JP3881132B2 - ロッカアーム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カムにより傾動させられてシリンダヘッドに設けられたバルブを開閉動作させるロッカアームに係り、特に板金製の胴体に傾動支軸支持用の筒体を取り付ける形態に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のロッカアームにおいて、その胴体を鋳型にて製造する場合では、シリンダヘッドに設置される傾動支軸(ロッカシャフト)の支持形態として、胴体の所要位置に円筒形の孔を形成して、ここに傾動支軸を挿通させるようにしており、十分な支持剛性を確保できるので問題なかったが、全体の軽量化と低コスト化を図ることを目的として胴体を板金製とする場合では、傾動支軸の支持形態として、胴体における一対の対向側壁に対して同軸状の貫通孔を形成し、この貫通孔それぞれにスリーブを架設し、このスリーブの内周に傾動支軸を挿通させるような形態にしなければならなかった。
【0003】
このスリーブの取り付け形態としては、従来では、胴体の貫通孔にスリーブを嵌入した状態で、スリーブの軸方向両端面を打刻かしめして径方向外向きに膨出する偏肉膨出部を形成することにより、スリーブを抜け止めさせるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記スリーブの打刻かしめでは、スリーブの端面に径方向外向きの偏肉膨出部が形成される他に、径方向内向きに膨出する部分も形成されてしまうために、スリーブと傾動支軸との嵌め合い隙間が詰まり、傾動支軸の局部に対する接触応力が増大することになる。そこで、この径方向内向きの膨出部分について、従来では、打刻かしめ後に研削加工することにより除去するようにしているが、それによって製造コストが嵩む結果となっていた。
【0005】
このような事情に鑑み、本発明は、ロッカアームにおいて、板金製の胴体に対する傾動支軸支持用の筒体の取り付けを簡易な作業で行えるようにして、低コスト化を図ることを目的としている。
【0006】
請求項1の発明は、カムにより傾動させられてシリンダヘッドに設けられたバルブを開閉動作させるロッカアームであって、一枚の金属板をほぼ逆さU字形に屈曲して一対の対向側壁およびそれらの少なくとも長手方向一端側に連接天井壁を設けてなる板金製の胴体と、この胴体における一対の対向側壁の長手方向他端側に同軸状に設けられる貫通孔それぞれに対して架設される傾動支軸支持用の筒体とを有し、該筒体の内孔に対して支軸が挿通され、前記筒体が、その軸方向両端面に打刻かしめにより設けられる径方向外向きの偏肉膨出部によって前記両貫通孔に抜け止めされていて、この筒体の内孔の両開口端に加圧かしめによる塑性変形面取り部が設けられているとともに、前記塑性変形面取り部は、外方へ向けて漸次拡径する形状である。
【0007】
この構成では、板金製の胴体の貫通孔に対する筒体の取り付けを従来例と同様の打刻かしめで行っているので、この打刻かしめ後に筒体の内孔の開口端に対して径方向内向きの偏肉膨出部が発生するのは避けられないが、この偏肉膨出部については、筒体の内孔の開口端に加圧かしめにより得られる塑性変形面取り部を設けることによって除去するようにしている。これにより、筒体と傾動支軸との嵌め合い隙間を適正に確保することができ、しかも、加圧かしめそのものが従来例のような研削処理により得る場合に比べて作業が簡単かつ効率的であるから、製造上の無駄を省けるようになる。
【0008】
請求項2の発明は、カムにより傾動させられてシリンダヘッドに設けられたバルブを開閉動作させるロッカアームであって、一枚の金属板をほぼ逆さU字形に屈曲して一対の対向側壁およびそれらの少なくとも長手方向一端側に連接天井壁を設けてなる板金製の胴体と、この胴体における一対の対向側壁の長手方向他端側に同軸状に設けられる貫通孔それぞれに対して架設される傾動支軸支持用の筒体とを有し、該筒体の内孔に対して支軸が挿通され、前記筒体が、その軸方向両端に加圧かしめにより設けられる径方向外向きの塑性変形反り部によって前記両貫通孔に抜け止めされているとともに、前記塑性変形反り部の内周面は、加圧かしめによって外方へ向けて漸次拡径する形状の面取り部とされている。
