JP3886682B2 - 電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品実装用フィルムキャリアテープ(例えば、TAB(Tape Automated Bonding)テープ、T-BGA(Tape Ball Grid Array)テープ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)テープなど)を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロニクス産業の発達に伴い、IC(集積回路)、LSI(大規模集積回路)などの電子部品を実装するプリント配線板の需要が急激に増加しているが、電子機器の小型化、軽量化、高機能化が要望され、これら電子部品の実装方法として、最近では電子部品実装用フィルムキャリアテープを用いた実装方式が採用されており、特に、パーソナルコンピュータなどのように高精細化、薄型化、液晶画面の額縁面積の狭小化が要望されている液晶表示素子(LCD)を使用する電子産業においてその重要性が高まっている。
【0003】
従来より、このような電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する方法としては、下記のような工程を経て製造されている。
すなわち、先ず、ポリイミドフィルムのような基材となる可撓性絶縁性フィルムをプレス機でパターン打ち抜きを行った後、この可撓性絶縁性フィルムに銅箔を積層する。そして、この銅箔の上面にフォトレジストを全面に塗布して、このフォトレジストに、フォトレジストマスクを使用して所望のパターン形状に紫外線により露光し、この露光されたフォトレジスト部分を現像液によって溶解除去する。このフォトレジストで覆われていない銅箔部分を、酸などで化学的に溶解(エッチング)して除去した後、フォトレジストをアルカリ液にて溶解除去することによって絶縁フィルム上に残った銅箔により所望の配線パターンを形成する。
【0004】
そして、実装時のゴミやウィスカー、マイグレーションによる短絡を防止し、配線の保護および配線間の絶縁のために、配線パターンのうち、ICなどのデバイス(電子部品)に接続されるインナーリード、アウターリードおよび液晶表示素子などに接続される出力側アウターリードなどのリード部分を除いて、絶縁樹脂であるソルダーレジストを、スクリーン印刷法を利用して塗布した後、乾燥、硬化させてソルダーレジスト被覆層を形成している。
【0005】
その後、露出したリード部分の酸化、変色を防止すると共に、リード部分に接続されるデバイスのバンプ電極などの接続部分との接合強度(ボンダビリティー)を確保するために、リード部分に、例えば、スズメッキ、ニッケル下地金メッキ、金メッキ、スズ−鉛の共晶合金メッキなどを施すことにより製造されている。
【0006】
上記のような電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する際におけるソルダーレジスト層の形成には、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの熱硬化性樹脂を含有するソルダーレジスト塗布液を、ステンレス細線等を編みこんで形成されたスクリーンを用いてリード部を残して塗布する。このようにして塗布された直後のソルダーレジスト塗布液は、溶媒を含有し流動性を有しているので、例えばソルダーレジスト塗布液の表面張力によってリード間に侵入した場合には、次第にリードの先端方向に浸出してリード側面にソルダーレジストからなる薄膜が付着し、続くメッキ工程、デバイスの実装工程などにおいてメッキ不良の原因あるいはデバイスの実装不良の原因になる。このため従来は、ソルダーレジスト塗布液を塗布した後、ソルダーレジストの樹脂硬化工程に至る間に、塗布されたソルダーレジスト塗布液を50〜110℃程度の温度に加熱して溶媒をある程度除去してソルダーレジスト塗布液の流動性を低下させていた。
【0007】
ところで、昨今のデバイスの高集積化などに伴い、こうした電子部品を実装するフィルムキャリアテープのリード幅が50μm以下であるような非常に細線化されたフィルムキャリアテープが製造されている。こうしたフィルムキャリアテープに塗布されたソルダーレジスト塗布液では、例えば上記のような毛細管現象による塗布液の流れ出しも多くなるので、こうした塗布液の流れ出しを防止するために比較的高い粘度のソルダーレジスト塗布液が使用されている。
【0008】
このような高粘度のソルダーレジスト塗布液をスクリーン印刷により塗布する際に、スキージーを移動する際に気泡を巻き込むことがある。また、スクリーン印刷に使用するステンレス細線からなる紗のステンレス細線が交差する部分は、ソルダーレジスト塗布液は塗出しない。ソルダーレジスト塗布液の粘度が低い場合には、ソルダーレジスト塗布液のセルフレベリング性によってこうしたステンレス細線が交差して塗布液が塗出できなかった部分は、周辺のソルダーレジスト塗布液によって埋め尽くされるが、塗布液の粘度が高いとこうした塗布液が塗出できなかった部分が気泡として残留する。このように塗布されたソルダーレジスト塗布液中に気泡が残留したまま、従来のように50〜110℃程度に加熱処理すると、この気泡が破裂して大きなボイドを形成する。このような加熱処理によってソルダーレジスト塗布液は流れにくくなるから、こうして形成されたボイドは、その後の工程によって消失することはなく、このボイド部分では配線パターンが露出した状態になる。そして、昨今のフィルムキャリアテープの細線化に伴ってこうして形成されたボイドが複数の配線に跨って形成されることがあり、こうしたボイドに導電性の異物が付着した場合には、この部分で回路が短絡する。
【0009】
このようなボイドの原因となる気泡は、長時間の放置によってある程度消失するから、加熱処理を行わずに長時間放置することも考えられるが、加熱処理を行わないと、従来のように毛管現象によりリード間にソルダーレジスト塗布液の滲み出しを防止することができない。また、ソルダーレジスト塗布液の塗布面が広がるなど塗布精度が悪くなると共に、作業効率も低下する。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、ソルダーレジスト層にボイドの発生しにくい電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する方法を提供することを目的としている。
