JP3154702B2 - 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法 - Google Patents

1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法

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JP3154702B2 JP35392599A JP35392599A JP3154702B2 JP 3154702 B2 JP3154702 B2 JP 3154702B2 JP 35392599 A JP35392599 A JP 35392599A JP 35392599 A JP35392599 A JP 35392599A JP 3154702 B2 JP3154702 B2 JP 3154702B2
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲン化プロパンま
たはハロゲン化プロペンをフッ素化してフッ素化プロパ
ンを製造する方法に関し、特にポリウレタンフォ−ム等
の発泡剤あるいは冷媒等として有用な1,1,1,3,
3−ペンタフルオロプロパンの製造方法に好適である。
【0002】
【従来技術】フッ素化プロパンの製造方法としては、対
応する塩素化物を触媒の存在下フッ化水素でフッ素化す
る方法、ハロゲン化プロペンへのフッ化水素の付加また
はそれに引き続いての塩素−フッ素交換によるフッ素化
方法、既にフッ素原子を有するプロパン類の水素による
還元や塩素による塩素化などによりもとのフッ素化プロ
パンと異なるフッ素化プロパンに転換する方法などが知
られている。
【0003】例えば、1,1,1,3,3−ペンタフル
オロプロパンの製造方法としては従来、CF3−CC
lX−CF2Cl(Xはハロゲン原子を表す。)を接触
水素する方法(特開平6−256235号公報)、
1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロペンを
Pd−Al23で水素化する方法(Izvest.Aa
d.Nauk S.S.S.R.,Otdel.Khi
m.Nauk.1960,1412−18;CA 5
5,349f)、1,2,2−トリクロロペンタフル
オロプロパンを水素化する方法(USP2942036
号明細書)、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロ
パンを触媒の存在下フッ化水素で液相フッ素化する方法
(USP5,574,192号明細書)、気相で1,
1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを触媒の存在下
フッ化水素でフッ素化する方法(特開平9−00298
3号公報)、同じく気相で1,1,1,3,3−ペン
タクロロプロパンを触媒の存在下フッ化水素でフッ素化
し1−クロロ−3,3,3−トリフルオロロプロペンを
得、さらに同伴する塩化水素を除いた同化合物を触媒の
存在下フッ化水素で気相フッ素化する方法(特開平9−
183740号公報)等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記した特開平6−2
56235号公報またはUSP2942036号明細書
などに記載された水素化による塩素原子の水素置換は反
応率および選択率に優れた方法ではあるが、触媒の劣化
が著しく、また、原料であるフッ素化塩素化物を予め調
製しなければならず、工業的に適用するには困難な点が
多い。一方、前記で示したオレフィンへの水素付加に
よる方法はすぐれた1,1,1,3,3−ペンタフルオ
ロプロパンの製造方法であるが、原料となる1,1,
3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロペンを入手する
ことが困難であり工業的に採用するには問題がある。U
SP5,574,192号明細書の方法は液相法であ
り、反応器の腐食が激しく、タール状物質の生成による
触媒劣化等、連続法による工業的方法としては困難な点
が多い。
【0005】また特開平9−183740号公報に開示
された方法は、気相中クロム触媒等を用いて1,1,
1,3,3−ペンタクロロプロパンをフッ化水素でフッ
素化して1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン
を得ようとする方法であるが、単一のフッ素化反応条件
では充分な収率を達成することができないので、第一段
反応において一旦1−クロロ−3,3,3−トリフルオ
ロプロペンを中間体として得て、それをさらにほぼ同様
のフッ素化条件である第二段反応でフッ素化することで
収率を高めることができたものである。これは、第一段
反応で生成した塩化水素を除いて第二段反応のフッ化水
素/塩化水素比率を高めフッ素化プロパンが生成しやす
い条件としたものであるが、1,1,1,3,3−ペン
タフルオロプロパンの選択率は最大52.3モル%に止
まり、残りは不飽和化合物の1−クロロ−3,3,3−
トリフルオロプロペンと1,3,3,3−テトラフルオ
ロプロペンである。
【0006】また、1,1,1,3,3−ペンタクロロ
プロパンや1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロ
ペン(シス体およびトランス体)などをフッ素化すると
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(沸点1
5.3℃)が生成すると共に、1−クロロ−3,3,3
−トリフルオロプロペン(トランス体、沸点21.0
℃)と1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(シス
体)が目的生成物に含まれることが多い。しかしなが
ら、これらの混合物から1,1,1,3,3−ペンタフ
ルオロプロパンを蒸留分離することは共沸様組成を形成
するため著しく困難であり、生成物中のこれらフッ素化
プロペン類の含有量を減らすことはプロセスの簡略化に
とって極めて重要である。
【0007】フッ素化または塩素化フッ素化炭化水素の
気相フッ素化触媒としては、アルミナ、クロミアをフッ
素化して調製したアルミニウムまたはクロムのオキシフ
ルオライドや、各種の金属を担持した担持触媒が知られ
ている。文献(Chemistry ofOrganic Fluorine Compoun
ds: 2nd Ed.(1976) Milos Hudlicky,p99)には、五塩化
アンチモンを活性炭に吸着させた触媒を用いて1,1,
2,2−テトラクロロエタンにフッ化水素と塩素を20
0℃で反応させ1,1,2−トリクロロ−1,2,2−
トリフルオロエタンを65%の収率で得られることが記
載されている。また、EP712826号公開公報には
五塩化アンチモンを活性炭に担持した触媒が、1−クロ
ロ−1,1−ジフルオロエタンをフッ化水素でフッ素化
