JP3877298B2 - 液体現像装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体中にトナーを含有する液体現像剤を用いる液体現像装置及びこれを用いる画像形成装置に係り、特に、電子写真や静電記録、イオノグラフィ等の方法で形成された静電潜像を現像する液体現像装置等に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式などを用いて画像を形成する画像形成装置においては、潜像担持体に形成された静電潜像を、絶縁性液体中にトナーを分散させた液体現像剤により現像するものがある。この種の画像形成装置では、電界下でのトナー粒子の帯電電荷量が、初期と経時で変化を起こしやすく、画質変化の少ない安定な画像を得るためには、トナーの帯電量の変化を抑えることが必要である。
【0003】
このため、従来から液体現像剤や液体現像プロセスに帯電量制御のための様々な工夫を行っている。
例えば、トナーの帯電安定性、再分散性、さらには再分散時の帯電安定性に優れ、長期保存及び再使用が可能な液体現像剤を例示するものとして、特開2000−181148号公報や特開2000−181149号公報のものがある。これらの液体現像剤は、所望の帯電安定性等を発揮させるべく、その組成を限定したものである。しかしながら、液体現像装置の種類によってはこれらとは異なる組成からなる液体現像剤の使用に迫られる場合もある。
また、トナーの絶縁性液体中の帯電を安定化させる方法として、帯電量を監視しながら、その状態に応じて電荷制御剤を添加して帯電量を制御する方法も知られている。しかしながら、この方法では、電荷制御剤補給機構を設置するため機構が大きくかつ複雑になる。さらには、液体現像剤中の電荷制御剤の重量比を含めた経時的な変化も考慮に入れなければならず、帯電量制御のための構成がより複雑になるという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者らは、トナー電荷量が経時的に変化する原因について鋭意研究を行ったところ、次のようなことを見出した。即ち、電荷量の経時的な変化には増加する場合と減少する場合とがあるが、絶縁性液体中のトナーは電荷量を減少させる場合が殆どである。絶縁性液体中にトナーを分散した液体現像剤は、図1に示すように、時間の経過とともに電荷量が減少するのである。図中のA,Bは、互いに色材や樹脂材料に処方差のあるトナーを示している。電荷の減少量は処方によって程度の差(トナーA、B)はあるが、それぞれ時間経過とともに減少していくことがわかる。図1では20日後までの時間経過しか示していないが、およそ1か月後には電荷量の減少が飽和する。液体現像剤中のトナーに凝集が起こるとトナー電荷量の減少が認められることもあるが、図中のトナーA,Bには凝集が起こっていない。図2に示すように、初期と経時とでトナーの粒径分布に差が認められないからである。トナーに凝集が起こっていないにもかかわらずトナー電荷量が減少する理由には、液体現像剤の化学的な状態が関係している。具体的には、液体現像剤の化学的な非平衡状態の度合いが増すと、極性に偏りが発生してトナー電荷量が増加するのに対し、化学的な平衡状態に近づくとトナー電荷量が減少するのである。平衡状態に近づくことに起因してトナー電荷量を減少させた液体現像剤については、適切な応力をかけて化学的な非平衡状態を生起させることで、トナー電荷量を初期状態まで戻してやることが理論上は可能である。但し、応力の値をかなり高くする必要がある。具体的には、従来の液体現像装置においては、液体現像剤を攪拌する攪拌部材を設けていた。そして、攪拌によって液体現像剤に応力を付与していた。ところが、この攪拌については、液体現像剤中におけるトナー濃度の均一化を図る目的で行っており、トナー濃度の均一化を図り得る程度の弱い攪拌力に設定していた。この程度の攪拌では、化学的な非平衡状態を十分に生起せしめることができなかったのである。なお、図1に示したトナー電荷量の変化特性は代表例を示したものでこれに限るものではない。また、図2のグラフにおいては、図中点線よりも左側の縦座標を頻度[%]で示し、図中点線よりも右側の縦座標を累計[%]で示している。
【0005】
この研究結果を鑑みると、トナー(液体現像剤)に付与する応力の値を従来よりも高くすればトナー電荷量の経時的な減少を解消し得ると早合点しがちである。しかしながら、応力の値を高めれば、それだけトナーを粉砕し易くなる。そして、この粉砕によってトナー電荷量を却って減少させてしまうおそれがある。更に、トナーの粉砕には、応力の値(強さ)だけでなく、応力付与時間も関与してくる。応力が高くなるほど、より短い応力付与時間でトナーが粉砕されるのである。よって、化学的な非平衡状態を生起せしめ得る程度に応力を高める場合には、液体現像剤に付与する応力をどの程度まで高めるかに加えて、応力付与時間を適切にコントロールする必要がある。
【0006】
ところが、装置内の液体現像剤に対する応力付与時間を適切にコントロールするのは非常に困難である。これは次に説明する理由による。即ち、図1では、トナーの入れ替わりのない液体現像剤におけるトナー電荷量の変化特性を示しているが、実際の装置内では液体現像剤に対してトナーが頻繁に出入りする。具体的には、液体現像装置は、現像ローラ等の現像部材上に担持した液体現像剤を潜像担持体体との対向位置まで搬送して潜像の現像を行う。そして、対向位置を通過した現像部材に残っている液体現像剤を回収して再利用するようになっている。回収された液体現像剤は現像に伴ってトナーや絶縁性液体を消費しているため、トナー濃度を初期状態から変化させている。このため、装置内の液体現像剤に戻されるとそのトナー濃度を変化させてしまう。そこで、装置内の液体現像剤のトナー濃度がセンサによって監視され、その結果に応じて高濃度の液体現像剤や絶縁性液体が装置内に補給されることで、装置内における液体現像剤のトナー濃度の安定化が図られている。このように、実際の装置内では、現像に伴うトナー消費によってトナーが液体現像剤から出ていったり、高濃度の液体現像剤の補給によって新たなトナーが液体現像剤に入ったりする。そして、トナーの出入りにより、液体現像剤中のトナー全体としての電荷量が経時とは無関係に変化してしまうため、時間経過に基づいてトナー電荷量を把握することができない。このため、応力付与時間を適切にコントロールすることが困難なのである。
【0007】
上記特開平2000−181148号公報には、液体現像剤に応力負荷を付与する応力付与手段としてのアトライターを設けた画像形成装置が記載されている。本発明者らの実験によれば、このアトライターは液体現像剤に対して化学的な非平衡状態を生起せしめてトナー電荷量を回復させることができた。しかしながら、同公報では、アトライターによる応力付与時間については何ら考慮されていない。従って、アトライターによってトナーを粉砕してその電荷量を却って減少させてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次に説明するような液体現像装置及び画像形成装置を提供することである。