JP3886070B2 - かつら並びにかつらの止着方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はかつら並びにかつらを頭部に止着する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かつらの頭部への止着方法としては以下のような手法があった。
従来方法その1として、かつらをヘアピン或は櫛歯を有するかつら用ストッパーで自毛(かつら装着者自身の頭髪)を挟持してかつらを止着する方法がある。
また、従来方法その2としては、かつら台材の裏面の縁部に粘着剤が付着された両面テープを貼付しその粘着力で自毛又は直接頭皮に固定しかつらを止着する方法がある。
さらに、従来方法その3として、かつら台材の裏面の縁部に毛髪用接着剤を塗布しかつらを自毛に固定してかつらを止着する方法がある。
【0003】
しかし上記の方法にはいずれも解決すべき問題点があった。
即ち、ヘアピン等でかつらを自毛に止着する方法(前記その1)においては、かつらの着脱は容易であるがヘアピンやストッパーにある程度の厚みがあるためかつら止着箇所に嵩張りが生じ、長期間の装着に違和感が生じる場合があった。
【0004】
また、両面粘着テープを使用してかつらを自毛に止着する方法(前記その2)においては、かつらの着脱が容易でかつら止着箇所の嵩張りも生じないが、粘着力が弱いため頭皮から出る汗や脂肪によって剥離してしまい長期間の装着には無理があった。さらに、この方法においてはかつら台材の裏面に対する粘着剤の粘着力がそれほど強力ではないため、かつら台材から剥離する場合もあった。
【0005】
また、接着剤を塗布する方法(前記その3)においては、塗布された接着剤がかつらに圧迫されて必要以上に広範囲に広がり頭皮や毛根に影響が生じる懸念もあった。また、接着剤によるかつら台材の変形や変色の恐れがあり、さらに、この方法においては、かつらを再装着するときに付着している接着剤固化物をかつら台材から剥離し除去する必要があるが、その際にかつら台材を損傷させてしまう問題点もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来のかつら止着方法における各問題点を総合的に解決するために為されたものであり、その目的とするところは、かつらを自毛に止着する箇所が嵩張らず長期間の装着においても違和感が生じず、また、長期間確実に止着でき、頭皮や毛根に影響が生じる懸念が無いかつら並びにかつらの止着方法を提供することにある。
また、従来の止着部材に比べてかつらの止着力が強化され、かつ頭部からの取り外しが簡単かつ短時間で済み、しかも取り外し箇所が奇麗であり、さらに、かつら台材を損傷、変形、変色させずに取付け可能なかつらを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係るかつら(請求項1)は、「かつら台材裏面の周縁部に所定の間隔で自毛を接着剤を使用して付着させるための付着片が貼着されるとともに該付着片上に糸状体を付設し、該糸状体と前記付着片との間に自毛を挿通するようにし、該付着片が貼着されていない前記かつら台材の周縁部面に前記糸状体を直接固定するための固定片が前記糸状体上に貼着されていることを特徴とするかつら」である。
【0008】
また、「かつら台材裏面の周縁部に付着片と固定片とが交互に隣接して貼着されている」ことを特徴とする(請求項2)。
【0009】
また、本発明に係るかつらの止着方法(請求項3)は、「かつらの頭部への止着方法において、かつら台材裏面の周縁部に所定の間隔で自毛を接着剤を使用し付着させるための付着片が貼着されるとともに当該付着片上に糸状体が付設され、該付着片が貼着されていない前記かつら台材の周縁部面に前記糸状体を直接固定するための固定片が前記糸状体上に貼着されているかつらを装着者の頭部に載せ、次いで当該かつら台材裏面の周縁部近傍の自毛を前記糸状体と前記付着片の間に挿通した後、前記糸状体に掛止し折り返して前記かつら台材の周縁部外側に引き出し、次いで当該挿通し掛止した箇所に接着剤を塗布し固化させてかつらを自毛に固定させることを特徴とするかつらの止着方法」である。
