JP3887596B2 - 保湿用皮膚外用剤及び肌荒れ改善用皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の植物抽出物を有効成分とする、優れた効果を発揮する保湿用皮膚外用剤及び肌荒れ改善用皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
皮膚外用剤は皮膚に適用することにより、皮膚に対して特定の効果を発揮させることを意図した製剤であり、保湿効果や、肌荒れ改善効果はその特定の効果のひとつである。これらの効果を目的とした化粧料などの皮膚外用剤の有効成分としては、アミノ酸や多糖、多価アルコール(非特許文献1参照)、薬用植物などの抽出物(非特許文献2〜非特許文献5参照)などが従来から用いられている。特に、植物抽出物においては、現在も非常に活発な研究が成されている。例えば、保湿剤、肌荒れ改善剤に限っても、ラン科植物(特許文献1参照)、ラッカセイ(特許文献2参照)、サルナシ(特許文献3参照)、オオバコ(特許文献4参照)、ハマグルマ属植物(特許文献5参照)、サクラ属植物等(特許文献6参照)、アカテツ科植物(特許文献7参照)、レピディウム属植物(特許文献8参照)、アボカド等(特許文献9参照)、イヌカラマツ(特許文献10参照)、ウコギ科植物(特許文献11参照)、アスパラガス・ラセモサス等(特許文献12参照)、ホウセンカ(特許文献13参照)、ブナ(特許文献14参照)、ニシキギ属植物(特許文献15参照)、ココツヤシ(特許文献16参照)などの植物に関する技術が開示されている。
【0003】
なお、後で詳細に説明する本発明に必須な構成成分であるモリナ属(Morina)、プテロケファルス属(Pterocephalus)、トリプロステギア属(Triplostegia)に属する植物のうち、モリナ・デラヴァイ(M. delavayi)、モリナ・ブレヤナ(M. bulleyana)が「シジン(非特許文献6参照)」として、モリナ・クルテリアナ(M. coulteriana)、モリナ・ベトニコイデス(M. betonicoides)は「シマレイソウ(非特許文献7参照)」、プテロケファルス・フーケリ(P. hookeri)は「ヨクシュソウ(非特許文献8参照)」、トリプロステギア・グランディフロラ(T. grandiflora)は「ソウジン(非特許文献9参照)」、トリプロステギア・グランデュリフェラ(T. glandulifera)は「トラツ(非特許文献10参照)」としてそれぞれ生薬として利用されており、「ソウジン」以外はすりつぶしたり、粉末にして皮膚に塗布する用法も知られている。なお、上記植物のうち、モリナ・デラヴァイ、モリナ・ブレヤナ、モリナ・ベニトコイデスは、モリナ・ネパレンシス(M. nepalensis)としてまとめて分類されることもあり、以後、本発明においては後者の分類を採用して記載する。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−205933号公報
【特許文献2】
特開2002−145757号公報
【特許文献3】
特開2002−145754号公報
【特許文献4】
特開2002−145731号公報
【特許文献5】
特開2002−20262号公報
【特許文献6】
特開2002−20225号公報
【特許文献7】
特開2001−122732号公報
【特許文献8】
特開2001−39854号公報
【特許文献9】
特開2001−39823号公報
【特許文献10】
特開2000−226323号公報
【特許文献11】
特開平11−158053号公報
【特許文献12】
特開平11−92332号公報
【特許文献13】
特開平10−287527号公報
【特許文献14】
特開平9−227397号公報
【特許文献15】
特開平7−126146号公報
【特許文献16】
特開平6−72838号公報
【特許文献17】
特開2002−142564号公報
【特許文献18】
特開平9−154406号公報
【特許文献19】
特表2002−501755号公報
【非特許文献1】
光井武雄編、「新化粧品学」、第2版、南山堂、2001年1月18日、p.152−156、およびp.187−188
【非特許文献2】
一丸貿易製造開発部、「薬用植物の応用とその効果について」、フレグランスジャーナル、フレグランスジャーナル社、1979年、臨時増刊1号、p.43−48
【非特許文献3】
田口昌之、「ヨーロッパにおける生薬の化粧品への利用と安全性」、フレグランスジャーナル、フレグランスジャーナル社、1979年、臨時増刊1号、p.66−74
【非特許文献4】
大津吉朗、「植物性抽出成分の化粧品への利用と課題」、フレグランスジャーナル、フレグランスジャーナル社、1979年、臨時増刊1号、p.84−87
