JP3877634B2 - 滑走路の誘導灯洗浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
航空機の進路を誘導するために空港滑走路及びこれに通ずる連絡路の中央線上に一列に設けられた誘導灯の照射プリズムを洗浄するための洗浄装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、誘導灯Lは、図12及び図13に示すように、光源Loを内蔵する円筒部L1の上部に、円盤状の蓋体L2が固着されて構成される。蓋体L2は、平坦な頂部から周縁部に若干の傾斜面が形成されており、前後部に投光用切欠きL3を有する。この切欠きL3の内側には照射プリズムL4を備えている。また、蓋体L2には四ヶ所にほぼ等間隔に凹部L5を有し、蓋体L2を円筒部L1に固定するためのボルトの頭部あるいは袋ナットを収めるようになっている。そして、この誘導灯Lは、滑走路面の埋設穴Gの開口縁に設けられたフランジG1に蓋体L2を路面に露出させた状態で固定される。
【0003】
従来、このような誘導灯Lの照射プリズムL4の洗浄作業には、高圧水洗浄装置を搭載し、前端部に噴射ノズルが設置された作業車が用いられる本願出願人提案した車載型のものがある(特開平10−76234号)。作業者は、誘導灯の手前で作業車を停止させて、運転席から支持の取っ手を持って装置先端部を誘導灯に位置決めし、位置決めすると自動的にブラシが照射プリズムに当たり、これを回転駆動させて汚れを拭き取ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
誘導灯Lは、空港滑走路や連絡路の設置箇所に応じてそれ自体の大きさや照射プリズムの位置又は数が異なるので、これに対応してブラシの取り付け位置を変更しなければならない。しかし、上記従来の洗浄装置では、取り付け位置を変更できず、ブラシ自体を変更するか、手作業で洗浄しなければならなず、作業効率が悪いという問題がある。
そこで、本発明は、進路上の設置個所に応じて異なる誘導灯の大小や照射プリズムの位置に対応して、ブラシの取付位置を容易に調整でき、誘導灯の洗浄作業の効率を向上させる洗浄装置を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明においては、路面に露出して埋設され、進路方向に光する照射プリズムを備え、飛行機の走行進路を案内する誘導灯を洗浄する洗浄装置において、作業車Tに連結される支持部材11の下部に上下動自在に可動杆14を支持し、下端に誘導灯Lへの位置決め部材15を設け、支持部材11に前後両側へ延出する横杆12を固定し、前後一対のアーム部材20の基端部を可動杆14の上部に上下方向に回動自在に軸支し、自由端に回転駆動されるロータリーブラシ35を設け、中間部に横杆12を長手方向へ移動自在に連結し、支持部材11に対する可動杆14の上側への相対移動に伴い、前記位置決め部材15により位置決めされた位置においてロータリーブラシ35を誘導灯Lの照射プリズムL4に押し当てる一方、支持部材11に対する可動杆14の下側への相対移動に伴い、ロータリーブラシ35を誘導灯Lから離すように構成する。ロータリーブラシ35は、取付部材22を介してアーム部材20に取り付ける。取付部材22には、取付け枠24と、調整板29と、ねじ軸31と、ナット部材32とを具備させる。取付け枠24は、アーム部材20に対してそれの延出方向に取り付け位置を変更可能に支持し、アーム部材20の延出方向に直交する面に沿って伸びる長孔27を設ける。調整板29は、取付け枠24に、長孔27を貫通する止めボルト28で面方向に回転位置を変更可能に螺着する。ねじ軸31は、調整板29に回動操作可能に支持する。ナット部材32は、ロータリーブラシ35を支持させて、ねじ軸31に螺合させ、調整板29から突出する複数の係止ピン33のいずれかに選択的に係止させることによって、ねじ軸31上の位置を変更可能に構成する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2において、洗浄機本体1は、作業車T上に設けられたバランサBeのアームの先端に連結されている。この車載バランサBeのアームは作業車Tの運転席の側方に延出し、基端軸を中心に回転すると共に上下動し、洗浄機本体1を前後左右上下方向へ自由に移動させることができる。