して1,1,1−トリフルオロエタンとすることができ
ることが開示されている。これらは何れも塩素化エタン
類のフッ素化に有効な触媒の一つとして五塩化アンチモ
ン担持活性炭を提供するものということができる。
【0008】ところが、ハロゲン化プロパン類をフッ素
化触媒存在下フッ化水素でフッ素化する際には、特開平
9−183740号公報に開示された、フッ素化活性が
顕著であるとされているクロムを触媒とした気相反応の
場合においても見られるように、フッ素化プロペン類の
生成または原料フッ素化プロペンが未反応のまま残るこ
とによる目的とするフッ素化プロパン類の収率の低下と
いう問題が生じる。そこで、本発明ではかかるフッ素化
プロパン類の生成物中への共存を抑制することを目的と
するものであるが、これらの特許または文献にはこの問
題の解決法についてはもちろん、その問題についても何
ら言及していない。
【0009】
【問題点を解決するための具体的手段】本発明者らはか
かる従来技術の問題点に鑑み、工業的規模での製造に適
したフッ素化プロパン、特に1,1,1,3,3−ペン
タフルオロプロパンの製造方法を確立するべく各種の製
造プロセスについて鋭意検討を加えたところ、第一工程
で対応するハロゲン化プロパンをフッ化水素でフッ素化
して得られたフッ素化プロペンをさらに第二工程におい
てフッ化水素で気相フッ素化するにあたって、第二工程
の触媒として高原子価金属ハロゲン化物を担持した活性
炭を使用し常圧または加圧下において反応させること
で、敢えて第一工程と第二工程の途中で塩化水素を除く
ことなく原料有機物の転化率ならびに目的とするフッ素
化プロパンの選択率を高め、その結果、目的生成物から
蒸留分離し難い原料または中間生成物である不飽和化合
物の含有量を著しく低減させ得ることを見出し、本発明
に到達したものである。
【0010】すなわち、本発明は、下記の2工程を少な
くとも有するフッ素化プロパンの製造方法である。
【0011】(a)一般式(1) C3abc (1) (式中、Xはそれぞれ独立に塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子を表し、aは1〜6、bは0〜6、cは1〜
7の整数を表し、a+b+c=8である。)で表される
ハロゲン化プロパンまたは一般式(2) C3def (2) (式中、Xはそれぞれ独立に塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子を表し、dは0〜5、eは0〜5、fは1〜
6の整数を表し、d+e+f=6である。)で表される
ハロゲン化プロペンを気相でフッ素化触媒存在下フッ化
水素でフッ素化して一般式(3) C3ghi (3) (式中、Xはそれぞれ独立に塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子を表し、gは0〜5、hは1〜6、iは0〜
5の整数を表し、g+h+i=6である。)で表される
フッ素化プロペンを含む反応ガスを得る第一工程と、次
いで、 (b)第一工程で得られた反応ガスを高原子価金属ハロ
ゲン化物を担持した活性炭からなる触媒の存在する反応
領域に移動させ気相においてフッ化水素でフッ素化して
一般式(4) C3jkl (4) (式中、Xはそれぞれ独立に塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子を表し、jは1〜6、kは2〜7、lは0〜
5の整数を表し、j+k+l=8である。)で表される
フッ素化プロパンを得る第二工程。
【0012】第一工程および第二工程の反応形式は固定
床、流動床等いずれであってもよい。
【0013】本発明のフッ素化プロパンの製造方法は、
第一工程においてハロゲン化プロパンまたはハロゲン化
プロペンのフッ素以外のハロゲンの少なくとも1個をフ
ッ素に替えるとともに脱ハロゲン化水素してフッ素化プ
ロペンとし、そのフッ素化プロペンを第二工程において
さらにフッ素化することで出発原料よりもフッ素原子数
の多いフッ素化プロパンを製造することからなってい
る。
【0014】本発明の好ましい一実施態様としては、原
料の一般式(1)で表されるハロゲン化プロパンおよび
一般式(2)で表されるハロゲン化プロペンが塩素以外
のハロゲンを含まず、生成物である一般式(4)で表さ
れるハロゲン化プロペンがフッ素以外のハロゲンを含ま
ないヒドロフルオロプロパンであるフッ素化プロパンの
製造方法を挙げることができる。
【0015】本発明にかかる一般式(1)で表されるハ
ロゲン化プロパンまたは一般式(2)で表されるハロゲ
ン化プロペンは、プロパンまたはプロペンの水素原子の
一つ以上がハロゲン(ハロゲンは、塩素、フッ素、臭
素、ヨウ素をいう。以下同じ。)で置換された化合物で
あり、互いの混合物として原料に使用できる。フッ素以
外のハロゲンとしては塩素が経済的理由でもっとも好ま
しい。一般式(1)で表されるハロゲン化プロパンとし
ては、特に限定されないが、具体的には、例えば1,
1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、1,1,
1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,3−
テトラクロロプロパン、1,1,2,2−テトラクロロ
プロパン、1,1,3,3−テトラクロロプロパン、
1,1,3−トリクロロプロパン、1,1,1−トリク
ロロプロパン、1,1−ジクロロプロパン、1,3−ジ
クロロプロパン等およびこれらの塩素原子の一部がフッ
素に置換されたハロゲン化プロパン、例えば、1,1,
1−トリクロロ−3−フルオロプロパン、3−クロロ−
1,1,1−トリフルオロプロパン、3,3−ジクロロ
−1,1,1−トリフルオロプロパン、1,1−ジクロ
ロ−1−フルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3
−ジフルオロプロパン、3−クロロ−1,1,1,3−
テトラフルオロプロパンなどが挙げられ、これらの異性
体であってもよく、またこれらの混合物であってもよ
い。
【0016】また、一般式(2)で表されるハロゲン化
プロペンとしては、特に限定されないが、具体的には、
例えば、1,1,2,3,3,3−ヘキサクロロプロペ
ン、1,1,2,3,3−ペンタクロロプロペン、1,
1,2,3−テトラクロロプロペン、1,2,3,3−
テトラクロロプロペン、1,3,3,3−テトラクロロ
プロペン、2,3,3,3−テトラクロロプロペン、
1,3,3,3−テトラクロロプロペン、1,1,2−
トリクロロプロペン、3,3,3−トリクロロプロペ
ン、3,3−ジクロロプロペンなど、およびこれらの塩
素原子の一部がフッ素に置換されたハロゲン化プロペ
ン、これらの異性体、さらに下に例示する一般式(3)
で表されるハロゲン化プロペンが挙げられる。
【0017】本発明にかかる一般式(3)で表されるフ
ッ素化プロペンは一般式(1)で表されたハロゲン化プ
ロパンから塩化水素が脱離した化合物または一般式