【非特許文献5】
「各社植物成分リスト」、フレグランスジャーナル、フレグランスジャーナル社、1986年、臨時増刊6号、p.324−349
【非特許文献6】
上海科学技術出版社、小学館編、「中薬大辞典(第2巻)」、小学館、1985年12月10日、p.1065−1066
【非特許文献7】
上海科学技術出版社、小学館編、「中薬大辞典(第2巻)」、小学館、1985年12月10日、p.1112
【非特許文献8】
上海科学技術出版社、小学館編、「中薬大辞典(第4巻)」、小学館、1985年12月10日、p.2628−2629
【非特許文献9】
上海科学技術出版社、小学館編、「中薬大辞典(第4巻)」、小学館、1985年12月10日、p.1590
【非特許文献10】
上海科学技術出版社、小学館編、「中薬大辞典(第4巻)」、小学館、1985年12月10日、p.1985−1986
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前項で説明したように、保湿効果及び/又は肌荒れ改善効果を有する有効成分について、数多くの検討が成されているものの、上記の有効成分を含有する皮膚外用剤は何れにおいても、その保湿効果、肌荒れ改善効果は必ずしも十分ではなく、より効果の優れた有効成分およびその成分を含有する皮膚外用剤の開発が望まれていた。上記事情を鑑み、本発明の課題は、効果に優れた保湿用皮膚外用剤及び肌荒れ改善用皮膚外用剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、当該課題を解決するための有効成分を得るべく鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、モリナ属(Morina)、プテロケファルス属(Pterocephalus)、トリプロステギア属(Triplostegia)のいずれかに属する植物から選択される1種もしくは2種以上の植物の抽出物を含有してなる皮膚外用剤が、保湿性に優れ、肌荒れ改善・予防効果に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0008】
本発明に係るモリナ属(Morina)、プテロケファルス属(Pterocephalus)、トリプロステギア属(Triplostegia)は、それぞれが8属約250種からなるマツムシソウ科(Dipsacaseae)のうちの一属であり、主としてユーラシア大陸の温帯域に分布する、多年生若しくは1年生の草本である。モリナ属としては、上述のモリナ・ネパレンシス(M. nepalensis)、モリナ・クルテリアナ(M. coulteriana)や、モリナ・ロンギフォリア(M. longifolia)、モリナ・パーシカ(M. persica)等が、プテロケファルス属としては、プテロケファルス・ホーケリ(P. hookeri)、プテロケファルス・カヌス(P. canus)、プテロケファルス・デプレッサス(P. depressus)、プテロケファルス・クルディクス(P. kurdicus)、プテロケファルス・ペレンニス(P. perennis)、プテロケファルス・ピナルディイ(P. pinardii)、プテロケファルス・スパツレイトゥス(P. spathulatus)、プテロケファルス・ストリクタス(P. strictus)、プテロケファルス・スゾヴィッツィイ(P. szovitsii)等が、トリプロステギア属としては、トリプロステギア・グランディフロラ(T. grandiflora)、トリプロステギア・グランデュリフェラ(T. glandulifera)等が、それぞれ知られている。
【0009】
また、本発明に係る植物は、上記の属に分類される植物であれば、特に限定は無く、いずれのものを用いても良いが、モリナ・ネパレンシス(M. nepalensis)、モリナ・クルテリアナ(M. coulteriana)、プテロケファルス・ホーケリ(P. hookeri)、トリプロステギア・グランディフロラ(T. grandiflora)、トリプロステギア・グランデュリフェラ(T. glandulifera)が、生薬として利用されるため、原料入手の容易さの面で、用いることが好ましい。
【0010】
なお、これらの植物の生薬としての用法には、すりつぶしたり、粉末にして適用部位に塗布する(非特許文献6〜非特許文献10参照)ことが既に知られてはいるが、本発明に係る植物の抽出物を皮膚外用剤に含有させることで、優れた保湿効果及び/又は肌荒れ改善効果が発揮されることについては本発明者らが始めて見出したものである。
【0011】
