JP3879036B2 - 電子デバイスの静電破壊試験装置の試験用ピンの位置合わせ方法 - Google Patents

電子デバイスの静電破壊試験装置の試験用ピンの位置合わせ方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子デバイスの静電破壊試験装置の試験用ピンの位置合わせ方法に関する。より詳しくは、とくに半導体集積回路についての静電気の放電に対する破壊耐量を測定する静電破壊試験において用いられるものであり、被測定デバイスの端子と試験用のピンとの位置合わせを、正確に行うことができる電子デバイスの静電破壊試験装置の試験用ピンの位置合わせ方法を提供せんとするものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路の開発過程においては、各種の信頼性試験が行われる。その中に、静電気放電に対する破壊耐量を測定する静電破壊試験がある。すなわち、半導体集積回路の製造過程や電子機器への実装時などにおいては、静電気放電により半導体集積回路が破壊または劣化(以下、単に「破壊」という)することがある。したがって、半導体集積回路の設計に際しては、静電気放電に対する耐性を充分に確保する必要がある。そこで、半導体集積回路における静電気放電をシミュレートして、静電気放電に対する破壊耐量を測定するのが、静電破壊試験である。
【0003】
ここで、半導体集積回路の製造過程や電子機器への実装時などにおいて、実際に静電破壊が発生するモード(態様)には、大別してつぎの2つがある。
【0004】
1つは、半導体集積回路自体は静電気は帯電していないが、静電気が帯電した他の物体が半導体集積回路の近くに存在する場合に発生するモードである。すなわち、外部の帯電物体が、半導体集積回路の端子に接触して放電が起こり、これにより半導体集積回路が破壊するモードである。このモードには、外部帯電物体が人体や機械である場合が代表的なものとしてあり、それぞれ「人体モデル」(HBM:Human Body Model)、「機械モデル」(MM:Machine Model)と呼ば れている。
【0005】
もう1つは、半導体集積回路自体が摩擦や誘導などにより帯電している場合に発生するモードである。すなわち、電荷が蓄えられている半導体集積回路の端子に、外部の導体が接触したときに起こる放電によって、半導体集積回路が破壊するモードである。このモードは、デバイス自体が帯電していることから、「デバイス帯電モデル」(CDM:Charged Device Model)と呼ばれている。
【0006】
前者の人体モデルや機械モデルは、従前よりその存在が知られており、これをシミュレートする方法は、既に確立されている。これに対して、後者のデバイス帯電モデルは、近年に至ってその存在が指摘され、人体モデルや機械モデルとは区別して考察されるようになったものである。
【0007】
そこで、近時、このデバイス帯電モデルをシミュレートするための各種の静電破壊試験装置が提案されている。ここで、この種の試験装置では、デバイス帯電モデルをシミュレートするために、被測定デバイスに帯電させた後に急速に放電させる。その場合、被測定デバイスに帯電させる方式としては、つぎの2つがある。
1)被測定デバイスの端子を介して高電圧を印加して、被測定デバイスに直接に充電する直接充電方式(この方式による試験をD−CDM(Direct-Charging Charged Device Model)試験という)
2)高電圧電源に接続された電極と、これに対向した、接地されたグランド板とによって形成される平等電界において、電極上に被測定デバイスを載置することにより帯電させる誘導帯電方式(この方式による試験をF−CDM(Field-Induced Charged Device Model)試験という)
【0008】
従来、諸外国では、上記2)のF−CDM試験が主流であるのに対して、我が国では、1)のD−CDM試験が主流であった。しかし、電子デバイスについてのF−CDM試験に基づく試験データの提出が、外国から要求されるという事情もあり、近年、我が国においてもF−CDM試験用の装置に対するニーズが増えてきている。
【0009】
そこで、そのようなF−CDM試験に用いられる従来の電子デバイスの静電破壊試験装置の構成概念を、図11に示し説明する。
【0010】
図11において、71は、被測定デバイスに誘導により帯電させるための、方形板状の金属製の帯電電極であり、この上に、試験時に被測定デバイスが載置される。図11では、帯電電極71上には、平行平板コンデンサ80が図示されている。この平行平板コンデンサ80は、試験を行うに先立って、被測定デバイスにおける試験をする金属の端子と、後述するプローブ部50の充放電ピン51との位置合わせのために用いるものである。試験時は、帯電電極71上に平行平板コンデンサ80が置かれることはなく、被測定デバイスが載置される。
【0011】
この帯電電極71には、直流の高電圧を発生する、出力電圧が可変の高電圧電源Eからの高電圧が、スイッチSW3および高抵抗体72(抵抗値は例えば100MΩ)の直列接続を介して印加される。高抵抗体72を用いているのは、高電圧が印加される帯電電極71上に載置された被測定デバイスへの帯電が高速過ぎて、帯電時に被測定デバイスが破壊されないように、時間をかけて帯電させるためである。
【0012】
他方、帯電電極71の上方には、帯電電極71との間で平等電界を形成するための金属製の上部グランド板53と、被測定デバイスの端子に接触して充放電するための充放電ピン51と、CCDカメラなどの撮像素子52とを主要な構成要素とするプローブ部50が配置されている。
【0013】
プローブ部50における上部グランド板53は、一般に円板状に形成されており、大地の電位に維持するため接地されている。また、充放電ピン51には、試験時に、帯電した被測定デバイスの端子を介して放電される放電電流を検出するための低抵抗値(通常1Ω)の抵抗Rが、放電時に閉じられるスイッチSW1を介して接続されている。