特に、本発明は、例えばリード幅が50μm以下であるような非常に細線化された電子部品実装用フィルムキャリアテープであってもボイドの発生がなく、従ってボイドの発生による短絡発生の危険性の小さい電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する方法を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法は、可撓性絶縁性フィルムに配線パターンを形成した後、リード部を残して配線パターンを覆うように熱硬化性樹脂を含有するソルダーレジスト塗布液を塗布した後、該熱硬化性樹脂を加熱硬化してソルダーレジスト層を形成する工程を有する電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法であって、
該ソルダーレジスト塗布液を可撓性絶縁性フィルム面に形成された配線パターン上にリード部を残して塗布した後、スペーサーを介してリールに巻き取る前に、
該塗布されたソルダーレジスト塗布液中の気泡が消失するように一次加熱処理し、
次いで、該ソルダーレジスト塗布液が塗布された可撓性絶縁性フィルムを、該フィルム間に空気流通可能な間隙を形成可能なスペーサーを介してリールに巻回し、該巻回されたフィルムを該ソルダーレジスト塗布液中に含有される熱硬化性樹脂の熱硬化開始温度未満の温度で二次加熱処理し、
該二次加熱処理終了後に、該熱硬化性樹脂の硬化開始温度以上に加熱して該熱硬化性樹脂を硬化させてソルダーレジスト層を形成していることを特徴としている。
【0012】
本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法では、ソルダーレジスト塗布液を塗布した直後に低温で一次加熱処理を行って塗布されたソルダーレジスト中に含有される気泡を除去し、次いで、二次加熱処理によりソルダーレジストの流れ出しを防止している。
【0013】
【発明の具体的な説明】
次に本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法について図面を参照しながら具体的に説明する。
本発明の方法で製造される電子部品実装用フィルムキャリアテープは、例えば図1に示すような構造を有している。
【0014】
本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法は、
可撓性絶縁性フィルムに配線パターンを形成する工程と、こうして形成された帆船パターンの表面に、リード部を残してソルダーレジスト層を形成する工程と、ソルダーレジスト層から延出して形成されているリード部などにメッキする工程とを有する。
【0015】
本発明の方法において使用される可撓性絶縁性フィルム70は可撓性を有する絶縁性の樹脂フィルムである。また、この可撓性絶縁性フィルム70は、エッチングする際に酸などと接触することからこうした薬品に侵されない耐薬品性、および、ボンディングする際の加熱によっても変質しないような耐熱性を有している。このような可撓性樹脂フィルムを素材の例としては、ポリエステル、ポリアミドおよびポリイミドなどを挙げることができる。特に本発明ではポリイミドからなるフィルムを用いることが好ましい。
【0016】
可撓性絶縁性フィルム70を構成するポリイミドフィルムの例としては、ピロメリット酸2無水物と芳香族ジアミンとから合成される全芳香族ポリイミド、ビフェニルテトラカルボン酸2無水物と芳香族ジアミンとから合成されるビフェニル骨格を有する全芳香族ポリイミドを挙げることができる。特に本発明ではビフェニル骨格を有する全芳香族ポリイミド(例;商品名:ユーピレックス、宇部興産(株)製)が好ましく使用される。このような可撓性絶縁性フィルム70の厚さは、通常は25〜125μm、好ましくは50〜75μmの範囲内にある。
【0017】
本発明で使用する可撓性絶縁性フィルム70には、デバイスホール80、スプロケットホール81、アウターリードホール82、さらに屈曲部を有する場合には、屈曲位置にフレックススリット(図示なし)等がパンチングにより形成されている。
配線パターン74は、上記のような所定の穴80、81、82・・・が形成された可撓性絶縁性フィルム70の少なくとも一方の面に貼着された金属箔をエッチングすることにより形成される。金属箔は、接着剤を用いて或いは用いることなく可撓性絶縁性フィルム70の少なくとも一方の面に積層される。ここで接着剤を用いて金属箔を貼着する場合には、絶縁性の接着剤を使用して接着剤層を形成する。
【0018】
ここで使用される接着剤には、耐熱性、耐薬品性、接着力、可撓性等の特性が必要になる。このような特性を有する接着剤の例としては、エポキシ系接着剤、ポリイミド系接着剤およびフェノール系接着剤を挙げることができる。このような接着剤は、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などで変性されていてもよく、またエポキシ樹脂自体がゴム変性されていてもよい。このような接着剤は通常は加熱硬化性である。
【0019】
接着剤層の厚さは、通常は8〜23μm、好ましくは10〜21μmの範囲内にある。
また、本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法では、上記のような可撓性絶縁性フィルム70に金属箔を積層する際に、接着剤を用いることなく積層することもできる。また、上記のような金属箔を用いる方法とは別に、例えば蒸着法あるいはメッキ法等によっても金属層を形成することができ、また、このような場合に、金属箔を用いて金属層を形成し、さらに上記蒸着法あるいはメッキ法により金属層により金属層を形成しても良い。
【0020】
接着剤を使用する場合、接着剤層は、可撓性絶縁性フィルム70の表面に接着剤を塗布して設けても良いし、また金属箔の表面に接着剤を塗布して設けても良い。
