JP3881259B2 - 回転機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動の防止を図ることができる回転機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開昭55−147964号公報では、マグネット数を2mn個(mは1以上の整数、nは3以上の整数)、コアのティース数をm(2n±1)個、コンミテータのセグメント数をmn(2n±1)個にした直流電動機が開示されている。この場合、m=1,n=3のとき、電動機のマグネット数が6となり、ティース数が7又は5となり、セグメント数が21又は15となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような直流電動機のティース数が奇数となるため、各ティースに作用する磁力の合力、つまり各ティースのトルクベクトルの合成値(合成トルクベクトル)はゼロにならず、ロータのラジアル方向にその合力が常に働くようになる。
【0004】
図67に、従来の6極7スロット(ティース数が7個)電動機のティースにおけるトルクベクトルの合成図を示す。図67に示すように、7個のティース110を有するロータ111の回りに6個のマグネット112が配置されている。ロータ111が図67(a)で示すA位置から図67(f)で示すF位置まで反時計回り方向に回転するときの各ティース110に作用する磁力の大きさ及び方向は、それぞれ図67(a)〜図67(f)に1点鎖線矢印で示すように変化する。各ティース110のトルクベクトルta〜tgを合成して得た合成トルクベクトルTは、図67(a)〜図67(f)に実線矢印で示すように変化する。従って、ロータ111は、その回転中において、径方向(ラジアル方向)に常にゼロではない合成トルクベクトルTで表した力が働いていることから、ロータ(つまりモータ)振動の原因となる。
【0005】
また一般に、直流電動機や発電機などの回転機器の電機子では、インナー(巻線)ロータ及びアウター(マグネット)ロータ型のインナー(巻線)ステータを構成する積層コアがある。それらの積層コアに集中巻線を施すとき、図68に示すように、コア113のティース114先端の幅W1と、巻線115を整列させて巻くためのスロット内スペースS1を確保する必要がある。また、図69に示すように、コア116のティース117先端の幅W2と、巻線118を整列させて巻くためのスロット内スペースS2を確保する必要がある。そのため、巻線115,118の占積率を大きくすることができない。また、ティース114,117先端の幅W1,W2が広いと、コギングトルクが大きくなることから回転機器の振動が大きくなるといった問題点がある。
【0006】
これらの問題点を解消するために、特開平9−191588号公報及び特開平10−4640号公報では、分割されたティースに巻線を巻回してからコアに組み付けるという技術が開示されている。
【0007】
上記公報の技術では、生産部品としてコア本体と複数のティースがあるため、組み付け前の部品点数が多くなり、生産管理上に問題点があった。また、特開平10−4640号公報に開示された技術の場合、半数のティースがコア本体と完全に分割されている状態からコア本体に嵌合することによってコアは一体に組み付けられている。そのため、嵌合状態の前記ティース部の嵌合部は、その磁気抵抗がコア本体と一体に形成されたティース部の磁気抵抗より高くなり、同一コアには異なる磁気抵抗のティース部が存在してしまう。さらに、このようなコアをインナーロータに用いた場合、回転による遠心力で前記嵌合部ではゆるみが発生してしまう。その結果、各ティース部に作用する磁力が不均一となり、モータ振動の原因となってしまう。
【0008】
本発明は上記のような問題を鑑みなされたものであって、その目的は振動の発生を防止することができる回転機器を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の磁極を有する固定子と、前記磁極と対向するよう配設され、巻線が巻回される複数のスロットを有する回転子と、前記回転子に固定され前記巻線に接続される整流子と、前記整流子に摺接する複数のブラシとを備えた回転機器において、前記回転子のラジアル方向への力がゼロ、もしくは前記各スロットにおけるトルクベクトルの合成値がゼロとなるように、前記磁極及びスロットの数を設定し、前記磁極の数を2m(mは1以上の整数)とし、前記スロットの数をn(nは3以上の整数)としたとき、磁極数2mとスロット数nを、
0<2m<2n(ただし、n≠2m) (A)
mod(n,2)=0 (D)
に満足する組み合わせにし、前記整流子は、略円筒状に形成された絶縁体と、その絶縁体の外周面に複数配置されるセグメントと、全てのセグメントが通電されるように各セグメントに接続され、複数のセグメントのうち同位相のセグメントを短絡する短絡線とを有し、前記複数のスロットに巻回された各巻線は、その両端部がそれぞれ前記セグメントに接続され、前記同位相のセグメントを短絡する短絡線は、その一方の端部が前記巻線の一方の端部と接続されたセグメントに接続されるとともに短絡線の他方の端部が前記巻線の他方の端部と接続されたセグメントに接続され、短絡線の中央部が前記巻線と非接続となるセグメントに接続されることを要旨とする。
【0017】
請求項2に記載の発明は、複数の磁極を有する固定子と、前記磁極と対向するよう配設され、巻線が巻回される複数のスロットを有する回転子と、前記回転子に固定され前記巻線に接続される整流子と、前記整流子に摺接する複数のブラシとを備えた回転機器において、前記回転子のラジアル方向への力がゼロ、もしくは前記各スロットにおけるトルクベクトルの合成値がゼロとなるように前記磁極及びスロットの数を設定し、前記磁極の数を2m(mは1以上の整数)とし、前記スロットの数をn(nは3以上の整数)とし、kを自然数とし、nの各因数を1を除いた因数としたとき、磁極数2mとスロット数nを、
0<2m<2n(ただし、n≠2m) (A)
mod(n,2)=1且つmod((nの各因数)×k,2)=0 (E)
(nの各因数)×k=2m (F)
に満足する組み合わせにし、前記整流子は、略円筒状に形成された絶縁体と、その絶縁体の外周面に複数配置されるセグメントと、全てのセグメントが通電されるように各セグメントに接続され、複数のセグメントのうち同位相のセグメントを短絡する短絡線とを有し、前記複数のスロットに巻回された各巻線は、その両端部がそれぞれ前記セグメントに接続され、前記同位相のセグメントを短絡する短絡線は、その一方の端部が前記巻線の一方の端部と接続されたセグメントに接続されるとともに短絡線の他方の端部が前記巻線の他方の端部と接続されたセグメントに接続され、短絡線の中央部が前記巻線と非接続となるセグメントに接続されることを要旨とする。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の回転機器において、前記磁極の数を6に設定し、前記スロットの数を8に設定したことを要旨とする。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の回転機器において、前記磁極の数を2m(mは1以上の整数)とし、前記スロットの数をn(nは3以上の整数)とし、短節巻係数をKとしたとき、磁極数2mとスロット数nを、
K=sin((π/2)×(2m/n)) (B)
の式で表される短節巻係数KがK>0.9に満足する組み合わせにしたことを要旨とする。
【0026】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1に記載の回転機器において、前記回転子のコアは、第1の嵌合部を有するリング部と、第2の嵌合部を有し前記リング部から放射状に形成されるティース部とからなる第1及び第2コア部を備え、前記第1コア部の第1の嵌合部と第2コア部の第2の嵌合部を嵌合させ、第2コア部の第1の嵌合部と第1コア部の第2の嵌合部を嵌合させることによって、第1コア部と第2コア部を積層させてなることを要旨とする。
【0027】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の回転機器において、前記ティース部は、前記リング部から放射状に一体形成された一体ティースと、該一体ティースと同一形状に形成され且つ前記第2の嵌合部を有し、当該一体ティースに固着した分割ティースとからなることを要旨とする。
【0028】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の回転機器において、前記第1及び第2コア部は、磁性粉体を圧縮成形することで前記リング部とティース部とが一体に形成されることを要旨とする。
【0029】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれか1に記載の回転機器において、前記磁極の数を6に設定し、前記スロットの数を8に設定し、該スロットには前記巻線が集中巻にて巻回されたことを要旨とする。
【0031】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1に記載の回転機器において、前記短絡線を、前記絶縁体の外周面に略V字状となるよう配置し、該短絡線におけるV字の中央部を前記巻線が非接続となるセグメントに接続し、該短絡線について、その中央部の接続は3つのセグメントおきに行われることを要旨とする。
【0032】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の回転機器において、前記短絡線の中央部を前記セグメントに接合した後、該短絡線の端部を前記巻線の端部とともにセグメントに接合することを要旨とする。
【0037】
(作用)
請求項1〜3に記載の発明によれば、各スロットで生じるトルクベクトルは軸対称のスロット間において大きさが等しく方向が相反するため、各スロットのトルクベクトルを合成した結果、その合成トルクベクトルは常にゼロとなる。従って、従来技術に比べ、回転子がラジアル方向への力の作用によって振動することが防止される。
【0038】
請求項1及び2に記載の発明によれば、電機子に作用される軸接線力及び軸法線力がゼロとなる磁極数2mとティース数nの組み合わせは容易に選ばれる。
また、巻線が接続された2つのセグメントと、巻線が非接続となる1つのセグメントとが短絡線を介して短絡されるので、回転機器の駆動時に全てのセグメントを通電させることが可能となる。従って、通電の有無によってセグメントの磨耗度合が異なりセグメント間に段差が生じることが回避される。これにより、振動及び騒音を抑制できる。
【0039】
請求項4に記載の発明によれば、出力の大きな回転機器の短節巻係数Kに対応する磁極数2mとティース数nの組み合わせは容易に選ばれる。
【0040】
請求項5〜8に記載の発明によれば、回転機器において、径方向及び軸方向ともにコンパクトにすることができ、かつ振動及び騒音を抑制することができる。
