JP3883042B2 - 荷受台昇降装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貨物自動車の後部又は側部に装着され、荷物の積載や荷降ろしに用いられる荷受台昇降装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
貨物自動車に装着される従来の荷受台昇降装置のうち、油圧等の動力が付与されるアームの回動に基づいて荷受台を昇降させるタイプのものは、一般に平行リンクを用いて昇降中の荷受台の姿勢を水平に保っている。また、このような荷受台昇降装置では、地面と荷受台との間で円滑に荷物の積み降ろしを行うべく、荷受台をチルト(傾斜)動作させる構造が採用される場合がある。かかる水平と傾斜とに共に対応するように荷受台を取り付けるには、アームに対して荷受台を軸着する構造が考えられる。
しかしながら、平行リンクとは別に精密にチルト動作をさせるための構造を採用すると、装置全体がかなり複雑になる。また、軸着された荷受台は、格納時に軸に対して端部側でこれを持ち上げようとすると、荷受台が回動反転して、非常に持ち上げにくい。
【0003】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、簡易な構造で、かつ、格納時の荷受台の持ち上げが容易な荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の荷受台昇降装置は、
車体に左右一対設けられ、その各々が、車体側に設けられた上下一対の支点A及びBをそれぞれ中心として所定範囲で回動可能な一対のアームと、これらのアームの各回動端側における作用点C及びDの間に接続された基部連結部材とによって構成され、A,B,C及びDを4頂点とする四角形は、辺ABに対して辺CDが右方にある一側面から見たときは、前記アームが上昇端から下方回動すると、下降端に至るまでに辺CDは右方に傾動し、辺ABに対して辺CDが左方にある他側面から見たときは、前記アームが上昇端から下方回動すると、下降端に至るまでに辺CDは左方に傾動する不等辺四角形である基部リンク機構と、
前記車体に対して左右一対設けられ、その各々が、前記作用点C及びDをそれぞれ中心として所定範囲で回動可能な一対のアームと、これらのアームの各回動端側における作用点E及びFの間に接続された先端部連結部材とによって構成され、C,D,E及びFを4頂点とする四角形が平行四辺形である先端部リンク機構と、
前記基部リンク機構を駆動する駆動装置と、
左右一対の前記先端部リンク機構の前記作用点E又はF側に一端部が軸着された荷受台と、
前記先端部リンク機構に対する前記荷受台の上方回動を規制する規制装置とを備えたものである(請求項1)
また、上記基部リンク機構における不等辺四角形を、異なる文言表現を用いて表すと、辺ABに対して辺CDが右方にある一側面から見たときは、前記アームが上昇端から下方回動すると、下降端に至るまでに前記作用点Dに対して前記作用点Cが相対的に時計回り方向に傾動し、辺ABに対して辺CDが左方にある他側面から見たときは、前記アームが上昇端から下方回動すると、下降端に至るまでに前記作用点Dに対して前記作用点Cが相対的に反時計回り方向に傾動する不等辺四角形である(請求項2)。
【0005】
上記のように構成された荷受台昇降装置では、基部リンク機構におけるアームの回動に従って、その回動端側に接続された先端部リンク機構のアームが回動し、荷受台が昇降動作する。基部リンク機構におけるアームの回動に伴って辺CDが辺ABに対して傾動することにより、先端部リンク機構における作用点の辺EFも辺CDと平行に傾動し、荷受台は、基部リンク機構が回動下降端に達するまでの辺CDの傾動に基づいてチルト動作する。この場合、チルト動作は昇降動作と別に行われるのではなく、昇降動作と一体的に行われる。また、規制装置は、荷受台が持ち上げられる際に、その上方回動を規制する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態によるアーム構造を採用した荷受台昇降装置について図面を参照して説明する。図1及び図2はそれぞれ、貨物自動車の車体101の後部における荷箱102の下方に取り付けた荷受台昇降装置1を示す背面図及び側面図である。図2において、後輪103より後方の、シャーシ104の両側面の各々には、ブラケット2Aが取り付けられ、これに支持部材2Bが取り付けられている。荷受台昇降装置1は、この支持部材2Bに取り付けられている。図2に示す荷受台昇降装置1は、車体101の下部に格納された走行時の状態である。そして、使用時には、図2の状態から、図3、図4、図5の順に示すように車体101の後方に引き出されて展開される。
