JP3887214B2 - 循環式養殖装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、海水(人工海水を含む)を閉鎖系で循環させて再利用しながら、飼育水槽で魚介類を養殖したり一時的に蓄養したりするようにした循環式養殖装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
海水面から離れた陸上地点で、食用魚や貝類、甲殻類などの魚介類を飼育する閉鎖式の循環式養殖装置が従来から検討されている。この循環式養殖装置では、飼育魚介類の排泄物や残餌等の飼育水槽からの除去処理を、周辺環境に排出したりすることなくシステム内で行なう必要がある。
【0003】
このために飼育水槽1に循環経路2を接続し、飼育水槽1の海水を循環経路2を通して循環させている間に海水中の排泄物や残餌等を除去して浄化することが行なわれている。図3は海水を浄化するためのシステムの一例を示すものであり、循環経路2に沈殿槽11、スクリーンフィルタユニット12、プロテインスキマー13、第一硝化槽3a、第二硝化槽3b、循環ポンプ14、熱交換器15、紫外線照射装置16が接続してある。そして沈殿槽11やスクリーンフィルタユニット12で海水中の固形物を除去し、プロテインスキマー13で海水中に溶解している高分子物質を泡として取り除き、さらに第一硝化槽3a及び第二硝化槽3bの微生物による代謝分解で海水中に溶解しているアンモニア等の窒素成分を分解除去するようにしてある。
【0004】
上記の海水浄化のシステムの中でも、飼育魚介類の排泄物や残餌等に起因するアンモニアの除去処理は、アンモニアが魚介類に対する毒性が強いために、最も重要な構成要素であり、硝化細菌を用いる微生物処理が主に採用されている。この微生物硝化処理は、硝化細菌の亜硝酸菌群によりアンモニアを亜硝酸に酸化し、生成した亜硝酸を硝化細菌の硝酸菌群により硝酸に酸化することによって、アンモニア態窒素を硝酸態窒素に変換させるようにしたものである。硝酸はアンモニアに比べて魚介類に対する毒性がかなり低いので、このように硝化処理した海水を飼育水槽1に返送することによって、飼育海水の交換なしで、長期に亘って飼育水槽1で魚介類を飼育することが可能になるのである。
【0005】
生物硝化装置は硝化細菌を付着させた担体を槽内に充填して形成されたものが一般的であり、アンモニアを酸化するのに酸素が必要であるので曝気装置及び曝気配管を備えている。図3のものでは、第一硝化槽3aには硝化細菌を付着した粒状の担体を曝気装置からの多量の空気で舞い上げて浮遊させる流動床が形成してあり、第二硝化槽3bには硝化細菌を付着した粒状の担体が流動せず沈降するようにゆるやかに曝気する固定床が形成してあり、アンモニアを亜硝酸に酸化し、さらに硝酸へと酸化する硝化処理が行なわれるようにしてある。図3において17はpHメーターとアルカリ剤添加装置からなるpH調整装置であり、負イオンである亜硝酸イオンや硝酸イオンの生成によって海水のpHの低下を防ぐようにしたものである。
【0006】
上記の第一硝化槽3a及び第二硝化槽3bによりアンモニアを毒性の低い硝酸に酸化変換することができるが、硝酸も濃度が数百mg/Lに達すると、飼育する魚介類の種類によっては生育に悪影響が出てくる。このために、第二硝化槽3bの後段に脱窒槽7を設け、第一硝化槽3a及び第二硝化槽3bで硝化された海水の一部を脱窒槽7に移流させ、海水中の硝酸を微生物の作用で窒素に還元して除去する脱窒処理を行なうようにしている。脱窒槽7には脱窒細菌を付着させた担体が充填してあり、有機物添加ユニット18から脱窒細菌の栄養源となる糖類、アルコール類、水素ガスを添加するようにしてある。脱窒槽7に移流する海水は、硝化処理されて硝酸イオンを含み、溶存酸素が少ない状態になっているが、脱窒細菌はこれらの栄養源による代謝を、酸素供給を受けない嫌気状態で溶存酸素の代りに硝酸イオンの酸素を利用することによって行なうものであり、この結果、硝酸イオンは窒素に還元されることになり、窒素を窒素ガスとして空気中に排出して脱窒することができるのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにして硝化細菌や脱窒細菌という微生物を用いた自然環境でアンモニアを毒性の低い硝酸に変換することができ、さらに硝酸を脱窒することによって硝酸の高濃度蓄積を防ぐことができるものである。
