JP3883174B2 - 低誘電率シリカ系被膜付半導体基板および低誘電率シリカ系被膜の形成方法 - Google Patents
低誘電率シリカ系被膜付半導体基板および低誘電率シリカ系被膜の形成方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、半導体基板上に配設された金属配線にダメージを与えることなく、比誘電率が3以下と小さく、しかも低水分吸着性と高被膜強度の特性を有する低誘電率シリカ系被膜を備えた半導体基板およびこのような特性を有する低誘電率シリカ系被膜該被膜を半導体基板上に形成する方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
半導体装置の高集積化に伴い、多層配線を有する0.25ミクロンルール以下の半導体装置においては、金属配線間隔が狭くなるため、静電誘導による金属配線のインピーダンスが増大し、応答速度の遅れ、消費電力の増大等が懸念されている。このため、半導体基板とアルミニウム配線層などの金属配線層との間、あるいは金属配線層間に設けられる層間絶縁膜の比誘電率をできるだけ小さくすることが必要とされている。
【0003】
上記のような目的で用いられている層間絶縁膜は、一般にCVD法などの気相成長法または被膜形成用塗布液を用いて絶縁膜を形成する塗布法によって半導体基板上に形成されている。
しかしながら、CVD法などの気相成長法では、得られるシリカ系被膜の比誘電率がフッ素ドープシリカ膜の3.5が限界と言われており、比誘電率が3以下のシリカ系被膜を形成することは難しいという問題がある。また、ポリアリール樹脂、フッ素添加ポリイミド樹脂やフッ素系樹脂などのCVD被膜やこれらの塗布液を用いて形成される被膜は、比誘電率が2前後となるが、被塗布面との密着性が悪く、また微細加工に用いるレジスト材料との密着性も悪く、さらには耐薬品性、耐酸素プラズマ性等に劣るなどの問題がある。
【0004】
さらにまた、従来から用いられているアルコキシシランまたはハロゲン化シランの部分加水分解物または加水分解物を含むシリカ系被膜形成用塗布液では、比誘電率が2.5前後の被膜が得られるが、被塗布面との密着性が悪いという問題がある。
本発明者らは、これらの問題を解決するため鋭意研究を行ったところ、次に示すような低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を用いれば、比誘電率が3以下と小さく、しかも被塗布面との密着性、機械的強度、耐アルカリ性などの耐薬品性や耐クラック性に優れ、さらには耐酸素プラズマ性やエッチング加工性などのプロセス適合性にも優れた被膜を形成できることを見い出し、これらを以下の発明1〜3として出願している。
(1)発明−1(特開平9−315812号公報参照)。
【0005】
アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランまたはこれらの加水分解物と、シリカ微粒子との反応物を含む低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液。
(2)発明−2(国際出願PCT/JP99/04051公報参照)
アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランまたはこれらの加水分解物と、500℃以下の温度で分解または揮散する易分解樹脂とを含む低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液。
(3)発明−3(国際出願PCT/JP99/04050公報参照)
アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランまたはこれらの加水分解物とシリカ微粒子との反応物であるポリシロキサンと、500℃以下の温度で分解または揮散する易分解樹脂とを含む低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液。
【0006】
その後、本発明者らは、これらの塗布液と従来公知の被膜形成法を用いて種々の半導体基板上に低誘電率シリカ系被膜を形成する試験を繰り返し行ったところ、前記の特性を有する被膜は得られるものの、比誘電率が3以下であって水分吸着性が低く、被膜強度が高いという優れた特性を有する被膜を安定的に形成することは難しいことを知った。そこで、本発明者らは、鋭意研究を続けたところ、以下に詳述する条件下で半導体基板上に低誘電率シリカ系被膜を形成すれば、この問題は容易に解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであって、半導体基板上に配設された金属配線にダメージを与えることなく、比誘電率が3以下と小さく、しかも低水分吸着性であり高被膜強度を有するという優れた特性を有する低誘電率シリカ系被膜が形成された半導体基板およびこのような低誘電率シリカ系被膜を半導体基板上に安定的に形成する方法を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明の低誘電率シリカ系被膜付半導体基板は、シリコン基板と、シリコン基板上の多層の配線層と、低誘電率シリカ系被膜とからなる低誘電率シリカ系被膜付半導体基板であって、低誘電率シリカ系被膜がシリコン基板上、多層配線構造の配線層間、素子表面および/またはPN接合部分に設けられてなり、かつ、低誘電率シリカ系被膜が、外殻層を有し、内部が気体で充填された空洞であるか、あるいは気体と多孔質物質とからなる多孔質となっている無機化合物粒子を含み、前記無機化合物粒子が、シリカとシリカ以外の無機化合物からなり、シリカをS i O 2 で表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物(MO x )で表したときのモル比MO x /S i O 2 が、0 . 0001〜1 . 0の範囲にあることを特徴としている。
【0009】
前記無機化合物粒子が、平均粒子径が5〜100nmの範囲にあることが好ましい。
前記無機化合物粒子は、外殻層の厚さが1nm〜50nmの範囲にある無機化合物粒子であることが好ましい。
前記無機化合物粒子の外殻層が、シリカを主成分とする無機化合物粒子であることが好ましい。
【0010】
本発明に係る低誘電率シリカ系被膜の形成方法は下記工程(a)〜工程(c)からなることを特徴としている。
【0011】
(a)半導体基板上に、外殻層を有し、内部が気体で充填された空洞であるか、あるいは気体と多孔質物質とからなる多孔質となっている無機化合物粒子を、含む低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を塗布する工程
(b)得られた被膜を250℃以下の温度にて加熱処理する工程
(c)該被膜を350〜450℃の温度にて焼成処理する工程。
前記無機化合物粒子として、シリカとシリカ以外の無機化合物からなり、シリカをS i O 2 で表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物(MO x )で表したときのモル比MO x /S i O 2 が、0 . 0001〜1 . 0の範囲にあるものを使用する。
【0012】
前記無機化合物粒子の平均粒子径が5〜100nmの範囲にあることが好ましい。
前記無機化合物粒子の外殻層の厚さは、1nm〜50nmの範囲にあることが好ましい。
前記無機化合物粒子の外殻層は、シリカを主成分とすることが好ましい。
【0013】
前記低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液が、さらにマトリックス前駆体として下記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび下記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる少なくとも1種のケイ素化合物の加水分解物および/または下記一般式(III)で示される繰り返し単位を有するポリシラザンの1種または2種以上を含むことが好ましい。
【0014】
XnSi(OR)4-n (I)
XnSiX'4-n (II)
(式中、Xは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、Rは水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、X'はハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
【0015】
【化3】
【0016】
(ただし、R1、R2およびR3は、それぞれ独立した水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基である。)