【0007】
次に、上記荷受台昇降装置1の各部の構造について、展開中の状態の図4を参照して説明する。当該荷受台昇降装置1は、基本的に基部アーム(基部下アーム4,基部上アーム8)と先端部アーム(先端部下アーム13,先端部上アーム16)とを備えた2段アーム構造を有している。
図4において、基部下アーム4は、左端部に設けられたピン5を支点としてこれを中心に所定範囲で回動可能であり、このピン5は、支持部材2Bに支持されている。基部下アーム4の右端部は、作用点としてのピン6を介して基部連結部材7と接続されている。一方、基部上アーム8は、左端部に設けられたピン9を支点としてこれを中心に所定範囲で回動可能であり、このピン9は、支持部材2Bに支持されている。基部上アーム8の右端部は、作用点としてのピン10を介して基部連結部材7と接続されている。ここで、上記ピン9及び5を上下一対の支点A及びBとし、ピン10及び6を支点A及びBにそれぞれ対応する作用点C及びDとすると、上記基部下アーム4、基部連結部材7及び基部上アーム8は、A,B,C及びDを4頂点とし、辺CDは辺ABより長く、かつ、辺BDは辺ACより長い不等辺四角形からなる基部リンク機構を構成している。
【0008】
上記基部上アーム8には油圧シリンダ30(図4にのみ図示)が接続されており、油圧の供給により基部上アーム8が回動すると、基部下アーム4もこれに従って回動する。基部上アーム8は、車体幅方向に並べた同じ形の2枚の鋼材を、チャンネル材11により相互に固定してなるものである。このチャンネル材11は、基部上アーム8の補強の役目をする他、先端部上アーム16に対する回動規制をも行う。すなわち、図2の格納状態において、先端部上アーム16の先部(ピン17側)がチャンネル材11の上面に当接して、先端部上アーム16がそれ以上反時計回り方向に回動することを規制している。
【0009】
次に、図4において先端部下アーム13は、ピン6によって基部下アーム4に軸着され、図示の位置から反時計回り方向に所定範囲で回動可能に取り付けられている。先端部下アーム13の右端部は、作用点としてのピン14を介して先端部連結部材15と接続されている。また、L字状の先端部上アーム16は、ピン10によって基部上アーム8に軸着され、所定範囲で反時計回り方向に回動可能であり、逆に、図示の位置から時計回り方向には回り止めを施されている。先端部上アーム16の右端部は、作用点としてのピン17を介して先端部連結部材15と接続されている。ここで、ピン17及び14をそれぞれ作用点E及びFとすると、上記先端部下アーム13、先端部連結部材15及び先端部上アーム16は、C,D,E及びFを4頂点とする平行四辺形からなる先端部リンク機構を構成している。
【0010】
上記基部リンク機構(ABCD)、先端部リンク機構(CDEF)及び、先端部リンク機構によって支持される荷受台18は、図5における実線の位置が下降端であり、二点鎖線に示す位置が上昇端である。
また、先端部リンク機構(CDEF)は、基部リンク機構(ABCD)に対して反時計回り方向に回動することにより、図3及び図2に示すように折り畳み可能である。
【0011】
一方、図5において、荷受台18も折り畳み可能な構造であり、メインプレート19と、サブプレート20とによって構成されている。サブプレート20は、メインプレート19に対して図示の位置から反時計回り方向に回動可能である(図4参照)。メインプレート19は、ピン17を支持点として図示の位置から反時計回り方向に回動可能に取り付けられている。また、メインプレート19に取り付けられた調整ボルト21は、先端部連結部材15の右端面に当接している。
また、メインプレート19の左端から突設されたガイド板22は、荷物を積み降ろしする際に荷箱102の床面と荷受台18との隙間を埋める役目をする。ガイドローラ23は、荷受台昇降装置1の格納時に荷受台18と係合して、これを案内する。このガイドローラ23は、支持部材2Bに固定されたガイドローラ支持部材24によって回転自在に支持されている。
【0012】