【0008】
しかし、硝化細菌は増殖速度が他の微生物種より遅いことが知られており、飼育魚介類数や、給餌量の急激な増加に対して、硝化細菌による硝化作用の追随性が良好でない。このため魚介類の飼育数や給餌量が急激に増加して、アンモニアの発生量が急激に増えると、アンモニアを亜硝酸に酸化し、さらに亜硝酸を硝酸に酸化する硝化が不完全になって、亜硝酸が硝酸に酸化されないまま飼育水槽1に返送されるおそれがある。亜硝酸はアンモニアよりも魚介類に対する毒性が高く、数mg/Lで魚介類の斃死を起す可能性がある。このような危険を避けるには、魚介類の飼育数を制限するか、あるいは硝化槽3a,3bを大きくして多量の硝化細菌を生育させておく必要がある。硝化槽3a,3bを大型化する場合、ときには飼育水槽1の貯水量よりも大きな硝化槽3a,3bを用いる必要があり、設備用地の取得、建造費も含めた循環式養殖装置の高コスト化、魚介類生産効率の低下による利益低減をもたらすことになるものであった。
【0009】
また上記のような魚介類の飼育数や給餌量の急激な増加に伴って、硝化槽3a,3bから脱窒槽7に移流する海水中の硝酸、亜硝酸の量が増大すると、脱窒槽7で硝酸を窒素まで還元しきれず、亜硝酸までしか還元していない状態で脱窒槽7から排出されることがある。このような場合を想定して、脱窒槽7からの海水は飼育水槽1に直接返送せず、返送路19を経て硝化槽3a,3bの前段、例えば図3の場合には沈殿槽11に戻すようにしており、硝化槽3a,3bで再度硝化処理されるようにしている。この場合、脱窒槽7で硝酸が還元されて生成された亜硝酸が硝化槽3a,3bで硝酸に酸化され、さらにこの硝酸が脱窒槽7で還元されるというように、脱窒効率が非常に悪い状態になっているといえる。このような悪循環を防ぐには、脱窒槽7も巨大化して脱窒能力を高めるようにせざるを得ず、装置全体の高コスト化や、脱窒細菌の栄養源となる糖類、アルコール類、水素ガス等の添加量の増加による高ランニングコスト化をもたらすことになるものであった。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、硝化槽や脱窒槽を大型化する必要なく、魚介類の飼育数や給餌量の急激な変動に対応することができる循環式飼育装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る循環式飼育装置は、魚介類を飼育する飼育水槽1の海水を循環経路2を通して循環させながら海水中のアンモニア等の窒素成分を除去するようにした循環式養殖装置において、硝化細菌を付着させた担体が攪拌流動される流動床からなる硝化槽3と、海水を電気分解する電極のうち陽極4を備える調整槽5とを、海水の流れ方向でこの順に循環経路2に接続し、海水を電気分解する電極のうち陰極6を備えると共に脱窒細菌を付着させた担体が静置される固定床を備える脱窒槽7を硝化槽3と調整槽5の間に接続して成ることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項2の発明は、請求項1において、調整槽5の陽極4と、脱窒槽7の陰極6との間に印可する電圧が、直流3V以下であることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態の一例を示すものであり、魚介類が飼育される飼育水槽1に循環経路2が設けてあり、飼育水槽1の海水を循環経路2を通して循環させるようにしてある。そしてこの循環経路2には海水の流れ方向の順に、沈殿槽11、スクリーンフィルタユニット12、プロテインスキマー13、硝化槽3、調整槽5、循環ポンプ14、熱交換器15、紫外線照射装置16が接続してあり、循環ポンプ14によって海水を循環させるようにしてある。また硝化槽3と調整槽5の間にバイパス経路21が接続してあり、このバイパス経路21に脱窒槽7が接続してある。さらに硝化槽3にはpH調整槽17が接続してある。
【0015】
