18a,18bの装着位置を変更することや、新たなコネクタ18a,18bを追加することによって対応することができる。この結果、バスバー積層体25に設けられた平バスバー27の配線を変更しなくてもよいので、平バスバー27を製造するプレス装置に用いる金型を新たにモディファイしたり、新規に製作したりせずに済む。従って、自動車の仕様変更等に容易に対応することが可能なジャンクションブロック11を提供することができる。
【0048】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・両コネクタ18a,18bにおいて本体ケース12の厚さ方向から投影したときに重なる部分の長さを、両コネクタ18a,18bの幅が異なる場合、幅が広い方のコネクタの幅の半分以上の大きさに設定してもよい。つまり、両コネクタ18a,18bには、本体ケース12をその厚さ方向から投影したときに多少重ならない部分があってもよい。
【0049】
・第1の縦バスバー用コネクタ18aの先端と第2の縦バスバー用コネクタ18bの先端とを当接させてもよい。このとき、縦バスバー16の幅は、第1の縦バスバー用コネクタ18aまたは第2の縦バスバー用コネクタ18bの差し込み長さの2倍の大きさになる。さらに、両コネクタ18a,18b及び接続端子19の構造を変更して、両コネクタ18a,18bを互いに重ねた状態で両コネクタ18a,18bを縦バスバー16に接続してもよい。このとき、縦バスバー16の幅は、第1の縦バスバー用コネクタ18aまたは第2の縦バスバー用コネクタ18bの差し込み長さの2倍以下の大きさになる。以上のように構成すれば、ジャンクションブロック11が本体ケース12の厚さ方向においてより確実に小型化される。
【0050】
・前記実施形態では、各コネクタ挿入口17には、両コネクタ18a,18bが縦バスバー16の延びる方向と直交する方向に挿入されていた。しかし、各コネクタ挿入口17を縦バスバー16の延びる方向に対して斜めの方向に突設することにより、両コネクタ18a,18bを、縦バスバー16の延びる方向に対して斜めの方向に挿入してもよい。
【0051】
・両コネクタ18a,18bは、それぞれ幅が異なるものであってもよい。
次に、上記実施形態及び別例によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0052】
(1)請求項1〜3のいずれか一項において、前記平バスバーを前記本体ケース内の前記第1ケース側に配設するとともに、前記縦バスバーを前記本体ケース内の前記第2ケース側に配設したことを特徴とするジャンクションブロック。
【0053】
(2)請求項1〜3、技術的思想(1)のいずれか一項において、前記第1の縦バスバー用コネクタ及び前記第2の縦バスバー用コネクタは、前記本体ケースの厚さ方向において前記平バスバーが配設されていない部分に集中配置されていることを特徴とするジャンクションブロック。よって、技術的思想(2)によれば、第1及び第2の縦バスバー用コネクタを確実に縦バスバーに接続することができる。
【0054】
(3)請求項1〜3、技術的思想(1),(2)のいずれか一項において、前記縦バスバーの延びる方向において隣り合う前記第1の縦バスバー用コネクタまたは前記第2の縦バスバー用コネクタを、互いに離間した状態に配設したことを特徴とするジャンクションブロック。よって、技術的思想(3)によれば、第1の縦バスバー用コネクタ及び第2の縦バスバー用コネクタの着脱が容易になる。
【0055】
(4)請求項1〜3、技術的思想(1)〜(3)のいずれか一項において、前記縦バスバーの延びる方向と前記第1の縦バスバー用コネクタ及び前記第2の縦バスバー用コネクタの挿入方向とを直交させたことを特徴とするジャンクションブロック。
【0056】
(5)請求項1〜3、技術的思想(1)〜(4)のいずれか一項において、前記縦バスバーは、金属製の帯状素材を所定の長さに切断することで得られ、前記接続端子が接続可能なフレキシブルバスバーであることを特徴とするジャンクションブロック。よって、技術的思想(5)によれば、縦バスバーの配索が容易になる。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、ジャンクションブロックの小型化が実現され、車両へのジャンクションブロックの搭載が容易になる。
【0058】
請求項2,3に記載の発明によれば、ジャンクションブロックをより確実に小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態におけるジャンクションブロックの全体斜視図。
【図2】 ジャンクションブロックの上面図。
【図3】 ジャンクションブロックの下面図。
【図4】 図2の4−4線断面図。
【図5】 圧接端子の全体斜視図。
【図6】 第1の縦バスバー用コネクタの全体斜視図。
【図7】 電源側回路及び出力側回路を示す概略図。
【図8】 ジャンクションブロックの要部断面図。
【図9】 従来技術における縦バスバーと第1及び第2の縦バスバー用コネクタとの接続状態を示す概略図。
【符号の説明】
11…ジャンクションブロック、12…本体ケース、14…第2ケースとしてのロアケース、15…第1ケースとしてのアッパーケース、16…縦バスバー、18a…第1の縦バスバー用コネクタ、18b…第2の縦バスバー用コネクタ、19…接続端子、27…平バスバー、47…電源側回路、48…出力側回路。
Claims (3)
- 第1ケース及び第2ケースからなる本体ケース内に、前記両ケースの底面に対し平行に配置される平バスバーと、前記両ケースの底面に対し垂直に配置される縦バスバーとを収容するとともに、バッテリーに接続される電源側回路を前記平バスバーによって構成し、かつ車両用負荷機器に接続される出力側回路を前記縦バスバーによって構成し、接続端子を有する第1の縦バスバー用コネクタを、前記縦バスバーの前記第1ケース側の端縁に接続するとともに、接続端子を有する第2の縦バスバー用コネクタを、前記縦バスバーの前記第2ケース側の端縁に接続したジャンクションブロックであって、
前記第1の縦バスバー用コネクタと前記第2の縦バスバー用コネクタとを、前記本体ケースの厚さ方向において対峙し、かつ前記本体ケースをその厚さ方向から投影したときに重なるように配設し、前記両コネクタにおいて前記本体ケースの厚さ方向から投影したときに重なる部分の長さを、前記両コネクタの幅が異なる場合、幅が広い方のコネクタの幅の半分以上の大きさに設定したことを特徴とするジャンクションブロック。 - 第1ケース及び第2ケースからなる本体ケース内に、前記両ケースの底面に対し平行に配置される平バスバーと、前記両ケースの底面に対し垂直に配置される縦バスバーとを収容するとともに、バッテリーに接続される電源側回路を前記平バスバーによって構成し、かつ車両用負荷機器に接続される出力側回路を前記縦バスバーによって構成し、接続端子を有する第1の縦バスバー用コネクタを、前記縦バスバーの前記第1ケース側の端縁に接続するとともに、接続端子を有する第2の縦バスバー用コネクタを、前記縦バスバーの前記第2ケース側の端縁に接続したジャンクションブロックであって、
前記第1の縦バスバー用コネクタと前記第2の縦バスバー用コネクタとを、前記本体ケースの厚さ方向において対峙し、かつ前記本体ケースをその厚さ方向から投影したときに重なるように配設し、前記両コネクタにおいて前記本体ケースの厚さ方向から投影したときに重なる部分の長さを、前記両コネクタの幅が同一である場合、前記両コネクタの幅と同一の大きさに設定したことを特徴とするジャンクションブロック。 - 前記縦バスバーの幅を前記第1の縦バスバー用コネクタ及び前記第2の縦バスバー用コネクタの差し込み長さの2倍以上の大きさに設定したことを特徴とする請求項1または2に記載のジャンクションブロック。
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