また、前記低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液が、さらにマトリックス前駆体としての前記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび前記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる少なくとも1種のケイ素化合物の加水分解物および/または前記一般式(III)で表される繰り返し単位を有するポリシラザンの1種または2種以上と、前記無機化合物粒子との反応物を含むことが好ましい。
【0017】
前記低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液が、さらに、500〜50,000の数平均分子量(ポリスチレン換算)を有する易分解性樹脂を含んでいることが好ましい。
前記易分解性樹脂は、ケイ素化合物の加水分解物および/またはポリシラザン、またはポリシロキサンと分子鎖レベルで絡み合った相互貫入型ポリマー組成物を構成していることが好ましい。
【0018】
前記低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液中のケイ素化合物の加水分解物、ポリシラザン、ポリシロキサンおよび/または相互貫入型ポリマー組成物は、末端にSi-H基を有することが好ましい。
【0019】
【発明の具体的説明】
以下、本発明の低誘電率シリカ系被膜付半導体基板および低誘電率シリカ系被膜の形成方法について具体的に説明する。
[低誘電率シリカ系被膜付半導体基板]
本発明の低誘電率シリカ系被膜付半導体基板は、シリコン基板と、シリコン基板上の多層の配線層と、低誘電率シリカ系被膜とからなる低誘電率シリカ系被膜付半導体基板であって、
低誘電率シリカ系被膜がシリコン基板上、多層配線構造の配線層間、素子表面および/またはPN接合部分に設けられている
低誘電率シリカ系被膜
本発明で、基板上に形成されるシリカ系被膜は無機化合物粒子とマトリックスからなっている。
【0020】
[無機化合物粒子]
本発明で使用される無機化合物粒子は、
外殻層を有し、内部が気体で充填された空洞であるか、あるいは気体と多孔質物質とからなる多孔質となっている粒子である。
無機化合物粒子内部の多孔質または空洞は、後述する被膜中において、維持されている。
【0021】
このような無機化合物粒子の断面模式図を図1(a)〜(d)に示す。
図1(a)〜(d)中、添字1は外殻層であり、添字2は多孔質の物質であり、添字3は空洞を示す。
本発明で使用される無機化合物粒子は、図1(a)に示されるように、外殻層内部に多孔質となっているものであっても、図1(b)に示されるように、外殻層内が空洞となっているものであっても、さらに図1(c)および(d)のように外殻層内に、多孔質の物質および空洞が含まれていてもよい。
【0022】
多孔質物質2は、多孔質固体と気体とから構成される。また空洞3内には、気体で充填されている。
このような無機化合物粒子の平均粒子径は5〜100nm、好ましくは5〜50nmの範囲にあることが望ましい。使用される無機化合物粒子の平均粒子径は、形成されるシリカ系被膜の厚さに応じて適宜選択することができる。
【0023】
無機化合物粒子の平均粒子径が5nm未満の場合は、無機化合物粒子における外殻の割合が増加し細孔あるいは空洞の割合が低下するために得られるシリカ系被膜の誘電率が充分低いものとならないことがあり、無機化合物粒子の平均粒子径が100nmを越えると得られるシリカ系被膜の強度が弱くなることがある。使用される無機化合物粒子の平均粒子径は、形成される低誘電率被膜の厚さに応じて適宜選択される。
【0024】
外殻層の厚さは、1〜50nm、好ましくは2〜30nmの範囲にあることが望ましい。
外殻層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆するされていないことがあり、後述するマトリックスを形成するために使用される有機ケイ素化合物の加水分解物などが容易に無機化合物子の内部に進入して内部の多孔性が減少し、低誘電率化の効果が充分に得られないことがある。また、外殻層の厚さが50nmを越えると、外殻層の割合が高くなるために、粒子内部の多孔質物質や空洞の割合が低下し、低誘電率の効果が充分に得られなくなることがある。
【0025】
また内部が空洞からなる粒子(図1(b))の場合、外殻層の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持できないことがある。
前記無機化合物粒子の外殻層は、シリカを主成分とすることが好ましい。また無機化合物粒子の外殻層にはシリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al2O3、B2O3、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P2O5、Sb2O3、MoO3、ZnO2、WO3からなる群から選ばれる酸化物が用いられる。
【0026】
外殻層内部の多孔質を構成する化合物(以後、多孔質物質という)としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF2、NaF、NaAlF6、MgFなどからなるものが挙げられる。このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなるものが好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al2O3、B2O3、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P2O5、Sb2O3、MoO3、ZnO2、WO3からなる群から選ばれる1種以上を挙げることができる。このような多孔質を構成する化合物(多孔質物質)では、シリカをSiO2で表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物(MOx)で表したときのモル比MOx/SiO2が、0.0001〜1.0、好ましくは0.0001〜0.3の範囲にあることが望ましい。多孔質物質のモル比MOx/SiO2が0.0001未満のものは得ることが困難であり、得られたとしてもさらに屈折率が低いものを得ることはない。また、多孔質物質のモル比MOx/SiO2が、1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が小さく、かつ誘電率の低い粒子を得られないことがある。
【0027】
多孔質物質の細孔容積は、0.1〜1.5mL/g、好ましくは0.2〜1.5mL/gの範囲にあることが望ましい。細孔容積が0.1mL/g未満では、充分に誘電率の低下した粒子が得られず、また1.5mL/gを越えると、無機化合物粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。なお、このような多孔質物質の細孔容積は、外殻層形成前の無機化合物粒子前駆体粒子を使用し、水銀圧入法によって求めることができる。
【0028】
このような無機化合物粒子は、被膜中に酸化物換算で、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%の範囲で含まれていることが望ましい。
被膜中の無機化合物粒子の量が、10重量%未満の場合は、比誘電率が2.5以下の被膜を得ることが困難であり、無機化合物粒子の量が90重量%を越えると得られる被膜の強度が不充分となることがある。
【0029】
無機化合物粒子の調製
このような無機化合物粒子の製造方法としては、たとえば特開平7−133105号公報に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適に採用される。
具体的に、無機化合物粒子が、シリカと、シリカ以外の無機化合物とからなる場合、以下の第1〜第3工程により製造される。
【0030】
第1工程:多孔質物質前駆体粒子の調製
第1工程では、あらかじめ、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料のアルカリ水溶液を個別に調製するか、または、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料との混合水溶液を調製しておき、この水溶液を目的とする複合酸化物の複合割合に応じて、pH10以上のアルカリ水溶液中に攪拌しながら徐々に添加して多孔質物質前駆体粒子を調製する。
【0031】
シリカ原料としては、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機塩基のケイ酸塩を用いる。アルカリ金属のケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)や珪酸カリウムが用いられる。