【0041】
請求項7に記載の発明によれば、第1及び第2コア部は、磁性粉体を圧縮成形することで1部品として形成されるので、部品点数を低減する上で好ましいものとなる。
【0043】
請求項9に記載の発明によれば、短絡線が絶縁体の外周面に略V字状となるよう配置され、該短絡線におけるV字の中央部は巻線が非接続となるセグメントに接続される。また、各短絡線について、V字の中央部の接続が3つのセグメントおきに行われる。このようにすれば、短絡線を設けたことによる重量バランスの悪化が防止される。
【0044】
請求項10に記載の発明によれば、整流子の各セグメントに短絡線及び巻線が容易に接合される。
【0045】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を6極8スロットの回転機器としての直流電動機に具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
【0046】
図1に示すように、本実施形態の直流電動機31は、固定子32と回転子としての電機子33を備えている。固定子32は、ヨーク34と該ヨーク34内に配設された複数の磁極としてのマグネット35から構成されている。本実施形態では、6個のマグネット35は、ヨーク34の内周面に等角度間隔にて配置固定されている。
【0047】
前記電機子33のコア33cには、図2に示すように、複数のティース36が設けられている。本実施形態では、8個のティース36が等角度間隔にて設けられている。各ティース36間には、8個のスロット37が形成されている。なお、図3において、8個のティース36及びスロット37をそれぞれ区別するために番号「36」と「37」に「a」〜「h」の符号を付し、第1〜第8ティース36a〜36h及び第1〜第8スロット37a〜37hとする。
【0048】
また、図1に示すように、電機子33の一端には、整流子としてのコンミテータ38がブラシ39と摺接するように配置されている。コンミテータ38は複数のセグメント40を有し、本実施形態では、24個のセグメント40が等角度間隔にて設けられ、説明の便宜上、図3及び図4において第1セグメント1〜第24セグメント24にてセグメント40の順番を示す。
【0049】
そして、上記のように形成された電機子33は、前記マグネット35に囲まれるように回転軸33aを介して回転可能にヨーク34内に支持収容されている。なお、本実施形態では、6個のブラシ39は、その電機子径方向における中心線がそれぞれ前記6個のマグネット35の径方向中心線と一致するよう設定され、等角度間隔でコンミテータ38に摺接するように配設されている。
【0050】
図3は、本実施形態の電機子33への巻線結線を示す説明図であり、図4は、同じく電機子33への巻線結線を示す展開図である。本実施形態では、図3及び図4に示すように、電機子33への巻線巻回は、2つのセグメント40おきに結線を施すようにしている。以下、電機子33への巻線巻回について詳述する。
【0051】
図3及び図4に示すように、第1セグメント1に結線した巻線41(図3において破線で示す)を、第3スロット37cと第2スロット37b間の第6ティース36fに所定ターン数にて巻回した後、第10セグメント10に結線させる。次に、第10セグメント10に結線した巻線41を、第6スロット37fと第5スロット37e間の第1ティース36aに所定ターン数にて巻回した後、第19セグメント19に結線させる。第19セグメント19に結線した巻線41を、第1スロット37aと第8スロット37h間の第4ティース36dに所定ターン数にて巻回した後、第4セグメント4に結線させる。
【0052】
また、前記第4セグメント4に結線した巻線41(図3において実線で示す)を、第4スロット37dと第3スロット37c間の第7ティース36gに所定ターン数にて巻回した後、第13セグメント13に結線させる。次に、第13セグメント13に結線した巻線41を、第7スロット37gと第6スロット37f間の第2ティース36bに所定ターン数にて巻回した後、第22セグメント22に結線させる。第22セグメント22に結線した巻線41を、第2スロット37bと第1スロット37a間の第5ティース36eに所定ターン数にて巻回した後、第7セグメント7に結線させる。
【0053】
さらに、前記第7セグメント7に結線した巻線41(図3において2点鎖線で示す)を、第5スロット37eと第4スロット37d間の第8ティース36hに所定ターン数にて巻回した後、第16セグメント16に結線させる。次に、第16セグメント16に結線した巻線41を、第8スロット37hと第7スロット37g間の第3ティース36cに所定ターン数にて巻回した後、第1セグメント1に結線させる。そして、電機子33には巻線41が巻回される。
【0054】
図5に、上記のように形成された直流電動機31の各ティース36a〜36hに作用する磁力及び合成トルクベクトルを示している。電機子33が図5(a)で示すA位置から図5(f)で示すF位置まで反時計回り方向に回転するときの各ティース36a〜36hに作用する磁力の大きさ及び方向は、それぞれ1点鎖線矢印で示すトルクベクトルta〜thとなるように変化する。例えば図5(a)に示す状態でのトルクベクトルta〜thを説明すると、S極に磁化された第6ティース36fにおけるトルクベクトルtcは、軸対称に位置しN極に磁化された第2ティース36bにおけるトルクベクトルtgとは、大きさが等しく方向が相反するようになっている。つまり、各ティース36a〜36hで生じるトルクベクトルta〜thは軸対称のティース間において大きさが等しく方向が相反する。そのため、各ティース36a〜36hのトルクベクトルta〜thを合成した結果、その合成トルクベクトルは、常にゼロとなる。
【0055】
次に、本実施形態の直流電動機31の特徴について説明する。
(1)本実施形態では、固定子32を構成するマグネット35の数を6にし、電機子33のスロット37の数を8に設定した。従って、電機子33の各ティース36(つまりスロット37)の合成トルクベクトルがゼロとなり、電機子33のラジアル方向への力がゼロとなる。その結果、従来技術に比べ、ラジアル方向への力の作用によって回転子は振動することが防止される。
【0056】
(2)本実施形態では、電機子33への巻線巻回は、2つのセグメント40おきに結線を施すようにしている。また、6個のブラシ39は、等角度間隔でコンミテータ38に摺接するように配設されている。従って、2個の同電位のブラシ39間で順番に整流か行われることから、ブラシ2個使用の場合に比べ、各ブラシ39の寿命を向上することができる。
【0057】
(第2の実施形態)
本発明を任意偶数個の磁極(マグネット)と任意個のティース(スロット)を有する直流電動機に具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態の直流電動機は第1の実施形態の直流電動機とは構造がほぼ同じであり、磁極(マグネット)の数を任意偶数個とし、ティース(スロット)の数を任意個として一般化にした応用例である。
【0058】
本実施形態では、直流電動機の磁極数を2m個(mは1以上の整数)とし、電機子のティース数をn個(nは3以上の整数)とする。つまり、直流電動機は、2m個のマグネットが360/2m度の角度ごとにN極とS極が交互に配置され、その内径側にn個のティースを360/n度の角度ごとに配置されている。そのため、磁極数2mとティース数nとの対応関係は次の式(A)に満足するとき、直流電動機として成立する。言い換えれば、磁極数2mとティース数nとの対応関係は次の式(A)に満足しないとき、直流電動機として成立しない。
【0059】
0<2m<2n(ただし、n≠2m) (A)
また、本実施形態では、直流電動機の回転子としての電機子への巻線は短節巻方式にて行われており、直流電動機の短節巻係数Kは磁極数2m及びティース数nとの関係は次の式(B)に示されている。なお、短節巻係数Kとは、磁極ピッチに対して巻線辺の間隔を考慮した係数であり、直流電動機の出力に比例する。つまり、短節巻係数Kが大きければ大きいほど直流電動機の出力は大きくなる。
【0060】
K=sin((π/2)×(2m/n)) (B)
さらに、一般的に、直流電動機のコギングトルクの値はコギングトルクの脈動数(コギングトルク山数とも言う)Hに反比例し、電機子の回転一周当たりのコギングトルクの脈動数Hは磁極数2mとティース数nの最小公倍数となっている。コギングトルクの脈動数Hを次の式(C)で表す。
【0061】
H=LCM(2m,n) (C)
つまり、磁極数2mとティース数nの最小公倍数が大きければコギングトルク脈動数が大きくなり、コギングトルクの値は小さくなる。
【0062】
そして、本出願人は直流電動機の磁極数2mとティース数nの組み合わせと、電機子に作用される軸接線力及び軸法線力との関係を調べ、その一部分のデータを図9〜図32に示す。図9〜図16は6極7ティース(磁極数2m=6、ティース数n=7)、電機子回転角が0°〜70°間の電動直流機における電機子に作用される軸接線力及び軸法線力を測定したデータを示すグラフである。図17〜図24は6極8ティース(磁極数2m=6、ティース数n=8)、電機子回転角が0°〜70°間の電動直流機における電機子に作用される軸接線力及び軸法線力を測定したデータを示すグラフである。図25〜図32は6極9ティース(磁極数2m=6、ティース数n=9)、電機子回転角が0°〜70°間の電動直流機における電機子に作用される軸接線力及び軸法線力を測定したデータを示すグラフである。なお、図9〜図32の各図(a)は電機子に作用される軸接線力のデータを示し、各図(b)は電機子に作用される軸法線力のデータを示している。また、図9〜図32の中において、破線の矢印が各ティースでの作用力を表し、細実線の矢印が各ティースのトルクベクトルを表し、太実線の矢印が合成トルクベクトル(軸接線力又は軸方線力)を表している。各図面中の数字の単位はニュートン(N)である。
【0063】
図9〜図16に示すように、0°〜70°間のいずれの電機子回転角においても、電機子に作用される合成トルクベクトル(軸接線力又は軸方線力)はゼロにならない。従って、この6極7ティース(スロット)の電動直流機は従来技術で説明したように、回転中の電機子が常にラジアル方向の力の作用を受けて振動する。
【0064】
図17〜図24に示すように、0°〜70°間のいずれの電機子回転角においても、電機子に作用される合成トルクベクトル(軸接線力又は軸方線力)はゼロになっている。従って、この6極8ティース(スロット)の電動直流機は第1の実施形態で説明したように、回転中の電機子がラジアル方向の力の作用を受けず振動しない。
【0065】
図25〜図32に示すように、0°〜70°間のいずれの電機子回転角においても、電機子に作用される合成トルクベクトル(軸接線力又は軸方線力)はゼロになっている。従って、この6極9ティース(スロット)の電動直流機は、その回転中の電機子がラジアル方向の力の作用を受けず振動しない。
