JP3883465B2 - パワーオンリセット回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路に使用されるパワーオンリセット回路に関し、特に、電源投入時には短時間で立ち上がる場合でもリセット信号を生成し、省電力モードで電圧が低下した状態から半導体集積回路が復帰する場合にはリセット信号を生成しないパワーオンリセット回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路には、様々な種類があり、機能、回路の組み合わせ、電源電圧、電源の投入方法や立ち上げ時間も多種多様である。また、半導体集積回路には、電源の投入(電源電圧の立ち上げ)時に、前回動作時の状態が保存されていることから発生する誤動作を避けるために内部回路をリセットするパワーオンリセット回路が備えられているものがある。さらに、何らかの処理を実行する半導体集積回路は、その処理を実行する演算回路等の他にコマンドやデータを記憶したり処理実行エリアとなるRAM(Random Access Memory)等の記憶回路を有している。
【0003】
また、近年の省電力化の流れを受けて、半導体集積回路の電源電圧は低下する傾向であり、省電力モード時にはフル稼働時よりも電源電圧を低下させる機能(モード)を有しているものもある。例えば、スリープモードとして知られている機能は、長時間キー入力等の入力が無く画面が変化しないディスプレイや長時間入出力が実施されないハードディスク等の一部のデバイスの動作を停止させて消費電流を抑えた状態を作り出す機能である。また、バッテリーバックアップモードとして知られている機能は、上記したスリープモードの機能に加えて、電源電圧を低下させることにより消費電流をさらに低下させた状態を作り出す機能である。この電源電圧の低下とは、RAMがデータを保持でき、論理回路が状態を保持できる範囲で局限まで低下させた電圧である。
【0004】
また、近年の半導体集積回路には、前述した記憶回路として、RAMに加えて不揮発性で書き換え可能なフラッシュROM(Read Only Memory)を備えるものがある。このフラッシュROMについては、不揮発性であって、RAMのようにリフレッシュする必要もないことから一般的な半導体集積回路のスリープモードやスタンバイモード等よりもさらに低い電圧の省電力モードであるディープパワーダウン(DPD)モードを有しているものがある。
【0005】
また、半導体集積回路は、クロックや内部バス等の周波数の増加、記憶装置の大容量化、各種内部回路のスピードアップ等の要求に従って、立ち上がり時間も短縮される傾向である。例えば、従来は半導体集積回路の電源電圧を立ち上げるのに50μSかかっていたものが、10μSで立ち上がることが要求されたり、5μS、あるいは、1μSで電源電圧を立ち上げることが要求される場合が出てきている。
【0006】
図14は、従来のフラッシュROMを後段に備える変動帯集積回路のパワーオンリセット回路の一例を示す図であり、(a)が概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【0007】
図14(a)中で、VDDはパワーオンリセット回路の電源電圧(高電位側)ラインであり、VSSはパワーオンリセット回路の内部アース(低電位側)ラインである。
【0008】
まず、図中の左側の縦列の各素子について説明する。第1のPMOS(Pチャネル型Metal Oxide Semiconductor)型FETP1(以下、トランジスタP1と記載)がVDDとVSSの間に設けられ、トランジスタP1のソース側はVDDに接続され、ゲート側は制御信号入力に接続され、ドレイン側のVSSと間にはVDDから任意の電圧を得るための分圧抵抗R1およびR2が直列に接続されている。トランジスタP1のゲートへの制御入力は、この場合、フラッシュROMを省電力モードにするDPD信号とする。また、分圧抵抗R1およびR2の中間の分圧された電圧点(ノード)をGとする。
【0009】
次に、図中の右側の縦列の各素子について説明する。第1のNMOS(Nチャネル型Metal Oxide Semiconductor)型FETN1(以下、トランジスタN1と記載)がVDDとVSSの間に設けられ、トランジスタN1のソース側とVDDとの間には電圧調整用の抵抗R3が接続され、ゲート側は前述した電圧点Gに接続され、ドレイン側はVSSに接続されている。すなわち、トランジスタN1のゲートへの制御入力は、この場合、分圧抵抗R1およびR2により分圧されたVDD電圧となる。また、トランジスタN1のソース側と抵抗R3の中間の電圧点(ノード)をMとする。また、ノードMにはインバータU1が接続され、インバータU1の出力がパワーオンリセット信号PORとなる。
【0010】
また、分圧抵抗R1およびR2、抵抗R3、および、トランジスタN1は、パワーオンリセット信号PORの基となるローからハイへのエッジ信号を生成するエッジ信号生成回路を形成している。
【0011】
次に、図14(b)を用いて、図14(a)の回路の動作を説明する。
まず、パワーオンされて半導体集積回路の電源電圧が立ち上がり時間T1(10μS)で立ち上がる時、VDDの電圧が時間T1(10μS)の間で徐々に増加する。トランジスタP1は、DPD信号がゲートから入力されない場合にオンしているので、ノードGの電圧も徐々に増加する。
【0012】
一方、トランジスタN1では、パワーオン当初には、ゲートに接続されたノードGの電圧が0であるため、OFF状態であるが、ソース側はVDDに抵抗R3を介して接続されているため、そのソース側容量に充電されてノードMの電圧がVDDの増加に追従して徐々に増加する。また、ノードMの電圧の増加レベルは、ノードGの電圧の増加レベルよりも大きくなっている。
【0013】
ノードGの電圧が上昇して、図14(b)では約1Vになる所定値を超えると、トランジスタN1はオンして、ソース側容量に充電された電荷をドレイン側に流すため、ノードMの電圧は放電により降下し始める。一方、インバータU1から出力されるパワーオンリセット信号PORは、ノードMの放電により一旦エッジ状(急峻)に降下(下方遷移)するが、すぐにエッジ状(急峻)に上昇(上方遷移)して、抵抗R3を介したVDDの増加に追従する。このエッジ状に電圧がLからHになる急上昇(エッジA0)が、パワーオンリセット信号PORとなって後段の回路に供給される。
【0014】
次に、フラッシュROMを省電力モードにするDPD信号(L→Hの1パルス)がトランジスタP1のゲートに供給された場合について説明する。
DPD信号がトランジスタP1のゲートに供給されると、トランジスタP1はオフするので、ノードGの電圧が徐々に減少する。ノードGの電圧が減少して前述した所定値以下になると、トランジスタN1はオフする。すると、トランジスタN1のソース側容量には再び充電が始まり、ノードMの電圧が増加し始める。
【0015】
すると、インバータU1の出力電圧PORは、ノードMの電圧が所定値になりトランジスタN1のソース側の充電が所定値以上になると、降下を開始し0Vまで降下する。従って、図14(b)に示したように、DPD信号がトランジスタP1のゲートに供給されると、ノードMの電圧は増加してVDD電圧に近づくが、ノードGおよびPOR電圧は0Vに近づく。
【0016】
このため、トランジスタP1のゲートへのDPD信号の供給が終了されると、トランジスタP1がオンし、再び、ノードGの電圧が上昇してトランジスタN1もオンする。その結果、ノードMの電圧の電圧は放電により降下し始め、パワーオンリセット信号PORは、ノードMの放電により急峻に上昇して、抵抗R3を介したVDDの増加に追従する。このエッジ状に電圧がLからHになる急上昇(エッジB)が、パワーオンリセット信号PORとなって後段の回路に供給される。
【0017】
つまり、図14(a)の回路の場合には、パワーオンリセット信号PORは、図14(b)に示したように、パワーオンされて半導体集積回路の電源電圧が立ち上がる場合と、トランジスタP1のゲートへのDPD信号の供給が終了した場合の双方で供給される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フラッシュROMに書き込まれる情報は、本来電源がオフになっても消えて欲しくない情報である。また、DPD信号によるフラッシュROMの省電力モードから復帰する時には、省電力モードになる前の処理を継続する場合であるので、RAMに書き込まれた情報をリセットする必要はない。つまり、DPD信号によるフラッシュROMの省電力モードから復帰する際には、パワーオンリセット信号PORは発生して欲しくない信号である。
【0019】
つまり、DPD信号によるフラッシュROMの省電力モードから復帰する際には、パワーオンリセット信号PORは発生して欲しくないにも関わらず、図14に示した従来のパワーオンリセット回路では発生させてしまうという問題がある。
【0020】
また、上記したように、半導体集積回路の電源電圧の立ち上げ時間は、徐々に短縮される傾向にあり、図14のパワーオンリセット回路では、立ち上げ時間が10μSの場合には、パワーオンリセット信号PORを発生させることができているが、立ち上げ時間が5μSに短縮された場合には、パワーオンリセット信号PORを発生させることができなくなってしまうという問題がある。
