JP3881712B2 - 有機物ガス化・分解装置の運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスチック、重質油、残渣油などの有機物を部分ガス化してメタノール合成用の原料ガスを製造するガス化・分解装置の運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来の装置の一例である有機物の部分ガス化装置及びメタノール合成装置の概念を示す説明図である。図3の装置において、装置の始動時にはガス化炉51を予熱装置52によって約700℃に予熱し、このガス化炉51に水封タンク56によってシールされた噴流用ガス供給ライン55から、例えば窒素ガス、炭酸ガスなどのイナートガスである噴流用ガスを常温で供給するとともに、水蒸気・酸素供給ライン53及び原料供給装置54から、水蒸気と支燃ガスである酸素の混合ガス及び例えばプラスチック廃棄物をペレット状に粉砕した有機物原料を供給し、ガス化炉51内の熱及び噴流用ガスの噴流によって有機物原料と水蒸気及び酸素とを反応させてガス化し、メタノール合成用の原料ガス(CO+H2 +CO2 )を生成させる。定常運転中のガス化炉51内は、この反応熱によって700℃前後の温度が維持される。
【0003】
このメタノール合成用原料ガス(H2 +CO+CO2 )を熱回収装置57によって所要の温度に冷却し、ガス化炉51で微量副生したすす、タール、フライアッシュ、未反応の固体有機物等をガス洗浄装置58によって除去し、COシフト装置59によって一酸化炭素と水蒸気とを触媒存在下で水素ガスと炭酸ガスとに転換してメタノール合成用の原料ガス組成に最適なH2 /CO/CO2 比とし、CO2 除去装置60によって余分の炭酸ガスを除去し、メタノール合成装置61に供給してCO+2H2 →CH3 OH及びCO2 +3H2 →CH3 OH+H2 Oの反応によりメタノール(CH3 OH)を合成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の装置では、原料又はガス化条件等によりガス化炉51で副生されるタールや未反応の有機物は、炉内が高温のため気体状になっている。ところが、装置の運転が停止されて温度が低下するとこれらのタールや未反応の有機物ガスは液体又は固体となって各装置や配管内壁に付着し、運転が再開されても除去することは困難であり、これらのタールや未反応の有機物原料が各装置や配管内に溜まることになる。特に、ガス化炉の後流の装置に触媒が使用されている場合は、これらのタールや未反応の有機物がその触媒に付着して表面を覆い、触媒の作用を低下させる。
また、始動時には装置内の温度が低いため反応の立ち上がりが遅く、メタノール合成用の原料ガスの組成が安定するまでの時間が長いという問題もある。
【0005】
本発明の目的は前記従来技術の問題点を解決し、運転の停止、始動を繰り返す有機物ガス化・分解装置の運転に際し、タール等の付着による影響が少なく、安定した運転が可能な有機物ガス化・分解装置の運転方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、有機物原料を水蒸気及び支燃ガスによって部分ガス化反応させ、部分ガス化反応と同時にもしくは部分ガス化反応に続いて部分ガス化反応で生成したガス中の炭化水素成分を分解させてメタノール合成用の原料ガスを生成する有機物ガス化・分解装置の運転に際し、有機物ガス化・分解装置の運転始動時には装置内に水蒸気を供給して洗浄したのち、有機物原料、水蒸気及び支燃ガスを供給して反応を行わせるようにし、運転停止時には運転停止後直ちに装置内に残留するガスを水蒸気によってパージすることを特徴とする有機物ガス化・分解装置の運転方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明では、有機物ガス化・分解装置の始動時に、装置内、特に触媒の表面を水蒸気によって昇温及び清浄化し、有機物原料を部分ガス化及び分解する際の触媒の反応促進作用を向上させる。
