JP4296419B2 - Cdm放電分布観測装置および観測方法 - Google Patents

Cdm放電分布観測装置および観測方法 Download PDF

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Description

本発明は、CDM放電分布観測装置およびCDM放電分布観測方法に関し、特にLSIにCDM放電を行った際に、チップ上を流れる電流分布を観測できるようにした装置とその方法に関するものである。
LSIに致命的なダメージを与えるものに静電気破壊がある。例えば、搬送の際に用いる吸着器からLSIが離れる際に、LSIに剥離帯電が生じ、この状態で、LSIのピンが金属などに触れた瞬間に、その金属との間に立ち上りが1nsec以下と高速な過大電流が流れ、LSIを破壊する。あるいは、静電気を帯びた人間が触れることによりLSIが帯電し、放電時に高速な過大電流が流れることにより破壊する。この種の靜電破壊は、パッケージ表面に帯電した電荷に誘導されたチップ内の電荷が放電することによって起こされる。この靜電破壊現象をモデル化した試験方法としてCDM(charged device model)が一般的に採用されている(例えば、特許文献1、2参照)。より実際に近い状態でCDM耐量を評価するモデルは、パッケージ表面に電荷を与えるFiCDM(free injection CDM)と呼ばれる方法であるが、より簡便にCDM耐量評価するのにはチップ内部に初期電荷を与え、そこから放電させるDCDM(direct CDM)が用いられる。
図8は、従来のDCDM耐量を評価する方法を示す斜視図である。静電破壊試験を行うには、スイッチSWをa側に切り換えておき、半導体集積回路ICのピンに試験機の接触子Tを接触させる。これにより、高圧電源Vが抵抗Rを介してICに供給され、ICの浮遊容量Cに電荷が充電される。次に、スイッチSWをb側に切り換えて、チップ内に充電された電荷を放電させることで回路に放電電流によるストレスを与える。そして、ストレス後に回路が正常動作するかを検査する。
特公平5−668号公報 登録実用新案公報3003306号
従来のCDM試験は、放電ストレス印加によって放電破壊が生じるか否かを評価するものであったので、破壊原因である放電電流がLSI内をどのような経路を経由した結果であるのかを把握することはできない。すなわち、CDMによる破壊メカニズムを解析する場合、チップ内の電流経路が重要な意味を持つにも拘わらず、従来の試験方法では、チップ内の電流経路を推定することはできなかった。
また、CDM試験によって静電破壊が発生するデバイスについては、配線幅の変更や配線経路の変更などの対策を講じなければならないことになるが、従来のCDM試験方法では、デバイスのどの個所に対策を施さなければならないのかの判断が困難であり、更には静電破壊対策の前後でデバイス内部にどのような電流変化が生じたのかを知ることができなかったため、採られた破壊対策が有効であるか否かの評価が困難であった。
更に、従来のCDM試験装置において、LSIチップ内部の電流経路を把握するために、単純に例えば電流検出用の磁界検出手段をLSIチップ上に配置しても放電電流波形を例えばオシロスコープにおいて波形観測することができない。その理由は次の通りである。CDM試験を行う場合には、初期電荷を与えるために電圧を印加してから放電を行う必要があるが、一般にLSIなどの小さなデバイスを被測定物にする場合、印加して定常状態になるまでにmsec以下の時間で安定するため、電荷の漏洩を防ぐためあまり時間を開けずに数msec後には放電させる。このため、オシロスコープなどの波形観測装置をトリガー待ち状態にセットして、それから充電および放電を行い、ピックアップされた磁界センサの出力をトリガーに測定器に取り込もうとすると、充電時の波形を取り込むことになり、所望の放電時の波形観測ができないのである。
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解決することであって、その目的は、第1に、CDM試験装置を用いて被測定物内部の放電電流経路を把握できるようにすることであり、第2に、充電電流の干渉を受けることなく放電電流のみを認識できるようにすることであって、このことによりCDM破壊メカニズムの解析に役に立つLSIチップ上での放電分布が確実かつ容易に測定できるようにしようとするものである。