【0014】
さらに、充放電ピン51には、スイッチSW2を介して容量変化検出回路61が接続されている。この容量変化検出回路61の出力は、増幅器62により適当な振幅に増幅されてから、A/D(アナログ・ディジタル)変換器63によりディジタル変換されてコンピュータ65に送出される。ここにおける容量変化検出回路61は、被測定デバイスの端子と充放電ピン51との位置合わせに用いるものである。これについては、後述する。
【0015】
撮像素子52は、これも被測定デバイスの端子と充放電ピン51との位置合わせに用いるものであり、被測定デバイスの端子の位置を認識して、その位置情報をインタフェース回路64を介してコンピュータ65に送出する。
【0016】
このような構成のプローブ部50は、X軸駆動部66、Y軸駆動部67およびZ軸駆動部68の作動により、X軸方向(図面上で左右方向)、Y軸方向(紙面に垂直方向)およびZ軸方向(図面上で上下方向)において移動するようになっている。
【0017】
つぎに、以上のように構成された装置を用いて被測定デバイスの静電破壊試験を行う方法について説明する。試験をするに当たっては、まず、図示されてはいない被測定デバイスを、帯電電極71の上に載置する。このとき、帯電電極71の上方に配置されたプローブ部50は、被測定デバイスの端子から充分に離しておく。
【0018】
帯電電極71上に被測定デバイスが載置されたならば、スイッチSW3を閉じ、帯電電極71に取り付けられた高抵抗体72を介して、高電圧電源Eからの高電圧(例えば+1000V)を帯電電極71に印加する。
【0019】
帯電電極71に高電圧が印加され所定時間(一般に数ミリ秒から数十ミリ秒)が経過すると、帯電電極71は+1000Vの電位に充電される。これに伴い、被測定デバイスの各端子の電位もほぼ+1000Vとなる。
【0020】
そこで、コンピュータ65からの制御信号が与えられたZ軸駆動部68の駆動により、プローブ部50における充放電ピン51の先端が、被測定デバイスにおける複数の端子のうちの1つの端子に接触するように、プローブ部50を下降させる。このとき、各スイッチSW1,SW2は開放にしておく。
【0021】
充放電ピン51の先端が、被測定デバイスの端子に接触した後に、スイッチSW1を閉じると、接触した端子の電位は急激に0Vになる。その瞬間、被測定デバイスのチップの電位は0Vとなり、被測定デバイスの帯電電極71側のパッケージとチップとの間の容量は+1000Vに充電される。このときのストレスにより、被測定デバイスが破壊することがある。
【0022】
このような手順による試験は、高電圧電源Eからの出力電圧を順次変えて行われる。そして、その都度、被測定デバイスの特性試験を行い、これにより被測定デバイスが破壊する電圧を知り、破壊耐量を知ることになるのである。
【0023】
なお、この種の装置では、放電時の放電電流波形の定期的な観測が義務付けられている(例えば日本電子機械工業会暫定規格 EIAJ EDX−4702)。そのため、放電時には、スイッチSW1を介して充放電ピン51に接続された抵抗Rにより放電電流を取り出して、放電電流波形を観測する。
【0024】
また、1回のストレス印加が完了したならば、つぎのストレス印加を行う前に、帯電電極71および被測定デバイスを除電して電荷が残留していないようにしておく必要がある。そのため、1回のストレス印加が完了すると、接地されたスイッチSW4を閉じて除電動作を行う。
【0025】
以上が、半導体集積回路などの電子デバイスについて行われる、誘導帯電方式による静電破壊試験であるが、この試験を行うに際して重要なことは、被測定デバイスの端子と、プローブ部50の充放電ピン51との位置合わせである。とくに、今日では、半導体集積回路の高密度化、微細化に伴い、端子数が増え各端子間の間隔もより狭くなっている。誤って試験端子以外の端子に充放電ピン51が接触してしまうことも起こり得る。
【0026】
また、被測定デバイスをICソケットに装着して試験を行うと、半導体集積回路の製造過程などにおいて発生する実際の静電気放電現象を厳密にシミュレートすることができなくなる。そのため、被測定デバイスをICソケットに装着して試験をすることが禁じられており、充放電ピン51を用いて試験を行わなければならない。したがって、被測定デバイスの端子と充放電ピン51との位置合わせを正確に行うことが必要となる。
【0027】
そこで、図11に示した従来例における被測定デバイスの端子と充放電ピン51との位置合わせの方法を、以下に説明する。
【0028】
図12(a)は、この位置合わせのために用いる平行平板コンデンサ80の平面図である。図中、中央に大きく占める正方形における斜線部分は、金めっきを施した金めっきパターン81aである。この金めっきパターン81aの中央部には、円形の非めっき部分があり、この円には十字マークが描かれている。また、この金めっきパターン81aと同じ大きさの金めっきパターン81bが、図12(b)に示すように、平行平板コンデンサ80の裏面にも設けられている。ただし、裏面の金めっきパターン81bは、その全面に金めっきが施されており、中央部に円形の非めっき部分はない。
【0029】
このような構成の平行平板コンデンサ80は、位置合わせをするに当たって、図11に示したように、帯電電極71上に固定される。その場合、十字マークが描かれた面が上面となるように固定する。
【0030】
そこで、図示されてはいないキー・ボードなどの入力装置からの入力信号に基づき、プローブ部50を移動させて、モニター(図示せず)の画面上で、平行平板コンデンサ80の表面中央部の十字マークを探す。
【0031】