即ち、電荷制御剤補給機構の付設による装置構成の複雑化を解消しつつ、液体現像剤中のトナー帯電量をより確実に安定させることができる液体現像装置及び画像形成装置である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、液体中にトナーを含有する液体現像剤を収容する現像剤収容部と、該現像剤収容部内の液体現像剤に応力負荷を付与する応力付与手段とを有する液体現像装置と、少なくともこれを制御する制御手段とを備え、該液体現像装置によって潜像担持体上の潜像を現像する画像形成装置において、上記現像剤収容部内の液体現像剤中におけるトナー帯電量の変化を示す帯電量変化情報に基づいて、上記応力付与手段の動作を制御させるように、上記制御手段を構成し、該現像剤収容部として、表面に担持した液体現像剤を上記潜像担持体上の潜像に付着させて該潜像を現像する現像部材に供給するための液体現像剤を収容する現像タンクと、新たに補給されてくる液体及びトナー、並びに該現像部材から回収された液体現像剤を貯蔵する貯蔵タンクとを設けるとともに、該貯蔵タンク内の液体現像剤を該現像タンクに搬送するための搬送管を設け、且つ、該搬送管内の液体現像剤に応力負荷を付与させるように該応力付与手段を配設したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記帯電量変化情報としての全トナー粒子の総電荷量が所定の基準値を下回ると上記応力付与手段を動作させる一方で、該総電荷量が所定の基準値まで回復すると該応力付与手段を停止させる制御を実施させるように上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の画像形成装置であって、上記液体現像装置が上記現像剤収容部内の液体現像剤中におけるトナーの帯電量を検知する帯電量検知手段を備え、これによる検知結果に基づいて上記制御手段が上記帯電量変化情報を取得することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1の画像形成装置であって、上記現像剤収容部に新たな液体現像剤又はトナーを補充する補充手段と、該補充手段による補充時間、上記液体現像装置の動作時間、及び上記応力付与手段の停止時間を計時する計時手段と、形成した画像の累積画像面積率を演算する画像面積率演算手段とを備え、上記制御手段が、該計時手段による計時結果と、該画像面積率演算手段による演算結果とに基づいて上記帯電量変化情報を取得することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかの画像形成装置において、上記液体現像剤は、上記液体の粘度が0.5〜1000[mPa・s]、電気抵抗が1×1012[Ωcm]以上、表面張力が30[dyne/cm]以下、沸点が100[℃]以上であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかの画像形成装置であって、上記応力付与手段が、液体現像剤に対して応力付与部材を1.0[m/sec]以上の速度で衝突させて応力を付与することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかの画像形成装置において、上記液体現像剤は、シリコーンオイルを上記液体として利用するものであることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかの画像形成装置において、上記液体現像剤として、電荷制御剤を含有するものを用いることを特徴とするものである。
これらの発明においては、液体現像剤中のトナー帯電量を検知する帯電量検知手段による検知結果を、画像形成装置の制御手段に伝えることが可能である。そして、制御手段に対して、トナー帯電量の増減に応じて応力付与手段の動作を制御させることで、応力付与手段による液体現像剤への応力付与時間を適切にコントロールさせることができる。かかる構成では、過剰な応力付与によるトナーの粉砕を抑えながら、液体現像剤に化学的な非平衡状態を生起せしめて、トナー帯電量をより確実に安定させることができる。更に、従来のように電荷制御剤補給機構を付設しなくても、トナー帯電量を安定させることができるので、その付設による装置構成の複雑化を解消することもできる。
また、これらの発明においては、制御手段が液体現像装置内の液体現像剤中におけるトナー帯電量の変化を示す帯電量変化情報に基づいて、該液体現像装置の応力付与手段の動作を制御する。この帯電量変化情報については、例えば、請求項1の液体現像装置に設けような帯電量検知手段による検知結果に基づいて取得させることが可能である。また例えば、演算処理だけに基づいて取得させることも可能である。具体的には、液体現像装置の液体現像剤にトナーの入れ替わりがなければ、応力付与手段の連続停止時間と、トナー帯電量とには相関関係が成立する。このため、トナーの入れ替わりのない状態での基本的な帯電量変化情報については、応力付与手段の連続停止時間と関係式とに基づいて取得させることが可能である。しかし、実際にはトナーの入れ替わりが起こる。この入れ替わりによるトナー帯電量の変化は、液体現像装置内に新たな液体現像剤を補充する補充手段による補充時間、該液体現像装置の動作時間、及び形成した画像の累積画像面積率などに関係する。よって、補充時間、動作時間及び累積画像面積率と、トナー帯電量の変化との関係式を予めの試験によって求めておく。そして、この関係式に、各時間の計時結果及び累積画像面積の演算結果を代入させることで入れ替わりによるトナー帯電量の変化を取得させ、取得結果を上述の基本的なトナー帯電量の変化に反映させればよい。請求項2乃至8の画像形成装置では、トナー帯電量の検知結果や、演算処理などに基づいて取得した帯電量変化情報に応じて液体現像装置の応力付与手段の動作を制御することで、液体現像剤への応力付与時間を適切にコントロールすることができる。かかる構成においても、過剰な応力付与によるトナーの粉砕を抑えながら、液体現像剤に化学的な非平衡状態を生起せしめて、トナー帯電量をより確実に安定させることができる。更に、従来のように電荷制御剤補給機構を付設しなくても、トナー帯電量を安定させることができるので、その付設による装置構成の複雑化を解消することもできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した画像形成装置であるプリンタの実施形態について、詳細に説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図3は本実施形態に係るプリンタの主要概略構成図である。潜像担持体としての感光体ドラム1の回りに、帯電ユニット2、現像ユニット10、中間転写ローラ5、ドラムクリーニングユニット4などが配設されている。中間転写ローラ5に対向配設された転写バイアスローラ6により、中間転写ローラ14上に形成された画像が転写紙Pに2次転写される。
【0011】
上記感光体ドラム1は、図示しないモータ等の駆動手段によってプリント時には一定速度で矢印の方向に回転駆動される。そして帯電ユニット2により一様に帯電された後に、図示しない光書込みユニットにより、画像情報に基づいて書込み光LBが照射結像されて静電潜像が感光体ドラム1上に形成される。そして、上記静電潜像は、現像ユニット10によって現像され、感光体ドラム1上に画像が形成される。感光体ドラム1上に形成された画像は、感光体ドラム1と等速駆動されている中間転写ローラ5上に中間転写される。この中間転写ローラ5には転写バイアスローラ6が当接しており、図示しない給紙カセットから両ローラ間に向けて転写紙Pが送られる。中間転写ローラ14上の画像は、両ローラ間に搬送された転写紙Pに2次される。
【0012】
2次転写終了後、転写紙Pは図示しない定着ユニットに送られて画像が定着されてから、機外に排紙される。尚、中間転写ローラ5上に中間転写されなかった感光体ドラム1上の液体現像剤は、ドラムクリーニングユニット4により感光体ドラム1から除去される。また、中間転写ローラ5上の転写残現像剤は図示しない中間転写ローラクリーニングユニットにより除去される。その後、感光体ドラム1の表面は除電ランプ3により残留電位が除去されて、次のプリントに備えられる。
【0013】
本実施形態のプリンタにおける現像ユニット10は、現像部、現像剤回収部、現像剤調整部などから主に構成されている。そして、本実施形態で使用する液体現像剤は、粘度が100〜10000m[Pa・s]の範囲で、トナー濃度が5〜40[%]の範囲のものが用いられている。より具体的には、例えば粘度が300m[Pa・s]でトナー濃度が15[%]のものが用いられている。
【0014】