上記の目的を達成するため、本発明によれば、被測定物の近傍に配置されて被測定物により形成される電界、磁界またはその両方を検出する第1のプローブと、被測定物と前記第1のプローブとの相対位置を微小に変化させることのできるマニピュレータと、被測定物の所定の場所に対して充電/放電を行う第2のプローブと、前記第2のプローブの充電と放電を切り換える充放電スイッチを有する充放電制御部と、前記第1のプローブにより検出された信号の波形を観測する波形観測器と、放電が行われたことを検知する放電電流検出部と、を備え、前記第2のプローブが、前記充放電制御部の放電スイッチと前記放電電流検出部を介して接地点に、前記充放電制御部の充電スイッチを介して高圧電源に接続されているCDM放電分布観測装置において、前記放電電流検出部の出力信号を前記波形観測器に測定のタイミングを与えるトリガー信号とすることを特徴とするCDM放電分布観測装置、が提供される。
そして、好ましくは、前記放電電流検出部が、充放電スイッチと接地点を結ぶ放電電流路を流れる電流を検出する該放電電流路に直列に挿入された低抵抗、または、充放電スイッチと接地点を結ぶ放電電流路が発生する磁界を検出する磁界センサ、若しくは、該放電電流路が発生する磁界を検出するカップリングトランスを備えている。
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、被測定物の近傍に配置されて被測定物により形成される電界、磁界またはその両方を検出する第1のプローブと、被測定物と前記第1のプローブとの相対位置を微小に変化させることのできるマニピュレータと、被測定物の所定の場所に対して充電/放電を行う第2のプローブと、前記第2のプローブの充電と放電を切り換える充放電スイッチを有する充放電制御部と、前記第1のプローブにより検出された信号の波形を観測する波形観測器と、を備え、前記第2のプローブが、前記充放電制御部の放電スイッチと前記放電電流検出部を介して接地点に、前記充放電制御部の充電スイッチを介して高圧電源に接続されているCDM放電分布観測装置において、前記充放電制御部における前記充放電スイッチの放電への切り替え信号を前記波形観測器に測定のタイミングを与えるトリガー信号とすることを特徴とするCDM放電分布観測装置、が提供される。
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、被測定物の近傍に配置されて被測定物により形成される電界、磁界またはその両方を検出する第1のプローブと、被測定物と前記第1のプローブとの相対位置を微小に変化させることのできるマニピュレータと、被測定物の所定の場所に対して充電/放電を行う第2のプローブと、前記第2のプローブの充電と放電を切り換える充放電スイッチを有する充放電制御部と、前記第1のプローブにより検出された信号の波形を観測する波形観測器と、を備え、前記第2のプローブが、前記充放電制御部の放電スイッチと前記放電電流検出部を介して接地点に、前記充放電制御部の充電スイッチを介して高圧電源に接続されているCDM放電分布観測装置において、充電の完了後に前記波形観測器がトリガー待ちにセットされ、前記第1のプローブの検出信号の立ち上がりを前記波形観測器に測定のタイミングを与えるトリガー信号とすることを特徴とするCDM放電分布観測装置、が提供される。
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、被測定物の近傍に配置されて被測定物により形成される磁界を検出する第1のプローブと、被測定物と前記第1のプローブとの相対位置を微小に変化させることのできるマニピュレータと、被測定物の所定の場所に対して充電/放電を行う第2のプローブと、前記第2のプローブの充電と放電を切り換える充放電スイッチを有する充放電制御部と、前記第1のプローブにより検出された信号の波形を観測する波形観測器と、を備え、前記第2のプローブが、前記充放電制御部の放電スイッチと前記放電電流検出部を介して接地点に、前記充放電制御部の充電スイッチを介して高圧電源に接続されているCDM放電分布観測装置において、前記充電スイッチと前記高圧電源との間には時定数回路が備えられていることにより充電が徐々に行われ、前記第1のプローブの検出信号の立ち上がりを前記波形観測器に測定のタイミングを与えるトリガー信号とすることを特徴とするCDM放電分布観測装置、が提供される。
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、被測定物の所定の場所に第2のプローブに充電スイッチを介して接続された高圧電源により充電電荷を与えこれを第2のプローブに放電スイッチを介して接続された放電電流路により急速に放電する際に被測定物内部に流れる電流を第1のプローブで検出してその信号波形を波形観測器により観測するCDM放電分布観測方法であって、被測定物への充電に先立って波形観測器をトリガー待ちの状態にセットし、前記放電回路を流れる放電電流の検出信号を前記波形観測器の波形信号取り込みのトリガー信号とすることを特徴とするCDM放電分布観測方法、が提供される。
