JP3881227B2 - 建設機械の連結ピン着脱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械の連結ピンの着脱装置に関し、特に、連結ピンの重量が大きい、例えばクレーンのブームと本体とを連結する連結ピンの着脱装置に関する。
【0002】
【従来技術】
建設機械としてのクローラクレーンは、近年の工事の大型化等の理由により吊上げ能力が数十トン、数百トンを越すことがある。このクローラクレーンは、履帯式の走行体を有する本体と、本体の前部に起伏動可能に軸支されるラチス構造のブームと、ブームの頂部からフックを吊下し、そのフックに接続されたワイヤロープを巻き取るウインチ等により大略構成される。前述のブームは、ワイヤロープによって数十トン、数百トンの吊荷を支持する関係上、構造部材の鋼管の径が大きくなるとともに、その長さも数十メートルに達するため重量が大きくなり、またそのブームを本体に連結するピンの径、長さとも大きくなる。
【0003】
一方、クローラクレーンは、輸送のために本体からブームを取り外したり、取付けたりすることが行われるが、ピンの大型化による重量増加等の理由で、ピンの取付け取り外し作業は非常に労力を要する作業になっている。
【0004】
また、近年の機械の居住性等の向上により運転室が大型化し、運転室に隣接する本体とブームとの連結部の空間が狭小となり、連結ピンの抜き差しを行う十分な作業スペースを確保するのが難しくなっている。
【0005】
これらの問題に鑑み、本出願人は先に特願平11−12843号(特開2000−211888号公報)で、ブームと本体との連結ピンの着脱を油圧シリンダを用いて行うようにしたものを提案した。この提案は、位置合わせされたブーム連結部と本体連結部とのピン穴に、本体連結部に設けた油圧シリンダによって連結ピンを挿入、引き抜きするもので、これによって連結ピンの抜き差し作業を容易にするものである。また、連結ピンの挿入状態を外部から確認できるように、連結ピンと油圧シリンダのシリンダロッドとの連結部にそれらを覆うカバー部材から突出するインジケータ(以下突出部材という)を設けたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したブームは、連結ピンを中心に本体に対して回動するから、連結ピンに対してブームは回動可能に構成され、しかも回動部分は給脂されて円滑に回動されるようになっている。上述した連結ピンと油圧シリンダとは、段付のピン状に形成された突出部材の基端部によりピン連結され、突出部材は、油圧シリンダのシリンダロッド部を覆うカバー部材に設けられた案内溝により連結ピンの軸方向にのみ移動可能に設けられている。そのため、万一、連結ピンとブーム間にかじりが生じてブームが円滑に回動できない事態が生じると、連結ピンが回動し突出部材に曲げ力が作用して段付した基端部が折損する可能性がある。突出部材の基端部が折損すると、油圧シリンダと連結ピンとの連結が解かれ、油圧シリンダによる連結ピンの抜き差し作業が不能になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した問題を解決し、突出部材が折損したとしても連結ピンと油圧シリンダとの連結状態を保持できる建設機械の連結ピン着脱装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の建設機械の連結ピン着脱装置は、上述した目的を達成するために、建設機械の固定側構造体に設けられるピン孔と固定側構造体に対して回動可能な回動体に設けられるピン孔とに連結ピンを挿入して両者を連結するとともに、挿入された連結ピンを引き抜いて両者の連結を解除するための建設機械の連結ピン着脱装置に適用され、固定側構造体および回動体のいずれか一方に、ピン孔を覆うカバー部材を設け、このカバー部材には、シリンダロッドをピン孔に向けて伸縮動作するようにシリンダ装置が設けられ、シリンダロッドの先端には連結ピンが連結され、シリンダロッドと連結ピンとの連結部には、先端部がカバー部材から突出する突出部材を設け、突出部材は、シリンダロッドと連結ピンとを連結する連結部材と、基端部が連結部材に連結され、先端部がカバー部材から突出する位置表示部材とから構成され、連結部材は、シリンダロッドと連結ピンとに設けられたピン孔に挿入される挿入部と、挿入部の上部にピン孔よりも大径に形成されて挿入部がピン孔に挿入されてシリンダロッドと連結ピンとが連結された状態を保持する係止部とを有し、位置表示部材と係止部とは、位置表示部材および係止部よりも小径の軸部材により連結され、カバー部材には、位置表示部材をシリンダロッドの移動方向に案内する案内溝を設け、位置表示部材を案内溝から外部へ突出させるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における建設機械の連結ピン着脱装置の一実施の形態を図1〜図6により説明する。図1は本発明による建設機械の連結ピン着脱装置が適用されるクレーンの全体側面図、図2は図1における平面図、図3は図2におけるA部詳細図、図4は図3におけるB方向矢視図、図5は図4におけるC−C方向断面図、図6は図5のD−D線断面図、図7は連結ピンとピストンロッド接続部の斜視図である。図1、図2により本発明の建設機械の連結ピン着脱装置が適用されるクレーンについて説明する。