(2)で表される塩素化プロペンの塩素の一部または全
部がフッ素原子で置換されたものである。これらは異性
体であってよく、シス体またはトランス体であってよ
く、また、混合物であってもよい。
【0018】本発明の方法において第一工程で生成する
反応ガスは、有機成分としては一般式(3)で表される
フッ素化プロペンを主成分として、塩化水素と未反応の
フッ化水素を含んで成っている。当然、一般式(3)で
表されるフッ素化プロペンは第一工程に使用する原料に
依存するので、当業者にとっては推測がつくか、もしく
は予備的な実験で容易に知ることのできるものである。
しかし、本発明の方法を実施するにあたっては、第一工
程と第二工程を連続して実施するのでこの反応ガス中に
含まれる有機物成分を正確に知ることは必ずしも必要で
はない。本発明の方法においては、一般式(3)で表さ
れるフッ素化プロペンとしてはフッ素以外のハロゲン原
子の少ないものが好ましく、フッ素以外のハロゲンの数
は0〜2のものであるのが特に好ましい。
【0019】本発明にかかる一般式(3)で表されるフ
ッ素化プロペンは、特に限定されず、これらはシス体ま
たはトランス体であってよく、また、混合物であっても
よい。具体的には、例えば、3−クロロペンタフルオロ
プロペン、2−クロロペンタフルオロプロペン、1−ク
ロロペンタフルオロプロペン、1,1−ジクロロテトラ
フルオロプロペン、1,2−ジクロロテトラフルオロプ
ロペン、1,3−ジクロロテトラフルオロプロペン、ヘ
キサフルオロプロペン、1−クロロ−2,3,3,3−
テトラフルオロプロペン、1,3−ジクロロ−2,3,
3−トリフルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,
3,3−トリフルオロプロペン、1,1,3,3,3−
ペンタフルオロプロペン、1,2,3,3,3−ペンタ
フルオロプロペン、2−クロロ−3,3,3−トリフル
オロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペ
ン、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン、1,
1,2−トリフルオロプロペンおよび下に例示するビニ
レン基を有するハロゲン化プロペンである。
【0020】本発明にかかる一般式(3)で表されるフ
ッ素化プロペンは、ビニレン基(−CH=CH−)を有
する化合物であることが好ましい。具体的には、3,
3,3−トリフルオロプロペン、3−ブロモ−3,3−
ジフルオロプロペン、3−クロロ−3,3−ジフルオロ
プロペン、3−フルオロプロペンまたは下に例示する当
該化合物である。フッ素以外のハロゲンが塩素であるC
3-mClmCH=CY(mは0〜3の整数、Yはフッ素
原子または塩素原子を表す。)で表されるものが好まし
く、その際、フッ素化プロパンとしてはCF3-nCln
2CFYHnは0〜3の整数、Yはフッ素原子または
塩素原子を表す。)で表されるメチレン基(−CH
2−)を有するものが得られる。
【0021】本発明にかかる一般式(3)で表されるフ
ッ素化プロペンとしては、R1−CH=CH−R2(式
中、R1はトリハロメチル基、R2はハロゲンを表す。)
で表されるフッ素化プロペンであることがより好まし
い。具体的には、3,3,3−トリクロロ−1−フルオ
ロプロペン、1,3,3−トリクロロ−3−フルオロプ
ロペン、3,3−ジクロロ−1,3−ジフルオロプロペ
ン、1,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン、
3−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン、3−
ブロモ−1,3,3−トリフルオロプロペン、1−ヨー
ド−3,3,3−トリフルオロプロペン、1−クロロ−
3,3,3−トリフルオロプロペン、1,3,3,3−
テトラフルオロプロペンなどが例示できる。第一工程ま
たは第二工程における原料としてはこれらはどの様な割
合で混合していてもよい。上記のフッ素化プロペンのう
ち、特に1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペ
ン(トランス体またはシス体)、1,3,3,3−テト
ラフルオロプロペン(トランス体またはシス体)が好ま
しく採用される。
【0022】本発明の方法により生成する一般式(4)
で表されるフッ素化プロパンは、第一工程で原料とする
ハロゲン化プロパンまたはハロゲン化プロペンの種類に
より異なる。第二工程での反応は、最初に二重結合への
フッ化水素付加が起こると考えられ、C(Z13−C
(Z2)=C(Z32(Z1、Z2、Z3はそれぞ水素また
はハロゲン原子である。)からはC(Z13−CH(Z
2)CF(Z2(Z1、Z2、Z3は前記と同じ。)で表さ
れるフッ素化プロパンが得られるかしながら、以下に述
べる反応条件を調節することでこの付加反応のみを生じ
させることも、さらに残存する任意の数のハロゲン原子
をフッ素原子と置換することも可能である。
【0023】例えば、R1−CH=CH−R2(式中、R
1はトリハロメチル基、R2はハロゲンを表す。)で表さ
れるハロゲン化プロペンを第二工程の中間原料とする場
合、R3−CH2−R4(式中、R3はトリハロメチル基、
4はジハロメチル基を表R4のハロゲンのうち少なくと
も1つはフッ素を表す。)で表されるフッ素化プロパン
が得られる。具体的には、例えば、1,1,1,3−テ
トラクロロ−3−フルオロプロパン、1,1,1−トリ
クロロ−3,3−ジフルオロプロパン、1,1,3−ト
リクロロ−1,3−ジフルオロプロパン,1,1−ジク
ロロ−1,3,3−トリフルオロプロパン、1,3−ジ
クロロ−1,1,3−トリフルオロプロパン、1−クロ
ロ−1,1,3,3−テトラクロロプロパン、3−クロ
ロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパン、1,
1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンなどが例示で
きる。また、ハロゲン−フッ素交換反応を充分進行させ
ると、R1−CH=CH−R2(式中、R1はトリハロメ
チル基、R2はハロゲンを表す。)で表されるハロゲン
化プロペンを第二工程の中間原料とした場合には、反応
条件を適宜選択することで、1,1,1,3,3−ペン
タフルオロプロパンが得られることになる。
【0024】本発明に使用する原料物質は公知の方法で
製造することができるが、例えば、1,1,1,3,3
−ペンタクロロプロパンは、塩化ビニリデンとクロロホ
ルムとを銅アミン触媒存在下に反応させる方法(M.K
otoraら、React.Kinet.Catal.
Lett.,44,2、1991,415.)、四塩化
炭素と塩化ビニルとを銅アミン触媒存在下に反応させる
方法(M.Kotoraら、J.Mol.Cata
l.,77,1992,51.)、四塩化炭素と塩化ビ
ニルとを塩化第一鉄触媒存在下に反応させる方法(J.
