JP3886326B2 - 板状被処理物の回転処理装置及び回転処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガラス基板や半導体ウェーハ等の板状被処理物に対し、現像液、洗浄液、SOG溶液、レジスト溶液等を塗布する回転処理装置とこの処理装置を用いた処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス基板や半導体ウェーハ等の板状被処理物の表面に塗布液や現像液等の液体を供給する装置として、特開平7−284716号公報、特開平8−22952号公報或いは特開平11−168051号公報に開示される装置が知られている。
【0003】
これら従来装置は、カップ内に配置した吸引チャック上に板状被処理物を載置し、次いで吸引チャックで板状被処理物を保持するとともに板状被処理物の中心部に塗布液や現像液等の液体を供給し、この後引き続いて吸引チャックを回転せしめることで板状被処理物も一体的に回転させ、この回転によって生じる遠心力にて供給した液体を板状被処理物の表面全体に均一に行き渡らすようにしている。
【0004】
ところで、液晶表示装置用のガラス基板は1枚のガラス基板にホトレジストを塗布・乾燥し、更に露光、現像等の処理を施し、最終的に1枚のガラス基板から所定寸法のガラス基板を複数切り出している。そして、生産の効率化及びコストダウンを図るため、ガラス基板の縦横の寸法は大きくなる傾向にある。しかしながらガラス基板の厚みは0.7mm程度で変化しない。その結果、矩形状ガラス基板にあっては長辺方向において吸引チャックからの食み出しが大きくなり、自重によって撓んでしまう。この撓み量が1mmを超えると液盛りに必要な液量が増し、安定した液盛りもできなくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した板状被処理物の撓みを解消する手段として、吸引チャックの径を大きくする手段、或いはホルダ等によって板状被処理物の外周を保持する手段が考えられる。
【0006】
しかしながら、吸引チャックの径を大きくした場合には板状被処理物と吸引チャックとが接近し、特に板状被処理物が矩形状をなす場合には、短辺方向において板状被処理物の端部と吸引チャックとが近づき過ぎ、板状被処理物の裏面に廻り込んだ液体が吸引チャックまで到達し、乾燥後に飛散して板状被処理物の表面に付着する虞れがある。
また、ホルダ等によって板状被処理物の外周を保持する手段にあっては、ホルダ等が乱流発生の原因になってしまう。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本発明に係る回転処理装置は、カップ内に吸引チャックを配置し、この吸引チャックで板状被処理物を保持して回転せしめることで板状被処理物表面に供給した液体を板状被処理物の表面全体に行き渡らすようにした回転処理装置において、前記チャックよりも外側位置にチャックから食み出した板状被処理物の端部下面を非回転時に下から支持して板状被処理物の水平度を維持するとともにこの状態で板状被処理物の表面に処理液を供給する支持機構を設けた。
【0008】
上記の回転処理装置を用いて板状被処理物表面に液体を供給するには、先ずカップ内に配置される吸引チャック上に板状被処理物を載置し、次いで吸引チャックを下降せしめるか吸引チャックの外側に配置した支持機構の受け部を上昇せしめて吸引チャックから食み出た板状被処理物の端部下面を下から支持し、これにより板状被処理物の水平度を維持した状態で板状被処理物の表面に液体を供給し、次いで吸引チャックを上昇せしめるか支持機構の受け部を下降せしめ、板状被処理物の下面から支持機構の受け部を離した状態で吸引チャックとともに板状被処理物を一体回転する。こうすることで、板状被処理物表面に供給した液体を板状被処理物の表面全体に均一に行き渡らすことができる。
【0009】
尚、板状被処理物が矩形状ガラス基板の場合には、前記支持機構は矩形状ガラス基板の四隅を下方から支持する位置に配置することが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、図1は本発明に係る回転処理装置の縦断面図、図2は同回転処理装置の平面図、図3は吸引チャックが上昇した状態の回転処理装置の縦断面図である。
【0011】
回転処理装置1は、平面視で矩形状をなすケース2内にリング状カップ3を配置している。このカップ3は外側壁4と底部5から構成され、外側壁4は上方に向かって徐々にその径が小さくなり、底部5は上板5aと下板5bからなる二重構造となっている。これら上板5aと下板5bは平面視でスピンナー軸6を囲むドーナッツ状をなし、上板5aの表面にはフッ素樹脂コーティングを施し、表面に落下した現像液がスムーズに流れるようにし、また、上板5a及び下板5bにて囲まれる空間はスピンナー軸6に向かって開口7が形成されたトラップ空間Sとされている。
【0012】
また、下板5bには1個以上の排気口8を、上板5aと下板5bが下方に傾斜し合流するところには複数個の排液排出口9を設けている。排気口8はトラップ空間S内を減圧するためのものであり、排気口8の上端部は下板5bより3mm以上高くなっている。その結果、トラップ空間S内に入った液体は排気口8の中には入らずに排液排出口9より排出されることになり、排気系の汚染が防止できる。
【0013】
また、トラップ空間Sは全体形状が径方向外側に向かって下方に傾斜しているため、一旦トラップ空間S内に回収された液体が軸受けの部分に廻り込むことがなく、スピンナー軸6まで廻り込んだ液体を塗布空間に戻すことなくスムーズに排出することができる。
ただし、本発明に係る回転処理装置としては、必ずしも底部を二重構造にする必要はない。
【0014】
前記スピンナー軸6はベース10に取り付けたモータ11にて回転せしめられるとともにシリンダユニット12の作動で昇降動可能とされ、更にスピンナー軸6の上端には基板Wを吸着保持するチャック13が取り付けられている。