ここで、プローブ部50は、コンピュータ65からの制御信号を受けたX軸駆動部66、Y軸駆動部67およびZ軸駆動部68の駆動により、X軸方向(図11および図12(a)上で左右方向)、Y軸方向(図11上で紙面に垂直方向、図12(a)上で上下方向)およびZ軸方向(図11上で上下方向、図12(a)上で紙面に垂直方向)において移動する。移動分解能は、この従来例では10μm/1ステップである。
【0032】
プローブ部50を移動させて、撮像素子52により撮像された平行平板コンデンサ80の十字マークを視野の中に捉えたならば、その十字マークと、モニター画面に表示されている十字マーク(その交点は撮像素子52の光軸の中心点)とが一致する位置を見い出す。この2つの十字マークが一致する位置を見い出したならば、インタフェース回路64を介して撮像素子52と接続されたコンピュータ65は、その位置の座標値(Xom,Yom)を読み取り、これを撮像素子52の光軸の中心点の座標値として、コンピュータ65に登録しておく。
【0033】
つぎに、プローブ部50におけるスイッチSW1を開いた状態で、スイッチSW2を閉じて、容量変化検出回路61を動作可能な状態とする。容量変化検出回路61が動作可能となったならば、プローブ部50を下降させて、充放電ピン51の先端を平行平板コンデンサ80の表面部に接触させる。
【0034】
そこで、図12(a)において、充放電ピン51のY座標(図面上で上下方向)を、平行平板コンデンサ80のほぼ中央(正確に中央でなくてよい)に固定しておいて、充放電ピン51をX軸方向(図面上で左右方向)に移動させる。充放電ピン51は、上下動機構により1ステップ毎に上下動する。すなわち、1ステップ毎に平行平板コンデンサ80の表面部に接触するようになっている。
【0035】
金めっきパターン81aに充放電ピン51が接触すると、非めっき部分に接触するときよりも、その前後の静電容量の変化が大きいので、これを容量変化検出回路61により検出する。これにより、金めっきパターン81aと左右の非めっき部分との境界の各X座標X1,X2を探す。容量変化検出回路61の出力は、増幅器62により増幅されてからA/D(アナログ・ディジタル)変換器63によりディジタル変換されて、コンピュータ65に送出される。
【0036】
同様にして、充放電ピン51のX座標を、平行平板コンデンサ80のほぼ中央に固定しておいて、Y軸方向に充放電ピン51を移動せしめて、金めっきパターン81と上下の非めっき部分との境界の各Y座標Y1,Y2を探す。
【0037】
金めっきパターン81aは、左右および上下とも対称に形成されているので、平行平板コンデンサ80の中心点の座標値(Xc,Yc)は、次式により求められる。
c=(X1+X2)/2
c=(Y1+Y2)/2
【0038】
ここにおける座標値(Xc,Yc)は、平行平板コンデンサ80の中心点に、充放電ピン51の軸心を一致させたときの、その軸心の座標値である。したがって、撮像素子52の光軸の中心点の座標値(Xom,Yom)と、充放電ピン51の軸心の座標値との差(Xo,Yo)は、次式により求められる。
o=Xom−Xc
o=Yom−Yc
【0039】
この座標値の差(Xo,Yo)をコンピュータ65に登録しておけば、撮像素子52を用いて被測定デバイスの端子に焦点を合わせた後、座標値の差(Xo,Yo)だけプローブ部50を移動させればよい。そうすれば、例えば光学的手段を用いての目視による確認の必要もなく、被測定デバイスの端子と充放電ピン51との位置合わせをすることができる。
【0040】
この位置合わせが完了したならば、既に述べたように、帯電電極71(図11)に高電圧を印加して被測定デバイスに帯電させた後、Z軸駆動部68を駆動してプローブ部50を下降させ、その後スイッチSW1を閉じて充放電ピン51と被測定デバイスの端子を介して放電させることになる。
【0041】
【発明が解決しようとする課題】
従来、電子デバイスの静電気放電に対する破壊耐量は、放電または帯電電圧により決定されるものと考えられてきた。しかし、その後の研究の進展により、静電気放電に対する破壊耐量は、放電または帯電電圧よりも、放電エネルギーまたは放電電荷量に依存することが、明らかとなってきている(特開平9−218241号公報・特許第2836676号公報参照)。
【0042】
その結果、最近では、静電気放電に対する破壊耐量を正確に測定するためには、静電破壊試験装置の構成要素として、静電気放電の電荷量を測定する電荷量計(クーロン・メータ)を用いることが必要となっている。
【0043】
そこで、このような必要性に対処するために、図11に示した従来の静電破壊試験装置に電荷量計を付設したうえで、被測定デバイスの端子と充放電ピン51との位置合わせを、容量変化検出回路61を用いて行うとすると、装置の構成が複雑となってしまう。とくに、容量変化検出回路61は、電子デバイスの破壊耐量の測定自体にとっては不可欠の構成要素ではないだけに、装置の構成が複雑となるのは問題である。
【0044】
このように、図11に示した容量変化検出回路61を用いて、被測定デバイスの端子と充放電ピン51との位置合わせを行う方法を、電荷量計を具備した最近の静電破壊試験装置に適用するとすれば、装置の構成が複雑となってしまい、コスト増を招くという解決すべき課題があった。
【0045】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決すべく本発明はなされたものである。そのために、本発明では、平行板の一方として例えば正方形に形成された導体を用いて電荷が蓄積する容量を形成したうえで、該導体に設けられた基準点の位置を例えば撮像素子により認識する。電荷量計が測定する電荷量の変化により検出される該導体のX軸方向およびY軸方向における各境界のそれぞれの座標値より、第1および第2の試験用ピンが該基準点にそれぞれ一致する各位置を求める。撮像素子などにより認識される該基準点の位置と、前記第1および第2の試験用ピンが該基準点にそれぞれ一致する各位置より、撮像素子などと第1および第2の試験用ピンとの相互位置関係を求める。これらが求められたならば、試験時において、撮像素子などにより被測定デバイスの端子の位置を認識してから、該相互位置関係を基にして第1および第2の試験用ピンの一方の位置を被測定デバイスの端子の位置に一致させる。以上のような手段を本発明では用いるようにした。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図1ないし図10により説明する。まず、本発明が適用される電子デバイスの静電破壊試験装置の構成概念を図1に示し説明する。なお、図1では、図11における構成要素と同一の構成要素については、同じ符号を付している。