本発明にかかる抽出物は、本発明にかかる植物体の花穂、葉、茎、根等の何れの部分を用いても良く、それぞれの全草を用いて抽出しても良く、さらにはそれぞれの植物の全草および各部位から複数を選択、混合して抽出しても良い。また、その抽出方法は常法であればよく、各部位を生のまま、或いは乾燥・粉砕後に抽出することができる。
【0012】
本発明において使用する植物抽出物を調製する方法について、さらに述べるが、これらの抽出溶媒および抽出方法に限定されるものではない。抽出溶媒としては、水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−オクチルアルコールなどのアルコール類、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等の多価アルコール又はその誘導体、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−プロピルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル類、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル等のエーテル類などの極性溶媒から選択される1種又は2種以上の混合溶媒が好適に使用でき、また、リン酸緩衝生理食塩水や尿素水溶液を用いることができる。
【0013】
なお、上記溶媒のうち、水、アルコール及び多価アルコール又はその誘導体類(エタノール、メタノール、イソプロパノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−オクチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等)およびそれらの混合溶媒については、その溶媒を留去せずに抽出物として構わない。
【0014】
或いは、石油エーテル、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−ブタン、n−オクタン、シクロヘキサン、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、ベンゼン、トルエンなどの低極性もしくは無極性溶媒から選択される1種又は2種以上の混合溶媒も好適に使用することもできる。
【0015】
なお、これらの低極性、無極性の溶媒のうち流動パラフィンやスクワランなどに関しては、その溶媒を留去せずに抽出物として構わない。
【0016】
さらには、水や二酸化炭素、エチレン、プロピレン、エタノール、メタノール、アンモニアなどの1種または2種以上の超臨界流体や亜臨界流体も用いることもできる。
【0017】
抽出方法としては、常圧、若しくは加圧,減圧下で、室温、冷却又は加熱した状態で含浸させて抽出する方法、水蒸気蒸留などの蒸留法を用いて抽出する方法等を用いることができ、これらの方法を単独で、又は2種以上を組み合わせて抽出を行うこともできる。
【0018】
このようにして得られた本発明に係る植物抽出物は、抽出物をそのまま用いることもできるが、その効果を失わない範囲で、脱臭、脱色、濃縮などの精製操作を加えたり、さらにはカラムクロマトグラフィーなどを用いて分画物として用いてもよい。これらの抽出物や、その精製物、分画物は、これらから溶媒を除去することによって乾固物とすることもでき、さらに、アルコールなどの溶媒に可溶化した形態、或いは乳剤の形態で用いることができる。
【0019】
本発明においては、モリナ属(Morina)、プテロケファルス属(Pte rocephalus)、トリプロステギア属(Triplostegia)のいずれかに属する植物から選択される1種もしくは2種以上の植物の抽出物を有効成分として皮膚外用剤に配合することにより、優れた保湿効果及び/又は肌荒れ改善効果を発揮することができる。
【0020】
本発明に係る植物抽出物の保湿用皮膚外用剤及び/又は肌荒れ改善用皮膚外用剤への配合量としては、乾燥物として一般的に0.0001重量%〜10.0重量%であり、好ましくは、0.001重量%〜5.0重量%、さらに好ましくは、0.001重量%〜1.0重量%である。
【0021】
本発明に係る植物抽出物を配合し得る保湿用皮膚外用剤及び/又は肌荒れ改善用皮膚外用剤としては、クリーム、乳液、化粧水、ジェル状化粧料、石鹸、洗顔フォーム、ボディーシャンプー、パック剤、ファンデーション、口紅、リップクリーム、ヘアローション等があげられる。
【0022】
その際、本発明の効果を損なわない範囲に於いて、皮膚外用剤に一般的に用いられる原料、すなわち油性成分、界面活性剤、本発明以外の保湿剤、顔料、紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料、防菌・防黴剤、キレート剤や、他の有効成分である皮膚細胞賦活剤、抗炎症剤、美白剤などを用いて、保湿用皮膚外用剤及び/又は肌荒れ改善用皮膚外用剤を提供することができる。
