JP3883676B2 - リムレス眼鏡のレンズ止着構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リムレス眼鏡におけるレンズ止着構造の改良、更に詳しくは、眼鏡レンズに止着孔を貫通形成することなく、智やブリッジをレンズに確実に止着することができるリムレス眼鏡のレンズ止着構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、眼鏡常用者の間では、視野が広くて明るく、しかもお洒落のグッズとして利用できるスマートなリムレス眼鏡(所謂「ツーポイント眼鏡」)が流行している。ところで、この種のリムレス眼鏡にあっては、眼鏡レンズの周縁近傍に貫通孔を穿設し、その貫通孔に智やブリッジの端部をネジ止めしてレンズを保持する構造のものが一般的である。
【0003】
ところが、このようなレンズ保持構造のリムレス眼鏡においては、眼鏡レンズの貫通孔に止着したネジ部位に衝撃や振動等の変形外力が集中するため、その貫通孔の周囲近傍からレンズの罅割れが発生し易くなるという問題があった。
【0004】
また、上記リムレス眼鏡においては、眼鏡レンズの貫通孔に止着したネジが変形外力によって緩むと、そのネジを中心にレンズが回り動いてしまうという問題があった。かゝるレンズ回動の問題に対しては通常、智やブリッジの所定位置に板状の当て金を溶接し、この当て金をレンズ周縁に当接させることによって、レンズの回り止めを行っている。
【0005】
ところが、このような当て金によるレンズ回り止め機構にあっては、智やブリッジに当て金を余分に溶接加工する必要があるうえに、その溶接加工も念入りにしなければ接合強度が弱くなって破損し易く、そのため部品コストが高くなるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のリムレス眼鏡におけるレンズ止着構造に上記の如き問題があったことに鑑みて為されたものであり、眼鏡レンズに止着孔を貫通形成することなく、しかもレンズ周縁に当接する当て金も必要とせずに、智やブリッジをレンズに確実に止着することができるリムレス眼鏡のレンズ止着構造を提供することを技術的課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添附図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
【0008】
即ち、本発明は、智が連結されるべき外側部の表面または裏面に欠込溝が凹設された左右のレンズと;これら両レンズの外側部を挟持すべき一対の翼片を一端に有し、かつ、この翼片の一方にはネジ孔が貫通形成された智と;所要厚みの粘着材とを含んでおり、
翼片とレンズ面との間に粘着材を介装して、この智端部の一方の翼片を前記レンズの欠込溝に挿嵌し、他方の翼片のネジ孔に止着部材を螺着することによって当該止着部材の先端部でレンズ面を押圧し、智をレンズに止着せしめて、かつ、前記粘着材の厚みを適宜調節してレンズの止着力を増大可能であるという智止着手段を採用することによって、上記課題を解決した点に特徴がある。
【0009】
また、本発明は、ブリッジが連結されるべき内側部の表面または裏面に欠込溝が凹設された左右のレンズと;これら両レンズの内側部を挟持すべき一対の翼片を両端に有し、かつ、この翼片の一方にはネジ孔が貫通形成されたブリッジと;所要厚みの粘着材とを含んでおり、
翼片とレンズ面との間に粘着材を介装して、このブリッジ端部の一方の翼片を前記レンズの欠込溝に挿嵌し、他方の翼片のネジ孔に止着部材を螺着することによって当該止着部材の先端部でレンズ面を押圧し、ブリッジをレンズに止着せしめて、かつ、前記粘着材の厚みを適宜調節してレンズの止着力を増大可能であるというブリッジ止着手段を採用することによって、上記課題を解決した点に特徴がある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添附図面に示す実施形態に基いて更に詳しく説明する。なお、図1は本発明の第1実施形態であるリムレス眼鏡の智近傍を示す分解斜視図、図2は第1実施形態眼鏡の智の止着状態を示す斜視図、図3は本発明の第2実施形態であるリムレス眼鏡の智近傍を示す分解斜視図、図4は第2実施形態眼鏡の智の止着状態を示す斜視図、図5は本発明の第3実施形態であるリムレス眼鏡の智近傍を示す分解斜視図、図6は第3実施形態眼鏡の智の止着状態を示す斜視図、図7は本発明の第4実施形態であるリムレス眼鏡のブリッジ近傍を示す分解斜視図、図8は本実施形態眼鏡の組立状態を示す斜視図である。
【0011】
まず、本発明の第1実施形態であるリムレス眼鏡のレンズ止着構造を図1および図2に基いて説明する。図中、符号1で指示するものは、リムレス眼鏡のフロントを構成する左右のレンズである。このレンズ1の外側部の対物側には、略矩形の欠込溝11が同一深さに凹設されており、この欠込溝11に後述の智端部の翼片が嵌合されてレンズ1の回り止めが可能となっている。なお、前記欠込溝11は、嵌合される翼片と略同一のサイズに形成してある。
【0012】