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、被測定物の所定の場所に第2のプローブに充電スイッチを介して接続された高圧電源により充電電荷を与えこれを第2のプローブに放電スイッチを介して接続された放電電流路により急速に放電する際に被測定物内部に流れる電流を第1のプローブで検出してその信号波形を波形観測器により観測するCDM放電分布観測方法であって、被測定物への充電に先立って波形観測器をトリガー待ちの状態にセットし、前記第2のプローブに放電電流を流すように切り換える信号を前記波形観測器の波形信号取り込みのトリガー信号とすることを特徴とするCDM放電分布観測方法、が提供される。
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、被測定物の所定の場所に第2のプローブに充電スイッチを介して接続された高圧電源により充電電荷を与えこれを第2のプローブに放電スイッチを介して接続された放電電流路により急速に放電する際に被測定物内部に流れる電流を第1のプローブで検出してその信号波形を波形観測器により観測するCDM放電分布観測方法であって、被測定物への充電が完了した後に波形観測器をトリガー待ちの状態にセットし、前記波形観測器が前記第1のプローブの検出信号の立ち上がりをトリガー信号として波形信号取り込みを行うことを特徴とするCDM放電分布観測方法、が提供される。

本発明においては、例えば放電経路の放電電流の検出信号をトリガー信号として、被測定物(LSI)内部の電流信号の波形観測装置への取り込みを行うので、充電時の電流から識別された放電時の内部電流を認識することができる。したがって、本発明によれば、LSI内部でのCDM放電時の電流集中箇所がわかり、静電破壊箇所の推定が可能になり、容易に破壊対策を立てることが可能になる。また、例えば、対策前後の電流分布の違いを認識できるようになるため、対策が有効であったか否かの検証を容易に実施することが可能になる。
次に、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態の基本的構成を示す概略図であり、図1(b)は、CDM試験の被測定物であるLSIチップの試験状態を示す側面図である。図1(b)に示すように、LSIチップ11はプリント基板10上に搭載されており、プリント基板10はこれを水平面内で移動させることができるXYテーブル9上に載置されている。LSIチップ11上には、LSIチップ11の配線を流れる電流によって形成される磁界を検出することができる微小なループ状の検出子1aをその先端部に有する検出プローブ1が配置され、また、LSIチップ11上のパッド11aには、充放電プローブ2の接触子2aが接触している。なお、LSIチップ11はパッケージングされたものが開封されたものであってもよい。
検出プローブ1は、図示が省略されたマニピュレータによりXYZ方向に高精度に移動できるように配備されている。また、検出プローブ1はオシロスコープ3に接続されており、その検出子1aによって検出された信号は後述するトリガー信号によりオシロスコープ3に取り込まれる。オシロスコープ3は、本波形観測装置の全体の動作を統括するパーソナルコンピュータ4に接続されており、オシロスコープ3によって観測されたデータは、パーソナルコンピュータ4に転送される。パーソナルコンピュータ4にはLSIチップ11の各部の電流を記憶することのできるデータ記憶部4aが備えられている。
充放電プローブ2は、充放電制御部6の放電スイッチSW1と、放電電流検出部7の抵抗R1を介して接地点に接続され、また充電スイッチSW2を介して高圧電源8に接続されている。充放電制御部6の放電スイッチSW1と充電スイッチSW2とはマイコンなどによって構成されるスイッチ操作部6aによって開閉が切り換えられるスイッチであって、互いに排他的に動作する。充電スイッチSW2が閉成されているとき、高圧電源8がLSIチップ11のパッド11aに接続され、LSIチップが充電される。放電スイッチSW1が閉成されるとLSIチップ11に帯電していた電荷は低抵抗(例えば1Ω)の抵抗R1を介して放電される。抵抗R1は放電電流検出部7を構成しており、抵抗R1の両端において検出された電流信号はオシロスコープ3に伝達されトリガー信号として用いられる。パーソナルコンピュータ4は、マニピュレータ(図示なし)、充放電制御部6やオシロスコープ3などとGPIB(general purpose interface bus)に適合する通信ケーブルなどによりに接続されている。また、CDM放電波形は一般に非常に高速であるので、測定系ケーブルの電気長を考慮する必要がある。すなわち、検出プローブ1の先端部の検出子1aの位置からオシロスコープまでの電気長と放電電流検出部7からオシロスコープ3までの電気長を概略そろえておく必要がある。そうしないと、オシロスコープにおいてトリガーと波形観測の同時性が保たれなくなる可能性があるためである。