【0013】
図において、1は履帯式の走行体、2は走行体1の上部に旋回装置3を介して設けられる旋回体、4は旋回体2の前部に俯仰動可能に軸支されるブーム、5は旋回体2の前部でブーム4の側方部に設けられる運転室、6は運転室5の後部に設けられる機械室、7は旋回体2の後端部に設けられるカウンタウェイト、8は旋回体2上に立設されるAフレームで、このAフレームは、旋回体2に設けられる不図示の起伏ウインチから繰出される起伏ロープ14をブーム4の頂部に向けて案内するものである。9はブーム4の所定量以上の後傾を制限するバックステーである。
【0014】
前述のブーム4は、ラチス構造をなし、旋回体2に回動可能に軸支される基端ブーム4aと、基端ブーム4aの先端部に不図示の連結ピンによって連結される先端ブーム4bとからなり、先端ブーム4bの先端には、旋回体2上に設けられる不図示の主巻ウインチから繰り出される主巻ロープ13を下方に向けて案内するシーブ10,11が設けられる。12は、先端ブーム4bの頂部から吊下げされる主巻ロープ13が掛け回され、主巻ロープ13の繰出し、繰込みによって昇降するフックである。
【0015】
基端ブーム4aは、基端部に一対の二股形状のフート部ブラケット15R,15Lが設けられ、フート部ブラケット15R,15Lにはそれぞれピン孔16が設けられている(図6参照)。
【0016】
また、旋回体2の前端部には、基端ブーム4aを回動自在に連結するためのブームフート17R,17Lが設けられ、ブームフート17R,17Lには、それぞれピン孔18が設けられている。そして、基端ブーム4aのフート部ブラケット15R,15Lの二股部をそれぞれ、旋回体2のブームフート17R,17Lに挟み込み、ピン孔16とピン孔18との中心位置を合わせ、ピン孔16,18に連結ピン19をそれぞれ挿入して先端ブーム4aと旋回体2とを連結する。
【0017】
そして、基端ブーム4aのフート部ブラケット15R,15Lには、それぞれ、本発明の連結ピン着脱装置30が設けられる。次に連結ピン着脱装置30について詳述する。なお、連結ピン着脱装置30は、フート部ブラケット15R,15Lのそれぞれに設けられるものであるが、同一の構成であるため、一方のみ説明する。
【0018】
図3〜図6において、31は、フート部ブラケット15Rのピン孔16を覆うように取付けられる半円筒体のカバー部材である。カバー部材31は、一端側に開口部を有し、その外周部に半円状のフランジ35が設けられている。カバー部材31の他端部には、後述の油圧シリンダ32が設けられる蓋体41が設けられている。そしてこのカバー部材31は、ボルト36によってフート部ブラケット15Rにフランジ35を螺着させることにより、取付けられる。また、このカバー部材31の外周壁の軸方向に案内溝42が設けられ、後述する突出部材37を案内移動させる。
【0019】
油圧シリンダ32はシリンダチューブの端部にフランジ33を有し、ボルト34によってカバー部材31の蓋体41にフランジ33を螺着することにより、油圧シリンダ32がカバー部材31に取付られる。この油圧シリンダ32には、ボトム室圧油供給口およびロッド室側圧油供給口にそれぞれ油圧カプラ32a,32bが設けられ、油圧シリンダ32の伸縮動作を行うときに、旋回体2からの油圧源を接続して圧油が供給される。
【0020】
また、図7に示すように、油圧シリンダ32のシリンダロッド32cの先端には、径方向に連結穴32dが設けられている。連結ピン19に設けられる嵌合穴19aにシリンダロッド32cが嵌合されている。そして、連結ピン19の嵌合穴19aを横切る径方向のピン穴19bには、後述する突出部材37の基端部が挿入され、これにより、シリンダロッド32cと連結ピン19とが連結されている。なお、連結ピン19には、回転防止のための切欠き部19cが設けられている。
【0021】