上記のように形成される循環式飼育装置にあって、飼育魚介類の排泄物や、食べ残された残餌等を含む飼育水槽1内の海水は、槽底部からまず沈殿槽11に送られ、比較的大きな粒子が沈降分離された後、スクリーンフィルタユニット12で浮遊性の固形物が除かれる。次にプロテインスキマー13で、魚の体表分泌物由来のタンパク質等の溶解性高分子物質が泡沫として分離される。このように処理された海水は硝化槽3及び調整槽5で硝化処理された後、循環ポンプ14を経由して熱交換器15に送られて、飼育水槽1で飼育される魚介類に適した温度に調温され、さらに紫外線照射装置16で殺菌された後、飼育水槽1に返送されるようになっている。また硝化槽3で硝化処理された海水の一部はバイパス経路20から脱窒槽7に移流し、脱窒処理された後、バイパス経路21を通して調整槽5に戻されるようになっている。
【0016】
ここで、上記の硝化槽3内には硝化細菌を付着させた粒状の担体が充填してあり、曝気装置によって硝化槽3の底部から多量の空気を吹き込んで曝気するようにしてある。このように多量の空気を吹き込んで曝気することによって、粒状の担体はこの空気で舞い上げられ海水中に浮遊して流動する状態になっており、流動床が形成されるようにしてある。また海水を電気分解するための一対の電極のうち、陽極4が調整槽5内に配置してあり、陰極6が脱窒槽7内に配置してある。脱窒槽7は海水が流入する側の前段室22と海水が流出する側の後段室23とで形成してあり、陰極6は前段室22に設けてある。脱窒槽7の後段室23内には脱窒細菌を付着させた粒状の担体が充填してあり、この脱窒槽7には曝気を行なわず、担体は自重で海水中を沈降して静置され状態になっており、固定床が形成されるようにしてある。
【0017】
そして、上記のように沈殿槽11、スクリーンフィルタユニット12、プロテインスキマー13を通過して硝化槽3に流入した海水は、硝化槽3内の曝気された好気性雰囲気において硝化細菌による硝化作用を受け、海水中のアンモニアは酸化される。このとき、硝化槽3は流動床のみからなる小型に形成してあり、魚介類の飼育数や給餌の増加によってアンモニア負荷が増大すると、硝化細菌によってアンモニアを十分に硝化することができず、硝化細菌による硝化作用は次の(1)式のようにアンモニアが亜硝酸に酸化される段階で留まっている。
NH4 ++2O2→NO2 -+2H2O (1)
従って硝化槽3で硝化処理された後、調整槽5に流入する海水中には亜硝酸が多く含まれているが、調整槽5内には電気分解電極の陽極4のみが設けてあるので、陽極4の表面での化学反応によって、亜硝酸は次の(2)式のように酸化され、硝酸になる。
NO2 -+1/2O2→NO3 - (2)
硝化細菌の硝酸菌群は独立栄養細菌であって、既述のように増殖が遅く、アンモニア負荷の増大に対して硝化能力を容易に追随させることができないが、電気分解の陽極4での化学反応は印加電力をアップすることによって容易に調整することができ、アンモニア負荷の増大に対しても容易に追随して亜硝酸を硝酸に酸化することができるものであり、調整槽5に流入する海水中の亜硝酸を残すことなく酸化して毒性の低い硝酸に変換することができる。従って、調整槽5から熱交換器15と紫外線照射装置16を通して飼育水槽1に海水を返送する際に、亜硝酸が飼育水槽1に流入することを防ぐことができるものである。
【0018】
ここで、調整槽5内の陽極4では、電解電圧によっては海水の電解で、塩素イオンの酸化により、次の(3)式のように塩素活性種の生成が起こる。
Cl-+2OH-→ClO-+H2O (3)
この塩素活性種は殺菌作用があり、殺菌を目的とするときには分解電圧を3.5〜4.5V程度に設定して塩素、塩素酸、次亜塩素酸等の活性塩素種を生成させているが、これらの活性塩素種は魚介類に対する毒性もある。従って活性塩素種を発生させるときにはこれが飼育水槽1に返送されないように中和処理や吸着処理等の塩素除去処理を行なう必要がある。しかし本発明では殺菌を目的とする電気分解でないので、調整槽5の陽極4と脱窒槽7の陰極6との間に電源24から印可する電圧を直流3V以下に設定して電気分解を行なうのが好ましい。塩素活性種の生成反応は亜硝酸酸化反応より必要とする起電力が高いので、このように電解電圧を3V以下に設定することによって、塩素活性種の生成を制限しながら、亜硝酸の酸化反応のみを起こさせることができるものである。電解電圧が低過ぎると、亜硝酸の酸化反応も不充分になるので、電解電圧は2Vを下回らないように設定するのが好ましい。
【0019】
