JP3887206B2 - 無機el装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置等に用いられる無機EL(Electroluminescence:電界発光)装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
蛍光体に電界を加えると発光する現象(EL)を利用して、ガラス基板上に透明電極層、第1誘電体層、発光層、第2誘電体層、および背面電極層が順次積層した構造を備えたEL表示装置が知られている。EL表示装置は、薄型であり、固体デバイスであることから動作温度や耐衝撃性の面で優れ、自発光型であることから視野角が大きく、また、応答速度が速い等の特徴がある。このようなEL表示装置は、蛍光体の構成材料で有機ELと無機ELとに大別され、有機ELは大型化が困難であると共に劣化し易く短寿命であるが、無機EL表示装置はそのような欠点を有せず且つ有機ELに比較して小電流で駆動できるため、CRTに代わるテレビジョン受像機等用の大型画像表示装置として期待されている。例えば、2001 FPDテクノロジー大全(2000年10月25日発行)822頁〜825頁等に記載されている無機ELディスプレイが一例である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の文献に記載された無機EL表示装置は、基板上に設けられた各層が全て薄膜技術により形成されているが、これらのうち第2誘電体層を膜厚が例えば20(μm)程度の厚膜で構成することが提案されている。例えば、J.Appl.Phys.,Vol.81,No.2(15 January 1997刊)の931〜936頁に記載されている厚膜誘電体EL表示装置等がそれである。このような厚膜誘電体ELによれば、第2誘電体層の膜厚が1(μm)程度以下である従来のELに比較して不純物の混入に起因する絶縁破壊等が生じ難いことから、大面積のものを製造する場合にも不純物混入が不良原因となり難く大型化が容易になる利点がある。
【0004】
その一方、第1電極層および第2電極層間の静電容量はQ=εS/Dで与えられるため、厚膜誘電体ELでは、第2誘電体層の膜厚が大きくなるほど電極間隔Dが増大して静電容量Qが小さくなる。ここで、電極面積Sは一定であることから、静電容量Qを大きくするためには比誘電率εの大きい材料を用いる必要がある。因みに、EL表示装置の動作特性、特に立ち上がり(発光開始)電圧を低くすると共に同電圧で駆動した場合の輝度を高めるためには、上記静電容量Qを可及的に高くすることが必要となる。しかしながら、基板材料として従来から用いられているガラスは、その耐熱温度がせいぜい600〜700(℃)程度に過ぎない。そのため、比誘電率εの大きな材料は焼成温度が例えば1000(℃)以上と高く基板の耐熱温度を超えることから、十分に比誘電率εの大きい材料を用いることができなかった。なお、このような耐熱性を有する基板としてはアルミナ等のセラミック材料が挙げられるが、平坦且つ歪みの十分に小さいセラミック基板を製造しようとすると、研磨加工等の仕上げ加工が必須となる。したがって、寸法増大に伴い著しく高価になるばかりでなく、大型化するほど平坦度等の実現自体も困難になることから、表示装置等の用途には適用が困難である。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、静電容量が大きく高特性の厚膜誘電体ELを製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための第1の手段】
斯かる目的を達成するため、第1発明の要旨とするところは、無機材料から成る発光層と、その一面に設けられた透光性の第1誘電体層と、その発光層の他面に設けられた第2誘電体層と、その第1誘電体層の表面に設けられた第1電極層と、その第2誘電体層の表面に設けられた第2電極層とを備え、それら第1電極層および第2電極層間に通電することにより前記発光層から発生させられた光を前記第1誘電体層を通して観察する形式の無機EL装置を製造する方法であって、(a)前記第2誘電体層を構成するための厚膜誘電体から成るシート部材を作製するシート部材作製工程と、(b)前記シート部材の一面に前記第2電極層を設ける一面側膜形成工程と、(c)前記シート部材の他面に前記発光層、前記第1誘電体層、および前記第1電極層を順次設ける他面側膜形成工程とを、含み、前記シート部材作製工程は、 (d) 所定の第1温度よりも高い融点を有する粒子が樹脂で結合されて成る高融点粒子層で構成された膜形成面を有する支持体を用意する支持体準備工程と、 (e) 前記第1温度で焼結させられる厚膜誘電体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る誘電体ペースト膜を前記膜形成面上に形成する誘電体ペースト膜形成工程と、 (f) 前記支持体を前記第1温度で焼成処理を施すことにより、前記高融点粒子層を焼結させることなく前記誘電体ペースト膜を焼結させて、その誘電体ペースト膜から厚膜誘電体を生成する焼成工程とを、含むものであることにある。
【0007】
【第1発明の効果】
このようにすれば、シート部材作製工程で作製されたシート部材の一面側に第2電極層を設けると共に、その他面側に発光層等を設けることによって無機EL装置が得られる。そのため、第2誘電体層が無機EL装置を構成する基板上に膜形成されず、第2電極層や発光層等の他の構成要素とは別に作製された厚膜誘電体から成るシート部材で構成されることから、無機EL装置の構成材料に第2誘電体層の構成材料に応じた耐熱性が要求されない。したがって、第2誘電体層を高温焼成が必要な比誘電率の高い材料で構成することができるため、静電容量が大きく高特性の無機EL装置が得られる。また、無機EL装置の構成要素として耐熱性の高い基板が必要とされない利点もある。