有機塩基としては、テトラエチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類を挙げることができる。なお、アンモニウムのケイ酸塩または有機塩基のケイ酸塩には、ケイ酸液にアンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物などを添加したアルカリ性溶液も含まれる。
【0032】
また、シリカ以外の無機化合物の原料としては、アルカリ可溶の無機化合物を用いられる。具体的には、Al、B、Ti、Zr、Sn、Ce、P、Sb、Mo、Zn、Wなどから選ばれる元素のオキソ酸、該オキソ酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げることができる。より具体的には、アルミン酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、アンチモン酸カリウム、錫酸カリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム、リン酸ナトリウムが適当である。
【0033】
以上のような原料の水溶液を混合すると同時に、混合水溶液のpH値は変化するが、このpH値を所定の範囲に制御するような操作は特に必要ない。水溶液は、最終的に、無機酸化物の種類およびその混合割合によって定まるpH値となる。このときの水溶液の添加速度にはとくに制限はない。
また、無機化合物粒子内部の多孔質物質が、複合酸化物である場合、多孔質物質前駆体粒子を製造するに際して、シード粒子の分散液を出発原料と使用することも可能である。当該シード粒子としては、特に制限はないが、SiO2、Al2O3、TiO2またはZrO2等の無機酸化物またはこれらの複合酸化物の微粒子が用いられ、通常、これらのゾルを用いることができる。さらに前記の製造方法によって得られた多孔質物質前駆体粒子分散液をシード粒子分散液としてもよい。シード粒子分散液を使用する場合、シード粒子分散液のpHを10以上に調整したのち、該シード粒子分散液中に前記化合物の水溶液を、上記したアルカリ水溶液中に攪拌しながら添加する。この場合も、必ずしも分散液のpH制御を行う必要はない。このようにして、シード粒子を用いると、調製する多孔質物質前駆体粒子の粒径コントロールが容易であり、粒度の揃ったものを得ることができる。
【0034】
上記したシリカ原料および無機化合物原料はアルカリ側で高い溶解度を有する。しかしながら、この溶解度の大きいpH領域で両者を混合すると、ケイ酸イオンおよびアルミン酸イオンなどのオキソ酸イオンの溶解度が低下し、これらの複合物が析出して微粒子に成長したり、あるいは、シード粒子上に析出して粒子成長が起こる。したがって、粒子の析出、成長に際して、従来法のようなpH制御は必ずしも行う必要がない。
【0035】
第1工程におけるシリカとシリカ以外の無機化合物との複合割合は、無機化合物を酸化物(MOx)に換算し、MOx/SiO2のモル比が、0.05〜2.0、好ましくは0.2〜2.0の範囲内にあることが望ましい。この範囲内において、シリカの割合が少なくなる程、多孔質物質の細孔容積が増大する。なお、MOx/SiO2のモル比が2.0を越えても、多孔質物質の細孔の容積はほとんど増加しない。他方、MOx/SiO2のモル比が0.05未満の場合は、細孔容積が小さくなる。無機化合物の外殻層内に空洞を形成する場合、MOx/SiO2のモル比は、0.25〜2.0の範囲内にあることが望ましい。MOx/SiO2のモル比が、0.25未満であると、次の第2工程で空洞が形成されるまでに至らないことがある。
【0036】
第2工程:多孔質物質前駆体粒子からのシリカ以外の無機化合物の除去
第2工程では、前記第1工程で得られた多孔質物質前駆体粒子から、シリカ以外の無機化合物(ケイ素と酸素以外の元素)の少なくとも一部を選択的に除去する。具体的な除去方法としては、多孔質物質前駆体粒子中の無機化合物を鉱酸や有機酸を用いて溶解除去したり、あるいは、陽イオン交換樹脂と接触させてイオン交換除去する。
【0037】
なお、第1工程で得られる多孔質物質前駆体粒子は、ケイ素と無機化合物構成元素が酸素を介して結合した網目構造の粒子である。このような多孔質物質前駆体粒子から無機化合物(ケイ素と酸素以外の元素)を除去することにより、いっそう多孔質でかつ細孔容積の大きい多孔質粒子が得られ、この多孔質粒子が外殻層内部の多孔質を構成する。
【0038】
また、多孔質物質前駆体粒子からシリカ以外の無機化合物を除去する量を多くすれば、外殻層内部が空洞となっている粒子を調製することができる。
また、多孔質物質前駆体粒子からシリカ以外の無機化合物を除去するに先立って、第1工程で得られる多孔質物質前駆体粒子分散液に、シリカのアルカリ金属塩を脱アルカリして得られるケイ酸液あるいは加水分解性の有機ケイ素化合物を添加して、多孔質物質前駆体粒子表面にシリカ保護膜を形成することが好ましい。シリカ保護膜の厚さは0.5〜15nmの厚さであればよい。なおシリカ保護膜を形成しても、この工程で形成されるシリカ保護膜は多孔質であり厚さが薄いので、多孔質物質前駆体粒子から、前記したシリカ以外の無機化合物を、除去することは可能である。
【0039】
このようにシリカ保護膜を形成することによって、粒子形状を保持したまま、前記したシリカ以外の無機化合物を多孔質物質前駆体粒子から除去することができる。
また、シリカ保護膜を形成することによって、後述するシリカ外殻層を形成する際に、多孔質粒子の細孔がシリカ外殻層形成成分である加水分解性の有機ケイ素化合物またはケイ酸液等によって閉塞されてしまうことがなく、このため細孔容積を低下させることなく後述するシリカ外殻層を形成することができる。
【0040】
なお、多孔質物質前駆体粒子から除去する無機化合物の量が少ない場合は粒子が壊れることがないので必ずしも保護膜を形成する必要はない。
また外殻層内部が空洞となっている粒子を調製する場合は、このシリカ保護膜を形成しておくことがとくに望ましい。外殻層内部が空洞となっている粒子を調製する際には、無機化合物の除去によって、シリカ保護膜と、該シリカ保護膜内の溶媒、未溶解のため残存する前記多孔質物質の一部とからなる粒子前駆体が得られ、該粒子前駆体に後述のシリカ外殻層を形成すると、形成されたシリカ保護膜およびシリカ外殻層が、外殻層となり、内部に空洞が形成された無機化合物粒子が得られる。
【0041】
上記シリカ保護膜形成のために添加するシリカ源の量は、粒子形状を保持できる範囲で少ないことが好ましい。シリカ源の量が多すぎると、シリカ保護膜が厚くなりすぎるので、多孔質物質前駆体粒子からシリカ以外の無機化合物を除去することが困難となることがある。
シリカ保護膜の形成用に使用される加水分解性の有機ケイ素化合物としては、一般式RnSi(OR')4-n〔R、R':アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
【0042】
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、およびアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記多孔質物質前駆体粒子の分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を多孔質物質前駆体粒子の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
【0043】
多孔質物質前駆体粒子の分散媒が、水単独、または有機溶媒に対する水の比率が高い場合には、ケイ酸液を用いてシリカ保護膜を形成することも可能である。ケイ酸液を用いる場合には、分散液中にケイ酸液を所定量添加し、同時にアルカリを加えてケイ酸液を多孔質物質前駆体粒子表面に沈着させる。なお、ケイ酸液と上記アルコキシシランを併用してシリカ保護膜を作製してもよい。
【0044】
以上のように、多孔質物質前駆体粒子からのシリカ以外の無機化合物を除去することによって多孔質粒子の分散液または外殻層内部が空洞となっている粒子の前駆体分散液が調製される。
第3工程:シリカ外殻層の形成
第3工程では、第2工程で調製した多孔質粒子分散液(空洞を形成する場合の粒子の前駆体分散液も含む)に加水分解性の有機ケイ素化合物またはケイ酸液等を加えることにより、多孔質粒子(空洞を形成する場合の粒子前駆体)の表面を加水分解性有機ケイ素化合物またはケイ酸液等の重合物で被覆してシリカ外殻層を形成する。
【0045】
シリカ外殻層形成用に使用される加水分解性の有機ケイ素化合物としては、前記したような一般式RnSi(OR')4-n〔R、R':アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
【0046】