【0023】
【実施例】
以下に、本発明に係る植物抽出物の製造例、保湿用皮膚外用剤及び/又は肌荒れ改善用皮膚外用剤としての実施例及び試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれによって何ら限定されるものではない。
【0024】
はじめに、本発明で用いた植物抽出物の調製方法を例示する。また、表1に、本発明で用いる植物の具体例と、抽出物の製造例を、その使用部位および調製方法とともに示す。以下の実施例の項において、本発明に係る植物抽出物を、「植物抽出物」と記載し、製造例を用いる場合は、その番号を明示して特定する。ただし、<抽出方法3>による製造例2、製造例6、および製造例9の植物抽出物を単独で用いた実施例3、実施例4、実施例14、実施例17については、参考例とする。
【0025】
<抽出方法1>
乾燥・粉砕した本発明に係る植物を、10重量倍量の50重量%エタノール水溶液に7日間室温にて浸漬し、これをろ過し、植物抽出物を得る。
【0026】
<抽出方法2>
乾燥・粉砕した本発明に係る植物を、10重量倍量の50重量%1,3−ブチレングリコール水溶液に50℃にて3日間浸漬し、これをろ過し、植物抽出物を得る。
【0027】
<抽出方法3>
乾燥・粉砕した本発明に係る植物を、超臨界抽出装置を用いて、加圧条件下二酸化炭素を溶媒に抽出、ろ過し、常圧下しで二酸化炭素を揮発させ、植物抽出物を得る。
【0028】
【表1】
【0029】
表1に基づいて得た製造例1から製造例9の植物抽出物を用いて本発明にかかる皮膚外用剤の有効性について実施した試験の内容とその結果を以下に述べる。
【0030】
[試験1:植物抽出物を配合した皮膚外用剤の保湿効果]
下記に示す処方例1の化粧水の処方を用い、植物抽出物を配合した皮膚外用剤の保湿性を評価した。試験に用いたサンプルをそれぞれ実施例1から実施例3とし、それぞれ配合した植物抽出物の種類と配合量は表2に示した組合せの通りである。なお、製造例1、製造例5および製造例9の植物抽出物のうち、製造例1および製造例5については、その溶媒を減圧下留去したものを使用した。また、植物抽出物を精製水に代替して調製したものを比較例1とした。
【0031】
<処方例1> 化粧水
(1)濃グリセリン 3.00(重量%)
(2)乳酸ナトリウム液(50重量%水溶液) 1.00
(3)エタノール 5.00
(4)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.25
(5)植物抽出物 表2に示す量
(6)精製水 100とする残部
製法:(1)〜(5)を均一に混合した後、(6)を加え均一になるまで十分に撹拌する。
【0032】
【表2】
【0033】
上記処方により得られた各実施例と比較例1を1組として20代から40代の女性の専門パネルに盲試料として、半顔ずつ塗布させた。保湿効果の評価は、各パネルが保湿効果が優れていると感じた方に2点、劣っていると感じたほうに1点を与えた。その合計点を各サンプルについて求め、その結果を表3に示した。
【0034】
【表3】
【0035】
この評価方法はクレーマーの検定法と呼ばれているものであり、パネルが15名の時には評価点の合計が26点対19点以上の格差が生じたときに、比較した2種のサンプルに有意な差があると判断できる方法である。したがって、表3の結果より、それぞれの実施例と、比較例1の保湿効果には有意な差が認められた。したがって、植物抽出物を配合してなる本発明に係る皮膚外用剤は、優れた保湿効果を有することが認められた。
【0036】
[試験2:植物抽出物を配合した皮膚外用剤の肌荒れ改善効果]
下記に示す処方例2の乳液の処方を用い、植物抽出物を配合した皮膚外用剤の肌荒れ改善効果を評価した。試験に用いたサンプルをそれぞれ実施例4から実施例6とし、それぞれ配合した植物抽出物の種類と配合量は表4に示した組合せの通りである。なお、製造例2、製造例4および製造例8の植物抽出物のうち、製造例4および製造例8については、その溶媒を減圧下にて留去したものを使用した。また、植物抽出物を精製水に代替して調製したものを比較例2とした。
【0037】
<処方例2> 乳液
(1)ジステアリン酸ポリグリセリル 2.50(重量%)
(2)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 8.00
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 0.50
(4)ベヘニルアルコール 0.50
