JP3880300B2 - 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法 - Google Patents

1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、(クロロ)フルオロプロペンをフッ化水素でフッ素化することからなる1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法としては、多くの方法が提案されている。
【0003】
例えば、(1)CF−CClX−CFCl(Xはハロゲン原子を表す。)を接触水素する方法(特開平6−256235号公報)、(2)1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロペンをPd−Alで水素化する方法(Izvest.Aad.Nauk S.S.S.R.,Otdel.Khim.Nauk.1960,1412−18;CA 55,349f)、(3)1,2,2−トリクロロペンタフルオロプロパンを水素化する方法(USP2942036号明細書)、(4)1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを触媒の存在下フッ化水素で液相フッ素化する方法(USP5,574,192号明細書)、(5)気相で1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを触媒の存在下フッ化水素でフッ素化する方法(特開平9−002983号公報)、(6)同じく気相で1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを触媒の存在下フッ化水素でフッ素化し1−クロロ−3,3,3−トリフルオロロプロペンを得、さらに同伴する塩化水素を除いた同化合物を触媒の存在下フッ化水素で気相フッ素化する方法(特開平9−183740号公報)等が知られている。
【0004】
また、特開2000−7591号公報には、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンまたは1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを五塩化アンチモン担持活性炭触媒を用いてフッ化水素で気相フッ素化して1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを製造する方法が開示されている。
【0005】
さらに、USP5895825明細書には、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを酸化クロム触媒を用いてフッ化水素で気相フッ素化し、ついで得られた1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを五塩化アンチモン担持活性炭触媒を用いてフッ化水素で気相フッ素化して1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとする方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開2000−7591号公報に記載された五塩化アンチモン担持活性炭触媒を用いる1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法は原料が容易に得られることに加えて、生成物の選択率が極めて高いという特徴を有する工業的に有利な方法である。
【0007】
一般に、フッ素化触媒の活性を維持するために反応系に塩素、酸素などの酸化剤を共存させることが好適であることは知られており、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造においても塩素の添加効果は認められた。
【0008】
しかしながら、比較的高温で反応を行う場合には、塩素の添加で触媒の活性低下は避けることができるが、不飽和化合物であるプロペン類が若干量生成物に伴われ、一方、低温で行うと生成物の選択率は向上するが塩素の添加にも拘わらず触媒の活性を長時間維持することが比較的困難なことが見いだされた。
【0009】
【問題点を解決するための具体的手段】
本発明者らはかかる問題点に鑑み、五塩化アンチモン担持活性炭触媒を用いる1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法において、生成物の選択率を高く維持しつつ触媒を長期にわたり使用可能とする反応方法の開発をめざして検討を加えたところ、反応系に有機物原料、フッ化水素と共に塩素を共存させて反応させる場合において、高い1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン選択率を目的として低温での反応に使用して活性の低下した触媒を比較的高い温度での反応に適用することで、五塩化アンチモン担持活性炭触媒の活性を再生させることができることを見いだし、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンまたは1,3,3,3−テトラフルオロプロペンとフッ化水素と塩素