次に、荷受台18の昇降メカニズムについて説明する。図6は、荷受台18と、これを昇降させる基部リンク機構及び先端部リンク機構からなるアーム構造とを原理的に示した側面図であり、各部の符号は図2〜図5と共通である。基部リンク機構は、不等辺四角形ABCDによって表され、A及びBは固定点、C及びDは可動点である。また、先端部リンク機構は平行四辺形CDEFによって表され、各頂点C,D,E,Fがすべて可動点である。基部下アーム4及び基部上アーム8が図示の範囲で回動すると、その回動端側に接続され、かつ、基部上アーム8に対して時計回り方向への回り止めを施されている先端部上アーム16が一体的に回動し、これに追随して先端部下アーム13も回動する。辺CDと辺EFとは常に互いに平行であり、辺EFに対して荷受台18は常に一定の姿勢を維持している。従って、辺CDの傾きにより荷受台18の傾きが決まる。逆に、辺CDの傾きが一定である限り、荷受台18の姿勢は一定であり、常に横向きである。例えば、図3に示す状態の荷受台18は、サブプレート20が折り畳まれている点では図5に示す状態とは異なるが、辺CDの傾きに関しては不変である。従って、荷受台18の姿勢(メインプレート19の傾斜)は、図3に示す状態と図5の実線に示す状態との範囲で、全く同一である。
【0013】
また、図6に示すように、上記先端部リンク機構(CDEF)は、基部上アーム8の上昇端においては基部上アーム8の傾斜角度より急な傾斜角度となって、辺CDに対して辺EF及び荷受台18をより一層押し上げる役目を果たしている。従って、基部リンク機構(ABCD)の回動範囲を抑制しつつ、荷受台18を所定の高さに押し上げることができる。また、荷受台上昇端において、基部アーム等と荷箱102との干渉を避けることができる。逆に、基部上アーム8の下降端においては、先端部リンク機構は、基部上アーム8の傾斜角度より緩い傾斜角度となって、辺CDに対して辺EF及び荷受台18の下降を抑制する役目を果たしている。
【0014】
本実施形態における上記基部リンク機構(ABCD)の辺AB,CD,AC及びBDの長さの関係は、AB<CDかつAC<BDとなるように構成されている。このような対向する2辺の大小関係は、それぞれリンク動作に影響を及ぼす。
図7は、図6に示した実際の配置とは別に、一般に不等辺四角形のリンク機構における辺AB,CDの大小関係がリンク動作にどのように影響するかを示す図である。(a)は、AC=BDとしてAB<CDとした場合のリンク動作を示し、(b)は、逆にAB>CDとした場合のリンク動作を示している。
【0015】
(a)において、実線で示す状態では、辺AB及びCDが共に垂直であるが、リンク機構の回動側が上昇することにより、辺CDは二点鎖線に示すように左方に傾斜する。また、リンク機構の回動側が下降することにより、辺CDは右方に傾斜する。一方、(b)において、実線で示す状態では、辺AB及びCDが共に垂直であるが、リンク機構の回動側が上昇することにより、辺CDは二点鎖線に示すように右方に傾斜する。また、リンク機構の回動側が下降することにより、辺CDは左方に傾斜する。すなわち、(a)と(b)とでは、リンク機構の回動に伴う辺CDの傾斜方向が逆の関係になる。
また、(a)においてさらに、AC>BDとすると、上昇時及び下降時における辺CDの垂直に対する傾斜角度が減少する。逆に、AC<BDとすると、上昇時及び下降時における辺CDの垂直に対する傾斜角度が増大する。(b)においてさらに、AC>BDとすると、上昇時及び下降時における辺CDの垂直に対する傾斜角度が増大する。逆にAC<BDとすると、上昇時及び下降時における辺CDの垂直に対する傾斜角度が減少する。
【0016】
以上のことから、ABとCDとの大小関係(等しい場合も含む。)を基にして、これに必要によりさらにACとBDとの大小関係(等しい場合も含む。)を加味した不等辺四角形のリンク機構を構成することにより、リンクの回動に伴って生じる辺ABに対する辺CDの傾きを所望の程度に調節することができる。本実施形態では、前述のようにAB<CDかつAC<BDの関係を採用している。
【0017】
図6に戻り、基部リンク機構(ABCD)の上昇端では、辺CD及び辺EFは左方に傾斜している。この状態において、荷受台18はほぼ水平に支持されている。そして、この状態から基部リンク機構が下降動作すると、辺CD及び辺EFは緩やかに傾動する。そして、下降端では辺CD及び辺EFの傾斜角度が、上昇端のときより小さくなり、荷受台18はチルトした状態にある。
このようにして、荷受台18のチルト動作は昇降動作と別に行われるのではなく、昇降動作と一体的に行われる。従って、チルト動作のための専用の構造が不要であり、構造が簡素である。また、このチルト動作は極めて滑らかに行われ、衝撃を伴わない。従って、荷物の転倒や落下を防止することができる。逆に、下降端から上昇端へ移動する場合にも同様に、荷受台18はチルト状態から極めて滑らかにその姿勢を水平に変える。
【0018】