(5)濃グリセリン 5.00
(6)精製水 100とする残部
(7)キサンタンガム(1重量%水溶液) 40.00
(8)エタノール 4.00
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.15
(10)植物抽出物 表4に示した量
製法:(1)〜(4)の油相と、(5)〜(7)の水相をそれぞれ80℃まで加熱溶解する。両相を混合し、ホモミキサーを用いて均一に乳化する。45℃まで冷却後、(8)〜(10)を併せたアルコール相を加え、均一に撹拌する。
【0038】
【表4】
【0039】
使用試験は、20〜40才の女性パネラー各20名を1群として、ブラインドにて、起床時の洗顔後および就寝直前の1日2回、連続30日間、適量のサンプルを顔面に塗布させて行った。試験開始前と試験終了後の角質層の状態を次の方法で評価した。
【0040】
洗顔後の油分の少ない状態で、市販のセロファンテープを被験者の頬に貼り付け、しばらく抑えた後、これを剥がし、あらかじめ固着剤を塗布したスライドガラスに貼り付ける。ついで、このスライドガラスを1時間キシレンに浸漬し、テープを静かに剥がした後再度、キシレンに1時間浸漬する。その後、スライドガラスを取り出し、風乾させた後、10分間1%ゲンチアナバイオレットB水溶液に浸漬する。ついで、スライドガラスを取り出し、水洗、乾燥後バルサム封入して角質層標本を得る。
【0041】
得られた角質標本を顕微鏡を用いて目視で観察し、角質細胞の形状、剥離密度、有核細胞数の数について、それぞれ表5〜表7に示した基準にてスコア化した。また角質の剥離多重度については、得られた角質層の画像をコンピュータに取り込み、画像解析ソフトを用いて以下のようにしてスコア化した。
【0042】
画像として取り込んだ角質細胞の占める部分の面積Sおよび、n枚の角質層の重なっている部分の面積Snを、画像解析ソフトを用いて求める。この値により下記式(1)を用いて角質層剥離多重度を算出し、得られた角質剥離多重度の値を表8に示す基準でスコア化した。
【0043】
角質剥離多重度=Σn・Sn/S (1)
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【表7】
【0047】
【表8】
【0048】
試験開始前及び試験終了後の角質層の状態を各スコアの合計値を比較して、「改善」、「やや改善」、「変化なし」、「悪化」の4段階で評価した。その判定結果を各評価に該当する人数で表9にまとめた。
【0049】
【表9】
【0050】
実施例4若しくは実施例6をそれぞれ使用した群では、試験終了後に全てのパネルの角質層が「やや改善」以上となり、実施例5の使用群でも1例を除いた19例で「やや改善」以上の評価となった。その一方で比較例2使用群では「やや改善」が2例のみで、残りの18例は「変化なし」以下であった。従って、植物抽出物を配合してなる皮膚外用剤は、優れた角質層の状態を改善すること、すなわち優れた肌荒れ改善効果を有することが認められた。
【0051】
以下に、本発明にかかるその他の保湿用皮膚外用剤及び/肌荒れ改善用皮膚外用剤の実施例を示す。
【0052】
<実施例10> O/W乳化型クリーム
(1)スクワラン 10.00(重量%)
(2)ミリスチン酸オクチルドデシル 5.00
(3)水素添加大豆リン脂質 0.20
(4)バチルアルコール 3.00
(5)硬化油 2.00
(6)ステアリン酸 1.50
(7)親油型モノステアリン酸グリセリン 1.50
(8)モノステアリン酸ポリグリセリル 1.50
(9)ベヘニルアルコール 0.80
(10)モノミリスチン酸ポリグリセリル 0.70
(11)サラシミツロウ 0.30
(12)混合脂肪酸トリグリセリド 0.10
(13)d−δ−トコフェロール 0.05
(14)精製水 100とする残部
(15)キサンタンガム(1重量%水溶液) 20.00
(16)1,3−ブチレングリコール 15.00
(17)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(18)水酸化ナトリウム(10重量%水溶液) 2.00
(19)香料 0.15
(20)植物抽出物(製造例3) 1.00
(21)エタノール 2.00
製法:(1)〜(13)の油相成分及び(14)〜(17)の水相成分をそれぞれ80℃に加熱し、混合均一化した後、水相に油相を添加する。(18)を加えてホモミキサーにて乳化する。撹拌しながら冷却し、40℃で予め混合、溶解した(19)〜(21)を順次添加し、撹拌、均一化する。
【0053】
<実施例11> ジェル状化粧水
(1)精製水 100とする残部(重量%)
(2)植物抽出物(製造例3) 1.50