さらに、前記シート部材作製工程は、所定の第1温度よりも高い融点を有する粒子が樹脂で結合されて成る高融点粒子層で構成された膜形成面を有する支持体を用意する支持体準備工程と、前記第1温度で焼結させられる厚膜誘電体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る誘電体ペースト膜を前記膜形成面上に形成する誘電体ペースト膜形成工程と、前記支持体を前記第1温度で焼成処理を施すことにより、前記高融点粒子層を焼結させることなく前記誘電体ペースト膜を焼結させて、その誘電体ペースト膜から厚膜誘電体を生成する焼成工程とを、含むものであるので、厚膜誘電体材料の焼結温度 ( 第1温度 ) よりも高い融点を有する高融点粒子層で構成された膜形成面に誘電体ペースト膜が形成された後、その厚膜誘電体材料の焼結させられる第1温度で加熱処理が施されることにより、厚膜誘電体から成るシート部材が生成される。そのため、その加熱処理温度では焼結させられない高融点粒子層は樹脂が焼失させられることにより高融点粒子のみが並ぶ層となることから、生成された厚膜は支持体に固着されないため、その膜形成面から容易に剥離することができる。したがって、第2誘電体層を構成するためのシート部材を容易に製造し且つ無機EL装置の製造に用いることができる。上記の誘電体ペースト膜形成工程は、例えば厚膜スクリーン印刷法を用いて誘電体ペーストを塗布することで為される。
【0011】
【課題を解決するための第2の手段】
また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、前記のような無機EL装置の製造方法であって、(a)前記第2誘電体層を構成するための厚膜誘電体の一面に前記第2電極層を構成するための導体が固着されて成るシート部材を作製するシート部材作製工程と、(b)前記厚膜誘電体の他面に前記発光層、前記第1誘電体層、および前記第1電極層を順次設ける他面側膜形成工程とを、含み、前記シート部材作製工程は、 (c) 所定の第1温度よりも高い融点を有する粒子が樹脂で結合されて成る高融点粒子層で構成された膜形成面を有する支持体を用意する支持体準備工程と、 (d) 前記第1温度で焼結させられる厚膜導体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る導体ペースト膜を前記膜形成面上に所定パターンで形成する導体ペースト膜形成工程と、 (e) 前記第1温度で焼結させられる厚膜誘電体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る誘電体ペースト膜を前記膜形成面上に前記導体ペースト膜を覆って形成する誘電体ペースト膜形成工程と、 (f) 前記支持体を前記第1温度で焼成処理を施すことにより、前記高融点粒子層を焼結させることなく前記導体ペースト膜および前記誘電体ペースト膜を焼結させて、それら導体ペースト膜および誘電体ペースト膜から厚膜導体および厚膜誘電体を生成して前記シート部材を得る焼成工程とを、含むものであることにある。
【0012】
【第2発明の効果】
このようにすれば、シート部材作製工程で作製されたシート部材の他面側に発光層等を設けることによって無機EL装置が得られる。そのため、第2誘電体層が無機EL装置を構成する基板上に膜形成されず、発光層等の他の構成要素とは別に作製された厚膜誘電体および第2電極層から成るシート部材で構成されることから、第2電極層以外の無機EL装置の構成材料に第2誘電体層の構成材料に応じた耐熱性が要求されない。したがって、第2誘電体層を高温焼成が必要な比誘電率の高い材料で構成することができるため、静電容量が大きく高特性の無機EL装置が得られる。また、無機EL装置の構成要素として耐熱性の高い基板が必要とされない利点もある。さらに、前記シート部材作製工程は、所定の第1温度よりも高い融点を有する粒子が樹脂で結合されて成る高融点粒子層で構成された膜形成面を有する支持体を用意する支持体準備工程と、前記第1温度で焼結させられる厚膜導体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る導体ペースト膜を前記膜形成面上に所定パターンで形成する導体ペースト膜形成工程と、前記第1温度で焼結させられる厚膜誘電体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る誘電体ペースト膜を前記膜形成面上に前記導体ペースト膜を覆って形成する誘電体ペースト膜形成工程と、前記支持体を前記第1温度で焼成処理を施すことにより、前記高融点粒子層を焼結させることなく前記導体ペースト膜および前記誘電体ペースト膜を焼結させて、それら導体ペースト膜および誘電体ペースト膜から厚膜導体および厚膜誘電体を生成して前記シート部材を得る焼成工程とを、含むものであるので、厚膜誘電体材料の焼結温度 ( 第1温度 ) よりも高い融点を有する高融点粒子層で構成された膜形成面に導体ペースト膜および誘電体ペースト膜が形成された後、その厚膜導体材料および厚膜誘電体材料の焼結させられる第1温度で加熱処理が施されることにより、厚膜誘電体の一面に厚膜導体が形成されて成るシート部材が生成される。そのため、その加熱処理温度では焼結させられない高融点粒子層は樹脂が焼失させられることにより高融点粒子のみが並ぶ層となることから、生成された厚膜は支持体に固着されないため、その膜形成面から容易に剥離することができる。したがって、第2電極層および第2誘電体層を構成するためのシート部材を容易に製造し且つ無機EL装置の製造に用いることができる。上記のペースト膜形成工程は、例えば厚膜スクリーン印刷法を用いてペーストを塗布することで為される。
【0013】
【課題を解決するための第3の手段】