これらのアルコキシシラン、純水、およびアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子分散液に加え、アルコキシシランを加水分解することで生成したケイ酸重合物を多孔質粒子の表面に沈着させて、外殻層を形成する。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
【0047】
多孔質粒子(空洞を形成する場合では、粒子前駆体)の分散媒が水単独、または有機溶媒との混合溶媒であって、有機溶媒に対する水の比率が高い混合溶媒の場合には、ケイ酸液を用いて外殻層を形成してもよい。ケイ酸液とは、水ガラス等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液をイオン交換処理して脱アルカリしたケイ酸の低重合物の水溶液である。
【0048】
ケイ酸液を用いる場合、ケイ酸液を多孔質粒子(空洞を形成する場合では、粒子の前駆体)分散液中に添加すると同時にアルカリを加えてケイ酸低重合物を多孔質粒子表面に沈着させることによって、外殻層を形成する。なお、ケイ酸液を上記アルコキシシランと併用して外殻層形成用に使用してもよい。
外殻層形成用に使用される有機ケイ素化合物またはケイ酸液の添加量は、多孔質粒子表面を充分に被覆できる程度であればよく、最終的に得られるシリカ外殻層の厚さが1〜50nmとなるように量で、多孔質粒子分散液中で添加される。また前記シリカ保護膜を形成している場合はシリカ保護膜とシリカ外殻層の合計の厚さが1〜50nmの範囲となるような量で、有機ケイ素化合物またはケイ酸液は添加される。
【0049】
次いで、必要に応じて外殻層が形成された粒子の分散液を加熱処理する。加熱処理によって、形成されたシリカ外殻層が緻密化する。
このときの加熱処理温度は、シリカ外殻層の微細孔を閉塞できる程度であれば特に制限はなく、80〜300℃の範囲が好ましい。加熱温度が溶媒の沸点以上の場合、オートクレーブなどの耐圧容器を使用してもよい。加熱処理温度が80℃未満ではシリカ外殻層の微細孔を閉塞して緻密化できないことがあり、また処理時間に長時間を要してしまうことがある。また加熱処理温度が300℃を越えて長時間処理すると、外殻層内部が多孔質となっている場合には、多孔質を構成する化合物(多孔質物質)物質が緻密化することがあり、低誘電率化の効果が得られないことがある。
【0050】
前記のような加熱処理によって、通常、多孔質中または空洞内に含まれる液体(反応に使用した溶媒)は除去される。
また、外殻層によって内部(多孔質または空洞)が充分に密閉されていないものは、乾燥して溶媒を除去してもよく、さらに乾燥後、大気圧下または減圧下、約400〜1200℃(シリカの融点の1/3〜融点未満の温度)で加熱処理することによって、外殻によって内部(多孔質粒子、空洞)を密封した無機化合物粒子を得ることができる。
【0051】
加熱処理温度が400℃未満では、外殻層を完全に閉塞することができないことがあり、一方加熱処理温度が1200℃を越えると無機化合物粒子が互いに融着したり、球状を保持できないことがある。
このようにして得られた無機化合物粒子は、内部が気体または気体と多孔質物質とからなり、溶媒が存在していないため、このような粒子を用いて得られる被膜は2.5以上の低誘電率を有している。またこの無機化合物粒子は粒子強度が高く、このため得られる被膜は、耐酸素プラズマ性、エッチング加工性、研磨性特性などのプロセス適合性にも優れている。
【0052】
[マトリックス]
低誘電率シリカ系被膜は、マトリックスとして下記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび下記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物の加水分解物および/または下記一般式(III)で示される繰り返し単位を有するポリシラザンの1種または2種以上に由来するシリカ系成分を含んでいる。
【0053】
XnSi(OR)4-n (I)
XnSiX'4-n (II)
(式中、Xは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、Rは水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、X'はハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
【0054】
【化4】
【0055】
(ただし、R1、R2およびR3は、それぞれ独立した水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基である。)
前記一般式(I)で示されるアルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジフルオロジメトキシシラン、ジフルオロジエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0056】
前記一般式(II)で示されるハロゲン化シランの具体例としては、トリクロロシラン、トリブロモシラン、ジクロロシラン、フルオロトリクロロシラン、フルオロブロモシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシランなどが挙げられる。
前記一般式(III)で示されるポリシラザンとしては、R1、R2およびR3がアルキル基の場合、メチル基、エチル基およびプロピル基から選ばれる1種が好ましい。このようなアルキル基を有していると低誘電率のシリカ系被膜が得られる。また、R1、R2およびR3がいずれも水素原子である場合は緻密なシリカ系被膜が得られる。
【0057】
また、上記式(III)で示される繰り返し単位を有するポリシラザンは、直鎖状のポリシラザンであっても、環状のポリシラザンであってもよく、これらの混合物であってもよい。
このようなポリシラザンの数平均分子量(ポリスチレン換算)は、500〜10,000、好ましくは1,000〜4,000の範囲にあることが好ましい。分子量が500未満では、加熱硬化時の収縮率が大きいなど製膜性が低下することがある。一方、分子量が10,000を越えると、塗布液の流動性が低下するために製膜性が低下することがある。また、ポリシラザンの数平均分子量が上記範囲にない場合は、得られるシリカ系被膜の表面が平坦にならない傾向がある。
【0058】
マトリックスが、このようなシリカ系成分を含んでいると、耐熱性に優れ高被膜強度を有する比誘電率が3.0以下の低誘電率シリカ系被膜が得られる。
このようなマトリックスは、低誘電率シリカ系被膜中に、SiO2換算で、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%の量で含まれていることが望ましい。
【0059】
本発明では、低誘電率シリカ系被膜中で、このような前記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび前記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物の加水分解物および/または前記一般式(III)で示される繰り返し単位を有するポリシラザンの1種または2種以上のシリカ系成分と前記した無機化合物粒子とが反応して反応物を形成していてもよい。
【0060】
このようなシリカ系成分と無機化合物粒子との反応物を被膜中に酸化物(SiO2)換算で5〜90重量%の範囲で含んでいることが好ましい。さらに好ましくは20〜80重量%の範囲である。シリカ系成分と無機化合物粒子との反応物を前記範囲で含んでいると、被膜の比誘電率が3.0以下で、耐熱性、強度等に優れたシリカ系被膜を得ることができる。
【0061】
このような反応物とは、たとえば、無機化合物粒子表面のOH基とシリカ形成成分(末端SiOH基など)とが反応したものであり、単なる混合物とは相違したものである。
本発明に係る低誘電率シリカ系被膜付半導体基板では、以上のような無機化合物粒子とマトリックスとを含む低誘電率シリカ系被膜が、シリコン基板上に設けられている。
【0062】
低誘電率シリカ系被膜は、シリコン基板上に直接形成されていてもよいが、多層配線構造の配線層間、素子表面および/またはPN接合部分に設けられていてもよい。
このような低誘電率シリカ系被膜は、たとえば、低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を、基材表面に、塗布したのち、加熱処理することによって形成することができる。具体的には以下に示す低誘電率シリカ系被膜の形成方法によって低誘電率シリカ系被膜を形成することができる。
【0063】
[低誘電率シリカ系被膜の形成方法]
まず、本発明に係る形成方法で使用される低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液について説明する。