Org.Chem.USSR,3,1969,210
1.)等で得ることができる。
【0025】本発明の第一工程にかかるフッ素化触媒
は、周期律表のIII族、IVb族、Vb族、VIb
族、VIIb族またはVIII族に属する金属を担体に
担持した触媒である。例えばアルミニウム、クロム、マ
ンガン、ニッケル、コバルトのなかから選ばれる1種ま
たは2種の金属を担体に担持した触媒が挙げられる。担
体としてはアルミナ、フッ素化アルミナ、フッ化アル
ミ、活性炭などが使用される。この触媒の調製方法は特
に限定されないが、硝酸塩、塩化物等の可溶性化合物を
溶解した溶液に担体に含浸させるか、スプレーし、次い
で乾燥した後、金属塩の担持された担体を加熱下におい
てフッ化水素、塩化水素、塩化フッ化炭化水素等と接触
させることで、担持させた金属または担体の一部または
全部をハロゲン修飾させることで得られる。またアルミ
ナ、チタニア、ステンレス鋼等をフッ素化したもの(例
えば、フッ素化アルミナ)や活性炭もフッ素化触媒とし
て使用できる。フッ素化方法はどの様な方法でも良い
が、例えば、フッ素化アルミナは乾燥用や触媒担体用と
して市販されているアルミナに加熱しながら気相でフッ
化水素を流通させたり、または常温付近でフッ化水素水
溶液をスプレーしたりその水溶液に浸漬し、次いで乾燥
することで調製することができる。このフッ素化触媒に
使用する活性炭は第二工程で用いる活性炭と同様のもの
を用いることができる。
【0026】本発明の第二工程にかかるフッ素化触媒
は、活性炭に高原子価金属ハロゲン化物が担持された触
媒である。高原子価金属としては、アンチモン、タンタ
ル、ニオブ、モリブデン、スズ、チタンなどが挙げら
れ、アンチモン、タンタルは好ましく、アンチモンが最
も好ましい。担持された高原子価金属ハロゲン化物は、
SbQ5(Qはそれぞれ独立にフッ素、塩素、臭素、ヨ
ウ素を表す。以下同じ)、TaQ5、NbQ5、Mo
5、SnQ4、TiQ4などで表されるハロゲン化物で
あって、オキシハロゲン化物であってはならなず、酸素
を含有することは活性を低下させることとなるので避け
なければならない。
【0027】調製方法としては特に限定されず金属ハロ
ゲン化物が活性炭に付着しておればよい。常温付近で液
体である化合物、例えば、五塩化アンチモン、四塩化ス
ズまたは四塩化チタンなどの場合、後に述べるような塩
基性物質、酸または熱水による処理や脱水処理の前処理
を必要に応じて施した活性炭にそのまま滴下、スプレ
ー、浸漬等の方法で直接付着させることができる。ま
た、常温で液体または固体の化合物である場合には、化
合物を溶媒に溶解した溶液へ活性炭を浸漬し含浸させる
か、スプレーなどの方法で活性炭に付着させる。次い
で、このようにして得られた金属化合物の付着した活性
炭を加熱または/および減圧して乾燥した後、金属ハロ
ゲン化物の付着した活性炭を加熱下においてフッ化水
素、塩素、塩化水素、塩化フッ化炭化水素等と接触させ
ることで触媒は調製される。特に五塩化アンチモンを担
持した場合、100℃以上で1当量以上の塩素により処
理することが触媒の活性化に望ましい。
【0028】溶媒としては金属ハロゲン化物を溶解で
き、その際金属ハロゲン化物を分解しない溶媒であれば
よい。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、
イソプロパノールなどの低級アルコール類、メチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブ、ジエチルエーテルなどのエ
ーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン
類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合
物、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、塩化メ
チレン、クロロホルム、テトラクロロエチレン、テトラ
クロロエタンなどの塩素系溶剤、1,1−ジクロロ−1
−フルオロエタン3,3−ジクロロ−1,1,2,2,
3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ビス(トリフル
オロメチル)ベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンな
どのフッ素系溶剤、および3−クロロ−1,1,1,3
−テトラフルオロプロパン、3,3−ジクロロ−1,
1,1−トリフルオロプロパンなどの本発明の方法にお
ける出発原料、中間体もしくは生成物であるフッ素化プ
ロパンなどが挙げられる。
【0029】例えば、五塩化アンチモン、五塩化ニオ
ブ、五塩化タンタル、五塩化モリブデンなどの溶剤とし
ては3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロ
パン、3,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプ
ロパン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼ
ン、トリフルオロメチルベンゼンなど、フッ素系溶剤は
好適である。これらの溶媒を使用する際または溶媒を用
いない場合でも水などのハロゲン化物と反応性を有する
物質を溶媒および処理系から除去し、実質的に水の不存
在下において担持させるのが好ましい。
【0030】触媒調製に用いる高原子価金属ハロゲン化
物としては通常取りうる最高の原子価を有するハロゲン
化物が好ましい。したがって、具体的にはアンチモン
(V:酸化数をいう。以下同じ))、スズ(IV)、チ
タン(IV)、ニオブ(V)、タンタル(V)、モリブ
テン(V)であるのが好ましい。しかしながら、金属ハ
ロゲン化物を担体に担持した後に、通常取りうる最高の
酸化数に塩素などで酸化すること、さらには、金属化合
物を担持し次いでハロゲン化および/または高次酸化す
ることで高原子価金属ハロゲン化物を担持した触媒とし
てもよい。
【0031】触媒調製に用いる金属ハロゲン化物は、具
体的には、アンチモン化合物としては、五塩化アンチモ
ン、三塩化二フッ化アンチモン、三塩化アンチモン、五
臭化アンチモン、三臭化アンチモン、五フッ化アンチモ
ン、三フッ化アンチモン、三沃化アンチモン等のハロゲ
ン化アンチモンが挙げられ、五塩化アンチモンが最も好
ましいものとして挙げることができる。同様にスズ化合
物としては、四塩化スズ、二塩化スズ、チタン化合物と
しては、四塩化チタン、三塩化チタン、ニオブ化合物と
しては、五塩化ニオブ、タンタル化合物としては、五塩
化タンタル、モリブテン化合物としは、五塩化モリブデ
ンが挙げられる。
【0032】本発明に使用する触媒調製に用いる高原子
価金属ハロゲン化物の担持量は活性炭100重量部に対
し0.1〜500重量部であり、好ましくは1〜250
重量部である。また、二種以上の金属を併せて触媒活性
を調節することも好ましい。その場合、アンチモンハロ
ゲン化物(特に五塩化アンチモン)を主成分として、他
のニオブ化合物(特に五塩化ニオブ)またはタンタル化
合物(特に五塩化タンタル)、スズ、チタン、ニオブ、
タンタル、モリブテンのハロゲン化物を組み合わせるの
が好ましい。副成分金属/主成分金属の原子比は、副成
分金属を含まない場合でもよいので50/50〜0/1
00とすることができ、30/70〜0/100が好ま
しい。
【0033】本発明の第一工程および第二工程で触媒ま
たは担体として用いる活性炭は、木材、木炭、椰子殻