【0047】
図1において、図11に示した従来例の構成と異なるところは、A/D変換器63を介してコンピュータ65と接続された、静電気放電の電荷量を測定する電荷量計11を、プローブ部10に配置する一方で、容量変化検出回路61(図11)と、これに接続されるスイッチSW2および増幅器62を配設していないことである。ここで、図1では、帯電電極71に固定されたセットアップ治具20が図示されている。このセットアップ治具20は、被測定デバイスの端子と、充放電ピン51あるいは電荷量計11の測定ピン12との位置合わせに用いるものである。これについては、後述する。
【0048】
また、プローブ部10は、Y軸方向(図1上で紙面に垂直方向)およびZ軸方向(図1上で上下方向)においてのみ移動し、セットアップ治具20が、X軸方向(図1上で左右方向)において移動するようになっている。これは、位置合わせのための作業が終了した際に、帯電電極71上に固定されたセットアップ治具20を、プローブ部10のカバー領域外に移動させて取り出し易くしたものである。移動分解能は、本実施の形態では、X軸、Y軸およびZ軸方向とも10μm/1ステップである。その他の構成は、図11に示した従来例の構成と同じである。
【0049】
プローブ部10に配置された電荷量計11は、試験時の放電電荷量を測定するための針状の測定ピン12を有し、この測定ピン12は、上部グランド板13に穿設された孔部を介して、上部グランド板13の下方に突き出している。上部グランド板13の構成は、図11の上部グランド板53と実質的に同一である。
【0050】
この電荷量計11は、図示されてはいない上下動機構により、測定ピン12も一体として若干の距離だけ上下に移動して、測定ピン12の先端の位置を変えられるようになっている。これは、電荷量計11の測定ピン12と充放電ピン51のそれぞれの先端の位置を異なるものとすることにより、一方のピンを被測定デバイスの端子などに接触させるときに、これらに他方のピンが不用意に接触しないようにするためである。
【0051】
以上のような構成の装置を用いて試験を行う方法は、図11に示した従来例について説明した試験方法に加えて、電荷量計11を用いての試験方法がある。すなわち、帯電した被測定デバイスの端子に電荷量計11の測定ピン12を接触させて、放電電荷量を測定する試験を行う方法である。この場合は、1回の試験が完了する毎に行う被測定デバイスについての特性試験の結果から、被測定デバイスの破壊耐量を放電電荷量に基づいて決定する。
【0052】
このような本装置を用いての試験を行うに当たって、被測定デバイスの端子と、充放電ピン51あるいは電荷量計11の測定ピン12との位置合わせが重要であることは、図11に示した従来例の場合と同様である。そこで、本発明による被測定デバイスの端子と、充放電ピン51あるいは電荷量計11の測定ピン12との位置合わせの方法について、説明する。
【0053】
まず、充放電ピン51、電荷量計11の測定ピン12、および撮像素子52の光軸の中心点の位置関係の一例について、図2により説明する。ここで、図1では、充放電ピン51と電荷量計11の測定ピン12は、X軸方向(図1上で左右方向)において並置されるように図示されている。このように図示したのは、説明の便宜のためであり、本実施の形態における両者の実際の位置関係は、図2に示すように、Y軸方向(図1上で紙面に垂直方向)において並置されている。すなわち、充放電ピン51と電荷量計11の測定ピン12は、座標系においてそのX座標は同じである。
【0054】
図2において、充放電ピン51と撮像素子52の光軸の中心点OAとの間の距離DOPは、20mmである。充放電ピン51と電荷量計11の測定ピン12との間の距離DPPは、10mmである。三者の位置関係は、このように設定される。
【0055】
そこで、装置を製作するうえで、三者の位置関係が、設定された通りに正確に実現され得るならば、被測定デバイスの端子に撮像素子52の光軸の中心点OAを一致させて、その位置の座標値をコンピュータ65に登録した後、この中心点OAとの間の距離DOP,DPPだけプローブ部10および被測定デバイスを移動させれば、被測定デバイスの端子と、充放電ピン51あるいは電荷量計11の測定ピン12との位置合わせができることになる。
【0056】
しかし、装置の製作上、正確な位置関係を実現することは、実際問題としては、極めて困難である。 0.1mm以下の寸法精度を得ることは、困難である。また、撮像素子52の光軸とZ軸(図2上で紙面に垂直)との厳密な平行度を確保することも、困難である。すなわち、例えば 0.1mm程度の微細な被測定デバイスの端子寸法に対応できるだけの充分な精度を得ることができない。
【0057】
その結果、被測定デバイスの端子に撮像素子52の光軸の中心点OAを一致させた後、設定された距離DOP,DPPだけプローブ部10および被測定デバイスを移動させても、被測定デバイスの端子と、充放電ピン51あるいは電荷量計11の測定ピン12との位置合わせを、正確には実現することができないことになる。
【0058】
