JP3881471B2 - レンズアレイアッセンブリおよびこれを用いた光学装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、レンズアレイアッセンブリおよびこれを用いた光学装置に関し、詳しくは、たとえば、密着型イメージセンサなどの光学装置において、読み取りライン上の画像の正立等倍像をライン状に配置された受光素子上に結像させるなどの目的に用いられるレンズアレイアッセンブリおよびこれを用いた光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
密着型イメージセンサにおいて、正立等倍像を得る目的に使用されてきたレンズは、いわゆるセルフォックレンズアレイと呼ばれ、図9および図10に示すような構成を備えいる。すなわち、このレンズアレイ9は、独特な光学的特性をもった複数のロッドレンズ(セルフォックレンズ)91を光軸を揃えてその光軸と直交する方向に並列させた状態で樹脂製のホルダ90内に保持させてある。各ロッドレンズ91は、その入射面91aと出射面91bとがいずれもホルダ90の一面90aおよび他面90bと対応した平坦面となっているが、屈折率を半径方向外方ほど大きくなるように異ならせたものである。このロッドレンズ91は、図10に示すように光路を蛇行させることができる結果、物体a→bの正立等倍像a’→b’を得ることができる。なお、物体a→bから正立等倍像a’→b’までのレンズの光軸方向の距離H0 を共役長と呼び、密着型イメージセンサを構成する場合、この共役長H0 によって規定されるセルフォックレンズアレイ9から入射側の一定距離の位置および出射側の一定距離の位置に原稿読み取り面33およびイメージセンサチップの受光面36をそれぞれ配置する必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のセルフォックレンズアレイは、まず第1に、これが備えるロッドレンズにその内部の各所で屈折率を異ならせるという独特な光学的特性をもたせる必要があるために、特殊な製造技術を持つ者のみに製造可能であり、それ故に高価に過ぎるという大きな難点がある。このことは、密着型イメージセンサ等を備えたファクシミリやイメージリーダなどの光学機器のコストダウンの障害になる。
【0004】
第2に、セルフォックレンズアレイとしての共役長や焦点深度を変更するには、セルフォックレンズそのものの光学的特性を変更するしかないために、共役長や焦点深度の選択の幅が狭く、これによってこのセルフォックレンズアレイを用いた光学機器の設計の自由度が狭められるという問題がある。
【0005】
本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、従来のセルフォックレンズアレイと同様の正立等倍像を得ることができるとともに、従来のセルフォックレンズアレイに比較して格段に安価に製造可能であり、しかも、共役長や焦点深度を自由に選択することができるレンズアレイアッセンブリを提供することをその課題とする。
【0006】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
すなわち、本願発明の第1の側面によって提供されるレンズアレイアッセンブリは、それぞれが同一ピッチで並列配置された複数のレンズ部と、これらのレンズ部を一体的につなぐホルダ部とが樹脂一体成形によって形成された、入射側の第1のレンズアレイと出射側の第2のレンズアレイを備えるとともに、各レンズアレイは、それらがそれぞれ備える上記レンズ部の光軸が合うように積層され、かつ、正立等倍像が得られるように組み合わされているレンズアレイアッセンブリであって、少なくとも入射側の第1レンズアレイには、上記レンズ部どうしを光学的に分離させる手段が設けられているとともに、上記各レンズアレイの上記レンズ部は、それらのレンズ面が入射側から出射側に向かうにつれて大径化するように形成されていることを特徴としている。
【0008】