【0007】
図3乃至図5に示すように、洗浄機本体1の上部には、側部のガイド部材3でガイドされて上下に伸縮自在の箱形の枠体2が結合している。枠体2内の上部には、洗浄機本体1を昇降させるために、作業車T上に設けられた車載コンプレッサCpに連通するエアーシリンダ4が設けられている。枠体2の下部内において、エアーシリンダ4のロッド4aには下方にロータリーアクチュエータ5が設けられ、これにカップリング6を介して連結軸7が結合している。連結軸7は軸受け8で軸線周りに回動自在に連結している。連結軸7は、ロータリーアクチュエータ5によって回転位置を変更可能である。枠体2の下面には18゜ずつ異なる水平回転位置に近接スイッチ9が夫々設けられている。連結軸7の下端には揺動結合部材10が結合している。揺動支持部材10は、図に示すように、上部の固定プレート10aにリンクボール10bが揺動自在に支持され、このリンクボール10bに固定された可動プレート10cと固定プレート10aとの間にばね10dが介在している。
【0008】
図6に示すように、揺動支持部材10には、洗浄機本体1の支持部材11が結合している。支持部材11は、図7に示すように、両者間に円筒空間及び割を形成する対向する一対の分割体11a,11aから成る。支持部材11の下端には横杆12が設けられている。横杆12は取付け筒12aの両側に対向して一対固着され、支持部材11の下端部から前後に水平に延出している。横杆12,12の端部間には摺動筒13が回動自在に枢着されている。
【0009】
支持部材11及び取付け筒12a内には可動杆14が上下に摺動自在に挿入されている。可動杆14の下限位置は、上端に前後に突出した枢着舌片14aによって取付け筒12aに、上下位置は揺動支持部材10に規制される。可動杆14の下端には、位置決め部材15が固着されている。位置決め部材15は、図8及び図9に示すように、前後部に誘導灯Lの投光用切欠きL3に対応する切欠き部16aを有する水平板16と、誘導灯Lの凹部L5の袋ナットNに対応して水平板16の四隅部に突設された係合突子17とを有する。係合突子17は袋ナットNの外形に対応する凹みを有する。係合突子17が袋ナットNにはまると水平板16が誘導灯Lの頂部に当接し、洗浄機1が位置決めされる。可動杆14の下端部にはストッパ14bが設けられており、このストッパ14bと横杆12の取付け筒12aとの間には圧縮ばね19が介在しており、可動杆14を支持部材11に対して下方へ付勢している。
【0010】
可動杆14の枢着舌片14aには、前後に一対のアーム部材20,20の基端が回動自在に枢着されている。アーム部材20には摺動筒13が軸線方向へ摺動自在に嵌合している。従って、摺動筒13がアーム部材20に沿って移動すればアーム部材20が基端を中心に前後に回動してアーム部材20,20の相互間が開閉する。
【0011】
アーム部材20の自由端部には、緩衝支持部材21及び取付部材22を介してロータリーブラシ35が取り付けられている。緩衝支持部材21は、アーム部材20に結合される支持枠21aを有する。また、支持枠21aには取付部材22の連結片23をアーム部材20側に押す圧縮ばね21bが係止されている。
【0012】
取付部材22の連結片23はアーム部材20の延長方向に伸び、アーム部材20の回動方向に平行に並んで一対設けられている。この連結片23の一端部は支持枠21aに、他端部は取付け枠24にアーム部材20の回動方向へ回動自在に夫々枢着されている。連結片23の途上には取付け枠24との長手方向の連結位置を選択可能な四つの調整孔23aが間隔を置いて設けられている。図10及び図11に示すように、取付け枠24は、連結片23を間に軸支する対向一対のブラケット25が枠板26上に立設されて成る。枠板26には横方向の円弧状の長孔27が設けられている。長孔27には、止めボルト28が夫々貫通する。枠板26の下面には長孔27を貫通する止めボルト28が螺合する調整板29が相対角度変更可能に固定される。この調整板29の両端部には支持片30が突設されており、その相互間にねじ軸31が回転自在に支持されている。このねじ軸31にはロータリーブラシ35を支持するナット部材32が螺合する。ナット部材32は、調整板29から突出する複数の係止ピン33が択一的に係止する凹部34を有する。
