JP3885572B2 - 回折構造体転写箔とその製造方法およびその転写方法、並びに転写物 - Google Patents

回折構造体転写箔とその製造方法およびその転写方法、並びに転写物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有価証券類の媒体に対する偽造防止および各種製品の認証に好適に利用可能な、回折構造体転写箔とその製造方法およびその転写方法、並びに転写物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、全面に反射層を設けた回折構造体転写箔は、回折構造により形成された転写用センサーマークを用いて転写されてきた。同様に、反射層の有無により絵柄が設けられ、回折構造により形成した絵柄と見当を合わせて設けた回折構造体転写箔においても、回折構造により形成された転写用センサーマークを用いて転写されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に多色刷りの印刷は、各色をぴったり合わせようとするが、見当ずれが生じてしまう。回折構造による絵柄と反射層の有無による絵柄の見当をあわせようとした場合には、その加工方法が大きく違うことから、一般の印刷に比べて見当のずれは大きくなる。
ここで、回折構造による絵柄は、反射層の有無による絵柄に比べて、絵柄自体のコントラストが低いため、従来のように回折構造による転写用センサーマークをもとに転写位置を決めた場合、回折構造による絵柄の位置より反射層の有無による絵柄の位置の方がばらつくことになり、転写による位置のばらつきが目立つこととなる。
本発明は係る従来技術の欠点に鑑みてなされたもので、回折構造体転写箔を転写したとき、転写位置のばらつきを目立ち難くすることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明において上記の課題を達成するために、まず請求項1の発明では、回折構造により形成した絵柄と反射層の有無により形成した絵柄とが、見当を合わせて設けられた回折構造体転写箔において、
少なくとも反射層の有無によるパターンで形成された転写用センサーマークを有することを特徴とする回折構造体転写箔としたものである。
【0005】
また請求項2の発明では、基材上に、少なくとも剥離層と回折構造形成層とを、この順に形成し、
回折構造による絵柄とセンサーマークとを形成し、
該センサーマークを基準にして、反射層の有無により絵柄および転写用センサーマークを形成し、
接着層を形成することを特徴とする請求項1に記載の回折構造体転写箔の製造方法としたものである。
【0006】
また請求項3の発明では、基材上に、少なくとも剥離層と回折構造形成層とを、この順に形成し、
絵柄および転写用センサーマークを反射層の有無により形成し、
該転写用センサーマークを基準にして、見当を合わせて絵柄を回折構造により形成し、
接着層を形成することを特徴とする請求項1に記載の回折構造体転写箔の製造方法としたものである。
【0007】
また請求項4の発明では、基材上に、少なくとも剥離層と回折構造形成層とを、この順に形成し、
全面に反射層を形成し、
回折構造による絵柄を形成し、
反射層を部分的に取り除いて絵柄と転写用センサーマークを形成し、
接着層を形成することを特徴とする請求項1に記載の回折構造体転写箔の製造方法としたものである。
【0008】
また請求項5の発明では、前記反射層の有無により形成した転写用センサーマークを用いて、転写の見当合せを行い転写することを特徴とする請求項1記載の回折構造体転写箔の転写方法としたものである。
【0009】
また請求項6の発明では、請求項1記載の回折構造体転写箔の絵柄が転写してあることを特徴とする転写物としたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1では、回折構造による絵柄と反射層の有無による絵柄との見当を合わせた本発明の回折構造体転写箔を示す。また、図2では、図1のX−Xにおける断面図を示す。また、図3では、回折構造により転写用センサーマークを形成した従来の回折構造体転写箔を示す。また、図4では、反射層により転写用センサーマークを形成した本発明の回折構造体転写箔を示す。また、図5では、回折構造により転写用センサーマークを形成した従来の回折構造体転写箔を転写した媒体を示す。また、図6では、反射層により転写用センサーマークを形成した本発明の回折構造体転写箔を転写した媒体を示す。
【0012】
本発明の回折構造体転写箔は、図1に示すように、反射層のない部分(12)と反射層のある部分(13)により形成した絵柄と回折構造による絵柄(14)の見当を合わせた回折構造体転写箔であり、反射層により転写用センサーマーク(11)を設けたものである。
【0013】
本発明の回折構造体転写箔における反射層の材料としては、金属および合金、もしくは、高屈折率の透明セラミックスを用いることができる。金属および合金の例としては、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、インコネル、ステンレス、ジュラルミンなどが、また、高屈折率の透明セラミックスとしては、TiO2、SiO2、SiO、Fe23、ZnSなどが挙げられる。