【0066】
そして、本出願人は、直流電動機の磁極数2m(=2〜24)及びティース数n(=3〜25)と、直流電動機の短節巻係数K、電機子に作用される軸接線力及び軸法線力、コギングトルク山数との対応関係を表すデータを図6〜図8に示している。
【0067】
図6〜図8に示すように、直流電動機の磁極数2m及びティース数nは前記式(A)に満足するとともに、ティース数nは次の式(D)に満足するとき、電機子に作用される軸接線力及び軸法線力はゼロとなる。
【0068】
mod(n,2)=0 (D)
つまり、式(D)によれば、ティース数nが偶数である場合、電機子に作用される軸接線力及び軸法線力はゼロとなる。
【0069】
また、図6〜図8に示すように、直流電動機の磁極数2m及びティース数nは前記式(A)に満足するとともに、ティース数nは次の式(E)(F)に満足するとき、電機子に作用される軸接線力及び軸法線力はゼロとなる。
【0070】
mod(n,2)=1且つmod((nの各因数)×k,2)=0 (E)
(nの各因数)×k=2m (F)
ここで、kは自然数である。nの各因数は1を除いた因数である。
【0071】
つまり、式(E)(F)によれば、ティース数nが奇数である場合、ティース数nの各因数(1を除く)と自然数kとの積は偶数であり、且つティース数nの各因数(1を除く)と自然数kとの積が磁極数2mに等しいとき、電機子に作用される軸接線力及び軸法線力はゼロとなる。
【0072】
例を挙げて説明すると、前記6極7ティースの直流電動機の場合、ティース数nが7(奇数)であり、ティース数nの因数(1を除く)は7しかない。そして、(nの各因数)×k(=7,14,21,28・・・・・)の中に式(A)に満足する偶数はないため、電機子に作用される軸接線力及び軸法線力はゼロとなる磁極数2mとティース数nの組み合わせはない。
【0073】
また、前記6極9ティースの直流電動機の場合、ティース数nが9(奇数)であり、ティース数nの因数(1を除く)は3,9がある。例えばティース数nの因数(1を除く)は3である場合、3×k(=3,6,9,12・・・・・)の中に式(A)に満足する偶数は6(=2m)があるため、磁極数2mとティース数nの組み合わせは6極9ティースの場合において電機子に作用される軸接線力及び軸法線力はゼロとなる。
【0074】
従って、ティース数nが偶数である場合、式(A)に満足する直流電動機の磁極数2mとティース数nの組み合わせを選べば、電機子に作用される軸接線力及び軸法線力はゼロになり、電機子の振動のない直流電動機を得ることができる。
【0075】
また、図6〜図8では、磁極数2m(=2〜24)及びティース数n(=3〜25)に対応した直流電動機の短節巻係数Kを示している。そして、電機子に作用される軸接線力及び軸法線力がゼロとなる磁極数2mとティース数nの組み合わせの中に短節巻係数Kが大きな(例えばK>0.9)組み合わせを選べば、出力の大きな直流電動機を得ることができる。
【0076】
さらに、図6〜図8では、磁極数2m(=2〜24)及びティース数n(=3〜25)に対応した直流電動機のコギングトルクの脈動数(コギングトルク山数)Hを示している。そして、電機子に作用される軸接線力及び軸法線力がゼロとなる磁極数2mとティース数nの組み合わせの中にコギングトルク山数Hが大きな組み合わせを選べば、コギングトルクの値が小さい直流電動機を得ることができる。
【0077】
次に、本実施形態の効果を記載する。
(1) 電機子に作用される軸接線力及び軸法線力がゼロとなる磁極数2mとティース数nを、式(A)及び式(D)に満足した組み合わせ又は式(A)及び(E)(F)に満足した組み合わせにした。従って、それらの式に基づいて電機子に作用される軸接線力及び軸法線力がゼロとなる磁極数2mとティース数nの組み合わせを容易に選ぶことができる。
【0078】
(2) 磁極数2mとティース数nの組み合わせに対応して直流電動機の短節巻係数Kを式(B)で表した。従って、その式(B)に基づいて短節巻係数Kの大きな磁極数2mとティース数nの組み合わせを選ぶことによって、出力の大きな直流電動機を得ることができる。
【0079】
(3) 磁極数2mとティース数nの組み合わせに対応して直流電動機のコギングトルクの脈動数(コギングトルク山数)Hを式(C)で表した。従って、その式(C)に基づいてコギングトルクの脈動数Hの大きな磁極数2mとティース数nの組み合わせを選ぶことによって、コギングトルクの値が小さい直流電動機を得ることができる。
【0080】
なお、上記各実施形態は次のように変更してもよい。
○第1の実施形態において、電機子33への巻線は1周目と2周目を分けて並列巻回するように実施してもよい。詳述すると、1周目の巻線巻回において、図33及び図34に示すように、まず、第2セグメント2に結線した巻線42(図33において実線で示す)を、第3スロット37cと第2スロット37b間の第6ティース36fに所定ターン数にて巻回した後、第8セグメント8に結線させる。次に、第8セグメント8に結線した巻線42を、第5スロット37eと第4スロット37d間の第8ティース36hに所定ターン数にて巻回した後、第14セグメント14に結線させる。第14セグメント14に結線した巻線42を、第7スロット37gと第6スロット37f間の第2ティース36bに所定ターン数にて巻回した後、第20セグメント20に結線させる。最後に、第20セグメント20に結線した巻線42を、第1スロット37aと第8スロット37h間の第4ティース36dに所定ターン数にて巻回した後、第2セグメント2に結線させることによって1周目の巻線巻回が終了する。
【0081】
また、2周目の巻線巻回において、図33及び図35に示すように、まず、第5セグメント5に結線した巻線43(図33において破線で示す)を、第4スロット37dと第3スロット37c間の第7ティース36gに所定ターン数にて巻回した後、第11セグメント11に結線させる。次に、第11セグメント11に結線した巻線43を、第6スロット37fと第5スロット37e間の第1ティース36aに所定ターン数にて巻回した後、第17セグメント17に結線させる。第17セグメント17に結線した巻線43を、第8スロット37hと第7スロット37g間の第3ティース36cに所定ターン数にて巻回した後、第23セグメント23に結線させる。最後に、第23セグメント23に結線した巻線43を、第2スロット37bと第1スロット37a間の第5ティース36eに所定ターン数にて巻回した後、第5セグメント5に結線させることによって2周目の巻線巻回が終了する。
【0082】
上記の構成によれば、6個のブラシ39による給電の並列回路数が2個となり、並列回路数が1個のものに比べ各巻線42,43に流れる電流が半分となる。従って、各巻線42,43に流れる電流の密度が並列回路数が1個の場合と同じにすれば、巻線断面積を半分にすることができ、巻線42,43の線径を小さくすることができることから、スロット面積を有効に利用することができる。尚、この場合、コンミテータ38に摺接するブラシ39の摺接幅はセグメント40の幅より大きくする必要がある。つまり、ブラシ39は常に相隣る2つのセグメント40を跨るようにセグメント40に摺接する必要がある。
【0083】
○また、第1の実施形態において、電機子33への巻線は巻線間に渡り線を設けるように実施してもよい。詳述すると、図36及び図37に示すように、第1セグメント1に結線した巻線44を、第9セグメント9に渡って結線させてから、第4スロット37dと第3スロット37c間の第7ティース36gに所定ターン数にて巻回し、第8セグメント8に結線させる。次に、第8セグメント8に結線した巻線44を、第24セグメント24に渡って結線させてから、第1スロット37aと第8スロット37h間の第4ティース36dに所定ターン数にて巻回し、第23セグメント23に結線させる。そして、第23セグメント23に結線した巻線44を、第7セグメント7に渡って結線させてから、第15セグメント15に渡って結線させる。
【0084】
第15セグメント15に結線した巻線44を、第6スロット37fと第5スロット37e間の第1ティース36aに所定ターン数にて巻回し、第14セグメント14に結線させる。第14セグメント14に結線した巻線44を、第6セグメント6に渡って結線させてから、第3スロット37cと第2スロット37b間の第6ティース36fに所定ターン数にて巻回し、第5セグメント5に結線させる。第5セグメント5に結線した巻線44を、第13セグメント13に渡って結線させてから、第21セグメント21に渡って結線させる。
【0085】
第21セグメント21に結線した巻線44を、第8スロット37hと第7スロット37g間の第3ティース36cに所定ターン数にて巻回し、第20セグメント20に結線させる。第20セグメント20に結線した巻線44を、第12セグメント12に渡って結線させてから、第5スロット37eと第4スロット37d間の第8ティース36hに所定ターン数にて巻回し、第11セグメント11に結線させる。第11セグメント11に結線した巻線44を、第3セグメント3に渡って結線させてから、第2スロット37bと第1スロット37a間の第5ティース36eに所定ターン数にて巻回し、第2セグメント2に結線させる。第2セグメント2に結線した巻線44を、第10セグメント10に渡って結線させてから、第18セグメント18に渡って結線させる。
【0086】
第18セグメント18に結線した巻線44を、第7スロット37gと第6スロット37f間の第2ティース36bに所定ターン数にて巻回し、第17セグメント17に結線させてから、第9セグメントに渡って結線させる。
【0087】
その後、第16セグメント16と第8セグメント8を渡り線45で連結させ、第19セグメント19と第11セグメント11を渡り線45で連結させる。また、第22セグメント22と第6セグメント6を渡り線45で連結させ、第4セグメント4と第12セグメント12を渡り線45で連結させる。
【0088】
上記の構成によれば、渡り線45を設けたため、すべての同位相のセグメント間が短絡されることから、ブラシ39を図37に示すような2個にすることができる。その結果、部品点数の低減によるコストダウンを図ることができる。
【0089】
○上記各実施形態では、固定子側に磁極を設け、回転子側にスロットを設けた直流電動機に具体化して実施したが、回転子側に磁極を設け、固定子側にスロットを設けた回転機器に具体化して実施してもよい。
【0090】
(第3の実施形態)
以下、本発明を回転機器としての電動モータのコアに具体化した第3の実施形態について説明する。図38は本実施形態のコアの斜視図である。図39は、本実施形態のコアの分解斜視図である。
【0091】