符号2で指示するものは、上記レンズ1の外側部に止着する智である。この智2は、チタン金属材で二股フォーク状に作製してあり、このフォーク状を成す智2の端部はレンズ1の外側部を挟持すべき一対の翼片21・21となっている。これら翼片21・21のうち一方の翼片21は前記レンズ1の欠込溝11に挿嵌し、他方の翼片21はレンズ1の接眼側に当接させる。そして、このレンズ1の接眼側に当接させる翼片21にはネジ孔22が貫通形成してあり、このネジ孔22に後述の止着部材が螺着される。また、智2のテンプル側端部には蝶片23が一体に形成してあり、この蝶片23に蝶番ネジを介してテンプル4が折畳み自在に枢支されている。
【0013】
符号3で指示するものは、上記智2の一方の翼片21に貫通形成されたネジ孔22に螺着される止着部材である。本実施形態においては、この止着部材3として小ネジを使用している。
【0014】
上記の如きレンズ1、智2および止着部材3を用いて、智2端部の二股フォーク状翼片21・21でレンズ1の外側部を挟持しつゝ、一方の翼片21をレンズ1の欠込溝11に当て嵌めてから、他方の翼片21のネジ孔22に止着部材3(小ネジ)をレンズ1の接眼側からレンズ1面に当接するまで螺入して当該止着部材3の先端部にてレンズ1面を適宜圧迫すると、図2に示すように、智2の翼片21・21でレンズ1の外側部を挟み込むようにして智2がレンズ1に連結される。
【0015】
このようなレンズ止着構造にあっては、智2の一方の翼片21とレンズ1の欠込溝11との嵌合構造がレンズ1の回り止め機能として作用し、他方の翼片21のネジ孔22に螺着された止着部材3の押圧力がレンズ1の抜け止め機能として作用するので、確実なレンズ止着を行うことが可能となる。よって、レンズ1の罅割れが発生し易い貫通孔をレンズ1に穿設する必要はなく、また、智2に回り止め用の当て金を溶接加工する必要もない。
【0016】
つぎに、本発明の第2実施形態であるリムレス眼鏡のレンズ止着構造を図3および図4に基いて説明する。第2実施形態は、智2の二股フォーク状翼片21・21の内側に粘着材5を介装した点、及び智2の形状を若干変更した点が第1実施形態と異なる。第2実施形態眼鏡においては、智2をレンズ1に止着する際に、所要厚みの粘着材5(本実施形態では、両面粘着テープを使用)を智2のフロント側翼片21の内側に貼着してから、その翼片21をレンズ1の欠込溝11に挿嵌することによって、前記粘着材5を介して当該翼片21と欠込溝11底面とを接着すると同時に、粘着材5の厚みを適宜調節して二股フォーク状の翼片21・21によるレンズ1の挟着力を増大せしめている。また、智2のテンプル側は後方へフック状に持ち出してあり、このフック端部に蝶片23が形成してある。
【0017】
このように所要厚みの粘着材5を翼片21・21とレンズ1面との間に介装したことにより、粘着材5による接着力と挟着力とが同時に作用して智2をレンズ1に一層確実に止着することができる。また、智2のテンプル側をフック状に形成したことにより、テンプル4に加わる変形外力を当該フック部位で吸収することができる。
【0018】
また、本発明の第3実施形態であるリムレス眼鏡のレンズ止着構造を図5および図6に基いて説明する。第3実施形態は、欠込溝11をレンズ1の接眼側に凹設した点、及び智2のフロント側翼片21にネジ孔22を貫通形成した点が第2実施形態と異なる。第3実施形態眼鏡においては、智2の二股フォーク状翼片21・21でレンズ1の外側部を挟持しつゝ、一方の翼片21をレンズ1の欠込溝11に挿嵌してから、フロント側の翼片21のネジ孔22に止着部材3をレンズ1表側からレンズ1面に当接するまで螺入して当該止着部材3の先端部にてレンズ1面を適宜圧迫すると、図6に示すように、フロント側の翼片21がレンズ1表面から若干突き出た状態で智2がレンズ1に止着される。これにより、第2実施形態眼鏡とは逆のレンズ止着構造のリムレス眼鏡が得られる。また、止着部材3として花形模様の頭部を有する小ネジを使用しているので、その小ネジ頭部の花形模様が眼鏡フロントのワンポイントデザインとなって装飾性の向上を図れる。
【0019】
さらに、本発明の第4実施形態であるリムレス眼鏡のレンズ止着構造を図7に基いて説明する。図7においては、第1〜第3実施形態の智2と同様なレンズ止着構造をブリッジ6に適用した例が示してある。第4実施形態眼鏡のブリッジ6は、チタン金属材で略棒状に作製してあり、下部にはパッド7・7が垂設してある。この棒状ブリッジ6の両端には、左右のレンズ1・1の対向する内側部を挟持すべき一対の二股フォーク状翼片61・61が各々形成してあり、これらの翼片61・61のうち接眼側の翼片61には、その厚み方向にネジ孔62が貫通形成してある。そして、各レンズ1の内側部のフロント側には略矩形の欠込溝11が凹設されており、この欠込溝11にブリッジ6端部のフロント側の翼片61が挿嵌されてレンズ1の回り止めが可能となっている。
【0020】
このように構成されたブリッジ6で左右のレンズ1・1を連繋する際には、ブリッジ6端部の二股フォーク状翼片61・61でレンズ1の内側部を挟持しつゝ、一方の翼片61をレンズ1の欠込溝11に挿嵌してから、他方の翼片61のネジ孔62に止着部材3(本実施形態では、小ネジを使用)をレンズ1の接眼側からレンズ1面に当接するまで螺入して当該止着部材3の先端部にてレンズ1面を適宜圧迫すると、ブリッジ6両端の翼片61・61で各レンズ1の内側部を挟み込むようにしてブリッジ6が左右のレンズ1・1に確実に止着される。
