JP3877798B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は各種の映像機器或はパーソナルコンピュータ等の表示手段として利用する液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より液晶表示装置では透明基板(一般にガラス)間に液晶を挟み込み、その液晶に画素単位毎に透明基板の板面に対して垂直方向の縦電界を形成し、この縦電界により液晶分子の配列を制御して光の透過、不透明を画素単位毎に制御し、画像、文字等を表示している。
【0003】
透明基板に対して垂直方向の縦電界により液晶分子の配列を制御した場合、棒形状の液晶分子は透明基板の板面と平行した姿勢から透明基板の板面間方向に斜めに差し渡された姿勢に変位する。液晶分子が透明基板間に斜めに差し渡された姿勢を採るとき、見る角度によって光学特性が異なり視野角依存性が発生する。この視野角依存性の存在により液晶表示装置は視野角が狭く、この点で陰極線管方式の表示器に対して見劣りがする。
【0004】
ところでこの欠点を解決する技術として横電界印加方式の液晶表示装置が提案されている。この横電界印加方式とは透明基板の一方の内面に画素電極と対向電極の双方を同一面上に形成し、これら同一面上に形成した画素電極と対向電極間に電位を与え、透明基板の板面と平行する方向の横電界を液晶に印加して液晶分子の配列を制御する方式である。
【0005】
この横電界印加方式を採ることにより棒状の液晶分子は透明基板の板面と平行した姿勢を保って軸線方向を変更するためどの方向から見ても光学特性が変化せず、従って視野角依存性は解消される。この結果としてどこから見ても画質が劣化しない液晶表示装置を得ることができる。
図5及び図6にNIKKEI MICRODEVICES(1995年12月号、13頁)に掲載された横電界印加方式の液晶表示装置に用いられる電極構造を示す。図中1Aは2枚の透明基板の中の一方の透明基板を示し、図示する各電極はこの透明基板1Aの内面に形成される。
【0006】
図中2は対向電極、3はゲートバスライン、4はソースバスライン、5は画素電極、6はTFTと呼ばれる半導体スイッチ素子をそれぞれ示す。対向電極2とゲートバスライン3は透明基板1Aの面に直接被着形成され、ソースバスライン4と画素電極5は絶縁層(特に図示しない)を介してこの絶縁層の上側に被着形成される。
【0007】
図5の例では画素電極5を角形の枠形状に形成し、この枠の内側を一画素として動作させる場合を示す。つまり、画素電極5が形成する枠の中央に対向電極2を細条に形成し、対向電極2に例えば共通電位(コモン電圧)を与え、画素電極5に画素電圧を与えることにより、枠形の画素電極5の長辺部分と対向電極2との間で横電界Eを発生させる構造とした場合を示す。尚、画素電極5と対向電極2をその短辺部分で絶縁層を介して対向させ、この対向部分で画素容量(画素電極5に与えられた画素信号の電圧を維持するための静電容量)を形成している。
【0008】
図6の例では対向電極2を枠形に形成し、この枠の中央に画素電極5を細条に形成して配置した場合を示す。この場合も対向電極2と画素電極5との間で横電界Eを発生させる構成としている。また枠の短辺部分で対向電極2と画素電極5とを対向させ、この対向部分で画素容量を形成している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図5及び図6に示したように、先に提案されている横電界印加方式の液晶表示装置では、図5の例ではソースバスライン4と画素電極5が互に平行して配置され、また図6の例ではソースバスライン4と対向電極2とが平行して配置されている。この2本の電極4と5又は4と2を配置しているため、画素の開口率が悪くなる欠点がある。つまり、対向電極2及び画素電極5を透明電極材料で形成すれば画素部分の開口率を上げることができる。然したら、透明電極材料は高価である上固有抵抗が大きいため、対向電極2と画素電極5を透明基板1Aに形成した場合、例えば端の部分と中央部分で抵抗のために電位差が発生し、表示駆動動作が妨げられる不都合を生じる。このため一般には対向電極2とゲートバスライン3、ソースバスライン4、画素電極5は抵抗値の小さい金属材料によって形成される。金属材料を用いた場合、金属材料は遮光性を持ったことから画素部分の開口率が下がり、全体の輝度が暗くなる不都合が生じる。
【0010】
また、従来の電極構造によれば、図5の例ではソースバスライン4と画素電極5とが面方向に並べて配置される。また、図6の例ではソースバスライン4と対向電極2が互に面方向に並べて配置されるため、これらの間で横電界を発生し、この横電界が画素部分に漏れて画質を劣化させる不都合がある。