図38及び図39に示すように、本実施形態のコア50は、第1コア部51と第2コア部52を備え、第1コア部51と第2コア部52を互いに組み付けることにより形成されている。第1コア部51と第2コア部52は、同じ構成にて形成されている。詳述すると、第1及び第2コア部51,52は、図40及び図41に示すように、中心孔53aを有するリング部53と、該リング部53の外周から外方へ等角度間隔(90°)で放射状に延設された複数(4個)の一体ティース54と、各一体ティース54上に設けた分割ティース55とを備えている。リング部53と一体ティース54は、図42に示すコア粗材56を構成する。
【0092】
図40及び図42に示すように、前記リング部53の外周面においては、相隣る一体ティース54間の中間位置に第1の嵌合部としての分割ティース嵌合凹部57が設けられている。つまり、第1及び第2コア部51,52には、それぞれ4つの分割ティース嵌合凹部57が設けられている。この分割ティース嵌合凹部57は、断面楔状に形成されている。
【0093】
前記分割ティース55は、図43に示すように、巻線巻回部55aと、該巻線巻回部55aの一端(先端)に形成される先端部55bと、前記巻線巻回部55aの他端(基端)に形成される第2の嵌合部としての嵌合突部55cとを備えている。前記巻線巻回部55aは前記一体ティース54の巻線巻回部54aと同じ形状に形成され、前記先端部55bは前記一体ティース54の先端部54bと同じ形状に形成されている。前記嵌合突部55cは、前記分割ティース嵌合凹部57と同じ断面楔状に形成されている。また、各分割ティース55は、前記各一体ティース54と同じ軸線方向厚さにて形成されている。つまり、分割ティース55は、前記リング部53と同じ厚さにて形成されている。
【0094】
そして、図40及び図41に示すように、4つの分割ティース55は、その巻線巻回部55a及び先端部55bがそれぞれ各一体ティース54の巻線巻回部54a及び先端部54bと合わせながら、嵌合突部55cが前記リング部53上に配置されるようにコア粗材56に固着される。これにより、第1及び第2コア部51,52は形成される。その後、積層された一体ティース54と分割ティース55からなるティース部58に対して絶縁処理を施す。なお、本実施形態では、前記分割ティース55は、かしめにてコア粗材56に固着されている。また、第1及び第2コア部51,52のティース部58に対する絶縁処理は、樹脂成形にて行う。
【0095】
以下、上記のように形成された第1コア部51と第2コア部52への巻線巻回、組み付けによるコア50の製造方法を説明する。
図40に示すように、まず、第1及び第2コア部51,52の各ティース部58に集中巻線にて巻線(コイル)59を巻回する(図40において1つのティース部58への巻線59のみを示している)。このとき、各巻線端部(図示せず)の引き出し方向は、第1及び第2コア部51,52の軸線方向にし、第1コア部51においては一体ティース54側から(図39では上向き)引き出され、第2コア部52においては分割ティース55側から(図39では上向き)引き出されるようにしている。
【0096】
そして、図39に示すように、第1コア部51の分割ティース55と第2コア部52の分割ティース55を互いに対向させ、第1コア部51の分割ティース55と第2コア部52の分割ティース嵌合凹部57、第1コア部51の分割ティース嵌合凹部57と第2コア部52の分割ティース55との軸方向位置を一致させる。つまり、第1コア部51と第2コア部52は、円周方向に互いに45°ずらした状態となる。この状態から、第1及び第2コア部51,52の分割ティース55を第2及び第1コア部52,51の分割ティース嵌合凹部57に嵌合させることによって、図38に示すような8スロットを有するコア50は形成される。このとき、前記各巻線端部は軸線方向において同じ向き(図38及び図39では共に矢印Aで示す上向き)にて引き出される。
【0097】
最後に、一体となったコア50のリング部53の中心孔53aに電動モータの回転軸(シャフト)を嵌挿させる(図示せず)。
次に、上記のように構成した本実施形態のコア50の特徴について説明する。
【0098】
(1)本実施形態では、第1及び第2コア部51,52は、それぞれ一体ティース54と嵌合突部55cを有する分割ティース55とからなるティース部58と、リング部53の外周に形成された分割ティース嵌合凹部57を備えている。そして、分割ティース55の嵌合突部55cと分割ティース嵌合凹部57を嵌合し、第1コア部51と第2コア部52を積層することによってコア50は形成される。従って、コア50を組み付けるための組み付け前の部品は、第1コア部51と第2コア部52の2部品しかないため、部品点数の低減と組付けの簡素化を図ることができる。
【0099】
(2)本実施形態では、第1及び第2コア部51,52のティース部58は、リング部53と一体に形成された一体ティース54と、該一体ティース54上に固着した分割ティース55とから構成されている。従って、コア50をインナーロータに用いた場合においても、回転による遠心力で分割ティース55のゆるみが発生しないことから、コア50を用いた電動モータ性能向上を図ることができる。
【0100】
(3)本実施形態では、分割ティース55は、リング部53と同じ厚さにて形成され、第1コア部51と第2コア部52は同じものに形成されている。従って、各ティース部58はすべて同じに形成され、各ティース部58の磁気抵抗が同じとなる。その結果、特開平10−4640号公報のように各ティース部の磁気抵抗が異なるモータに比べ、コア50を用いた電動モータの性能向上を図ることができる。
【0101】
(4)本実施形態では、コア50の組み付けにおいて、第1及び第2コア部51,52の各ティース部58にそれぞれ巻線59を巻回してから、第1コア部51と第2コア部52を積層させるようにした。従って、第1コア部51と第2コア部52を組み付けてから各ティース部58にそれぞれ巻線59を巻回することより巻線59を容易に巻回することができる。この場合、各ティース部58の先端部間の幅(図38で示す幅B)を小さくすることができる。その結果、コア50を用いた電動モータのコギングトルクを低減することができ、電動モータの振動を低減することができる。また、スロット内スペースを有効に利用できることから、巻線59の占積率を大きくすることができ、電動モータの小型化を図ることができる。
【0102】
(5)本実施形態では、第1コア部51の各ティース部58に巻回される巻線59の引き出し端と第2コア部52の各ティース部58に巻回される巻線59の引き出し端を逆方向にした。従って、第1コア部51と第2コア部52が積層されたときそれぞれの巻線59の引き出し端が同一方向に引き出される。その結果、巻線59を容易に取扱うことができる。
【0103】
(第4の実施形態)
以下、本発明を回転機器としての電動モータのコアに具体化した第4の実施形態について説明する。図44は本実施形態のコアの斜視図である。図45は、本実施形態のコアの分解斜視図である。
【0104】
本実施形態のコア70は、第1コア部71と第2コア部72を備え、第1コア部71と第2コア部72を互いに組み付けることにより形成されている。第1コア部71と第2コア部72は、同じ構成にて形成されている。詳述すると、第1及び第2コア部71,72は、図45に示すように、リング部73と、該リング部73の内周から内方へ等角度間隔(120°)で放射状に延設された複数(3個)の一体ティース74と、各一体ティース74上に設けた分割ティース75とを備えている。リング部73と一体ティース74は、図47に示すコア粗材76を構成する。
【0105】
図46及び図47に示すように、前記リング部73の内周面73aにおいては、相隣る一体ティース74間の中間位置に第1の嵌合部としての分割ティース嵌合凹部77が設けられている。つまり、第1及び第2コア部71,72には、それぞれ3つの分割ティース嵌合凹部77が設けられている。この分割ティース嵌合凹部77は、断面楔状に形成されている。
【0106】
前記分割ティース75は、図48に示すように、巻線巻回部75aと、該巻線巻回部75aの一端(先端)に形成される先端部75bと、前記巻線巻回部75aの他端(基端)に形成される第2の嵌合部としての嵌合突部75cとを備えている。前記巻線巻回部75aは前記一体ティース74の巻線巻回部74aと同じ形状に形成され、前記先端部75bは前記一体ティース74の先端部74bと同じ形状に形成されている。前記嵌合突部75cは、前記分割ティース嵌合凹部77と同じ断面楔状に形成されている。また、各分割ティース75は、前記各一体ティース74と同じ軸線方向厚さにて形成されている。つまり、分割ティース75は、前記リング部73と同じ厚さにて形成されている。
【0107】
そして、図46に示すように、3つの分割ティース75は、その巻線巻回部75a及び先端部75bがそれぞれ各一体ティース74の巻線巻回部74a及び先端部74bと合わせながら、嵌合突部75cが前記リング部73上に配置されるようにコア粗材76に固着される。これにより、第1及び第2コア部71,72は形成される。その後、積層された一体ティース74と分割ティース75からなるティース部78に対して絶縁処理を施す。なお、本実施形態では、前記分割ティース75は、かしめにてコア粗材76に固着されている。また、第1及び第2コア部71,72のティース部78に対する絶縁処理は、樹脂成形にて行う。
【0108】
以下、上記のように形成された第1コア部71と第2コア部72への巻線巻回、組み付けによるコア70の製造方法を説明する。
図46に示すように、まず、第1及び第2コア部71,72の各ティース部78に集中巻線にて巻線(コイル)79を巻回する(図46において1つのティース部78への巻線79のみを示している)。このとき、各巻線端部(図示せず)の引き出し方向は、第1及び第2コア部71,72の軸線方向にし、第1コア部71においては一体ティース74側から(図45では上向き)引き出され、第2コア部72においては分割ティース75側から(図45では上向き)引き出されるようにしている。
【0109】
そして、図45に示すように、第1コア部71の分割ティース75と第2コア部72の分割ティース75を互いに対向させ、第1コア部71の分割ティース75と第2コア部72の分割ティース嵌合凹部77、第1コア部71の分割ティース嵌合凹部77と第2コア部72の分割ティース75との軸方向位置を一致させる。つまり、第1コア部71と第2コア部72は、円周方向に互いに60°ずらした状態となる。この状態から、第1及び第2コア部71,72の分割ティース75を第2及び第1コア部72,71の分割ティース嵌合凹部77に嵌合させることによって、図44に示すような6スロットを有するコア70は形成される。このとき、前記各巻線端部は軸線方向において同じ向き(図44及び図45では共に矢印Cで示す上向き)にて引き出される。
【0110】
従って、本実施形態のコア70によれば、第3の実施形態の特徴に記載の効果とほぼ同様な効果を得ることができる。
(第5の実施形態)