【0010】
【発明の実施の形態】
(1)かつら
以下、本発明に係るかつらを図面に示す実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
図1は本発明に係るかつらの裏面の平面図である。また、図2は図1におけるかつら裏面の周縁部の部分拡大図である。
【0011】
図1において、表面に毛髪が植毛されているかつら1の台材裏面の周縁部11には、自毛を付着させるための付着片2が所定の間隔で周縁部11に沿って貼着されている。そして、付着片2上には2本の糸状体3が周縁部11に沿うようにして全周に付設されている。
また、付着片2が貼着されていない箇所、即ち各付着片2の間の糸状体3上には当該糸状体をかつら1の台材裏面に固定するための固定片4が貼着されている。
かつらを装着者の頭部に固定するためのかつら台材裏面の止着箇所はこれらの部材から構成される。
なお、糸状体3に弛み等が生じないようにするため、付着片2と固定片4との間隔はできるだけ小さい方が好ましく、両者が隣接してかつら1の台材裏面に貼着されていることが好ましい。
【0012】
かつら1の頭部への止着は、付着片2とその表面上の糸状体3との間に自毛を挿通させ糸状体3に自毛を掛止した状態で当該箇所に接着剤を塗布し固化させて自毛に固定させることによって行われる。従って、自毛を挿通できるようにするため、糸状体3は付着片2に全く固着されていないか、或いは糸状体3の一部分、例えば、付着片2の端部21で糸状体3が付着片2に固着されていることが好ましい。そのため糸状体3のかつら台材裏面への固定は主として固定片4で為される。
【0013】
通常、かつら台材は頭部の形状にフィットするようにポリウレタン等の柔軟な素材で形成されているので、付着片2はかつら台材裏面の周縁部11の動きに追従するように柔軟な可撓性ある素材から形成されることが好ましい。
また、付着片2上には自毛を固定するために毛髪用接着剤が塗布されるので、接着剤が裏面に透過しないようなフィルム又はシート状の素材が好適であり、天然繊維や合成繊維から織布された織目の細かい各種布地や不織布、薄いプラスチック製フィルム又はシート或は丈夫な紙等が例示される。
【0014】
糸状体3は木綿、麻等の植物繊維、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル等の合成繊維、羊毛等の動物繊維を撚ったものや、単に束ねただけのもの或いは太めの繊維単体である。
前述のとおり、糸状体3はかつら1を装着者の頭部に固定する際に自毛を挿通させ掛止するために使用される部材であり、さらに自毛掛止後に毛髪用接着剤で固定するので、1本でも本発明の効果を達することができるが、複数本を付設した方が掛止作業並びに接着剤の塗布作業が容易となるので好適である。
なお、図1及び図2において、糸状体3は2本がほぼ平行状に付設されているが、平行状でなく撚糸状に束ねても良い。
【0015】
固定片4は裏面に接着剤を塗布して糸状体3の上に被せ糸状体3をかつら1の台材裏面に固定するための部材である。従って、前記付着片2と同様にかつら台材裏面の周縁部11の動きに追従するように柔軟な可撓性あるフィルム又はシート状の素材から形成されることが好ましく、素材としては天然繊維や合成繊維から織布された各種布地や不織布、薄いプラスチック製フィルム又はシート或は丈夫な紙等が例示される。
【0016】
本実施例におけるかつらの止着箇所の作成方法は、以下のとおりである。
まず、かつら台材裏面の周縁部11に付着片2を所定の間隔で複数個を接着剤を使用して又は縫着して貼着する。
接着剤はかつら台材の素材に応じて選ばれるが、通常は樹脂用の接着剤を使用する。かつら台材がポリウレタン製の場合にはポリウレタンをジメチルホルムアミド(DMF)とメチルエチルケトン(MEK)との混合溶液で溶解させたものである。