また、前記目的を達成するための第3発明の要旨とするところは、前記のような無機EL装置の製造方法であって、 (a) 前記第2誘電体層を構成するための厚膜誘電体の一面に前記第2電極層を構成するための導体が固着されて成るシート部材を作製するシート部材作製工程と、 (b) 前記厚膜誘電体の他面に前記発光層、前記第1誘電体層、および前記第1電極層を順次設ける他面側膜形成工程とを、含み、前記シート部材作製工程は、 (c) 所定の第1温度で焼結させられる誘電体材料から成るセラミック未焼成シートを用意する未焼成シート用意工程と、 (d) 所定の第1温度よりも高い融点を有する粒子が樹脂で結合されて成る高融点粒子層で構成された膜形成面を有する支持体を用意する支持体準備工程と、 (e) 前記第1温度で焼結させられる厚膜導体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る導体ペースト膜を前記膜形成面上に所定パターンで形成する導体ペースト膜形成工程と、 (f) 前記導体ペースト膜上に前記セラミック未焼成シートを載置して前記第1温度で焼成処理を施すことにより、前記高融点粒子層を焼結させることなくそれら導体ペースト膜およびセラミック未焼成シートから厚膜導体および厚膜誘電体をそれぞれ生成すると共にその厚膜誘電体の一面にその厚膜導体を固着して前記シート部材を得る焼成工程とを、含むものであることにある。
【0014】
【第3発明の効果】
このようにすれば、シート部材作製工程で作製されたシート部材の他面側に発光層等を設けることによって無機EL装置が得られる。そのため、第2誘電体層が無機EL装置を構成する基板上に膜形成されず、発光層等の他の構成要素とは別に作製された厚膜誘電体および第2電極層から成るシート部材で構成されることから、第2電極層以外の無機EL装置の構成材料に第2誘電体層の構成材料に応じた耐熱性が要求されない。したがって、第2誘電体層を高温焼成が必要な比誘電率の高い材料で構成することができるため、静電容量が大きく高特性の無機EL装置が得られる。また、無機EL装置の構成要素として耐熱性の高い基板が必要とされない利点もある。さらに、前記シート部材作製工程は、所定の第1温度で焼結させられる誘電体材料から成るセラミック未焼成シートを用意する未焼成シート用意工程と、所定の第1温度よりも高い融点を有する粒子が樹脂で結合されて成る高融点粒子層で構成された膜形成面を有する支持体を用意する支持体準備工程と、前記第1温度で焼結させられる厚膜導体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る導体ペースト膜を前記膜形成面上に所定パターンで形成する導体ペースト膜形成工程と、前記導体ペースト膜上に前記セラミック未焼成シートを載置して前記第1温度で焼成処理を施すことにより、前記高融点粒子層を焼結させることなくそれら導体ペースト膜およびセラミック未焼成シートから厚膜導体および厚膜誘電体をそれぞれ生成すると共にその厚膜誘電体の一面にその厚膜導体を固着して前記シート部材を得る焼成工程とを、含むものであるので、厚膜誘電体材料の焼結温度(第1温度)よりも高い融点を有する高融点粒子層で構成された膜形成面に導体ペースト膜が形成された後、その上にその誘電体材料から成るセラミック未焼成シートが載せられて、それら厚膜導体材料および厚膜誘電体材料の焼結させられる第1温度で加熱処理が施されることにより、厚膜誘電体の一面に厚膜導体が形成されて成るシート部材が生成される。そのため、その加熱処理温度では焼結させられない高融点粒子層は樹脂が焼失させられることにより高融点粒子のみが並ぶ層となることから、生成された厚膜は支持体に固着されないため、その膜形成面から容易に剥離することができる。したがって、第2電極層および第2誘電体層を構成するためのシート部材を容易に製造し且つ無機EL装置の製造に用いることができる。しかも、セラミック未焼成シートが別途作製されることから、スクリーン印刷等を用いて誘電体ペースト膜を作製する場合に比較して、膜厚均一性に優れると共に膜内への異物混入対策が容易であり、且つ表面粗度が良好なため後工程の発光層の密着性が良くなる利点もある。導体ペースト膜上に直接上記のセラミック未焼成シートは、例えばドクターブレード法やカレンダ法等のテープ・キャスティング法で製造することができる。
【0015】
ここで、好適には、前記第1発明および第2発明および第3発明において、前記支持体準備工程は、所定の基板の表面に前記高融点粒子層を形成するものである。このようにすれば、ペースト膜が基板上に形成されることから、加熱処理後にも支持体の形状が維持されるため、高融点粒子層のみで支持体が構成されている場合(例えば、セラミック生シートで支持体が構成されている場合)に比較してシート部材の取扱いが容易になる利点がある。しかも、このような支持体が用いられる場合には、ペースト膜との間に高融点粒子層が介在させられる基板は加熱処理の際にそのペースト膜を何ら拘束せず、且つそのペースト膜の表面粗度は高融点粒子層の表面粗度のみが反映されることから、基板の平坦度、表面粗度、膨張係数等のシート部材の品質に及ぼす影響が小さくなるため、基板に高い品質は要求されない。
【0016】
また、好適には、上記のように支持体準備工程に基板が用いられる場合において、その基板は、前記第1温度で変形しないものである。このようにすれば、ペースト膜が基板上に形成されることから、加熱処理後にも支持体の形状が維持されるため、高融点粒子層のみで支持体が構成されている場合(例えば、セラミック生シートで支持体が構成されている場合)に比較して第2誘電体層或いは第2誘電体層および第2電極層を設けるためのシート部材の取扱いが容易になる利点がある。しかも、このような支持体が用いられる場合には、誘電体ペースト膜或いは導体ペースト膜との間に高融点粒子層が介在させられる基板は加熱処理の際にそれらペースト膜を何ら拘束せず、且つそれらペースト膜の表面粗度は高融点粒子層の表面粗度のみが反映されることから、基板の平坦度、表面粗度、膨張係数等のシート部材の品質に及ぼす影響が小さくなるため、基板に高い品質は要求されない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明のEL装置の製造方法が適用されることにより製造されたEL表示装置10の全体構成を一部を切り欠いて示す斜視図である。図において、EL表示装置10は、基板12の一面14上に、複数本の背面電極16から成る背面電極層、第2誘電体層18、複数本の発光部20から成る発光層、第1誘電体層22、および複数本の透明電極24から成る透明電極層が積層されることにより構成されている。なお、透明電極層の上には、必要に応じてガラスや樹脂等から成る透明な保護板26や、図示しないカラー・フィルタ等が配置される。本実施例においては、上記の背面電極層が第2電極層に相当する。