【0014】
これらの材料で反射層を形成するには、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。
【0015】
反射層のない部分(12)と反射層のある部分(13)とにより絵柄を形成するには、水洗シーライト加工、エッチング加工、レーザ加工などを用いることができる。
【0016】
水洗シーライト加工は、基材上に水洗インキをあらかじめネガパターンで印刷しておき、反射層を全面に形成し、水洗インキを水で洗い流すと、同時に水洗インキ上の反射層が取り除かれることによりパターン状の金属薄膜を形成する方法である。
【0017】
また、エッチング加工は、反射層を全面に形成し、マスキング剤をポジパターンで印刷し、マスキングされていない部分を、腐食液を用いて腐食して取り除くことによりパターン状の金属薄膜を形成する方法である。もちろん、このエッチング法は、反射層を腐食するのに適当な腐食液がない場合には、用いることができない。
【0018】
また、レーザ加工は、基材上に反射層を形成し、部分的に強いレーザを当てて除去することによりパターン状の金属薄膜を形成する方法である。用いるレーザとしては、Nd:YAG、CO2ガスレーザが一般的である。
【0019】
回折構造による絵柄(14)としては、ホログラムおよび回折格子を用いることができる。
【0020】
ホログラムは、光学的な撮影方法により微細な凹凸パターンからなるレリーフ型のマスター版を作製し、次に、このマスター版から電気メッキ法により凹凸パターンを複製したニッケル製のプレス版を作製し、そして、ホログラムを形成する層上に、このプレス版を加熱押圧するという方法により大量複製が行われている。
このタイプのホログラムはレリーフ型ホログラムと称されている。
【0021】
また、回折格子を用いたものは、このような実際のものを撮影するホログラムとは異なり、微少なエリアに複数種類の単純な回折格子を配置して画素とし、グレーティングイメージ、ドットマトリックス(ピクセルグラム等)と呼ばれる絵柄(画像)を表現するものである。
このような回折格子を用いた絵柄は、レリーフ型ホログラムと同様な方法で大量複製が行われている。
【0022】
この回折構造体転写箔を媒体に転写するには、ホットスタンプなどの転写機を用いる。転写範囲(15)としては、一つのスポットが完全に入るような大きさで転写するのが一般的である。
【0023】
本発明の回折構造体転写箔の構成としては、図2に図1のX−Xの断面を示すように、基材(21)と、剥離層(22)と、回折構造形成層(23)と、反射層(24)と、接着層(25)とからなる。
【0024】
本発明の回折構造体転写箔の製造方法としては、次の3種類が考えられる。
第1の方法は、基材(21)上に、剥離層(22)と、回折構造形成層(23)とを順次形成し、回折構造形成層(23)の上に回折構造による絵柄と同時に回折構造によるセンサーマークとを形成し、この回折構造によるセンサーマークを基準にして、水洗シーライト加工、又はエッチング加工、或いはレーザ加工で反射層(24)の有無を設けることにより絵柄および転写用センサーマークを形成し、接着剤の塗工により接着層(25)を作製するものである。
【0025】
第2の方法は、基材(21)上に、剥離層(22)と、回折構造形成層(23)とを順次形成し、この回折構造形成層(23)の上に、絵柄および転写用センサーマークを、水洗シーライト加工、又はエッチング加工、或いはレーザ加工で反射層(24)の有無を設けることにより形成し、この転写用センサーマークを基準にして、見当を合わせて回折構造による絵柄を形成し、接着剤の塗工により接着層(25)を作製するものである。
【0026】
第3の方法は、基材(21)上に、剥離層(22)と、回折構造形成層(23)とを順次形成し、回折構造形成層(23)の上の全面に反射層(24)を形成し、回折構造形成層(23)の上に回折構造による絵柄を形成した後、水洗シーライト加工、又はエッチング加工、或いはレーザ加工により部分的に反射層(24)を取り除いて、反射層(24)の有無による絵柄と転写用センサーマークとを形成し、接着剤の塗工により接着層(25)を作製するものである。
【0027】
図3は、回折構造による転写用センサーマーク(31)を形成した従来の回折構造体転写箔であり、転写の位置は、回折構造による絵柄が基準となる。また、図4は、反射層による転写用センサーマーク(41)を形成した本発明の回折構造体転写箔であり、転写の位置は、反射層の有無による絵柄が基準となる。
【0028】
図3に示す従来の回折構造体転写箔を、被転写媒体(51)に転写した例を図5に、図4に示す本発明の回折構造体転写箔を、被転写媒体(61)に転写した例を図6に示す。
【0029】
回折構造により転写用センサーマークを形成した場合、図5に示すように、回折構造による絵柄と反射層の有無による絵柄の見当ずれにより、反射層の有無による絵柄のずれが目立つが、図6に示すように反射層により転写用センサーマークを形成した場合、反射層の有無による絵柄のずれが小さく抑えられる。
【0030】