図2は、図1に示されたCDM放電分布観測装置を用いた測定の手順を示す流れ図である。測定に先だって、LSIチップ11が搭載されたプリント基板10を、XYテーブル9上に載置し、充放電プローブ2の接触子2aをLSIチップ11の例えばグランド端子であるパッド11aに接触させる。このとき、放電スイッチSW1が閉成され、充電スイッチSW2が開成されている。ステップS101において、図外マニピュレータが操作され、検出プローブ1がLSIチップ11の測定起点上に位置決めされる。次に、ステップS102において、オシロスコープ3がトリガー待ちの状態にセットされる。そして、ステップS103において、充電スイッチSW2が閉成されてLSIチップ11が充電され、続いて、ステップS104において放電スイッチSW1が閉成されて放電が行われる。この放電電流は抵抗R1によって検出され、この検出信号はオシロスコープに伝達され、オシロスコープは、ステップS105において、この信号をトリガーとして検出プローブ1の検出信号の取り込みを行い、その積分値を計算し積分波形を表示する。その積分データは、ステップS106において、パーソナルコンピュータ4に吸い上げられ、ステップS107において、波形上のピーク検出が行われ、ステップS108において、このピーク値がその点における電流値としてデータ記憶部4aに保存される。その後、ステップS109において、予定された全ての測定点についての測定が完了したか否かがチェックされ、完了していない場合には、ステップS110に移り、マニピュレータを操作して検出プローブ1を次の測定点上に移動させてから、ステップS102に戻る。ステップS109において、予定された全ての測定点についての測定が完了したことが判明した場合には、CDM放電分布の観測を終了する。
その後、必要に応じて、マニピュレータにより放電プローブ2をLSIチップ11の他のパッド上に移動させて、上記と同様の測定を行う。
検出プローブ1に、ループ面がチップ主面と垂直で互いに交差する2つの検出子を設け、それぞれの検出子の出力を独立に取り込んで電流値のみならず電流の方向をも検出できるようにしてもよい。更に、ループ面が水平な検出子を設けて磁界を3次元的に認識できるようにしてもよい。あるいは、検出子を複数個設ける手段に代えて検出子を回転させることができるようにしてもよい。また、上述の実施の形態では、検出子を磁界を検出できるループセンサによって構成していたが、EO(electro-optical)プローブやモノポールアンテナを用いて電界を検出できるようにしてもよく、あるいは磁界と電界の双方を検出できるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、検出プローブ1をLSIチップ上の測定点に位置づけるのに検出プローブ1をこれに付設されたマニピュレータにより移動させていたが、XYテーブル側を移動させるようにしてもよい。あるいは、両者を移動させるようにしてもよい。また、プリント基板が載置されるテーブルとして3次元方向に移動できるものを用いてもよい。
図3(a)、(b)は、図1に示した第1の実施の形態の変更例を示す回路図である。図3(a)に示す変更例では、放電電流検出部7に放電電流路の電流を検出するループコイル型の磁界センサ7aが設けられている。スイッチ操作部6aによりスイッチSW1が閉成されると放電電流が流れ、その電流の磁界センサ7aによる検出信号がオシロスコープ3にトリガー信号として伝達される。
図3(b)に示す変更例では、放電電流検出部7に放電電流路の電流を検出するループコイル型のカップリングトランス7bが設けられている。動作は図3(a)に示す例の場合と同様であるが、本変更例の場合、放電路に挿入されるインダクタンス成分が大きすぎると放電経路中のインピーダンスが大きくなり、放電電流そのものに大きな影響を与える恐れがあるので、放電経路全体のインピーダンスを考慮してカップリングトランスを選ぶ必要がある。
図4は、本発明の第2の実施の形態の基本的構成を示す概略図である。図4において、図1に示した第1の実施の形態の部分と同等の部分には、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。本実施の形態においては、充放電制御部6に、マイコン6bと、マイコン6bによって制御されスイッチSW1、SW2の開閉を操作するドライバ6cとが備えられており、そしてマイコン6bによるドライバ6cへのディジタル制御信号がオシロスコープ3へも伝達されており、オシロスコープ3のトリガー信号として用いられている。本実施の形態では、マイコン6bから出力される制御信号が“H”であるときスイッチSW1が閉成(SW2は開成)され、制御信号が“L”であるときスイッチSW1が開成(SW2は閉成)される。そして、制御信号の“H”への立ち上りエッジがオシロスコープ3の信号取り込みのトリガー信号として用いられる。