【0013】
ナット部材32に支持されたロータリーブラシ35はスピードコントローラ付きエアモータ36で回転駆動される。ロータリーブラシ35は圧縮ばね21bによって洗浄対象に対して弾力的に接触する。前後一対のロータリーブラシ35,35は、可動杆14が上限位置に達すると、誘導灯Lの前後の照射プリズムL4にほぼ直角に接触するようになっている。
【0014】
エアモータ36は作業車T上の発電機付きコンプレッサCpに接続されている。また、支持枠21aには、エアー噴射用ノズル37及び洗浄水噴射用ノズル38が横方向に並んで取り付けられている。各ノズル37,38は可動杆14が下限位置にあるとき水平板16の切欠き部16aに臨み、従って洗浄機本体1が誘導灯Lに装着された状態で照射プリズムL4に向かうように配置されている。このノズル37,38は発電機付きコンプレッサCp及び水タンクTwも可能に連通しており、エアーや水を照射プリズムL4に吹き付けるようになっている。
【0015】
図1及び図2に示すように、作業車Tの荷台上には、発電機付きコンプレッサCp、水タンクTw、補助タンクTa、制御盤Ct及び収納カバーCvが設けられている。収納カバーCvは、作業車Tの作業現場への移動時に洗浄機本体1を収納するためのものであり、枠体2を固定するクランプC1を備えている。なお、作業用の制御電力等は発電機付きコンプレッサCpの発電電力による。また、バランサのBeの操作は作業車T内の操作ボックスBxで行う。
【0016】
この洗浄装置においては、収納カバーCv内に洗浄機本体1を収容してクランプC1で固定し、作業車Tで作業現場である滑走路に移動し、作業現場で作業車Tを停止させる。装置の操作スイッチを投入して、バランサBeを操作して収納カバーCvから洗浄機本体1を出す。運転席上で窓から手を出して取っ手を持って操作し洗浄機本体1を位置決めの微調整操作を行い、誘導灯L上に位置決め部材15を配置する。係合突子17が誘導灯Lの袋ナットNにはまって、水平板16が誘導灯Lの上面に接触したら、バランサBeをロックして自動的に洗浄動作を開始する。
【0017】
位置決めされた状態では、可動杆14は自重及び圧縮ばね19で支持部材11に対して下限位置にあり、ノズル37,38が誘導灯Lの照射プリズムL4に向いている。洗浄作業は先ず、ノズル37によりエアーブローを行って照射プリズムL4面のちり、埃を吹き飛ばす。次に、ノズル38により水を照射プリズムL4面に吹き付ける。次いで、エアシリンダ4によりロータリーアクチュエータ5以下を下降させると、圧縮ばね19を圧縮しながら支持部材11が可動杆14に対して相対的に下降し、これに伴って横杆12と共にアーム部材20に沿って摺動筒13が下降するので、アーム部材20,20間が狭まり、ロータリーブラシ35が照射プリズムL4に接触する。この状態でロータリーブラシ35がエアモータ36で回転駆動されて照射プリズムL4を磨く。このロータリーブラシ35は、ロータリーアクチュエータ5によって照射プリズムL4のほぼ中央に垂直に押し当てられ、正逆18゜の角度範囲で旋回往復移動すると共に反転しながら回転する。ロータリーアクチュエータ5は、近接スイッチ9で旋回位置を検知しつつ揺動制御される。次に、エアシリンダ4によりロータリーアクチュエータ5以下を上昇させ、ロータリーブラシ24を照射プリズムL4から離してから、ノズル38で水を吹き付けて汚れを飛ばし、ノズル37でエアーにより水を吹き飛ばす。以上の洗浄動作が完了すると、バランサBeのロックが解除されるので、バランサBeを操作して、洗浄機本体1を上げ、作業車Tを隣の誘導灯Lに移動させる。そして、先と同様にして作業車Tで誘導灯Lを次々に洗浄していく。
【0018】