本発明で使用される金属箔は導電性を有しており、このような金属箔としては、銅箔およびアルミニウム箔を挙げることができる。特に本発明では金属箔として銅箔を使用することが好ましい。本発明で金属箔として使用される銅箔には、電解銅箔および圧延銅箔があり、本発明ではいずれの銅箔を使用することも可能であるが、ファインピッチの電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造するに際しては、金属箔として電解銅箔を使用することが好ましい。
【0021】
ここで使用される電解銅箔としては電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造に通常使用されている厚さの電解銅箔を使用することができるが、ファインピッチの電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造するためには、平均厚さが通常は6〜150μm、好ましくは6〜75μmの範囲内、特に好ましく8〜75μm、さらに好ましくは8〜50μmの範囲内にある電解銅箔を使用する。このような平均厚さを有する電解銅箔を使用することにより、狭ピッチ幅のインナーリードを容易に形成することができる。
【0022】
こうして形成された可撓性絶縁性フィルムと金属箔とを積層して可撓性絶縁性フィルムに金属からなる層(金属箔層、金属メッキ層、金属蒸着層あるいはこれらの複合金属層など)が形成されたベースフィルムを製造する。そして、このベースフィルムの金属層表面にフォトレジストを塗布し、このフォトレジストに所定の配線パターンを焼き付けて、不要のフォトレジストを除去してベースフィルムの金属層表面に所定のパターンを形成し、このパターンをマスキング材として、金属層をエッチングする。
【0023】
即ち、ベースフィルムの金属層表面に、フォトレジストを塗布し、所定の配線パターンを露光して焼き付けして、水性媒体に可溶な部分と不溶な部分とを形成し、可溶部を水性媒体などで除去することにより、不溶性フォトレジストからなるマスキング材を金属層表面に形成することができる。なお、ここで不溶性フォトレジストからなるマスキング材は、露光することにより硬化するフォトレジストから形成されていてもよいし、また、逆に、露光することにより水性媒体などの特定の溶媒に溶解可能となるフォトレジストを用いて露光した後、特定の溶媒により可溶化された部分のフォトレジストを除去することによって形成することもできる。
【0024】
こうしてフォトレジストによりマスキングされたベースフィルムを、エッチング液と接触することにより、マスキングされていない部分の金属は溶出して、マスキングされた部分の金属が可撓性絶縁性フィルム上に残り、可撓性絶縁性フィルム上に溶出しなかった金属箔(あるいは金属層)からなる配線パターンが形成される。ここで使用されるエッチング液としては既に通常使用されている酸性のエッチング液を用いることができる。
【0025】
こうして形成される配線パターンにおいて、インナーリード75の各ピッチ幅は、通常は20〜500μm、好ましくは25〜100μmであり、本発明は、特に、30〜80μmのファインピッチの電子部品実装用フィルムキャリアテープに対して有用性が高い。
本発明では、通常は、このように所定の配線パターンを形成した後、次の工程でメッキするインナーリード75の先端部およびアウターリード76の先端部を除いてソルダーレジスト層78を形成する。
【0026】
本発明では、このようなソルダーレジスト層78は、ソルダーレジスト塗布液をスクリーン印刷技術を利用して所定の位置に塗布することにより形成される。本発明の方法において、ソルダーレジスト78の塗布平均厚さは、硬化後の厚さ換算で、通常は1〜80μm、好ましくは5〜50μmの範囲内にある。
このようなソルダーレジスト塗布液中に含有される硬化性樹脂は、エポキシ系樹脂、エポキシ系樹脂のエラストマー変性物、ウレタン樹脂、ウレタン樹脂のエラストマー変性物、ポリイミド樹脂、ポリイミド樹脂のエラストマー変性物およびアクリル樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の樹脂成分を含有するものであることが好ましい。特にエラストマー変性物を使用することが好ましい。
【0027】
また、本発明において、ソルダーレジスト塗布液中には、上記のような樹脂成分の他に、硬化促進剤、充填剤、添加剤、チキソ剤および溶剤等、通常ソルダーレジスト塗布液に添加される物質を添加することができる。さらに、ソルダーレジスト層の可撓性等の特性を向上させるために、ゴム微粒子のような弾性を有する微粒子などを配合することも可能である。
【0028】
本発明の製造方法で使用されるソルダーレジスト塗布液は、25℃で測定した粘度が、通常は50〜1000ポイズ、好ましくは200〜400ポイズの範囲内にある。このようなソルダーレジスト塗布液は、従来から使用されているソルダーレジスト塗布液の中でも相当高い粘度を有している。
このような高い粘度を有するソルダーレジスト塗布液をスクリーン印刷により塗布すると、塗布直後のソルダーレジスト塗布液の流れ出しは殆どないが、その反面、スクリーンを形成する紗を形成するステンレス細線の交差する部分ではソルダーレジスト塗布液が塗出せず、塗布直後には、ステンレス細線の交差部分に対応する位置にソルダーレジスト塗布液が塗布されない多数の気泡が形成される。また、スキージーを引いて上記のような高粘度のソルダーレジスト塗布液をスクリーン印刷で塗布する際に、気泡が巻き込まれて塗布されたソルダーレジスト塗布液中に気泡が残留することがある。
【0029】
従来から使用されているような低粘度のソルダーレジスト塗布液では、こうした気泡はほぼ塗布されたと同時に消失するが、本発明で好適に使用するような高粘度のソルダーレジスト塗布液を塗布した場合、こうした気泡の消失に非常に長時間を要する。