各レンズアレイの各レンズ部は、通常、入射面と出射面をともに凸曲面状とする凸レンズとして形成される。2つのレンズアレイを組み合わせる場合、各光軸上に2つの凸レンズ部が直列に並ぶことになる。光は、第1のレンズアレイの凸レンズ部を通過した後、第2のレンズアレイの凸レンズ部を通過する。ここで、第1のレンズアレイの凸レンズ部の入射面を第1面、出射面を第2面、第2のレンズアレイの凸レンズ部の入射面を第3面、出射面を第4面ということとする。図5において、入射側のある始点Sを出発した光が第1面11aでの屈折によって第2面11b、第3面21a付近で一次焦点を形成するようにする。第2面11bと第3面21aは対向する凸曲面であるから、第2面11bから出射して第3面21aに入射するときの屈折により、光は光軸方向からからみて始点方向に戻るように折れ曲がる。そして、1次焦点からの光が第4面21bでの屈折によって出射側のある点Rに2次焦点を結ぶようにする。このように光軸を合わせた複数の凸レンズ部により、セルフォックレンズにみられる光の蛇行現象と同等の現象が得られ、レンズアレイアッセンブリの入射側の所定距離にある物体の正立等倍像が出射側の所定距離の位置に形成されるのである。
【0009】
本願発明に係るレンズアレイアッセンブリは、各レンズアレイが通常は凸レンズからなるレンズ部と、これらをつなぐホルダ部とを樹脂一体形成して形成されているのであり、従来のセルフォックレンズのように、レンズの各所で屈折率を異ならせるといった困難な構成は全く不要であり、透明樹脂を用いた単純な金型成形によって得ることができる。また、各レンズ部の特性を自由に変更して、共役長や焦点深度を設定することができる。
【0010】
本願発明に係るレンズアレイアッセンブリにおいてはまた、少なくとも出射側の第1レンズアレイに、隣接するレンズ部間のクロストークを防止するための手段が設けられている。したがって、あるレンズ部に入射した光が隣のレンズ部に混入することによる画像劣化を適正に防止することができる。なお、2つのレンズアレイを組み合わせる場合において、入射側の第1のレンズアレイのみに上記のような各レンズ部を光学的に分離する手段を設け、第2のレンズアレイにはこのような光学的な分離手段を設けなくとも、クロストークによる画像劣化は十分に防止できることが確認されている。もちろん、第2のレンズアレイにも同様にレンズ部間を光学的に分離する手段を設けることは、クロストークの防止にはある程度寄与するが、その寄与の程度は第1のレンズアレイよりも低く、むしろ、光量低下が著しいことが確認されている。したがって、本願発明によれば、正立等倍画像の明るさを確保しつつも、クロストークによる画像劣化を適正に防止できることになる。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記レンズ部どうしを光学的に分離させる手段は、上記レンズ部どうしを光学的に分離させる手段は、上記第1のレンズアレイにおいて、ホルダ部における各隣接するレンズ部の間に出射側のみから所定深さ没入する有底状の溝を含んでいる。溝は、レンズアレイの成形時に同時に形成することができるので、そのために工程や部品が増えるということはない。
【0013】
好ましい実施の形態においてはまた、上記溝の内面は、黒色またはそれに近い暗色系の遮光材で覆われている。たとえば、溝の内面に暗色系の塗膜を形成したり、溝内を暗色系の部材で埋めるということが考えられる。このようにすれば、レンズ部から側方に漏れ出ようとする光が遮光材で吸収され、隣のレンズ部にクロストークとして入り込むことがより確実に防止される。
【0014】
好ましい実施の形態においてはさらに、レンズ部どうしを光学的に分離させる手段は、ホルダ部の入射側の面および/または出射側の面におけるレンズ部を囲む領域を覆う黒色またはそれに近い暗色系の遮光材をさらに含んでいる。このようにすれば、上記のように各レンズ部間に溝を設けてレンズ部間を光が移行することが防止されることに加え、レンズ部の入射面以外の面からレンズアレイ内に光が入射し、レンズ部の出射面以外の面からレンズアレイ内の光が出射することが防止されるので、上記のクロストーク防止効果がさらに高められる。
