JP3887067B2 - 水分散型樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水分散型樹脂組成物に関し、更に詳しくは水分散性、凍結融解安定性、耐水性、耐アルカリ性等に優れた水分散型樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、従来の水溶液やエマルジョンに代わって、乳化剤や保護コロイドを用いずに樹脂成分を水中に分散させた分散型の樹脂水性液が提案されている。
即ち、親水基を含有する分散剤として、反応性乳化剤や樹脂系分散剤等を使用した、いわゆる「ソープフリーエマルジョン系樹脂」が提案されており、これらは、通常、水中で水不溶性のポリマー芯粒子の周囲に、かかる分散剤等が存在しているもので、例えば、特開昭49−107089号公報には、カルボン酸基含有重合体を中和して、水媒体中で、該重合体を共存させて、アクリル系重合体を重合生成させることが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の如き従来の「ソープフリーエマルジョン系樹脂」は、乳化剤等を使用していないため、各種性能や耐久性の向上が期待できる反面、分散剤に水溶性の樹脂を用いることが多いため、耐水性が従来のエマルジョンよりも低下する恐れがあり、「ソープフリーエマルジョン系樹脂」においても新なる耐水性の向上が期待され、また、凍結安定性については、従来のエマルジョン同様特に冬場での貯蔵安定性や作業性にはまだまだ改善の余地があり、更に耐アルカリ性についても、塗料化技術等の工程において総合的に改善が試みられていることが多く、樹脂ベースでの改善には余地が残るところで、これらについても一層の向上が望まれているのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者はかかる問題を解決するために、水分散型樹脂に配合する各種化合物について鋭意研究を重ねた結果、水分散型樹脂(A)、水溶性架橋剤(B)及び多価アルコール(C)を含有してなる水分散型樹脂組成物において、水分散型樹脂(A)が、重合開始剤(a)及び主鎖或いは末端にカルボン酸基を有するアクリル樹脂からなる樹脂型分散剤(b)の存在下、水媒体中で、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合させて得られたものである水分散型樹脂組成物が、上記の課題を解決することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の水分散型樹脂(A)としては、上記の如く、水中で水不溶性のポリマー芯粒子の周囲に親水基を含有する樹脂型分散剤が存在して、水中で分散状態となり得る樹脂であれば、特に限定されず、かかる水不溶性のポリマーとしては、例えばアクリル系ポリマー、スチレン−アクリル系共重合体、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体、アクリル−アリル系(アリルアルコール、アリルグリシジルエーテル等)共重合体等が挙げられ、好適にはアクリル系ポリマー、スチレン−アクリル系共重合体が用いられる。
さらに本発明においては、かかる水分散型樹脂(A)は、重合開始剤(a)及び主鎖或いは末端にカルボン酸基を有するアクリル樹脂からなる樹脂型分散剤(b)の存在下、水媒体中で、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合させることにより製造されるものである。
かかる方法について具体的に説明する。
【0006】
重合開始剤(a)としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4′−アゾビス−4シアノバレリックアミド、2,2′−アゾビス(2−メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、アルキルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−イソブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾジイソブチレート、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等が挙げられ、これらの中より単独もしくは2種以上の混合物で使用され、好適には過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル等が使用される。
【0007】
また、本願発明で用いる分散剤は、主鎖或いは末端にカルボン酸基を有するアクリル樹脂からなる樹脂型分散剤(b)である。
かかる分散剤は、主鎖或いは末端に水溶性基(親水基)としてカルボン酸基を含有しているアクリル樹脂であり、更にはその他の架橋性の官能基、例えば不飽和二重結合を含有しているものが好ましい。かかるアクリル樹脂の製造法は、特には限定されず、公知の方法が選択され、これらの官能基を含む単量体のラジカル重合、重縮合、重付加、解重合等のどのような高分子合成の方法を採用してもよく、かかる合成は水系中、非水系中どちらで行ってもよい。
かかる主鎖或いは末端にカルボン酸基を有するアクリル樹脂からなる樹脂型分散剤(b)の分子量については、特には限定しないが、数平均分子量で500〜30000が好ましく、更に好ましくは700〜15000で、該分子量が500未満の時は得られる水分散型樹脂組成物の諸物性が低下し、30000を越える時は高粘度化し反応時の希釈剤が多くなり不経済であり好ましくない。