低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液
本発明に係る形成方法では、前記した無機化合物粒子を含む低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液であればとくに制限なく使用することは可能であるが、以下に示す低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液(塗布液−A、塗布液−B、塗布液−C)を用いて半導体基板上に低誘電率シリカ系被膜を形成することが望ましい。
(1)塗布液−A
塗布液−Aは、下記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび下記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物を有機溶媒に混合して、触媒および水の存在下でこれを部分加水分解または加水分解して得られる反応物および/または下記一般式(III)で示される繰り返し単位を有するポリシラザンの1種または2種以上と有機溶媒との混合物と前記無機化合物粒子とを含む低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液である。
【0064】
XnSi(OR)4-n (I)
XnSiX'4-n (II)
(式中、Xは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、Rは水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、X'はハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
【0065】
【化5】
【0066】
(ただし、R1、R2およびR3は、それぞれ独立した水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基である。)
前記一般式(I)で示されるアルコキシシランの具体例としては、前記したと同様のアルコキシシランを挙げることができる。
前記一般式(II)で示されるハロゲン化シランの具体例としては、前記したと同様のハロゲン化シランを挙げることができる。
【0067】
さらに、前記一般式(III)で示される繰り返し単位を有するポリシラザンとしては前述したと同様のものを用いることができる。
アルコキシシランおよびハロゲン化シランを用いる場合の有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類などが挙げられ、より具体的には、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル類、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタンなどの炭化水素類やトルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0068】
ポリシラザンを用いる場合の有機溶媒としては、たとえば、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、へキシレン等の炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、エチルブチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。
触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸、酢酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸などの有機酸、または金属セッケンなどの水溶液中で酸性を示す化合物が挙げられる。
【0069】
加水分解反応に必要な水は、アルコキシシランを構成するSi-OR基、またはハロゲン化シランを構成するSi-X'基1モル当たり、通常、0.1〜5モル、好ましくは0.1〜2モルの量で用いられる。また、触媒は、通常、アルコキシシランまたはハロゲン化シラン1モル当たり0.001〜1モル、好ましくは0.005〜0.5の量で添加される。
【0070】
加水分解の反応条件は、アルコキシシランを加水分解する場合には、通常、反応温度が80℃以下、好ましくは5〜60℃で、反応時間が攪拌条件下で10時間以下、好ましくは0.5〜5時間である。また、ハロゲン化シランを加水分解する場合には、通常、反応温度が50℃以下、好ましくは5〜20℃で、反応時間が攪拌条件下で20時間以下、好ましくは1〜10時間である。さらに、アルコキシシランとハロゲン化シランを同時に加水分解する場合には、通常、ハロゲン化シランの加水分解条件が採用される。
【0071】
このようにして得られた加水分解物または部分加水分解物の数平均分子量(ポリスチレン換算)は、500〜10000、好ましくは1000〜5000の範囲にあることが望ましい。
(2)塗布液−B
塗布液−Bは、上記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび上記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物の加水分解物および/または上記一般式(III)で示される繰り返し単位を有するポリシラザンの1種または2種以上のシリカ系成分と、前記無機化合物粒子との反応物を含む低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液である。
【0072】
前記シリカ系成分と無機化合物粒子との反応物は、前記無機化合物粒子と上記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび上記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物を有機溶媒に混合し、水および触媒の存在下で加水分解し、これに必要に応じて下記一般式(III)で示される繰り返し単位を有するポリシラザンの1種または2種以上の有機溶媒との混合物を混合することにより得られる。
【0073】
このようなシリカ系成分と無機化合物粒子との反応物は、本出願人らによって出願された前記発明−1(特開平9−315812号)または前記発明−3(国際出願PCT/JP99/04050)などの公報に記載された方法に準じて調製することができる。
(3)塗布液−C
塗布液−Cは、前記塗布液−Aに含まれるシリカ系成分、または前記塗布液−Bに含まれるシリカ系成分と無機化合物粒子との反応物とともに、易分解性樹脂を含む低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液である。易分解性樹脂とは、500〜50,000程度の数平均分子量(ポリスチレン換算)を有し、かつ500℃以下の温度で熱処理、あるいは紫外線、赤外線、電子線、X線を照射するか酸素プラズマを照射することにより分解または揮散するものである。
【0074】
易分解性樹脂としては、具体的に、500〜50,000、好ましくは5,000〜30,000の数平均分子量(ポリスチレン換算)を有するセルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリオール系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
【0075】
また、塗布液−3においては、前記易分解性樹脂が前記加水分解物および/または前記ポリシラザンまたは前記シリカ系成分と無機化合物粒子との反応物と分子鎖レベルで絡み合った相互貫入型ポリマー組成物を構成していることが好ましい。このような相互貫入型ポリマー組成物の数平均分子量(ポリスチレン換算)は、500〜50,000、好ましくは1,000〜30,000の範囲にあることが望ましい。
【0076】
このような相互貫入型ポリマー組成物の調製方法については、本出願人らによって出願された発明−2(国際出願PCT/JP99/04051)または前記発明−3(国際出願PCT/JP99/04050)の公報に、その詳細が記載されているので、これを参照されたい。
本発明の方法で使用される低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液としては、前記ケイ素化合物の加水分解物、前記ポリシラザン、前記シリカ系成分と無機化合物粒子との反応物および/または前記相互貫入型ポリマー組成物は末端にSi-H基を有していることが望ましい。
【0077】