【0009】
この構成では、板金製の胴体の貫通孔に対する筒体の取り付ける形態として、従来例のような打刻かしめとせずに、筒体の内孔の両開口端を加圧かしめにより塑性変形させて径方向外向きに反らせるような形態にしているから、筒体の抜け止めと筒体の内孔の両開口端に対する面取り部の形成とを同時に行えるようになり、上記請求項1や従来例に比べて工数が少なくて済む。
【0010】
請求項3の発明は、上記請求項1または2に記載のロッカアームにおいて、前記胴体における一対の対向側壁の長手方向中間には、カムが当接させられるローラが支軸を介して回転可能に支持されており、また、前記連接天井壁には、バーリング加工により円筒形膨出部が設けられているとともに、この円筒形膨出部の内孔にバルブアジャストスクリューが螺合されるネジ山が設けられている。
【0011】
この構成では、ロッカアームの胴体にローラやバルブアジャストスクリューの取り付け位置を限定して、胴体の長手方向片端側を支点として傾動させるエンドピボットタイプとしている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0013】
図1ないし図7に本発明の一実施形態を示している。図1は、ロッカアームの側面図、図2は、ロッカアームの分解斜視図、図3は、ロッカアームの上面図、図4は、図3の(4)−(4)線断面の矢視図、図5は、ロッカアーム胴体の製造手順を示す説明図、図6は、ロッカアーム胴体のバルブアジャストスクリューの装着部の加工形態を示す説明図、図7は、ロッカアーム胴体に対するスリーブの取り付け手順を示す説明図である。
【0014】
図例のロッカアーム1は、シリンダヘッドに設置される傾動支軸(ロッカシャフト)2が挿通される長手方向他端を支点としてカム3により傾動させられてバルブ4を開閉動作させるエンドピポッドタイプと呼ばれるものであり、胴体5とバルブアジャストスクリュー6とローラ7とスリーブ8とを有している。
【0015】
胴体5は、一枚の金属板を断面ほぼ逆さU字形に型曲げ加工を施すことにより、帯状の一対の対向側壁9,10とそれらを長手方向両端側で連接する連接天井壁11,12とが設けられている。一対の対向側壁9,10の長手方向中間には同軸状の貫通孔13,13が、また、一対の対向側壁9,10の長手方向他端側には同軸状の貫通孔14,14がそれぞれ穿設されている。一方の連接天井壁11には、円筒形膨出部15がバーリング加工により設けられており、この円筒形膨出部15の内孔にはネジ山が形成されている。
【0016】
バルブアジャストスクリュー6は、バルブ4の上端に当接されるもので、胴体5の円筒形膨出部15に対する螺合量を可変することによりバルブ4との接触状態を調整するものである。
【0017】
ローラ7は、胴体5における一対の対向側壁9,10の貫通孔13,13に架設される支軸16に対して複数のニードルローラ17を介して回転可能に支持されている。
【0018】
スリーブ8は、金属パイプなどからなり、胴体5における一対の対向側壁9,10の貫通孔14,14に架設された状態で抜け止めされている。このスリーブ8の内孔に対して傾動支軸2が所要隙間を介して挿通される。
【0019】
この実施形態では、胴体5に対するスリーブ8の取り付け形態に特徴がある。その詳細については後述する。
【0020】
ここで、上記ロッカアーム1の胴体5の製造手順を説明する。
【0021】