上記現像部は、現像部材としての現像ローラ11、塗布ローラ12、規制ブレード13、現像タンク14、一対のスクリュー15a,15b、電気特性評価機構16などを有している。現像タンク14は、現像に使用される前の液体現像剤を一時的に収容する。現像タンク14内には、後述の現像剤調整部から液体現像剤が搬送されてくる。現像剤調整部から搬送されてきた液体現像剤の余剰分は、後述の現像剤回収部に向けて図示しない管からオーバーフローする。そして、現像剤回収部から現像剤調整部に回収される。
【0015】
現像タンク14内では、一対のスクリュー15a,15bが回転駆動することで、内部の液体現像剤の液面が盛り上り、盛り上り部分が塗布ローラ14に接触する。この接触により、液体現像剤が塗布ローラ14に供給される。塗布ローラ14に供給された液体現像剤は規制ブレード13によって液体現像剤量が規制された後、現像ローラ11に塗布される。現像ローラ11には、毎分約30ccの液体現像剤が塗布される。なお、電気特性評価機構16の役割については後述する。
【0016】
上記現像剤回収部は、拭き取りローラ17と、クリーニングブレード18と、回収スクリュー19とを有している。拭き取りローラ17は、現像後の現像ローラ11表面に残った液体現像剤を拭き取る。拭き取られた液体現像剤は、クリーニングブレード18によって拭き取りローラ17から除去された後、回収スクリュー19を経て現像剤調整部に回収される。
【0017】
上記現像剤調整部は、100〜150[ml]の液体現像剤を貯蔵する貯蔵タンク20、攪拌プロペラ21、搬送ポンプ22、これに接続される搬送管、これに並列接続される再分散機構たるアトライター23などを有している。また、図示しないトナー濃度検知手段なども有している。攪拌部材たる攪拌プロペラ21は、貯蔵タンク20内に貯蔵される液体現像剤を攪拌してトナーを絶縁性溶液中に分散せしめることで、液体現像剤中のトナー濃度を均一化させる。貯蔵タンク20内の液体現像剤のトナー濃度は、図示しないトナー濃度検知手段によって検知される。一方、本プリンタは、図示しないトナーボトル、キャリアボトル、トナー補給ポンプ、キャリア補給ポンプ、及び制御機構を備えている。このトナーボトルには貯蔵タンク20に補給されるための液体現像剤が収容されており、トナー補給ポンプの駆動によって貯蔵タンク20に補給される。また、キャリアボトルには貯蔵タンク20内に補給されるための絶縁性液体が収容されており、キャリア補給ポンプの駆動によって貯蔵タンク20内に補給される。プリンタの制御機構は、上記トナー濃度検知手段の検知結果に基づいてトナー補給ポンプやキャリア補給ポンプの駆動を制御することで、貯蔵タンク20内の液体現像剤のトナー濃度を所定の範囲内に調整する。現像剤調整部の搬送ポンプ22は、その吸引側が貯蔵タンク20の底面に設けられたドレンパイプに接続される一方で、吐出側が搬送管に接続されている。そして、貯蔵タンク20内の液体現像剤を現像部の現像タンク14に搬送する。この搬送の経路となっている上記搬送管に並列接続されたアトライター23は、搬送中の液体現像剤の一部を取り込んでそのトナーの再分散を図った後、再び搬送管に戻す。
【0018】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
先に示した図3において、現像ユニット20は2つの現像剤収容部を有している。1つは現像剤調整部に設けられた貯蔵タンク20である。また、もう1つは現像部に設けられた現像タンク14である。上述のように、貯蔵タンク20内の液体現像剤は、攪拌プロペラ21によって攪拌されることで応力負荷が付与される。よって、攪拌プロペラ21は、液体現像剤に応力負荷を付与する応力付与手段としての機能を備えている。また、現像タンク14内の液体現像剤は、一対のスクリュー15a,15bに攪拌されることで応力負荷が付与される。よって、一対のスクリュー15a,15bもまた、応力付与手段としての機能を備えている。本プリンタの液体現像装置たる現像ユニット10に収容される液体現像剤は、これらの応力付与手段によって応力が付与されるにもかかわらず、トナー帯電量が経時的に減少していく。よって、これらの応力付与手段では、液体現像剤に化学的な非平衡状態を生起せしめることができない。そこで、本プリンタでは、液体現像剤に対してこれら応力付与手段よりも強い応力を付与することで化学的な非平行状態を生起せしめる第3の応力付与手段を現像ユニット10に設けている。これは、現像ユニット10の現像剤調整部に設けられたアトライター23である。
【0019】
このアトライター23は、図4に示すような構造を有している。即ち、冷却水を還流することができるジャケット23aにタンク23bを格納し、タンク23b内には液体現像剤を攪拌するアジテータ23cを設置している。また、タンク23bの底部に接続された管には排出弁23dを設置し、排出弁23dの出口側は排出液を上記現像タンク14へ送ることが可能なポンプ23gに連結している。現像剤調整部の貯蔵タンク20(厳密には上記搬送管)からはバルブ23eを通して液体現像剤をタンク23bに送る。タンク23b内には複数のビーズ23fが投入されている。貯蔵タンク20から送られてきた液体現像剤はアジテータの回転によってビーズ23fとともに攪拌される。この攪拌により、タンク23b内の液体現像剤が発熱するが、ジャケット23a内に冷却水が還流することで過剰な昇温が抑えられる。本プリンタではビーズ23fとして粒径1mmのジルコニアセラミックを使用し、その充填率を70%とした。そして、バルブ23eを設けた流入管と、ポンプ23gを設けた排出管とを、それぞれ現像剤調整部の上記搬送管に接続した。
【0020】
本プリンタでは、トナー帯電量を回復させる応力付与手段(再分散機構)として、図4に示したアトライター23を使用したが、これに限るものではない。液体現像剤に化学的な非平衡状態を生起せしめ得る応力負荷を付与し得るが機構があればよく、デイスパーサーを用いることもできる。このほかにも、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等を使用することができる。
【0021】
本発明者らは、図4に示したアトライター23によるトナー帯電量の回復性試験を実施した。この回復性試験には、図5に示す電気特性試験装置を用いた。図において、この電気特性試験装置は、マイクロメータ部100と、高電圧発生装置110(KEITHLEY社製237型)と、パーソナルコンピュータ120とを備えている。マイクロメータ部100は、直径1.7[cm]の第1金(Au)電極101,第2金電極102、それぞれを覆うダイフロン等からなる絶縁材103,104、マイクロメータ105等を有している。第1金電極101、第2金電極102は、互いに200[μm]のギャップを介して対向している。このギャップには、液体現像剤106が満たされている。2つの金電極(101、102)間には、高電圧発生装置110によって高電圧が印加される。この印加によって液体現像剤105中に生ずる電流は、マイクロメータ部100のマイクロメータ105によって検知され、検知結果がデジタル方式の電流値データとしてパーソナルコンピュータ120に送られる。パーソナルコンピュータ120は、マイクロメータ105から送られてくる電流値データに基づいて様々な演算処理を行う。
【0022】
以上の構成の電気特性試験装置を用いて、液体現像剤106中のトナーの帯電量を次のようにして測定した。即ち、2つの金電極(101、102)間に1000[V]の電圧を印加し、図6に示すように、通電開始時(t=0)から8秒経過(t=8)するまでの電流値を所定のタイミング毎に測定した。そして、通電開始時の初期電流量I0から8秒経過後の8秒後電流値I8までをパーソナルコンピュータ120で積分して、通電開始から8秒経過するまでに費やされた総電荷量Q0を算出した。次に、8秒後電流値I8に基づいて、定常状態の8秒間に費やされるべき定常電荷量Q8を算出した。そして、次の数1で示される関係式に基づいて全トナー粒子の総電荷量Qtを求めた。