【0021】
上記の如き第4実施形態のブリッジ6と第1実施形態の智2を用いて、左右のレンズ1・1を連繋すると、図8に示すようなスマートな外観のリムレス眼鏡が得られる。
【0022】
本発明の実施形態は概ね上記のとおりであるが、本発明は前述の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、本実施形態のレンズ1においては、そのレンズ1側部の表面(フロント側)または裏面(接眼側)に略矩形の欠込溝11が同一深さで凹設してあるが、欠込溝11の形状やサイズを適宜変えることも可能であり、また、本実施形態においては、1本の止着部材3でレンズ1面を押圧しているが、複数本の止着部材3・3・・・・を用いて止着力を高めることも可能であり、これら何れの変更態様も本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【0023】
【発明の効果】
以上実施形態を挙げて説明したとおり、本発明にあっては、レンズの側部に欠込溝を凹設し、其処に止着すべき智やブリッジの端部に一対の翼片を形成するとともに、一方の翼片はレンズの欠込溝に当て嵌め、かつ、他方の翼片にはネジ孔を貫通形成しそのネジ孔に小ネジ等の止着部材を螺着してレンズ面を押圧するというレンズ止着構造を採用したので、智やブリッジ端部の一方の翼片とレンズの欠込溝との嵌合構造がレンズの回り止め機能として作用し、他方の翼片のネジ孔に螺着された止着部材の押圧力がレンズの抜け止め機能として作用することになって、確実なレンズ止着を行うことができる。よって、レンズの罅割れが発生し易い貫通孔をレンズに穿設する必要はなく、また、智やブリッジに回り止め用の当て金を溶接加工する必要もない。
【0024】
また、本発明にあっては、智やブリッジ端部の翼片とレンズ面との間に所要厚みの粘着材を介装したので、粘着材による接着力と挟着力とが同時に作用して、智やブリッジをレンズに一層確実に止着することができる。したがって、上記の如く多数の効果を奏し、眼鏡分野における実用価値は頗る大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるリムレス眼鏡の智近傍を示す分解斜視図である。
【図2】第1実施形態眼鏡の智の止着状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第2実施形態であるリムレス眼鏡の智近傍を示す分解斜視図である。
【図4】第2実施形態眼鏡の智の止着状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第3実施形態であるリムレス眼鏡の智近傍を示す分解斜視図である。
【図6】第3実施形態眼鏡の智の止着状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第4実施形態であるリムレス眼鏡のブリッジ近傍を示す分解斜視図である。
【図8】本実施形態眼鏡の組立状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 レンズ
11 欠込溝
2 智
21 翼片
22 ネジ孔
23 蝶片
3 止着部材
4 テンプル
5 粘着材
6 ブリッジ
61 翼片
62 ネジ孔
7 パッド

Claims (3)

  1. 智が連結されるべき外側部の表面または裏面に欠込溝が凹設された左右のレンズと;これら両レンズの外側部を挟持すべき一対の翼片を一端に有し、かつ、この翼片の一方にはネジ孔が貫通形成された智と;所要厚みの粘着材とを含んでおり、
    翼片とレンズ面との間に粘着材を介装して、この智端部の一方の翼片を前記レンズの欠込溝に挿嵌し、他方の翼片のネジ孔に止着部材を螺着することによって当該止着部材の先端部でレンズ面を押圧し、智をレンズに止着せしめて、かつ、前記粘着材の厚みを適宜調節してレンズの止着力を増大可能であることを特徴とするリムレス眼鏡のレンズ止着構造。
  2. ブリッジが連結されるべき内側部の表面または裏面に欠込溝が凹設された左右のレンズと;これら両レンズの内側部を挟持すべき一対の翼片を両端に有し、かつ、この翼片の一方にはネジ孔が貫通形成されたブリッジと;所要厚みの粘着材とを含んでおり、
    翼片とレンズ面との間に粘着材を介装して、このブリッジ端部の一方の翼片を前記レンズの欠込溝に挿嵌し、他方の翼片のネジ孔に止着部材を螺着することによって当該止着部材の先端部でレンズ面を押圧し、ブリッジをレンズに止着せしめて、かつ、前記粘着材の厚みを適宜調節してレンズの止着力を増大可能であることを特徴とするリムレス眼鏡のレンズ止着構造。
  3. 翼片が二股フォーク状に形成されている請求項1または2記載の、リムレス眼鏡のレンズ止着構造。
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