まず、図5(a)に示すように、一枚の金属板Aを平面視でほぼ「ロ」字形状に打ち抜き、その所要領域にバーリング加工を施して円筒形膨出部15を形成するとともに、その内孔にネジ山を形成する。なお、バーリング加工により円筒形膨出部15を形成すると、図6(a)に示すように、その内孔において加工上流側の開口端にR面15aが形成されてしまい、後のネジ山形成時においてネジ山の数が少なくなるので、例えば図6(b)に示すように、受け金型Bと押し金型Cとを用いて加圧プレスすることにより、円筒形膨出部15を押し込んでR面15aを小さく塑性変形させるようにしている。
【0022】
この後、図5(b)に示すように、金属板Aの所要領域に貫通孔13,13,14,14を形成する。なお、貫通孔14,14の外端には、テーパ状面取り14a,14aが設けられている。このとき、貫通孔14,14の近傍に透孔18,18を設けておくことで、後の型曲げ加工時に貫通孔14,14が楕円形に変形してしまうことを防ぐようにしている。
【0023】
そして、金属板Aの両側部分を、図5(c)に示すように、型曲げ加工により、図5(b)の破線に沿ってほぼ逆さU字形に折り曲げる。これにより、一対の対向側壁9,10と連接天井壁11,12とを得る。なお、連接天井壁11,12により対向側壁9,10を両端で一体としているので、後の熱処理時の変形を防ぐことができる。
【0024】
この後、胴体5に焼入れ硬化などの熱処理工程を経て一対の対向側壁9,10の貫通孔13,13に対してローラ7を支軸16およびニードルローラ17を介して取り付けるとともに、貫通孔14,14に対してスリーブ8を取り付ける。このスリーブ8の取り付けは、以下のとおりである。
【0025】
すなわち、まず、スリーブ8を胴体5の貫通孔14,14に対して挿通し、例えば図7(a)に示すように、スリーブ8の軸方向両端面に対してパンチング治具Dを用いて打刻かしめを施す。これにより、スリーブ8の両端面に打刻溝20が形成されるとともに、それに伴い塑性流動する肉部が径方向外向きに膨出させられることになって偏肉膨出部21が形成され、この偏肉膨出部21によりスリーブ8が貫通孔14,14に対して抜け止めされることになる。なお、偏肉膨出部21は、貫通孔14,14のテーパ状面取り14a,14aに押し付けられており、外部に突出させないようになっている。
【0026】
しかしながら、前述の打刻かしめにより、スリーブ8の内孔の両開口端に径方向内向きの偏肉膨出部21aが形成されてしまうので、この後、図7(b)に示すように、スリーブ8の内孔の両開口端に対して先細円錐面E1を有するパンチング治具Eを用いて加圧かしめを施す。これにより、スリーブ8の内孔の両開口端がパンチング治具Eの先細円錐面E1により潰されることになり、外方へ向けて漸次拡径する形状の塑性変形面取り部22が形成されることになる。
【0027】
以上説明したように、胴体5に対してスリーブ8を取り付けるにあたって、従来例と同様に打刻かしめ処理を施すのであるが、打刻かしめ処理に伴いスリーブ8の内孔の両開口端に発生する径方向内向きの偏肉膨出部21aを削除してスリーブ8と傾動支軸2との嵌め合い隙間を適正に確保するための後処理として加圧かしめ処理を行うことによって塑性変形面取り部22を設けるようにしている。したがって、従来例のような研削処理で面取りする場合に比べて作業を簡単かつ迅速に済ませることができるとともに、打刻かしめと加圧かしめとを連続的に行うことができるから、生産性の向上ならびに製造コストの低減に貢献できるようになる。
【0028】
なお、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0029】
(1) 上記実施形態では、胴体5の貫通孔14,14に対してスリーブ8を打刻かしめにより取り付けるようにしているが、図8および図9に示すように、貫通孔14,14に対してスリーブ8を挿通した状態において、スリーブ8の軸方向両端に対して1回の加圧かしめによって径方向外向きに反った塑性変形反り部30を設けることにより、スリーブ8を貫通孔14,14に対して抜け止めさせるような形態とすることができる。なお、塑性変形反り部30の内周面は、外方へ向けて漸次拡径する面取り部31となっている。このような加圧かしめでは、スリーブ8の抜け止めとスリーブ8の内孔の両開口端に対する面取り部31の形成とを同時に行えるから、上記実施形態や従来例で提示したような打刻かしめに比べて工数を少なくできて、生産性ならびに製造コストの低減を図るうえで有利になる。