そこで、本発明では、被測定デバイスの端子と、充放電ピン51あるいは電荷量計11の測定ピン12との位置合わせを的確に行うための手段として、図3に示すセットアップ治具20を用いている。ここで、図3は、セットアップ治具20の構成を示す、一部を切り欠いた斜視図である。
【0059】
図3において、セットアップ治具20は板状に形成され、絶縁体からなる絶縁板21と、その下面に固着された、絶縁板21よりは厚い金属板22との二層構造になっている。このセットアップ治具20の平面形状は、一辺の長さSJ が例えば 110mmの正方形である。
【0060】
絶縁板21は平面形状がロ字状に形成され、その中央の空隙部には、絶縁板21と同一の厚さのプリント基板23が、嵌合するように固定されている。このプリント基板23の平面形状は、一辺の長さSP が例えば39mmの正方形である。
【0061】
プリント基板23の上面中央部には、平行斜線で示すように、金めっきなどが施された導体パターン24が設けられており、これと下方の金属板22とが平行板として電荷を蓄積する容量を形成することになる。導体パターン24の形状は、例えば一辺の長さSC が20mmの正方形である。また、この導体パターン24の中央部には、円形の非めっき部分があり、ここには十字マークが描かれている。この十字マークの交点は、被測定デバイスの端子と、充放電ピン51あるいは電荷量計11の測定ピン12との位置合わせのための基準点となるものである。
【0062】
つぎに、以上のように構成されたセットアップ治具20の用い方について、図4により説明する。
【0063】
図4において、セットアップ治具20における導体パターン24中央部の十字マークの交点IPは、この位置と一致する撮像素子52の光軸の中心点OA(図2)の座標値(XOA,YOA)を読み取るために用いられる。
【0064】
また、めっきが施された正方形の導体パターン24は、これへの充放電ピン51あるいは電荷量計11の測定ピン12の接触位置を、各矢印A,Bが示す方向に移動させて、導体パターン24のX軸方向(図4上で左右)の境界Xa,Xbすなわちめっき部分(導体部)と非めっき部分(絶縁部)との境目の各X座標を求めるために用いられる。
【0065】
同様に、各矢印C,Dが示す方向に該接触位置を移動させて、導体パターン24のY軸方向(図4上で上下)の境界Ya,Ybの各Y座標を求めるために用いられる。
【0066】
図5から図10は、セットアップ治具20を用いての図1に示した装置による、被測定デバイスと、充放電ピン51あるいは電荷量計11の測定ピン12との位置合わせのためのコンピュータ65(図1)の制御動作の流れを示すフローチャートである。
【0067】
図5において、装置は既に動作を開始しており、キー・ボードなどの入力装置からの入力信号に基づいて、セットアップ治具20をX軸方向において移動させるとともに、プローブ部10をY軸方向において移動させ、さらにZ軸方向の移動によりピント調節を行って、セットアップ治具20における導体パターン(図において単に「パターン」という)24の十字マークの交点IPに、撮像素子52の光軸の中心点OA(モニタ画面上の十字マークの交点)を合わせる(S1)。
【0068】
十字マークの交点IPに、撮像素子52の光軸の中心点OAが合わせられたならば、その位置の座標値(XOA,YOA)を読み取り記憶する(S2)。
【0069】
ついで、充放電ピン51が、導体パターン24のほぼ中央(図4上で矢印AまたはBの始点付近)に位置するように、入力装置からの入力信号に基づいて、プローブ部10をY軸方向に、セットアップ治具(図において単に「治具」という)20をX軸方向において移動する(S3)。
【0070】
そこで、Z軸駆動部68を駆動させてプローブ部10を下降させ、充放電ピン51を導体パターン24に接触させたうえで(S4)、セットアップ治具20をX軸方向において移動させて、導体パターン24のX軸方向におけるそれぞれの境界Xa,Xbの各X座標X11,X12を求める(S5)。
【0071】
各X座標X11,X12が求められたならば、充放電ピン51が導体パターン24における十字マークの交点IPと一致する位置のX座標XCPを、次式により求める(S6)。
CP=(X11+X12)/2
【0072】
ついで、充放電ピン51が導体パターン24のほぼ中央(図4上で矢印CまたはDの始点付近)に位置するように、入力装置からの入力信号に基づいて、プローブ部10をY軸方向に、セットアップ治具20をX軸方向において移動する(S7、図6)。
【0073】
そこで、Z軸駆動部68を駆動させてプローブ部10を下降させ、充放電ピン51を導体パターン24に接触させたうえで(S8)、プローブ10をY軸方向において移動させ、導体パターン24のY軸方向におけるそれぞれの境界Ya,Ybの各Y座標Y11,Y12を求める(S9)。
【0074】
各Y座標Y11,Y12が求められたならば、充放電ピン51が導体パターン24における十字マークの交点IPと一致する位置のY座標YCPを、次式により求める(S10)。
CP=(Y11+Y12)/2
【0075】
充放電ピン51が導体パターン24における十字マークの交点IPと一致する位置のX座標XCPとY座標YCPが得られたならば、電荷量計11の測定ピン12が導体パターン24のほぼ中央(図4上で矢印AまたはBの始点付近)に位置するように、入力装置からの入力信号に基づいて、プローブ部10をY軸方向に、セットアップ治具20をX軸方向において移動する(S11)。
【0076】
そこで、Z軸駆動部68の駆動によりプローブ部10を下降させて、測定ピン12を導体パターン24に接触させたうえで(S12)、セットアップ治具20をX軸方向において移動させ、導体パターン24におけるX軸方向におけるそれぞれの境界Xa,Xbの各X座標X21,X22を求める(S13、図7)。
【0077】
各X座標X21,X22が求められたならば、測定ピン12が導体パターン24における十字マークの交点IPと一致する位置のX座標XMPを、次式により求める(S14)。