以下、本発明を回転機器としての電動モータのコアに具体化した第5の実施形態について図面に従って説明する。なお、本実施形態は、第3の実施形態に比べ、前記巻線59が各ティース部58に配設されたインシュレータに巻回されることと、第1の嵌合部としての分割ティース嵌合凹部57及び第2の嵌合部としての嵌合突部55cの構造が異なる。説明の便宜上、第3の実施形態と同じの部分に対して同じ符号を付しその説明を省略し、第3の実施形態と異なる部分について詳しく説明する。
【0111】
図50及び図51に示すように、本実施形態では、各ティース部58(ティース54,55)には、インシュレータ80が配設されている。前記インシュレータ80は、巻線巻回部80a、先端絶縁部80b及び嵌合端絶縁部80cを備えている。前記巻線巻回部80aには、巻線59が巻装されている。前記嵌合端絶縁部80cは、周方向において所定長さ(図50及び図51で示す所定角度αに対応した円弧長)にて円弧状に形成されている。
【0112】
また、本実施形態の分割ティース55の嵌合突部55cは、周方向において前記嵌合端絶縁部80cとほぼ同じ長さ(つまり前記所定角度αに対応した円弧長)にて形成されている。前記分割ティース嵌合凹部57は、周方向において前記嵌合突部55cと同じ長さ(つまり前記所定角度αに対応した円弧長)にて形成されている。嵌合突部55cの周方向両端には凹部55dが設けられ、分割ティース嵌合凹部57の周方向両端には前記凹部55dに嵌合する凸部57aが設けられている。本実施形態では、前記所定角度αは、360°/(ティース本数又はスロット数)、つまりα=360°/8=45°となるように設定されている。
【0113】
そして、前記嵌合端絶縁部80cが前記嵌合突部55cの外周面に当接するようインシュレータ80を各ティース部58に配設し、前記巻線巻回部80aに巻線59を巻装する。各分割ティース55の嵌合突部55cを前記分割ティース嵌合凹部57に嵌合することによって、第1コア部51と第2コア部52は組付けられる。
【0114】
従って、この構成によれば、前記嵌合突部55cが前記所定角度αに対応した円弧長にて形成された前記インシュレータ80の嵌合端絶縁部80cより短い円弧長(例えば図49で示す所定角度β(<α)に対応した円弧長)にて形成された場合に比べ、巻線59の巻装による前記嵌合端絶縁部80cのたわみが防止される。詳述すると、前記インシュレータ80は外力により変形されない硬質の絶縁材(樹脂)から形成される場合と、外力により変形される軟質の絶縁材(樹脂)から形成される場合がある。図49に示すように、第3の実施形態の各ティース部58に軟質(巻線59の巻装圧力により変形する材質)の絶縁材(樹脂)からなるインシュレータ80が配設される場合、前記嵌合突部55cの両端から突出した嵌合端絶縁部80cの両端が巻線59の巻装圧力によりたわんでしまい、分割ティース55が分割ティース嵌合凹部57に嵌合するときの邪魔となる。つまり、分割ティース55が分割ティース嵌合凹部57に嵌合するとき、たわんでいる嵌合端絶縁部80cの両端はリング部53と干渉し、第1コア部51と第2コア部52との組み付けを行いにくくなる。そして、前記嵌合突部55c(又はインシュレータ当接部55e)を嵌合端絶縁部80cとほぼ同じ円弧長にて形成することによって、第1コア部51と第2コア部52との組付性を向上することができる。
【0115】
なお、上記各実施形態は次のように変更してもよい。
○上記第3の実施形態では、第1及び第2コア部51,52には、それぞれ4個のティース部58を形成し、第1及び第2コア部51,52からなるコア50は8スロットとなるようにしたが、第1及び第2コア部51,52には、それぞれ4個以外の個数(例えば3個、5個以上)のティース部58を形成し、第1及び第2コア部51,52からなるコア50は8スロット以外のスロット数(例えば6スロット、10スロット以上)となるようにしてもよい。
【0116】
○上記第4の実施形態では、第1及び第2コア部71,72には、それぞれ3個のティース部78を形成し、第1及び第2コア部71,72からなるコア70は6スロットとなるようにしたが、第1及び第2コア部71,72には、それぞれ3個以外の個数(例えば4個以上)のティース部78を形成し、第1及び第2コア部71,72からなるコア70は6スロット以外のスロット数(例えば8スロット以上)となるようにしてもよい。
【0117】
○上記第3及び第4の実施形態では、第1の嵌合部(分割ティース嵌合凹部57,77)を凹状に形成し、第2の嵌合部(嵌合突部55c,75c)を凸状に形成したが、第1の嵌合部を凸状に形成し、第2の嵌合部を凹状に形成してもよい。第1及び第2の嵌合部を楔状以外の断面形状にて形成してもよい。
【0118】
○上記第3及び第4の実施形態では、分割ティース55,75はそれぞれ一体ティース54,74と合わせながらコア粗材56,76にかしめにて固着したが、固着方法として、溶接又は接着剤による接着等にて実施してもよい。
【0119】
○上記第3の実施形態では、一体となったコア50のリング部53の中心孔53aに電動モータの回転軸(シャフト)を嵌挿させるようにしたが、第1及び第2コア部51,52のどちらか一方のリング部中心孔53aに電動モータの回転軸を嵌挿させてから、他方の第1及び第2コア部と嵌合するようにしてもよい。
【0120】
○上記第3の実施形態では、各ティース部の磁気抵抗が変わらないようにするために、電動モータのコアを次のような形態にて実施してもよい。図52に示すように、コア60は、複数(8つ)のティース嵌合凹部61を設けたリング部62と、巻線63が巻回され前記各ティース嵌合凹部61に嵌合されるティース部64を備えている。
【0121】
前記ティース嵌合凹部61は、図53に示すように、リング部62の外周面に等角度間隔にて設けられている。前記ティース部64は、図54に示すように、巻線巻回部64aと、該巻線巻回部64aの一端(先端)に形成される先端部64bと、前記巻線巻回部64aの他端(基端)に形成される嵌合突部64cから構成されている。そして、絶縁処理された各ティース部64の巻線巻回部64aに巻線63を巻回させてから、前記嵌合突部64cを前記リング部62のティース嵌合凹部61に嵌合させることによってコア60は形成される。
【0122】
この場合、各ティース部64の磁気抵抗が均一となり、特開平10−4640号公報の回転機器のように各ティース部の磁気抵抗が異なるモータに比べ、コア60を用いた電動モータの性能向上を図ることができる。
【0123】
○上記第3及び第4の実施形態では、第1及び第2コア部51,52,71,72の各ティース部58,78に対する絶縁処理は樹脂成形にて行ったが、第1及び第2コア部51,52,71,72の各ティース部58,78に対する絶縁処理はインシュレータにて実施してもよい。
【0124】
○上記第5の実施形態を次のような形態にて実施してもよい。図55及び図56に示すように、各分割ティース55には、インシュレータたわみ防止部を設ける。詳述すると、前記各分割ティース55は、巻線巻回部55aと、該巻線巻回部55aの一端(先端)に形成される先端部55bと、前記巻線巻回部55aの他端(基端)に形成されるインシュレータたわみ防止部としての薄板部55eと、該薄板部55eの中央から延設される第2の嵌合部としての嵌合突部55fとを備えている。前記薄板部55eは、周方向において前記インシュレータ80の嵌合端絶縁部80cとほぼ同じ長さ(つまり前記所定角度αに対応した円弧長)にて円弧状に形成されている。前記嵌合突部55fは、断面楔状に形成されている。
【0125】
また、前記リング部53の外周面には、相隣る一体ティース54間に凹部57bが設けられている。この凹部57bは、前記嵌合突部55fが嵌合するための第1の嵌合部としての分割ティース嵌合凹部57cと、前記薄板部55eを収容するための収容凹部57dとを備えている。前記分割ティース嵌合凹部57cは前記嵌合突部55fと同じ断面形状にて形成されている。前記収容凹部57dは、周方向において前記薄板部55eとほぼ同じ長さ(つまり前記所定角度αに対応した円弧長)にて形成され、径方向において前記薄板部55eの厚さとほぼ同じ深さにて形成されている。
【0126】
そして、前記嵌合端絶縁部80cが前記薄板部55eの外周面に当接するようインシュレータ80を各ティース部58に配設し、前記巻線巻回部80aに巻線59を巻装する。各分割ティース55の嵌合突部55cを前記分割ティース嵌合凹部57に嵌合するとともに前記薄板部55eを前記収容凹部57dに収容することによって、第1コア部51と第2コア部52は組付けられる。従って、この構成によれば、前記第5の実施形態とほぼ同様な効果を得ることができる。
【0127】
なお、第5の実施形態及び本別例の構成を第4の実施形態のコア70及び前記別例のコア60に具体化して実施してもよい。
また、第5の実施形態の嵌合突部55c(又は本別例の薄板部55e)の周方向長さが前記インシュレータ80の嵌合端絶縁部80cの周方向長さと同じ又はそれより長く形成されれば、前記所定角度αを360°/(ティース本数又はスロット数)より小さく設定してもよい。
【0128】
○上記第3の実施形態のコア50を第1の実施形態の直流電動機における電機子(回転子)コアとして用いてもよい。このコア50を用いた電機子への巻線の結線は、上述したように、図4の結線方法、図33及び図34の結線方法、図37の結線方法のいずれかの方法により行うようにする。このようにすれば、直流電動機における径方向及び軸方向ともにコンパクトにすることができ、かつ振動及び騒音を抑制することができる。勿論、6極8スロットの直流電動機に限るものではなく、スロット数が偶数であれば磁極数及びスロット数は適宜変更してもよい。但し、第2実施形態で説明したように、電機子に作用される合成トルクベクトルが0となり、電機子のラジアル方向への力がゼロとなる直流電動機に具体化する。そして、その直流電動機におけるコアとして、第3の実施形態におけるコア(回転子のコア)50や第4の実施形態におけるコア(固定子のコア)70のように、第1コア部と第2コア部とからなる分割コアを用いるようにする。
【0129】
(第6の実施形態)
本発明を具体化した第6の実施形態を図面に従って説明する。図57及び図58には、6極8スロットの直流電動機における電機子(回転子)91の概略構成を示している。なお、図57は電機子91の断面図であり、図58は電機子91を軸方向から見た図である。
【0130】
図57及び図58に示すように、電機子91は、回転軸92と、回転軸92の中央部に固定されるコア93と、回転軸92の一端に固定されるコンミテータ94とを備えている。
【0131】
コア93は、第1コア部95と第2コア部96とを備え、第1コア部95と第2コア部96を互いに組み付けることにより形成されている。図59には第1コア部95の構成を示し、図60には第2コア部96の構成を示している。なお、図59(a)及び図60(a)は、第1コア部95及び第2コア部96をコンミテータ94側から見た図であり、図59(b)及び図60(b)は、第1コア部95及び第2コア部96の断面図である。
【0132】