この発明の目的は対向電極2、ゲートバスライン3、ソースバスライン4、画素電極5等を金属材料によって形成したとしても画素部分の開口率の低下を抑えることができ、また、ソースバスラインと対向電極との間又はソースバスラインと画素電極との間の電界が画素部分に影響を与えることのない液晶表示装置を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明では横電界印加方式を採る液晶表示装置において、ソースバスラインを透明基板に直接、被着形成すると共に、このソースバスラインの上に絶縁層を介して対向電極を細条に形成し、ソースバスラインと対向電極とを上下に積み重ねた配置とした構成を特徴とするものである。
【0012】
この発明の構成によればソースバスラインと対向電極とを上下に積み重ねた構造としたから、ソースバスラインに印加される駆動信号で発生する雑音電界はソースバスラインと対向電極との間に縦方向に発生し、画素部分に漏れる率を少なくすることができる。またソースバスラインとゲートバスラインとによって囲まれて形成される画素部分の面積は、これらソースバスラインとゲートバスラインを構成する導体の線幅で決定され、対向電極によって塞がれる部分がない。これにより画素部分の開口率が高められ、明るい画像を表示することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1乃至図4にこの発明による横電界印加方式の液晶表示装置の電極の配置構造を示す。図1は電極構造を説明するための一方の透明基板1Aを裏側から見た正面図、図2は図1に示したA−A線上の断面図、図3は図1に示したB−B線上の断面図、図4は図1に示したC−C線上の断面図を示す。図2乃至図4に示すように、2枚の透明基板1Aと1Bが対向して配置され、その対向面間に液晶7が封止される。液晶7に接して液晶分子の配列を整列させる配向膜8A,8Bが配置される。電極を形成する側の透明基板、この例では1A側には配向膜8Aと透明基板1Aとの間に透明絶縁層9を配置し、この透明絶縁層9によってソースバスライン4と対向電極2との間及び画素電極5との間をそれぞれ絶縁する構造としている。
【0014】
この発明では図1乃至図4に示すように対向電極2とソースバスライン4の位置を重ね合せて配置した構造を提案するものである。このためには、この例では図2に示すように、透明基板1Aの面にソースバスライン4を予め被着形成し、その被着形成面に透明絶縁層9を被せ、透明絶縁層9の表面に対向電極2及び画素電極5を形成する。この対向電極2を形成する場合、対向電極2のソースバスライン4と平行する部分の位置をソースバスライン4の真上の位置に選定し、ソースバスライン4と対向電極2とを重ね合せた位置に形成する。
【0015】
対向電極2はその長手方向の所定の寸法毎に切離され、この切離しによって形成される間隙部分にゲートバスライン3を通過させて形成する。更に対向電極2は切離された寸法の各中央部分において対向電極2の配列方向に関して連結部材2Aによって連結し、この連結によって各対向電極2は行方向に隣接する画素の相互の対向電極2を兼ねることになる。連結部材2Aは各対向電極2を行方向に接続し、画面の周縁部で列方向に接続され、画面全体の対向電極2を共通電位に接続する。この連結部材2Aと画素電極5の延長端部5Aとの対向部分で画素容量を形成する。ここでは画素電極5と対向電極2は図2に示すように共に透明絶縁層9の面に形成されるから、この画素容量を形成するためには図4に示すように画素電極5の延長端部5Aを透明基板1Aに形成し、透明絶縁層9を挟んで下側に延長端部5Aを、上側に連結部材2Aを配置して静電容量を形成した場合を示す。透明絶縁層9には例えばスルーホールのような接続孔5B(図4参照)を形成し、この接続孔5Bを通じて延長端部5Aを画素電極5に接続する。
【0016】
画素電極5の他端側は図3に示すように、同様に接続孔5Cを通じて半導体スイッチ素子6から導出された例えばドレイン電極6Aに接続される。つまり、透明基板1Aにはソースバスライン4の他に、半導体スイッチ素子6に接続するドレイン電極6Aとソース電極6Bを形成し、このドレイン電極6Aとソース電極6Bの間に半導体層6Cを形成する。ドレイン電極6Aとソース電極6Bとの間はわずかな間隙に形成され、いわゆるチャネルが構成される。このチャネルの上面側に図3に示すように透明絶縁層9を介してゲート電極3Aを配置し、このゲート電極3Aに図1に示したゲートバスライン3から制御電圧を与えることによりドレイン電極6Aとソース電極6Bの間をオン、オフ制御し、ソースバスライン4を通じて与えられる画素信号を画素電極5に与える構造とされる。結局、ドレイン電極6Aと、ソース電極6B、半導体層6C、ゲート電極3Aにより半導体スイッチ素子6が形成される。このような半導体スイッチ素子6をトップゲート型TFTと呼んでいる。