【数1】
Qt=Q0−Q8=Q0−I8×8秒
【0023】
図5に示した電気特性試験装置を用いて、作製直後の液体現像剤の電流波形と、1ケ月後の液体現像剤の電流波形とを得た。これらを図7に示す。1ケ月後の液体現像剤は初期よりも電流値を低下させることがわかる。電流値を低下させることは、その積分値であるトナー帯電量を低下させることを意味する。トナー帯電性が低下するのである。このようにトナー帯電性が低下した液体現像剤を図4に示したアトライター23にかけた後の電流波形を、図7に示した各電流波形に重ねてみた。その結果を図8に示す。アトライター23通過後の液体現像剤の電流波形が初期状態に近づいていることがわかる。電流波形ではわかりにくいが、総電荷量Qtはほぼ初期状態まで回復する。よって、トナーの帯電量をほぼ初期値に戻すことが可能である。しかし、アトライター23を作動させない場合、攪拌プロペラ21やスクリュー15a,15b程度の攪拌では、図9に示すように電流の低下がある。よって、攪拌プロペラ21やスクリュー15a,15bだけでは、トナー帯電量が徐々に減少してしまうことがわかる。
【0024】
なお、液体現像剤の電気特性の評価については、図5に示した電気特性試験装置に限らず、移動する液体現像剤のピーク電流特性が測定できるもの電極条件であればよい。電圧印加に使用する電極についても、より電極が小さいもの、あるいは大きものでもよい。また、電極間のギャップが、より狭いもの、あるいは広いものでも問題ない。更には、より小型の高電圧発生装置10を用いても良いし、パーソナルコンピュータの代わりにCPU等で構成される小型の制御機構を用いてもよい。図3に示した電気特性評価機構16は、図5に示した電気特性試験装置の金電極(101、102)と同寸法の2つの電極を、支持用のセル内に配設したものである。そして、プリンタ本体側には、小型の高電圧発生装置、制御機構及び電流測定器(何れも図示せず)を配設した。
【0025】
上述の回復性試験は、図4に示したアトライター23を1度だけ通過した液体現像剤について行ったが、アトライター23を常時動作させる構成をとると過剰な応力の付与によってトナーを粉砕してしまうおそれがある。ここで言う「常時動作」とは、アジテータ23c(図4のアトライターの場合には加えてポンプ23g)等の応力付与部材を現像動作中に常に動作させることである。よって、トナーの粒経等の物理特性を変化させないな適切な応力付与量になるよう、アジテータ23cやポンプ23gの動作を制御する必要がある。
【0026】
そこで、本発明者らは、せん断応力負荷によるトナー粒径への影響について試験してみた。アトライターの動作条件は次の通りである。即ち、1mmのジルコニアを70%充填し、アジテータ23cを周速1.0[m/sec]にて回転させた。トナー粒子径については、マイクロトラック2 HRA型(日機装(株)製)を用いて測定した。製造直後の液体現像剤と、アトライター23に6時間かけた液体現像剤のトナー粒径分布を調べたところ、両者に差異は認められなかった。しかしながら、6時間を超えてアトライター23にかけたり、アジテータ23cの周速をより速めたりすれば、トナーを粉砕してしまうおそれがある。基本的には、作製時よりも、大きなせん断力をトナーにかけると、トナーの粒経等、物理的特性が変化し、そのため電気特性も大きく変化してしまうので、作製時の応力を超えてはならない。アトライター23等の再分散機構でのトナー粒径分布への影響は、再分散機構の動作条件にかかっており、それを適切に設定する必要があると思われる。
【0027】
本発明者らは、適切な動作条件の設定を検討すべく、最も一般的な粒子粉砕機であるボーミルを用いて、せん断応力とトナー粉砕性との関係を調べてみた。使用した。図10(a)に示すように、このボールミル130は、円筒形のミル131の中に複数のボール132を収容している。ミル131の中には、分散対象となる図示しない粒子が投入される。投入後にミル131が回転すると、複数のボールの転がりによるせん断力が各粒子に付与されて粒子が次第に粉砕されていく。ミル131の回転速度が早過ぎると、図10(b)に示すように、ボール132がミル131の内周面に圧接してミル131とともに公転したり、図10(c)に示すように半周ほど公転した後に滝状に落下したりする。このような公転や落下ではボール132が上手く転がらないので、粒子の粉砕性が悪い。図10(d)に示すように、水平線よりも少し持ち上げられたボール132が所定の傾斜角で転がり落ちるような回転速度がよい。ミル131の適切な回転速度は、主にミル131の径によって決まる。例えば、直径1.6m(全容量2000L)では21rpm程度がよい。また例えば、直径1.8m(全容量3000L)では18rpm程度がよい。ボール群の表層近くで転がるボール132に対して最も有効にせん断応力を付与し得ることから、本試験ではボール132をミル131の30%容量まで投入した。そして、図10(a)に示したように、表層近くのボール132を傾斜角度θ45°で転がらせるように回転速度を調整した。この状態では、ボール群の表層での空間は20%程度となる。粒子はミルベースと呼ばれる液体中に分散されている(液体現像剤では絶縁性液体がミルベースとなる)。ミルベースを20%程度にすると、最も効率が良くなることがわかっている。ミル131の大きさ、回転数、ボール132の容量や大きさ、ミルベースの組成や粘度などが、粉砕性に大きな影響を与える。ミル131として透明なガラス製のものを用いて、上記傾斜角度θが45°になるように回転速度を調整した。ボール132には直径10mmのジルコニアボールを用いた。
【0028】
直径0.20mのミル131を用意し、それぞれで液体現像剤を作成してみた。そして、作成直後の初期状態でトナー帯電量をチェックした後、1ヶ月後にトナー帯電量を再び測定すると、図1に示したものと同様の経時変化が認められた。次に、直径0.05m、0.10m、0.20m、1.00mの4つのミル131を用意し、1ケ月後の液体現像剤を最適条件で24時間かけてみた。すると、直径1.00mミル131では、トナーの粒径が初期状態よりも極端に小さくなり、もとのトナーとは物理的に異なる特性となってしまった。これに対し、直径0.05m、0.10m、0.20mのミル131では、粒径に大きな変化は認められなかった。この結果から、アジテータ等の応力付与部材によって付与するせん断力が過剰であると、トナーを粉砕してしまうことが裏付けられる。なお、直径0.05mのミル131では、トナー帯電量を回復させることができなかった。
【0029】
ボールミル130における転がり時のせん断力を数値化したいが、絶縁性液体中でのトナーの分散条件や粘度条件が変化するため、数値化するのは困難である。そこで、ミル131内のボール132の衝突速度vを、次に示す一般的な物理エネルギー公式によって求め、適切なせん断力を知る指標とした。
【数2】
mgh=mv2/2
但し、m=質量、g=重力加速度、h=高さ
【0030】
各ミルにおけるボール落下速度vと、トナー粒径変化と、トナー帯電量の回復性との関係を次の表1に示す。
【表1】
表1より、トナー帯電量を回復させるためには、アジテータ23c等の応力付与部材を1[m/sec]以上の速度で液体現像剤に衝突させる必要があると思われる。本プリンタでは、上述のようにアジテータ23cを1.0[m/sec]の周速で回転させており、この条件でトナー帯電量が回復したことからも、応力付与部材の衝突速度が1.0[m/sec]以上は必要であると言える。
【0031】
なお、液体現像剤をボールミル130に数日かければ、直径1.00m未満のミルでも、トナーの粉砕が起こるおそれがある。よって、アトライター23等の再分散機構については、応力付与部材の動作速度に加えて、その動作時間も適切に管理する必要がある。
【0032】