本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法では、上記のようなソルダーレジスト塗布液を塗布した後、このテープがリールに巻き取られる前に、好ましくはソルダーレジスト塗布液を塗布した後、このフィルムが電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する工程で、フィルムの状態で装置内を移動している間に、塗布されたソルダーレジスト塗布液を内在する気泡が消失するように一次加熱処理を行う。
【0030】
この一次加熱処理は、赤外線加熱装置および/または遠赤外線加熱装置を用いて行うことが好ましい。
このときの加熱温度は、用いるソルダーレジスト塗布液の種類によって異なるが、通常の場合には、塗布されたソルダーレジスト塗布液が50℃未満の温度、好ましくは30℃以上50℃未満の範囲内になるように加熱する。このような加熱条件における加熱時間は通常は50〜250秒間、好ましくは60〜180秒間である。このような条件で一次加熱処理を行うことにより、塗布されたソルダーレジスト塗布液中に含有される気泡が消失する程度に粘度が低くなり、従って、塗布されていまだ硬化していないソルダーレジスト塗布液中に含有される気泡は殆どが消失する。特に紗を形成するステンレス細線の交点部分に形成される塗布液が塗出しなかった部分は、この一次加熱処理によって周囲にソルダーレジストが移動することによって殆どが消失する。
【0031】
しかしながら、上記のような一次加熱処理によっては、塗布されたソルダーレジスト塗布液が塗布された部分から外に流れ出すことはない。
従って、こうして一次加熱処理されることにより塗布されたソルダーレジスト塗布液中には気泡は殆ど含有されておらず、しかもソルダーレジスト塗布液の塗布予定部を超えてソルダーレジスト塗布液が流出することもない。
【0032】
このようにして一次加熱処理した後、テープをスペーサーを介してリールに巻回する。ここで使用されるスペーサーは、可撓性絶縁性フィルムと同等の幅を有する樹脂フィルムであって、フィルムの長手方向の縁部に前の周回で巻回されたテープとこれに続く周回によって巻回されるテープとが接触しないように凹凸が形成された所謂エンボススペーサーフィルムである。このようなエンボススペーサーフィルムの縁部に形成されている凹凸は、塗布されたソルダーレジスト塗布液と接触しないように、電子部品実装用フィルムキャリアテープのデバイスホールが形成されている縁部にこの凸部が接触して、巻回フィルム間に間隙が形成されるように、0.5〜2.5mmの凹凸の高さを有するように形成されていることが好ましい。
【0033】
このようなエンボススペーサーフィルムと共に電子部品実装用フィルムキャリアテープをリールに巻回すると、リールを横方向から見ると、巻回された電子部品実装用フィルムキャリアテープの間に空気の流通が可能な間隙が形成される。こうしてリールに巻回された状態で二次加熱処理を行う。二次加熱処理の温度は、ソルダーレジスト塗布液中の熱硬化性樹脂の反応硬化開始温度よりも低い温度で加熱しているので、熱硬化性樹脂の硬化反応は殆ど進行せず、この二次加熱処理によって、塗布されたソルダーレジスト塗布液中の溶媒の殆どが除去される。そして、この二次加熱処理を行う前に一次加熱処理によって、塗布層中に最初に内包されている気泡はほとんど消失しているので、上記のような二次加熱処理における加熱によっても気泡の破裂(爆裂)によるボイドの発生がない。しかも、この二次加熱処理工程で、溶剤の殆どが除去されるので、後に行う加熱硬化反応の際に一時的に塗布液の粘度が下がったとしても、この熱硬化性樹脂が例えばリード間に毛管現象によって、リード側壁にソルダーレジストを構成する熱硬化性樹脂の薄膜が滲み出して薄膜を形成することがない。
【0034】
この二次加熱処理は、上記のようにエンボススペーサーフィルムと共に巻回したフィルムをソルダーレジスト塗布液中に含有される熱硬化性樹脂の熱硬化開始温度未満に加熱することにより行われる。通常、上記のようなソルダーレジスト塗布液中に含まれる熱硬化性樹脂の熱硬化開始温度は、100℃を超えることから、本発明における二次加熱処理温度を60℃未満に設定することが好ましく、さらに20〜55℃の範囲内にすることが特に好ましい。このような温度条件において、二次加熱処理の時間は通常は5〜50分間、好ましくは10〜30分間である。
【0035】
そして、この二次加熱処理は、上記のような温度に加熱した空気をエンボススペーサーフィルムによって形成された電子部品実装用フィルムキャリアテープの間を流通するように移動させて行うことが好ましい。このような二次加熱処理には以下に記載するような加熱空気循環装置を有する収納室(二次加熱処理装置)にエンボススペーサーと共にリールに巻回された電子部品実装用フォルムキャリアテープを収納して行うことが有利である。
【0036】
ここで使用される二次加熱処理装置は、図2および図3に示すように、リールに巻かれた被加熱処理体を収納する収納室と、前記収納室内の空気を加熱する加熱手段と、前記加熱手段により加熱された加熱空気を収納室内で一方向に循環させる循環装置と、前記リールに巻かれた被加熱処理体を、前記循環装置により循環される加熱空気の循環方向に対して、リールの軸方向が平行になるように乾燥室内に配置するリール架台とを備えており、このリール架台には、リールを載置するリール載置部と、前記リール載置部に載置されたリールの部分に対応した開口部と、前記開口部以外の収納室部分を遮蔽する遮蔽壁部とを備えている。
【0037】
このような加熱装置のリール載置部に電子部品実装用フィルムキャリアテープがエンボススペーサーと共に巻回されたリールを載置する。
そして、通常は熱硬化樹脂の硬化開始温度以下の温度、好適には60℃未満に加熱された空気を前記循環装置によりテープ間に形成された間隙を通過するようにして、この電子部品実装用フィルムキャリアテープを加熱する。
【0038】
図2は、電子部品実装用フィルムキャリアテープに二次加熱処理装置の断面図、図3は、電子部品実装用フィルムキャリアテープに二次加熱処理装置の部分切欠斜視図、図4は、本発明において電子部品実装用フィルムキャリアテープを二次加熱処理する際に用いられるリール架台の正面図、図5は、このリール架台の側面図、図6は、このリール架台の使用状態を説明する斜視図である。
【0039】