【0020】
上記の基板12は、例えば300〜400(℃)程度の熱処理では実質的に変形や変質等の生じない程度の適度な耐熱性を備えたガラスやセラミックス等から成るものである。この基板12は矩形の薄板であって、例えば250×200×1.8(mm)程度の寸法に構成されている。基板12がガラスで構成される場合には、ソーダライム・ガラスや母論シリケート・ガラス等が好適に用いられ、セラミックスで構成される場合には、例えばアルミナ、ジルコニアやフォルステライト等が好適に用いられる。
【0021】
また、上記の背面電極16は、例えば銀を導体成分として含む厚膜銀から成るものである。複数本の背面電極16は、例えば各々の幅寸法が0.23(mm)程度、厚さ寸法が10(μm)程度の大きさを備えて、一方向に沿って互いに平行に伸びるように設けられている。これら複数本の背面電極16の中心間隔は、例えば110(μm)程度である。
【0022】
また、前記の第2誘電体層18は、例えば1500程度の高い比誘電率εを有したチタン酸バリウム(BaTiO3)やチタン酸鉛(PbTiO3)等の厚膜誘電体から成るものである。この第2誘電体層18は、5〜20(μm)程度の範囲内、例えば20(μm)程度の一様な厚さ寸法を備えて基板12の一面14および背面電極16を覆うように設けられている。
【0023】
また、前記の発光部20は、電子で励起されることにより例えば赤、緑、青の3色の何れかに発光させられる薄膜蛍光体、例えば、硫化亜鉛(ZnS)や硫化ストロンチウム(SrS)等にマンガン(Mn)等をドーピングした蛍光体すなわち無機EL材料から成るものである。複数本の発光部20は、例えば各々が100(μm)程度の幅寸法と、0.3〜1.0(μm)程度の範囲で色毎に定められた厚さ寸法とを備えて、前記の背面電極16の長手方向と略直交する他方向に沿って互いに平行に設けられている。発光部20の中心間隔は例えば110(μm)程度であり、異なる発光色のものが相互に隣接させられている。
【0024】
また、前記の第1誘電体層22は、例えばY2O3、Si3O4等の透明な誘電体材料から成るものであって、第2誘電体層18の全面およびその上に備えられた発光部20の全面を覆うように、例えば0.3〜1.0(μm)程度の厚さ寸法で設けられている。
【0025】
また、前記の透明電極24は、例えば酸化インジウム錫(ITO)から成るものであり、前記の発光部20の真上の位置に、その方向に沿って複数本が互いに平行に設けられている。透明電極24の各々は、例えば100(μm)程度の幅寸法および0.3〜0.5(μm)程度の厚さ寸法で設けられており、相互の中心間隔は例えば110(μm)程度である。
【0026】
図2は、上記のEL表示装置10の発光機能を説明する断面図である。前記の背面電極16および透明電極24は、例えば何れも複数本の各々が独立して制御回路に接続されており、任意に選択された対の間に交流電圧を印加できるようになっている。このように、EL表示装置10は、これら電極16,24が第1誘電体層22および第2誘電体層18で絶縁されることによりコンデンサに構成されていることから、これら電極16,24間に交流電圧が印加されると、その交点位置において、図に示したように電極16,24間の静電容量Qに応じた電子の移動が生じる。電極16,24間には、蛍光体から成る発光部20が存在するため、移動させられる電子はその蛍光体を励起させて発光させることとなる。このようにして発生した光は、何ら遮光するものの存在しない第1誘電体層22側から透明電極24を通過して射出される。そのため、例えば電極16,24の一方を線順次で走査して電圧を印加すると共に、他方のうち入力されたデータに応じたものに電圧を印加することにより、所望の画像が表示されることとなる。
【0027】
このとき、本実施例においては、第2誘電体層18が前述したように20(μm)程度と比較的厚くされているが、その比誘電率εが極めて高い値であるため、静電容量Qは極めて大きな値になる。そのため、立ち上がり電圧すなわち発光開始電圧が低く且つ比較的低い電圧でも高輝度を得ることが可能となっている。
【0028】
ところで、このような高特性のEL表示装置10は、例えば図3に工程の要部を示すような製造方法で製造される。以下、図3に従って、工程の要部段階における断面を表した図4(a)〜(e)および図5(a)〜(e)を参照しつつ製造方法を説明する。
【0029】
本実施例の製造方法は、シート部材の製造工程、基板の処理工程、およびこれらを相互に固着して更に処理する工程に分かれている。先ず、シート部材の製造工程では、よく知られた厚膜印刷技術を利用して、第2誘電体層18を構成するためのシート部材が前記の基板12に固着されていない独立した状態で製造される。すなわち、剥離層形成工程30において、表面32に適宜の清浄化処理を施した基板34(図4参照)を用意し、高融点粒子が樹脂で結合させられた剥離層36を、基板34の表面32に例えば5〜50(μm)程度の範囲内、好適には10〜20(μm)程度の厚さ寸法で設ける。
【0030】
上記の基板34は、後述する加熱処理の際に殆ど変形や変質の生じないものであって、例えば、ジルコニアから成るものが好適に用いられる。また、上記の高融点粒子は、例えば0.01〜5(μm)程度の範囲内、例えば1(μm)程度の平均粒径を備え且つ融点が1900(℃)以上のアルミナやジルコニア等のセラミック粒子である。このセラミック粒子は、第2誘電体層18の構成材料(チタン酸バリウム等)と濡れ性の良くないジルコニア等の材料から成るものが好適である。また、樹脂は、例えば350(℃)程度で焼失させられるエチルセルロース系樹脂等である。この剥離層36は、例えば、上記の高融点粒子および樹脂がブチルカルビトールアセテート(BCA)やテルピネオール等の有機溶剤中に分散させられた無機材料ペースト38を、例えば図4(a)に示すようにスクリーン印刷法を用いて基板34の略全面に塗布し、乾燥炉或いは室温において乾燥させることで設けられるが、コータやフィルム・ラミネートの貼り付け等で設けることもできる。なお、乾燥炉は、膜の表面粗度が優れ且つ樹脂が一様に分散するように、好適には給排気を十分に行い得る遠赤外線乾燥炉が用いられる。図4(b)は、このようにして剥離層36を形成した段階を示している。なお、図4(a)において、40はスクリーン、42はスキージである。本実施例においては、上記の剥離層36を備えた基板34が支持体に、その剥離層36の表面が膜形成面にそれぞれ相当し、上記の剥離層形成工程30が支持体準備工程に対応する。