を少なくとも含む原料をフッ素化反応装置に通じて1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを製造する方法であって、それぞれ五塩化アンチモン担持活性炭を充填した反応器(A)および反応器(B)を含んでなるフッ素化反応装置を使用し、上流から150〜220℃に設定された第一反応器、20〜120℃に設定された第二反応器が直列に配列され、第一の時間区分において反応器(A)を第一反応器とし、反応器(B)を第二反応器とし、第二の時間区分において反応器(B)を第一反応器とし、反応器(A)を第二反応器として反応を行い、次いで前記と同様に反応器(A)と反応器(B)の交換を繰り返して反応を行うことからなる1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法である。
【0011】
本発明の方法においては、低温反応を行う第二反応器は20〜120℃に設定されているため反応系に塩素が存在するにも拘わらず触媒の活性低下を避けることができないが、高温反応を行う第一反応器の150〜220℃においては触媒の活性低下が起こらない上に、第一反応器の温度による使用で活性の低下した触媒の再活性化にも有効であるという極めて特異な反応系であることに基づく触媒長寿命化方法であるといえる。これらの第一反応器、第二反応器のいずれにおいても塩素が有機化合物と反応することによる化合物の生成は見られない。
【0012】
本発明に使用する1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンまたは1,3,3,3−テトラフルオロプロペンは、どの様な方法で製造されたものでもよい。例えば、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンとフッ化水素を無触媒液相加圧下で反応させたり、フッ素化クロミア、フッ素化アルミナ、フッ化クロムなどを触媒とした気相フッ素化条件で反応させたりすることで得られる。また、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンも酸化クロム、フッ化クロムなどを触媒とした気相フッ素化条件で反応させたりすることで得られる。これらの方法により得られる1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンなどは、反応器から得られる状態では主生成物の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの他に1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンやその低フッ素化物とともに未反応のフッ化水素、副生成物の塩化水素などを含むことがあるが、それらの一部を除去して使用することもでき、そのまま使用することもできる。
【0013】
本発明のフッ素化反応装置は、少なくとも2個のフッ素化反応器、すなわち、第一反応器、第二反応器が上流から順に直列に配列されている。これらのフッ素化反応器はそれぞれ第一の時間区分において反応器(A)と反応器(B)に、または第二の時間区分において反応器(B)と反応器(A)に対応し、第三の時間区分以降はこの順序の変更を繰り返すことで反応を長期により維持できる。
【0014】
第一反応器は150〜220℃、さらに好ましくは170〜200℃程度である。150℃未満においても1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンは充分満足できる程度に生成するが、触媒の活性の低下が見られ、また、第二反応器として使用した触媒の再活性化ができないので好ましくない。250℃を超える温度では触媒の活性の低下が見られることがあり、また分解生成物等が生成し1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン選択率が低下するので避けるのが好ましい。
【0015】
第二反応器は20〜120℃であり、50〜100℃がより好ましい。20℃未満では、原料または中間生成物が液化することがあり好ましくなく、150℃を超えると不飽和化合物の含有量が増えるので好ましくない。
【0016】
反応器(A)および反応器(B)は実質的に同一の反応器である。すなわち、機械的構造、内部の触媒の種類、量などは実質的に同一とする。反応形式は固定床、流動床等いずれであってもよい。
【0017】
反応器は、耐熱性とフッ化水素、塩化水素、塩素等に対する耐食性を有する材質で作られれば良く、鉄、ステンレス鋼、ハステロイ、モネル、白金などが好ましい。また、これらの金属でライニングされた材料で作ることもできる。
【0018】
本発明の方法において第一反応器で生成する反応ガスは、有機成分としては大部分1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンであり、少量の未反応1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含み、少量の1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含むこともある。その他に塩化水素と未反応のフッ化水素と塩素を含んでいる。この反応ガスの組成は予備的な実験で容易に知ることができる。しかし、本発明の方法を実施するにあたっては、第一反応器と第二反応器を接続して実施するのでこの反応ガス中に含まれる有機物成分を正確に知ることは必ずしも必要ではない。