前述した突出部材37は、図5に示すように軸部37a(位置表示部材)と、基端部に設けられ、ピン穴19bおよびピン穴32dに挿入されるピン状の挿入部37bと、挿入部37bの上部に挿入部37bよりも大径に形成され、挿入部37bがピン穴19bおよびピン穴32dに挿入された際に突出部材37を保持する係止部37cと、係止部37cと軸部37aとの間に設けられる接続部37dとから構成され、接続部37dは、軸部37aおよび係止部37cよりも小径に構成される。そして、挿入部37bの先端に設けられる抜け止めリング40によってピン穴19b,32dからの抜け落ちが防止されている。
【0022】
なお、本実施の形態では詳述しないが、油圧シリンダ32の駆動源となる油圧源は、旋回体2上に設けられる油圧源を使用し、この油圧源からの油圧を運転室5内に設けた操作スイツチによって操作して、油圧シリンダ32への供給をコントロールするものである。
【0023】
この突出部材37は、基端部の挿入部37bが油圧シリンダ32のシリンダロッド32cの連結穴32dと連結ピン19のピン穴19bに挿入されて、両者を連結し、他端の軸部37aが前述したカバー部材31に設けられた案内溝42から突出するように設けられている。したがって、油圧シリンダ32のシリンダロッド32cの伸縮動作に伴い、突出部材37も案内溝42に沿って移動する。突出部材37が図4,図6に示すように左端位置まで移動したときには、連結ピン19は、フート部ブラケット15Rのピン孔16および、旋回体2のブームフート17のピン孔18に挿入された状態となる。反対に、図4,図6において右端位置まで移動したときは、連結ピン19がそれらピン孔16,18から抜け出た状態となる。これによって連結ピン19の位置を確認することができる。
【0024】
突出部材37は、挿入部37bが連結ピン19の係止穴19bに貫通し、軸部37aが、カバー部材31に軸方向に延設されている案内溝42から突出するように設けられているので、万一、ブーム4の回動動作に伴って連結ピン19に過大な回転力が発生した場合には、突出部材37に作用する過大な曲げ力で小径の接続部37dから欠損するようになっている。この場合、連結ピン19の回転は許容されるが、係止部37c、挿入部37bにより連結ピン19と油圧シリンダ32との連結状態は保持されて、連結ピン19の抜き差し作業を継続して行うことができる。
【0025】
なお、本実施の形態では、連結ピン19の切欠き部19cにロックプレート38を当接させ、そのロックプレート38をボルト39によってフート部ブラケット15R,15Lに取付けている。そのため、連結ピン19がフート部ブラケット15R,15Lのピン孔16と、旋回体2のブームフート17R,17Lのピン孔18とに挿入された状態において、ブーム4の俯仰動により連結ピン19が共回りするのが防止される。
【0026】
なお、上述したようにこの連結ピン着脱装置30は、基端ブーム4aのフート部ブラケット15R,15Lの両方にそれぞれ設けられるものである。
【0027】
次に以上のように構成される建設機械の連結ピン着脱装置の動作を旋回体2に基端ブーム4aを取付ける場合により説明する。
【0028】
(1)取外されている基端ブーム4aを別に用意したクレーンで吊り上げ、旋回体2の前端部付近に移動させる。
【0029】
(2)基端ブーム4aのフート部ブラケット15R,15Lの二股部を旋回体2のブームフート17R,17Lに差し込み、それらに穿設されているピン孔16,18の中心を合わせる。
【0030】
(3)油圧シリンダ32の油圧カプラ32a,32bに旋回体2に設置されている油圧源を接続する。
【0031】
(4)運転室5内に設けられる油圧源操作スイッチを操作し、油圧シリンダ32を伸長動作させる。すると、カバー部材31内に収容された連結ピン19は、油圧シリンダ32のシリンダロッド32cの伸長動作に伴って位置合わせられたフート部ブラケット15R,15Lとブームフート17R,17Lのピン孔16,18に向けて移動し挿入される。このとき、連結ピン19のピン孔16,18への挿入状態は、突出部材37によって確認できるため、ブームフート17R,17Lの近傍でピン孔16,18の位置合わせ作業等を行っている作業員は、連結ピン19の挿入状態を確認しながら、ピン孔16,18の位置の微調整作業等を行うことができるとともに、運転室5内で油圧シリンダ32の操作を行うオペレータも連結ピンの挿入状態が確認できるため、連結ピン19の挿入状態に応じて油圧源操作スイッチを操作し、油圧シリンダ32を伸長動作を加減できるため、ブーム4の取付作業を簡単に行うことができる。
【0032】
そして連結ピン19がピン孔16,18に挿入されたことを確認した後、ロックプレート38をボルト39により取付けるが、突出部材37とカバー部材31により、連結ピン19は回転しないので、ロックプレート38が取付けられる切欠き部19cの位置修正も行う必要が無く、ロックプレート38を容易に装着することができる。