図4、図5および図6に示したように、本発明の方法で使用される二次加熱処理装置は、電子部品実装用フィルムキャリアテープをエンボススペーサーと共に巻回したリールを載置するリール架台10(以下、単に「リール架台」と言う。)を有しており、このリール架台は、一対の略矩形状の前方遮蔽壁部材12と後方遮蔽壁部材14とを備えており、これらの遮蔽壁部材12、14には、その中央部にそれぞれ、円形状の前方開口部16と後方開口部18を備えている。
【0040】
なお、これらの遮蔽壁部材12、14は、後述するように、二次加熱処理装置40の収納室42の循環方向Aに対して直角な断面と略一致する形状となっている。
また、これらの開口部16、18は、電子部品実装用フィルムキャリアテープTが巻かれたリールRの寸法と略同一の形状となっている。
【0041】
また、これらの前方開口部16と後方開口部18を連結するように、円筒形状の通風筒部20が形成されている。前方開口部16には、前方開口部16を四分割するように形成された4本の支持棒部材22が、前方遮蔽壁部材12の前方開口部16の内周から延設されており、これらの支持棒部材22が、前方開口部16の中心で中央当接板24で結合されている。これらの支持棒部材22と中央当接板24は、図4に示したように、電子部品実装用フィルムキャリアテープTが巻かれたリールRを、後述するリール載置部26に載置した際に、リールRを支持するためのものである。
【0042】
さらに、前方開口部16の内周に沿って前方開口部16の下方部分に位置するように、図4に示したように、電子部品実装用フィルムキャリアテープTが巻かれたリールRを載置するための二つのリール載置部26が、前方遮蔽壁部材12に固着されている。これらのリール載置部26は、略三角柱状の前方開口部16の内周に沿った形状のリール載置台28とこのリール載置台28を支持する支持フレーム30とを有している。この支持フレーム30は、前方遮蔽壁部材12と後方遮蔽壁部材14とを貫通して補強する貫通部32を有している。
【0043】
なお、図中34は、遮蔽壁部材12、14を、一定間隔に保持し補強するための結合部材である。
このように構成されリール架台10では、図6に示したように、電子部品実装用フィルムキャリアテープTが巻かれたリールRを、二つのリール載置部26のリール載置台28上に載せるとともに、リールRの側部が支持棒部材22と中央当接板24に当接支持されるようにして、リールRがリール架台10に載置される。
【0044】
本発明で好適に使用される二次加熱処理装置は、このように構成されるリール架台10を格納室内に有しており、この二次加熱処理装置について図2および図3に基づいてさらに詳細に説明する。
図2および図3において、40は、本発明で好適に使用される二次加熱処理装置を示している。
【0045】
二次加熱処理装置40は、リールRに巻かれた被乾燥体である電子部品実装用フィルムキャリアテープTを収納する収納室42を有している。この収納室の前部壁41には、図示しないが、リールRに巻かれた電子部品実装用フィルムキャリアテープTを出し入れするための開閉扉が備えられている。
この収納室42の上部には、隔壁44を隔てて、駆動制御部46が形成されている。駆動制御部46には、二次加熱処理装置40の上部に、二次加熱処理装置40の外部の新鮮な空気を、収納室42内に取り入れるための給気配管48と、収納室42内で乾燥の際に、被乾燥体である電子部品実装用フィルムキャリアテープから蒸散した溶剤成分などを二次加熱処理装置40の外部に排出する排気管50が備えられている。
【0046】
なお、図示しないが、これらの給気配管48、排気管50には、フィルターを設けて、クリーンな空気のみを給排気できるようにするのが電子部品実装用フィルムキャリアテープの品質管理上からは好ましい。
また、駆動制御部46には、給気配管48からの新鮮な空気を取り入れ、空気を乾燥室42内を循環するようにするための、例えば、ブロワー、ファンなどの循環装置52と、循環装置52によって循環する空気を加熱するための、例えば、シーズヒータなどの加熱装置54を備えている。
【0047】
さらに、隔壁44には、循環装置52、加熱装置54を通過した加熱された空気を収納室42内に送る通風孔56と、収納室42内を通過した空気を駆動制御部46に還流する吸気孔58とが形成されている。なお、図示しないが、これらの通風孔56と吸気孔58とには、フィルターを設けて、クリーンな空気のみを給排気できるようにするのが電子部品実装用フィルムキャリアテープの品質管理上からは好ましい。
【0048】
この吸気孔58には、切替弁60が設けられており、図示しない制御装置によって制御されて、収納室42内を通過した空気が、循環装置52へと還流する還流経路62と、排気管50から乾燥装置40の外部へと排出する排出経路64のいずれかに流れるように選択的に切り替えできるようになっている。
この切り替え制御は、図示しない収納室42内に設置したセンサーなどの検知装置によって、収納室42内部の、例えば、電子部品実装用フィルムキャリアテープから蒸散した溶剤成分濃度が、一定レベル以上になると切り替えて、排気管50から乾燥装置40の外部へと排出するとともに、図示しないが、給気配管48に設けられた開閉弁を開放して、二次加熱処理装置40の外部の新鮮な空気を、収納室42内に取り入れるように構成されている。
【0049】
一方、収納室42内には、リール架台10が、その遮蔽壁部材12、14が、二次加熱処理装置40の収納室42の循環方向Aに対して直角な断面に一致するように配置されている。
そして、前述したように、電子部品実装用フィルムキャリアテープTがエンボススペーサーフィルムと共に巻回されたリールRが、二つのリール載置部26のリール載置台28上に載せるとともに、リールRの側部が支持棒部材22と中央当接板24に当接支持されるようにして、リールRがリール架台10に載置されている。
【0050】
このように構成される二次加熱処理装置40を用いて、リールRに巻かれた電子部品実装用フィルムキャリアテープTに塗設されたソルダーレジスト塗布液の二次加熱処理を行う。
先ず、収納室42内には、リール架台10が、その遮蔽壁部材12、14が、二次加熱処理装置40の収納室42の循環方向Aに対して直角な断面に一致するように予め配置されており、これに電子部品実装用フィルムキャリアテープTがエンボススペーサーフィルム巻かれたリールRをリール載置部26に載置する。