【0008】
更に、エチレン性不飽和単量体(c)としては、特には限定されず、例えば、スチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、酢酸ビニル、t−デカン酸ビニル、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、アクリルクロライド、アセトアセチル化(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロピオキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロピオキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシデシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシドデシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシオクタデシルトリメトキシシラン等があげられ、単独もしくは2種以上の混合物にて使用される。
【0009】
これらの中でも、スチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、酢酸ビニル、t−デカン酸ビニル、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0010】
水分散型樹脂(A)を製造するにあたっては、重合開始剤(a)及び主鎖或いは末端にカルボン酸基を有するアクリル樹脂からなる樹脂型分散剤(b)の存在下、水媒体中で、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合させればよく、(a)〜(c)の仕込み方法については、特には限定されず、(a)〜(c)を水媒体中に一括に仕込んでもよく、或いは(a)〜(c)を任意の順序に仕込んでもよいが、(a)及び(b)を同時に仕込んで、(c)を滴下重合させるする方法が好ましい。
【0011】
かかる(a)〜(c)の仕込み割合について、特には限定されないが、重合開始剤(a)の仕込み量は系全体中に0.001〜10重量%が好ましく、又、主鎖或いは末端にカルボン酸基を有するアクリル樹脂からなる樹脂型分散剤(b)とエチレン性不飽和単量体(c)との合計量に対する、エチレン性不飽和単量体(c)の仕込み量は、10〜95重量%とすることが好ましく、エチレン性不飽和単量体(c)が10重量%未満では耐水性、耐薬品性が劣り、逆に95重量%を越えると粒子径が大きくなったり、分散安定性が悪くなったりして好ましくなく、特に好ましくは50〜90重量%の範囲である。
この時の重合条件も公知の条件で行うことができ、重合時の反応温度としては、通常50〜85℃程度の範囲が適当であり、通常、単量体仕込み終了後1〜5時間程度で反応が終了する。
【0012】
かくして、エチレン性不飽和単量体(c)による水不溶性のポリマー芯粒子が構成され、その外周に水溶性基(親水基)を含有した樹脂型分散剤(b’)が結合した水分散型樹脂(A)が得られるのである。
かかる水分散型樹脂(A)の粒子径は特には限定されないが、0.01〜0.3μmの超微粒子である時、透明性、乾燥性に優れ、更に各種性能、例えば、密着性、耐薬品性、凍結融解安定性、光沢性、耐水性、耐候性、耐汚染性等に優れた、いわゆる「ウオーターボーン」を得ることもできるので好ましい。
かかる粒子径の調整は、重合開始剤(a)の濃度、主鎖或いは末端にカルボン酸基を有するアクリル樹脂からなる樹脂型分散剤(b)の濃度、エチレン性不飽和単量体(c)の濃度や重合時の撹拌条件等により行われ、粒子径がこの範囲より小さくなると諸物性は向上の傾向はあるものの水分散型樹脂(A)の製造に特別な配慮が必要で工業的採算がとれなくなり、他方粒子径がこの範囲より大きくなると貯蔵中に粒子が膨潤又は凝集したりするので好ましくない。
【0013】
本発明においては、上記の如く得られた水分散型樹脂(A)に水溶性架橋剤(B)及び多価アルコール(C)を配合することを最大の特徴とするもので、かかる水溶性架橋剤(B)としては、水溶性エポキシ化合物、水溶性イソシアネート化合物、水溶性アジリジド化合物、水溶性カルボキシル基含有化合物、水溶性メラミン誘導体等が挙げられ、これらの中でも水溶性エポキシ化合物が好適に用いられ、より具体的にはトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等が用いられる。また、多価アルコール(C)としては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、(ポリ)グリセリン、ポリエチレンオキサイド、1,2−プロパンジオール等が挙げられ、これらの中でもプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールが好適に用いられる。
【0014】
かかる(A)〜(C)の配合割合は、(A)40〜99.8重量%、(B)0.1〜30重量%及び(C)0.1〜30重量%であることが好ましく、更には(A)80〜99.8重量%、(B)0.1〜10重量%及び(C)0.1〜10重量%であることが好ましく、(A)が40重量%未満では塗膜成形性や耐水・耐アルカリ性、更には粘着性等が低下し、逆に99.8重量%を越えると(B)及び(C)の配合効果がなくなって好ましくなく、また、(B)が0.1重量%未満では配合効果がなくなり、逆に30重量%を越えると貯蔵安定性が低下し、また塗膜とした時にクラックが生じやすくなって好ましくなく、更に(C)が0.1重量%未満でも配合効果がなくなり、逆に30重量%を越えると耐水性、耐アルカリ性、耐候性等が低下して好ましくない。