【0030】
(2) 上記実施形態において、ローラ7を支軸16に対して複数のニードルローラ17を介して支持させているが、このニードルローラ17を用いずにすべり接触により回転支持させることができる。つまり、ローラ7を支軸16に対してすきま嵌めにより直接外嵌させたり、あるいは図示しないが、すべり軸受を介して嵌合したりすることができる。
【0031】
(3) 上記実施形態では、エンドピボットタイプのロッカアーム1を例示したが、図示しないが、センタピボットタイプのロッカアームにも本発明を適用することができる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明では、胴体の貫通孔に対して傾動支軸支持用の筒体を打刻かしめにより取り付けて当該打刻かしめに伴う弊害について加圧かしめで対処するようにしているから、従来例に比べて簡単かつ迅速に、筒体と傾動支軸との嵌め合い隙間を適正に確保した状態とすることができる。これにより、本発明では、低コストで量産化に適したロッカアームを提供できるようになる。
【0033】
請求項2の発明では、胴体の貫通孔に対する傾動支軸支持用の筒体の取り付けについて請求項1の発明に比べてさらに簡単かつ迅速にミスアライメントのない状態とすることができる。
【0034】
なお、請求項3の発明は、請求項1,2の発明の構成要素を限定し、生産性に優れたエンドピボットタイプのロッカアームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のロッカアームの側面図
【図2】ロッカアームの分解斜視図
【図3】ロッカアームの上面図
【図4】図3の(4)−(4)線断面の矢視図
【図5】ロッカアーム胴体の製造手順を示す説明図
【図6】ロッカアーム胴体のバルブアジャストスクリューの装着部の加工形態を示す説明図
【図7】ロッカアーム胴体に対するスリーブの取り付け手順を示す説明図
【図8】本発明の他の実施形態のロッカアームの側面図
【図9】図8のロッカアームで、図4に対応する図
【符号の説明】
1 ロッカアーム
2 傾動支軸
3 カム
4 バルブ
5 ロッカアームの胴体
6 ロッカアームのバルブアジャストスクリュー
7 ロッカアームのローラ
8 ロッカアームのスリーブ
9 胴体の一方の対向側壁
10 胴体の他方の対向側壁
11 胴体の一方の連接天井壁
12 胴体の他方の連接天井壁
13 ローラ取付用の貫通孔
14 スリーブ取付用の貫通孔
15 ローラの支軸
20 スリーブの打刻溝
21 スリーブの偏肉膨出部
22 スリーブの塑性変形面取り部
【発明の属する技術分野】
本発明は、カムにより傾動させられてシリンダヘッドに設けられたバルブを開閉動作させるロッカアームに係り、特に板金製の胴体に傾動支軸支持用の筒体を取り付ける形態に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のロッカアームにおいて、その胴体を鋳型にて製造する場合では、シリンダヘッドに設置される傾動支軸(ロッカシャフト)の支持形態として、胴体の所要位置に円筒形の孔を形成して、ここに傾動支軸を挿通させるようにしており、十分な支持剛性を確保できるので問題なかったが、全体の軽量化と低コスト化を図ることを目的として胴体を板金製とする場合では、傾動支軸の支持形態として、胴体における一対の対向側壁に対して同軸状の貫通孔を形成し、この貫通孔それぞれにスリーブを架設し、このスリーブの内周に傾動支軸を挿通させるような形態にしなければならなかった。
【0003】