【0031】
続く誘電体ペースト膜形成工程44では、厚膜誘電体ペースト46(図4(a)参照)を、無機材料ペースト38と同様にスクリーン印刷法等を利用して剥離層36上の略全面に塗布して乾燥することにより、誘電体ペースト膜48を形成する。この厚膜誘電体ペースト46は、例えば、チタン酸バリウムやチタン酸鉛等の高誘電体材料粉末或いはこれらに例えば軟化点が900(℃)程度のSiO2-Al2O3-B2O3-MgO-CaO系のガラスフリットを添加した無機粉末系を、樹脂を溶剤に溶解させた中に分散させたものである。なお、樹脂および溶剤は例えば無機材料ペースト38と同様なものが用いられる。
【0032】
次いで、焼成工程50においては、基板34を所定の焼成装置の炉室52内に入れ、厚膜誘電体ペースト46の種類に応じた温度、例えば1200(℃)程度の焼成温度で加熱処理を施す。図4(d)は加熱処理中の状態を示している。
【0033】
上記の加熱処理過程において、誘電体ペースト膜48は、その焼結温度が例えば1200(℃)程度であるため、その樹脂成分が焼失させられると共に誘電体材料およびガラスフリットが焼結させられ、誘電体から成るシート部材54が生成される。図4(e)は、この状態を示している。このとき、前記の剥離層36は、前述したようにその無機成分粒子が1900(℃)以上の融点を備えたものであるため、樹脂成分は焼失させられるが高融点粒子は焼結させられない。また、誘電体の焼結温度近傍では表面が活性化するため不純物が介在すると剥離層36の構成材料と固着する傾向が生じ得るが、高融点粒子は前述したように誘電体ペースト膜48に含まれる誘電体材料と濡れ性の良くない材料が選択されているため、殆ど固着は生じない。そのため、加熱処理の進行に伴って樹脂成分が焼失させられると、剥離層36は高融点粒子すなわちセラミック粒子のみから成る粒子層56となる。この粒子層56は、単に高融点粒子が積み重なっただけの層であり、その高融点粒子は互いに拘束されていない。したがって、誘電体ペースト膜48が収縮するときには、その高融点粒子がコロの如き作用をするため、誘電体ペースト膜48の下面側でも基板34との間にその収縮を妨げる力が作用しないので、上面側と同様に収縮させられることから、シート部材54には、上下両面の収縮量の相違に起因する密度差や反り等は何ら生じていない。
【0034】
なお、本実施例においては、誘電体ペースト膜48の焼結が開始するときには、上述したように粒子層56の作用によって基板34はその焼成収縮を何ら妨げない。したがって、基板34の熱膨張は生成される厚膜の品質に実質的に影響しない。
【0035】
また、図3の基板の処理工程では、先ず、導体ペースト膜形成工程58において、前記の基板12を用意してその表面に適宜の清浄化処理を施し、例えば厚膜スクリーン印刷法を利用してその表面に厚膜導体ペーストを所定のパターンで塗布し、乾燥する。これにより、前記の背面電極16を形成するための導体ペースト膜が形成される。すなわち、上記所定のパターンは、前記の背面電極16に対応する形状である。上記の厚膜導体ペーストは、例えば、銀粉末等の導体材料粉末、ガラスフリット、および樹脂が有機溶剤中に分散させられたものである。上記のガラスフリットは、例えばPbO-B2O3-SiO2-Al2O3-TiO2系の低軟化点ガラス等が用いられ、樹脂および溶剤は例えば無機材料ペースト38と同様なものが用いられる。次いで、焼成工程60では、厚膜導体ペーストの組成に応じた所定の温度でこの基板12に加熱処理を施し、導体ペースト膜から前記の背面電極16を生成する。本実施例においては、上記の導体ペースト膜形成工程58および焼成工程60が第2電極層形成工程に対応する。
【0036】
上記のようにして、シート部材54および基板12をそれぞれ処理した後、固着工程62では、背面電極16およびシート部材54を相互に固着する。この工程は、以下のようにして実施される。
【0037】
すなわち、先ず、シート部材54が表面32に位置させられている基板34上に、図5(a)に示すように基板12を背面電極16がシート部材54側に向かう向きで載せ、次いで、図5(b)に示すようにその上下を反転させる。続いて、基板34を上方に取り除き、背面電極16とシート部材54との相対位置を調節して、炉室64内において例えば300(℃)程度の比較的低い温度で加熱処理を施す(図5(c)参照)。このとき、必要に応じてシート部材54上に重し等を載せることにより、背面電極16との密着性が高められる。この焼成処理により、背面電極16中の銀の活性が高められるため、シート部材54と反応させられることによりこれらが相互に固着される。第2誘電体層18は、このようにして背面電極16上に設けられる。換言すれば、第2誘電体層18の一面に背面電極16が設けられる。したがって、本実施例においては、上記の固着工程が一面側膜形成工程に対応する。
【0038】
なお、基板34とシート部材52との間に介在させられている粒子層56は高融点粒子が単に積み重なっただけであるので、上記の固着工程62において基板12、34の上下を反転させた後にその基板34を除去する際には、何らの薬品や装置を用いることなく容易に行い得る。このとき、積層体の裏面には高融点粒子が一層程度の厚みで付着し得るが、この付着粒子は、必要に応じて粘着テープやエアブロー等を用いて除去する。なお、厚膜が剥離された基板34は、前述したように前記の焼成温度では変形および変質し難いものであるため、同様な用途に繰り返し用いられる。すなわち、本実施例によれば、シート部材54を作製するための基板34を繰り返し用い得る利点がある。
