JP3877626B2 - グリス塗布用治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する利用分野】
この発明は、筒体の開口の内周縁にグリスを塗布するグリス塗布用治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
筒体の開口の内周縁などにグリスを塗布する場合、例えば、「へら」などを使った手作業により行うことが多かった。
【0003】
したがって、作業の効率は、作業者の習熟度に負う所が大きく、特に、ラインを用いた量産品の場合には、この作業がボトルネックになることが予想される。
【0004】
そのため、例えば、塗布ガンなどを用いて、効率のアップを図ることが考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、塗布ガンなどを用いる方法では、手作業の場合に比べて、装置が大掛かりになりすぎる。そのため、ラインの組替えなども考慮しなければならない問題もある。
【0006】
また、作業中に飛び散るグリスの防護対策なども必要になることも考えられるため、コストも掛かる。
【0007】
そこで、この発明の課題は、作業者の習熟度に係わらず、効率よく塗布ができるようにする。その際、装置も大掛かりにならず、ラインの組替えも必要なく、作業中にグリスが飛び散ることもなく、コストも掛からないようにすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明では、筒体の開口に進入して開口の内周縁にグリスを塗布する塗布部材を先端に取付けたロッドを立設した台座に、スプリングを挿通したロッドを介して昇降自在に支持されるグリス供給台と、前記グリス供給台にスプリングを挿通したロッドを介して昇降自在に支持されるホルダー台とからなり、前記グリス供給台は、台座に立設されたロッドを挿通する貫通孔が設けられ、その貫通孔を介して挿通されたロッドの先端に塗布部材が取り付けられるとともに、前記塗布部材が取り付けられたグリス供給台の上面に、グリスを含浸させたスポンジを配置する凹部が形成され、一方、ホルダー台は、塗布部材が挿通する挿通孔が設けられるとともに、ホルダー台の底面に前記グリス供給台の凹部のスポンジに押し圧を加える押し圧部が形成され、かつ、ホルダー台上面の挿通孔に筒体の開口が位置するように筒体を支持するガイド部を備えた構成を採用したのである。
【0009】
このような構成を採用することにより、筒体をホルダー台のガイド部に支持させると、筒体の開口がホルダー台の挿通孔に位置する。この状態で筒体を下方に押すと、スプリングを挿通したロッドで支持されたホルダー台が下降し、下降したホルダー台底部の押し圧面がグリス供給台の凹部のスポンジに押し圧を加えて、含浸させたグリスを押し出し、押し出されたグリスは塗布部材に供給される。このとき、さらに、押し圧を加えると、ホルダー台とともにグリス供給台が下降し、相対的に塗布部材が上昇してホルダー台の貫通孔に位置させた筒体の開口に進入し、開口の周縁にグリスを塗布する。このように、押し圧を加えるだけで、グリスを供給して塗布できるので、作業者の習熟度に係わらず、効率よく塗布ができる。また、このため、装置も大掛かりにならず、ラインの組替えも必要ない、さらに、作業中にグリスが飛び散ることもなく、コストも掛からない。
【0010】
このとき、上記ホルダー台上面の挿通孔の周囲にグリス拭き取り用のスポンジをセットする凹部を形成した構成を採用することにより、凹部にセットしたグリス拭き取り用のスポンジが、上昇して来た塗布部材の余分なグリスを取り除くので、均一に塗布ができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に示すように、この形態のグリス塗布用治具は、塗布部材1を立設した台座2とその台座2に昇降自在に支持されるグリス供給台3と、その供給台3に昇降自在に支持されたホルダー台4とで構成されている。
【0013】
塗布部材1は、この形態の場合、図2及び図3に示すような、筒体Tの開口mの内周に進入し易いように周囲に傾斜面を形成した上下2つの部材を組み合せ、接合部分にパッキングを取り付けたフロート様のもので、ロッド5の先端に取り付けられ、台座2の中央に設けられている。