MP=(X21+X22)/2
【0078】
ついで、測定ピン12が導体パターン24のほぼ中央(図4上で矢印CまたはDの始点付近)に位置するように、入力装置からの入力信号に基づいてプローブ部10をY軸方向に、セットアップ治具20をX軸方向において移動する(S15)。
【0079】
そこで、プローブ部10を下降させて、測定ピン12を導体パターン24に接触させたうえで(S16)、プローブ10をY軸方向において移動させ、導体パターン24のY軸方向におけるそれぞれの境界Ya,Ybの各Y座標Y21,Y22を求める(S17)。
【0080】
各Y座標Y2122が求められたならば、測定ピン12が導体パターン24に おける十字マークの交点IPと一致する位置のY座標YMPを、次式により求める(S18)。
MP=(Y21+Y22)/2
【0081】
以上より、被測定デバイスの端子と、充放電ピン51あるいは電荷量計11の測定ピン12との位置合わせに必要な位置情報である各座標値(XOA,YOA),(XCP,YCP),(XMP,YMP)が得られたので、プローブ部10を上昇させて(S19)、作業を終了する。
【0082】
図8および図9は、導体パターン24の十字マークの交点IPに、充放電ピン51を一致させるための、導体パターン24のX軸方向における各境界Xa,XbのそれぞれのX座標X11,X12を求めるステップS5(図5)の作業の流れの詳細を示すものである。以下では、説明を簡単にするため、図4上で右側の境界XaのX座標X11を求める作業についてのみ説明する。
【0083】
図8において、まず、プローブ部10における充放電ピン51に接続されたスイッチSW1を開放にする(S21)。この状態で、プローブ部10を下降させて、セットアップ治具20のプリント基板(図において単に「基板」という)23の表面に、充放電ピン51の先端を接触させる(S22)。
【0084】
そこで、高電圧電源Eの出力電圧を例えば200Vに設定し(S23)、これに接続されたスイッチSW3を閉じる(S24)。その後、プローブ部10におけるスイッチSW1を閉じる(S25)。ここで、充放電ピン51がプリント基板23の導体パターン24に接触した場合は、導体パターン24と、その下方の金属板22(図3)との間に形成される容量CJIG に200Vで充電される。導体パターン24のない部分に接触した場合は、容量CJIG には充電されない。
【0085】
その後、プローブ部10を上昇させて充放電ピン51をプリント基板23の表面より離す(S26)。ついで、プローブ部10において電荷量計11のみを、そのセット位置を下げることにより下降させる(S27)。その後、プローブ部10全体を下降させて、電荷量計11の測定ピン12の先端をプリント基板23の表面に接触させる(S28、図9)。
【0086】
そこで、電荷量計11により測定される電荷量Qが200CJIG か否かが問われる(S29)。電荷量計11の測定ピン12が導体パターン24に接触する前に、ステップS3またはステップS5,ステップS33で決められたX座標において充放電ピン51が導体パターン24に接触していれば、容量CJIG は充電されているので、電荷量計11の測定ピン12が導体パターン24に接触したときに電荷量計11が測定する電荷量は、極めて少ない。
【0087】
これに対して、ステップS3またはステップS5,ステップS33で決められたX座標において充放電ピン51が導体パターン24に接触していなければ、容量CJIG は充電されていないので、電荷量計11は、高電圧電源Eからの印加電圧200Vに充電するまでの電荷量Q(=200CJIG )を測定する。すなわち、電荷量計11の測定結果により、導体パターン24への充放電ピン51の接触の有無を判定することができ、したがって、導体パターン24の境界を検出することができる。
【0088】
ステップS29において、電荷量計11により測定された電荷量Qが200CJIG でない場合は(S29NO)、ステップS3またはステップS5,ステップS33で決められたX座標において充放電ピン51は導体パターン24に接触しており、導体パターン24の右側の境界Xaは検出されていないので、プローブ部10を上昇させて電荷量計11の測定ピン12を導体パターン24より離し(S30)、セットアップ治具20および電荷量計11を初期化する(S31)。
すなわち、導体パターン24と、その下方の金属板22との間に形成される容量CJIG は充電されたままであるので、充放電ピン51を導体パターン24に接触させたうえで、高電圧電源Eの出力電圧を0Vとし、各スイッチSW1,SW3,SW4を閉じる除電操作を行う。あわせて、電荷量計11内部に蓄積された電荷を放電して、電荷量計11をリセットしておく。
【0089】
セットアップ治具20および電荷量計11が初期化されたならば、各スイッチSW3,SW4を開放にしたうえで(S32)、セットアップ治具20をX軸のマイナス方向(図4上で左方向)に1ステップ移動させることにより測定点を移動し(S33)、ステップS21(図8)からの作業を繰り返す。
【0090】
ステップS29において、電荷量計11により測定された電荷量Qが200CJIG である場合は(S29YES)、充放電ピン51は導体パターン24には接触しておらず、導体パターン24の右側の境界Xaが検出されたので、そのX座標X11を読み取って記憶する(S34)。そして、プローブ部10を上昇させたうえで(S35)、セットアップ治具20および電荷量計11を初期化して(S36)、作業を終了する。
【0091】
以上が、導体パターン24における右側の境界XaのX座標X11を求めるための手順であるが、左側の境界XbのX座標X12は、上述したところと同様にして求められるので、その説明は省略する。ただし、測定のスタート位置は、図4の矢印Bの始点付近であり、セットアップ治具20の移動方向は、X軸のプラス方向(図4上で右方向)である。