また上記のように硝化槽3で硝化処理された海水の一部はバイパス路21から脱窒槽7に移流し、脱窒処理されるが、脱窒槽7の前段室22には電気分解電極の陰極6のみが設けてあるので、陰極6の表面から(4)式のように水素が発生する。そしてこのように発生する水素を栄養源とする水素酸化型脱窒細菌により、脱窒槽7の後段室23で硝化槽3から流入する海水に含まれる亜硝酸は(5)式のように窒素に還元され、窒素がガスとして海水から除去されることによって脱窒することができるものである。
2H+→H2 (4)
NO2 -+2H2→1/2N2+2H2O (5)
このように脱窒に必要な水素は海水を原料として電気分解により供給されるので、脱窒槽7に水素を供給するために水素の供給装置や保管装置が不要になるものである。また海水からの脱窒は亜硝酸を還元することを主とするので、(6)式のように硝酸を還元する場合よりも効率良く脱窒することができ、脱窒槽7を小型に形成することができるものである。さらに硝酸を還元する場合は(7)式のように不完全脱窒によって硝酸から亜硝酸が再生されることがあるが、亜硝酸を還元することを主とするので亜硝酸が再生されることを低減することができるものである。
NO3 -+3H2→1/2N2+3H2O (6)
NO3 -+H2→NO2 -+H2O (7)
【0020】
【実施例】
次に、本発明の比較例及び実施例を示す。
【0021】
(比較例)
図3のシステムにおいて、20tの海水を収容する飼育水槽1でヒラメ稚魚を飼育した。そして飼育水槽1内のアンモニアを増加させてアンモニア負荷を増大させるようにしたときの、第一硝化槽3aと第二硝化槽3bのアンモニア濃度と亜硝酸濃度を測定し、アンモニア濃度の測定経時変化を図4(a)に、亜硝酸濃度の測定経時変化を図4(b)に示した。尚、図4(a)において、第一硝化槽3aの入口で採水したアンモニア濃度を「流動床入口NH3−N」、第二硝化槽3bの入口で採水したアンモニア濃度を「固定床入口NH3−N」、第二硝化槽3bの出口で採水したアンモニア濃度を「固定床出口NH3−N」に示した。また図4(b)において、第一硝化槽3aの入口で採水した亜硝酸濃度を「流動床入口NO2−N」、第二硝化槽3bの入口で採水した亜硝酸濃度を「固定床入口NO2−N」、第二硝化槽3bの出口で採水した亜硝酸濃度を「固定床出口NO2−N」に示した。
【0022】
図4(a)(b)から、アンモニアから亜硝酸への酸化が第一硝化槽3aで起こっており、亜硝酸から硝酸への酸化が第二硝化槽3bで起こっていることがわかる。さらに、図4(b)には、アンモニア負荷の変動に追従できず、第二硝化槽3bの出口から亜硝酸が流出していることが示されている。このように、図3のシステムでは、アンモニア負荷が増大すると魚介類に毒性の高い亜硝酸が飼育水槽1に返送されるおそれがある。従って、立ち上げ不十分な硝化槽3a,3bを用いて飼育を行なう場合や、魚介類の飼育数を増やして給餌量を増大させた場合には、飼育水槽1に亜硝酸が流入し、亜硝酸濃度や、高亜硝酸濃度にさらされる時間によっては、飼育魚介類の斃死を招くおそれがある。
【0023】
また図4(c)は、脱窒槽7の入口と出口のアンモニア濃度(NH3−N)、亜硝酸濃度(NO2−N)、硝酸濃度(NO3−N)の測定結果を示すものである。図4(c)にみられるように、出口で採取した亜硝酸濃度が入口のものよりも増加しており、脱窒槽7で硝酸から亜硝酸が再生されていることがわかる。尚、図4(c)において硝酸の蓄積が大きいのは、システムの運転開始から1ヶ月経過の後に、脱窒槽7の運転を始めたためである。そして図3のシステムでは脱窒槽7からの返送水は飼育水槽1ではなく沈殿槽11に戻すようにしているので、脱窒槽7で再生された亜硝酸により魚介類の斃死は起こらないが、脱窒槽7と硝化槽3a,3bとの間で亜硝酸を硝酸に変えてまた戻していることになり、脱窒槽7での有機物の供給が無駄になっているといえる。
【0024】
(実施例)
図1のシステムにおいて、20tの海水を収容する飼育水槽1でヒラメ稚魚を飼育した。尚、図1の硝化槽3は図4の第一硝化槽3aの2/3の大きさである。また陽極4は白金めっきチタンの網状電極で、陰極6はSUSの網状電極を用い、陽極4と陰極6には電源から直流3Vを印加し、電流密度は陽極4において0.5〜1A/dm2程度に設定した。
【0025】