【0014】
台座2は、中空になっており、図1に示すように、上面の四隅にカラー7が設けられておりグリス供給台3のロッド6を支持するようになっている。
【0015】
そのため、グリス供給台3の四隅にはロッド6が取り付けられており、その4本のロッド6の内の対角線上の2本のロッド6にスプリング8を挿通して前記カラー7に嵌め込むようになっている。こうしてスプリング8を介して嵌め込むことにより、嵌め込んだスプリング8でもって、グリス供給台3は昇降自在に支持されるようになっている。
【0016】
このように昇降自在に支持されるグリス供給台3の中央には、貫通孔9が設けられている。この貫通孔9には、台座2に立設されたロッド5が挿通され、挿通されたロッド5の先端に塗布部材1が、図2に示すように、取り付けられる。そのため、この状態となるようにスプリング8の仕様を決める。
【0017】
さらに、この塗布部材1の取り付けられたグリス供給台3の上面には、凹部10が形成され、グリスを含浸させたスポンジS1をセットするようになっている。
【0018】
また、グリス供給台3は、外周に段差11を設けて、その四隅に貫通孔13を設けてホルダー台4に取り付けたロッド12を挿通するようになっている。
【0019】
そのため、ホルダー台4の四隅にロッド12が取り付けてあり、対角線上の2本のロッド12にスプリング14を挿通して前記貫通孔13に挿通するようになっている。こうすることで、ホルダー台4は、スプリング14により昇降自在に支持されるようになっている。
【0020】
このようなホルダー台4の中央には、塗布部材1が挿通する挿通孔15が設けられており、塗布部材1が自由に通り抜けられるようになっている。
【0021】
また、ホルダー台4の底部には、押し圧部16が形成されている。押し圧部16は、図2及び図3に示すように、グリス供給台3の上面の段差11と嵌合するように凹部を形成し、挿通孔15の周囲に突起18を形成したもので、前記突起18は、ホルダー台4の底部をグリス供給台3の上面に嵌合させると、グリス供給台3にセットされたスポンジS1に押し圧を加えるようになっている。
【0022】
一方、ホルダー台4の上面の挿通孔15の周囲には、拭き取り用のスポンジS2がセットされる凹部19が設けられている。また、この凹部19には、セットされたスポンジS2を固定する押さえ20を取り付けるようになっている。この押さえ20は、ホルダー台4の挿通孔15と同様の挿通孔を形成したもので、図1のように、ヒンジでもってホルダー台4に開閉自在に取り付けられている。
【0023】
また、ホルダー台4には、筒体Tを支持するガイド部21が設けられている。前記ガイド部21は、筒体Tの開口mをホルダー台4の挿通孔15にピタリと合致させるためのもので、図のものでは、筒体Tの筐体の外形に合わせたU字型のガイドを支柱でもって貫通孔上に支持するようになっている。
【0024】
さらに、この形態では、図1に示すように、押さえ20にコの字型の部材22を取り付けて、塗布中に筒体Tが動かないようにして開口mの位置がズレないようにしてある。
【0025】
この形態は、上記のように構成されており、次に、この治具の使用法を説明する。説明には、グリスを塗布する筒体としてトランシーバーTを用いた場合について述べる。このトランシーバーTは、下端にバッテリー挿入用の開口mが設けられたもので、この開口mの内周端に封止用のグリスを塗布するというものである。
【0026】
そのため、この開口mの形状に合わせて塗布部材1、ホルダー台4の挿通孔15及び押さえ20の挿通孔の形状は変えてある。
【0027】
使用方法は、まず、グリス供給台3の凹部10にグリスを含浸させたスポンジS1をセットし、ホルダー台4の凹部19に拭き取り用のスポンジS2をセットする。このとき、グリス供給台3へのスポンジS1のセットは、グリス供給台3からホルダー台4を抜き取れば簡単にできる。また、ホルダー台4へのスポンジS2のセットは、図3の破線に示すように押さえ20を持ち上げて回転させれば、凹部17が剥き出しになるので簡単に嵌めることができる。
【0028】