炭、パーム核炭、素灰等を原料とする植物系、泥炭、亜
炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭等を原料とする石炭系、石油
残滓、オイルカーボン等を原料とする石油系または炭化
ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂系がある。これら市販
の活性炭から選択し使用することができ、例えば、瀝青
炭から製造された活性炭(東洋カルゴン製BPL粒状活
性炭)、椰子殻炭(武田薬品工業製粒状白鷺GX、S
X、CX、XRC、東洋カルゴン製PCB)等が挙げら
れるが、これらに限定されない。形状、大きさも通常粒
状で用いられるが、球状、繊維状、粉体状、ハニカム状
等反応器に適合すれば通常の知識範囲の中で使用するこ
とができる。
【0034】本発明において使用する活性炭は比表面積
の大きな活性炭が好ましい。活性炭の比表面積ならびに
細孔容積は、市販品の規格の範囲で十分であるが、それ
ぞれ400m2/gより大きく、0.1cm3/gより大
きいことが望ましい。またそれぞれ800〜3000m
2/g、0.2〜1.0cm3/gであればよい。さらに
活性炭を担体に用いる場合、水酸化アンモニウム、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液に常温
付近で10時間程度またはそれ以上の時間浸漬するか、
活性炭を触媒担体に使用する際に慣用的に行われる硝
酸、塩酸、フッ酸等の酸による前処理を施し、予め担体
表面の活性化ならびに灰分の除去を行うことが望まし
い。
【0035】また、第二工程での触媒ではいずれの方法
により前処理される場合も、高原子価金属ハロゲン化物
を担持処理する際に加水分解等により劣化しないように
前もって加熱したり、減圧等することで水分除去を可及
的に行うのが望ましい。
【0036】何れの方法で調製した第一工程または第二
工程の触媒も、使用の前に予めフッ化水素、フッ素化ま
たはフッ素化塩素化炭化水素などのフッ素化剤と接触さ
せておき、反応中の触媒の組成変化、短寿命化、異常反
応などを防止することが有効である。また、第二工程で
使用する触媒はフッ化水素および/または塩素と接触さ
せておくことは同様の理由で好ましい。また、反応中
に、塩素、フッ素化塩素化または塩素化炭化水素などを
反応器中に供給することは触媒寿命の延長、反応率、反
応収率の向上に有効である。特に塩素の導入は触媒活性
の向上、維持に好ましく、原料である一般式(1)また
は一般式(2)で表されるハロゲン化プロパンまたはハ
ロゲン化プロペン100モルに対し0.1〜10モル程
度同伴させることが望ましい。
【0037】五ハロゲン化アンチモン触媒の寿命は、一
般的に還元剤の作用によりアンチモン化合物が5価から
3価に還元されこと、また重合性の高い有機物原料をフ
ッ素化する場合には高沸点有機化合物が触媒表面を覆う
こと等により触媒作用を失うとされている。これらの問
題は塩素等の酸化剤を反応系中に共存することにより防
がれる。
【0038】本発明の方法の第一工程の反応温度は18
0〜450℃、好ましくは200〜350℃である。反
応温度が180℃未満では反応速度が小さく、また45
0℃では触媒活性の維持が困難であるので好ましくな
い。一方、第二工程の反応温度は20〜300℃であ
り、40〜180℃が好ましい。反応温度は第一工程の
温度を第二工程の温度より高くすることが一般に好まし
い。第二工程の反応温度が20℃よりも低ければ反応に
関与する試剤が液化し、また反応は遅く実用的ではな
い。反応温度を高くすれば触媒寿命が短くなり、反応は
速く進行するが分解生成物等が生成し生成するフッ素化
プロパンの選択率が低下するので好ましくない。
【0039】本発明の第一工程での原料であるハロゲン
化プロパンまたはハロゲン化プロペンに対するフッ化水
素のモル比は化学量論以上であれば問題ないが、例え
ば、原料が1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン
の場合、フッ化水素/有機物のモル比は3以上であれば
主たる中間体の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ
プロペン生成に十分な量となる。一般的にC3abc
で表される一般式(1)のハロゲン化プロパンでは、フ
ッ化水素量は有機物に対しc−1モル以上であればよ
い。また、一般的にC3defで表される一般式
(2)のハロゲン化プロペンでは、フッ化水素量は有機
物に対しfモル以上であればよい。第二工程において、
反応領域へ供給する中間原料のフッ素化プロペン/フッ
化水素のモル比は化学平衡の観点からフッ化水素が多い
方が生成物側に有利であるが、反応器、後処理設備等の
負荷が大きくなり経済性に支障がでる。したがって、中
間原料のフッ素化プロペン/フッ化水素のモル比はおお
よそ1/1〜1/50であり、好ましくは1/2〜1/
20である。第一工程と第二工程を連続で実施する場
合、第一工程で過剰のフッ化水素はそのまま第二工程で
利用されるので、装置が過大となること以外、第一工程
でのフッ化水素量の過剰は特に問題とならない。第二工
程においては、第一工程で使用した未反応フッ化水素に
加えさらにフッ化水素を追加することもできる。
【0040】第一工程の反応ガスに含まれる反応で発生
した塩化水素は第二工程での反応において化学平衡上好
ましくない物質であるが、本発明の方法においては、第
一工程と第二工程の中間で塩化水素を分離除去すること
は特に必要としない。一般的なフッ素化触媒では塩化水
素とフッ化水素の比率により生成物組成が決定されるこ
とが多いが、本発明にかかる第二工程の触媒では生成物
組成は塩化水素の存在に余り影響を受けない特徴があ
る。もちろん、プロセスの複雑化を厭わなければ塩化水
素を除いてもかまわない。
【0041】しかしながら、第一工程で生成する微量の
高沸点有機化合物は第二工程触媒の活性低下の原因とな
ることがあるので、一部の有機化合物を除去することは
好ましく、比較的沸点の高い有機化合物を除去する工程
を加えることは好ましい。その手段は特に限定されない
が、例えば、活性炭による吸着、硫酸での吸収、溶媒吸
収、または冷却して液化分離するなどの方法が適宜採用
できる。
【0042】本発明の第二工程の反応圧力は常圧でよい
が、反応は平衡反応が推定されるので、反応を生成物側
に偏らせるためには加圧系が有利となると考えられるこ
とから、一般的に常圧より高くすることがより好まし
い。また、加圧により反応基質の触媒表面への物理吸着
効果が高まり、反応速度の上昇が期待できるため、圧力
が高いことはこの観点からも好ましい。この効果は特に
表面積の大きな活性炭触媒において顕著に現れることが
期待されるため、表面積の大きな活性炭が好ましく使用
される。一方、反応装置の耐圧性、経済性等から余り高
い圧力は使用されがたいので、反応圧力は0〜5.0M
Pa(ゲージ圧)程度とするのが好ましく、とりわけ系
内に存在する原料有機物、中間物質およびフッ化水素が
反応系内で液化せず、触媒の力学的条件に適合すること
が望ましいことから、0〜2.0MPa(ゲージ圧)が
より好ましく、実際上は0〜1.0MPa程度の実質上
常圧で行うのが好ましい。
【0043】本発明の方法にかかる反応の接触時間は、
第一工程、第二工程ともに通常0.1〜300秒であ
り、生産性の面から好ましくは1〜60秒である。
【0044】反応器は、耐熱性とフッ化水素、塩化水素
等に対する耐食性を有する材質で作られれば良く、鉄、