【0019】
本発明にかかるフッ素化触媒は、活性炭に五塩化アンチモンが担持された触媒である。本明細書において「五塩化アンチモン担持活性炭」の「五塩化アンチモン」はSbClx5-x(xは0から5の整数)で表されるアンチモン化合物を意味する。すなわち、五塩化アンチモンは触媒として活性な状態ではSbClx5-x(xは2から4の整数)で表される塩素化フッ素化アンチモンの状態であると考えられるからである。したがって、触媒調製に用いる際には、必ずしも五塩化アンチモンである必要はなく五塩化アンチモン、三塩化二フッ化アンチモン、五フッ化アンチモンなどが使用でき、さらには、三塩化アンチモン、三フッ化アンチモンなども活性炭に担持した後に塩素などの酸化剤で5価アンチモンとすることで使用できる。また、塩素の代わりに臭素を含む化合物であっても同様に使用可能である。
【0020】
調製方法としては特に限定されず五塩化アンチモンが活性炭に付着しておればよい。常温付近で液体である五塩化アンチモン場合、後に述べるような塩基性物質、酸または熱水による処理や脱水処理の前処理を必要に応じて施した活性炭にそのまま滴下、スプレー、浸漬等の方法で直接付着させることができる。また、常温で液体または固体の化合物である場合には、化合物を溶媒に溶解した溶液へ活性炭を浸漬し含浸させるか、スプレーなどの方法で活性炭に付着させる。次いで、このようにして得られたアンチモン化合物の付着した活性炭を加熱または/および減圧して乾燥した後、アンチモンの付着した活性炭を加熱下においてフッ化水素、塩素等と接触させることで触媒は調製される。五塩化アンチモンを担持した場合、100℃以上で1当量以上の塩素により処理することが触媒の活性化に望ましい。
【0021】
アンチモン化合物を溶解して触媒調製に使用する際の溶媒としてはアンチモン化合物を溶解でき、その際アンチモン化合物を分解しない溶媒であればよい。具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエチレン、テトラクロロエタンなどの塩素系溶剤、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン3,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのフッ素系溶剤、および3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパン、3,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパンなどのフッ素化プロパンなどが挙げられる。これらの溶媒を使用する際または溶媒を用いない場合でも水などのハロゲン化物と反応性を有する物質を溶媒および処理系から除去し、実質的に水の不存在下において担持させるのが好ましい。
【0022】
本発明に使用する触媒調製に用いるアンチモン化合物の担持量は活性炭100重量部に対し0.1〜500重量部であり、好ましくは1〜250重量部である。また、アンチモン化合物に他の金属を併せて使用することで触媒活性を調節することも好ましい。その場合、アンチモン化合物(特に五塩化アンチモン)を主成分として、他のニオブ化合物(特に五塩化ニオブ)またはタンタル化合物(特に五塩化タンタル)、スズ、チタン、ニオブ、タンタル、モリブテンのハロゲン化物を組み合わせるのが好ましい。副成分金属/アンチモン化合物の原子比は、副成分金属を含まない場合でもよいので50/50〜0/100とすることができ、30/70〜0/100が好ましい。
【0023】
本発明の第一工程および第二工程で触媒または担体として用いる活性炭は、木材、木炭、椰子殻炭、パーム核炭、素灰等を原料とする植物系、泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭等を原料とする石炭系、石油残滓、オイルカーボン等を原料とする石油系または炭化ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂系がある。これら市販の活性炭から選択し使用することができ、例えば、瀝青炭から製造された活性炭(東洋カルゴン製BPL粒状活性炭)、椰子殻炭(武田薬品工業製粒状白鷺GX、G2X、SX、CX、XRC、東洋カルゴン製PCB)等が挙げられるが、これらに限定されない。形状、大きさも通常粒状で用いられるが、球状、繊維状、粉体状、ハニカム状等反応器に適合すれば通常の知識範囲の中で使用することができる。
【0024】
本発明において使用する活性炭は比表面積の大きな活性炭が好ましい。活性炭の比表面積ならびに細孔容積は、市販品の規格の範囲で十分であるが、それぞれ400m2/gより大きく、0.1cm3/gより大きいことが望ましい。またそれぞれ800〜3000m2/g、0.2〜1.0cm/gであればよい。さらに活性炭を担体に用いる場合、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液に常温付近で10時間程度またはそれ以上の時間浸漬するか、活性炭を触媒担体に使用する際に慣用的に行われる硝酸、塩酸、フッ酸等の酸による前処理を施し、予め担体表面の活性化ならびに灰分の除去を行うことが望ましい。