そして飼育水槽1内のアンモニアを増加させてアンモニア負荷を増大させるようにしたときの、調整槽5の入口と出口の亜硝酸濃度を測定し、その測定経時変化を図2(a)に示した。尚、図2(a)において、調整槽5の入口で採水した亜硝酸濃度を「調整槽入口NO2−N」、調整槽5の出口で採水した亜硝酸濃度を「調整槽出口NO2−N」に示した。図2(a)にみられるように、調整槽5の出口では亜硝酸濃度は低く、飼育水槽1への亜硝酸の流入は起こらないことが確認された。
【0026】
また図2(b)は上記の操作時において、調整槽5の出口の塩素活性種濃度を測定し、これを塩素換算で示したものである。図2(b)にみられるように、調整槽5内で塩素生成は多少は起こるが、魚毒性を発揮する濃度以下に抑えられていることが示されている。
【0027】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る循環式養殖装置は、魚介類を飼育する飼育水槽の海水を循環経路を通して循環させながら海水中のアンモニア等の窒素成分を除去するようにした循環式養殖装置において、硝化細菌を付着させた担体が攪拌流動される流動床からなる硝化槽と、海水を電気分解する電極のうち陽極を備える調整槽とを、海水の流れ方向でこの順に循環経路に接続し、海水を電気分解する電極のうち陰極を備えると共に脱窒細菌を付着させた担体が静置される固定床を備える脱窒槽を硝化槽と調整槽の間に接続してあるので、硝化槽を流動床のみからなる小型に形成して、アンモニア負荷が急増したときにアンモニアの硝化不十分で亜硝酸に酸化される段階で留まっていても、調整槽内の陽極の表面での化学反応によって亜硝酸を酸化して硝酸に変換することができるものであり、亜硝酸が飼育水槽に流入することを防ぐことができるものである。また脱窒槽に設けた陰極において電気分解で生成される水素を利用して、水素を別途の設備で補給する必要なく脱窒細菌による脱窒反応を効率良く行なわせることができるものであり、しかも硝化槽から脱窒槽に移流する海水の脱窒処理は亜硝酸からの脱窒が主であって、脱窒を効率良く行なうことができ、脱窒槽を小型化することができるものである。従って、硝化槽や脱窒槽を大型化する必要なく、魚介類の飼育数や給餌量の急激な変動に対応することができるものである。
【0028】
また請求項2の発明は、調整槽の陽極と、脱窒槽の陰極との間に印可する電圧を、直流3V以下に設定するようにしたので、海水の電気分解で陽極から活性塩素種が過剰生成されることを抑えることができ、活性塩素種が飼育水槽に返送されないように中和処理や吸着処理等の塩素除去処理装置を設けるような必要がなくなるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図2】実施例における測定結果を示すものであり、(a)は調整槽の入口と出口の亜硝酸濃度の経時変化を示すグラフ、(b)は調整槽の出口の塩素活性種濃度の経時変化を示すグラフである。
【図3】従来例の一例を示す概略図である。
【図4】比較例における測定結果を示すものであり、(a)は硝化槽の入口と出口のアンモニア濃度の経時変化を示すグラフ、(b)は硝化槽の入口と出口の亜硝酸濃度の経時変化を示すグラフ、(c)は脱窒槽の入口と出口のアンモニア、亜硝酸、硝酸の各濃度の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 飼育水槽
2 循環経路
3 硝化槽
4 陽極
5 調整槽
6 陰極
7 脱窒槽
Claims (2)
- 魚介類を飼育する飼育水槽の海水を循環経路を通して循環させながら海水中のアンモニア等の窒素成分を除去するようにした循環式養殖装置において、硝化細菌を付着させた担体が攪拌流動される流動床からなる硝化槽と、海水を電気分解する電極のうち陽極を備える調整槽とを、海水の流れ方向でこの順に循環経路に接続し、海水を電気分解する電極のうち陰極を備えると共に脱窒細菌を付着させた担体が静置される固定床を備える脱窒槽を硝化槽と調整槽の間に接続して成ることを特徴とする循環式養殖装置。
- 調整槽の陽極と、脱窒槽の陰極との間に印可する電圧が、直流3V以下であることを特徴とする循環式養殖装置。
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