次に、上記アーム構造についてさらに詳細に説明する。図8は、アーム構造(車体後方から見て左方側の例)の分解斜視図である。図において、基部上アーム8は前述のように2枚板からなり、その2枚板の端部間に、1枚板からなる先端部上アーム16が接続されている。一方、先端部下アーム13は2枚板からなり、その2枚板の端部間で、1枚板からなる基部下アーム4(但し、両端にはパイプ状の部材が溶接されている。)との接続がなされている。また、前述のように、基部連結部材7によって前述のC−D間が連結され、先端部連結部材15によってE−F間が連結されている。すなわち、上アーム(基部上アーム8及び先端部上アーム16)及び下アーム(基部下アーム4及び先端部下アーム13)が共に、2枚板のアームと1枚板のアームとを接続した構造になっている。
【0019】
図9は、図5に示す下降端位置の荷受台18における先端部連結部材15の周辺を拡大した詳細図である。図において、調整ボルト21は、メインプレート19の取付基部19aに溶接された雌ねじ部材21aにナット21bを介してダブルナットの状態で螺着されたものである。調整ボルト21は、先端部リンク機構の先端部連結部材15の右端面に当接して、上昇端位置における荷受台18がほぼ水平の姿勢となるように調整される。これにより、先端部リンク機構の先端部連結部材15に対する荷受台18の下方回動(時計回り方向への回動)が、上昇端から下降端までの範囲で規制される。
【0020】
一方、取付基部19aの左端側にはストッパ25が溶接されている。調整ボルト21が先端部連結部材15の右端面に当接した状態において、先端部連結部材15の左端面とストッパ25との間にはギャップGが設けられており、これにより、荷受台18は図示の位置から反時計回り方向に若干の回動が可能である。但し、若干の回動によりギャップGが詰まると、ストッパ25が先端部連結部材15に当接する。従って、荷受台18は、それ以上反時計回り方向に回動することができない。すなわち、荷受台18に取り付けられたストッパ25は、先端部リンク機構の先端部連結部材15に対する荷受台18の上方回動を所定範囲に規制する上方回動規制装置の役割を果たしている。また、このような装置は、先端部リンク機構の一部材である先端部連結部材15が、ストッパ25の当て部材として兼用されることにより、簡素で安価な構成となる。
【0021】
図10は、荷受台18におけるサブプレート20の先端部の断面図である。図において、サブプレート20の先端部には幅方向(紙面に垂直な方向)に延びた凹部20aと、幅方向に延びた円柱状の枢軸部20bとが設けられている。カートストッパ201は図示のような断面形状を有し、幅方向に延びた部材であり、枢軸部20bを支点として回動可能に取り付けられている。カートストッパ201と凹部20aとの間にはトーションスプリング202が装着され、これにより、カートストッパ201は時計回り方向に付勢されている。カートストッパ201は、荷受台18に載せられる荷物によって凹部20aに押し込まれ、さらに荷物を荷受台18の奥(メインプレート19側)へスライドさせることにより荷物が外れると、トーションスプリング202によって浮き上がり、荷物の転落を防止する。荷物を地面に降ろすには、作業者がカートストッパ201を踏み込んで、荷物をその上に載せながら手前に引く。
【0022】
図11は、展開された状態の荷受台18を下面側から見た図である。また、図12は、折り畳まれた状態の荷受台18を側面から見た詳細図である。図11及び図12において、メインプレート19とサブプレート20との接続部近傍には、コの字形状の金属パイプからなるステップ部材26が車体後方に張り出すように取り付けられている。荷受台18が格納された状態(図2)において、作業者が荷箱に乗り込むとき(または荷箱から降りるとき)には、ステップ部材26を踏み台として用いることができる。
【0023】
また、荷受台18の格納時(図4から図3)には、このステップ部材26を握って持ち上げることにより、荷受台18を容易に格納することができる。なお、このとき、図示しない固縛装置(手動操作により解除可)によってサブプレート20はメインプレート19に固縛されており、ステップ部材26を握って持ち上げても、サブプレート20が開くことはない。
荷受台18を持ち上げるとき、荷受台18は図9のピン17(E)を中心として反時計回り方向に上方回動しようとするが、前述のようにギャップGが詰まるとストッパ25により上方回動が規制される。従って、荷受台18は回動せず、先端部リンク機構(CDEF)と共に図4の状態から図3の状態へ(又はその逆に)移行する。これにより、荷受台18を確実に格納(又はその逆の展開)することができる。
【0024】