【0015】
本発明の水分散型樹脂組成物は、上記の如く水分散型樹脂(A)、水溶性架橋剤(B)及び多価アルコール(C)からなるものであるが、上記の水分散型樹脂(A)の製造法からもわかるように、水媒体中に水分散型樹脂(A)が分散し、かつ水溶性架橋剤(B)及び多価アルコール(C)が含有(溶解)された水性分散液の形態をなすもので、かかる分散液中の水分散型樹脂(A)濃度としては特に限定されないが、30〜70重量%が好ましく、更には40〜60重量%が好ましく、30重量%未満では塗料等に用いる場合に塗料の粘性や耐水性、耐アルカリ性、耐候性等が低下し、逆に70重量%を越えると貯蔵安定性が低下して好ましくない。
【0016】
かくして本発明の水分散型樹脂組成物が得られるわけであるが、かかる樹脂組成物は、水媒体中で分散性に富み、その水性分散液は凍結安定性、耐水性、耐アルカリ性等に優れ、更にかかる分散液より得られる皮膜は低温での製膜性に優れており、各種の塗料用樹脂組成物、粘着剤組成物、フィルム成形物等に有用である。
【0017】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
尚、以下の記載で「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を意味する。
(製造例1)
コンデンサー、温度計、撹拌翼を備えたフラスコにイソプロパノール1000gを入れ、メチルメタアクリレート500g、2−エチルヘキシルアクリレート350g、アクリル酸150g、アゾビスイソブチルニトリル10gを80℃3時間滴下し、同温度で更に1時間反応させ、酸価54mgKOH/g、固形分51.4%、粘度2400cps(25℃)の樹脂を得て、かかる樹脂を100〜150℃にてイソプロパノールを蒸発流出させ、ついで減圧10torrで完全にイソプロパノールを除去した後、100℃まで下げ、水2880g及び28%アンモニア水120gを加えて、水溶性の樹脂系分散剤(b)を25%含有したpH8.3の樹脂水溶液を得た。
コンデンサー、温度計、撹拌翼を備えたフラスコに上記で得られた樹脂水溶液171gと水86gを仕込み、窒素気流下に、エチレン性不飽和単量体(c)としてメチルメタクリレート75g、ブチルアクリレート25gと重合開始剤(a)としてアゾビスイソブチルニトリル1gを均一に混合したものを、内温65〜70℃で3時間で滴下し、更に1時間反応を続けて、平均粒子径が0.06μmの水分散型樹脂(A)を40.5%含有したpH8.1、粘度50cps/25℃の樹脂分散液(A1)を得た。
【0018】
(製造例2)
コンデンサー、温度計、撹拌翼を備えたフラスコにイソプロパノール1000gを入れ、メチルメタアクリレート350g、2−エチルヘキシルアクリレート500g、メタクリル酸150g、アゾビスイソブチルニトリル10gを80℃3時間滴下し、同温度で更に1時間反応させ、酸価45mgKOH/g、固形分50.8%、粘度2700cps(25℃)の樹脂を得て、かかる樹脂を100〜150℃にてイソプロパノールを蒸発流出させ、ついで減圧10torrで完全にイソプロパノールを除去した後、100℃まで下げ、水2713g及び28%アンモニア水103gを加えて、水溶性の樹脂系分散剤(b)を26.2%含有したpH8.2の樹脂水溶液を得た。
コンデンサー、温度計、撹拌翼を備えたフラスコに上記で得られた樹脂水溶液163gと水87gを仕込み、窒素気流下に、エチレン性不飽和単量体(c)としてメチルメタクリレート75g、ブチルアクリレート25gと重合開始剤(a)として過硫酸カリウム1gを均一に混合したものを、内温65〜70℃で3時間で滴下し、更に70〜80℃で3時間反応を続けて、平均粒子径が0.08μmの水分散型樹脂(A)を40.8%含有したpH7.9、粘度67cps/25℃の樹脂分散液(A2)を得た。
【0019】
(製造例3)
水250gに対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5gを加えて均一溶液とし、これにメチルメタアクリレート75g、ブチルアクリレート25gとアゾビスイソブチルニトリル1gを加えて撹拌して分散液とし、この内10%をコンデンサー、温度計、撹拌翼を備えたフラスコに仕込み、窒素気流下に、75〜80℃に内温を保ち、30分後に残り90%の分散液を3時間で滴下し、更に1時間反応を続けて、平均粒子径が400μmの水分散型樹脂(A)を40.1%含有したpH7.8、粘度70cps/25℃の樹脂エマルジョン液(A0)を得た。
【0020】
実施例1
製造例1で得られた樹脂分散液(A1)940g(水分散型樹脂381g、水559g)にグリセロールポリグリシジルエーテル(B)(ナガセ化成社製、『デナコールEX−313』)30g及びプロピレングリコール(C)30gを配合した水分散型樹脂組成物〔(A):(B):(C)=86%:7%:7%〕を得た。
得られた水分散型樹脂組成物を以下の要領で評価した。
(凍結融解安定性)
JIS K 6828の凍結融解安定性に準拠して、サイクル数を10サイクルまで延長して、試料の状態を目視観察して、『変質しない』最大サイクル数を調べた。
(耐水性)
得られた水分散型樹脂組成物(水性分散液)をPET(ポリエチレンテレフィタレート)フィルム上にアプリケーターにて塗工して、20℃で7日間養生後、厚み200μmの皮膜を得て、かかる皮膜を3cm×3cmに裁断して試験体として、20℃で7日間水に浸漬させたときの皮膜の膨潤率(%)を下式により算出した。