【0015】
また、前記上板5a及び下板5bは支持部材14を介して前記ベース10に取り付けられている。支持部材14は下部支持片14a、中間支持片14b及び上部支持片14cからなり、下部支持片14a上に下板5bをボルト等で固着し、中間支持片14b上に上板5aをボルト等で固着し、上部支持片14cに小寸法の基板Wに現像処理を施す際に使用する内側整流リング15を位置調整可能に取り付けている。
【0016】
更に、本発明に係る回転処理装置は基板Wの下面を下から支持する支持機構16を設けている。支持機構16を設ける位置は基板Wが矩形状をなす場合には、基板Wの四隅に対応して設ける。
【0017】
前記支持機構16はベース10上に固定される上下方向のシリンダ17と、このシリンダ17の作動によって昇降動する受け部18とからなり、シリンダ17のロッドは下板5b及び上板5aに形成した孔を介してその上端は上板5aよりも上方に臨み、このロッド上端に受け部18が固着されている。尚、下板5bに形成した孔から液体が排気系に入り込むのを防止するため、孔の周囲には壁19を設けている。
【0018】
尚、図示例にあっては支持機構16をベース10上に設けた例を示したが、上板5a上に設ける等、設ける箇所は任意であり、また必ずしも支持機構16をシリンダ17と受け部18で構成しなくてもよい。
【0019】
以上において、露光処理が終了した基板Wに現像処理を施す場合を例にとって説明すると、図3に示すようにシリンダユニット12の作動でスピンナー軸6とともにチャック13を上昇せしめ、基板Wを側方から搬送してきてチャック13上に載置する。
【0020】
この後、シリンダユニット12を逆方向に作動させて、チャック13を下降せしめる。そして、チャック13が最も下降する時点で、支持機構16の受け部18がチャック13上面と面一になるように受け部18がシリンダ17の作動で上昇するように設定しているため、チャック13が最下位となった際に、支持機構16の受け部18にて基板Wの四隅下面が支持され、基板Wは水平状態で維持される。
【0021】
この状態で、図示しないノズルから基板W表面に現像液を供給し液盛りする。そして、回転処理直前にシリンダ17を逆方向に作動させ、受け部18を下げ、モータ11を駆動して基板Wを回転せしめ、基板W上に盛られた現像液を除去する。このときの回転速度は5〜200rpmとする。また、回転時間は0.1〜10秒とする。
【0022】
この回転速度は、現像液を乾燥させる際の回転速度に比べて極めて低速であり、このように低速で回転せしめることで、基板Wから遠心力により除去される現像液の速度を遅くし、基板Wから飛散する現像液のうちの多くの割合の現像液がカップ底部5を構成する上板5a上に落下し、上板5aの傾斜に沿って径方向外側に向かって流れ、排液の排出口9を介して図示しない現像液回収ポケット内に流れ込み、ポンプの駆動でタンクに回収され、再利用に供される。
【0023】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、吸引チャックで板状被処理物を保持して回転せしめるようにした回転処理装置において、前記チャックよりも外側位置にチャックから食み出した板状被処理物の端部下面を非回転時に下から支持して板状被処理物の水平度を維持する支持機構を設けたので、基板(板状被処理物)の水平度を維持した状態で板状被処理物の表面に液体を供給することができ、液盛りに必要な液量が少なくて済み、且つ均一な膜厚が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転処理装置の縦断面図
【図2】同回転処理装置の平面図
【図3】吸引チャックが上昇した状態の回転処理装置の縦断面図
【符号の説明】
1…回転処理装置、2…ケース、3…リング状カップ、4…外側壁、5…底部、5a…底部を構成する上板、5b…底部を構成する下板、6…スピンナー軸、7…開口、8…排気口、9…排液排出口、10…ベース、11…モータ、12…シリンダユニット、13…吸引チャック、14…支持部材、14a…下部支持片、14b…中間支持片、14c…上部支持片、15…内側整流リング、16…支持機構、17…シリンダ、18…受け部、19…壁、S…トラップ空間、W…基板(板状被処理物)。
Claims (3)
- カップ内に吸引チャックを配置し、この吸引チャックで板状被処理物を保持して回転せしめることで板状被処理物表面に供給した液体を板状被処理物の表面全体に行き渡らすようにした回転処理装置において、前記チャックよりも外側位置にチャックから食み出した板状被処理物の端部下面を非回転時に下から支持して板状被処理物の水平度を維持するとともにこの状態で板状被処理物の表面に処理液を供給する支持機構を設けたことを特徴とする板状被処理物の回転処理装置。
- 請求項1に記載の板状被処理物の回転処理装置において、前記板状被処理物は矩形状ガラス基板であり、前記支持機構を前記矩形状ガラス基板の四隅を下方から支持する位置に配置したことを特徴とする板状被処理物の回転処理装置。
- カップ内に配置される吸引チャック上に板状被処理物を載置せしめ、次いで吸引チャックを下降せしめるか吸引チャックの外側に配置した支持機構の受け部を上昇せしめて吸引チャックから食み出た板状被処理物の端部下面を下から支持し、これにより板状被処理物の水平度を維持した状態で板状被処理物の表面に液体を供給し、次いで吸引チャックを上昇せしめるか支持機構の受け部を下降せしめ、板状被処理物の下面から支持機構の受け部を離した状態で吸引チャックとともに板状被処理物を回転せしめ、板状被処理物表面に供給した液体を板状被処理物の表面全体に行き渡らすことを特徴とする板状被処理物の回転処理方法。
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