前記Si-H基は、透明被膜の焼成処理工程において、該雰囲気中に微量に含まれる酸素濃度によっては、たとえば約100〜1000容量ppm程度にあれば、Si-H→SiOH→SiO2の順に酸化され、Si-O-Siのネットワークを構成しやすくなるため、このような塗布液を用いると、低水分吸着性および高被膜強度を有する比誘電率3以下の低誘電率シリカ系被膜を容易に形成することができる。
【0078】
本発明の方法において前記した塗布液を用いる場合には、上記に示す前記加水分解物、前記ポリシラザン、前記無機化合物粒子、前記シリカ系成分と無機化合物粒子との反応物、前記易分解性樹脂を含む組成物および/または前記相互貫入型ポリマー組成物などの固形分を、有機溶媒中に5〜35重量%、好ましくは10〜30重量%の量で含有していることが望ましい。
【0079】
使用される有機溶媒としては、アルコール類、グリコールエーテル類、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、芳香族炭化水素類などから選択される。
なお、本発明では、アルコキシシランおよびハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物を有機溶媒に混合して、触媒および水の存在下でこれを部分加水分解または加水分解して得られる反応物および/または下記一般式(III)で示される繰り返し単位を有するポリシラザンなどの固形分を含む溶液をそのまま塗布液として使用してもよいが、有機溶媒層成分を分離し、ロータリーエバポレーターなどを用いて再度、メチルイソブチルケトンやプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどと溶媒置換を行って、前記加水分解反応で生成したアルコールや残存している水、酸触媒などを除去した後、固形分濃度を上記の範囲に調製して使用することが望ましい。
【0080】
被膜の形成方法
本発明による低誘電率シリカ系被膜の形成方法は、
(a)上記のような低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を半導体基板上に塗布し(塗布工程)、
(b)得られた被膜を250℃以下の温度にて加熱処理した後(加熱処理)、
(c)該被膜を350〜450℃の温度にて焼成処理(焼成処理)
することにより行われる。
【0081】
(a) 塗布工程
一般に、このような塗布液の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、転写印刷法などが採用されているが、本発明方法においても、このような従来公知の方法を用いて低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を半導体基板上に塗布することができる。
【0082】
(b) 加熱処理
このようにして半導体基板上に塗布された被膜は、250℃以下、好ましくは50〜200℃の温度にて加熱処理される。この加熱は、被膜の膜厚などによっても異なるが、1〜10分、好ましくは2〜5分をかけて行うことが望ましい。この加熱処理は、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行ってもよいが、空気雰囲気下で行うことが好ましい。加熱処理は、250℃以下という比較的、低い温度条件下で短時間行われるので、たとえ酸素を比較的多量に含んでいる空気雰囲気下で加熱処理しても半導体基板上に配設された金属配線が酸化することはないので、高価な窒素ガスの使用量を削減できる。また膜内部にSi−Hが残存しても、前記したように適度な酸素濃度下で加熱処理できるので、Si−O−Siのネットワーク(すなわちSiO2)が構成・生成されやすくなり、このため、低水分吸着性と高被膜強度を有する低誘電率シリカ系被膜を形成し易くなる。
【0083】
上記のようにして加熱処理を施すことによって、被膜中に含まれる有機溶媒が蒸発し、また一方では固形成分の重合が進んで硬化するとともに、加熱の過程で重合体の溶融粘度が低下して被膜のリフロー性が増大し、得られる被膜の平坦性が向上する。
このようにして形成される低誘電率シリカ系被膜の膜厚は、被膜を形成する半導体基板やその目的によっても異なるが、たとえば、半導体装置におけるシリコン基板上では通常、1,000〜2,500Å程度であり、多層配線の配線層間の場合は通常、1,000〜10,000Åである。
【0084】
(c) 焼成処理
次いで、前記加熱処理を施された被膜は、不活性ガスの雰囲気下、350〜450℃の温度にて焼成処理(キュア)される。なお、焼成処理は必ずしも行う必要はなく、加熱処理で硬化した被膜が得られているのであれば行う必要はない。また、塗布液中に易分解性樹脂が含まれている場合には、焼成処理をすることが好ましい。
【0085】
前記不活性ガスとしては、窒素ガスを用いることが望ましく、さらに必要に応じて、これに酸素ガスまたは空気を加えて、少量の酸素を含む不活性ガスとして用いてもよい。不活性ガス中に含まれる酸素量としては、1000ppm程度以下であればよい。
前記の焼成温度は、塗布液中に含まれるSi含有化合物(シリカ系成分)の性状によっても異なるが、350〜450℃の温度範囲から選択される。たとえば、易分解樹脂を含む塗布液を用いた場合には、この易分解性樹脂が分解または揮散する以上の温度で焼成処理を行うことが必要であり、これによりマトリックスが平均空孔径5nm以下の径の空孔を有する、低密度かつ高強度の低誘電率シリカ系被膜が形成される。
【0086】
また、この焼成処理は、塗布液の種類や被膜の膜厚などによっても異なるが、10〜60分をかけて行うことが好ましい。
ここで、焼成処理の温度が350℃未満であると、十分な被膜強度を有する被膜が得られず、また焼成処理の温度が450℃を越えると、半導体基板を構成するアルミニウム配線や銅配線などが酸化されたり、溶融したりして、該配線層に損傷を与えることがあるので、当該温度は350〜450℃の範囲に保つことが好ましい。
【0087】
低誘電率シリカ系被膜付半導体基板
本発明係る低誘電率シリカ系被膜付半導体基板とは、シリコン基板上、多層配線構造の配線層間、素子表面および/またはPN接合部分に、上記低誘電率シリカ系被膜を形成されてなる半導体装置用部品である。
この半導体基板上に形成された被膜は、無機化合物粒子を含んでいるので比誘電率が3以下と小さく、しかも被塗布面との密着性、耐アルカリ性などの耐薬品性や耐クラック性に優れ、さらには耐酸素プラズマ性やエッチング加工性などのプロセス適合性も備えているばかりでなく、著しく低い水分吸着性と十分に高い被膜強度を有している。
【0088】
【発明の効果】
本発明の低誘電率シリカ系被膜付半導体基板は、シリコン基板上、多層配線構造の配線層間、素子表面および/またはPN接合部分に、低誘電率シリカ系被膜が形成されてなり、該低誘電率シリカ系被膜中に特定の無機化合物粒子が含まれているので、比誘電率が3.0以下と小さく、被塗布面との密着性、耐アルカリ性などの耐薬品性や耐クラック性に優れ、さらには耐酸素プラズマ性やエッチング加工性などのプロセス適合性も備えているとともに、著しく低い水分吸着性(すなわち耐湿性が高い)と、十分に高い被膜強度とを有している。
【0089】
本発明の低誘電率シリカ系被膜の形成方法によれば、半導体基板上に配設された金属配線などにダメージを与えることなく、上記のような優れた特性を備えた低誘電率シリカ系被膜を有する半導体基板を提供することができる。
【0090】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0091】
【製造例1】
無機化合物粒子( P-1) の調製
平均粒径5nm、SiO2濃度20重量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として1.17重量%の珪酸ナトリウム水溶液9000gとAl2O3として0.83重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。
【0092】
反応液のpHは、添加直後、12.5に上昇したが、その後、ほとんど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20重量%のSiO2・Al2O3多孔質粒子前駆体の分散液を調製した。
この多孔質粒子前駆体の分散液500gに純水1,700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、珪酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られた珪酸液(SiO2濃度3.5重量%)3,000gを添加して多孔質粒子前駆体表面にシリカ保護膜を形成した。
【0093】