このスリーブの取り付け形態としては、従来では、胴体の貫通孔にスリーブを嵌入した状態で、スリーブの軸方向両端面を打刻かしめして径方向外向きに膨出する偏肉膨出部を形成することにより、スリーブを抜け止めさせるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記スリーブの打刻かしめでは、スリーブの端面に径方向外向きの偏肉膨出部が形成される他に、径方向内向きに膨出する部分も形成されてしまうために、スリーブと傾動支軸との嵌め合い隙間が詰まり、傾動支軸の局部に対する接触応力が増大することになる。そこで、この径方向内向きの膨出部分について、従来では、打刻かしめ後に研削加工することにより除去するようにしているが、それによって製造コストが嵩む結果となっていた。
【0005】
このような事情に鑑み、本発明は、ロッカアームにおいて、板金製の胴体に対する傾動支軸支持用の筒体の取り付けを簡易な作業で行えるようにして、低コスト化を図ることを目的としている。
【0006】
請求項1の発明は、カムにより傾動させられてシリンダヘッドに設けられたバルブを開閉動作させるロッカアームであって、一枚の金属板をほぼ逆さU字形に屈曲して一対の対向側壁およびそれらの少なくとも長手方向一端側に連接天井壁を設けてなる板金製の胴体と、この胴体における一対の対向側壁の長手方向他端側に同軸状に設けられる貫通孔それぞれに対して架設される傾動支軸支持用の筒体とを有し、該筒体の内孔に対して支軸が挿通され、前記筒体が、その軸方向両端面に打刻かしめにより設けられる径方向外向きの偏肉膨出部によって前記両貫通孔に抜け止めされていて、この筒体の内孔の両開口端に加圧かしめによる塑性変形面取り部が設けられているとともに、前記塑性変形面取り部は、外方へ向けて漸次拡径する形状である。
【0007】
この構成では、板金製の胴体の貫通孔に対する筒体の取り付けを従来例と同様の打刻かしめで行っているので、この打刻かしめ後に筒体の内孔の開口端に対して径方向内向きの偏肉膨出部が発生するのは避けられないが、この偏肉膨出部については、筒体の内孔の開口端に加圧かしめにより得られる塑性変形面取り部を設けることによって除去するようにしている。これにより、筒体と傾動支軸との嵌め合い隙間を適正に確保することができ、しかも、加圧かしめそのものが従来例のような研削処理により得る場合に比べて作業が簡単かつ効率的であるから、製造上の無駄を省けるようになる。
【0008】
請求項2の発明は、カムにより傾動させられてシリンダヘッドに設けられたバルブを開閉動作させるロッカアームであって、一枚の金属板をほぼ逆さU字形に屈曲して一対の対向側壁およびそれらの少なくとも長手方向一端側に連接天井壁を設けてなる板金製の胴体と、この胴体における一対の対向側壁の長手方向他端側に同軸状に設けられる貫通孔それぞれに対して架設される傾動支軸支持用の筒体とを有し、該筒体の内孔に対して支軸が挿通され、前記筒体が、その軸方向両端に加圧かしめにより設けられる径方向外向きの塑性変形反り部によって前記両貫通孔に抜け止めされているとともに、前記塑性変形反り部の内周面は、加圧かしめによって外方へ向けて漸次拡径する形状の面取り部とされている。
【0009】
この構成では、板金製の胴体の貫通孔に対する筒体の取り付ける形態として、従来例のような打刻かしめとせずに、筒体の内孔の両開口端を加圧かしめにより塑性変形させて径方向外向きに反らせるような形態にしているから、筒体の抜け止めと筒体の内孔の両開口端に対する面取り部の形成とを同時に行えるようになり、上記請求項1や従来例に比べて工数が少なくて済む。
【0010】
請求項3の発明は、上記請求項1または2に記載のロッカアームにおいて、前記胴体における一対の対向側壁の長手方向中間には、カムが当接させられるローラが支軸を介して回転可能に支持されており、また、前記連接天井壁には、バーリング加工により円筒形膨出部が設けられているとともに、この円筒形膨出部の内孔にバルブアジャストスクリューが螺合されるネジ山が設けられている。