【0015】
好ましい実施の形態においては、各レンズアレイは、複数のレンズ部が所定間隔で直線状に並ぶように長尺ブロック状に形成されたものである。このように形成されたレンズアレイアッセンブリは、画像をライン状に読み取る光学装置において、原稿載置面上の読み取りラインの画像を正立等倍に受光素子に結像させるのに好適なものとなる。
【0016】
好ましい実施の形態においてはさらに、各レンズアレイは、積層方向に隣接する一方に設けた凸部と、他方に設けた凹部とを互いに嵌合させることにより組み合わされている。このようにすれば、各レンズアレイを積層状に組み合わせる組み立て工程がきわめて簡単なものとなる。
【0017】
本願発明の第2の側面によれば、光学装置が提供され、この光学装置は、原稿載置面と、受光素子と、これらの間に配置された上記本願発明の第1の側面に係るレンズアレイアッセンブリとを備え、原稿載置面に載置された原稿の正立等倍像を受光素子上に結像させるように構成したことを特徴としている。光学装置のレンズアレイとして本願発明の第1の側面に係るレンズアレイアッセンブリを用いることにより、レンズアレイとしてのコストが著しく削減され、装置のコストダウンに大きく寄与する。また、レンズアレイアッセンブリの共役長や焦点深度を自由に設定することができるので、この光学機器の設計の自由度が高められる。
【0018】
本願発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【0019】
【好ましい実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0020】
図1は本願発明に係るレンズアレイアッセンブリ1の第1の実施形態の中央縦断面図、図2は同部分平面図、図3は図1のIII-III 線断面図、図4は図1のIV-IV 線断面図、図5は作用説明図である。
【0021】
このレンズアレイアッセンブリ1は、第1のレンズアレイ10と、第2のレンズアレイ20とが積層状態で組み合わせられている。各レンズアレイ10,20は、長手方向に同じピッチで等間隔に配列された複数のレンズ部11,21と、これらのレンズ部11,21間をつなぐホルダ部12,22とを備えており、全体として、横幅がレンズ部の直径よりも大の横断面矩形状をした長尺ブロック状を呈している。そして、各レンズアレイ10,20の長手方向両端部には、両レンズアレイを積層状態に保持するための連結手段13,23が設けられている。そして、各レンズアレイ10,20は、透明樹脂による成形物であり、その材質としては、透明度、および機械強度ならびに耐熱強度にすぐれた、たとえば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(メタクリル樹脂))、あるいはPC(ポリカーポネート)が好適に採用される。
【0022】
第1のレンズアレイ10は、光の入射側に配置され、第2のレンズアレイ20は、光の出射側に配置される。各レンズアレイ10,20のレンズ部11,21は、入射面11a,21aおよび出射面11b,21bがともに凸曲面の凸レンズの形態を持っており、第1のレンズアレイ10のレンズ部11と第2のレンズアレイ20のレンズ部21は、それぞれ、光軸が合わせられている。なお、第1のレンズアレイ10におけるレンズ部11の入射面11aと出射面11b間の距離L1 と、第2のレンズアレイ20におけるレンズ部21の入射面21aと出射面21b間の距離L2 は、ほぼ等距離とされる。また、各レンズ部の入射面と出射面は、各収差を最小限にするように、適宜、球面、あるいは非球面が組み合わされる。
【0023】