【0051】
そして、駆動制御部46を作動させて、収納室42内の空気が、循環装置52の駆動によって、吸気孔58を介して、切替弁60を制御することによって、循環装置52へと還流経路62を通過して還流される。そして、加熱装置54を通過することによって所定の設定された温度に加熱され、通風孔56、収納室42内に送られる。
【0052】
収納室42内に送られた加熱空気は、図2および図3の矢印で示したように、リールRにエンボススペーサーフィルムと共に巻回された電子部品実装用フィルムキャリアテープTの間隙を通過して、リール架台10の前方遮蔽壁部材12の前方開口部から、通風筒部20を通過して、後方遮蔽壁部材14の後方開口部18へと流れ、吸気孔58を介して循環装置52へと再び還流するようになっている。
【0053】
この際、前方遮蔽壁部材12の前方開口部16以外の部分が遮蔽壁部として機能することによって、収納室42内は遮蔽されており、これによって循環される加熱空気が、リールRの部分と開口部16を介してのみ実質的に循環することになる。従って、収納室内42では、乱流が生じずに、加熱空気が、均一にリールRに巻かれた電子部品実装用フィルムキャリアテープTに均一に接触する。
【0054】
また、図示しない収納室42内に設置したセンサーなどの検知装置によって、収納室42内部の溶剤の濃度が、一定レベル以上になると、切替弁60が、図示しない制御装置によって切り替えられて、収納室42内の空気が、矢印Qで示したように、排気管50から二次加熱処理装置40の外部へと排出される。これと同時に、図示しないが、給気配管48に設けられた開閉弁を開放して、矢印Pで示したように、乾燥装置40の外部の新鮮な空気を、収納室42内に取り入れるようになっている。
【0055】
例えば上記のような二次加熱処理装置を用いて、エンボススペーサーフィルムと共にリールに巻回された電子部品実装用フィルムキャリアテープを二次加熱処理することにより、巻回された電子部品実装用フィルムキャリアテープ間を加温された空気が通過し、テープの所定位置に塗布されているソルダーレジスト塗布液中に含有される大部分の溶剤が除去される。しかも、こうした二次加熱処理の温度は、ソルダーレジスト塗布液中に含有される熱硬化性樹脂の硬化開始温度より低い温度、好適には60℃未満であるので、この二次加熱処理によって熱硬化性樹脂の硬化反応は殆ど進行せず、塗布されたソルダーレジスト塗布液中の有機溶媒が除去される。従って、塗布されたソルダーレジスト塗布液の粘度が二次加熱処理によって著しく低下することはなく、通常の場合、ソルダーレジスト塗布液の粘度は溶剤が蒸散した分だけ上昇する。さらに、塗布されたソルダーレジスト塗布液中に含有されていた気泡は一次加熱処理によって殆ど消失しているので、二次加熱処理させるソルダーレジスト塗布液には気泡は含有されておらず、この二次加熱処理によって気泡の破裂によるボイドは発生しない。また、熱硬化性樹脂には反応硬化の際に一時的に粘度が著しく低下するものがあり、このとき溶媒が存在すると塗布液がリード表面を流れ出したり、あるいは、リード間で塗布液に作用する表面聴力によってリード先端部に浸出することがあるが、この二次加熱処理における加熱によっては硬化反応は殆ど進行せず、選択的に溶剤が除去されて流動性が低下し、硬化反応の際のソルダーレジストの流れ出しを防止することができる。特に上記詳述した二次加熱処理装置を用いることにより、巻回された電子部品実装用フィルムキャリアテープが均一に加温空気と接触するので、リールに巻回されたテープに塗布されたソルダーレジスト塗布部から均一に溶剤を短時間で除去することができる。しかもこのような溶剤の短時間の除去によってもボイドなどが発生することがない。
【0056】
このようにして二次加熱処理した後、本発明の方法では、塗布されたソルダーレジストを硬化させる。このソルダーレジストは、ソルダーレジスト中に含有される熱硬化性樹脂の硬化開始温度以上(通常はこの熱硬化性樹脂の硬化開始温度は120℃よりも高い)に加熱することにより硬化する。この加熱温度は、二次加熱処理温度以上であり、通常は120〜180℃、好ましくは160〜180℃の範囲内にある。ソルダーレジストの硬化は、上記のような温度条件では通常は1〜5時間、好ましくは2〜4時間である。ソルダーレジストは、巻回したフィルムを上記範囲の温度に可能なオーブンに入れて加熱することにより硬化する。
【0057】
こうしてソルダーレジストを硬化させた後、このソルダーレジストによって被服されていない部分の配線パターンの表面をメッキ処理する。即ち、ソルダーレジスト塗布部から露出しているインナーリード、アウターリードなどの表面をメッキ処理する。
このメッキとしては、得られる電子部品実装用フィルムキャリアテープの種類によって種々のものを選択することができる。例えば、本発明で製造される電子部品実装用フィルムキャリアテープには、金メッキ、ニッケル下地金メッキ、ハンダメッキ、スズメッキ、銀メッキ、スズ−鉛共晶メッキなど種々のメッキをすることができる。特に本発明では、スズメッキ処理が好ましい。こうして形成されるメッキ層の平均厚さは、0.1〜0.6μmの範囲内にあることが好ましい。また、このようなメッキ層は単独で形成することもできるし、異なる金属を用いて異なるメッキ処理を組み合わせても良い。特に本発明では、スズメッキ処理が好ましい。こうして形成されるメッキ層の平均厚さは、0.1〜0.6μmの範囲内にあることが好ましい。また、これらのメッキ層は、2層以上形成することもできる。即ち、こうして形成されるメッキ層は、例えばデバイスボンディング特性の改善、ホイスカーの発生防止などを目的として異なる金属または同一の金属を2層以上積層して形成することもできる。例えば、スズメッキをする場合、一旦スズメッキを行った後、再び薄いスズメッキ層を形成することにより、ホイスカーの発生を防止することができる。
【0058】