【0092】
また、導体パターン24のY軸方向におけるそれぞれの境界Ya,Ybの各Y座標Y11,Y12を求めるステップS9(図6)の作業の流れの詳細も、図8および図9により説明したところと同様であるので、その説明は省略する。ただ、この場合は、測定のスタート位置が、図4の矢印C,Dの始点付近である点と、電荷量計11および充放電ピン51が配置されたプローブ部10を、Y軸方向に移動させることにより、各境界Ya,Ybを検出する点が異なる。
【0093】
図10は、導体パターン24の十字マークの交点IPに、電荷量計11の測定ピン12を一致させるための、導体パターン24のX軸方向における各境界Xa,XbのそれぞれのX座標X21,X22を求めるステップS13(図6)の作業の流れの詳細を示すものである。ここでは、説明を簡単にするため、図4上で右側の境界XaのX座標X21を求める作業についてのみ説明する。
【0094】
図10において、充放電ピン51および電荷量計11の測定ピン12を、セットアップ治具20の表面に接触させない状態で、各スイッチSW1およびSW4を開放したまま、スイッチSW3を閉じ(S41)、高電圧電源Eの出力電圧を例えば200Vに設定する(S42)。ついで、電荷量計11の測定ピン12を、プリント基板(図において単に「基板」という)23の表面に接触させる(S43)。
【0095】
そこで、電荷量計11により測定される電荷量Qが200CJIG か否かが問われる(S44)。測定された電荷量Qが200CJIG である場合は(S44YES)、電荷量計11の測定ピン12は導体パターン24に接触しており、導体パターン24の右側の境界Xaは検出されていないので、プローブ部10を上昇させて電荷量計11の測定ピン12を導体パターン24より離す(S45)。そして、セットアップ治具20および電荷量計11を初期化し(S46)、ついで各スイッチSW1,SW3,SW4を開放したうえで(S47)、セットアップ治具20をX軸のマイナス方向(図4上で左方向)に1ステップ移動させることにより測定点を移動し(S48)、ステップS41からの作業を繰り返す。
【0096】
ステップS44において、電荷量計11により測定される電荷量Qが200CJIG でない場合は(S44NO)、電荷量計11の測定ピン12は、導体パターン24には接触しておらず、導体パターン24の右側の境界Xaが検出されたので、そのX座標X21を読み取って記憶する(S49)。そして、プローブ部10を上昇させたうえで(S50)、セットアップ治具20および電荷量計11を初期化して(S51)、作業を終了する。
【0097】
以上が、導体パターン24における右側の境界XaのX座標X21を求めるための手順であるが、左側の境界XbのX座標X22は、上述したところと同様にして求められるので、その説明は省略する。ただし、セットアップ治具20の移動方向は、X軸のプラス方向(図4上で右方向)である。
【0098】
また、導体パターン24のY軸方向におけるそれぞれの境界Ya,Ybの各Y座標Y21,Y22を求めるステップS17(図7)の作業の流れの詳細も、図10により説明したところと同様であるので、その説明は省略する。ただ、この場合は、電荷量計11が配置されたプローブ部10を、Y軸方向に移動させることにより、各境界Ya,Ybを検出する点が異なる。
【0099】
以上のようにして、
▲1▼撮像素子52の光軸の中心点OAが導体パターン24中央部の十字マークの交点IPと一致する位置の座標値(XOA,YOA
▲2▼充放電ピン51が該十字マークの交点IPと一致する位置の座標値(XCP,YCP
▲3▼電荷量計11の測定ピン12が該十字マークの交点IPと一致する位置の座標値(XMP,YMP
をそれぞれ求めることができる。
【0100】
これらの実測値である座標値(XOA,YOA),(XCP,YCP),(XMP,YMP)が求められれば、撮像素子52の光軸の中心点OA、充放電ピン51および電荷量計11の測定ピン12の三者の相互位置関係は、X軸およびY軸の駆動系における位置決め機構の分解能(例えば10μm)と同じ分解能で計算することができる。
【0101】
すなわち、撮像素子52の光軸の中心点OAと、電荷量計11の測定ピン12との位置関係Aは、各座標値(XOA,YOA),(XMP,YMP)から直ちに計算することができる。また、充放電ピン51と電荷量計11の測定ピン12との位置関係Bも、各座標値(XCP,YCP),(XMP,YMP)から直ちに計算することができる。撮像素子52の光軸の中心点OAと充放電ピン51との位置関係Cは、各位置関係A,Bから計算により求めることができる。
【0102】
その結果、試験を行う際に、撮像素子52により被測定デバイスの端子の位置を目視観測して、その位置の座標値をコンピュータ65に知らせれば、この座標値を基にしてコンピュータ65が計算をし、X軸駆動部66およびY軸駆動部67の動作を制御することにより、充放電ピン51あるいは電荷量計11の測定ピン12を、被測定デバイスの端子に正確に位置合わせをして接触させることができる。
【0103】
この位置合わせのための位置情報である各座標値(XOA,YOA),(XCP,YCP),(XMP,YMP)は、一度コンピュータに記憶させておけば、撮像素子52、充放電ピン51および電荷量計11の位置関係を変更する修理や改造、充放電ピン51あるいは電荷量計11の測定ピン12の交換を行わない限り、位置合わせ用の位置情報として有効に用いることができる。
【0104】
なお、以上においては、導体パターン24が正方形の形状である場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、長方形、菱形さらには円など、左右および上下ともに対称である形状であれば、本発明は適用され得るものである。
【0105】