図5は、本発明の第3の実施の形態の基本的構成を示す概略図である。図5において、図4に示した第2の実施の形態の部分と同等の部分には、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。本実施の形態においては、充放電制御部6のマイコン6bからオシロスコープ3をトリガー待ち状態にするコマンドを直接オシロスコープ3宛に伝達される。そして、実際のトリガーは、検出プローブ1の検出信号が適当なレベルに立ち上がったときに行われる(すなわち、自己トリガー)。
図6は、図5に示されたCDM放電分布観測装置を用いた測定の手順を示す流れ図である。測定に先だって、LSIチップ11が搭載されたプリント基板10が、XYテーブル9上に載置され、充放電プローブ2の接触子2aがLSIチップ11の例えばグランド端子であるパッド11aに接触せしめられる。このとき、マイコン6bのドライバ6cへの制御信号が“H”状態にあり、放電スイッチSW1が閉成され、充電スイッチSW2が開成されている。ステップS201において、図外マニピュレータが操作され、検出プローブ1がLSIチップ11の測定起点上に位置決めされる。次に、ステップS202において、マイコン6bの制御信号が“L”に切り換えられ、充電スイッチSW2が閉成されてLSIチップ11が充電される。十分の時間が経過してLSIチップでの電圧が安定した後、ステップS203において、マイコン6bからオシロスコープ3宛にトリガー待ち状態とするコマンドが発せられ、オシロスコープはトリガー待ち状態となる。続いて、ステップS204において放電スイッチSW1が閉成されて放電が行われる。すると、ステップS205において、オシロスコープは自己トリガーにより検出プローブ1の検出信号の取り込みを行い、その積分値を計算し積分波形を表示する。その積分データは、ステップS206において、パーソナルコンピュータ4に吸い上げられ、ステップS207において、波形上のピーク検出が行われ、ステップS208において、このピーク値がその点における電流値としてデータ記憶部4aに保存される。その後、ステップS209において、予定された全ての測定点についての測定が完了したか否かがチェックされ、完了していない場合には、ステップS210に移り、マニピュレータを操作して検出プローブ1を次の測定点上に移動させてから、ステップS202に戻る。ステップS209において、予定された全ての測定点についての測定が完了したことが判明した場合には、CDM放電分布の観測を終了する。
その後、必要に応じて、マニピュレータにより放電プローブ2をLSIチップ11の他のパッド上に移動させて、上記と同様の測定を行う。
図7は、本発明の第4の実施の形態の基本的構成を示す概略図である。図7において、図5に示した第3の実施の形態の部分と同等の部分には、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。本実施の形態においては、充放電制御部6に、LSIチップ11を充電する充電スイッチSW2の外に、抵抗R2とキャパシタC2とから構成される積分回路を充電するための充電スイッチSW3が備えられている。充電スイッチSW2とSW3は同期して閉成されるが、充電回路に時定数回路が備えられているためにLSIチップへの充電は時間をかけて徐々に行われる。
上述した第1〜第3の実施の形態では、検出プローブ1の検出子として磁界プローブの外、電界プローブや電磁界プローブなどを使うことができるが、本実施の形態においてはループ型の磁界プローブを用いてその固有の特性を利用する。即ち、ループプローブの受信周波数特性が、高周波になるにつれて感度が高くなる性質を利用するもので、充電時ゆっくり電圧を上昇させることにより受信感度の高い周波数成分のパワーを抑える方法である。積分回路の時定数の値は全体の系の中で設定する必要がある。たとえば、LSIチップのサイズが数ミリ角の場合、CDM放電波形の周波数成分はMHzオーダ以上が支配的となり、ループセンサの実用周波数特性も同程度の領域を持つものが使用される。そこで、時定数を数百kHz以下に設定しておけば、充電時のパワースペクトルがループセンサの実用帯域外となり、CDM放電波形のレベルとの間に容易にトリガーレベルを設定できるようになる。
このように、充電時ののパワースペクトルが検出プローブの帯域外となるような緩やかな速度で充電が行われるとき、オシロスコープのトリガー待ち状態へのセットの工程を省略しても放電時の波形観測が可能になる。