飛行機の連絡路においてカーブなどにより設置個所により大きさや形状などが異なる誘導灯Lが設けられている場合、これに応じてロータリーブラシ35の取付位置を取付部材22で変更する。取付部材22は、連結片23の調整孔23aを適宜選択することにより、ロータリーブラシ35の取付位置をアーム部材20の延長方向に調整できる。また、枠板26の長孔27内で止めボルト28の位置を変更すれば、調整板29と共にロータリーブラシ35の相対角度を調整できる。さらに、ねじ軸31を回転させれば軸上をナット部材32が変位し、いずれかの係止ピン33が凹部34に落ち込んで固定されるので、ロータリーブラシ35のねじ軸31方向の位置を調整できる。
【0019】
最後の誘導灯Lの洗浄作業が終了したら、バランサBeを操作して収納カバーCv内に洗浄機本体1を収納してクランプC1で固定し、制御盤Ct上のスイッチをOFFして作業の終了操作を行う。
なお、本実施形態では洗浄装置を航空機の走行進路に埋設された誘導灯に適用したが、地上での航空機の進路を示す進入灯や停止位置を示す停止灯、あるいは進路の終端位置を示す末端灯などの空港施設内に埋設された同様の灯光体に広く適用できる。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、ブラシの取り付け位置を変更することができるので、航空機の走行進路に応じて誘導灯の大小や照射プリズムの位置が変更されても、これに対応することができ、確実に汚れを落とすことができ、作業効率も向上するという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】作業車の正面図である。
【図2】作業車の平面図である。
【図3】本発明に係る洗浄装置の正面図である。
【図4】洗浄装置の側面図である。
【図5】洗浄時の洗浄装置の正面図である。
【図6】洗浄機本体の正面図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】位置決め部材の平面図である。
【図9】位置決め部材の側面図である。
【図10】取付部材の正面図である。
【図11】取付部材の平面図である。
【図12】誘導灯の平面図である。
【図13】誘導灯の縦断面図である。
【符号の説明】
1 洗浄機本体
10 揺動結合部材
11 支持部材
12 横杆
13 摺動筒
14 可動杆
15 位置決め部材
20 アーム部材
22 取付部材
23 連結片
23a 調整孔
24 取付け枠
26 枠板
27 長孔
28 止めボルト
29 調整板
31 ねじ軸
32 ナット部材
33 係止ピン
35 ロータリーブラシ
T 作業車
Be バランサ
L 誘導灯
L3 切欠き部
L4 照射プリズム
L5 凹部

Claims (1)

  1. 路面に露出して埋設され、進路方向に光する照射プリズムを備え、飛行機の走行進路を案内する誘導灯を洗浄する洗浄装置であって、
    作業車に連結される支持部材と、
    この支持部材の下部に上下動自在に支持され、下端に前記誘導灯への位置決め部材を備えた可動杆と、
    前記支持部材に固定されて、支持部材の前後両側へ延出する横杆と、
    基端部が可動杆の上部に上下方向に回動自在に軸支され、自由端に回転駆動されるロータリーブラシとを備え、
    中間部に前記横杆が長手方向へ移動自在に連結し、支持部材に対する可動杆の上側への相対移動に伴い、前記位置決め部材により位置決めされた位置においてロータリーブラシを誘導灯の照射プリズムに押し当てる一方、支持部材に対する可動杆の下側への相対移動に伴い、ロータリーブラシを誘導灯から離す前後一対のアーム部材とを具備するものにおいて、
    前記ロータリーブラシは、取付部材を介して前記アーム部材に支持され、
    前記取付部材は、前記アーム部材に対してそれの延出方向に取り付け位置を変更可能に支持され、アーム部材の延出方向に直交する面に沿って伸びる長孔を有する取付け枠と、
    この取付け枠に、前記長孔を貫通する止めボルトにより面方向に回転位置を変更可能に螺着される調整板と、
    この調整板に回動操作可能に支持されるねじ軸と、
    前記ロータリーブラシを支持して前記ねじ軸に螺合し、前記調整板から突出する複数の係止ピンのいずれかに選択的に係止することによって、ねじ軸上に位置変更可能に固定されるナット部材と、を具備することを特徴とする滑走路の誘導灯洗浄装置。
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