(3)エタノール 8.00
(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.05
(5)植物抽出物(製造例6) 0.10
(6)カルボキシビニルポリマー(1重量%水溶液) 20.00
(7)キサンタンガム(1重量%水溶液) 5.00
(8)1,3−ブチレングリコール 3.00
(9)濃グリセリン 6.00
(10)L−アルギニン(10重量%水溶液) 4.00
製法:(1)及び(2)に予め混合しておいた成分(3)〜(5)を加え、(6)〜(10)の成分を順次添加して、混合、溶解、均一化する。
【0054】
製法:(1)〜(8)の油相成分を混合,加熱溶解して70℃とする。一方(9)〜(11)の水相成分を混合、溶解して70℃に加熱する。この水相成分に前記油相成分を徐々に添加した後、(12)を添加しホモミキサーにて均一に乳化する。乳化後、40℃まで冷却した後、(13)〜(15)を順次添加し混合する。
【0055】
製法:(1)〜(5)を混合した油相に、(6)〜(9)の水相を攪拌しながら徐々に添加しホモミキサーにて乳化する。乳化後、(10)を添加し混合する。
【0056】
製法:(3)、(7)を(11)に添加し均質とした後、(1)及び(2)に(4)〜(6)を溶解させて加え、70℃に加熱して均一に溶解させる。次いで冷却して40℃にて(9)、(10)を添加し、最後に(8)を加えて中和する。
【0057】
<実施例15> 洗顔料
(1)ステアリン酸 10.00(重量%)
(2)パルミチン酸 10.00
(3)ミリスチン酸 12.00
(4)ラウリン酸 4.00
(5)オレイルアルコール 1.50
(6)吸着精製ラノリン 0.50
(7)水酸化カリウム 6.00
(8)精製水 100とする残部
(9)濃グリセリン 20.00
(10)植物抽出物(製造例1) 1.00
(11)植物抽出物(製造例6) 0.10
(12)香料 0.10
製法:(1)〜(6)の油相及び(7)〜(9)の水相をそれぞれ混合し、75℃まで加熱溶解した後、油相に水相を加えてケン化する。冷却後40℃で(10)〜(12)を添加して混合する。
【0058】
製法:(1)および(2)の油相及び(3)〜(7)の水相をそれぞれ75℃まで加熱溶解した後、油相に水相を加える。これに、(8)を加え均一に撹拌後、冷却し45℃にて(9)〜(11)を添加して混合する。
【0059】
<実施例17> メイクアップベース
(1)ステアリン酸 1.00(重量%)
(2)ベヘニルアルコール 0.50
(3)自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1.50
(4)スクワラン 10.00
(5)1,3−ブチレングリコール 10.00
(6)濃グリセリン 3.00
(7)精製水 100とする残部
(8)キサンタンガム(1重量%水溶液) 10.00
(9)水酸化カリウム(10重量%水溶液) 1.00
(10)香料 0.10
(11)植物抽出物(製造例9) 0.50
(12)酸化チタン 1.00
(13)ベンガラ 0.01
(14)黄酸化鉄 0.04
製法:(12)〜(14)を(5)で混練し、これを(6)〜(8)の水相に添加混合し、70℃に加熱する。一方、(1)〜(4)の油相成分を混合加熱して70℃とする。(9)を加えた水相に油相を攪拌しながら添加して乳化する。40℃まで冷却した後、(10)および(11)を添加する。
【0060】
製法:(1)に(2)〜(5)を均一に溶解し、(8)を加える。これに(6)〜(7)を順次加えて、均一に撹拌する。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述したように、モリナ属(Morina)、プテロケファルス属(Pterocephalus)、トリプロステギア属(Triplostegia)のいずれかに属する植物から選択される1種もしくは2種以上の植物の抽出物を含有させることで、効果に優れた保湿用皮膚外用剤及び肌荒れ改善用皮膚外用剤を提供することができる。
Claims (2)
- モリナ属(Morina)に属する植物から選択される1種もしくは2種以上の植物より、50重量%エタノール水溶液、または50重量%1,3−ブチレングリコール水溶液から選ばれる溶媒にて抽出した抽出物を含有してなる保湿用皮膚外用剤。
- モリナ属(Morina)に属する植物から選択される1種もしくは2種以上の植物より、50重量%エタノール水溶液、または50重量%1,3−ブチレングリコール水溶液から選ばれる溶媒にて抽出した抽出物を含有してなる肌荒れ改善用皮膚外用剤。
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