また、有機物ガス化・分解装置の停止時には、装置内に残留しているガス状のタールや未反応の有機物原料を含有する反応ガスの温度が低下しないうちに、この残留反応ガスを水蒸気によって装置外へパージすることによって、タールや未反応の有機物の装置内、特に触媒への付着による反応促進作用の低下を防止することができる。
【0008】
本発明の方法は図3に示したような従来方式の有機物のガス化・分解装置に適用することができるが、特にガス化・分解炉を複数の段階に分割し、触媒層を設置した有機物ガス化・分解装置に適用した際に効果が大きい。
【0009】
【実施例】
図1は本発明の一実施例である有機物のガス化・分解装置及びメタノール合成装置の概念を示す説明図である。図1の有機物のガス化・分解装置の主要部は有機物原料を水蒸気及び酸素と反応させ、副生するタール、すすなどを含む粗製のメタノール合成用原料ガスを生成させるガス化炉1、この粗製原料ガス中のフライアッシュや未反応有機物などの固体物を除去するサイクロン5、及び固体物を除いた粗製原料ガスを供給し、さらに水蒸気及び酸素を供給して原料ガスの一部と反応させて反応温度を確保しながらタール、すす、ガス状の未反応有機物などを分解するガス分解炉2で構成されている。
【0010】
図1において、ガス化炉1には、予熱装置52、開閉弁12を有する水蒸気供給ライン7、開閉弁13を有する支燃ガスである酸素ガス供給ライン8、原料供給装置54、水封タンク56でシールされて開閉弁11を有する噴流用ガス供給ライン55が設けられている。ガス分解炉2には、例えばニッケル(Ni)含有金属であるSUS310S金網又はNi金網の触媒3が水平方向に複数段内装され、その入側には開閉弁14を有する水蒸気供給ライン9及び開閉弁15を有する酸素ガス供給ライン10が設けられていて、ガス化炉1の後流にサイクロン5を介して配置されている。このサイクロン5の下部にはダスト排出ライン6が設けられている。ガス分解炉2の後流には熱回収装置57、ガス洗浄装置58、COシフト装置59、CO2 除去装置60及びメタノール合成装置61が配置され、ガス分解炉2と熱回収装置57との間には、開閉弁17を有するブロー管18及び開閉弁16が設けられている。
【0011】
装置の始動時には、開閉弁11、13、15、16を閉じると共に、開閉弁12、14、17を開き、水蒸気供給ライン7、9からガス化炉1及びガス分解炉2に水蒸気20を供給して流通させ、ブロー管18からそのブローガス21をパージする。この水蒸気20の流通により、ガス化炉1、サイクロン5、ガス分解炉2及びこれら機器を連結する配管内、特に触媒3の表面を水蒸気によって110〜150℃程度に昇温すると共に清浄化し、触媒3の反応促進作用の低下を防止する。そして、ガス化炉1を予熱装置52によって約700℃に予熱し、開閉弁17を閉じると共に他の開閉弁11〜16を開き、噴流用ガス供給ライン55から例えば炭酸ガスなどのイナートガスである噴流用ガス23を常温で供給すると共に、水蒸気供給ライン7及び酸素ガス供給ライン8から水蒸気20及び支燃ガスである酸素ガス22を混合して供給し、さらに原料供給装置54から例えばプラスチック廃棄物をペレット状に粉砕した有機物原料24を供給し、炉内の熱によって有機物原料24と水蒸気20及び酸素ガス22とを反応させてガス化し、メタノール合成用原料ガス(H2 +CO+CO2 )を生成させる。定常反応時にはガス化炉1内は、この反応熱によって700℃前後の温度に維持される。このガス化炉1内では、有機物原料の中のフライアッシュ、すす、タールなどが副生され、未反応の固体及びガス状の有機物が残留する。
【0012】
この副生物及び残留物を含有したメタノール合成用原料ガス(H2 +CO+CO2 )をサイクロン5に供給してフライアッシュ、固体有機物等の固体物を除去し、ダスト排出ライン6によって排出する。この固体物を除去したメタノール合成用原料ガス(H2 +CO+CO2 )をガス分解炉2に供給すると共に、水蒸気供給ライン9及び酸素供給ライン10から水蒸気20及び酸素ガス22を混合して供給し、このガス分解炉2の温度を少なくともガス化炉1の温度よりも上昇させ、例えば約20%のNiを含有するSUS310S金網又はNi金網を触媒3として有機物ガス、すす、タールなどと反応させ、タールをほとんど含有しないメタノール合成用原料ガス(H2 +CO+CO2 )に反応及び分解し、後流の機器57〜61に供給する。そして、メタノール合成装置61において2H2 +CO→CH3 OH及びCO2 +3H2 →CH3 OH+H2 Oの化学反応でメタノールを合成する。図2はこのようにして生成させたメタノール合成用原料ガス中のタール濃度(g/m3 ・N)と用いた触媒の種類との関係を示すグラフであり、触媒としてSUS310S金網又はNi金網を使用した場合、タールをほとんど含有しないメタノール合成用原料ガスが得られることがわかる。