【0011】
この構成では、ロッカアームの胴体にローラやバルブアジャストスクリューの取り付け位置を限定して、胴体の長手方向片端側を支点として傾動させるエンドピボットタイプとしている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0013】
図1ないし図7に本発明の一実施形態を示している。図1は、ロッカアームの側面図、図2は、ロッカアームの分解斜視図、図3は、ロッカアームの上面図、図4は、図3の(4)−(4)線断面の矢視図、図5は、ロッカアーム胴体の製造手順を示す説明図、図6は、ロッカアーム胴体のバルブアジャストスクリューの装着部の加工形態を示す説明図、図7は、ロッカアーム胴体に対するスリーブの取り付け手順を示す説明図である。
【0014】
図例のロッカアーム1は、シリンダヘッドに設置される傾動支軸(ロッカシャフト)2が挿通される長手方向他端を支点としてカム3により傾動させられてバルブ4を開閉動作させるエンドピポッドタイプと呼ばれるものであり、胴体5とバルブアジャストスクリュー6とローラ7とスリーブ8とを有している。
【0015】
胴体5は、一枚の金属板を断面ほぼ逆さU字形に型曲げ加工を施すことにより、帯状の一対の対向側壁9,10とそれらを長手方向両端側で連接する連接天井壁11,12とが設けられている。一対の対向側壁9,10の長手方向中間には同軸状の貫通孔13,13が、また、一対の対向側壁9,10の長手方向他端側には同軸状の貫通孔14,14がそれぞれ穿設されている。一方の連接天井壁11には、円筒形膨出部15がバーリング加工により設けられており、この円筒形膨出部15の内孔にはネジ山が形成されている。
【0016】
バルブアジャストスクリュー6は、バルブ4の上端に当接されるもので、胴体5の円筒形膨出部15に対する螺合量を可変することによりバルブ4との接触状態を調整するものである。
【0017】
ローラ7は、胴体5における一対の対向側壁9,10の貫通孔13,13に架設される支軸16に対して複数のニードルローラ17を介して回転可能に支持されている。
【0018】
スリーブ8は、金属パイプなどからなり、胴体5における一対の対向側壁9,10の貫通孔14,14に架設された状態で抜け止めされている。このスリーブ8の内孔に対して傾動支軸2が所要隙間を介して挿通される。
【0019】
この実施形態では、胴体5に対するスリーブ8の取り付け形態に特徴がある。その詳細については後述する。
【0020】
ここで、上記ロッカアーム1の胴体5の製造手順を説明する。
【0021】
まず、図5(a)に示すように、一枚の金属板Aを平面視でほぼ「ロ」字形状に打ち抜き、その所要領域にバーリング加工を施して円筒形膨出部15を形成するとともに、その内孔にネジ山を形成する。なお、バーリング加工により円筒形膨出部15を形成すると、図6(a)に示すように、その内孔において加工上流側の開口端にR面15aが形成されてしまい、後のネジ山形成時においてネジ山の数が少なくなるので、例えば図6(b)に示すように、受け金型Bと押し金型Cとを用いて加圧プレスすることにより、円筒形膨出部15を押し込んでR面15aを小さく塑性変形させるようにしている。
【0022】
この後、図5(b)に示すように、金属板Aの所要領域に貫通孔13,13,14,14を形成する。なお、貫通孔14,14の外端には、テーパ状面取り14a,14aが設けられている。このとき、貫通孔14,14の近傍に透孔18,18を設けておくことで、後の型曲げ加工時に貫通孔14,14が楕円形に変形してしまうことを防ぐようにしている。
【0023】
そして、金属板Aの両側部分を、図5(c)に示すように、型曲げ加工により、図5(b)の破線に沿ってほぼ逆さU字形に折り曲げる。これにより、一対の対向側壁9,10と連接天井壁11,12とを得る。なお、連接天井壁11,12により対向側壁9,10を両端で一体としているので、後の熱処理時の変形を防ぐことができる。