本発明の第1の実施の形態の概略の構成を示す図。 本発明の第1の実施の形態の放電観測装置を用いた波形観測の手順を示す流れ図。 本発明の第1の実施の形態の変更例を示す回路図。 本発明の第2の実施の形態の概略の構成を示す図。 本発明の第3の実施の形態の概略の構成を示す図。 本発明の第3の実施の形態の放電観測装置を用いた波形観測の手順を示す流れ図。 本発明の第4の実施の形態の概略の構成を示す図。 従来のCDM試験の状態を示す斜視図。
符号の説明
1 検出プローブ
1a 検出子
2 充放電プローブ
2a 接触子
3 オシロスコープ
4 パーソナルコンピュータ
4a データ記憶部
6 充放電制御部
6a スイッチ操作部
6b マイコン
6c ドライバ
7 放電電流検出部
7a 磁界センサ
7b カップリングトランス
8 高圧電源
9 XYテーブル
10 プリント基板
11 LSIチップ
11a パッド

Claims (17)

  1. 被測定物の近傍に配置されて被測定物により形成される電界、磁界またはその両方を検出する第1のプローブと、被測定物と前記第1のプローブとの相対位置を微小に変化させることのできるマニピュレータと、被測定物の所定の場所に対して充電/放電を行う第2のプローブと、前記第2のプローブの充電と放電を切り換える充放電スイッチを有する充放電制御部と、前記第1のプローブにより検出された信号の波形を観測する波形観測器と、放電が行われたことを検知する放電電流検出部と、を備え、前記第2のプローブが、前記充放電制御部の放電スイッチと前記放電電流検出部を介して接地点に、前記充放電制御部の充電スイッチを介して高圧電源に接続されているCDM放電分布観測装置において、前記放電電流検出部の出力信号を前記波形観測器に測定のタイミングを与えるトリガー信号とすることを特徴とするCDM放電分布観測装置。
  2. 前記放電電流検出部が、充放電スイッチと接地点を結ぶ放電電流路を流れる電流を検出する該放電電流路に直列に挿入された低抵抗、または、充放電スイッチと接地点を結ぶ放電電流路が発生する磁界を検出する磁界センサ、若しくは、該放電電流路が発生する磁界を検出するカップリングトランスを備えていることを特徴とする請求項1に記載のCDM放電分布観測装置。
  3. 被測定物の近傍に配置されて被測定物により形成される電界、磁界またはその両方を検出する第1のプローブと、被測定物と前記第1のプローブとの相対位置を微小に変化させることのできるマニピュレータと、被測定物の所定の場所に対して充電/放電を行う第2のプローブと、前記第2のプローブの充電と放電を切り換える充放電スイッチを有する充放電制御部と、前記第1のプローブにより検出された信号の波形を観測する波形観測器と、を備え、前記第2のプローブが、前記充放電制御部の放電スイッチと前記放電電流検出部を介して接地点に、前記充放電制御部の充電スイッチを介して高圧電源に接続されているCDM放電分布観測装置において、前記充放電制御部における前記充放電スイッチの放電への切り替え信号を前記波形観測器に測定のタイミングを与えるトリガー信号とすることを特徴とするCDM放電分布観測装置。
  4. 被測定物の近傍に配置されて被測定物により形成される電界、磁界またはその両方を検出する第1のプローブと、被測定物と前記第1のプローブとの相対位置を微小に変化させることのできるマニピュレータと、被測定物の所定の場所に対して充電/放電を行う第2のプローブと、前記第2のプローブの充電と放電を切り換える充放電スイッチを有する充放電制御部と、前記第1のプローブにより検出された信号の波形を観測する波形観測器と、を備え、前記第2のプローブが、前記充放電制御部の放電スイッチと前記放電電流検出部を介して接地点に、前記充放電制御部の充電スイッチを介して高圧電源に接続されているCDM放電分布観測装置において、充電の完了後に前記波形観測器がトリガー待ちにセットされ、前記第1のプローブの検出信号の立ち上がりを前記波形観測器に測定のタイミングを与えるトリガー信号とすることを特徴とするCDM放電分布観測装置。
  5. 前記充電スイッチと前記高圧電源との間には時定数回路が備えられており、充電が徐々に行われることを特徴とする請求項4に記載のCDM放電分布観測装置。
  6. 被測定物の近傍に配置されて被測定物により形成される磁界を検出する第1のプローブと、被測定物と前記第1のプローブとの相対位置を微小に変化させることのできるマニピュレータと、被測定物の所定の場所に対して充電/放電を行う第2のプローブと、前記第2のプローブの充電と放電を切り換える充放電スイッチを有する充放電制御部と、前記第1のプローブにより検出された信号の波形を観測する波形観測器と、を備え、前記第2のプローブが、前記充放電制御部の放電スイッチと前記放電電流検出部を介して接地点に、前記充放電制御部の充電スイッチを介して高圧電源に接続されているCDM放電分布観測装置において、前記充電スイッチと前記高圧電源との間には時定数回路が備えられていることにより充電が徐々に行われ、前記第1のプローブの検出信号の立ち上がりを前記波形観測器に測定のタイミングを与えるトリガー信号とすることを特徴とするCDM放電分布観測装置。