【0021】
本発明は、上述した如き従来の問題を解決するためになされたものであって、DPD信号によるフラッシュROMの省電力モードから復帰する際には、パワーオンリセット信号PORを発生させず、さらに、立ち上げ時間が5μS以下に短縮された場合でもパワーオンリセット信号PORを発生させることができるパワーオンリセット回路を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載した本発明のパワーオンリセット回路は、電源電圧上昇中に所定リセット電位に達した場合、電源電圧がローからハイに遷移するエッジ信号を生成して後段回路に出力するエッジ信号生成回路を有し、後段回路に対する省電力モード指示入力時にエッジ信号生成回路の制御入力電圧が、第1と第2の分圧抵抗で電源電圧を分割することにより規定される所定リセット電圧未満の電圧となるパワーオンリセット回路であって、省電力モード指示の終了タイミングを遅延させる省電力モード立ち下がり遅延回路と、省電力モード立ち下がり遅延回路からの遅延された省電力モード指示が入力されている間は、エッジ信号生成回路でエッジ信号が生成されても出力しないOR論理のリセット出力抑止回路と、エッジ信号の復帰を早めるために省電力モード立ち下がり遅延回路の出力により制御されるトランジスタを有して前記第1の分圧抵抗と並列に設けられる復帰加速回路とを備え、復帰加速回路のトランジスタは、NMOS型FETであることを特徴とする。
【0023】
また、請求項2の本発明は、請求項1に記載のパワーオンリセット回路において、復帰加速回路のトランジスタに電源電圧を遅延させて供給する電源電圧立ち上がり遅延回路を備えることを特徴とする。
【0024】
また、請求項3の本発明は、請求項1に記載のパワーオンリセット回路において、エッジ信号を生成する前のエッジ信号生成回路に、電源電圧を遅延させて供給する電源電圧立ち上がり遅延回路を備えることを特徴とする。
【0025】
また、請求項4の本発明は、請求項2〜4の何れかに記載のパワーオンリセット回路において、エッジ信号生成回路の出力と電源電圧間に、エッジ信号生成回路の電源側の容量を増加させるコンデンサを備えることを特徴とする。
【0026】
また、請求項5の本発明は、請求項1〜5の何れかに記載のパワーオンリセット回路において、エッジ信号生成回路の制御入力と接地間に、電源投入時にオン状態であるトランジスタを接続し、該トランジスタの制御入力に、電源電圧を遅延させて供給する電源電圧立ち上がり遅延回路を備えることを特徴とする。
【0027】
また、請求項6に記載した本発明のパワーオンリセット回路は、電源電圧上昇中に所定リセット電位に達した場合、電源電圧がローからハイに遷移するエッジ信号を生成して後段回路に出力するエッジ信号生成回路を有し、後段回路に対する省電力モード指示入力時にエッジ信号生成回路の制御入力電圧が、第1と第2の分圧抵抗で電源電圧を分割することにより規定される所定リセット電圧未満の電圧となるパワーオンリセット回路であって、省電力モード指示の終了タイミングを遅延させる省電力モード立ち下がり遅延回路と、エッジ信号の復帰を早めるために省電力モード立ち下がり遅延回路の出力により制御されるトランジスタを有して第1の分圧抵抗と並列に設けられる復帰加速回路と、エッジ信号を生成する前のエッジ信号生成回路に、電源電圧を遅延させて供給する電源電圧立ち上がり遅延回路と、省電力モード指示が入力される間は、電源電圧立ち上がり遅延回路からエッジ信号生成回路に供給される電圧を接地する省電力モード接地回路と、省電力モード指示が入力される間は、エッジ信号生成回路に供給される電源電圧を抑止するエッジ信号抑止回路とを備え、復帰加速回路のトランジスタは、NMOS型FETであることを特徴とする。
【0028】
また、請求項7の本発明は、請求項6に記載のパワーオンリセット回路において、電源電圧立ち上がり遅延回路の出力と電源電圧間には、電源電圧側をアノード接続したダイオードを備えることを特徴とする。
【0029】
また、請求項8の本発明は、請求項6又は7に記載のパワーオンリセット回路において、電源電圧立ち上がり遅延回路の出力と電源電圧間には、エッジ信号あるいは省電力モード指示の立ち下がり出力を検出して、ローからハイとなるパルスを生成する1ショットパルス生成回路を備えることを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示した実施の形態に基づいて説明する。
(実施の形態1.)
図1は、本発明の実施の形態1のパワーオンリセット回路の研究中に検討した中間構成を示す図である。本実施の形態1の最終構成は図2を用いて後述する。また、(a)が概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。尚、図1および図2において、図14に示した従来のパワーオンリセット回路と同じ機能の部分については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0031】
図1(a)に示した本実施の形態の中間構成が図14(a)に示した従来のパワーオンリセット回路の構成と異なる構成は、以下の構成である。
【0032】
(1―1) 省電力モード指示であるDPD信号が入力されて、DPD信号の立ち上がり(モード開始)についてはほぼそのままのタイミングで出力するが、立ち下がり(モード終了)のタイミングについては遅延させて出力するDPD立ち下がり遅延回路1。
【0033】
(1−2) DPD立ち下がり遅延回路1からの遅延されたDPD信号が入力されている間は、エッジ信号生成回路(分圧抵抗R1およびR2、抵抗R3、および、トランジスタN1)でエッジ信号が生成されても出力しないOR論理のリセット出力抑止回路2。
【0034】
(1−3) PORのエッジ信号を早く復帰させるためにDPD立ち下がり遅延回路1の出力により制御されるPMOS型トランジスタP2を有し、第1の分圧抵抗R1と並列に設けられる復帰加速回路3。
【0035】
DPD立ち下がり遅延回路1は、図1に示したように直列に接続された4個のインバータU5〜U8と、U5とU6の間とVSS間に接地されるNMOS型トランジスタN5、および、U7とU8の間とVSS間に接地されるNMOS型トランジスタN7により構成される。
【0036】
リセット出力抑止回路2は、インバータU1からの出力とDPD立ち下がり遅延回路1が入力されるOR論理素子V2、および、インバータU3により構成される。
【0037】
また、復帰加速回路3のトランジスタP2のゲート側には、入力を反転させるためにインバータU4が設置される。
【0038】
次に、図1(b)を用いて、図1(a)の回路の動作を説明する。
まず、フラッシュROMを省電力モードにするDPD信号がトランジスタP1のゲートに供給された場合について説明する。
【0039】
DPD信号がトランジスタP1のゲートに供給されると、トランジスタP1はオフし、トランジスタP2にはDPD立ち下がり遅延回路1を経由したDPD信号であるDLDPD信号がゲートに供給されてオンする。このため、ノードGの電圧は、わずかに増加した後、徐々に減少する。ノードGの電圧が減少して前述した所定値以下になると、トランジスタN1はオフする。すると、トランジスタN1のソース側容量には再び充電が始まり、ノードMの電圧が増加し始める。
【0040】
すると、インバータU1の出力電圧VWIは、ノードMの電圧が所定値になりトランジスタN1のソース側の充電が所定値以上になると、降下を開始し0Vまで降下する。従って、図1(b)に示したように、DPD信号がトランジスタP1のゲートに供給されると、ノードMの電圧は増加してVDD電圧に近づくが、ノードGおよびPOR電圧は0Vに近づく。ここまでの挙動では、図14に示した従来のパワーオンリセット回路との相違は、ノードGの電圧以外ほとんどない。
【0041】
ところが、トランジスタP1のゲートへのDPD信号の供給が終了された場合には、トランジスタP1がオンし、再び、ノードGの電圧が上昇するが、その際に、復帰加速回路3がオンするため、ノードGの電圧上昇は従来よりも急峻となる。また、ノードGの電圧上昇によりオンされるトランジスタN1も急速にノードMの電圧を放電させる。
【0042】
DPD立ち下がり遅延回路1からのDLDPD信号は、ノードGの電圧上昇およびノードMの電圧放電が終了するまで遅延されているので、OR論理のリセット出力抑止回路2からの出力PORは、降下することなくハイのレベルを出力し続けることができる。
【0043】
このことから、図1(a)の回路では、DPD信号の供給が終了された場合には、パワーオンリセット信号PORを出力しないようにできたことがわかる。
【0044】