得られた多孔質粒子前駆体の分散液を、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13重量%に調整した後、多孔質粒子前駆体の分散液500gに純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩等を分離し、次いで限外濾過膜を用いて溶媒をメタノールに置換したのち、蒸留法によってメチルイソブチルケトン(MIBK)に置換して、固形分濃度20重量%のシリカ外殻層を形成した無機化合物粒子(P-1)の分散液を調製した。
【0094】
無機化合物粒子( P-2) の調製
前記無機化合物粒子(P-1)の調製と同様にして、シリカ保護膜を形成した多孔質粒子前駆体の分散液を得た後、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13重量%になったシリカ保護膜を形成した多孔質粒子前駆体の分散液500gに純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。
【0095】
次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩等を分離し、シリカ保護膜を形成した多孔質粒子前駆体の構成成分の一部を除去したSiO2・Al2O3多孔質粒子の分散液を調製した。
上記多孔質粒子分散液1500gと、純水500g、エタノール1,750gおよび28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO228重量%)104gを添加し、シリカ保護膜を形成した多孔質粒子の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆してシリカ外殻層を形成した。
【0096】
次いで、限外濾過膜を用いて溶媒をメタノールに置換したのち、蒸留法によってメチルイソブチルケトン(MIBK)に置換した固形分濃度20重量%の無機化合物粒子(P-2)の分散液を調製した。
無機化合物粒子( P-3) の調製
前記無機化合物粒子(P-2)の調製と同様にして、シリカ保護膜を形成した多孔質粒子の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆してシリカ外殻層を形成した。
【0097】
次いで、エバポレーターで固形分濃度5重量%まで濃縮した後、濃度15重量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、2時間加熱処理し、乾燥後、メチルイソブチルケトン(MIBK)に分散させて固形分濃度20重量%の無機化合物粒子(P-3)の分散液を調製した。
無機化合物粒子( P-4) の調製
前記無機化合物粒子(P-3)の分散液を乾燥し、次いで850℃で2時間加熱処理した後、メチルイソブチルケトン(MIBK)に分散させて固形分濃度20重量%の無機化合物粒子(P-4)の分散液を調製した。
【0098】
無機化合物粒子( P-5) の調製
無機化合物粒子(P-1)を調製する際に、SiO2として0.76重量%の珪酸ナトリウム水溶液と、Al2O3として1.25重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液とを使用し、無機化合物粒子(P-2)と同様にして、シリカ保護膜およびシリカ外殻層(シリカ保護膜は外殻層に含まれる)を形成した固形分濃度20重量%の無機化合物粒子(P-5)の分散液を調製した。
【0099】
無機化合物粒子( P-6 )の調製
無機化合物粒子(P-1)を調製する際に、SiO2として1.5重量%の珪酸ナトリウム水溶液と、Al2O3として0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液とを使用し、無機化合物粒子(P-4)と同様にしてオートクレーブ処理、乾燥および加熱処理をした後、メチルイソブチルケトン(MIBK)に分散させて固形分濃度20重量%の無機化合物粒子(P-6)の分散液を調製した。
【0100】
得られた無機化合物粒子(P-1)〜(P-6)のシリカ保護膜の厚さ、平均粒径、MOx/SiO2(モル比)、および屈折率を表1に示す。ここで、平均粒径は動的光散乱法により測定し、屈折率は標準屈折液としてCARGILL 製のSeriesA、AAを用い、以下の方法で測定した。
無機化合物粒子(P-1)〜(P-4)、(P-6)は、外殻層内部が多孔質となっており、無機化合物粒子(P-5)は、外殻層内部が空洞になっている。
【0101】
無機化合物粒子 (P-7) の調製
テトラメチルシリケート(SiO2:39重量%)1000gとメタノール5300gとの混合液に、濃度28重量%のアンモニア水を添加し、35℃で24時間撹拌したのち、限外濾過膜を用いて洗浄し、溶媒をメチルイソブチルケトン(MIBK)に置換して、固形分濃度20重量%の多孔質シリカ粒子(P-7)の分散液を調製した。
【0102】
粒子の屈折率の測定方法
(1)無機化合物粒子分散液をエバポレーターに採り、分散媒を蒸発させる。
(2)これを120℃で乾燥し、粉末とする。
(3)屈折率が既知の標準屈折液を2、3滴ガラス板上に滴下し、これに上記粉末を混合する。
(4)上記(3)の操作を種々の標準屈折液で行い、混合液が透明になったときの標準屈折液の屈折率を微粒子の屈折率とする。
【0103】
【製造例2】
被膜形成用塗布液 (S-1) の調製
トリエトキシシラン(信越化学工業製)66.67gとエタノール183.33gの混合溶液を20℃に保持し、これに0.05重量%濃度の硝酸含有水溶液21.82gを一度に加えて、150rpmの速度で攪拌しながら、20℃の温度で約1時間、トリエトキシシランの加水分解を行った。その後、10倍量のメチルイソブチルケトン(MIBK)を添加し、ロータリーエバポレーターを用いて再度、メチルイソブチルケトンに溶媒置換して、加水分解反応により生成したアルコールや溶解した水分(硝酸を含む)を完全に除去してシリカ濃度が20重量%であるトリエトキシシラン加水分解物(マトリックス前駆体)を得た。
【0104】
上記のようにして得られたトリエトキシシラン加水分解物のMIBK溶液125gに、アクリル樹脂5gをMIBK溶液20gに溶解させたものを混合し、ついでこれに上記で調製した無機化合物粒子(P-1)の分散液125gを混合して被膜形成用塗布液(S-1)を得た。このときのアクリル樹脂の数平均分子量は、22,190であった。
【0105】
被膜形成用塗布液 (S-2 〜 S-6) の調製
上記で調製した無機化合物粒子(P-2)〜(P-6)の分散液を各々用いた以外は被膜形成用塗布液(S-1)と同様にして被膜形成用塗布液(S-2)、(S-3)、(S-4)、(S-5)および(S-6)を得た。
被膜形成用塗布液 (S-9) の調製
上記で調製した多孔質シリカ粒子(P-7)の分散液を用いた以外は被膜形成用塗布液(S-1)と同様にして被膜形成用塗布液(S-9)を得た。
【0106】
【実施例1〜6】
シリカ系被膜付半導体基板 (L-1 〜 L-6 )の製造
上記のようにして調製した各被膜形成用塗布液(S-1)〜(S-6)を、それぞれ8インチのシリコンウェハー(半導体基板)にスピンコート法で塗布した。
その後、これらの基板を加熱処理工程に供して、空気雰囲気下で150℃の温度にて3分間加熱した。この加熱処理では、被膜中に含まれる有機溶媒などが蒸発してくるので、これを系外に排気した。
【0107】
次いで、これらの基板を上蓋を有する枚葉式の焼成処理装置(東京エレクトロン社製ACT-8)のホットプレート上に1枚ずつ設置して、以下の表1に示す酸素濃度を有する不活性ガス(窒素ガスに酸素600ppmを加えたもの)の雰囲気下で、さらに表1に示す温度にて30分間、焼成処理を施しシリカ系被膜付半導体基板(L-1〜L-6)を製造した。次に、これらを室温近くの温度まで冷却して系外に取り出した。
【0108】
このようにして得られた被膜の膜厚は、いずれも5,000Åであった。
次いで、これらのシリカ系被膜の比誘電率(水銀プローブ法、周波数1MHz)、酸素プラズマ照射前後の被膜の水分吸着量変化(TDS法:Thermal Desorption Mass-Spectroscopy)、被膜強度(セバスチャン強度試験機)および基板上の金属配線に対する損傷の有無(テスターにより配線抵抗値の変化を測定)を測定した。
【0109】
結果を表1に示す。
【0110】
【比較例1】
シリカ系被膜付半導体基板 (L-7) の製造
無機化合物粒子の分散液(P-1)を混合しなかった以外は被膜形成用塗布液(S-1)と同様にして被膜形成用塗布液(S-7)を調製し、これを8インチのシリコンウェハー(半導体基板)にスピンコート法で塗布した。
【0111】
その後、基板を加熱処理工程に供して、空気雰囲気下で150℃の温度にて3分間加熱した。この加熱処理では、被膜中に含まれる有機溶媒などが蒸発してくるので、これを系外に排気した。