【0025】
また、本発明にかかる触媒ではいずれの方法により前処理される場合も、アンチモン化合物を担持処理する際に加水分解等により劣化しないように前もって加熱したり、減圧等することで水分除去を可及的に行うのが望ましい。
【0026】
何れの方法で調製した触媒も、使用の前に予めフッ化水素などのフッ素化剤および/または塩素と接触させておき、反応中の触媒の組成変化、短寿命化、異常反応などを防止することが有効である。
【0027】
本発明の方法においては、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとフッ化水素と共に塩素を反応系中に供給することが必要である。塩素は第二反応器においては必要としないので第二反応器への導入前に除去しておくこともできるが通常除去する必要はない。塩素の導入量は第一反応器において触媒の活性を少なくとも維持できる量を越える量であればよい。したがって、塩素は第一反応器の温度を始め他の反応条件に依存するが、原料である1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン100モルに対し0.001〜10モル程度とするのが望ましい。
【0028】
五塩化アンチモン担持活性炭触媒の寿命は、一般的に還元剤の作用によりアンチモン化合物が5価から3価に還元されこと、また重合性の高い有機物原料をフッ素化する場合には高沸点有機化合物が触媒表面を覆うこと等により触媒作用を失うとされている。これらの問題は塩素等の酸化剤を反応系中に共存することにより防ぐことができる。
【0029】
本発明の方法での原料である1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対するフッ化水素のモル比は2倍モル以上であり、50倍モル以下とし、20倍モル以下が好ましい。通常3〜10倍モル程度とすればよい。フッ化水素が過剰であることは反応器、後処理設備等の負荷が大きくなり経済性に支障となることもあるが、回収再使用することで問題は回避でき、反応生成物の点では問題はない。第一反応器と第二反応器の中間でフッ化水素を追加することも可能である。
【0030】
本発明の方法の反応圧力は常圧(1気圧付近)でよいが、反応は平衡反応が推定されるので、反応を生成物側に偏らせるためには加圧系が有利となると考えられることから、一般的に常圧より高くすることがより好ましい。また、加圧により応基質の触媒表面への物理吸着効果が高まり、反応速度の上昇が期待できるため、圧力が高いことはこの観点からも好ましい。この効果は特に表面積の大きな活性炭触媒において顕著に現れることが期待されるため、表面積の大きな活性炭が好ましく使用される。一方、反応装置の耐圧性、経済性等から余り高い圧力は使用されがたいので、反応圧力は0〜5.0MPa(ゲージ圧)程度とするのが好ましく、とりわけ系内に存在する原料有機物、中間物質およびフッ化水素が反応系内で液化せず、触媒の力学的条件に適合することが望ましいことから、0〜2.0MPa(ゲージ圧)がより好ましく、実際上は0〜1.0MPa程度で行うのが好ましい。
【0031】
本発明の方法にかかる反応の接触時間は、通常0.1〜300秒であり、生産性の面から好ましくは1〜60秒である。
【0032】
本発明の方法で製造される1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンは、ハロゲン化炭化水素のフッ化水素によるフッ素化生成物に対して行われる一般的な精製方法が適用できる。例えば、反応器より流出する目的生成物を含んだ有機物と未反応フッ化水素と生成塩化水素などからなる反応器流出ガスは水洗浄、塩基性溶液洗浄など、溶解度の差を利用した分離、抽出分離または蒸留などにより酸性ガスを除去した後、有機物についてさらに精製蒸留することで目的とする1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを得ることができる。
【0033】
以下に、実施例をもって本発明をより詳細に説明するが、これらの実施態様に限られるものではない。実施例および表において有機物組成の「%」はガスクロマトグラムの「面積%」である。
【0034】
【実施例】
[調製例1]
1リットルガラス製フラスコに、表面積1200m2/g、細孔径18オングストロームの粒状椰子殻炭(武田薬品工業製粒状白鷺G2X、4〜6メッシュ)1リットルを入れ130〜150℃に加温した後真空ポンプにより水分を除去した。水分の留出が認められなくなった時点でフラスコ内に窒素を導入して常圧とした。
【0035】
[調製例2]
1リットルガラス製フラスコに、表面積1200m2/g、細孔径18オングストロームの粒状椰子殻炭(武田薬品工業製粒状白鷺G2X、4〜6メッシュ)1リットルを入れ130〜150℃に加温した後真空ポンプにより水分を除去した。水分の留出が認められなくなった時点でフラスコ内に窒素を導入して常圧とし、500gの五塩化アンチモンを滴下ロートにて1時間にわたり攪拌しながら活性炭層に導入した。五塩化アンチモンを含浸した活性炭は約1時間、150℃に保持して熟成した。