ところが、この図1(a)の回路では、立ち上がり時間が50μS程度(不図示)であれば、その立ち上がり時間中に下降するエッジと上昇するエッジを生成してパワーオンリセット信号PORを出力できるが、図1(b)に示したように立ち上がり時間が10μS程度まで短縮されると、PMOS型トランジスタP2は強いオン状態になるのが早く電源投入当初から強いオン状態を示すため、その結果、トランジスタN1をオンさせて、ノードMの電圧が充分に上昇する前に放電を開始させてしまうことがわかった。すなわち、復帰加速回路にPMOS型トランジスタを用いた場合には、パワーオン時に、パワーオンリセット信号PORを出力しないようになってしまう不都合があることがわかった。
【0045】
例えば、パワーオンされて半導体集積回路の電源電圧が立ち上がり時間T2(10μS)で立ち上がる時、VDDの電圧が時間T2(10μS)の間で徐々に増加する。トランジスタP1は、DPD信号がゲートから入力されない場合にオンしているので、ノードGの電圧も徐々に増加する。この時、図1の回路では、DPD立ち下がり遅延回路1と復帰加速回路3が追加された影響により、4μS近くまでノードGの電圧が図14の場合よりも増加し、そのノードGの電圧は、トランジスタN1をオンさせる電圧を超えてしまう。
【0046】
そのため、トランジスタN1は、そのソース側容量に充電されたノードMの電圧が放電されて一旦0電位まで低下してから、再びVDDの増加に追従して徐々に増加する。この場合、図1の場合のノードMの電圧の増加レベルは、ノードGの電圧の増加レベルよりも小さい。
【0047】
その後、ノードGの電圧が再び上昇して、約1Vの所定値を超えても、その時点ではトランジスタN1は既にオンしているので、ノードMの電圧はノードGの電圧以下であり、ソース側容量に充電された電荷がドレイン側に流れて、ノードMの電圧が放電により降下するが、インバータU1から出力されるパワーオンリセット信号PORには、変化が発生しない。すなわち、ノードMの放電により一旦エッジ状(急峻)に降下(下方遷移)してから、すぐにエッジ状(急峻)に上昇(上方遷移)する挙動が無くなり、パワーオンリセット信号PORが発生しなくなってしまう。
【0048】
つまり、図1(a)の回路の場合には、立ち上がり時間が10μS程度まで短縮されると、パワーオンリセット信号PORは、図1(b)に示したように、パワーオンされて半導体集積回路の電源電圧が立ち上がる場合と、トランジスタP1のゲートへのDPD信号の供給が終了した場合の双方で供給できなくなってしまう。
【0049】
そこで、本発明者は、立ち上がり時間が10μS程度まで短縮されても、パワーオンされて半導体集積回路の電源電圧が立ち上がる場合には、パワーオンリセット信号PORを発生し、トランジスタP1のゲートへのDPD信号の供給が終了した場合には、パワーオンリセット信号PORが発生しないように図1(a)の回路を改良した。
【0050】
図2は、本発明の実施の形態1のパワーオンリセット回路の構成を示す図である。また、(a)が概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【0051】
図2(a)に示した本実施の形態の構成が図1(a)に示した中間構成と異なる点は、以下の構成である。
【0052】
(2−1) 復帰加速回路4で使用するトランジスタを、強いオン状態になるのが遅く電源投入当初は弱いオン状態を示す第2のNMOS型FETN2(以下、トランジスタN2と記載)とし、インバータU4を削除した。
【0053】
次に、図2(b)を用いて、図2(a)の回路の動作を説明する。
フラッシュROMを省電力モードにするDPD信号がトランジスタP1のゲートに供給された場合については、図1(b)の場合とほとんど同様であるが、トランジスタP1のゲートへのDPD信号の供給が終了された場合の、ノードGの電圧上昇は、図1(b)の場合ほど上昇しなくなる点が異なっている。それ以外は図1(b)の場合とほとんど同様であり、DPD立ち下がり遅延回路1からのDLDPD信号は、ノードGの電圧上昇およびノードMの電圧放電が終了するまで遅延されているので、OR論理のリセット出力抑止回路2からの出力PORは、降下することなくハイのレベルを出力し続けることができ、図2(a)の回路でも、DPD信号の供給が終了された場合には、パワーオンリセット信号PORを出力しないようにできることがわかる。
【0054】
次に、図2(a)の回路の場合のパワーオン時について説明する。
例えば、パワーオンされて半導体集積回路の電源電圧が立ち上がり時間T3(10μS)で立ち上がる時、VDDの電圧が時間T3(10μS)の間で徐々に増加する。トランジスタP1は、DPD信号がゲートから入力されない場合にオンしているので、ノードGの電圧も徐々に増加する。この時、図2の回路では、図1の回路のようにDPD立ち下がり遅延回路1と復帰加速回路3が追加された影響を受けず、ノードGの電圧は図14の場合と同様となる。
【0055】
図2(a)の回路の場合、図14(a)の従来の回路と同様に、ノードMの電圧の増加レベルはノードGの電圧の増加レベルよりも大きくなっていることから、以降の動作が図14(a)の従来の回路と同様になることがわかる。
【0056】
具体的には、トランジスタN1では、パワーオン当初には、ゲートに接続されたノードGの電圧が0であるため、OFF状態であるが、ソース側はVDDに抵抗R3を介して接続されているため、そのソース側容量に充電されてノードMの電圧がVDDの増加に追従して徐々に増加する。
【0057】
ノードGの電圧が上昇して、図2(b)では約1Vになる所定値を超えると、トランジスタN1はオンして、ソース側容量に充電された電荷をドレイン側に流すため、ノードMの電圧は放電により降下し始める。一方、インバータU1から出力されるパワーオンリセット信号PORは、ノードMの放電によりエッジD0(図2(b)中の横軸目盛りで5μSをわずかに超えたタイミング)で一旦エッジ状(急峻)に降下(下方遷移)するが、すぐにエッジ状(急峻)に上昇(上方遷移)して、抵抗R3を介したVDDの増加に追従する。このエッジ状に電圧がLからHになる急上昇(エッジA1:図2(b)中の横軸目盛りで6μSのわずかに手前のタイミング)が、パワーオンリセット信号PORとなって後段の回路に供給される。
【0058】
図12は、立ち上がり時間が10μSの場合の各実施の形態のパワーオンリセット信号PORを比較して示した図である。
【0059】
図12(a)はDPD信号であり、図12(b)は図14に示した従来のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図12(c)は図1に示した本実施の形態の中間構成のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図12(d)は図2に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0060】
図12(b)の従来のPOR出力では、DPD信号入力によりエッジBが派生しており、これがPOR信号として後段の回路に送出されてしまう。図12(c)の中間構成のPOR出力では、エッジBは発生しなくなっているが、電源電圧立ち上がり時にもエッジが発生しなくなってしまっている。ところが、図12(d)の本実施の形態のPOR出力では、電源電圧立ち上がり時にエッジA1が発生し、エッジBは発生していない。なお、図12(e)以降については各実施の形態の説明中に後述する。
【0061】
図13は、立ち上がり時間が5μSの場合の各実施の形態のパワーオンリセット信号PORを比較して示した図である。
【0062】
図13(a)は図14に示した従来のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図13(b)は図1に示した本実施の形態の中間構成のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図13(c)は図2に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0063】
図13(a)〜図13(c)の何れの出力でも、電源電圧立ち上がり時にもエッジが発生していない。つまり、図14に示した従来のパワーオンリセット回路では、立ち上がり時間が10μSの場合にはエッジA0が発生してパワーオンリセット信号PORを出力できていたが、立ち上がり時間が5μSの場合にはエッジが発生しなくなりパワーオンリセット信号PORを出力できなくなっている。また、図2に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路でも、立ち上がり時間が10μSの場合にはエッジA1が発生してパワーオンリセット信号PORを出力できていたが、立ち上がり時間が5μSの場合にはエッジが発生しなくなりパワーオンリセット信号PORを出力できなくなっている。なお、図13(d)以降については各実施の形態の説明中に後述する。
【0064】
このように本実施の形態のパワーオンリセット回路では、立ち上がり時間が10μS程度までであれば、パワーオンリセット信号PORを発生させることができ、さらに、DPD信号によるフラッシュROMの省電力モードから復帰する際には、パワーオンリセット信号PORを発生させないようにすることができる。
【0065】
(実施の形態2.)