【0039】
そして、発光層形成工程66において、前述したような例えば3色に対応する蛍光体材料を第2誘電体層18上に所定パターンで固着して複数本の発光部20から成る発光層を設け、第1誘電体層形成工程68において、その上の全面に前記の第1誘電体層22を設け、更に、透明電極層形成工程70その上にITO等の透明電極材料を所定パターンで固着して複数本の透明電極24から成る透明電極層を設けることにより、前記のEL表示装置10が製造される。図5(d)は、透明電極24の形成された段階を示している。なお、これら蛍光体層形成工程66乃至透明電極層形成工程70は、何れも蒸着等の薄膜技術を利用して形成される。また、カラー・フィルタや保護板26等が備えられる場合には、上記の透明電極層形成工程70の後に適宜の方法でこれらが設けられることになる。例えば、保護板26は、周縁部において基板12との間に樹脂等を介在させて固着し、内部の気圧を若干大気圧よりも低くすること等によって設けられる。
【0040】
上述したように、本実施例によれば、シート部材作製工程すなわち剥離層形成工程30乃至焼成工程50により作製されたシート部材54の一面側に、導体ペースト膜形成工程58、焼成工程60、および固着工程62によって複数本の背面電極16から成る背面電極層を設けると共に、その他面側に複数本の発光部20から成る発光層等を設けることによって無機EL表示装置10が得られる。そのため、第2誘電体層18が無機EL表示装置10を構成する基板12上に膜形成されず、背面電極層や発光層等の他の構成要素とは別に作製された厚膜誘電体から成るシート部材54で構成されることから、無機EL表示装置10の構成材料に第2誘電体層18の構成材料に応じた耐熱性が要求されない。したがって、第2誘電体層18を前述したような高温焼成が必要な比誘電率の高いチタン酸バリウムやチタン酸鉛等の材料で構成することができるため、静電容量が大きく高特性の無機EL表示装置10が得られる。また、無機EL表示装置10の構成要素である基板12に高い耐熱性が必要とされない利点もある。
【0041】
また、本実施例によれば、厚膜誘電体材料の焼結温度よりも高い融点を有する高融点粒子から成る剥離層36で構成された膜形成面に誘電体ペースト膜48が形成された後、その厚膜誘電体材料の焼結させられる温度で加熱処理が施されることにより、厚膜誘電体から成るシート部材54が生成される。そのため、その加熱処理温度では焼結させられない剥離層36は樹脂が焼失させられることにより高融点粒子のみが並ぶ粒子層56となることから、生成された厚膜は支持体に固着されないため、基板34から容易に分離することができる。したがって、第2誘電体層18を構成するためのシート部材54を容易に製造し且つ無機EL表示装置10の製造に用いることができる。
【0042】
また、本実施例によれば、誘電体ペースト膜48が基板34上に形成されることから、加熱処理後にもシート部材54を支持する支持体の形状が維持されるため、剥離層36のみで支持体が構成されている場合に比較してシート部材54の取扱いが容易になる利点がある。
【0043】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分は説明を省略する。
【0044】
図6は、EL表示装置10の別の製造工程を説明する工程図である。この実施例では、前記の図3に示される製造工程において、シート部材の処理工程の剥離層形成工程30と誘電体ペースト膜形成工程44との間に、導体ペースト膜形成工程80が設けられている。この導体ペースト膜形成工程80では、前記の背面電極16に対応するパターンで剥離層36上に厚膜導体ペーストを塗布することにより、図7(a)に示すように、その剥離層36上に導体ペースト膜82が形成される。誘電体ペースト膜形成工程44はこの後に実施されるため、図7(b)に示されるように、誘電体ペースト膜48は、上記の導体ペースト膜82の上にこれを覆うように形成される。
【0045】
なお、上記の厚膜導体ペーストは、例えばニッケル粉末を主成分としたものであって、これにシリコン(Si)や硼素(B)等が添加されることにより溶融温度が低くされ、例えば1200(℃)程度の焼成温度で焼結して膜形成させるものである。そのため、焼成工程50において前述したような温度で焼成されると、誘電体ペースト膜48から第2誘電体層18を構成する厚膜誘電体が生成されると同時に、背面電極16を構成する厚膜導体が導体ペースト膜82から生成される。また、厚膜導体ペーストの塗布厚みは、例えば20(μm)程度であり、焼成処理が施されることにより生成される電極厚みは例えば5〜15(μm)程度である。焼成工程50に続く剥離工程84では、焼成過程において剥離層36から生成された粒子層56(前記の図4参照)から厚膜導体層を一面に備えた厚膜誘電体すなわちシート部材が剥離される。これに続く発光層形成工程66以降では、その剥離されたシート部材に対して前述の実施例と同様に薄膜プロセスが施されることによりEL表示装置10が得られる。このように、本実施例では背面電極16が第2誘電体層18を構成するための厚膜誘電体層に固着されたシート部材が作製され且つ用いられることから、図3における基板の処理工程は実施されない。本実施例では、剥離層形成工程30,導体ペースト膜形成工程80,誘電体ペースト膜形成工程44,焼成工程50,および剥離工程84によってシート部材作製工程が構成されている。
【0046】
すなわち、本実施例によれば、シート部材作製工程で作製されたシート部材の他面側に発光層等を設けることによってEL表示装置10が得られる。そのため、第2誘電体層18がEL表示装置10を構成する基板12上に膜形成されず、発光層等の他の構成要素とは別に作製された厚膜誘電体および背面電極層から成るシート部材で構成されることから、背面電極16以外のEL表示装置10の構成材料に第2誘電体層18の構成材料に応じた耐熱性が要求されない。したがって、本実施例によっても、第2誘電体層18を高温焼成が必要な比誘電率の高い材料で構成することができるため、静電容量が大きく高特性のEL表示装置10が得られる。