ステンレス鋼、ハステロイ、モネル、白金などが好まし
い。また、これらの金属でライニングされた材料で作る
こともできる。
【0045】五ハロゲン化アンチモンとフッ化水素は反
応装置材料を腐食することがしられている。特に液相反
応では、ハロゲン化アンチモンとフッ化水素とが装置材
料と動的に固液接触するため腐食の程度は著しくなる。
本発明の気相反応では五ハロゲン化アンチモンは担体中
の細孔に存在し、フッ化水素はガス状で存在すると考え
られるため、このような条件とはならず、腐食は極度に
軽減される。
【0046】本発明の方法で製造されるフッ素化プロパ
ンは、ハロゲン化炭化水素のフッ化水素によるフッ素化
生成物に対して行われる一般的な精製方法が適用でき
る。例えば、反応器より流出する目的生成物を含んだ有
機物と未反応フッ化水素と生成塩化水素などからなる反
応器流出ガスは水洗浄、塩基性溶液洗浄など、溶解度の
差を利用した分離、抽出分離または蒸留などにより酸性
ガスを除去した後、有機物についてさらに精製蒸留する
ことで目的とするフッ素化プロパンを得ることができ
る。
【0047】本発明の方法は、例えば、フッ素化アルミ
ナ、より好ましくは活性炭を充填した200〜300℃
の第一反応器と五塩化アンチモンを担持した活性炭を充
填した40〜180℃の第二反応器を直列に接続し、第
一反応器の入り口に1,1,1,3,3−ペンタクロロ
プロパンとフッ化水素を供給し、第二反応器の出口から
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと塩化水
素を含む生成物を取りだすことからなる。
【0048】また、原料を1,1,1,3,3−ペンタ
クロロプロパンとする場合、第一工程で1−クロロ−
3,3,3−トリフルオロプロペンが主として生成し、
第二工程で微量の1−クロロ−3,3,3−トリフルオ
ロプロペンならびに1,3,3,3−テトラフルオロプ
ロペンを含む反応器流出ガスは、塩化水素を分離し、残
されたフッ化水素、有機物混合物(この例ではフッ化水
素と有機物は互いに溶解している。)中のフッ化水素を
硫酸等に吸収し、有機物は洗浄乾燥後、蒸留分離等で精
製する方法を例示できるがこの方法に限られないのはい
うまでもない。
【0049】この有機物の蒸留分離において1,1,
1,3,3−ペンタフルオロプロパンと沸点が近接し限
界成分となる1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプ
ロペン(トランス体)、1,3,3,3−テトラフルオ
ロプロペン(シス体)は、これらに対する1,1,1,
3,3−ペンタフルオロプロパンの比揮発度が1に近
く、通常の蒸留ではきわめて分離し難いが、できるだけ
限界成分の含量を下げることにより共沸様組成を形成し
低沸分として分離することができる。1−クロロ−3,
3,3−トリフルオロプロペン(シス体)、1,3,
3,3−テトラフルオロプロペン(トランス体)等の他
の成分は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパ
ンと沸点が離れており通常の蒸留で分離可能である。以
上の方法により精製され製品とすることができる。実
際、本発明の製造方法によると、実施例に示されたよう
に、これらの分離困難な成分は、1,1,1,3,3−
ペンタフルオロプロパンが90%以上の選択率に対し
て、1%以下にするのも容易である。従って、共沸蒸留
に伴う蒸留収率の低下、または特殊な蒸留装置を用いる
などの問題を生ずることなく通常の蒸留で精製を行うこ
とができる。
【0050】もちろん、本発明のフッ素化プロパンの製
造方法は、c)第二工程で生成した反応混合物から一般
式(4)で表されるフッ素化プロパンを分離し、分離残
滓である少なくとも一般式(3)で表されるフッ素化プ
ロペンを第二工程に戻すことからなる第三工程を含むこ
とができる。
【0051】以下に、実施例をもって本発明をより詳細
に説明するが、これらの実施態様に限られるものではな
い。実施例および表において有機物組成の「%」はガス
クロマトグラムの「面積%」である。
【0052】
【実施例】[触媒調製例1]活性アルミナ(住友化学製
NKH3−24:粒径2〜4mm、比表面積340m 2
/g)300gを計り取り水で表面に付着した粉を洗浄
除去した。フッ化水素(無水フッ酸)115gを水10
35gに溶解し10%フッ化水素水溶液を調製した。洗
浄した活性アルミナに調製した10%フッ化水素水溶液
を徐々に入れ撹拌後3時間放置し、水洗後、濾過し、次
いで電気炉において200℃で2時間乾燥を行った。乾
燥した活性アルミナを内径2.5cm長さ30cmのS
US316L製反応管に150ミリリットル入れ窒素を
流しながら電気炉を200℃まで昇温し、さらにフッ化
水素を窒素に同伴させながらフッ化水素処理を行った。
処理を行うにつれ温度が上昇するが400℃を越えない
ように窒素とフッ化水素の量を調整した。発熱が収まっ
た時点でさらに電気炉の設定を400℃のままで2時間
保ち触媒の調製を行った。
【0053】[触媒調製例2]30gの特級試薬Cr
(NO33・9H2Oを100ミリリットルの純水に解
した溶液に、直径4〜6mm、表面積1200m2
g、平均細孔径18オングストロームの粒状活性炭(武
田薬品工業、粒状白鷺GX)180ミリリットルを浸漬
し、一昼夜放置した。次いで濾過して活性炭を取り出
し、熱風循環式乾燥器中で100℃に保ち、さらに一昼
夜乾燥した。得られたクロム担持活性炭150ミリリッ
トルを加熱装置を備えた直径2.5cm、長さ30cm
の円筒形SUS316L製反応管に充填し、窒素ガスを
流しながら300℃まで昇温し、水の排出が見られなく
なった時点でフッ化水素ガスを同伴させ、その濃度を徐
々に高め、反応温度を350℃に上げ、その状態を1時
間保ち触媒の調製を行った。
【0054】[触媒調製例3]1リットルガラス製フラ
スコに、表面積1150〜1250m2/g、細孔径1
5〜20オングストロームの粒状活性炭(東洋カルゴン
PCB、4×10メッシュ)0.25リットルを入れ1
30〜150℃に加温した後真空ポンプにより水分を除
去した。水分の留出が認められなくなった時点でフラス
コ内に窒素を導入して常圧とし、125gの五塩化アン
チモンを滴下ロートにて1時間にわたり撹拌しながら活
性炭層に導入した。五塩化アンチモンを含浸した活性炭
は約1時間、150℃に保持して熟成した。
【0055】[触媒調製例4]1リットルガラス製フラ
スコに、表面積1150〜1250m2/g、細孔径1
5〜20オングストロームの粒状活性炭(東洋カルゴン
PCB、4×10メッシュ)0.25リットルを入れ1
30〜150℃に加温した後真空ポンプにより水分を除
去した。水分の留出が認められなくなった時点でフラス
コ内に窒素を導入して常圧とした。
【0056】[触媒調製例5]1リットルガラス製丸底
フラスコに、平均表面積1200m2/g、平均細孔径
18オングストロームの粒状活性炭(武田薬品工業 粒
状白鷺G2X、4〜6メッシュ)0.5リットルを入れ
130〜150℃に加温した後真空ポンプにて水分を除
去した。水分の留出が認められなくなった時点で、フラ
スコ内に窒素を導入し常圧とし、250gの五塩化アン
チモンを滴下ロートにより攪拌しながら滴下し、その後
約1時間150℃に保持、熟成した。
【0057】[実施例1]第一反応器と第二反応器が配
管により直列に接続されたフッ素化反応装置を用い、有
機物の原料を供給する前に触媒の安定化を図るための準
備をそれぞれの反応器について互いに独立に行った。第
一反応器は電気炉を備えた円筒形反応管(SUS316