次に、周縁部の全周囲にわたる長い糸状体3を付着片2上に付設する。
次に固定片4を糸状体3上に接着剤を使用して又は縫着して貼付する。
【0017】
なお、図1及び図2に示すように、付着片2と固定片4とが交互に配置されている方が好ましいが、例えば、2個の固定片の間に付着片を2個以上配置するような不規則な配置であってもよい。
【0018】
[実施例2]
図3は、上記実施例1とは別の実施例である。
上記実施例1においては、かつら台材裏面の周縁部の全周囲にわたる長い糸状体を使用したが、本実施例は、周縁部に部分的に糸状体を付設するタイプのものである。短い糸状体3が使用される以外は、実施例1と同様の付着片2と固定片4とが止着用の部材として使用される。
【0019】
本実施例における本実施例におけるかつらの止着箇所の作成方法は、以下のとおり例示される。
まず、かつら台材裏面の周縁部11に付着片2を所定の間隔で複数個を樹脂用接着剤を使用して又は縫着して貼着する。使用される接着剤は前記実施例1と同様である。
次に、予め作成しておいた図4に示す部材を、前記かつら台材の周縁部11に貼着した付着片2が当該部材の2個の固定片4の間に位置するようにかつら台材裏面の周縁部11に樹脂用接着剤を使用して又は縫着して貼着する。
図4に示す部材は2個の固定片4に2本の糸状体3を架設したものである。
【0020】
図5に示す部材は、糸状体3の端部31が固定片4に固着され、その中間部に糸状体3が上になるようにして付着片2を配設し、当該付着片とその上の糸状体3との間に自毛が挿通できるように、糸状体3は付着片2の端部21で固着されてなるものである。このように図5に示す部材を予め作成しておけばかつらの止着箇所の作成がより簡便となる。
【0021】
従って、図5に示す部材を構成する付着片2と固定片4を樹脂用接着剤を使用して又は縫着によってかつら台材裏面の周縁部11に貼着するだけでかつらの止着箇所を作成することができる。なお、使用される接着剤は前記実施例1と同様である。
なお、2個の固定片の間に付着片を2個以上設けることもできる。従って、本発明において使用する糸状体3の長さは、前記実施例1のかつら台材裏面の周縁部全周にわたる長さから実施例2に示される短いものまで、適宜決めることができる。
【0022】
(2)かつらの止着方法
以下、本発明に係るかつらの止着方法を図面に示す実施例に基づいて説明する。
図6の(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明に係る上記かつらを頭部に止着する状況を示した概略説明図である。なお、図6(c)は図6(b)の部分拡大図である。
【0023】
図6(a)に示すように、まず、かつら1を装着者の頭部に載せる。
次いで、図6(b)及び(c)に示すように、先端にフックが付いた操作棒7を付着片2と糸状体3の隙間に挿入してかつら台材の周縁部近傍の自毛6、好ましくは当該自毛6のうちかつら台材の周縁部外側の自毛61をフックに引っ掛けた後に、フックを付着片2に引き上げることにより付着片2と糸状体3との間に自毛を挿通させる。こうした作業をかつら台材裏面に貼着された各々の付着片ごとに繰り返して行う。
【0024】
次に、図6(d)に示すように、挿通した自毛を糸状体3に掛止して折り返し、かつら台材の周縁部外側に引き出し、次いで当該挿通し掛止した箇所、すなわち付着片2と糸状体3と自毛(6又は61)の3者が会する箇所、に毛髪用接着剤8を塗布し固化させてかつらを頭部に止着する。
なお、接着剤8としては、ラテックス系、シリコン系、エポキシ系又はポリウレタン系等の毛髪用接着剤が使用されるが、中でもラテックス系の水性エマルジョンが好ましい。
【0025】
図7は図6(d)における自毛を挿通し掛止する箇所の部分拡大図である。