上記した実施の形態1では、DPD立ち下がり遅延回路1、リセット出力抑止回路2、および、NMOS型トランジスタの復帰加速回路4を追加設置して、立ち上がり時間が10μS程度までであれば、パワーオンリセット信号PORを発生させることができ、DPD信号による省電力モードから復帰する際には、パワーオンリセット信号PORを発生させないようにできた。
【0066】
しかし、実施の形態1では、例えば、立ち上がり時間を5μSまで短縮させた場合には、パワーオンリセット信号PORを発生させることができなかった。これは、立ち上がり時間が短縮されると、エッジD0で一旦電圧を急降下させ、その後に、エッジA1で電圧を急上昇させる処理間までの時間が短いためエッジA1の形成ができなくなるためである。以上のことから、例えば、エッジA1の発生タイミングを遅らせれば、立ち上がり時間が短縮されてもエッジを発生させることができると考えられる。
【0067】
そこで、以下に説明する実施の形態2では、実施の形態1のエッジA1の発生を遅らせた場合について説明する。
【0068】
図3は、本発明の実施の形態2のパワーオンリセット回路の構成を示す図である。また、(a)が概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【0069】
図3(a)に示した本実施の形態の構成が図2(a)に示した実施の形態1の構成と異なる点は、以下の構成である。
【0070】
(3−1) パワーオンリセット回路への電源電圧VDDの立ち上がりを遅延させた信号DLVDDとして出力するVDD立ち上がり遅延回路5を設けた。
【0071】
(3−2) 信号DLVDDにより、復帰加速回路4への電源電圧VDDの印加を遅延させて入力させるために、第3のNMOS型FETN3(以下、トランジスタN3と記載)を、抵抗R1と並列であり、かつ、復帰加速回路4の電源側に直列になるように設けた。
【0072】
次に、図3(b)を用いて、図3(a)の回路の動作を説明する。
フラッシュROMを省電力モードにするDPD信号がトランジスタP1のゲートに供給された場合については、図1(b)、図2(b)の場合と同様であるので、図3(a)の回路でも、DPD信号の供給が終了された場合には、パワーオンリセット信号PORを出力しないようにできることがわかる。
【0073】
次に、図3(a)の回路の場合のパワーオン時について説明する。
パワーオンリセット信号PORが、ノードMの放電によりエッジD0(図2(b)中の横軸目盛りで5μSをわずかに超えたタイミング)で一旦エッジ状(急峻)に降下(下方遷移)するところまでは、実施の形態1と同様であるが、その後、エッジ状(急峻)に上昇(上方遷移)するタイミングが、VDD立ち上がり遅延回路5とトランジスタN3の追加により遅延される。この実施の形態1よりも遅延されたエッジ状電圧(エッジA2:図2(b)中の横軸目盛りで6μSのわずかに超えたタイミング)が、パワーオンリセット信号PORとなって後段の回路に供給される。
【0074】
図12では、図12(d)が図2に示した実施の形態1のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図12(e)が図3に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0075】
図12(d)の実施の形態1のPOR出力よりも、図12(e)の本実施の形態のPOR出力はわずかに遅れて出力されていることがわかる。
【0076】
図13では、図13(c)が図2に示した実施の形態1のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図13(d)が図3に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0077】
図13(c)〜図13(d)の何れの出力でも、電源電圧立ち上がり時にもエッジが発生していない。つまり、図13(d)の本実施の形態では、立ち上がり時間が10μSの場合にはエッジA2の発生を遅らせて、立ち上がり時間の短縮に対する若干の改善を行うことができたが、立ち上がり時間が5μSの場合には依然としてエッジが発生しておらず、改善レベルが充分ではないことがわかる。
【0078】
このように本実施の形態のパワーオンリセット回路では、DPD信号によるフラッシュROMの省電力モードから復帰する際には、パワーオンリセット信号PORを発生させないようにすることができると共に、立ち上がり時間が10μS程度までであれば、実施の形態1よりもより確実にパワーオンリセット信号PORを発生させることができる。
【0079】
(実施の形態3.)
上記した実施の形態2では、DPD立ち下がり遅延回路1、リセット出力抑止回路2、NMOS型トランジスタの復帰加速回路4、VDD立ち上がり遅延回路5、および、トランジスタN3を設けることにより、立ち上がり時間が10μS程度までであれば、パワーオンリセット信号PORを実施の形態1よりも確実に発生させることができ、DPD信号による省電力モードから復帰する際には、パワーオンリセット信号PORを発生させないようにできた。
【0080】
しかし、実施の形態1と同様に実施の形態2でも、立ち上がり時間が5μSの場合には、パワーオンリセット信号PORを発生させることができなかった。そこで、例えば、立ち上がりのエッジA2の発生タイミングをさらに遅らせることに加え、立ち下がりのエッジD0を早めることで、立ち上がり時間中の立ち下がりD0から次の立ち上がりA2までの時間を長くできれば、立ち上がり時間が5μS等に短縮されてもエッジを発生させることができると考えられる。
【0081】
そこで、以下に説明する実施の形態3では、実施の形態2のエッジA2の発生をさらに遅らせると共に、立ち下がりのエッジD0の発生タイミングを早めたの場合について説明する。
【0082】
図4は、本発明の実施の形態3のパワーオンリセット回路の構成を示す図である。また、(a)が概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【0083】
図4(a)に示した本実施の形態の構成が図3(a)に示した実施の形態2の構成と異なる点は、以下の構成である。
【0084】
(4−1) ノードMの立ち上がりを早めるために、抵抗R3と並列にVDDとノードMを接続する経路を設け、その途中に切替用の第3のPMOS型FETP3(以下、トランジスタP3と記載)を設けた。
【0085】
(4−2) VDD立ち上がり遅延回路5の出力DLVDDをトランジスタP3のゲートに印加できるように接続経路を設けた。
【0086】
次に、図4(b)を用いて、図4(a)の回路の動作を説明する。
フラッシュROMを省電力モードにするDPD信号がトランジスタP1のゲートに供給された場合については、図1(b)〜図3(b)の場合と同様であるので、図4(a)の回路でも、DPD信号の供給が終了された場合には、パワーオンリセット信号PORを出力しないようにできることがわかる。
【0087】
次に、図4(a)の回路の場合のパワーオン時について説明する。
パワーオンされて半導体集積回路の電源電圧が立ち上がり時間T5(10μS)で立ち上がる時、VDDの電圧が時間T5(10μS)の間で徐々に増加する。トランジスタP1は、DPD信号がゲートから入力されない場合にオンしているので、ノードGの電圧も実施の形態1〜2と同様に徐々に増加する。
【0088】
一方、トランジスタN1は、VDDと接続されたトランジスタP3の並列回路が追加されているため、そのソース側容量は急速に充電され、ノードMの電圧が実施の形態1〜2よりも急速に立ち上がりハイ(H)のレベルを超えてしまう。図4の場合には、ノードMの電圧の増加レベルは、VDDあるいはPORの電圧の増加レベルとほぼ同様になっている。ここで、リセット出力抑止回路2には、インバータU1を介して入力されるので、パワーオンリセット信号PORの立ち下がりのエッジのタイミング決定にはノードMの電圧が使用されなくなり、VDD立ち上がり遅延回路5の出力DLVDDの下降するタイミングに合わせて立ち下がる(エッジD1:図4(b)中の横軸目盛りで3μSを半分程度超えたタイミング)ようになる。
【0089】
その後、ノードGの電圧が再び上昇して所定値を超えると、その時点でトランジスタN1がオンし、ソース側容量に充電された電荷がドレイン側に流れて、ノードMの電圧が放電により降下し、所定電圧以下になると、インバータU1から出力される信号VWIは、エッジ状(急峻)に上昇(上方遷移)し(エッジA3:図4(b)中の横軸目盛りで7μSのわずかに超えたタイミング)、これがパワーオンリセット信号PORとして出力される。この場合、ノードMの電圧は実施の形態1および2よりも高電圧に達しているため、所定電圧以下になるタイミングは、実施の形態1および2よりも遅くなる。
【0090】
図12では、図12(e)が図3に示した実施の形態2のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図12(f)が図4に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0091】
図12(e)の実施の形態2のPOR出力よりも、図12(f)の本実施の形態のPOR出力は大幅(1μS以上)に遅れて出力されていることがわかる。また、図12(e)の実施の形態2の立ち下がりのエッジD0よりも、図12(f)の本実施の形態の立ち下がりのエッジD1は大幅(1μS以上)早く発生していることもわかる。つまり、本実施の形態では、実施の形態2に比べて、パワーオン時の立ち下がりエッジと立ち上がりエッジの間が大幅に拡大されていることになる。
【0092】
図13では、図13(d)が図3に示した実施の形態2のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図13(e)が図4に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0093】
図13(d)の出力では、電源電圧立ち上がり時にエッジが発生していないが、図13(e)の出力では、電源電圧立ち上がり時にエッジ(立ち下がりエッジD11、および、立ち上がりエッジA13)が発生している。つまり、図13(d)の実施の形態2の場合には、立ち上がり時間が5μSの場合にはエッジを発生させることができなかったが、図13(e)の本実施の形態では、立ち上がり時間が5μSの場合であっても、エッジA13を発生させることができることがわかる。
【0094】
このように本実施の形態のパワーオンリセット回路では、DPD信号によるフラッシュROMの省電力モードから復帰する際には、パワーオンリセット信号PORを発生させないようにすることができると共に、立ち上がり時間が5μS程度まで短縮されてもパワーオンリセット信号PORを発生させることができる。また、特に図示しないが、発明者の実験によれば、本実施の形態の回路を用いることにより、立ち上がり時間を1μSまで短縮させてもパワーオンリセット信号PORを発生させることができている。
【0095】
(実施の形態4.)