そこで、本プリンタにおいては、図3に示した電気特性評価機構16、図示しない高電圧発生装置、制御機構、電流測定器等で構成される帯電量検知手段を設けている。この帯電量検知手段は、図5に示した電気特性測定装置と同様の機能を有しており、図3に示した現像タンク14内の液体現像剤中のトナー帯電量を検知することができる。帯電量検知手段の制御機構は、プリンタ本体の制御機構の役割を兼ねている。そして、トナー帯電量の検知結果に応じて、アトライター23の動作を制御する。具体的には、制御手段たる制御機構は、上記総電荷量Qtが所定の基準値を下回るとアトライター23を動作させてトナー帯電量の回復を図る。また、総電荷量Qtが基準値まで回復するとアトライター23を停止させて、トナーの粉砕を抑える。このような帯電量検知手段とアトライター23との組み合わせにより、トナーの帯電量を安定して制御することが可能となった。
【0033】
図3に示した現像ローラ11や感光体ドラム1から回収された液体現像剤には、電界が印加されており若干だが凝集が見られる。しかし、上記現像剤調整部の貯蔵タンク20に戻され、十分量の絶縁性液体が補給されて攪拌されると、この程度の凝集はすぐに解消される。
【0034】
本発明者らは、本プリンタにおいて、電界印加後の液体現像剤でもアトライター23によってトナーの帯電量を回復させることを確認した。そして、本プリンタにおいて、上述のようなトナー帯電量に基づくアトライター23の動作制御によるトナー粉砕抑制効果について調査すべく、次に説明するような液体現像剤のサイクル試験を行った。即ち、貯蔵タンク20内から現像タンク14へ貯蔵タンク容量分(100〜150ml)の液体現像剤が搬送されるのを1サイクルとする。10サイクルの現像剤搬送が行われるまでプリント動作を行った後、貯蔵タンク20内の液体現像剤を10サイクル現像剤として採取した。また、これに先立ち、サイクル前の初期状態の液体現像剤を貯蔵タンク20から採取しておき、初期現像剤とした。これらの液体現像剤中のトナーにおける粒径分布を、マイクロトラック 2HRA(日機装社製)を用いて測定した。この結果を図11に示す。液体現像剤を10サイクルさせるプリントアウトを行っても、貯蔵タンク20内の液体現像剤におけるトナーの粒径を変化させないことがわかる。
【0035】
図12は、液体現像剤のサイクル回数と、トナー帯電量との関係を示すグラフである。図示のように、本プリンタでは、初期状態から10サイクルまで、トナーの帯電量がおよそ25[μC/g]に維持される。このことから、本プリンタでは、上記アトライター23での過剰な応力負荷によるトナー粉砕を抑えながら、トナー帯電量を良好に回復させ得ることがわかる。なお、上記アトライター23の駆動を停止させると、図1に示したような経時的なトナー帯電量の減少が起こり、2週間後には約半分までになる。ボールミルの検討結果と実機における結果から,適切な応力が存在する。
【0036】
本プリンタでは、アトライター23を上記搬送管に並列配設して並列な流路を構成しているが、搬送管内に内臓して、必要なときだけアジテータ23cを適宜駆動させてもよい。また、現像ユニット(10)の現像タンク(14)に内蔵してもよい。これらの方が、簡便な構成にし得る場合もある。また、ビーズ23fの代わりにボールを用いても良い。加えて、水冷ジャケッ23aの代わりに、ペルチェ素子、空冷フィン等を使用してもかまない。また、貯蔵タンク20や現像タンク14ではなく、上記搬送管にアトライター等の再分散機構を設ければ、上記現像部にある液体現像剤のトナー帯電量を常に安定化させたものにすることができる。その上、現像ローラ11など各種部品が密集している現像タンク14に設置するよりも、装置の構造を簡素化することができる。そして、次のプリント開始時に新しい液体現像剤を注ぎ足して使用したとしても、現像タンク14に至る前でトナーの帯電量が制御されるために、画像濃度や色相などの画質を安定させることができる。但し、上記帯電量検知手段の検知結果に基づく再分散機構の制御は必要である。例えば、アトライター23を上記搬送管に内蔵した場合には、必要以上にアジテータ23cを動作させてトナー粉砕を助長しないように、アジテータ23を停止させた状態で液体現像剤を搬送するのである。
【0037】
図13に、上記搬送管にアトライター機能を付加したものの例を示す。この搬送管は、外管23j内に内管23iを内包する二重構造になっている。現像剤調整部の貯蔵タンク20から搬送ポンプ22によって送られる液体現像剤は、内管23i内に進入し、アジテータ23cによってビーズ23fとともに攪拌されながら搬送される。内管23iの先端付近はメッシュ状のスクリーン23hとなっており、ここで液体現像剤はビーズ23fと分離され、内管23iと外管23jとの間に送られる。そして、外管23jに設けられた排出路を通って現像部の現像タンク14に送られる。
【0038】
本プリンタにおいて、トナーの経時的な凝集、現像等に伴う電界印加による凝集が、攪拌プロペラ21やスクリュー15a,15bによる攪拌では解消されない程度まで強く生じたとする。かかる凝集が生じても、それをアトライター23によって使用前の粒子径と同じ程度にまで微細化させることができ、微細化後も使用前とほぼ同じ帯電量を維持できる。さらに、現像で使用された液体現像剤の過剰分を回収し、アトライター23によって再分散させてから貯蔵タンク20へ戻して未使用の液体現像剤と統合することもできる。更には、使用済みの液体現像剤を回収し、貯蔵タンク20に戻して未使用の液体現像剤と統合させてから再分散することもできる。そして、このような循環使用を行っても、安定した画質が得られる。
【0039】
本プリンタに用いられる絶縁性液体としては、熱的に高引火点を発揮し、且つ電気的に高抵抗値を発揮するものが望ましい。更に、0.5〜1000[mPa・s]の粘度を発揮するものが望ましい。これは次の理由による。即ち、現像ローラ11上には液体現像剤が薄層状に形成され、これが感光体ドラム1、中間転写ローラ5を経由して転写紙Pに付着する。この過程で、感光体ドラム1や中間転写ローラ5に絶縁性液体の一部が残留するため、転写紙Pに至る絶縁性液体の量はごく僅かである。しかしながら、僅かとは言っても、転写紙Pの表面に残ると、塵等の付着によって転写紙Pの汚れや画像の乱れを生ずるおそれがある。粘性の比較的低い絶縁性液体であれば、紙繊維の内部に吸収されるため、これら汚れや画像の乱れを抑えることができる。本発明者らの研究によれば、絶縁性液体として粘度1000[mPa・s]以下のものを用いれば、紙繊維の内部に吸収させて、絶縁性液体の表面残留に起因する汚れ等を定着後の転写紙Pに生ずることはなかった。但し、粘度が0.5[mPa・s]未満のものを用いると、その揮発性の高さから危険物扱いとなり、一般ユーザによる使用が困難になることから適当でない。よって、絶縁性液体としては、粘度0.5〜1000[mPa・s]のものを用いることが望ましい。
【0040】
また、絶縁性液体としては、沸点が100[℃]以上のものを用いることが望ましい。100[℃]未満のものでは、一般に揮発性が高く、液体現像剤の保存方法に問題が生ずるからである。更には、プリンタ本体を密封構造にすることに加えて、プリンタ設置環境を特別なものにする必要も生じ得るからである。
【0041】
また、絶縁性液体としては、電気抵抗が1×1012[Ωcm]以下のものを用いることが望ましい。電気抵抗がこれを超えると、絶縁不良によってトナー間に電流をリークさせるため、静電潜像を現像する液体現像剤の構成が極めて困難になるからである。電気抵抗が1×1012[Ωcm]以下の絶縁性液体としては、シリコーンオイル、ノルマルパラフィン、アイソパー、植物油、鉱物油等が挙げられる。中でも、シリコーンオイルが良好である。シリコーンオイルは、不揮発性であり、アトライター23の中で固着することもないため、作業環境に悪影響を与えず、再分散機構の保守機構も必要がないからである。
【0042】
また、絶縁性液体としては、表面張力が30[dyne/cm]以下のものを用いることが望ましい。表面張力がこれを超えると、トナーの濡れ性が急激に悪くなり、トナー塊を感光体ドラムに付着させて地汚れ等の画質劣化を引き起こすからである。