【0024】
この後、胴体5に焼入れ硬化などの熱処理工程を経て一対の対向側壁9,10の貫通孔13,13に対してローラ7を支軸16およびニードルローラ17を介して取り付けるとともに、貫通孔14,14に対してスリーブ8を取り付ける。このスリーブ8の取り付けは、以下のとおりである。
【0025】
すなわち、まず、スリーブ8を胴体5の貫通孔14,14に対して挿通し、例えば図7(a)に示すように、スリーブ8の軸方向両端面に対してパンチング治具Dを用いて打刻かしめを施す。これにより、スリーブ8の両端面に打刻溝20が形成されるとともに、それに伴い塑性流動する肉部が径方向外向きに膨出させられることになって偏肉膨出部21が形成され、この偏肉膨出部21によりスリーブ8が貫通孔14,14に対して抜け止めされることになる。なお、偏肉膨出部21は、貫通孔14,14のテーパ状面取り14a,14aに押し付けられており、外部に突出させないようになっている。
【0026】
しかしながら、前述の打刻かしめにより、スリーブ8の内孔の両開口端に径方向内向きの偏肉膨出部21aが形成されてしまうので、この後、図7(b)に示すように、スリーブ8の内孔の両開口端に対して先細円錐面E1を有するパンチング治具Eを用いて加圧かしめを施す。これにより、スリーブ8の内孔の両開口端がパンチング治具Eの先細円錐面E1により潰されることになり、外方へ向けて漸次拡径する形状の塑性変形面取り部22が形成されることになる。
【0027】
以上説明したように、胴体5に対してスリーブ8を取り付けるにあたって、従来例と同様に打刻かしめ処理を施すのであるが、打刻かしめ処理に伴いスリーブ8の内孔の両開口端に発生する径方向内向きの偏肉膨出部21aを削除してスリーブ8と傾動支軸2との嵌め合い隙間を適正に確保するための後処理として加圧かしめ処理を行うことによって塑性変形面取り部22を設けるようにしている。したがって、従来例のような研削処理で面取りする場合に比べて作業を簡単かつ迅速に済ませることができるとともに、打刻かしめと加圧かしめとを連続的に行うことができるから、生産性の向上ならびに製造コストの低減に貢献できるようになる。
【0028】
なお、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0029】
(1) 上記実施形態では、胴体5の貫通孔14,14に対してスリーブ8を打刻かしめにより取り付けるようにしているが、図8および図9に示すように、貫通孔14,14に対してスリーブ8を挿通した状態において、スリーブ8の軸方向両端に対して1回の加圧かしめによって径方向外向きに反った塑性変形反り部30を設けることにより、スリーブ8を貫通孔14,14に対して抜け止めさせるような形態とすることができる。なお、塑性変形反り部30の内周面は、外方へ向けて漸次拡径する面取り部31となっている。このような加圧かしめでは、スリーブ8の抜け止めとスリーブ8の内孔の両開口端に対する面取り部31の形成とを同時に行えるから、上記実施形態や従来例で提示したような打刻かしめに比べて工数を少なくできて、生産性ならびに製造コストの低減を図るうえで有利になる。
【0030】
(2) 上記実施形態において、ローラ7を支軸16に対して複数のニードルローラ17を介して支持させているが、このニードルローラ17を用いずにすべり接触により回転支持させることができる。つまり、ローラ7を支軸16に対してすきま嵌めにより直接外嵌させたり、あるいは図示しないが、すべり軸受を介して嵌合したりすることができる。
【0031】
(3) 上記実施形態では、エンドピボットタイプのロッカアーム1を例示したが、図示しないが、センタピボットタイプのロッカアームにも本発明を適用することができる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明では、胴体の貫通孔に対して傾動支軸支持用の筒体を打刻かしめにより取り付けて当該打刻かしめに伴う弊害について加圧かしめで対処するようにしているから、従来例に比べて簡単かつ迅速に、筒体と傾動支軸との嵌め合い隙間を適正に確保した状態とすることができる。これにより、本発明では、低コストで量産化に適したロッカアームを提供できるようになる。