第1のレンズアレイ10のホルダ部12には、各レンズ部11を光学的に分離するために、各レンズ部11の間の領域において、入射側の面から没入する有底溝14が形成されている。この有底溝14は、図2に表れているように、レンズアレイの幅方向に好ましくはレンズ部11の直径よりも長い寸法を有して延びており、金型による樹脂成形によって形成しうる最小幅とされ、レンズ部11の形態に悪影響を及ぼさない程度にできるだけ深く没入形成されている。そして、この実施形態では、この溝14の内面14aおよび底面14bを、黒またはそれに近い暗色系の遮光材15で覆っている。これには、たとえば、暗色系の塗料を用いて塗膜を形成するほか、暗色系の部材(図示略)で溝14を埋めるなどされる。
【0024】
加えて、この実施形態では、第1のレンズアレイ10の出射側の面において、レンズ部11を取り囲む領域を黒またはそれに近い暗色系の遮光材16で覆っている。この場合も、たとえば、暗色系の塗料を用いた塗膜が形成される。
【0025】
なお、第2のレンズアレイ20については、第1のレンズアレイ10に形成したような各レンズ部を光学的に分離する手段はとくに設けられていない。
【0026】
上記の連結手段13,23は、この実施形態では、第2のレンズアレイ20の端部の入射面側の突起23aを、第1のレンズアレイ10の端部の出射面側に凹部13aを設け、これら突起23aと凹部13aを互いに嵌合して両レンズアレイ10,20を積層状態に連結するように構成されている。
【0027】
光は、第1のレンズアレイ10の各レンズ部11の入射面11a(第1面)から入射し、出射面11b(第2面)から出射し、第2のレンズアレイ20の各レンズ部21の入射面21a(第3面)から入射し、出射面21b(第4面)から出射するという経路をとるが、図に示す実施形態では、第1面11aよりも第2面11bが大径化されており、第3面21aよりも第4面21bが大径化されている。なお、第2面11bと第3面21aはほぼ同一径とされている。したがって、この実施形態では、光の入射側から出射側に向かうにつれて、レンズ面が大径化されている。このことの技術的意義については、後述する。
【0028】
さて、第2のレンズアレイ20は、樹脂成形を行うことのみによって得ることができる。第1のレンズアレイ10は、樹脂成形によって外形を得た後、前述の各塗膜15,16を形成することによって作製することができる。塗膜15,16の形成は、たとえば、スタンプによる転写法、各レンズ面にマスクを施した状態で塗料中に浸漬後、乾燥させ、マスクを除去するなどの手法によって簡便に行うことができる。そして、レンズアレイアッセンブリ1の組み立ては、第1のレンズアレイ10の端部に設けた凹部13aに第2レンズアレイ20の端部に設けた突起23aを嵌合させるだけの、きわめて簡単な操作によって行うことができる。
【0029】
次に、上記実施形態に係るレンズアレイアッセンブリ1の作用を図5を参照して説明する。
【0030】
このレンズアレイアッセンブリ1は、光の始点Sに置いた物体(a→b→c)の正立等倍像(a’→b’→c’)を得る目的のものであるため、始点Sから第1面11aまでの距離H1 と、第4面21bから結像点Rまでの距離H2 とは、ほぼ等距離とされる。上記各距離H1 ,H2 に第1、第4面間距離H3 を加えた距離が、いわゆる共役長に相当する。この共役長が長いほど、いわゆる焦点深度が深くなる。焦点深度を深くするには、レンズ部11,21の各入・出射面、すなわち、第1〜第4面11a,11b,21a,21bの曲率を小さくすればよい。焦点深度が深くなると、始点Sに対して物体が光の進行方向にずれていても、その正立等倍像のピンボケが少なくなる。また、始点Sからあるレンズ部の第1面に入射する光の角度(画角)が小さくなるので、それだけ各レンズ部についての収差が小さくなり、解像度が高まる。本願発明に係るレンズアレイアッセンブリ1においては、各レンズアレイ10,20のレンズ部11,21の曲率を樹脂成形金型を変更するだけで自由に設定し、上記の共役長、ないしは焦点深度を所望のように設定することができる。
【0031】