詳述すると、図59に示すように、第1コア部95は、中心孔97aを有するリング部97と、該リング部97の外周から外方へ等角度間隔(90°)で放射状に延設された4個のティース部98とを備えている。図60に示すように、第2コア部96も、第1コア部95と同様に、中心孔97aを有するリング部97と、該リング部97の外周から外方へ等角度間隔(90°)で放射状に延設された4個のティース部98とを備えている。第1コア部95及び第2コア部96において、各ティース部98は、リング部97の2倍以上の厚さ(軸方向の長さ)を有して形成されている。そして、図59(b)に示すように、第1コア部95において、その軸方向中心より下方側にリング部97が設けられ、図60(b)に示すように、第2コア部96において、その軸方向中心より上方側にリング部97が設けられている。
【0133】
なお、本実施形態において、図60の第2コア部96を上下逆に配置すると、その構成(リング部97及びティース部98の形状等)は、図59の第1コア部95と同一となる。これら第1コア部95及び第2コア部96は、磁性粉体を圧縮成形することでリング部97とティース部98とが一体に形成されている。
【0134】
図59及び図60に示すように、第1コア部95及び第2コア部96におけるティース部98は、巻線巻回部98xと、該巻線巻回部98xの一端(先端)に形成される先端部98yとを備える。巻線巻回部98xには、その形状に合わせて成形されたインシュレータ99が配設され、同インシュレータ99を介して巻線100が巻回されている。ここで、巻線100は各ティース部98に集中巻にて巻回され、その巻線100の両端は、コンミテータ94側となる図の上側から引き出されている。具体的には、インシュレータ99において、リング部97側には、巻線100を引っ掛ける係止部99aが形成されており、同係止部99aを通して巻線100を引き出すようにしている。
【0135】
そして、上記のように各ティース部98に巻線100を巻回した第1コア部95と第2コア部96とを互いに対向させて、各リング部97が重なるように軸線方向の位置を一致させる。さらに、ティース部98の位置を円周方向に45°ずらした状態で、第1コア部95と第2コア部96とを互いに組み付ける。このとき、第1コア部95におけるリング部97が第2コア部96におけるティース部98の内側に嵌め込まれ、第2コア部96におけるリング部97が第1コア部95におけるティース部98の内側に嵌め込まれる。
【0136】
より詳しくは、第1コア部95におけるリング部97の外周面97bと第2コア部96におけるティース部98の内側面(図60(b)ではティース部下側の内側面)98zとが当接され、その当接部位が接着剤等により固着されている。一方、第2コア部96におけるリング部97の外周面97bと第1コア部95におけるティース部98の内側面(図59(b)ではティース部上側の内側面)98zとが当接され、その当接部位が接着剤等により固着されている。これにより、図61に示すように、8個のティース部98が等角度間隔に配設されたコア93が製造される。このコア93では、合計16本の巻線端部が図61の上方に引き出された状態となる。なお、本実施形態では、第1及び第2コア部95,96において、リング部97の外周面97bが第1の嵌合部に相当し、ティース部98の内側面98zが第2の嵌合部に相当する。
【0137】
図62に示すように、コンミテータ94は、略円筒状に形成された絶縁体101と、その絶縁体101の外周面に複数配置されるセグメント102とを備える。同コンミテータ94は、上記第1実施形態と同様に24個のセグメント102を有する。各セグメント102は、ブラシ39が摺接する本体部102aと、本体部102aの一端に設けれ、巻線100を結線する巻線接合部102bとからなる。また、絶縁体101は、大径部101aと、該大径部101aよりも径が小さな小径部101bとを有し、大径部101aの外周面に各セグメント102が固定されている。
【0138】
上記第1実施形態では、図4に示すように、電機子33への巻線巻回は、2つのセグメント40おきに結線を施すようにしていた。この場合、結線されていないセグメント40は永久に通電されることがない。そのため、通電されるセグメント40と通電されないセグメント40とが混在し、直流電動機31を長時間駆動する場合には、その通電の有無によって、セグメント40の摩耗度合に差が生じコンミテータ38の外周面に段差が発生することが懸念される。
【0139】
これに対し、本実施形態では、ティース部98に巻回した巻線(コア巻線)100に加え、短絡線103を各セグメント102に結線することにより、直流電動機の駆動時に、全てのセグメント102が通電されるよう構成している。
【0140】
図63は、本実施形態の電機子91への巻線結線を示す展開図である。なお、図63では、セグメント102の順番を第1セグメント1〜第24セグメント24にて示している。また、8個のティース部98、コア巻線100、短絡線103をそれぞれ区別するために番号「98」、「100」、「103」に「a」〜「h」の符号を付し、第1ティース98a〜第8ティース98h、第1コア巻線100a〜第8コア巻線100h、第1短絡線103a〜第8短絡線103hとして示している。
【0141】
本実施形態では、1本の短絡線103によって同位相となる3つのセグメント102が短絡されている。なお、本実施形態の直流電動機は6極8スロットであるので、24個のセグメント102において8個おきに配置されるセグメント102が同位相となる。
【0142】
より詳しくは、第1短絡線103aは、第1セグメント1と、第9セグメント9と、第17セグメント17とを短絡し、第2短絡線103bは、第4セグメント4と、第12セグメント12と、第20セグメント20とを短絡している。また、第3短絡線103cは、第7セグメント7と、第15セグメント15と、第23セグメント23とを短絡し、第4短絡線103dは、第10セグメント10と、第18セグメント18と、第2セグメント2とを短絡している。さらに、第5短絡線103eは、第13セグメント13と、第21セグメント21と、第5セグメント5とを短絡し、第6短絡線103fは、第16セグメント16と、第24セグメント24と、第8セグメント8とを短絡している。また、第7短絡線103gは、第19セグメント19と、第3セグメント3と、第11セグメント11とを短絡し、第8短絡線103hは、第22セグメント22と、第6セグメント6と、第14セグメント14とを短絡している。
【0143】
第1ティース98aに巻回した第1コア巻線100aは、第2セグメント2と第3セグメント3とに結線され、第2ティース98bに巻回した第2コア巻線100bは、第5セグメント5と第6セグメント6とに結線される。第3ティース98cに巻回した第3コア巻線100cは、第8セグメント8と第9セグメント9とに結線され、第4ティース98dに巻回した第4コア巻線100dは、第11セグメント11と第12セグメント12とに結線される。第5ティース98eに巻回した第5コア巻線100eは、第14セグメント14と第15セグメント15とに結線され、第6ティース98fに巻回した第6コア巻線100fは、第17セグメント17と第18セグメント18とに結線される。第7ティース98gに巻回した第7コア巻線100gは、第20セグメント20と第21セグメント21とに結線され、第8ティース98hに巻回した第8コア巻線100hは、第23セグメント23と第24セグメント24とに結線される。このように、各ティース部98を巻回したコア巻線100の両端は、隣接する2つのセグメント102にそれぞれ接続されている。
【0144】
また、セグメント102において、第1セグメント1、第4セグメント4、第7セグメント7、第10セグメント10、第13セグメント13、第16セグメント16、第19セグメント19、第22セグメント22は、コア巻線100が非接続となっている。そして、これらコア巻線100が結線されないセグメント102には、各短絡線103の中央部分が結線されている。
【0145】
次に、コア巻線100及び短絡線103をコンミテータ94に結線する際の手順を説明する。先ず、コンミテータ94における各セグメント102に短絡線103のみを結線する。具体的には、図64に示すように、短絡線103a〜103hの中央部を折り曲げ、その中央部をコア巻線100が結線されないセグメント102の巻線接合部(2つの爪の間)102bに挟み込む。この短絡線103a〜103hは、略V字状となるように絶縁体101の外周面に沿って配置され、その両端は、中央部を固定したセグメント102に対し、8つのセグメント102をおいた位置にあるセグメント102の巻線接合部102bに挟み込まれる。
【0146】
例えば、第1短絡線103aが短絡する第1セグメント1、第9セグメント9、第17セグメント17において、第1短絡線103aの中央部が2つに折り曲げられて第1セグメント1の巻線接合部102bに挟み込まれる。また、第1短絡線103aの一端が第9セグメント9の巻線接合部102bに挟み込まれ、第1短絡線103aの他端が第17セグメント17の巻線接合部102bに挟み込まれる。他の短絡線103b〜103hも同様に略V字状となるよう各セグメントに挟み込まれる。そして、V字の中央となるセグメント102の巻線接合部102bがヒュージングにより接合される。これにより、短絡線103における中央部が各セグメント102(第1セグメント1、第4セグメント4、第7セグメント7、第10セグメント10、第13セグメント13、第16セグメント16、第19セグメント19、第22セグメント22)に電気的に接続され固定される。なお、図64は、V字中央となるセグメント102についてヒュージングを実施した状態を示している。同図に示されるように、本実施形態では、V字中央のセグメント102は3つのセグメント102おきに配置される。
【0147】
その後、V字の端部となるセグメント(図64におけるヒュージングの未実施のセグメント)102の巻線接合部102bに、各ティース部98に巻回したコア巻線100の端部が挟み込まれる。つまり、V字の端部となるセグメント102の巻線接合部102bには、短絡線103の端部に加えてコア巻線100の端部が挟み込まれる。例えば、第9セグメント9の巻線接合部102bには第1短絡線103aと第3コア巻線100cの端部が挟み込まれ、第17セグメント17には第1短絡線103aと第6コア巻線100fの端部が挟み込まれる。他のセグメントにおける巻線接合部102bにも同様に短絡線103とコア巻線100の端部が挟み込まれる。その状態で同巻線接合部102bがヒュージングにより接合される。これにより、短絡線103の端部とコア巻線100の端部がセグメント102に電気的に接続され固定される。
【0148】
本実施形態のコンミテータ94において、V字中央となるセグメント102には、短絡線103が折り曲げられて結線され、V字端部となるセグメント102には、短絡線103とコア巻線100が各1本ずつ結線される。従って、各セグメント102には、2本の線が接続されることとなるため、接合(ヒュージング)条件が等しくなり、機械的・電気的に安定した接合が可能となる。