【0043】
絶縁性液体を含む液体現像剤については、その粘度に合わせて現像ローラ11上の塗布厚(薄層厚)を調整することが望ましい。特に、粘度が500[mPa・s]以上のものについては、極めて薄くする必要がある。理想的には、現像時に要求されるトナー量(ベタ部を飽和濃度に現像し得る量)を含む厚みよりも、若干薄くするのがよい。これは、粘度の高い液体現像剤を用いた場合、現像時にトナーが静電潜像に向けて静電的に移動する際に、粘性によって余計なトナーを引き連れて感光体ドラム1に付着してしまうからである。本発明者らの研究によれば、5〜40[μm]厚みで良好な画像が得られた。
【0044】
また、トナーとしては、平均粒径0.1〜5[μm]のものを用いることが望ましい。トナーは、プリントアウトされた紙上で5〜10個くらいの固まりとなって存在し、平均粒径が5[μm]を超えると、高解像度の現像が困難になるからである。また、平均粒径が0.1[μm]未満になると、物理的な付着力が強くなり、転写の際にトナーを転移させ難くなり、転写効率を急激に悪化させるからである。
【0045】
また、液体現像剤としては、トナーを5〜40%の濃度で含むものを用いることが望ましい。5[%]を下回ると、静置によってトナーが絶縁性液体中で速やかに沈殿して分散性が急激に悪くなるからである。また、40[%]を上回ると、流動性の悪さによって「液」としての性質を発揮させることができなくなるからである。
【0046】
液体現像剤には、電荷制御剤を含有させて、トナー粒子である共重合樹脂粒子の帯電量及び/又は帯電の極性をコントロールすることが望ましい。これは次に説明する理由による。即ち、前述のように絶縁液体中では、化学的な非平衡状態であると、極性に偏りが発生しトナーの帯電が増加する。よって、 絶縁性液体中での帯電を補助するものとして、電荷制御剤を添加しておくと、攪拌や再分散による応力により、トナーへの電荷制御剤の吸着の状態を変化させる。そして、このことにより、より確実に化学的な非平衡状態を生起させることができる。従って、このような帯電制御を行うべく、組成に電荷制御剤を添加した液体現像剤が好ましいのである。
【0047】
電荷制御剤としては、分散されたトナー粒子に静電荷を生じせしめ、且つ増強する帯電誘導剤(charge director)などの公知の物質を用いることができる。かかる物質としては、金属石けん、脂肪酸、レクチン、有機リン化合物、スクシンイミド、スルホスクシネートなどが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸コバルト、ジアルキルスルホコハク酸マンガン、ジアルキルスルホコハク酸ジルコニウム、ジアルキルスルホコハク酸イットリウム、ジアルキルスルホコハク酸ニッケル等のジアルキルスルホコハク酸金属塩でよい。また、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉄、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸クロム、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸マグネシウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸カルシウム、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸鉄、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸クロム、オクチル酸亜鉛、オクチル酸マグネシウム、ドデシル酸マンガン、ドデシル酸カルシウム、ドデシル酸ジルコニウム、ドデシル酸鉄、ドデシル酸鉛、ドデシル酸コバルト、ドデシル酸クロム、ドデシル酸亜鉛、ドデシル酸マグネシウム等の金属石鹸でもよい。また、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸バリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸金属塩でもよい。また、レシチン、セハリン等の燐脂質;n−デシルアミン等の有機アミン類などでもよい。但し、電荷制御剤はここに示したものに限ったものではない。
【0048】
電荷制御剤の添加量は、電荷制御効果を示す最低限の量でよく、通常は、液体現像剤中に電荷制御剤を0.01〜50重量%の割合で添加する。電荷制御剤は、後述する製造過程、或いは溶媒を除去した後のいずれの段階で添加しても電荷制御効果を示すが、好ましくは電荷制御剤の共存下で造粒を行う。例えば、トナーの造粒工程において、造粒工程以前の段階で他の原科、溶媒又は中間製造物中に添加しておき、共重合樹脂の溶液又はワニスと電気絶縁性分散媒とを、着色剤と電荷制御剤の共存下で混合する。
【0049】
これら好適な液体現像剤の性状に鑑み、本プリンタでは、次に列記する条件を満たす液体現像剤を用いるようにしている。
(1)粘度が0.5〜1000[mPa・s]、電気抵抗が1×1012[Ωcm]以上、表面張力が30[dyne/cm]以下、沸点が100[℃]以上のシリコーンオイルを絶縁性液体として含む。
(2)平均粒径0.1〜5[μm]のトナーを5〜40%の濃度で含む。
(3)電荷制御剤としてオクチル酸ジルコニウムを0.5重量%含有する。
【0050】
本プリンタを用いるユーザーに対しては、液体現像剤としてかかる条件を満たすものを用いるように指定している。この指定については、プリンタをかかる液体現像剤とともに梱包して発送したり、上記条件を満たすものを用いるべき旨の文章をプリンタ本体や取り扱い説明書に付したりすることにより行えばよい。また、ユーザーに対して書面や電子データ等をもって通知してもよい。
【0051】
また、本発明を適用する画像形成装置としては、図3に示した電子写真方式のプリンタのみならず、イオノグラフィ方式のものでもよい。図14は、イオノグラフィ方式を採用した変形例装置の主要概略構成図である。図において、潜像担持ドラム1の回りに、イオンフローヘッド7、現像ユニット10、中間転写ローラ5、ドラムクリーニングユニット4などが配設されている。中間転写ローラ5に対向配設された転写ローラ6により、中間転写ローラ5上に形成された画像が転写紙P2次転写される。潜像担持ドラム1は、図示しないモータ等の駆動手段によってプリント時には一定速度で矢印の方向に回転駆動される。そして、潜像担持ドラム1にはイオンフローヘッド7で画像情報に基づいてイオンが照射され、静電潜像が潜像担持ドラム1上に形成される。この静電潜像は、現像ユニット10によって現像され、潜像担持ドラム1上に画像が形成される。潜像担持ドラム1に形成された画像は、ドラムと等速駆動されている中間転写ローラ5上に中間転写される。中間転写ローラ5上の画像は、図示しない給紙カセットから転写部に搬送された転写紙Pに2次転写される。2次転写終了後、転写紙Pは図示しない定着ユニットにより定着され、排紙される。中間転写ローラ5上に中間転写されなかった潜像担持ドラム1上の液体現像剤は、ドラムクリーニングユニット4によりドラムから除去される。また、中間転写ローラ5上の転写残現像剤は図示しない中間転写ローラクリーニングユニットにより除去される。その後、潜像担持ドラム1の表面は図示しない除電器により残留電位が除去されて、次のプリントに備えられる。
【0052】
本変形例装置における現像ユニット10は、図3に示したものと同様の現像部と、現像剤回収と、現像剤調整部とを備えている。そして、液体現像剤として、上述の条件を満たすものを用いる。
【0053】