図5に表れているように、各レンズアレイ10,20の各レンズ部11,21は、各光軸C上に直列に並ぶことになる。光は、第1のレンズアレイ10の凸レンズ部11を通過した後、第2のレンズアレイ20の凸レンズ部21を通過する。すなわち、始点Sから出発した光は、第1〜第4面11a,11b,21a,21bを通過する際に所定の屈折作用を受けて結像点Rに到達する。より具体的には、第1面11aでの屈折によって第2面11b、第3面21a付近で一次焦点を形成し、そうして、第2面11bと第3面21aは対向する凸曲面であるから、第2面11bから出射して第3面21aに入射するときの屈折により、光は光軸方向からからみて始点方向に戻るように折れ曲がる。そして、1次焦点からの光が第4面21bでの屈折によって出射側の結像点Rに2次焦点を結ぶ。このように光軸Cを合わせた複数の凸レンズ部11,21により、セルフォックレンズにみられる光の蛇行現象と同等の現象が得られ、レンズアレイアッセンブリ1の入射側の所定距離にある物体(a→b→c)の正立等倍像(a’→b’→c’)が出射側の所定距離の位置に形成されるのである。
【0032】
上記レンズアレイアッセンブリ1においてはまた、出射側の第1レンズアレイ10に、隣接するレンズ部間のクロストークを防止するための手段としての溝14、この溝14の内面に形成された暗色系の塗膜15、および、出射側においてレンズ部11を囲む領域に形成された暗色系の塗膜16が設けられている。したがって、レンズ部11以外の領域から第1のレンズアレイ10内に光が入り込むことが溝14によってある程度防止され、かつ、あるレンズ部11に入射した光が隣のレンズ部に混入することが溝14ないしその内面に付着させた塗膜15によって防止される。さらに、レンズ部11の出射面11b以外の領域から光が漏れ出ることが、出射面側の塗膜16によって防止される。これにより、レンズ部11間の光のクロストークが効果的に防止される。なお、上記実施形態においては、第1のレンズアレイ10のみに上記のような各レンズ部11を光学的に分離する手段を設け、第2のレンズアレイ20にはこのような光学的な分離手段を設けられていないが、クロストークによる画像劣化は十分に防止できることが確認されている。また、この実施形態では、第2のレンズアレイ20のレンズ部21の第3面21aおよび第4面21bを大径化し、かつ第4面21bを第3面21aよりも大径化しているので、第3面21aから入射した光を無駄にすることなく第4面21bから出射させられることとあいまって、第2のレンズアレイ20に第1のレンズアレイ10のような各レンズ部を光学的に分離する手段を設けないことが、第2のレンズアレイ20の各レンズ部21から出射する光量を増大させ、効率的な画像を得ることに大きく寄与する。したがって、上記のレンズアレイアッセンブリ1は、これによって得られる正立等倍画像の明るさを確保しつつも、クロストークによる画像劣化を適正に防止できることになる。
【0033】
図6は、本願発明の第1の側面に係るレンズアレイアッセンブリ1の第2の実施形態を示している。この実施形態おける第2のレンズアレイ20は、第1の実施形態のものと同様である。第1のレンズアレイ10において、第1の実施形態では光のクロストークを防止するための溝14を入射面側から有底状に設けたが、この第2の実施形態では、上記溝14を出射面側から有底状に設けている。この溝14の内面14aには、暗色系の塗膜15が形成されており、また、第1のレンズアレイ10の入射面側のレンズ部11を囲む領域には、暗色系の塗膜17を形成している。その余の構成は、図1〜図5に示した第1の実施形態と同様である。
【0034】
図7に示すように、この実施形態においても、第1の実施形態と同様、始点Sに配置した物体(a→b→c)の正立等倍像(a’→b’→c’)が結像位置Rに形成される。この実施形態においては、第1のレンズアレイ10において、光がレンズ部11の入射面11a以外の領域からレンズアレイ10内に入り込むことが入射面側の塗膜17によって防止される。また、あるレンズ部11に入射した光が隣のレンズ部に混入することが溝14ないしその内面に付着させた塗膜15によって防止される。さらに、レンズ部11の出射面11b以外の領域から光が漏れ出ることが、出射面側から没入させた溝14ないしその内面に付着させた塗膜15によって防止される。これにより、レンズ部間の光のクロストークが効果的に防止される。なお、この実施形態においても、各レンズ間を光学的に分離するための手段が第1のレンズアレイのみに設けられているが、これによって光のクロストークを十分に防止できることが確認されている。また、第1面11aから第4面21bに向かうほどレンズ径が拡大されていることにより、第2レンズアレイ20に適正に入射した光を無駄にすることなく、十分な明るさの正立等倍像(a’→b’→c’)を得ることができる。