【0149】
また、本実施形態では、上述したように、6極、8スロット、24セグメント、集中巻の直流電動機に具体化しており、同位相となる3つのセグメント102を短絡する短絡線103には、2つのコア巻線100が接続されている。従って、短絡線103により短絡される3つのセグメント102のいずれに対してブラシ39が当接したとしても、短絡線103に流れる電流は、ブラシ39の当接位置に関係なく、コア巻線100に流れる電流と等しくなる。
【0150】
ここで、図65を用いて短絡線103に流れる電流とコア巻線100に流れる電流との関係を説明する。図65では、短絡線103により短絡される3つのセグメント102を「A」,「B」,「C」として示している。セグメント102のA,B,Cのいずれかにブラシ39が摺接して電流(=2i)が供給される場合、セグメント102のAからコア巻線100に流れる電流iaとセグメント102のCからコア巻線100に流れる電流icと、短絡線103に流れる電流iとが等しくなる(i=ia=ic)。
【0151】
因みに、6極、24スロット、24セグメント、重ね巻の直流電動機の場合では、図66に示すように、各セグメント(「A」,「B」,「C」)にコア巻線100が接続される。そのため、例えば、セグメントのAにブラシ39が当接する場合には、短絡線103のA−B間には、セグメントのBからコア巻線100に流れる電流ibとセグメントのCからコア巻線100に流れる電流icとが加算された電流(ib+ic)が流れる。つまり、短絡線103にはコア巻線100の2倍の電流が流れるため、短絡線103を太くしたり、セグメントのA−C間にも短絡線103を追加しV字型ではなくΔ型の結線としたりする必要がある。
【0152】
これに対し、本実施形態では、図65に示すように、短絡線103に流れる電流iがコア巻線100に流れる電流ia,icと等しくなるため、短絡線103を太くしたり、Δ型の結線としたりする必要がない。よって、短絡線103の長さを短くすることができ、短絡線103を配置するスペースが低減される。
【0153】
上記のように構成した本実施形態の特徴について説明する。
(1)コア93は、各ティース部98に巻線100を巻回した第1及び第2コア部95,96を積層してなる。この場合、巻線100の巻回時には隣接するティース部98が存在しないため、上記第3実施形態と同様に巻線100の占積率を大きくすることができる。従って、直流電動機における径方向及び軸方向ともにコンパクトにすることができ、かつ振動及び騒音を抑制することができる。
【0154】
(2)第1及び第2コア部95,96は、磁性粉体を圧縮成形することで1部品として形成されるので、直流電動機における部品点数を低減する上で好ましいものとなる。
【0155】
(3)コア巻線100が接続された2つのセグメント102と、コア巻線100が非接続となる1つのセグメント102とが短絡線103を介して短絡され、直流電動機の駆動時には、24個の全セグメント102が通電される。従って、通電の有無によってセグメント102の磨耗度合が異なりセグメント102間に段差が生じることが回避される。これにより、振動及び騒音を抑制できる。
【0156】
また、短絡線103により全ての同位相のセグメント102間が接続されるので、ブラシ39の個数を2個にすることができる。つまり、6個のブラシ39が必要である第1実施形態の直流電動機31と比較してブラシ39の個数を低減でき、直流電動機のコストダウンを図ることができる。
【0157】
(4)短絡線103が絶縁体101の外周面に略V字状となるよう配置され、該短絡線103におけるV字の中央部はコア巻線100が非接続となるセグメント102に接続される。また、各短絡線103について、そのV字の中央部の接続が3つのセグメント102おきに行われている。この場合、短絡線103を設けたことによる重量バランスの悪化を防止でき、電機子91における重量バランスを良好に保つことができる。
【0158】
(5)短絡線103の中央部をセグメント102に接合した後、該短絡線103の端部をコア巻線100の端部とともにセグメント102に接合するようにした。このようにすれば、コンミテータ94の各セグメント102に短絡線103及びコア巻線100を容易に接合することができる。
【0159】
なお、上記各実施形態は次のように変更してもよい。
○上記第3実施形態において、第1コア部51と第2コア部52は、分割ティース55を一体ティース54に固着することによりティース部58が形成されていたがこれに限定されるものではない。具体的には、第1コア部51及び第2コア部52を、上記第6実施形態のように磁性粉体を圧縮成形することでそれぞれ1部品として形成してもよい。このようにすれば、直流電動機における部品点数を低減することができる。
【0160】
○上記各実施形態及び別例では、本発明を直流電動機(電動モータ)に具体化して実施したが、本発明を電動モータ以外の回転機器に具体化して実施してもよい。
【0161】
次に上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)第1コア部(51,71)の各ティース部(58,78)に巻回される巻線(59,79)の引き出し端と第2コア部(52,72)の各ティース部(58,78)に巻回される巻線(59,79)の引き出し端を逆方向にした。
【0162】
(2)前記固定子のコアは、リング部(73)と、前記リング部(73)に設けられた第1の嵌合部(77)と、前記リング部(73)から放射状に一体形成された一体ティース(74)と、該一体ティース(74)と同一形状に形成され且つ第2の嵌合部(75c)を有し、当該一体ティース(74)に固着した分割ティース(75)とからなるティース部(78)とを有する第1及び第2コア部(71,72)を備え、前記第1コア部(71)の第1の嵌合部(77)と第2コア部(72)の第2の嵌合部(75c)を嵌合させ、第2コア部(72)の第1の嵌合部(77)と第1コア部(71)の第2の嵌合部(75c)を嵌合させることによって、第1コア部(71)と第2コア部(72)を積層させてなる。
【0165】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜3に記載の発明によれば、合成トルクベクトルの作用による振動の発生を防止することができる回転機器を提供することができる。
請求項1及び2に記載の発明によれば、電機子に作用される軸接線力及び軸法線力がゼロとなる回転機器を得ることができる。
また、コンパクトで振動、騒音が小さい回転機器を得ることができる。
【0166】
請求項4に記載の発明によれば、出力の大きな回転機器を得ることができる。
【0167】
請求項5〜8に記載の発明によれば、コンパクトで振動、騒音が小さい回転機器を得ることができる。
請求項9に記載の発明によれば、短絡線を設けたことによる重量バランスの悪化を防止することができる。
【0168】
請求項10に記載の発明によれば、整流子の各セグメントに短絡線及び巻線を容易に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態の直流電動機の断面図。
【図2】 同じく直流電動機の要部平面図。
【図3】 同じく直流電動機の電機子への巻線巻回を示す説明図。
【図4】 同じく直流電動機の電機子への巻線巻回を示す展開図。
【図5】 同じく直流電動機の合成トルクベクトルを示す説明図。
【図6】 第2の実施形態の磁極数とティース数の組み合わせと、短節巻係数K、軸接線力及び軸法線力、コギングトルク山数との関係を示す表。
【図7】 第2の実施形態の磁極数とティース数の組み合わせと、短節巻係数K、軸接線力及び軸法線力、コギングトルク山数との関係を示す表。
【図8】 第2の実施形態の磁極数とティース数の組み合わせと、短節巻係数K、軸接線力及び軸法線力、コギングトルク山数との関係を示す表。
【図9】 6極7ティース直流電動機において、電機子回転角が0°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図10】6極7ティース直流電動機において、電機子回転角が10°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図11】6極7ティース直流電動機において、電機子回転角が20°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図12】6極7ティース直流電動機において、電機子回転角が30°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図13】6極7ティース直流電動機において、電機子回転角が40°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図14】6極7ティース直流電動機において、電機子回転角が50°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図15】6極7ティース直流電動機において、電機子回転角が60°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図16】6極7ティース直流電動機において、電機子回転角が70°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図17】6極8ティース直流電動機において、電機子回転角が0°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図18】6極8ティース直流電動機において、電機子回転角が10°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図19】6極8ティース直流電動機において、電機子回転角が20°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図20】6極8ティース直流電動機において、電機子回転角が30°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図21】6極8ティース直流電動機において、電機子回転角が40°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図22】6極8ティース直流電動機において、電機子回転角が50°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図23】6極8ティース直流電動機において、電機子回転角が60°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図24】6極8ティース直流電動機において、電機子回転角が70°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図25】6極9ティース直流電動機において、電機子回転角が0°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図26】6極9ティース直流電動機において、電機子回転角が10°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図27】6極9ティース直流電動機において、電機子回転角が20°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図28】6極9ティース直流電動機において、電機子回転角が30°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図29】6極9ティース直流電動機において、電機子回転角が40°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図30】6極9ティース直流電動機において、電機子回転角が50°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図31】6極9ティース直流電動機において、電機子回転角が60°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図32】6極9ティース直流電動機において、電機子回転角が70°であるときの軸接線力及び軸法線力を示すグラフ。