【0033】
また、ブーム4をブームフート17R,17Lから取り外す場合は、前述と逆の手順により、運転室5内のオペレータが油圧源操作スイッチを操作して油圧シリンダ32を収縮動作させるが、この場合も突出部材37により、運転室5内のオペレータ、およびブームフート15R,15L近傍の作業員がともに、連結ピン19の引き抜き状態を確認できるため、効率良く作業を行うことができる。
【0034】
そして、万一、連結ピン19にかじり等が発生し、回転力が発生した場合には、突出部材37は、接続部37dから折れ、軸部37aと係止部37c、挿入部37bとが分離されるが、係止部37c、挿入部37bにより連結ピン19と油圧シリンダとの連結状態は保持され、引き続き、連結ピン19の抜き差し作業を行うことができる。また、抜き差し作業時に突出部材37の軸部37aが移動しないことを確認することで、突出部材37の折損状態と連結ピン19のかじり等の異常状態を確認することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、連結ピン着脱装置30を基端ブーム4aに取り付けたものについて説明したが、旋回体2のブームフート17R,17Lに設ける構成としてもよい。その場合は、カバー部材31をブームフート17R,17L近傍の旋回体2上にブラケット等を用いて取付ければ良い。また、本発明は連結ピンの移動に連動して移動する突出部材を目視可能に設置するものであれば、どのような構成でもよく、実施の形態に限定されない。たとえば、ピン状の突出部材に限ることなく、板状でもよい。
【0036】
【発明の効果】
本発明の建設機械の連結ピン着脱装置は以上のように構成したことから、突出部材により連結ピンの位置を確認することができるため、連結ピンの挿入、引き抜き状態に応じてシリンダ装置を適宜操作することで、固定側構造体と回動体との連結作業、分解作業を容易に行うことができる。そして、万一、連結ピンに回転力が働いても、突出部材の破損により連結ピンと油圧シリンダ装置との連結状態が保持されるため、連結ピンを固定側構造体と回動体のピン孔に確実に挿入、引き抜きすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建設機械の連結ピン着脱装置が適用されるクレーンの全体側面図である。
【図2】図1における平面図である。
【図3】図2におけるA部詳細図である。
【図4】図3におけるB方向矢視図である。
【図5】図4におけるC−C方向断面図である。
【図6】図5のD−D方向断面図である。
【図7】連結ピンとピストンロッドとの接続部の斜視図である。
【符号の説明】
2;旋回体
4;ブーム
4a;基端ブーム
15L,15R;フート部ブラケット
16,18;ピン孔
17L,17R;ブームフート
19;連結ピン
30;連結ピン着脱装置
31;カバー部材
32;油圧シリンダ
37;突出部材
37a;軸部(位置表示部材)
37b;挿入部
37c;係合部
37d;接続部
42;案内溝
Claims (1)
- 建設機械の固定側構造体に設けられるピン孔と前記固定側構造体に対して回動可能な回動体に設けられるピン孔とに連結ピンを挿入して両者を連結するとともに、挿入された前記連結ピンを引き抜いて両者の連結を解除するための建設機械の連結ピン着脱装置において、
前記固定側構造体および回動体のいずれか一方に、前記ピン孔を覆うカバー部材を設け、このカバー部材には、シリンダロッドを前記ピン孔に向けて伸縮動作するようにシリンダ装置が設けられ、
前記シリンダロッドの先端には前記連結ピンが連結され、
前記シリンダロッドと連結ピンとの連結部には、先端部が前記カバー部材から突出する突出部材を設け、
前記突出部材は、前記シリンダロッドと連結ピンとを連結する連結部材と、基端部が前記連結部材に連結され、先端部が前記カバー部材から突出する位置表示部材とから構成され、
前記連結部材は、前記シリンダロッドと連結ピンとに設けられたピン孔に挿入される挿入部と、前記挿入部の上部に前記ピン孔よりも大径に形成されて前記挿入部が前記ピン孔に挿入されて前記シリンダロッドと前記連結ピンとが連結された状態を保持する係止部とを有し、
前記位置表示部材と前記係止部とは、前記位置表示部材および前記係止部よりも小径の軸部材により連結され、
前記カバー部材には、前記位置表示部材を前記シリンダロッドの移動方向に案内する案内溝を設け、前記位置表示部材を前記案内溝から外部へ突出させることを特徴とする建設機械の連結ピン着脱装置。
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