また、上記説明は、ソルダーレジスト層を形成した後、スズメッキをする方法を中心にして説明したが、配線パターンを形成した後、この配線パターンにメッキ層を形成し、こうして形成されたメッキ層の上に上記ソルダーレジスト塗布液を塗布して一次加熱処理および二次加熱処理を行い、さらにソルダーレジスト塗布層を加熱硬化させた後、さらにメッキ層を形成してもよい。
【0059】
このように本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法によれば、高い粘度のソルダーレジスト塗布液を使用することができるので、ソルダーレジスト塗布液の流れ出し、リード間における毛管現象による流出がない。しかもこのような高粘度のソルダーレジスト塗布液を使用しているにも拘わらず、スクリーン印刷の際に紗を形成するステンレス細線の交点部分にソルダーレジスト塗布液が塗出されないことによるソルダーレジスト塗布液の塗布欠損部が一次加熱処理によって消失すると共に、このソルダーレジスト塗布液中に含まれる気泡が一次加熱処理によって除去されるのでソルダーレジスト塗布液中に含まれる熱硬化性樹脂の硬化反応の際に気泡の破裂によるボイドが発生することがない。また、二次加熱処理をすることにより、ボイドを発生させることなく、しかも粘度を低下させることなく塗布層中に含有される溶媒を除去することができる。このようにして一次加熱処理、次いで二次加熱処理を行った後、塗布層中に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させることにより、非常にファインピッチの電子部品実装用フィルムキャリアテープであってもソルダーレジスト塗布液の流れ出しによるソルダーレジスト硬化物がリード部などに付着することがなく、リード部等にメッキ不良が発生することがなく、また、デバイスを実装する際にソルダーレジストのソルダーレジスト硬化付着物による実装不良の発生を防止することができる。
【0060】
このようにして製造された電子部品実装用フィルムキャリアテープは、リールに巻回して調湿下あるいは減圧下に保持することが好ましい。
【0061】
【発明の効果】
本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法によれば、ファインピッチ化に対応して高粘度のソルダーレジスト塗布液を使用した場合であっても、このソルダーレジスト塗布液を塗布し硬化するに至る工程でボイドが発生することがない。即ち、このような高粘度のソルダーレジスト塗布液を使用しても、本発明の製造方法によれば、内包される気泡が一次加熱処理によって消失するのでボイドが発生することがない。さらに、二次加熱処理によってボイドを発生させることなく溶剤を除去することができるので、続くソルダーレジストの硬化工程において非常に効率的にソルダーレジストを硬化させることができる。
【0062】
従って本発明の製造方法は、特にリード間隔が50μm以下に細線化された電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造する際に有用である。
【0063】
【実施例】
次に本発明の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法について実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0064】
【実施例1】
幅70mm、厚さ50μmのポリイミドフィルムに、パンチングにより、デバイスホール、スプロケットホール、アウターリードの切断スリットを形成した。次いで、このポリイミドフィルム表面に、エポキシ系接着剤を塗布し、厚さ18μmの電解銅箔を貼着した。
【0065】
さらに、この銅箔上にフォトレジストを塗布し、このフォトレジストを露光し、さらにエッチングすることにより銅箔に配線パターンを形成した。形成した配線パターンにおけるリードのピッチ幅は50μmである。
こうして形成された配線パターンにウレタン系ソルダーレジスト塗布液を塗布した。このウレタン系ソルダーレジスト塗布液は、樹脂分を52重量%含有し、溶剤を48重量%含有している。このウレタン系ソルダーレジスト塗布液の25℃における粘度は、400ポイズであった。このソルダーレジスト塗布液は、従来から使用されている一般的なソルダーレジスト塗布液よりも高粘度である。このソルダーレジスト塗布液中に含有されるウレタン系樹脂の硬化開始温度は140℃である。
【0066】
このソルダーレジスト塗布液を50μmのステンレス細線で形成されているスクリーン(紗)を用いて上記のようにして形成した配線パターンの上に、インナーリードおよびアウターリードを残して35μmの厚さに塗布した。このソルダーレジスト塗布液のスクリーン印刷装置にテープの進行方向の下流側に赤外線加熱装置が配置されており、上記のようにして塗布されたソルダーレジスト塗布液を塗布した直後に赤外線加熱した。テープはこの赤外線加熱を180秒間で通過し、この時の塗布されたソルダーレジスト塗布液の温度は40℃まで加熱された(一次加熱処理)。
【0067】
このように一次加熱処理を行うことにより、ソルダーレジスト塗布液中に内包される気泡は殆ど消失した。また、この一次加熱処理によってスクリーン印刷した際にスクリーンを形成するステンレス細線の交点部分にもソルダーレジスト塗布液が入り込み、均一なソルダーレジストの塗布層が形成された。
こうして一次加熱処理した後、このテープを両側縁部に高さ2.5mmの凹凸を有するポリエチレンテレフタレートフィルムからなるエンボススペーサーを介してリールに巻き取った。
【0068】
次いで、このリールを図2および6に示す加熱装置のリール架台に載置し、この加熱装置を密閉して50℃に加熱された空気が、エンボススペーサーを用いることにより形成されたテープ間隙を通過するようにして二次加熱処理を30分間行った。
次いで、二次加熱処理したテープを160℃の温度に段階的に2時間かけて昇温して加熱してソルダーレジストを硬化させた。
【0069】
こうしてソルダーレジスト層を形成した後、このフィルムを無電解スズメッキ層に移してソルダーレジストが塗工されていない配線パターン(インナーリードおよびアウターリード)表面に0.2μmの厚さでスズメッキ層を形成した。