このように、準備ができると、図1のように、トランシーバーTを開口mを下にしてガイド部材21に保持させる。すると、トランシーバーTの開口mは、押さえ20の貫通孔を介してホルダー台4の挿通孔15にピタリと合致する。この状態で、図4(a)のように、トランシーバーTを押さえてホルダー台4を下降させると、下降したホルダー台4の底部の押し圧部16の突起18が、グリス供給台3の凹部10のスポンジS1を押す。そのため、スポンジS1に含浸させたグリスが押し出され、押し出されたグリスが塗布部材1に付着する。
【0029】
ちなみに、このとき、押し出されたグリスが、塗布部材1に流れるように、図2及び3のものではホルダー台4の突起18の形状を工夫してある。
【0030】
こうして、ホルダー台4を下降させるとグリスの供給ができたので、さらに、力を入れて図4(b)のように、グリス供給台3を一緒に下降させる。すると、ロッド5によって定位置に保持された塗布部材1が相対的に上昇し、ホルダー台4と押さえ20の挿通孔15を通過してバッテリー挿入用の開口mに進入し、開口mの周縁に塗布部材1のパッキン部分が密着し、その周縁に均一にグリスを塗布する。
【0031】
このとき、塗布部材1は、図5(a)、(b)に示すように、ホルダー台4の凹部19の拭き取り用のスポンジS2で、付着した余分なグリスが拭き取られ、均一に均されるため、周縁に塗布されたグリスをより均一にすることができる。
【0032】
塗布が終わると(手応えでわかる)、トランシーバーTをガイド部21から外す。すると、グリス供給台3とホルダー台4は、スプリング8、14によって押し上げられ、次の塗布を行える状態になる。
【0033】
こうして、塗布を行うごとにグリスを塗布部材1に供給し、供給した余分なグリスを拭き取って塗布するようにしているので、塗布面にグリスを均一に塗布することができる。
【0034】
このように、筒体Tをガイド21に取り付けて押し下げるだけで、均一な塗布ができるので、作業者の習熟度に係わらず、効率よくグリスの塗布ができる。
【0035】
また、駆動装置も要らないため、装置も大掛かりにならず、ラインの組替えも必要ない。さらに、作業中にグリスが飛び散ることもなく、コストも掛からない。
【0036】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成したことにより、シンプルな構造でありながら、必要なグリスを塗布できる。また、作業工数も筒体をセットして押し下げるだけの必要最小限で済むため、作業者の熟練度も必要なく、効率のアップが図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の斜視図
【図2】実施形態の縦断正面図
【図3】実施形態の縦断側面図
【図4】(a)、(b)、(c)実施形態の作用説明図
【図5】実施形態の作用説明図
【符号の説明】
1 塗布部材
2 台座
3 グリス供給台
4 ホルダー台
5 ロッド
6 ロッド
8 スプリング
9 貫通孔
10 凹部
12 ロッド
13 貫通孔
14 スプリング
15 挿通孔
16 押し圧部
17 凹部
18 突起
19 凹部
21 ガイド部
T 筒体(トランシーバー)
S1 スポンジ
S2 スポンジ
m 開口
Claims (2)
- 筒体の開口に進入して開口の内周縁にグリスを塗布する塗布部材を先端に取付けるロッドを立設した台座に、スプリングを挿通したロッドを介して昇降自在に支持されるグリス供給台と、前記グリス供給台にスプリングを挿通したロッドを介して昇降自在に支持されるホルダー台とからなり、
前記グリス供給台は、台座に立設されたロッドを挿通する貫通孔が設けられ、その貫通孔を介して挿通されたロッドの先端に塗布部材が取り付けられるとともに、前記塗布部材が取り付けられたグリス供給台の上面に、グリスを含浸させたスポンジを配置する凹部が形成され、
一方、ホルダー台は、塗布部材が挿通する挿通孔が設けられるとともに、ホルダー台の底面に前記グリス供給台の凹部のスポンジに押し圧を加える押し圧部が形成され、かつ、ホルダー台上面の挿通孔に筒体の開口が位置するように筒体を支持するガイド部を備えたグリス塗布用治具。 - 上記ホルダー台上面の貫通孔の周囲にグリス拭き取り用のスポンジをセットする凹部を形成した請求項1に記載のグリス塗布用治具。
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