【0013】
装置の停止時にはガス化炉1、ガス分解炉2、サイクロン5及びこれら機器を連結する配管の温度が低下しないうちに、好ましくは約700°までの間に、開閉弁11、13、15、16を閉じると共に、開閉弁12、14、17を開き、水蒸気供給ライン7、9から水蒸気20を流通させ、ガス化炉1、ガス分解炉2、サイクロン5及びこれら機器を連結する配管内に残留している気体状のタール及び未反応有機物をブローガス21としてブロー管18からパージする。この反応ガスのパージにより、ガス化炉1、ガス分解炉2、サイクロン5及びこれら機器を連結する配管内壁、特に触媒3の表面へのタール及び未反応有機物の付着による触媒3の反応促進作用の低下を防止する。
【0014】
【発明の効果】
本発明では、有機物ガス化・分解装置の始動時に、装置内に水蒸気を流通して装置内、特に触媒の表面を水蒸気によって昇温及び清浄化することにより、有機物原料を部分ガス化及び分解する際の触媒の反応促進作用を向上させることができる。
また、有機物ガス化・分解装置の停止時には、装置内に残留しているガスの温度が低下しないうちに、この残留ガスを水蒸気によって装置外へパージすることにより、ガス化したタールや未反応の有機物原料の装置内やこれら装置を連結する配管内壁、特に触媒表面への付着による反応促進作用の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である有機物の部分ガス化・ガス分解装置及びメタノール合成装置の概念を示す説明図。
【図2】実施例における触媒の種類と原料ガス中のタール濃度との関係を示すグラフ。
【図3】従来の装置の一例である有機物の部分ガス化装置及びメタノール合成装置の概念を示す説明図。
Claims (1)
- 有機物原料を水蒸気及び支燃ガスによって部分ガス化反応させ、部分ガス化反応と同時にもしくは部分ガス化反応に続いて部分ガス化反応で生成したガス中の炭化水素成分を分解させてメタノール合成用の原料ガスを生成する有機物ガス化・分解装置の運転に際し、有機物ガス化・分解装置の運転始動時には装置内に水蒸気を供給して洗浄したのち、有機物原料、水蒸気及び支燃ガスを供給して反応を行わせるようにし、運転停止時には運転停止後直ちに装置内に残留するガスを水蒸気によってパージすることを特徴とする有機物ガス化・分解装置の運転方法。
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JP27419295A JP3881712B2 (ja) | 1995-10-23 | 1995-10-23 | 有機物ガス化・分解装置の運転方法 |
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JP27419295A JP3881712B2 (ja) | 1995-10-23 | 1995-10-23 | 有機物ガス化・分解装置の運転方法 |
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JP27419295A Expired - Lifetime JP3881712B2 (ja) | 1995-10-23 | 1995-10-23 | 有機物ガス化・分解装置の運転方法 |
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1995
- 1995-10-23 JP JP27419295A patent/JP3881712B2/ja not_active Expired - Lifetime
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