L製、直径2.5cm、長さ30cm)に気相フッ素化
触媒として触媒調製例1で調製した触媒を150ミリリ
ットル充填し、約160ミリリットル/分の流量で窒素
ガスを流しながら反応管の温度を300℃に上げ、その
後フッ化水素を約0.2g/分の速度で窒素ガスに同伴
しながら反応管温度を350℃まで昇温し1時間保っ
た。次に反応管温度を250℃に下げ、フッ化水素の供
給速度を0.2g/分として反応準備を完了した。一
方、第二反応器は電気炉を備えた円筒形反応管(SUS
316L製、直径4.0cm、長さ30cm)に気相フ
ッ素化触媒として触媒調製例3で調製した触媒を250
ミリリットル充填し、約25ミリリットル/分の流量で
窒素ガスを流しながら反応管の温度を100℃に上げ、
その後窒素ガスを停止しフッ化水素を約0.2g/分の
速度で供給しながら100℃で6時間保った。次に反応
管温度を80℃に下げ、反応準備を完了した。
【0058】その後、第一反応器と第二反応器を接続
し、反応装置全体に、フッ化水素が0.2g/分、塩素
が1.3mg/分の供給量として、1,1,1,3,3
−ペンタクロロプロパンを予め気化させて0.43g/
分の速度で第一反応器に供給し、同時に、第二反応器に
フッ化水素を0.32g/分の速度で供給し反応を開始
した。
【0059】反応開始直後に第一反応器出口の生成ガス
(反応ガス)をサンプリングし、塩化水素を含む酸性ガ
スの除去後ガスクロマトグラフで分析したところ、1−
クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(トランス
体/シス体のモル比は9/1)97.9%、1,3,
3,3−テトラフルオロプロペン1.2%および1,
1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン0.9%の組
成であった。
【0060】そのまま反応を続け、反応開始2時間後に
は反応は安定したので、その後4時間にわたって第二反
応器から流出する生成ガスを水中に吹き込み塩化水素や
フッ化水素の酸性ガスを除去した後、ドライアイス−ア
セトン−トラップで有機物を捕集した。捕集した有機物
の重量は59.8gでありこれをガスクロマトグラフィ
ーで分析したところ、1−クロロ−3,3,3−トリフ
ルオロプロペン(トランス)0.2%、1,1,1,
3,3−ペンタフルオロプロパン96.2%、1,3,
3,3−テトラフルオロプロペン(トランス)0.1
%、1,1,1,3−テトラフルオロ−3−クロロプロ
パン1.5%であった。
【0061】[実施例2]第一反応器の気相フッ素化触
媒として触媒調製例2で調製した触媒を用い、第二反応
器の温度を60℃とした以外は実施例1と同様にして反
応を実施した。
【0062】第一反応器出口から生成ガス(反応ガス)
をサンプリングし、塩化水素を含む酸性ガスの除去後ガ
スクロマトグラフで分析したところ、1−クロロ−3,
3,3−トリフルオロプロペン(トランス体/シス体の
モル比は9/1)98.2%、1,3,3,3−テトラ
フルオロプロペン1.0%および1,1,1,3,3−
ペンタフルオロプロパン0.7%の組成であった。
【0063】そのまま反応を継続し、反応開始2時間後
には反応は安定したので、その後4時間にわたって第二
反応器から流出する生成ガスを水中に吹き込み塩化水素
やフッ化水素の酸性ガスを除去した後、ドライアイス−
アセトン−トラップで捕集した。捕集した有機物の重量
は58.5gでありこれをガスクロマトグラフィーで分
析したところ、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ
プロペン(トランス)0.4%、1,1,1,3,3−
ペンタフルオロプロパン91.6%、1,3,3,3−
テトラフルオロプロペン(トランス)0.1%、1,
1,1,3−テトラフルオロ−3−クロロプロパン5.
1%であった。
【0064】[実施例3]第一反応器は、電気炉を備え
た円筒形反応管(SUS316L製、直径2.5cm、
長さ30cm)に気相フッ素化触媒として調製例4で調
製した活性炭150mlを充填したものを用い、20m
l/分で窒素を流しながら250℃まで昇温した。
【0065】第二反応器は、電気炉を備えた円筒形反応
管(SUS316L製、直径2.5cm、長さ30c
m)に気相フッ素化触媒として調製例5で調製した触媒
を充填したものを用い、20ml/分で窒素を流しなが
ら100℃まで昇温した。つづいてフッ化水素を0.2
5g/分の流量で1時間、塩素を0.3g/分の流量で
1時間流した後、80℃に降温した。
【0066】反応は第一反応器からフッ化水素0.37
g/分、1,1,1,3,3−ヘキサクロロプロパン
0.2g/分の流量で導入し(HF/有機物モル比=2
0/1)、生成した中間生成物を第二反応器にそのまま
連続的に導入して行った。2時間後に反応は安定したの
で、そのまま反応を4時間継続し反応生成物を実施例1
と同様に回収、分析をした。
【0067】有機物回収量は29.2gであり、ガスク
ロマトグラフィーで分析した結果は、1−クロロ−3,
3,3−トリフルオロプロペン(トランス)0.1%、
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン95.6
%、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(トラン
ス)0.5%、1,1,1,3−テトラフルオロ−3−
クロロプロパン0.6%、1,1,1−トリフルオロ−
3、3−ジクロロプロパン0.1%、その他3.1%で
あった。
【0068】なお、第一反応器からの中間生成物の組成
は、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン
(トランス/シス体モル比ほぼ10/1)94.5%、
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン0.4
%、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(トラン
ス/シス)1.4%、1,1,1,3−テトラフルオロ
−3−クロロプロパン0.1%、1,1,1−トリフル
オロ−3、3−ジクロロプロパン0.1%、その他3.
5%であった。
【0069】[実施例4]実施例1の第二反応器を単独
で反応器として、触媒調製例3で調製した触媒を0.2
5リットル充填した。約25ml/分の流量で窒素ガス
を流しながら反応管の温度を100℃に上げ、フッ化水
素を約0.22g/分の速度で導入すると同時に窒素ガ
スの導入を停止した。そのまま反応管の温度を100℃
で6時間保った。次に反応器の温度を80℃に下げ、塩
化水素を0.15g/分、塩素を1.3mg/分、また
フッ化水素を0.30g/分の速度で反応器へ供給し、
さらに1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン
(トランス体/シス体のモル比は89/11)を予め気
化させて0.13g/分の速度で反応器へ供給開始した
(フッ化水素/有機物モル比=15/1)。
【0070】反応開始1時間後には反応は安定したの
で、その後4時間にわたって反応器から流出する生成ガ
スを水中に吹き込み塩化水素やフッ化水素の酸性ガスを
除去した後、ドライアイス−アセトン−トラップで捕集
した。捕集した有機物の重量は30.9gでありこれを
ガスクロマトグラフィーで分析したところ、1−クロロ
−3,3,3−トリフルオロプロペン(トランス)0.