以上のように構成された荷受台昇降装置1における一連の通常動作(引出しから昇降及び格納)について、図2〜図5を参照して説明する。
まず、車両を停止してパーキングブレーキを引いた後、図2に示す状態から油圧シリンダ30(図4)を駆動して基部上アーム8及び基部下アーム4を時計回り方向に下降端まで回動させる。これに伴い、荷受台18がガイドローラ23に押しのけられるようにして、先端部下アーム13及び先端部上アーム16はそれぞれピン6及びピン10を中心に時計回り方向へ少し開き、図3に示す状態に至る。
【0025】
次に、折り畳まれた状態の荷受台18を操作者が手で後方に引き出す。これにより、先端部下アーム13及び先端部上アーム16がそれぞれピン6及びピン10を中心に時計回り方向に回動する。この回動中、各ピン10,6,17,14によって構成される平行四辺形CDEFは形を変えながらも、辺CDと辺EFとは互いに平行の関係を維持する。従って、荷受台18は一定の姿勢を維持しながら降下し、図4に示すように床面近くに達する。その後、操作者が手で荷受台18のサブプレート20を起こして回動させ、図5に示すように展開する。
【0026】
荷物を降ろす場合は、ここで、油圧シリンダ30(図4)を駆動して基部上アーム8及び基部下アーム4を反時計回り方向に回動させる。これに従って、先端部上アーム16及び先端部下アーム13も回動し、荷受台18が上昇する。この上昇中において、基部リンク機構(ABCD)の辺CDが、辺ABに対して徐々に傾動することにより、先端部リンク機構(CDEF)の辺EFも同様に傾動し、荷受台18は、チルト状態から緩やかに水平になる。こうして、荷受台18と荷箱102の床面とが一致する図5の二点鎖線に示す上昇端まで、荷受台18が上昇する。ここで、操作者が荷物を荷箱102から荷受台18に移載する。移載後、油圧シリンダ30(図4)を駆動して基部上アーム8および基部下アーム4を時計回り方向に回動させる。これに従って、先端部上アーム16及び先端部下アーム13も回動し、荷受台18が下降する。この下降中において、基部リンク機構の辺CDが、辺ABに対して徐々に傾動することにより、辺EFも同様に傾動し、荷受台18は、略水平状態から緩やかにチルト状態に移行して下降端に達する。従って、荷物には衝撃が加わらず、荷物の転倒や落下を防止することができる。
荷物を荷箱102に積み込む場合は、上述の動作が逆の順序で行われる。
【0027】
次に、荷受台昇降装置1を格納する場合は、図5の実線に示す状態から、操作者がサブプレート20を折り畳み、図4に示す状態とした後、折り畳まれた荷受台18を持ち上げ、図3に示す状態に戻す。このとき、ストッパ25(図9)が先端部連結部材15に当接して荷受台18の回動を防止するので、荷受台18を確実に持ち上げることができる。ここで、油圧シリンダ30(図4)を駆動し、基部上アーム8及び基部下アーム4を反時計回り方向に回動させる。これにより、荷受台18は、図2に示す状態となり、車体101の下部に格納される。
【0028】
なお、上記実施形態において、ストッパ25は、取付基部19a以外の場所に設けてもよい。例えば、図13に示すように、取付基部19aの左下端面との間に若干のギャップGを確保しつつ、先端部下アーム13にストッパ25を設けてもよい。この場合も、ギャップGを詰める以上に荷受台18が反時計回りに回動することはできない。
【0029】
なお、上記実施形態において、荷受台昇降装置1は、車体101の後方に引き出されるものとして説明したが、側方に引き出される構成であっても、同様に適用することができる。
また、荷受台18のメインプレート19は、ピン17を支持点として回動可能に取り付けられているが、ピン17とは別に設けたピンを支持点として回動可能に取り付けてもよいし、あるいは、ピン14を支持点として回動可能に取り付けることも可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明の荷受台昇降装置によれば、荷受台は、基部リンク機構が回動下降端に達するまでの辺CDの傾動に基づいてチルト動作し、チルト動作は昇降動作と別に行われるのではなく、昇降動作と一体的に行われる。従って、チルト動作のための専用の構造が不要であり、構造が簡素である。また、規制装置は、荷受台が持ち上げられる際に、その上方回動を規制するので、荷受台を確実に持ち上げて格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるアーム構造を含む荷受台昇降装置が、貨物自動車の車体後部における荷箱の下方に取り付けられた状態の背面図である。