【0035】
図8は、本願発明の第2の側面に係る光学装置としての密着型イメージセンサ30を示している。このイメージセンサ30は、断面略矩形状をするとともに上下方向に貫通する内部空間を有するケース31を備え、このケース31の上面開口32には透明カバー33が、下面開口34には基板35が装着されている。基板35の上面適所には、受光素子としてのイメージセンサチップ36と、発光素子としてのLED37が搭載されている。イメージセンサチップ36は、紙面と直交する方向に多数の受光部が一列に配置されたもので、読み取り幅に応じて、適当数が長手方向に密接して配置される。
【0036】
イメージセンサチップ36を通って上下方向に延び、透明カバー33に至る光軸Cが設定され、この光軸Cの中間部に、本願発明の第1の側面に係るレンズアレイアッセンブリ1がケース31内に形成されたホルダ38に保持されて配置されている。このホルダ38は、ケース31の側壁内面と、基板35上のイメージセンサチップ36とLED37とを遮るように形成した中間壁39とによって形成されている。この場合において、透明カバー33の表面における上記光軸Cと交差するラインが読み取りラインLaとなる。そして、この読み取りラインLaから上記イメージセンサチップ36までの光軸C上の距離Haが、いわゆる共役長となる。中間壁39は、上端が途中で途切れており、したがって、LED37が配置された空間は、その上部において、上記光軸Cを含むレンズアレイアッセンブリ1の上部空間とつながっている。また、実施形態では、LED37が搭載された空間40は、ケースの内面31aおよび中間壁39の一側面39aを変曲させることにより、読み取りラインLaに向かって曲がりながら、かつ次第に狭められている。この空間40を形成する壁31aは、たとえば白色に着色され、高反射率をもつようになされている。
【0037】
上記透明カバー33の表面における読み取りラインLaに原稿Dが接触するようにして、この原稿Dは、プラテンPにバックアップされながら所定方向に送られる。
【0038】
以上の構成において、LEDから発した光は読み取りラインLa付近まで導かれ、原稿Dを照明する。原稿における読み取りラインLaに沿う画像は、レンズアレイアッセンブリ1によってイメージセンサチップ36上に正立等倍の像として結像させられ、イメージセンサチップ36は、ライン方向にならぶ受光部の強弱信号として画情報を読み取る。原稿Dが副走査方向に送られるごとに上記した読み取りラインLa上の画情報が読み取られ、これらの画情報が総合してイメージ情報となる。
【0039】
本願発明の第1の側面に係るレンズアレイアッセンブリ1は、焦点深度や共役長を所望のように設定しうるので、このようなイメージセンサ30の構成の自由度が高まる。焦点深度が深いと、透明カバー33に対して多少浮いた格好の原稿Dをもピンボケの程度を少なくして適正に読み取ることができるので、このようなイメージセンサ30をハンディスキャナとして構成するのに都合がよくなる。
【0040】
もちろん、この発明の範囲は上述した各実施形態に限定されるものではない。実施形態では、2つのレンズアレイを積層してレンズアレイアッセンブリを構成したが、3つまたはそれ以上のレンズアッセンブリを積層してレンズアレイアッセンブリを構成することも可能である。
【0041】
実施形態では、各レンズ部を光学的に分離するための手段として、ホルダ部112に溝14を形成すること、この溝14の内面を暗色系の遮光材15で覆うこと、溝14が形成されない側のホルダ部12におけるレンズ部11を除く領域を暗色系の遮光材16,17で覆うこと、を挙げたが、溝を設けずに、ホルダ部におけるレンズ部を除く領域を暗色系の遮光材で覆うことも、本願発明の範囲に含まれる。