上記現像部には液体現像剤が収容された現像タンク14と、現像ローラ11に液体現像剤を塗布する塗布ローラ12と、これに液体現像剤を供給する一対のスクリュー15a,15bとが設けられている。また、塗布ローラ12表面の液体現像剤の量を規制する規制ブレード13が配設されている。貯蔵タンク24は100〜150[ccml]の液体現像剤を貯蔵することができる。現像ユニット10の動作は、図3に示したもの同様である。
【0054】
本発明を適用する画像形成装置としては、図3や図14に示した単色画像を形成するものの他、多色画像を形成するものでもよい。
図15は本発明を適用したフルカラー方式の変形例装置を示す概略構成図である。この変形例装置は、4つのプロセスユニット30Y,M,C,BKと、これらにレーザー光LBを照射する光書込ユニット31と、中間転写ユニット50とを備えている。
【0055】
上記プロセスユニット30Y,M,C,BKは、それぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、BK(ブラック)画像を形成するためのもので、使用する液体現像剤中のトナーの色が異なる以外はほぼ同様の構成となっている。BK用のプロセスユニット30BKを例にして説明すると、感光体ドラム1BK、ドラムクリーニングユニット4BK、除電ランプ3BK、帯電ユニット2BK、現像ユニット10BK等を備えている。現像ユニット10BKの構成は、図3に示した現像ユニット10と同様である。帯電ユニット2BKは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体ドラム1BKの表面を一様帯電せしめる。このように一様帯電せしめられた感光体ドラム1BKの表面は、露光ユニット2BKによって露光されて、BK用の静電潜像を担持する。このBK用の静電潜像は、BK液体現像剤を用いる現像ユニット10BKによってBK画像に現像される。そして、中間転写ユニット50の中間転写ベルト51上に中間転写される。一方、ドラムクリーニングユニット4BKは、BK画像転写後の感光体ドラム1BKに残留したBK液体現像剤を除去する。また、除電ランプ3BKは、クリーニング後の感光体ドラム1BKの残留電荷を除電する。この除電により、感光体ドラム1BKの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他のプロセスユニット30M、C、BKにおいても、同様にして感光体ドラム上にM,C,K画像が形成され、中間転写ベル51上に順次重ね合わせて中間転写される。
【0056】
中間転写ユニット50は、中間転写ベルト51を張架ローラ52,53,54,55,56,57によってテンション張架している。そして、図示しない駆動手段によって回転駆動される張架ローラ56,57により、中間転写ベルト51を図中反時計回りに無端移動させる。中間転写ユニット50は、4つの中間転写ローラ58Y,M,C,BKや、ベルトクリーニングユニット59も備えている。4つの中間転写ローラ58Y,M,C,BKは、それぞれY,M,C,BK用の感光体ドラムから中間転写ベルト51に画像を中間転写せしめるためのもので、感光体ドラムとの間にY,M,C,BK用転写ニップを形成している。各転写ニップでは、図示しない電源から例えば、−300〜−500[V]の中間転写バイアスが付与される中間転写ローラがベルト裏面に当接して転写電界が形成されている。各転写ニップでは、正極性に帯電したトナーから主に構成されるY,M,C,BK画像が順次重ね合わせて中間転写せしめられる。この重ね合わせの中間転写により、中間転写ベルト51上には4色重ね合わせによる4色画像が形成される。
【0057】
張架ローラ56と張架ローラ57との間のベルト張架部分には、2次転写バイアスローラ9が例えば50[N/cm2]の圧力で当接して2次転写ニップを形成している。2次転写バイアスローラ9には、図示しない電源によって例えば−800〜ー2000[V]の2次転写バイアスが印加されている。これにより、2次転写ニップには2次転写電界が形成される。中間転写ベルト51上に形成された上述の4色画像は、ベルトの無端移動に伴って2次転写ニップに進入する。一方、図示しない給紙カセットに収容された転写紙Pは、所定のタイミングでレジストローラ対8に送られる。レジストローラ対8は、転写紙Pを中間転写ベルト51上の4色画像に重ね合わせ得るタイミングで2次転写ニップに向けて送り出す。よって、2次転写ニップでは、中間転写ベルト51上の4色画像と転写紙Pとが密着せしめられる。そして、上記2次転写電界の影響によって正極性のトナーが転写紙Pに向けて引き寄せられて、4色画像が転写紙P上に2次転写される。4色画像は、白色の転写紙Pに転写されることでフルカラー画像となる。2次転写後の中間転写ベルト51上に残留する転写残トナーは、ベルトクリーニングユニット59によってクリーニングされる。
【0058】
2次転写ニップを通過した転写紙Pは、分離爪27によって中間転写ベルト51から分離された後、紙搬送ベルトユニット25によって定着ユニット26内に送られる。そして、定着ユニット26の加熱ローラ26aと加圧ローラ26bとで形成される定着ニップを通過してフルカラー画像が定着せしめられた後、機外へと排出される。
【0059】
本体内部には、Y,M,C,BK液体現像剤を収容する4つのトナーボトルや、絶縁性液体を収容するキャリアボトルが配設されている。これらから現像ユニット10Y,M,C,BK内に液体現像剤や絶縁性液体が適宜補給される。なお、Y,M,C,BK液体現像剤は、それぞれ特開平3−198084号公報、特開平3−200264号公報、特開平3−225356号公報、特開平3−291671号公報などで開示されているボールミルや3本ロールなどで製造されたものである。本変形例装置では、15〜20[%]濃度のトナーを、100〜1000[mPa・s]の絶縁性液体中に含有させた液体現像剤を用いるようにした。
【0060】
本発明者らは、次に列記する6種類の試験機を試作した。
(1)図3のプリンタに図4のアトライターを適用したもの。
(2)図3のプリンタに図13のアトライターを適用したもの。
(3)図14のプリンタに図4のアトライターを適用したもの。
(4)図14のプリンタに図13のアトライターを適用したもの。
(5)図15のプリンタに図4のアトライターを適用したもの。
(6)図15のプリンタに図13のアトライターを適用したもの。
【0061】
何れの試験機においても、トナーを粉砕することなく、経時的なトナー帯電量の減少を抑えることができた。但し、アトライターを使用しないと、経時的なトナー帯電量の減少が認められた。
【0062】
本発明を適用した画像形成装置としては、帯電量演算方式の変形例装置でもよい。この帯電量演算方式の変形例装置とは、帯電量変化情報たるトナー帯電量を、上述した帯電量検知手段の検知結果に基づいて取得するのではなく、演算によって取得するものである。具体的には、トナーの入れ替わりのない液体現像剤におけるトナー帯電量の経時的変化の特性式を予めの試験によって調べておき、演算式1として記憶させておく。また、補充手段たるトナー補給ポンプによる現像剤補充時間、現像ユニットの動作時間、及び累積画像面積と、トナー入れ替わりによるトナー帯電量の変化との関係式を予めの試験によって調べておく。そして、演算式2として制御機構に記憶させておく。また、アトライター等の再分散機構を動作させていない間の時間である分散停止時間、現像剤補充時間、現像ユニットの動作時間を連続停止時間として計時手段たる制御機構に計時させる。更に、累積画像面積も制御機構に演算させる。そして、トナーの入れ替わりがないと仮定した場合のトナー帯電量の経時的変化を、連続停止時間と演算式1とに基づいて演算させる。この経時的変化については、計時させた現像剤補充時間、現像ユニットの動作時間、累積画像面積の演算結果、及び演算式2に基づいて演算させたトナー入れ替わりによるトナー帯電変化量に基づいて補正させる。そうすれば、トナー帯電量を取得させることができる。
【0063】