上記した実施の形態3では、抵抗R3と並列にVDDとノードMを接続するトランジスタP3を設け、VDD立ち上がり遅延回路5の出力DLVDDをトランジスタP3のゲートに印加することで、立ち上がり時間中に発生させる立ち下がりエッジと立ち上がりエッジの間隔を広げたが、例えば、ノードMの放電による電圧降下で所定電圧以下になるタイミングを遅らせれば、立ち上がりエッジをさらに遅く発生させることができると考えられる。
【0096】
そこで、以下に説明する実施の形態4では、実施の形態3のエッジA3の発生をさらに遅らせる場合について説明する。
【0097】
図5は、本発明の実施の形態4のパワーオンリセット回路の構成を示す図である。また、(a)が概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【0098】
図5(a)に示した本実施の形態の構成が図4(a)に示した実施の形態3の構成と異なる点は、以下の構成である。
【0099】
(5−1) ノードMとVDD間に、抵抗R3と並列にコンデンサC1を設けた。
【0100】
次に、図5(b)を用いて、図5(a)の回路の動作を説明する。
フラッシュROMを省電力モードにするDPD信号がトランジスタP1のゲートに供給された場合については、ノードMの電圧上昇が遅くなり、その影響によりインバータU1から出力される信号VWIの降下タイミングも遅くなっているが、他の動作は、図1(b)〜図4(b)の場合と同様であるので、図5(a)の回路でも、DPD信号の供給が終了された場合には、パワーオンリセット信号PORを出力しないようにできることがわかる。
【0101】
次に、図5(a)の回路の場合のパワーオン時について説明する。
パワーオンされて半導体集積回路の電源電圧が立ち上がり時間T6(10μS)で立ち上がる時、VDDの電圧が時間T6(10μS)の間で徐々に増加する。トランジスタP1は、DPD信号がゲートから入力されない場合にオンしているので、ノードGの電圧も実施の形態1〜3と同様に徐々に増加する。
【0102】
一方、トランジスタN1は、VDDと接続されたトランジスタP3の並列回路が追加されているため、そのソース側容量は急速に充電され、ノードMの電圧が実施の形態1〜3よりも急速に立ち上がりハイ(H)のレベルを超えてしまう。ノードMの電圧の増加レベルは、VDDあるいはPORの電圧の増加レベルとほぼ同様になっている。ここで、リセット出力抑止回路2には、インバータU1を介して入力されるので、パワーオンリセット信号PORの立ち下がりのエッジのタイミング決定にはノードMの電圧が使用されなくなり、VDD立ち上がり遅延回路5の出力DLVDDの下降するタイミングに合わせて立ち下がる(エッジD1:図5(b)中の横軸目盛りで3μSを半分程度超えたタイミング)ようになる。
【0103】
その後、ノードGの電圧が再び上昇して所定値を超えると、その時点でトランジスタN1がオンし、ソース側容量に充電された電荷がドレイン側に流れて、ノードMの電圧が放電により降下する。ここまでは、実施の形態3と同様であるが、本実施の形態では、コンデンサC1がVDDとノードM間に追加されているため、ノードMの電圧降下は実施の形態3よりも遅くなる。具体的には、所定電圧以下になる時間も遅延し、立ち上がりのエッジが発生するタイミング(エッジA4:図5(b)中の横軸目盛りで8μSのわずかに超えたタイミング)も実施の形態3より遅くなる。
【0104】
図12では、図12(f)が図4に示した実施の形態3のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図12(g)が図5に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0105】
図12(f)の実施の形態3のPOR出力よりも、図12(g)の本実施の形態のPOR出力は約1μS程度遅れて出力されていることがわかる。つまり、本実施の形態では、実施の形態3に比べて、パワーオン時の立ち上がりエッジの発生を1μS程度遅延させていることになる。
【0106】
図13では、図13(e)が図4に示した実施の形態3のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図13(f)が図5に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0107】
図13(e)の出力では、電源電圧立ち上がり時のエッジA13が図13中の横軸目盛りで5.0μSのわずかに前のタイミングで発生しているが、図13(f)の出力では、電源電圧立ち上がり時のエッジA14が図13中の横軸目盛りで5.3μS程度のタイミングで発生している。つまり、図13(e)の実施の形態3の場合でも、立ち上がり時間が5μSの場合でもエッジを発生させることができていたが、図13(f)の本実施の形態では、立ち上がり時間が5μSの場合であっても、より確実にエッジA14を発生させることができることがわかる。
【0108】
このように本実施の形態のパワーオンリセット回路では、DPD信号によるフラッシュROMの省電力モードから復帰する際には、パワーオンリセット信号PORを発生させないようにすることができると共に、立ち上がり時間が5.0μS程度まで短縮された場合でも、より確実にパワーオンリセット信号PORを発生させることができる。また、発明者の実験によれば、本実施の形態の回路を用いた場合も、立ち上がり時間を1.0μSまで短縮させてもパワーオンリセット信号PORを発生させることが確認されている。
【0109】
(実施の形態5.)
上記した実施の形態4では、抵抗R3と並列にVDDとノードMを接続するコンデンサC1を設けることで、ノードMの電圧降下を遅くして、立ち上がり時間中に発生させる立ち下がりエッジと立ち上がりエッジの間隔を広げたが、例えば、トランジスタN1がノードMの放電を開始させるタイミングを遅くすることによっても、立ち上がりエッジをさらに遅く発生させることができると考えられる。
【0110】
そこで、以下に説明する実施の形態5では、実施の形態4のエッジA4の発生をさらに遅らせる場合について説明する。
【0111】
図6は、本発明の実施の形態5のパワーオンリセット回路の構成を示す図である。また、(a)が概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【0112】
図6(a)に示した本実施の形態の構成が図5(a)に示した実施の形態4の構成と異なる点は、以下の構成である。
【0113】
(6−1) ノードGとVSS間に、抵抗R2と並列に第4のNMOS型FETN4(以下、トランジスタN4と記載)を設け、トランジスタN4のゲートにはVDD立ち上がり遅延回路5の出力DLVDDをインバータU2を介して入力させた。
【0114】
次に、図6(b)を用いて、図6(a)の回路の動作を説明する。
フラッシュROMを省電力モードにするDPD信号がトランジスタP1のゲートに供給された場合については、図5の実施の形態4と同様であるので、図6(a)の回路でも、DPD信号の供給が終了された場合には、パワーオンリセット信号PORを出力しないようにできることがわかる。
【0115】
次に、図6(a)の回路の場合のパワーオン時について説明する。
パワーオンされて半導体集積回路の電源電圧が立ち上がり時間T7(10μS)で立ち上がる時、VDDの電圧が時間T7(10μS)の間で徐々に増加する。トランジスタP1は、DPD信号がゲートから入力されない場合にオンしているので、ノードGの電圧も上記した実施の形態1〜4では徐々に増加していた。しかし、本実施の形態では、トランジスタN4のドレインがVSSに接続されているため、トランジスタN4がオンしている間は、ノードGの電圧がVSSの電圧(0V)となる。また、トランジスタN4のゲートは、インバータU2を介してVDD立ち上がり遅延回路5の出力DLVDDに接続されているので、パワーオン当初のトランジスタN4はオン状態となる。
【0116】
従って、本実施の形態では、VDD立ち上がり遅延回路5の出力DLVDDの電圧が、インバータU2を介して、トランジスタN4をオフさせる所定電圧以上にならないと、ノードGの電圧増加が始まらないことになる。
【0117】
ノードGの電圧増加が遅れることで、ノードGの電圧をゲート入力として用いているトランジスタN1がノードMの放電を開始させるタイミングも遅くなる。その結果、ノードMの電圧降下は実施の形態4よりも遅くなる。具体的には、所定電圧以下になる時間もさらに遅延し、立ち上がりのエッジが発生するタイミング(エッジA5:図6(b)中の横軸目盛りで8μSの1/3程度超えたタイミング)も実施の形態4より遅くなる
【0118】
図12では、図12(g)が図5に示した実施の形態4のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図12(h)が図6に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0119】
図12(g)の実施の形態4のPOR出力よりも、図12(h)の本実施の形態のPOR出力は約0.1μS程度遅れて出力されていることがわかる。つまり、本実施の形態では、実施の形態4に比べて、パワーオン時の立ち上がりエッジの発生を0.1μS程度遅延させていることになる。
【0120】
図13では、図13(f)が図5に示した実施の形態4のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図13(g)が図6に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0121】
図13(f)の出力では、電源電圧立ち上がり時のエッジA14が図13中の横軸目盛りで5.3μS程度のタイミングで発生しているが、図13(g)の出力では、電源電圧立ち上がり時のエッジA15が図13中の横軸目盛りで5.5μS程度のタイミングで発生している。つまり、図13(f)の実施の形態4の場合でも、立ち上がり時間が5μSの場合にエッジを発生させることができていたが、図13(g)の本実施の形態では、立ち上がり時間が5μSの場合でも、より確実にエッジA15を発生させることができることがわかる。
【0122】
このように本実施の形態のパワーオンリセット回路では、DPD信号によるフラッシュROMの省電力モードから復帰する際には、パワーオンリセット信号PORを発生させないようにすることができると共に、立ち上がり時間が5.0μS程度まで短縮された場合でも、さらに確実にパワーオンリセット信号PORを発生させることができる。また、発明者の実験によれば、本実施の形態の回路を用いた場合も、立ち上がり時間を1.0μSまで短縮させてもパワーオンリセット信号PORを発生させることが確認されている。
【0123】
(実施の形態6.)