また、導体パターン24の各境界Xa,Xb,Ya,Ybを検出する場合の駆動系の移動ステップが、一定値(10μm)に固定されている場合について説明したが、本発明は、これに限られない。作業の効率性を重視するのであれば、例えば、移動ステップを大きな値から徐々に小さな値になるように設定して、X軸およびY軸方向の移動距離を少しずつ短くする逐次比較方式を用いるようにしてもよい。
【0106】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によるならば、電荷量計を付加した電子デバイスの静電破壊試験装置において、従来例におけるように、被測定デバイスの端子と試験用ピンとの位置合わせのために、電子デバイスの静電破壊試験装置にとって本来不可欠の構成要素ではない容量変化検出回路を付設する必要がない。すなわち、試験装置としての構成を複雑とすることなく、したがってコスト増を招くことなく、被測定デバイスの端子と試験用ピンとの位置合わせを正確に行うことができる。
【0107】
また、セットアップ治具が移動するX軸とプローブ部が移動するY軸との直交度および撮像素子の光軸とZ軸との平行度を比較的粗く製作したとしても、被測定デバイスと試験用ピンとの位置合わせを正確に行うことが可能である。X軸とY軸との直交度は、セットアップ治具の導体パターンにおける直交する2辺に沿って、X軸方向のみまたY軸方向のみに撮像素子を平行移動させることにより、直交度のずれの有無を確認することができる。
【0108】
また、撮像素子とZ軸との平行度は、セットアップ治具の導体パターン中央の十字マークの交点に、撮像素子の光軸の中心点(モニター画面に表示の十字マークの交点)を合わせた後、プローブ部を上下に移動させ、モニター画面上で導体パターン中央の十字マークの交点が移動しないかどうかで確認することができる。すなわち、このような簡単な確認方法により、装置の駆動系のX軸方向とY軸方向との直交度および撮像素子の光軸の中心点とZ軸との平行度をテストすれば、半導体集積回路の微細な端子にも試験用ピンを正確に接触させることができる。したがって、本発明が電子デバイスの静電破壊試験においてもたらす効果は、極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す構成概念図である。
【図2】図1に示した撮像素子の光軸の中心点と充放電ピンと電荷量計の測定ピンの位置関係の一例を説明するための説明図である。
【図3】図1に示したセットアップ治具の構成を示す、一部を切り欠いた斜視図である。
【図4】図1に示したセットアップ治具の用い方を説明するための説明図である。
【図5】図1に示した静電破壊装置における撮像素子の光軸の中心点、充放電ピンおよび電荷量計の測定ピンの位置情報を求めるための動作を示すフローチャートである。
【図6】図5とともに、図1に示した静電破壊装置における撮像素子の光軸の中心点、充放電ピンおよび電荷量計の測定ピンの位置情報を求めるための動作を示すフローチャートである。
【図7】図5および図6とともに、図1に示した静電破壊装置における撮像素子の光軸の中心点、充放電ピンおよび電荷量計の測定ピンの位置情報を求めるための動作を示すフローチャートである。
【図8】図5中の1ステップの詳細を示すフローチャートである。
【図9】図8とともに図5中の1ステップの詳細を示すフローチャートである。
【図10】図6中の1ステップの詳細を示すフローチャートである。
【図11】従来例の構成を示す構成概念図である。
【図12】図11に示した充放電ピンと被測定デバイスの端子との位置合わせに用いる平行平板コンデンサの構成を示す構成図である。
【符号の説明】
10 プローブ部
11 電荷量計
12 測定ピン
13 上部グランド板
20 セットアップ治具
21 絶縁板
22 金属板
23 プリント基板
24 導体パターン
50 プローブ部
51 充放電ピン
52 撮像素子
53 上部グランド板
61 容量変化検出回路
62 増幅器
63 A/D変換器
64 インタフェース回路
65 コンピュータ
66 X軸駆動部
67 Y軸駆動部
68 Z軸駆動部
71 帯電電極
72 高抵抗体
80 平行平板コンデンサ
81a,81b,82,83 金めっきパターン
E 高電圧電源
IP 交点
OA 中心点
R 抵抗
SW1〜SW4 スイッチ

Claims (1)

  1. 被測定デバイスの帯電電圧および帯電した被測定デバイスからの放電電荷量のうちの一方から前記被測定デバイスの静電気放電に対する破壊耐量を測定するための静電破壊試験において、
    平行板(22,23)の一方の面に部分的に左右および上下ともに対称に形成された導体(24)を用いた、電荷が蓄積する容量を形成するための容量形成手段における前記導体に設けられた基準点(IP)の位置を位置認識手段により認識し(52,65)、
    前記帯電した被測定デバイスからの放電電荷量の測定に用いる電荷量測定手段(11)が測定する電荷量の変化により検出される前記導体のX軸方向およびY軸方向における各境界(Xa,Xb,Ya,Yb)のそれぞれの座標値より、前記電荷量測定手段における電荷量測定用の第1の試験用ピン(12)および前記被測定デバイスの充放電用の第2の試験用ピン(51)が前記基準点にそれぞれ一致する各位置を求め、
    前記位置認識手段により認識される前記基準点の位置と前記第1および第2の試験用ピンが前記基準点にそれぞれ一致する各位置より、前記位置認識手段と前記第1および第2の試験用ピンとの相互位置関係を求め、
    前記位置認識手段により前記被測定デバイスの端子の位置を認識してから前記相互位置関係より前記第1および第2の試験用ピンの一方の位置を前記被測定デバイスの端子の位置に一致させる
    電子デバイスの静電破壊試験装置の試験用ピンの位置合わせ方法。
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