【0047】
図8は、EL表示装置10の更に他の製造方法を説明するための図である。この実施例の製造方法では、前記の図6に示されるものと同様に、導体ペースト膜形成工程80において、剥離層36上に導体ペースト膜82が形成される。導体ペースト膜82の構成材料や塗布厚み等は前記の図6に示す場合と同様である。一方、グリーン・シート作製工程90では、前記の厚膜誘電体ペースト46の構成成分である誘電体粉末と樹脂や溶剤等が混合されたペースト或いはスラリを用いて、グリーン・シート(セラミック未焼成シート)98(図9参照)を作製する。このグリーン・シート98は、例えば30(μm)程度の厚さ寸法を備えたものである。また、グリーン・シート98の作製は種々の方法で行うことができるが、例えば、ドクターブレード法等のテープ・キャスティング法等が好適である。
【0048】
続いて、載置工程92では、上記のグリーン・シート98を、導体ペースト膜82上の所定位置に載せる。図9は、このようにグリーン・シート98を載せた状態を表している。この実施例では、図7(b)に示されるような誘電体ペーストが導体ペースト膜82上に塗布される場合と異なり、グリーン・シート98は導体ペースト膜82を覆うものとはならない。
【0049】
そして、焼成工程50において、上記のグリーン・シート98が載せられた基板34を焼成炉内に投入して、グリーン・シートおよび導体膜の材質に応じた所定温度、例えば1200(℃)程度の温度で焼成処理を施す。このときの処理状態は、例えば前記の実施例において図5(c)に示されるものと同様である。これにより、グリーン・シートから誘電体膜が生成され、且つ導体ペースト膜から導体膜が生成されると同時に、その誘電体膜の下面に導体膜が固着されて、前記の図6に示される製造方法の場合と同様に、背面電極16を構成するための導体膜が第2誘電体層18を構成するための厚膜誘電体層に固着されたシート部材が得られる。すなわち、導体ペースト膜形成工程80以前の各工程および焼成工程50以下の各工程は、図6に示される実施例と同様である。
【0050】
すなわち、本実施例によれば、基板34上に剥離層36を介して設けられた導体ペースト膜82の上にグリーン・シート98を載せて焼成することによって、厚膜誘電体の一面に厚膜導体が形成されて成るシート部材が生成される。そのため、前記の図6に示される実施例の場合と同様に、生成されたシート部材の他面側に発光層等を設けることによってEL表示装置10が得られる。したがって、この実施例においても、第2誘電体層18がEL表示装置10を構成する基板12上に膜形成されず、発光層等の他の構成要素とは別に作製された厚膜誘電体および背面電極層から成るシート部材で構成されることから、背面電極16以外のEL表示装置10の構成材料に第2誘電体層18の構成材料に応じた耐熱性が要求されないと言う利点が同様に得られる。
【0051】
しかも、本実施例においては、第2誘電体層18を構成するための厚膜誘電体が別途作製されたグリーン・シート98から生成されることから、図3および図6に示される実施例のようにスクリーン印刷等を用いて誘電体ペースト膜48を作製する場合に比較して、膜厚均一性に優れると共に膜内への異物混入対策が容易であり、且つ表面粗度が良好なため後工程の発光層の密着性が良くなる利点もある。
【0052】
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施できる。
【0053】
例えば、実施例においては、背面電極16が基板12上に設けられていたが、例えば図6に示されるような製造工程が採用される場合には、基板12は必ずしも設ける必要がない。
【0054】
また、実施例においては、3色の蛍光体が発光層に備えられることにより、カラー表示が可能に構成されていたが、1乃至2色だけの蛍光体で発光層が構成される場合や更に多色の蛍光体が発光層に備えられる場合にも本発明は同様に適用される。
【0055】
また、実施例においては、互いに直交する方向に沿って伸びるそれぞれ複数本の背面電極16および透明電極24が備えられることにより、所望の画像が表示可能なEL表示装置10に本発明の製造方法が適用された場合について説明したが、本発明は、背面電極16および透明電極24の構成本数に拘わらず適用される。すなわち、例えばそれらがそれぞれ一つだけ備えられた単なる発光装置にも適用することができる。
【0056】
また、実施例においては、第2誘電体層18の厚さ寸法が20(μm)程度に構成されていたが、その値はEL表示装置10に要求される電気的特性に応じて適宜変更される。
【0057】
また、EL表示装置10を構成する各層の構成材料や各部の寸法は、実施例で示したものに限られず、所望とする発光特性に応じて適宜変更されるものである。
【0058】
また、実施例においては、光の射出側となる第1誘電体層22側に透明電極24が設けられていたが、十分な光の透過量を確保できるのであれば、透明電極24に代えて金属等の不透明な材料から成る電極を細幅寸法で設けることもできる。
【0059】
また、実施例においては、第2誘電体層18と発光部20および背面電極16、第1誘電体層22と発光部20および透明電極24が相互に固着されていたが、EL表示装置10は、背面電極16および透明電極24間に形成されたコンデンサ構造に基づいて発光部20から発光させるものであるので、上記の各層は相互に密接した状態で配置されていれば十分であり、必ずしも固着されていなくともよい。
【0060】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法が適用されることにより製造されたEL表示装置の全体構成を一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図2】図1のEL表示装置の発光機能を説明する断面図である。
【図3】図1のEL表示装置の製造方法を説明する工程図である。
【図4】図3の製造工程における第2誘電体層の製造工程を説明する図である。
【図5】図3の製造工程における固着工程以降の工程を説明する図である。