上記した実施の形態5では、トランジスタN1がノードMの放電を開始させるタイミングを遅くするために、ノードGとVSS間に、抵抗R2と並列にトランジスタN4を設け、トランジスタN4のゲートにはVDD立ち上がり遅延回路5の出力DLVDDをインバータU2を介して入力させて立ち上がり時間を遅延させていたが、例えば、図6(b)の立ち下がりD1のタイミングをDLDPDの立ち下がりよりもさらに早めることによっても、さらに確実にパワーオンリセット信号PORを発生させることができると考えられる。
【0124】
そこで、以下に説明する実施の形態6では、実施の形態5の立ち下がりエッジD1の発生をさらに早める場合について説明する。
【0125】
図7は、本発明の実施の形態6のパワーオンリセット回路の構成を示す図である。また、(a)が概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【0126】
図7(a)に示した本実施の形態の構成が図6(a)に示した実施の形態5の構成と異なる点は、以下の構成である。
【0127】
(7−1) リセット出力抑止回路2を削除し、DPD立ち下がり遅延回路1からのDLDPD信号をPOR出力の抑止回路に入力しないようにした。
【0128】
(7−2) ノードMとVSS間に、トランジスタN1と並列に第6のNMOS型FETN6(以下、トランジスタN6と記載)を設け、トランジスタN6のゲートにはDPD信号を入力させた。
【0129】
(7−3) 抵抗R3とVDD間に、第2のPMOS型FETP2(以下、トランジスタP2と記載)を設け、トランジスタP2のゲートにはDPD信号を入力させた。
【0130】
次に、図7(b)を用いて、図7(a)の回路の動作を説明する。
フラッシュROMを省電力モードにするDPD信号がトランジスタP1のゲートに供給された場合については、ノードMの電圧上昇が無くなり、電圧VWIの電圧が無くなっている点を除けば、図6の実施の形態5と同様であるので、図7(a)の回路でも、DPD信号の供給が終了された場合には、パワーオンリセット信号PORを出力しないようにできることがわかる。
【0131】
次に、図7(a)の回路の場合のパワーオン時について説明する。
パワーオンされて半導体集積回路の電源電圧が立ち上がり時間T8(10μS)で立ち上がる時、VDDの電圧が時間T8(10μS)の間で徐々に増加する。トランジスタP1は、DPD信号がゲートから入力されない場合にオンしているが、トランジスタN4のドレインがVSSに接続されているため、トランジスタN4がオンしている間は、ノードGの電圧がVSSの電圧(0V)となる点は、上記した実施の形態5と同様である。
【0132】
本実施の形態では、DPD信号がトランジスタP2とトランジスタN6の各ゲートにも供給されている。トランジスタN6が付加されたため、DPD信号が供給されている間は、ノードMはVSSと接続されているため電圧が上昇しなくなる。また、トランジスタP2が付加されたため、DPD信号が供給されている間は、VDDとの接続が遮断されるためノードMへの充電が行われなくなる。すなわち、DPD信号が供給されている間は、ノードMは0Vとなる。
【0133】
その後、DPD信号の供給が終了すると、トランジスタP2がオンになってVDDと再び接続され、トランジスタN6オフになるためノードMへの充電が可能になるが、その時点でトランジスタN1のゲートに供給されるノードGの電圧が上昇しており、トランジスタN1がオンしているため、ノードMの電圧は上昇しない。
【0134】
すなわち、本実施の形態では、ノードMの電圧については、電源電圧の立ち上がり時のみ上昇するが、その後は、電源安定後の状態もローレベルであり、DPD信号が供給されている間もローレベルであり、DPD信号の供給が終了した後もローレベルを維持することから、DPD信号復帰時におけるPOR信号の制御を不要にすることができる。
【0135】
また、本実施の形態では、DPD立ち下がり遅延回路1からのDLDPD信号を使用するリセット出力抑止回路を用いていないため、電源電圧が立ち上がり時に、POR出力がDLDPD電圧の立ち下がり(図6(b)のエッジD1)まで増加せず、より早い時点である図7(b)のエッジD2で降下している。
【0136】
電源電圧が立ち上がり時に、POR出力がより早い時点(エッジD2)で降下することで、PORのハイからローに立ち下がるエッジD2と、次にローからハイに立ち上がるエッジA6の時間が長くなり、より安定してPOR信号を出力させることが可能になる。
【0137】
図12では、図12(h)が図6に示した実施の形態5のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図12(i)が図7に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0138】
図12(h)の実施の形態5のPOR出力における電圧降下D1よりも、図12(i)の本実施の形態のPOR出力における電圧降下D2は約1μS以上早くて発生していることがわかる。つまり、本実施の形態では、実施の形態5に比べて、パワーオン時の立ち下がりエッジの発生を1μS以上早めていることになる。
【0139】
図13では、図13(g)が図6に示した実施の形態5のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図13(h)が図7に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0140】
図13(g)の出力では、電源電圧立ち下がり時のエッジD11が図13中の横軸目盛りで2.1μS程度のタイミングで発生しているが、図13(h)の出力では、電源電圧立ち下がり時のエッジD12が図13中の横軸目盛りで1.0μS程度のタイミングで発生している。つまり、図13(g)の実施の形態5の場合よりも、図13(h)の本実施の形態では、立ち上がり時間が5μSの場合でも、より確実にエッジA16を発生させることができることがわかる。
【0141】
このように本実施の形態のパワーオンリセット回路では、DPD信号によるフラッシュROMの省電力モードから復帰する際には、パワーオンリセット信号PORを発生させないようにすることができると共に、立ち上がり時間が5.0μS程度まで短縮された場合でも、上記した各実施の形態よりも、さらに確実にパワーオンリセット信号PORを発生させることができる。また、発明者の実験によれば、本実施の形態の回路を用いた場合も、立ち上がり時間を1.0μSまで短縮させてもパワーオンリセット信号PORを発生させることが確認されている。
【0142】
(実施の形態7.)