図7に示すように、かつら台材の周縁部近傍の自毛6のうち周縁部外側の自毛61のみを付着片2上に引き上げてかつら1の止着用に使用することが好ましい。というのは、自毛6は下向き(頭頂部から頭側部に向かう方向)に生えているので、周縁部外側の自毛61のみを引き上げて糸状体3に掛止し、自毛が生えている下向きの方向に折り返してかつら周縁部外側に引き出せば、自毛の生える方向に逆らうことがなく、かつら1の浮き上がりを防止できるからである。
【0026】
【発明の効果】
(1)本発明に係るかつらの止着箇所は、厚みの無い小片と糸状体とから構成されており、かつらを自毛に固定し頭部に止着する箇所が嵩張らず長期間装着においても違和感が生じない。
【0027】
(2)本発明に係るかつらの止着箇所は、自毛と毛髪用接着剤で固定されるので長期間確実に固定できる。また、自毛を挿通し掛止させる糸状体が付設されているので接着剤を単独で使用する場合に比べ一層強固に固定できる。
【0028】
(3)本発明に係るかつらの止着箇所の自毛は付着片上においてのみ毛髪用接着剤で固定されるので接着剤が付着片以外に広がることは無く、頭皮や毛根に影響が生じる懸念が無い。また、接着剤は付着片上に止まり、かつら台材裏面の周縁部に広がらないので接着剤によるかつら台材の溶解損傷、変色や変形を防止することができる。
【0029】
(4)かつら裏面に塗布される樹脂用接着剤は、付着片と固定片が貼着される箇所だけに限定されるので、接着剤によるかつら台材の溶解損傷、変色や変形を低減することができる。
【0030】
(5)本発明に係るかつらの止着方法によれば、かつらの止着箇所は前記のように作成されているので前述のように装着感に優れ、かつ強固に止着されるので長期間の装着でも外れることがなく、また、装着したままで頭髪をシャンプーすることが可能となる。
また、かつら台材の周縁部近傍の自毛のうち周縁部外側の自毛のみを付着片上に引き上げて固定し、次いで自毛の生えている下向きの方向に折り返してかつら周縁部外側に引き出せば、さらにかつらの浮き上がり防止を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るかつらの裏面の平面図である。
【図2】図1におけるかつらの裏面の部分拡大図である。
【図3】本発明に係るかつらの裏面の平面図である。
【図4】かつらの止着箇所に使用する部材の斜視図である。
【図5】かつらの止着箇所に使用する部材の斜視図である。
【図6】かつらを頭部に止着する状況を示した概略説明図である。
【図7】図6(d)における自毛を挿通し掛止する箇所の部分拡大図である。
【符号の説明】
1 かつら
2 付着片
3 糸状体
4 固定片
6 自毛
7 先端にフックが付いた操作棒
8 毛髪用接着剤
11 かつら台材裏面の周縁部
12 かつら毛髪
21 付着片の端部
31 糸状体の端部
61 かつら台材の周縁部外側の自毛

Claims (3)

  1. かつら台材裏面の周縁部に所定の間隔で自毛を接着剤を使用して付着させるための付着片が貼着されるとともに該付着片上に糸状体を付設し、該糸状体と前記付着片との間に自毛を挿通するようにし、該付着片が貼着されていない前記かつら台材の周縁部面に前記糸状体を直接固定するための固定片が前記糸状体上に貼着されていることを特徴とするかつら。
  2. かつら台材裏面の周縁部に付着片と固定片とが交互に隣接して貼着されていることを特徴とする請求項1 に記載のかつら。
  3. かつらの頭部への止着方法において、かつら台材裏面の周縁部に所定の間隔で自毛を接着剤を使用し付着させるための付着片が貼着されるとともに当該付着片上に糸状体が付設され、該付着片が貼着されていない前記かつら台材の周縁部面に前記糸状体を直接固定するための固定片が前記糸状体上に貼着されているかつらを装着者の頭部に載せ、次いで当該かつら台材裏面の周縁部近傍の自毛を前記糸状体と前記付着片の間に挿通した後、前記糸状体に掛止し折り返して前記かつら台材の周縁部外側に引き出し、次いで当該挿通し掛止した箇所に接着剤を塗布し固化させてかつらを自毛に固定させることを特徴とするかつらの止着方法。
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