【0033】
請求項2の発明では、胴体の貫通孔に対する傾動支軸支持用の筒体の取り付けについて請求項1の発明に比べてさらに簡単かつ迅速にミスアライメントのない状態とすることができる。
【0034】
なお、請求項3の発明は、請求項1,2の発明の構成要素を限定し、生産性に優れたエンドピボットタイプのロッカアームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のロッカアームの側面図
【図2】ロッカアームの分解斜視図
【図3】ロッカアームの上面図
【図4】図3の(4)−(4)線断面の矢視図
【図5】ロッカアーム胴体の製造手順を示す説明図
【図6】ロッカアーム胴体のバルブアジャストスクリューの装着部の加工形態を示す説明図
【図7】ロッカアーム胴体に対するスリーブの取り付け手順を示す説明図
【図8】本発明の他の実施形態のロッカアームの側面図
【図9】図8のロッカアームで、図4に対応する図
【符号の説明】
1 ロッカアーム
2 傾動支軸
3 カム
4 バルブ
5 ロッカアームの胴体
6 ロッカアームのバルブアジャストスクリュー
7 ロッカアームのローラ
8 ロッカアームのスリーブ
9 胴体の一方の対向側壁
10 胴体の他方の対向側壁
11 胴体の一方の連接天井壁
12 胴体の他方の連接天井壁
13 ローラ取付用の貫通孔
14 スリーブ取付用の貫通孔
15 ローラの支軸
20 スリーブの打刻溝
21 スリーブの偏肉膨出部
22 スリーブの塑性変形面取り部
Claims (3)
- カムにより傾動させられてシリンダヘッドに設けられたバルブを開閉動作させるロッカアームであって、
一枚の金属板をほぼ逆さU字形に屈曲して一対の対向側壁およびそれらの少なくとも長手方向一端側に連接天井壁を設けてなる板金製の胴体と、
この胴体における一対の対向側壁の長手方向他端側に同軸状に設けられる貫通孔それぞれに対して架設される傾動支軸支持用の筒体とを有し、
該筒体の内孔に対して支軸が挿通され、
前記筒体が、その軸方向両端面に打刻かしめにより設けられる径方向外向きの偏肉膨出部によって前記両貫通孔に抜け止めされていて、
この筒体の内孔の両開口端に加圧かしめによる塑性変形面取り部が設けられているとともに、前記塑性変形面取り部は、外方へ向けて漸次拡径する形状である、ことを特徴とするロッカアーム。 - カムにより傾動させられてシリンダヘッドに設けられたバルブを開閉動作させるロッカアームであって、
一枚の金属板をほぼ逆さU字形に屈曲して一対の対向側壁およびそれらの少なくとも長手方向一端側に連接天井壁を設けてなる板金製の胴体と、
この胴体における一対の対向側壁の長手方向他端側に同軸状に設けられる貫通孔それぞれに対して架設される傾動支軸支持用の筒体とを有し、
該筒体の内孔に対して支軸が挿通され、
前記筒体が、その軸方向両端に加圧かしめにより設けられる径方向外向きの塑性変形反り部によって前記両貫通孔に抜け止めされているとともに、前記塑性変形反り部の内周面は、加圧かしめによって外方へ向けて漸次拡径する形状の面取り部とされている、ことを特徴とするロッカアーム。 - 請求項1または2に記載のロッカアームにおいて、
前記胴体における一対の対向側壁の長手方向中間には、カムが当接させられるローラが支軸を介して回転可能に支持されており、
また、前記連接天井壁には、バーリング加工により円筒型膨出部が設けられているとともに、この円筒形膨出部の内孔にバルブアジャストスクリューが螺合されるネジ山が設けられている、ことを特徴とするロッカアーム。
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