【0042】
さらに、実施形態のレンズアレイは、レンズ部を等間隔で1列に配置しているが、2列またはそれ以上の列をもって複数のレンズ部を配列してもよいし、相互に積層されるレンズアレイのレンズ部をたとえば格子状、あるいはハニカム状に配列して、面的な画像の正立等倍像を形成できるようにすることも、もちろん本願発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1の側面に係るレンズアレイアッセンブリの第1の実施形態を示す中央縦断面図である。
【図2】上記レンズアレイアッセンブリの部分平面図である。
【図3】図1のIII-III 線断面図である。
【図4】図1のIV-IV 線断面図である。
【図5】作用説明図である。
【図6】本願発明の第1の側面に係るレンズアレイアッセンブリの第2の実施形態を示す中央縦断面図である。
【図7】作用説明図である。
【図8】本願発明の第2の側面に係る光学装置の一実施形態に係る密着型イメージセンサを示す断面図である。
【図9】従来のレンズアレイの一例を示す斜視図である。
【図10】図9に示すレンズアレイの要部断面図である。
【符号の説明】
1 レンズアレイアッセンブリ
10 第1のレンズアレイ
11 レンズ部
11a(レンズ部の)入射面(第1面)
11b(レンズ部の)出射面(第2面)
12 ホルダ部
13 連結手段
14 溝
15 遮光材
16 遮光材
17 遮光材
20 第2のレンズアレイ
21 レンズ部
21a(レンズ部の)入射面(第3面)
21b(レンズ部の)出射面(第4面)
22 ホルダ部
23 連結手段
30 密着型イメージセンサ
31 ケース
33 透明カバー
35 基板
36 イメージセンサチップ
37 LED
Claims (7)
- それぞれが同一ピッチで並列配置された複数のレンズ部と、これらのレンズ部を一体的につなぐホルダ部とが樹脂一体成形によって形成された、入射側の第1のレンズアレイと出射側の第2のレンズアレイを備えるとともに、各レンズアレイは、それらがそれぞれ備える上記レンズ部の光軸が合うように積層され、かつ、正立等倍像が得られるように組み合わされているレンズアレイアッセンブリであって、
少なくとも入射側の第1レンズアレイには、上記レンズ部どうしを光学的に分離させる手段が設けられているとともに、
上記各レンズアレイの上記レンズ部は、それらのレンズ面が入射側から出射側に向かうにつれて大径化するように形成されていることを特徴とする、レンズアレイアッセンブリ。 - 上記レンズ部どうしを光学的に分離させる手段は、上記第1のレンズアレイにおいて、ホルダ部における各隣接するレンズ部の間に出射側のみから所定深さ没入する有底状の溝を含んでいる、請求項1に記載のレンズアレイアッセンブリ。
- 上記溝の内面は、黒色またはそれに近い暗色系の遮光材で覆われている、請求項2に記載のレンズアレイアッセンブリ。
- レンズ部どうしを光学的に分離させる手段は、ホルダ部の入射側の面および/または出射側の面におけるレンズ部を囲む領域を覆う黒色またはそれに近い暗色系の遮光材をさらに含む、請求項2に記載のレンズアレイアッセンブリ。
- 各レンズアレイは、複数のレンズ部が所定間隔で直線状に並ぶように長尺ブロック状に形成されている、請求項1に記載のレンズアレイアッセンブリ。
- 各レンズアレイは、積層方向に隣接する一方に設けた凸部と、他方に設けた凹部とを互いに嵌合させることにより組み合わされている、請求項5に記載のレンズアレイアッセンブリ。
- 原稿載置面と、受光素子と、これらの間に配置された請求項1ないし6のいずれかに記載のレンズアレイアッセンブリとを備え、原稿載置面に載置された原稿の正立等倍像を受光素子上に結像させるように構成したことを特徴とする、光学装置。
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