【0036】
〔実施例1〕
同一の形状の反応器aと反応器bが配管により直列に接続され、流路の切り替えにより反応器aまたは反応器bから原料を供給できるように配管された図1に示すフッ素化反応装置を用いた。有機物の原料を供給する前に触媒の安定化を図るための準備をそれぞれの反応器について互いに独立に行った。
【0037】
反応器aおよび反応器bは電気炉を備えた円筒形反応管(SUS316L製、直径4.0cm、長さ30cm)に調製例2で調製した触媒を250ミリリットル充填し、約25ミリリットル/分の流量で窒素ガスを流しながら反応管の温度を100℃に上げ、その後窒素ガスを停止しフッ化水素を約0.2g/分の速度で供給しながら100℃で6時間保った。次に反応器aは温度を180℃に上げ、反応器bは温度を80℃に下げ反応準備を完了した。
【0038】
その後、反応器aおよび反応器bをそれぞれ第一反応器と第二反応器とし、それらを直列に接続し、フッ化水素0.32g/分、塩素1.3mg/分の供給量で第一反応器入り口から供給し、その直後に1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを予め気化させて0.26g/分の速度で第一反応器入り口に供給を開始した。
【0039】
反応開始直後に第一反応器出口の生成ガス(反応ガス)をサンプリングし、塩化水素を含む酸性ガスの除去後ガスクロマトグラフィで分析したところ、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン97.5%、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(トランス体/シス体のモル比は9/1)2.1%、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン0.1%の組成であった。
【0040】
〔1−1〕
そのまま反応を続け、反応開始2時間後には反応は安定したので、その後4時間にわたって第二反応器から流出する生成ガスを水中に吹き込み塩化水素やフッ化水素の酸性ガスを除去した後、ドライアイス−アセトン−トラップで有機物を捕集した。捕集した有機物の重量は60.8gでありこれをガスクロマトグラフィーで分析したところ、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン98.1%、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(トランス体/シス体のモル比は9/1)0.3%、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン0.1%であった。
【0041】
〔1−2〕
さらに反応を継続して100時間後に第二反応器(反応器b)の出口ガスをサンプリングし、塩化水素を含む酸性ガスの除去後ガスクロマトグラフィで分析したところ、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン96.8%、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン2.7%であった。
【0042】
〔1−3〕
そこで、バルブの操作により図1の破線で示される流路を使用するように反応器aと反応器bの接続順序を変えて、反応器bから原料が供給されるように設定し、第二反応器、第一反応器をそれぞれ180℃と80℃とした。反応再開2時間後に第二反応器(反応器a)の出口ガスをサンプリングし、塩化水素を含む酸性ガスの除去後ガスクロマトグラフィで分析したところ、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン98.4%、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン0.2%であった。
【0043】
〔1−4〕
次いで、再び反応器aと反応器bの接続順序を変えて最初の接続順序として第一反応器(反応器a)から原料が供給されるように設定し、反応器温度をそれぞれ180℃と80℃とした。反応再開2時間後に第二反応器(反応器b)の出口ガスをサンプリングし、塩化水素を含む酸性ガスの除去後ガスクロマトグラフィで分析したところ、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン98.2%、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン0.2%であった。
【0044】
表1に各反応条件と生成物組成を示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003880300
【0046】
〔実施例2〕
実施例1と同一の反応器を用い、有機物の原料を供給する前に触媒の安定化を図るための準備をそれぞれの反応器について互いに独立に行った。
【0047】