次いで、これらの基板を上蓋を有する枚葉式の焼成処理装置(東京エレクトロン社製ACT-8)のホットプレート上に設置して、不活性ガス(酸素ガスを加えず)の雰囲気下で、表1に示す温度にて30分間、焼成処理を施しシリカ系被膜付半導体基板(L-7)を製造した。次に、これらを室温近くの温度まで冷却して系外に取り出した。
【0112】
このようにして得られた被膜の膜厚は、5,000Åであった。
次いで、実施例1と同様にシリカ系被膜の比誘電率、酸素プラズマ照射前後の被膜の水分吸着量変化、被膜強度および基板上の金属配線に対する損傷の有無を測定した。
結果を表1に示す。
【0113】
【比較例2】
シリカ系被膜付半導体基板 (L-8) の製造
被膜形成用塗布液(S-1)の調製と同様にして、シリカ濃度が20重量%であるトリエトキシシラン加水分解物(マトリックス前駆体)を調製し、これを被膜形成用塗布液(S-8)として用い、8インチのシリコンウェハー(半導体基板)にスピンコート法で塗布した。なお塗布液(S-8)には無機化合物粒子は含まれていない。
【0114】
その後、基板を加熱処理工程に供して、空気雰囲気下で150℃の温度にて3分間加熱した。この加熱処理では、被膜中に含まれる有機溶媒などが蒸発してくるので、これを系外に排気した。
次いで、これらの基板を上蓋を有する枚葉式の焼成処理装置(東京エレクトロン社製ACT-8)のホットプレート上に設置して、不活性ガス(窒素ガスに酸素を加えたもの)の雰囲気下で、表1に示す温度にて30分間、焼成処理を施しシリカ系被膜付半導体基板(L-8)を製造した。次に、これらを室温近くの温度まで冷却して系外に取り出した。
【0115】
このようにして得られた被膜の膜厚は、5,000Åであった。
次いで、実施例1と同様にシリカ系被膜の比誘電率、酸素プラズマ照射前後の被膜の水分吸着量変化、被膜強度および基板上の金属配線に対する損傷の有無を測定した。
結果を表1に示す。
【0116】
【比較例3】
シリカ系被膜付半導体基板 (L-9 )の製造
被膜形成用塗布液(S-9)を用いた以外は実施例1と同様にしてシリカ系被膜付半導体基板(L-9)を製造した。
このようにして得られた被膜の膜厚は5,000Åであった。
【0117】
次いで、実施例1と同様にシリカ系被膜の比誘電率、酸素プラズマ照射前後の被膜の水分吸着量変化、被膜強度および基板上の金属配線に対する損傷の有無を測定した。
結果を表1に示す。
【0118】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】無機化合物粒子の断面模式図を示す。
【符号の説明】
1・・・・多孔質物質
2・・・・外殻層
3・・・・空洞
Claims (13)
- シリコン基板と、シリコン基板上の多層の配線層と、低誘電率シリカ系被膜とからなる低誘電率シリカ系被膜付半導体基板であって、低誘電率シリカ系被膜がシリコン基板上、多層配線構造の配線層間、素子表面および/またはPN接合部分に設けられてなり、かつ、低誘電率シリカ系被膜が、外殻層を有し、内部が気体で充填された空洞であるか、あるいは気体と多孔質物質とからなる多孔質となっている無機化合物粒子であり、
該無機化合物粒子が、シリカとシリカ以外の無機化合物からなり、シリカをS i O 2 で表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物(MO x )で表したときのモル比MO x /S i O 2 が、0 . 0001〜1 . 0の範囲にあるものを、含むことを特徴とする低誘電率シリカ系被膜付半導体基板。 - 前記無機化合物粒子が、平均粒子径が5〜100nmの範囲にある請求項1に記載の低誘電率シリカ系被膜付半導体基板。
- 前記無機化合物粒子が、外殻層の厚さが1nm〜50nmの範囲にある無機化合物粒子である請求項1または2に記載の低誘電率シリカ系被膜付半導体基板。
- 前記無機化合物粒子の外殻層が、シリカを主成分とする請求項1〜3のいずれかに記載の低誘電率シリカ系被膜付半導体基板。
- 下記工程(a)〜工程(c)からなることを特徴とする低誘電率シリカ系被膜の形成方法;
(a)半導体基板上に、外殻層を有し、内部が気体で充填された空洞であるか、あるいは気体と多孔質物質とからなる多孔質となっている無機化合物粒子であり、該無機化合物粒子が、シリカとシリカ以外の無機化合物からなり、シリカをSiO2で表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物(MOx)で表したときのモル比MOx/SiO2が、0.0001〜1.0の範囲にあるものを含む低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を塗布する工程(b)得られた被膜を250℃以下の温度にて加熱処理する工程(c)該被膜を350〜450℃の温度にて焼成処理する工程。 - 前記無機化合物粒子が、平均粒子径が5〜100nmの範囲にあることを特徴とする請求項5に記載の低誘電率シリカ系被膜の形成方法。
- 前記無機化合物粒子が、外殻層の厚さが1nm〜50nmの範囲にあることを特徴とする無機化合物粒子である請求項5または6に記載の低誘電率シリカ系被膜の形成方法。
- 前記無機化合物粒子の外殻層が、シリカを主成分とすることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の低誘電率シリカ系被膜の形成方法。
- 前記低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液が、さらにマトリックス前駆体として下記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび下記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる少なくとも1種のケイ素化合物の加水分解物および/または下記一般式(III)で示される繰り返し単位を有するポリシラザンの1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の低誘電率シリカ系被膜の形成方法。
XnSi(OR)4-n (I)
XnSiX'4-n (II)
(式中、Xは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、Rは水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、X'はハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
アルキル基である。) - 前記低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液が、さらにマトリックス前駆体としての下記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび下記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる少なくとも1種のケイ素化合物の加水分解物および/または下記一般式(III)で表される繰り返し単位を有するポリシラザンの1種または2種以上と、前記無機化合物粒子との反応物を含むことを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の低誘電率シリカ系被膜の形成方法。
XnSi(OR)4-n (I)
XnSiX'4-n (II)
(式中、Xは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、Rは水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、X'はハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
- 前記低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液が、さらに、500〜50,000の数平均分子量(ポリスチレン換算)を有する易分解性樹脂を含むことを特徴とする請求項9または10に記載の低誘電率シリカ系被膜の形成方法。
- 前記易分解性樹脂は、ケイ素化合物の加水分解物および/またはポリシラザン、またはポリシロキサンと分子鎖レベルで絡み合った相互貫入型ポリマー組成物を構成していることを特徴とする請求項11に記載の低誘電率シリカ系被膜の形成方法。
- 前記低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液中の、ケイ素化合物の加水分解物、ポリシラザン、ポリシロキサンおよび/または相互貫入型ポリマー組成物は、末端にSi-H基を有することを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の低誘電率シリカ系被膜の形成方法。
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