反射層の有無による絵柄の明るさは、反射率(R:0≦R≦1)によって決まり、回折構造による絵柄の明るさは、反射率×回折効率(D:0≦D≦1)によって決まる。よって、反射層の有無による絵柄の方が、絵柄自体のコントラストが高くなる。このために、被転写媒体(61)における印刷絵柄(62)と転写部分(63)との間の位置ずれに比較して、被転写媒体(51)における印刷絵柄(52)と転写部分(53)と間の位置ずれが目立つこととなる。
【0031】
【実施例】
ここでは、本発明の回折構造体転写箔を製造する第1の方法の実施例を、以下に説明する。
【0032】
PET基材上に剥離層および回折構造形成層をグラビアコーティング法により形成し、アルミニウムにより真空蒸着法にて反射層を形成し、回折構造による絵柄およびセンサーマークを形成した。回折構造を形成した上から回折構造によるセンサーマークを基準にマスク印刷をかけ、アルカリエッチングにより反射層の有無による絵柄と転写用センサーマークを形成し、グラビアコーティング法を用いて接着層を形成し、回折構造体転写箔を得た。得られた回折構造体転写箔を媒体に転写し、偽造防止媒体(転写物)を得た。
【0033】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、転写用センサーマークが反射層の有無によるパターンで形成されている回折構造体転写箔であるので、その転写用センサーマークで見当合わせを行なって転写すると、転写位置のばらつきが目立ち難いという効果がある。
【0034】
請求項2〜4に記載の発明は、上記効果を有する請求項1に記載の回折構造体転写箔を製造できるという効果がある。
【0035】
請求項5に記載の発明は、反射層の有無によるパターンで形成されている転写マークで見当合わせを行なって転写するので、転写位置のばらつきが目立ち難いという効果がある。
【0036】
請求項6の発明は、反射層の有無によるパターンで形成されている転写マークで見当合わせを行なって転写したので、転写位置のばらつきが目立ち難いという効果がある。
【0037】
以上の結果、本発明は、回折構造により形成した絵柄と反射層の有無により形成した絵柄とが、見当を合わせて設けられた回折構造体転写箔において、転写後のばらつきを目立ち難くするという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】回折構造による絵柄と反射層の有無による絵柄との見当を合わせた本発明の回折構造体転写箔。
【図2】図1のX−Xにおける断面図。
【図3】回折構造により転写用センサーマークを形成した従来の回折構造体転写箔。
【図4】反射層により転写用センサーマークを形成した本発明の回折構造体転写箔。
【図5】回折構造により転写用センサーマークを形成した従来の回折構造体転写箔を転写した媒体。
【図6】反射層により転写用センサーマークを形成した本発明の回折構造体転写箔を転写した媒体。
【符号の説明】
11…反射層による転写用センサーマーク
12…反射層のない部分
13…反射層のある部分
14…回折構造による絵柄
15…転写範囲
21…基材
22…剥離層
23…回折構造形成層
24…反射層
25…接着層
31…回折構造による転写用センサーマーク
32…反射層のない部分
33…反射層のある部分
34…回折構造による絵柄
35…転写範囲
41…反射層による転写用センサーマーク
42…反射層のない部分
43…反射層のある部分
44…回折構造による絵柄
45…転写範囲
51…被転写媒体
52…印刷絵柄
53…転写部分
61…被転写媒体
62…印刷絵柄
63…転写部分

Claims (6)

  1. 回折構造により形成した絵柄と反射層の有無により形成した絵柄とが、見当を合わせて設けられた回折構造体転写箔において、
    少なくとも反射層の有無によるパターンで形成された転写用センサーマークを有することを特徴とする回折構造体転写箔。
  2. 基材上に、少なくとも剥離層と回折構造形成層とを、この順に形成し、
    回折構造による絵柄とセンサーマークとを形成し、
    該センサーマークを基準にして、反射層の有無により絵柄および転写用センサーマークを形成し、
    接着層を形成することを特徴とする請求項1に記載の回折構造体転写箔の製造方法。
  3. 基材上に、少なくとも剥離層と回折構造形成層とを、この順に形成し、
    絵柄および転写用センサーマークを反射層の有無により形成し、
    該転写用センサーマークを基準にして、見当を合わせて絵柄を回折構造により形成し、
    接着層を形成することを特徴とする請求項1に記載の回折構造体転写箔の製造方法。
  4. 基材上に、少なくとも剥離層と回折構造形成層とを、この順に形成し、
    全面に反射層を形成し、
    回折構造による絵柄を形成し、
    反射層を部分的に取り除いて絵柄と転写用センサーマークを形成し、
    接着層を形成することを特徴とする請求項1に記載の回折構造体転写箔の製造方法。
  5. 前記反射層の有無により形成した転写用センサーマークを用いて、転写の見当合せを行い転写することを特徴とする請求項1記載の回折構造体転写箔の転写方法。
  6. 請求項1記載の回折構造体転写箔の絵柄が転写してあることを特徴とする転写物。
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