反応器は電気炉を備えた円筒形反応管(SUS316L製、直径4.0cm、長さ30cm)に触媒として調製例2で調製した触媒を250ミリリットル充填し、約25ミリリットル/分の流量で窒素ガスを流しながら反応管の温度を100℃に上げ、その後窒素ガスを停止しフッ化水素を約0.2g/分の速度で供給しながら100℃で6時間保った。次に反応器aでは温度を200℃に上げ、反応器bでは反応管温度を50℃に下げ反応準備を完了した。
【0048】
その後、反応器aと反応器bをそれぞれ第一反応器と第二反応器として直列に接続し、フッ化水素0.32g/分、塩素2.6mg/分の供給量で第一反応器入り口から供給し、その直後に1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを予め気化させて0.26g/分の速度で第一反応器入り口に供給を開始した。
【0049】
〔2−1〕
反応開始2時間後には反応は安定したので、その後4時間にわたって第二反応器から流出する生成ガスを水中に吹き込み塩化水素やフッ化水素の酸性ガスを除去した後、ドライアイス−アセトン−トラップで有機物を捕集した。捕集した有機物の重量は61.1gでありこれをガスクロマトグラフィーで分析したところ、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン98.8%、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(トランス体/シス体のモル比は9/1)0.2%であった。
【0050】
〔2−2〕
さらに反応を継続して100時間後に第二反応器(反応器b)の出口ガスをサンプリングし、塩化水素を含む酸性ガスの除去後ガスクロマトグラフィで分析したところ、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン96.3%、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン3.0%であった。
【0051】
〔2−3〕
そこで、バルブの操作により図1の破線で示される流路を使用するように反応器aと反応器bの接続順序を変えて、反応器bから原料が供給されるように設定し、第一反応器、第二反応器をそれぞれ200℃と50℃とした。反応再開2時間後に第ニ反応器(反応器a)の出口ガスをサンプリングし、塩化水素を含む酸性ガスの除去後ガスクロマトグラフィで分析したところ、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン98.9%、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン0.1%、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン0.1%であった。
【0052】
〔2−4〕
次いで、再び反応器aと反応器bの接続順序を変えて最初の接続順序として第一反応器(反応器a)から原料が供給されるように設定し、反応器温度をそれぞれ200℃と50℃とした。反応再開2時間後に第二反応器(反応器b)の出口ガスをサンプリングし、塩化水素を含む酸性ガスの除去後ガスクロマトグラフィで分析したところ、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン98.7%、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン0.1%、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン0.1%であった。
【0053】
表1に各反応条件と生成物組成を示す。
【0054】
【発明の効果】
本発明の方法によると、第一反応器での反応条件において第二反応器に使用した触媒を再活性化できるため、反応の途中において温度設定と原料の供給流路を変える操作により実質的に触媒の長寿命化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用する反応装置の一例を示す図面である。
1・・・反応器a
2・・・反応器b
3・・・バルブ

Claims (1)

  1. 1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンまたは1,3,3,3−テトラフルオロプロペンとフッ化水素と塩素を少なくとも含む原料をフッ素化反応装置に通じて1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを製造する方法であって、それぞれ五塩化アンチモン担持活性炭を充填した反応器(A)および反応器(B)を含んでなるフッ素化反応装置を使用し、上流から150〜220℃に設定された第一反応器、20〜120℃に設定された第二反応器が直列に配列され、第一の時間区分において反応器(A)を第一反応器とし、反応器(B)を第二反応器とし、第二の時間区分において反応器(B)を第一反応器とし、反応器(A)を第二反応器として反応を行い、次いで前記と同様に反応器(A)と反応器(B)の交換を繰り返して反応を行うことからなる1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法。
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