上記した各実施の形態に示したように、VDD立ち上がり遅延回路5の出力である信号DLVDDは、電源電圧VDDに対して遅れて立ち上がる必要がある。しかし、電源電圧の瞬断あるいは瞬停等の電源電圧の低下後すぐに電源電圧が再投入される場合においては、VDD立ち上がり遅延回路5等の電位が下がりきらないうちに電源電圧VDDが上昇を始める場合がある。その場合、本来は電源がオンされた時にオン状態になっているべきトランジスタP3およびトランジスタN4がオン状態にならず、パワーオンリセット信号を発生せきない場合が発生する。
【0143】
そこで、以下に説明する実施の形態7では、実施の形態6電源VDDが瞬間的に低下してすぐに復帰した場合でもパワーオンリセット信号を発生させる場合について説明する。
【0144】
図8は、本発明の実施の形態7のパワーオンリセット回路の構成を示す図である。また、(a)が概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【0145】
図8(a)に示した本実施の形態の構成が図7(a)に示した実施の形態6の構成と異なる点は、以下の構成である。
【0146】
(8−1) VDD立ち上がり遅延回路の出力(DLVDD)と、電源電圧VDDとの間に、アノード側をVDDとしてダイオードU15を接続した。
【0147】
次に、図8(b)については、図7との区別のために、立ち上がり時間T9に発生するパワーオンリセット信号PORのエッジがA7になっている点を除けば、図7で示した実施の形態6と同様である。そこで、本実施の形態では、電源電圧が瞬間的に低下してすぐに復帰する場合を示した図9を用いて、図8(a)の回路の動作を説明する。
【0148】
図9(a)は、実施の形態6までのパワーオンリセット回路の構成で、瞬間的に低下してすぐに復帰する場合の電源電圧VDDを示している。図9(b)は、図9(a)と同じ場合で、さらに、パワーオンリセット信号POR、ノードGの電圧、ノードMの電圧、および、遅延回路5の出力信号DLVDDを追加して示した図である。
【0149】
図9(b)に示したように、電源電圧VDDが瞬間的に立ち下がりすぐに立ち上がった場合には、出力信号DLVDDはわずかに電位が下がるのみである。従って、図8(a)のトランジスタP3およびトランジスタN4はオフ状態のままとなる。また、ノードMの電位がノードGの電位よりほとんど上になっていないことから、パワーオンリセット信号PORも電源電圧VDDに追従するのみで、エッジを形成していない。
【0150】
ところが、図9(c)に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路では、まず、電源電圧VDDが瞬間的に立ち下がると、ダイオードU15のアノード側のVDDが0Vになるので、VDD立ち上がり遅延回路5の充電電圧を急速に放電させる。その結果、出力信号DLVDDも急速に0V近くまで低下する。従って、本実施の形態では、トランジスタP3およびトランジスタN4はオン状態になるので、ノードGは0Vになり、ノードMは急速に充電されてノードGの電位以上になる。その後の動作は、通常の電源電圧の立ち上がり時と同様になり、ノードMの電位低下に従って15.4μS近辺でパワーオンリセット信号PORのローからハイへのエッジが形成される。
【0151】
すなわち、本実施の形態では、電源電圧の瞬断あるいは瞬停等の電源電圧の低下後すぐに電源電圧が再投入される場合であっても、パワーオンリセット信号PORを形成できることになる。
【0152】
図12では、図12(i)が図7に示した実施の形態6のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図12(j)が図8に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0153】
図12(i)の実施の形態7のPOR出力と、図12(j)の本実施の形態のPOR出力との間には、ほとんど違いはない。
【0154】
図13では、図13(h)が図7に示した実施の形態5のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図13(i)が図8に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0155】
図13(h)の出力と、図13(i)の出力との間にもほとんど違いは無い。従って、本実施の形態でも、実施の形態6と同様に、DPD信号ではパワーオンリセット信号PORを形成しないようにできていることがわかる。
【0156】
このように本実施の形態のパワーオンリセット回路では、DPD信号によるフラッシュROMの省電力モードから復帰する際には、パワーオンリセット信号PORを発生させないようにすることができると共に、立ち上がり時間が5.0μS程度まで短縮された場合でも、上記した各実施の形態よりも、さらに確実にパワーオンリセット信号PORを発生させることができる。また、発明者の実験によれば、本実施の形態の回路を用いた場合も、立ち上がり時間を1.0μSまで短縮させてもパワーオンリセット信号PORを発生させることが確認されている。さらに、本実施の形態では、電源電圧の瞬断あるいは瞬停等の電源電圧の低下後すぐに電源電圧が再投入される場合であっても、パワーオンリセット信号PORを形成することができる。
【0157】
(実施の形態8.)
上記した各実施の形態では、電源電圧VDDは一定であるという前提で説明したが、半導体集積回路の省電力モードの中には、電源電圧VDDを低下させることによっても消費電流を削減する場合がある。特に、RAMとフラッシュROMの双方を搭載する半導体集積回路では、フラッシュROM用のDPDモードの実施中に他のRAM等の回路の消費電力を削減するために電源電圧VDDを低下させる場合がある。
【0158】
DPDモードの実施中に電源電圧VDDを低下させた場合の復帰時には、上記した各実施の形態と同様に、パワーオンリセット信号POR(ローからハイのエッジ)を発生させないことが望ましいが、例えば、電源電圧VDDの復帰の傾きが、その遅延信号である信号DLVDDが追従できないほど早い場合には、電源電圧VDDを立ち上げる場合と同様にトランジスタP3およびトランジスタN4がオンしてしまい、パワーオンリセット信号PORのローからハイのエッジを発生させてしまう場合がある。
【0159】
そこで、以下に説明する実施の形態8では、例えば、実施の形態7がさらに電源VDDを低下させる省電力モードを有している場合であって、DPDモードと電源電圧VDDの双方を復帰させる場合に、パワーオンリセット信号を発生させない場合について説明する。
【0160】
図10は、本発明の実施の形態7のパワーオンリセット回路の構成を示す図である。また、(a)が概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【0161】
図10(a)に示した本実施の形態の構成が図8(a)に示した実施の形態7の構成と異なる点は、以下の構成である。
【0162】
(10−1) 電源電圧VDDと立ち上がり遅延回路の出力(DLVDD)との間に、第4のPMOS型FETP4(以下、トランジスタP4と記載)を設け、トランジスタP4のゲートには後述するワンショットパルス生成回路9の出力を入力させた。
【0163】
(10−2) DPD信号入力またはPOR信号入力によりワンショットのパルスを生成するワンショットパルス生成回路9を設けた。
【0164】
(10−3) ワンショットパルス生成回路9の出力を反転させてトランジスタP4のゲートに入力させるためにインバータU9を追加した。
【0165】
次に、図10(b)については、図8との区別のために、立ち上がり時間T10に発生するパワーオンリセット信号PORのエッジがA8になっている点と、ワンショットパルス生成回路9に出力により、エッジA8のタイミングの立ち上がり遅延回路の出力DLVDDにパルス状の突起B1が形成されている点を除けば、図8で示した実施の形態7と同様である。そこで、本実施の形態では、DPDモードに加えて電源電圧VDDが低下する省電力モードから復帰する場合を示した図11を用いて、図10(a)の回路の動作を説明する。
【0166】
図11(a)は、実施の形態7までのパワーオンリセット回路の構成で、DPDモードに加えて電源電圧VDDが低下する省電力モードから復帰する場合の電源電圧VDD、信号DLVDD、および、パワーオンリセット信号PORを示している。
【0167】
図11(a)に示したように、電源電圧VDDが省電力モード状態の2Vから急速に通常状態の5Vに復帰するのに対して、その遅延信号である信号DLVDDは追従できず、2μS以上遅れて約5Vに復帰している。この場合には、通常の電源電圧の立ち上がりと同様な状態となるので、パワーオンリセット信号PORにローからハイのエッジA9が発生してしまう。
【0168】
ところが、図11(b)に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路では、電源電圧VDDと同様に増加するDPD信号が立ち上がり、DPDモードが解除された時点で、ワンショットパルス生成回路9からローからハイになる1ショットのパルスPULが出力されている。パルスPULは、インバータU3で反転されてトランジスタP4のゲートに入力してトランジスタP4をオンさせる。その結果、電源電圧VDDが通常電圧の5Vに復帰した時点で、信号DLVDDも追従して5Vになっているので、パワーオンリセット信号PORにローからハイのエッジA9は発生しなくなる。
【0169】
すなわち、本実施の形態では、半導体集積回路が、DPDモードに加えて電源電圧を低下させる省電力モードを有している場合でも、省電力モードから復帰するときに誤ってパワーオンリセット信号を出力しないようにできることがわかる。
【0170】
図12では、図12(j)が図8に示した実施の形態7のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図12(k)が図10に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。図12(j)の実施の形態7のPOR出力と、図12(k)の本実施の形態のPOR出力との間には、ほとんど違いはない。
【0171】