【0017】
また、図1に示した実施例ではゲートバスライン3を挟んでその上側と下側の2個の画素によって1ドットを表示するように構成した場合を示す。従って図1に示すように各ゲートバスライン3にこれと直交する両方向にゲート電極3Aを突出形成し、各ゲート電極Aを2つの画素部分に設けた半導体スイッチ素子6に接続した場合を示す。
【0018】
上述した構成によれば、画素電極5と対向電極2との間に画素電圧を印加することにより、画素電極5と対向電極2との間で透明基板1Aと1Bの板面と平行する方向の横電界E1とE2を発生させることができる。画素電圧の大小に応じて液晶7の分子の配向方向が制御され、この結果、透明基板1Aと1Bの外側に設ける偏光板(特に図示しない)の偏光軸との交叉角によって決まる光の透過量が制御されて、各画素毎の輝度が制御され、視野角依存性のない横電界印加方式の液晶表示装置として動作する。
【0019】
【発明の効果】
上述したように、この発明によれば横電界印加方式によって得られる視野角依存性のない表示が得られる作用効果に加えて、対向電極2とソースバスライン4の位置を重ね合せた位置に設定したことにより、電極の存在によって発生する遮光部分の面積が小さくなり、それだけ画素部分の開口率を高めることができ、新たな作用効果を得ることができる。この結果画面全体の輝度が明るくなり、暗から明までの階調範囲、つまり表示し得る階調のダイナミックレンジが広い液晶表示装置を提供することができる。
【0020】
また対向電極2とソースバスライン4と重ね合せた配置としたから、ソースバスライン4に供給される駆動信号によって発生する雑音電界は、ソースバスライン4と対向電極2との間で発生するだけで、他に漏れることはない。従って画素部分に発生する横電界E1,E2がソースバスライン4から発生する雑音電界によって影響を受ける率を図5及び図6に示した電極構造の場合より大幅に低減することができ、これにより画質の向上を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の要部の実施例を説明するための正面図。
【図2】図1に示したA−A線上の断面図。
【図3】図1に示したB−B線上の断面図。
【図4】図1に示したC−C線上の断面図。
【図5】先に提案されている横電界印加方式の液晶表示装置に用いられた電極構造を説明するための正面図。
【図6】図5と同様の他の電極構造を説明するための正面図。
【符号の説明】
1A,1B 透明基板
2 対向電極
3 ゲートバスライン
4 ソースバスライン
5 画素電極
6 半導体スイッチ素子
7 液晶
8A,8B 配向膜
9 透明絶縁層

Claims (1)

  1. 2枚の透明基板間に封入した液晶と、一方の透明基板の内面に形成した対向電極及び画素電極と、上記画素電極に画素信号を与えるためのソースバスラインと、このソースバスラインと上記画素電極との間に挿入され駆動信号によってオン、オフ制御される半導体スイッチ素子とを具備して構成され、上記画素電極と対向電極との間に印加される電圧によって上記透明基板の板面と平行する方向の横電界を発生させ、この横電界によって上記液晶の配向を制御して各画素の輝度を制御する横電界印加方式の液晶表示装置において、上記対向電極を上記ソースバスラインと平行する細条電極によって構成し、上記対向電極とソースバスラインを透明絶縁層を介して積み重ね、光の透過方向に関して上記対向電極とソースバスラインとを同一位置に配置し、上記対向電極はその長手方向に関して所定の距離毎に切離され、その切離しによって形成された間隙部分の相互間のほぼ中央において対向電極の長手方向と直交する方向に延長した連結部材によって互に連結し、隣接する画素の相互の対向電極を兼ねると共に、この連結によって形成される対向電極の行の相互を画面の周辺部で互に連結し、表示面上の全ての対向電極を同一電位に連結し、上記連結部材と絶縁層を介して対向して配置した電極を設け、この電極を上記画素電極と電気的に接続し、上記連結部材とこれと対向して設けた電極との間に形成される静電容量を上記画素電極の電位を維持するための画素容量としたことを特徴とする液晶表示装置。
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