2%、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン9
6.5%、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン
(トランス)0.1%、1,1,1,3−テトラフルオ
ロ−3−クロロプロパン1.2%であった。
【0071】この反応をさらに継続したところ350時
間以上にわたり触媒の活性は保持された。
【0072】[実施例5]後部に調圧弁を備え、加熱装
置により加熱する円筒形反応管からなる気相反応装置
(SUS316L製、直径4.0cm・長さ30cm)
に気相フッ素化触媒として触媒調製例3と同様の方法で
調製した触媒を0.25リットル充填した。約25ml
/分の流量で窒素ガスを流しながら反応管の温度を10
0℃に上げ、フッ化水素を約0.22g/分の速度で導
入するとともに窒素ガスの導入を停止した。そのまま反
応管の温度を100℃で6時間保った。次に反応管の温
度を180℃に上げ、フッ化水素を0.20g/分の供
給速度とし、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプ
ロペン(トランス体/シス体のモル比は89/11)を
予め気化させて0.13g/分の速度で反応器へ供給開
始した(フッ化水素/有機物モル比=10/1)。
【0073】反応開始1時間後には反応は安定したの
で、反応器から流出する生成ガスを水中に吹き込み酸性
ガスを除去した後、ドライアイス−アセトン−トラップ
で捕集した。捕集した有機物をガスクロマトグラフィー
で分析した結果を表1に示した。
【0074】
【表1】
【0075】CTFP(t):1−クロロ−3,3,3−トリフ
ルオロプロペン(トランス) CTFP(c):1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペ
ン(シス) PFP : 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン TFP(t): 1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(ト
ランス) TFP(c): 1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(シ
ス) TeFP: 1,1,1,3−テトラフルオロ−3−クロロプ
ロパン [実施例6]実施例5の後反応を終了し反応器を室温ま
で下げた。再び実施例1と同様の準備段階の後、後部調
圧弁にて0.1MPa(ゲージ圧)とした以外は表1に
示す条件で実施例1と同様の反応操作、回収操作、分析
を行った。結果を表1に示す。
【0076】[実施例7]実施例6の後反応を終了し反
応器を室温まで下げた。再び同様の準備段階の後、後部
調圧弁にて0.3MPa(ゲージ圧)とした以外は表1
に示す条件で実施例1と同様の反応操作、回収操作、分
析を行った。結果を表1に示す。
【0077】[実施例8]実施例7の後反応を終了し反
応器を室温まで下げた。再び同様の準備段階の後、反応
系中に塩素を1.3ミリグラム/分を同伴し、後部調圧
弁にて0.1MPa(ゲージ圧)とした以外は表1に示
す条件で実施例1と同様の反応操作、回収操作、分析を
行った。結果を表1に示す。
【0078】[実施例9]実施例8の後反応を終了し反応
器を室温まで下げた。再び同様の準備段階の後、反応系
中に、フッ化水素を0.30g/分ならびに1−クロロ
−3,3,3−トリフルオロプロペンを予め気化させて
0.13g/分の速度で反応器へ供給し(フッ化水素/
有機物モル比=15/1)、さらに塩素を1.3ミリグ
ラム/分の供給速度で同伴させ、反応圧力を0.1MP
a(ゲージ圧)とした以外は表1に示す条件で実施例1
と同様の反応操作、回収操作、分析を行った。結果を表
1に示す。
【0079】[実施例10]実施例9の後反応を終了し
反応器を室温まで下げた。再び同様の準備段階の後、1
−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの代わり
に1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(トランス
体シス体のモル比は80/20)を0.12g/分の速
度で反応器へ供給とした以外は表1に示す条件で実施例
1と同様の反応操作、回収操作、分析を行った。結果を
表1に示す。実施例4〜8の反応を通じて原料有機物の
処理時間は200時間以上であり、この間にわたり触媒
の活性は保持された。
【0080】
【発明の効果】本発明にかかるフッ素化プロペンをフッ
化水素と反応させてフッ素化プロパンに転換する際の高
原子価ハロゲン化物担持活性炭触媒が(1)低温において
活性を有する、(2)高圧を必要とする液相反応とは異な
り低圧において活性を有する、(3)長寿命である、(4)不
飽和化合物ではなく飽和化合物であるフッ素化プロパ
ン、特に1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン
を得ることができる、(5)反応の目的生成物、例えば
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの選択率
が高い、(6)塩化水素を伴った反応系においてもフッ素
化反応が進行する、等の少なくとも何れかの特徴を有す
ることを挙げることができる。その結果、(7)目的生成
物であるフッ素化プロパンの精製工程の負荷を減らし、
簡略化することができ、(8)未反応原料のリサイクルに
よるプロセスの複雑化およびエネルギーコストの上昇を
避けることができ、(9)液相均一反応とは異なり、有機
物と触媒の分離が容易であるので、不活性化した触媒の
再活性化または廃棄が容易である、(10)液相反応で著し
い金属反応器の腐食が少ない、等の少なくとも何れかの
工業的な製造方法として有利な特徴を示す。
【0081】また、第一工程および第二工程からなる二
段階反応によりハロゲン化プロパンをフッ化水素と反応
させてフッ素化プロパンに転換する方法は、第二工程に
高原子価ハロゲン化物担持活性炭触媒を使用することに
よる効果に加えて、(11)第一工程で生成した反応ガスを
処理することなくそのまま第二工程の反応試剤とするこ
とができるので、中間精製に関するプロセスを省略また
は簡略化できる、(12)気相反応であることから、反応装
置の構造が単純であり、工学的な設計が容易である、(1
3)原料として製造方法の確立した塩素化物を使用するこ
とができる、(14)二段反応であることから、反応のコン
トロールが容易でプロセスの最適化も容易である、等の
少なくとも何れかの工業的な製造方法として有利な効果
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (56)参考文献 特開 平9−183740(JP,A) 英国特許出願公開2313118(GB,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 17/087 C07C 17/20 C07C 19/08 C07B 61/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプ
    ロペンをアンチモン、タンタル、ニオブ、モリブデン、
    スズ、チタンのハロゲン化物から選ばれた高原子価金属
    ハロゲン化物を担持した活性炭からなる触媒の存在する
    反応領域においてフッ化水素で気相フッ素化することか
    らなる1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの
    製造方法。
  2. 【請求項2】触媒にかかる高原子価金属ハロゲン化物が
    五塩化アンチモンである請求項1記載の1,1,1,
    3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法。
  3. 【請求項3】反応温度が20〜300℃であって、反応
    圧力がゲージ圧で0〜1.0MPaである請求項1乃至
    2の何れかに記載の1,1,1,3,3−ペンタフルオ
    ロプロパンの製造方法。
  4. 【請求項4】1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプ
    ロペン100モルに対し0.1〜10モルの塩素を少な
    くとも反応領域に存在させることを特徴とする請求項1
    乃至3の何れかに記載の1,1,1,3,3−ペンタフ
    ルオロプロパンの製造方法。
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