【図33】別例の直流電動機の電機子への巻線巻回を示す説明図。
【図34】別例の直流電動機の電機子への巻線巻回を示す展開図。
【図35】別例の直流電動機の電機子への巻線巻回を示す展開図。
【図36】別例の直流電動機の電機子への巻線巻回を示す説明図。
【図37】別例の直流電動機の電機子への巻線巻回を示す展開図。
【図38】第3の実施形態のコアの斜視図。
【図39】第3の実施形態のコアの分解斜視図。
【図40】第3の実施形態のコアを構成する第1及び第2コア部の平面図。
【図41】第3の実施形態のコアを構成する第1及び第2コア部の正面図。
【図42】同じく第1及び第2コア部を構成するコア粗材の平面図。
【図43】同じく分割ティースの平面図。
【図44】第4の実施形態のコアの斜視図。
【図45】第4の実施形態のコアの分解斜視図。
【図46】第4の実施形態のコアを構成する第1及び第2コア部の平面図。
【図47】同じく第1及び第2コア部を構成するコア粗材の平面図。
【図48】同じく分割ティースの平面図。
【図49】インシュレータが配設されたコアの組付けを示す要部分解平面図。
【図50】第5の実施形態のコアの要部平面図。
【図51】第5の実施形態のコアの要部分解平面図。
【図52】別例のコアの平面図。
【図53】別例のコアの構成するリング部の平面図。
【図54】別例のコアの構成するティース部の平面図。
【図55】別例のコアの要部平面図。
【図56】別例のコアの要部分解平面図。
【図57】第6実施形態における電機子の断面図。
【図58】第6実施形態における電機子の平面図。
【図59】(a)は第1コア部の平面図、(b)は第1コア部の断面図。
【図60】(a)は第2コア部の平面図、(b)は第2コア部の断面図。
【図61】(a)はコアの平面図、(b)はコアの断面図。
【図62】コンミテータの断面図。
【図63】電機子への巻線巻回を示す展開図。
【図64】短絡線のセグメントへの結線を説明するための説明図。
【図65】短絡線及びコア巻線を流れる電流を説明するための説明図。
【図66】短絡線及びコア巻線を流れる電流を説明するための説明図。
【図67】従来の直流電動機の合成トルクベクトルを示す説明図。
【図68】従来のコアの平面図。
【図69】従来のコアの平面図。
【符号の説明】
31…回転機器としての直流電動機、32…固定子、33…回転子としての電機子、35…磁極としてのマグネット、37…スロット、38…整流子としてのコンミテータ、39…ブラシ、41〜45…巻線、50,60,70…回転機器としての電動モータのコア、51,71…第1コア部、52,72…第2コア部、53,73…リング部、54,74…一体ティース、55,75…分割ティース、55c,55f,75c…第2の嵌合部としての嵌合突部、55e…インシュレータたわみ防止部としての薄板部、57,57c,77…第1の嵌合部としての分割ティース嵌合凹部、58,78…ティース部、59,79…巻線、80…インシュレータ、80c…嵌合端絶縁部、91…回転子としての電機子、93…コア、94…整流子としてのコンミテータ、95…第1コア部、96…第2コア部、97…リング部、97b…第1の嵌合部としての外周面、98…ティース部、98z…第2の嵌合部としての内側面、100…巻線、101…絶縁体、102…セグメント、103…短絡線。
Claims (10)
- 複数の磁極(35)を有する固定子(32)と、
前記磁極(35)と対向するよう配設され、巻線(41〜45)が巻回される複数のスロット(37)を有する回転子(33)と、
前記回転子(33)に固定され前記巻線(41〜45)に接続される整流子(38)と、
前記整流子(38)に摺接する複数のブラシ(39)とを備えた回転機器において、
前記回転子(33)のラジアル方向への力がゼロ、もしくは前記各スロット(37)におけるトルクベクトルの合成値がゼロとなるように、前記磁極(35)及びスロット(37)の数を設定し、
前記磁極の数を2m(mは1以上の整数)とし、前記スロットの数をn(nは3以上の整数)としたとき、磁極数2mとスロット数nを、
0<2m<2n(ただし、n≠2m) (A)
mod(n,2)=0 (D)
に満足する組み合わせにし、
前記整流子は、略円筒状に形成された絶縁体と、その絶縁体の外周面に複数配置されるセグメントと、全てのセグメントが通電されるように各セグメントに接続され、複数のセグメントのうち同位相のセグメントを短絡する短絡線とを有し、
前記複数のスロットに巻回された各巻線は、その両端部がそれぞれ前記セグメントに接続され、
前記同位相のセグメントを短絡する短絡線は、その一方の端部が前記巻線の一方の端部と接続されたセグメントに接続されるとともに短絡線の他方の端部が前記巻線の他方の端部と接続されたセグメントに接続され、短絡線の中央部が前記巻線と非接続となるセグメントに接続されることを特徴とする回転機器。 - 複数の磁極(35)を有する固定子(32)と、
前記磁極(35)と対向するよう配設され、巻線(41〜45)が巻回される複数のスロット(37)を有する回転子(33)と、
前記回転子(33)に固定され前記巻線(41〜45)に接続される整流子(38)と、
前記整流子(38)に摺接する複数のブラシ(39)と
を備えた回転機器において、
前記回転子(33)のラジアル方向への力がゼロ、もしくは前記各スロット(37)におけるトルクベクトルの合成値がゼロとなるように、前記磁極(35)及びスロット(37)の数を設定し、
前記磁極の数を2m(mは1以上の整数)とし、前記スロットの数をn(nは3以上の整数)とし、kを自然数とし、nの各因数を1を除いた因数としたとき、磁極数2mとスロット数nを、
0<2m<2n(ただし、n≠2m) (A)
mod(n,2)=1且つmod((nの各因数)×k,2)=0 (E)
(nの各因数)×k=2m (F)
に満足する組み合わせにし、
前記整流子は、略円筒状に形成された絶縁体と、その絶縁体の外周面に複数配置されるセグメントと、全てのセグメントが通電されるように各セグメントに接続され、複数のセグメントのうち同位相のセグメントを短絡する短絡線とを有し、
前記複数のスロットに巻回された各巻線は、その両端部がそれぞれ前記セグメントに接続され、
前記同位相のセグメントを短絡する短絡線は、その一方の端部が前記巻線の一方の端部と接続されたセグメントに接続されるとともに短絡線の他方の端部が前記巻線の他方の端部と接続されたセグメントに接続され、短絡線の中央部が前記巻線と非接続となるセグメ ントに接続されることを特徴とする回転機器。 - 請求項1又は2に記載の回転機器において、
前記磁極の数を6に設定し、前記スロットの数を8に設定したことを特徴とする回転機器。 - 請求項1又は2に記載の回転機器において、
前記磁極の数を2m(mは1以上の整数)とし、前記スロットの数をn(nは3以上の整数)とし、短節巻係数をKとしたとき、磁極数2mとスロット数nを、
K=sin((π/2)×(2m/n)) (B)
の式で表される短節巻係数KがK>0.9に満足する組み合わせにしたことを特徴とする回転機器。 - 請求項1〜4のいずれか1に記載の回転機器において、
前記回転子(33,91)のコア(50,93)は、
第1の嵌合部(57,57c,97b)を有するリング部(53,97)と、第2の嵌合部(55c,98z)を有し前記リング部(53,97)から放射状に形成されるティース部(58,98)とからなる第1及び第2コア部(51,52,95,96)を備え、前記第1コア部(51,95)の第1の嵌合部(57,57c,97b)と第2コア部(52,96)の第2の嵌合部(55c,55f,98z)を嵌合させ、第2コア部(52,96)の第1の嵌合部(57,57c,97b)と第1コア部(51,95)の第2の嵌合部(55c,55f,98z)を嵌合させることによって、第1コア部(51,95)と第2コア部(52,96)を積層させてなることを特徴とする回転機器。 - 請求項5に記載の回転機器において、
前記ティース部(58)は、前記リング部(53)から放射状に一体形成された一体ティース(54)と、該一体ティース(54)と同一形状に形成され且つ前記第2の嵌合部(55c)を有し、当該一体ティース(54)に固着した分割ティース(55)とからなることを特徴とする回転機器。 - 請求項5に記載の回転機器において、
前記第1及び第2コア部(95,96)は、磁性粉体を圧縮成形することで前記リング部(97)とティース部(98)とが一体に形成されることを特徴とする回転機器。 - 請求項5〜7のいずれか1に記載の回転機器において、
前記磁極の数を6に設定し、前記スロットの数を8に設定し、該スロットには前記巻線(59,100)が集中巻にて巻回されたことを特徴とする回転機器。 - 請求項1〜8のいずれか1に記載の回転機器において、
前記短絡線(103)を、前記絶縁体(101)の外周面に略V字状となるよう配置し、該短絡線(103)におけるV字の中央部を前記巻線(100)が非接続となるセグメント(102)に接続し、該短絡線(103)について、その中央部の接続は3つのセグメント(102)おきに行われることを特徴とする回転機器。 - 請求項9に記載の回転機器において、
前記短絡線(103)の中央部を前記セグメント(102)に接合した後、該短絡線(103)の端部を前記巻線(100)の端部とともにセグメント(102)に接合することを特徴とする回転機器。
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