こうして得られた電子部品実装用フィルムキャリアテープのソルダーレジスト層面を観察したところ、ボイドの発生は見られなかった。
【0070】
また、インナーリード部を観察したところ、表面張力によるインナーリード間へのソルダーレジストの流れ出し、インナーリード表面へのソルダーレジストの流れ出しも見られなかった。
【0071】
【比較例1】
実施例1において、一次加熱処理、即ちソルダーレジスト塗布液を塗布した直後の赤外線加熱を行わなかった以外は同様にして電子部品実装用フィルムキャリアテープを製造した。
得られた電子部品実装用フィルムキャリアテープのソルダーレジスト塗布部を観察したところ、スクリーンを形成するステンレス細線の交点に対応する部分に多数のボイドが形成されていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の製法で製造される電子部品実装用フィルムキャリアフィルムの例を示す平面模式図である。
【図2】図2は、電子部品実装用フィルムキャリアテープに二次加熱処理装置の断面図である。
【図3】図3は、電子部品実装用フィルムキャリアテープに二次加熱処理装置の部分切欠斜視図である。
【図4】図4は、本発明において電子部品実装用フィルムキャリアテープを二次加熱処理する際に用いられるリール架台の正面図である。
【図5】図5は、このリール架台の側面図である。
【図6】図6は、このリール架台の使用状態を説明する斜視図である。
Claims (10)
- 可撓性絶縁性フィルムに配線パターンを形成した後、リード部を残して配線パターンを覆うように熱硬化性樹脂を含有するソルダーレジスト塗布液を塗布した後、該熱硬化性樹脂を加熱硬化してソルダーレジスト層を形成する工程を有する電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法であって、該ソルダーレジスト塗布液を可撓性絶縁性フィルム面に形成された配線パターン上にリード部を残して塗布した後、スペーサーを介してリールに巻き取る前に、
該塗布されたソルダーレジスト塗布液中の気泡が消失するように一次加熱処理し、
次いで、該ソルダーレジスト塗布液が塗布された可撓性絶縁性フィルムを、該フィルム間に空気流通可能な間隙を形成可能なスペーサーを介してリールに巻回し、該巻回されたフィルムを該ソルダーレジスト塗布液中に含有される熱硬化性樹脂の熱硬化開始温度未満の温度で二次加熱処理し、
該二次加熱処理終了後に、該熱硬化性樹脂の硬化開始温度以上に加熱して該熱硬化性樹脂を硬化させてソルダーレジスト層を形成することを特徴とする電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。 - 上記一次加熱処理を、赤外線加熱装置および/または遠赤外線加熱装置を用いて行うことを特徴とする請求項第1項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
- 上記一次加熱処理が、赤外線および/または遠赤外線加熱装置を用いて、該塗布されたソルダーレジスト塗布液を50℃未満の温度に50〜250秒間加熱する処理であることを特徴とする請求項第2項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
- 上記二次加熱処理が、空気流通可能な間隙を形成可能なスペーサーを介してリールに巻回したテープの該形成された間隙に、60℃未満に加熱された空気を5〜50時間流通させる処理であることを特徴とする請求項第1項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
- 上記二次加熱処理を、
リールに巻かれた被加熱処理体を収納する収納室と、
前記収納室内の空気を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段により加熱された加熱空気を収納室内で一方向に循環させる循環装置と、
前記リールに巻かれた被加熱処理体を、前記循環装置により循環される加熱空気の循環方向に対して、リールの軸方向が平行になるように乾燥室内に配置するリール架台とを備え、
前記リール架台には、
リールを載置するリール載置部と、
前記リール載置部に載置されたリールの部分に対応した開口部と、
前記開口部以外の収納室部分を遮蔽する遮蔽壁部とを備えた加熱装置を用いて、
前記循環装置により循環される60℃未満に加熱された空気が、一次加熱処理を終えたフィルムをスペーサーを介して巻回して形成された該空気流通可能な間隙に流通することにより行うことを特徴とする請求項第1項または第4項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。 - 上記ソルダーレジスト塗布液の25℃における粘度が、50〜1000ポイズの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
- 上記ソルダーレジスト塗布液を、スクリーン印刷により配線パターンの所定位置に塗布することを特徴とする請求項第1項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
- 上記ソルダーレジスト塗布液中に含有される熱硬化性樹脂の硬化開始温度が120℃より高いことを特徴とする請求項第1項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
- 上記二次加熱処理終了後に、該二次加熱処理を終了したソルダーレジスト塗布層を、120〜180℃の温度に加熱して、該ソルダーレジスト塗布層に含有される熱硬化性樹脂を硬化させてソルダーレジスト層を形成することを特徴とする請求項第8項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
- 上記電子部品実装用フィルムキャリアテープに形成されるリード部のリード幅が50μm以下であり、隣接するリードとの間隔が20〜80μmの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法。
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