図13では、図13(i)が図8に示した実施の形態7のパワーオンリセット回路によるPOR出力であり、図13(j)が図10に示した本実施の形態のパワーオンリセット回路によるPOR出力である。
【0172】
図13(i)の出力と、図13(j)の出力との間にもほとんど違いは無い。従って、本実施の形態でも、実施の形態7と同様に、DPD信号ではパワーオンリセット信号PORを形成しないようにできていることがわかる。
【0173】
このように本実施の形態のパワーオンリセット回路では、DPD信号によるフラッシュROMの省電力モードから復帰する際には、パワーオンリセット信号PORを発生させないようにすることができると共に、立ち上がり時間が5.0μS程度まで短縮された場合でも、上記した各実施の形態よりも、さらに確実にパワーオンリセット信号PORを発生させることができる。また、発明者の実験によれば、本実施の形態の回路を用いた場合も、立ち上がり時間を1.0μSまで短縮させてもパワーオンリセット信号PORを発生させることが確認されている。さらに、本実施の形態では、半導体集積回路が、DPDモードに加えて電源電圧を低下させる省電力モードを有している場合で、電源電圧の復帰が急速に実施される場合であっても、省電力モードから復帰するときに誤ってパワーオンリセット信号を出力してしまうことがなくすことができる。
【0174】
【発明の効果】
上記のように本発明のパワーオンリセット回路では、立ち上がり時間が短縮されても、パワーオンリセット信号を発生させることができ、さらに、ディープパワーダウン信号によるフラッシュROMの省電力モードから復帰する際には、パワーオンリセット信号を発生させないようにすることができる。
【0175】
また、本発明のパワーオンリセット回路では、電源電圧の瞬断あるいは瞬停等の電源電圧の低下後すぐに電源電圧が再投入される場合であっても、パワーオンリセット信号を形成することができる。
【0176】
また、本発明のパワーオンリセット回路では、半導体集積回路が、DPDモードに加えて電源電圧を低下させる省電力モードを有している場合で、さらに、電源電圧の復帰が急速に実施される場合であっても、省電力モードから復帰するときに誤ってパワーオンリセット信号を出力してしまうことがなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)が本発明の実施の形態1のパワーオンリセット回路の研究中に検討した中間の概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【図2】 (a)が本発明の実施の形態1のパワーオンリセット回路の構成を示す概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【図3】 (a)が本発明の実施の形態2のパワーオンリセット回路の構成を示す概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【図4】 (a)が本発明の実施の形態3のパワーオンリセット回路の構成を示す概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【図5】 (a)が本発明の実施の形態4のパワーオンリセット回路の構成を示す概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【図6】 (a)が本発明の実施の形態5のパワーオンリセット回路の構成を示す概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【図7】 (a)が本発明の実施の形態6のパワーオンリセット回路の構成を示す概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【図8】 (a)が本発明の実施の形態7のパワーオンリセット回路の構成を示す概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【図9】 (a)は実施の形態6までのパワーオンリセット回路の構成で瞬間的に低下してすぐに復帰する場合の電源電圧を示し、(b)は図9(a)と同じ場合でさらにパワーオンリセット信号、ノードGの電圧、ノードMの電圧、および、遅延回路の出力信号を追加して示した図である。
【図10】 (a)が本発明の実施の形態7のパワーオンリセット回路の構成を示す概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【図11】 (a)は実施の形態7までのパワーオンリセット回路の構成でDPDモードに加えて電源電圧VDDが低下する省電力モードから復帰する場合の電源電圧、信号DLVDD、および、パワーオンリセット信号を示し、(b)は本実施の形態のパワーオンリセット回路で圧、信号DLVDD、および、パワーオンリセット信号を示す図である。
【図12】 (a)はDPD信号であり、(b)〜(k)は立ち上がり時間が10μSの場合の各実施の形態のパワーオンリセット信号を比較して示した図である。
【図13】 (a)〜(k)は立ち上がり時間が5μSの場合の各実施の形態のパワーオンリセット信号を比較して示した図である。
【図14】 (a)が従来のフラッシュROMを後段に備える変動帯集積回路のパワーオンリセット回路の一例を示す概略回路図であり、(b)が立ち上がりが10μS時の各部の電圧変化を示す図である。
【符号の説明】
1 DPD立ち下がり遅延回路、 2 リセット出力抑止回路、 3、4 復帰加速回路、 5 VDD立ち上がり遅延回路、 6 DPD接地回路、 7 POR抑止回路、 9 1ショットパルス生成回路、 U1〜U8 インバータ、 V2 OR素子、 N1〜N9 Nチャネル型Metal Oxide Semiconductor)型FET、 P1〜P4 Pチャネル型Metal Oxide Semiconductor)型FET、 R1〜R3 抵抗、 C1 コンデンサ、 DPD ディープパワーダウン信号、 VDD 電源電圧、 VSS 内部アース、 G、M ノード、 POR パワーオンリセット信号。

Claims (8)

  1. 電源電圧上昇中に所定リセット電位に達した場合、電源電圧がローからハイに遷移するエッジ信号を生成して後段回路に出力するエッジ信号生成回路を有し、前記後段回路に対する省電力モード指示入力時に前記エッジ信号生成回路の制御入力電圧が、第1と第2の分圧抵抗で電源電圧を分割することにより規定される所定リセット電圧未満の電圧となるパワーオンリセット回路であって、
    前記省電力モード指示の終了タイミングを遅延させる省電力モード立ち下がり遅延回路と、
    前記省電力モード立ち下がり遅延回路からの遅延された省電力モード指示が入力されている間は、前記エッジ信号生成回路でエッジ信号が生成されても出力しないOR論理のリセット出力抑止回路と、
    前記エッジ信号の復帰を早めるために前記省電力モード立ち下がり遅延回路の出力により制御されるトランジスタを有して前記第1の分圧抵抗と並列に設けられる復帰加速回路と
    を備え、
    前記復帰加速回路のトランジスタは、NMOS型FETである
    ことを特徴とするパワーオンリセット回路。
  2. 前記復帰加速回路のトランジスタに電源電圧を遅延させて供給する電源電圧立ち上がり遅延回路を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載のパワーオンリセット回路。
  3. 前記エッジ信号を生成する前の前記エッジ信号生成回路に、電源電圧を遅延させて供給する電源電圧立ち上がり遅延回路を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載したパワーオンリセット回路。
  4. 前記エッジ信号生成回路の出力と電源電圧間に、前記エッジ信号生成回路の電源側の容量を増加させるコンデンサを備える
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のパワーオンリセット回路。
  5. 前記エッジ信号生成回路の制御入力と接地間に、電源投入時にオン状態であるトランジスタを接続し、
    該トランジスタの制御入力に、電源電圧を遅延させて供給する電源電圧立ち上がり遅延回路を備える
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のパワーオンリセット回路。
  6. 電源電圧上昇中に所定リセット電位に達した場合、電源電圧がローからハイに遷移するエッジ信号を生成して後段回路に出力するエッジ信号生成回路を有し、前記後段回路に対する省電力モード指示入力時に前記エッジ信号生成回路の制御入力電圧が、第1と第2の分圧抵抗で電源電圧を分割することにより規定される所定リセット電圧未満の電圧となるパワーオンリセット回路であって、
    前記省電力モード指示の終了タイミングを遅延させる省電力モード立ち下がり遅延回路と、
    前記エッジ信号の復帰を早めるために前記省電力モード立ち下がり遅延回路の出力により制御されるトランジスタを有して前記第1の分圧抵抗と並列に設けられる復帰加速回路と、
    前記エッジ信号を生成する前の前記エッジ信号生成回路に、電源電圧を遅延させて供給する電源電圧立ち上がり遅延回路と、
    前記省電力モード指示が入力される間は、前記電源電圧立ち上がり遅延回路から前記エッジ信号生成回路に供給される電圧を接地する省電力モード接地回路と、
    前記省電力モード指示が入力される間は、前記エッジ信号生成回路に供給される電源電圧を抑止するエッジ信号抑止回路と
    を備え、
    前記復帰加速回路のトランジスタは、NMOS型FETである
    ことを特徴とするパワーオンリセット回路。
  7. 前記電源電圧立ち上がり遅延回路の出力と電源電圧間には、電源電圧側をアノード接続したダイオードを備える
    ことを特徴とする請求項6に記載のパワーオンリセット回路。
  8. 前記電源電圧立ち上がり遅延回路の出力と電源電圧間には、前記エッジ信号あるいは前記省電力モード指示の立ち下がり出力を検出して、ローからハイとなるパルスを生成する1ショットパルス生成回路を備える
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載のパワーオンリセット回路。
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