【図2】上記荷受台昇降装置の側面図であり、車体に格納された状態を示している。
【図3】上記荷受台昇降装置の側面図であり、展開又は格納途中の状態を示している。
【図4】上記荷受台昇降装置の側面図であり、先端部リンク機構が基部リンク機構に対して展開され、荷受台が折り畳まれている状態を示している。
【図5】上記荷受台昇降装置の側面図であり、先端部リンク機構及び荷受台が展開され、昇降する状態を示している。
【図6】上記荷受台昇降装置における荷受台と、これを昇降させる基部リンク機構及び先端部リンク機構からなるアーム構造とを原理的に示した側面図である。
【図7】一般に不等辺四角形のリンク機構における辺AB,CDの大小関係がリンク動作にどのように影響するかを示す図である。
【図8】図2〜図6に示すアーム構造(車体後方から見て左方側の例)の分解斜視図である。
【図9】図5に示す下降端位置の荷受台における先端部連結部材の周辺を拡大した詳細図である。
【図10】荷受台におけるサブプレートの先端部の断面図である。
【図11】展開された状態の荷受台を下面側から見た図である。
【図12】折り畳まれた状態の荷受台を側面から見た詳細図である。
【図13】図9とは異なる位置にストッパを設けた例を示す図である。
【符号の説明】
1 荷受台昇降装置
4 基部下アーム
5 ピン(B)
6 ピン(D)
7 基部連結部材
8 基部上アーム
9 ピン(A)
10 ピン(C)
13 先端部下アーム
14 ピン(F)
15 先端部連結部材
16 先端部上アーム
17 ピン(E)
18 荷受台
25 ストッパ(規制装置)
30 油圧シリンダ(駆動装置)
101 車体
ABCD 基部リンク機構
CDEF 先端部リンク機構

Claims (2)

  1. 車体に左右一対設けられ、その各々が、車体側に設けられた上下一対の支点A及びBをそれぞれ中心として所定範囲で回動可能な一対のアームと、これらのアームの各回動端側における作用点C及びDの間に接続された基部連結部材とによって構成され、A,B,C及びDを4頂点とする四角形は、辺ABに対して辺CDが右方にある一側面から見たときは、前記アームが上昇端から下方回動すると、下降端に至るまでに辺CDは右方に傾動し、辺ABに対して辺CDが左方にある他側面から見たときは、前記アームが上昇端から下方回動すると、下降端に至るまでに辺CDは左方に傾動する不等辺四角形である基部リンク機構と、
    前記車体に対して左右一対設けられ、その各々が、前記作用点C及びDをそれぞれ中心として所定範囲で回動可能な一対のアームと、これらのアームの各回動端側における作用点E及びFの間に接続された先端部連結部材とによって構成され、C,D,E及びFを4頂点とする四角形が平行四辺形である先端部リンク機構と、
    前記基部リンク機構を駆動する駆動装置と、
    左右一対の前記先端部リンク機構の前記作用点E又はF側に一端部が軸着された荷受台と、
    前記先端部リンク機構に対する前記荷受台の上方回動を規制する規制装置と
    を備えたことを特徴とする荷受台昇降装置。
  2. 車体に左右一対設けられ、その各々が、車体側に設けられた上下一対の支点A及びBをそれぞれ中心として所定範囲で回動可能な一対のアームと、これらのアームの各回動端側における作用点C及びDの間に接続された基部連結部材とによって構成され、A , , C及びDを4頂点とする四角形は、辺ABに対して辺CDが右方にある一側面から見たときは、前記アームが上昇端から下方回動すると、下降端に至るまでに前記作用点Dに対して前記作用点Cが相対的に時計回り方向に傾動し、辺ABに対して辺CDが左方にある他側面から見たときは、前記アームが上昇端から下方回動すると、下降端に至るまでに前記作用点Dに対して前記作用点Cが相対的に反時計回り方向に傾動する不等辺四角形である基部リンク機構と、
    前記車体に対して左右一対設けられ、その各々が、前記作用点C及びDをそれぞれ中心として所定範囲で回動可能な一対のアームと、これらのアームの各回動端側における作用点E及びFの間に接続された先端部連結部材とによって構成され、C , , E及びFを4頂点とする四角形が平行四辺形である先端部リンク機構と、
    前記基部リンク機構を駆動する駆動装置と、
    左右一対の前記先端部リンク機構の前記作用点E又はF側に一端部が軸着された荷受台と、
    前記先端部リンク機構に対する前記荷受台の上方回動を規制する規制装置と
    を備えたことを特徴とする荷受台昇降装置。
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