  7. 前記第1のプローブには、被測定物の主面と直交する回転軸を中心とする回転機能が備えられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のCDM放電分布観測装置。
  8. 前記第1のプローブには、2軸方向または3軸方向の電界、磁界またはその双方を検出する機能が備えられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のCDM放電分布観測装置。
  9. 前記第2のプローブには、被測定物の主面と平行な2軸方向に移動する機能が備えられていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のCDM放電分布観測装置。
  10. 前記波形観測器には情報処理装置が接続されており、前記波形観測器に取り込まれた波形信号は、情報処理装置に転送されそのピーク値がデータ記憶装置に格納されることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のCDM放電分布観測装置。
  11. 被測定物の所定の場所に第2のプローブに充電スイッチを介して接続された高圧電源により充電電荷を与えこれを第2のプローブに放電スイッチを介して接続された放電電流路により急速に放電する際に被測定物内部に流れる電流を第1のプローブで検出してその信号波形を波形観測器により観測するCDM放電分布観測方法であって、被測定物への充電に先立って波形観測器をトリガー待ちの状態にセットし、前記放電回路を流れる放電電流の検出信号を前記波形観測器の波形信号取り込みのトリガー信号とすることを特徴とするCDM放電分布観測方法。
  12. 被測定物の所定の場所に第2のプローブに充電スイッチを介して接続された高圧電源により充電電荷を与えこれを第2のプローブに放電スイッチを介して接続された放電電流路により急速に放電する際に被測定物内部に流れる電流を第1のプローブで検出してその信号波形を波形観測器により観測するCDM放電分布観測方法であって、被測定物への充電に先立って波形観測器をトリガー待ちの状態にセットし、前記第2のプローブに放電電流を流すように切り換える信号を前記波形観測器の波形信号取り込みのトリガー信号とすることを特徴とするCDM放電分布観測方法。
  13. 被測定物の所定の場所に第2のプローブに充電スイッチを介して接続された高圧電源により充電電荷を与えこれを第2のプローブに放電スイッチを介して接続された放電電流路により急速に放電する際に被測定物内部に流れる電流を第1のプローブで検出してその信号波形を波形観測器により観測するCDM放電分布観測方法であって、被測定物への充電が完了した後に波形観測器をトリガー待ちの状態にセットし、前記波形観測器が前記第1のプローブの検出信号の立ち上がりをトリガー信号として波形信号取り込みを行うことを特徴とするCDM放電分布観測方法。
  14. 前記充電回路に時定数回路が備えられていることにより充電が徐々に行われることを特徴とする請求項13に記載のCDM放電分布観測方法。
  15. 被測定物の所定の場所に第2のプローブに充電スイッチを介して接続された高圧電源により充電電荷を与えこれを第2のプローブに放電スイッチを介して接続された放電電流路により急速に放電する際に被測定物内部に流れる電流を第1のプローブで検出してその信号波形を波形観測器により観測するCDM放電分布観測方法であって、前記充電スイッチと前記高圧電源との間には時定数回路が備えられていることにより充電が徐々に行われ、前記波形観測器が前記第1のプローブの検出信号の立ち上がりをトリガー信号として波形信号取り込みを行うことを特徴とするCDM放電分布観測方法。
  16. 前記第1のプローブの被測定物上での検出位置を変化させ、前記第2のプローブによる前記被測定物の所定の場所への充放電を行う動作を繰り返し、被測定物上の複数の位置の電流波形を観測することを特徴とする請求項11から15のいずれかに記載のCDM放電分布観測方法。
  17. 請求項16に記載の観測を行った後、前記第2のプローブによる前記被測定物への充放電場所を移動させ、同様の波形観測を行うことを特徴とするCDM放電分布観測方法。
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