[浸漬後の皮膜重量(g)/浸漬前の皮膜重量(g)]×100
(耐アルカリ性)
上記の耐水性において、水に換えて5%の炭酸ナトリウム溶液に浸漬させた以外は同様に行って膨潤率(%)を算出した。
(最低造膜温度)
JIS K 6828に準拠して、最低造膜温度(℃)を測定した。
【0021】
実施例2
製造例1で得られた樹脂分散液(A1)960g(水分散型樹脂389g、水571g)にトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(B)(ナガセ化成社製、『デナコールEX−321』)12g及びジエチレングリコール(C)18gを配合した水分散型樹脂組成物〔(A):(B):(C)=93%:3%:4%〕を得た。
得られた水分散型樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。
【0022】
実施例3
製造例1で得られた樹脂分散液(A1)930g(水分散型樹脂377g、水553g)にソルビトールポリグリシジルエーテル(B)(ナガセ化成社製、『デナコールEX−611』)40g及びポリエチレングリコール[#450](C)30gを配合した水分散型樹脂組成物〔(A):(B):(C)=93%:4%:3%〕を得た。
得られた水分散型樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。
【0023】
実施例4
製造例2で得られた樹脂分散液(A2)940g(水分散型樹脂384g、水556g)にグリセロールポリグリシジルエーテル(B)(ナガセ化成社製、『デナコールEX−313』)30g及びプロピレングリコール(C)30gを配合した水分散型樹脂組成物〔(A):(B):(C)=86%:7%:7%〕を得た。
得られた水分散型樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。
【0024】
実施例5
製造例2で得られた樹脂分散液(A2)960g(水分散型樹脂392g、水568g)にトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(B)(ナガセ化成社製、『デナコールEX−321』)12g及びジエチレングリコール(C)18gを配合した水分散型樹脂組成物〔(A):(B):(C)=93%:3%:4%〕を得た。
得られた水分散型樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。
【0025】
比較例1
実施例1において、樹脂分散液(A1)に代えて、製造例3の樹脂エマルジョン液を用いた以外は同様に行って、同様に評価をした。
【0026】
比較例2
実施例1において、グリセロールポリグリシジルエーテル(B)(ナガセ化成社製、『デナコールEX−313』)を無配合とした以外は同様に行って、同様に評価をした。
【0027】
比較例3
実施例1において、プロピレングリコール(C)を無配合とした以外は同様に行って、同様に評価をした。
【0028】
比較例4
実施例1において、グリセロールポリグリシジルエーテル(B)及びプロピレングリコール(C)を無配合とした以外は同様に行って、同様に評価をした。
【0029】
実施例と比較例の評価結果を表1に示した。
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明の水分散型樹脂組成物は、水分散型樹脂(A)、水溶性架橋剤(B)及び多価アルコール(C)を含有してなる水分散型樹脂組成物において、水分散型樹脂(A)が、重合開始剤(a)及び主鎖或いは末端にカルボン酸基を有するアクリル樹脂からなる樹脂型分散剤(b)の存在下、水媒体中で、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合させて得られたものであるため、水媒体中で分散性に富み、その水性分散液は凍結安定性、耐水性、耐アルカリ性等に優れ、更にかかる分散液より得られる皮膜は低温での製膜性に優れており、各種の塗料用樹脂組成物、粘着剤組成物、フィルム成形物、紙用途、繊維用途等に有用である。
Claims (4)
- 水分散型樹脂(A)、水溶性架橋剤(B)及び多価アルコール(C)を含有してなる水分散型樹脂組成物において、水分散型樹脂(A)が、重合開始剤(a)及び主鎖或いは末端にカルボン酸基を有するアクリル樹脂からなる樹脂型分散剤(b)の存在下、水媒体中で、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合させて得られたものであることを特徴とする水分散型樹脂組成物。
- 水分散型樹脂(A)、水溶性架橋剤(B)及び多価アルコール(C)の配合割合が(A)40〜99.8重量%、(B)0.1〜30重量%及び(C)0.1〜30重量%であることを特徴とする請求項1記載の水分散型樹脂組成物。
- 水分散型樹脂(A)の平均粒子径が0.01〜0.3μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の水分散型樹脂組成物。
- 水溶性架橋剤(B)が、水溶性エポキシ化合物であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の水分散型樹脂組成物。
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1997
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