【図6】本発明の他の実施例の製造工程を説明する図である。
【図7】図6の製造工程の要部段階における断面を説明する図である。
【図8】本発明の更に他の実施例の製造工程を説明する図である。
【図9】図8の載置工程の実施状態を説明する図である。
【符号の説明】
10:EL表示装置
16:背面電極(第2電極)
18:第2誘電体層
20:発光層
22:第1誘電体層
24:透明電極(第1電極)

Claims (5)

  1. 無機材料から成る発光層と、その一面に設けられた透光性の第1誘電体層と、その発光層の他面に設けられた第2誘電体層と、その第1誘電体層の表面に設けられた第1電極層と、その第2誘電体層の表面に設けられた第2電極層とを備え、それら第1電極層および第2電極層間に通電することにより前記発光層から発生させられた光を前記第1誘電体層を通して観察する形式の無機EL装置を製造する方法であって、
    前記第2誘電体層を構成するための厚膜誘電体から成るシート部材を作製するシート部材作製工程と、
    前記シート部材の一面に前記第2電極層を設ける一面側膜形成工程と、
    前記シート部材の他面に前記発光層、前記第1誘電体層、および前記第1電極層を順次設ける他面側膜形成工程と
    を、含み、
    前記シート部材作製工程は、
    所定の第1温度よりも高い融点を有する粒子が樹脂で結合されて成る高融点粒子層で構成された膜形成面を有する支持体を用意する支持体準備工程と、
    前記第1温度で焼結させられる厚膜誘電体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る誘電体ペースト膜を前記膜形成面上に形成する誘電体ペースト膜形成工程と、
    前記支持体を前記第1温度で焼成処理を施すことにより、前記高融点粒子層を焼結させることなく前記誘電体ペースト膜を焼結させて、その誘電体ペースト膜から厚膜誘電体を生成する焼成工程と
    を、含むことを特徴とする無機EL装置の製造方法。
  2. 無機材料から成る発光層と、その一面に設けられた透光性の第1誘電体層と、その発光層の他面に設けられた第2誘電体層と、その第1誘電体層の表面に設けられた第1電極層と、その第2誘電体層の表面に設けられた第2電極層とを備え、それら第1電極層および第2電極層間に通電することにより前記発光層から発生させられた光を前記第1誘電体層を通して観察する形式の無機EL装置を製造する方法であって、
    前記第2誘電体層を構成するための厚膜誘電体の一面に前記第2電極層を構成するための導体が固着されて成るシート部材を作製するシート部材作製工程と、
    前記厚膜誘電体の他面に前記発光層、前記第1誘電体層、および前記第1電極層を順次設ける他面側膜形成工程と
    を、含み、
    前記シート部材作製工程は、
    所定の第1温度よりも高い融点を有する粒子が樹脂で結合されて成る高融点粒子層で構成された膜形成面を有する支持体を用意する支持体準備工程と、
    前記第1温度で焼結させられる厚膜導体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る導体ペースト膜を前記膜形成面上に所定パターンで形成する導体ペースト膜形成工程と、
    前記第1温度で焼結させられる厚膜誘電体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る誘電体ペースト膜を前記膜形成面上に前記導体ペースト膜を覆って形成する誘電体ペースト膜形成工程と、
    前記支持体を前記第1温度で焼成処理を施すことにより、前記高融点粒子層を焼結させることなく前記導体ペースト膜および前記誘電体ペースト膜を焼結させて、それら導体ペースト膜および誘電体ペースト膜から厚膜導体および厚膜誘電体を生成して前記シート部材を得る焼成工程と
    を、含むことを特徴とする無機EL装置の製造方法。
  3. 無機材料から成る発光層と、その一面に設けられた透光性の第1誘電体層と、その発光層の他面に設けられた第2誘電体層と、その第1誘電体層の表面に設けられた第1電極層と、その第2誘電体層の表面に設けられた第2電極層とを備え、それら第1電極層および第2電極層間に通電することにより前記発光層から発生させられた光を前記第1誘電体層を通して観察する形式の無機EL装置を製造する方法であって、
    前記第2誘電体層を構成するための厚膜誘電体の一面に前記第2電極層を構成するため の導体が固着されて成るシート部材を作製するシート部材作製工程と、
    前記厚膜誘電体の他面に前記発光層、前記第1誘電体層、および前記第1電極層を順次設ける他面側膜形成工程と
    を、含み、
    前記シート部材作製工程は、
    所定の第1温度で焼結させられる誘電体材料から成るセラミック未焼成シートを用意する未焼成シート用意工程と、
    所定の第1温度よりも高い融点を有する粒子が樹脂で結合されて成る高融点粒子層で構成された膜形成面を有する支持体を用意する支持体準備工程と、
    前記第1温度で焼結させられる厚膜導体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る導体ペースト膜を前記膜形成面上に所定パターンで形成する導体ペースト膜形成工程と、
    前記導体ペースト膜上に前記セラミック未焼成シートを載置して前記第1温度で焼成処理を施すことにより、前記高融点粒子層を焼結させることなくそれら導体ペースト膜およびセラミック未焼成シートから厚膜導体および厚膜誘電体をそれぞれ生成すると共にその厚膜誘電体の一面にその厚膜導体を固着して前記シート部材を得る焼成工程と
    を、含むことを特徴とする無機EL装置の製造方法。
  4. 前記支持体準備工程は、所定の基板の表面に前記高融点粒子層を形成するものである請求項、請求項、および請求項の何れかの無機EL装置の製造方法。
  5. 前記基板は、前記第1温度で変形しないものである請求項の無機EL装置の製造方法。
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