本発明は画像形成装置ではなく、液体現像装置たる現像ユニットにも適用が可能である。この場合、電気特性評価機構16だけでなく、高電圧発生装置、及び電流測定器も現像ユニットに設けて、電流値の測定結果を画像形成装置の制御機構に送信させるようにすればよい。制御機構を除く電気特性評価機構16、高電圧発生装置及び電流測定器で帯電量検知手段を構成するのである。このようにすれば、画像形成装置の制御機構に対し、トナー帯電量に基づいたアトライター等の再分散機構の制御を実施させることができる。
【0064】
以上、実施形態のプリンタにおいては、帯電量検知手段を設けており、これによる検知結果に基づいて制御機構にトナー帯電量を取得させるようにしている。かかる構成によれば、帯電量演算方式の変形例装置よりも正確なトナー帯電量を取得させることができるので、アトライター内での過剰な応力負荷によるトナー粉砕をより確実に抑えることができる。
また、帯電量演算方式の変形例装置においては、演算によってトナー帯電量を取得させることができるので、帯電量検知手段の付設による装置構成の複雑化やコストアップを解消することができる。
また、実施形態のプリンタや各変形例装置においては、絶縁性液体として粘度が0.5〜1000[mPa・s]、沸点が100[℃]以上、電気抵抗が1×1012[Ωcm]以下、且つ表面張力が30[dyne/cm]以下のものを用いている。これにより、絶縁性液体の紙面残留に起因する汚れや画像の乱れを抑えることができる。加えて、絶縁性液体を危険物扱いにすることによる取り扱いの困難性を解消することもできる。更に、絶縁性液体の良好な揮発性に起因する液体現像剤の保存方法の困難化、プリンタ本体を密封構造にすることによる装置構成の複雑化やコストアップ、プリンタ設置環境の制限などを解消することもできる。更に、トナー間での電流リークによる現像不能化を解消することもできる。更に、トナーの濡れ性不良に伴うトナー塊付着による画質劣化を抑えることもできる。
また、実施形態のプリンタや各変形例装置においては、応力付与部材たるアジテータ23cの周速が1.0[m/sec]であるので、応力付与部材を1.0[m/sec]以上の速度で液体現像剤に衝突させるという条件を具備する。かかる構成では、液体現像剤に確実に化学的な非平衡状態を生起せしめて、トナー帯電量の経時的な変化をより確実に抑えることができる。
また、実施形態のプリンタでは、液体現像剤に含有させる絶縁性液体としてシリコーンオイルを用いている。このことにより、絶縁性液体の揮発による公害や、アトライター内部での固着を防止することができ、液体現像装置の製造や利用における作業環境の改善を図ることができる。しかも、固着を防止することで、アトライター内部の構成を簡素化して、メンテナンスの頻度も下げることが可能となる。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明から、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8の発明によれば、電荷制御剤補給機構の付設による装置構成の複雑化を解消しつつ、液体現像剤中のトナー帯電量をより安定させることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】トナーの電荷量の経時的な変化を示すグラフ。
【図2】初期と経時とにおける液体現像剤のトナーの粒径分布を示すグラフ。
【図3】実施形態に係るプリンタの主要概略構成図。
【図4】アトライターの構造を示す図。
【図5】トナー帯電量の回復性試験に用いた電気特性試験装置を示す模式図。
【図6】同電気特性試験装置における印加電圧の経時変化を示すグラフと、測定電流値の経時変化を示すグラフとを示す図。
【図7】同電気特性試験装置で得られた電流波形(初期現像剤による波形及び再分散動作なしの経時現像剤の波形)。
【図8】図7に、再分散現像剤の波形を重ねたグラフ。
【図9】同アトライターを動作させない条件下の液体現像剤における電流波形と、初期現像剤の電流波形とを示すグラフ。
【図10】(a)はボールミルを示す模式図。
(b)は高速回転によってミル内壁にボールを圧接させた状態のボールミルを示す模式図。
(c)は高速回転によってミル内でボールを滝状に落下させるボールミルを示す模式図。
(d)は適度な回転によってミル内でボールを転がすボールミルを示す模式図。
【図11】初期現像剤中のトナー粒径分布と、10サイクル現像剤中のトナー粒径分布とを示すグラフ。
【図12】サイクル回数とトナー帯電量との関係を示すグラフ。
【図13】搬送管にアトライター機能を付加した例を示す構成図。
【図14】イオノグラフィ方式を採用した変形例装置の主要概略構成図。
【図15】フルカラー方式の変形例装置を示す概略構成図。
【符号の説明】
1 感光体ドラム又は潜像担持ドラム(潜像担持体)
2 帯電ユニット
3 除電ランプ
4 ドラムクリーニングユニット
5 中間転写ローラ
6 転写バイアスローラ
10 現像ユニット(液体現像装置)
11 現像ローラ
14 現像タンク(現像剤収容部)
20 貯蔵タンク(現像剤収容部)
23 アトライター(応力付与手段)
23a ジャケット
23b タンク
23c アジテータ(応力付与部材)
23d 排出弁
23e バルブ
23f ビーズ
Claims (8)
- 液体中にトナーを含有する液体現像剤を収容する現像剤収容部と、該現像剤収容部内の液体現像剤に応力負荷を付与する応力付与手段とを有する液体現像装置と、少なくともこれを制御する制御手段とを備え、該液体現像装置によって潜像担持体上の潜像を現像する画像形成装置において、
上記現像剤収容部内の液体現像剤中におけるトナー帯電量の変化を示す帯電量変化情報に基づいて、上記応力付与手段の動作を制御させるように、上記制御手段を構成し、該現像剤収容部として、表面に担持した液体現像剤を上記潜像担持体上の潜像に付着させて該潜像を現像する現像部材に供給するための液体現像剤を収容する現像タンクと、新たに補給されてくる液体及びトナー、並びに該現像部材から回収された液体現像剤を貯蔵する貯蔵タンクとを設けるとともに、該貯蔵タンク内の液体現像剤を該現像タンクに搬送するための搬送管を設け、且つ、該搬送管内の液体現像剤に応力負荷を付与させるように該応力付与手段を配設したことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置において、
上記帯電量変化情報としての全トナー粒子の総電荷量が所定の基準値を下回ると上記応力付与手段を動作させる一方で、該総電荷量が所定の基準値まで回復すると該応力付与手段を停止させる制御を実施させるように上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置であって、
上記液体現像装置が上記現像剤収容部内の液体現像剤中におけるトナーの帯電量を検知する帯電量検知手段を備え、これによる検知結果に基づいて上記制御手段が上記帯電量変化情報を取得することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置であって、
上記現像剤収容部に新たな液体現像剤又はトナーを補充する補充手段と、
該補充手段による補充時間、上記液体現像装置の動作時間、及び上記応力付与手段の停止時間を計時する計時手段と、
形成した画像の累積画像面積率を演算する画像面積率演算手段とを備え、
上記制御手段が、該計時手段による計時結果と、該画像面積率演算手段による演算結果とに基づいて上記帯電量変化情報を取得することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至4の何れかの画像形成装置において、
上記液体現像剤は、上記液体の粘度が0.5〜1000[mPa・s]、電気抵抗が1×1012[Ωcm]以上、表面張力が30[dyne/cm]以下、沸点が100[℃]以上であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至5の何れかの画像形成装置であって、
上記応力付与手段が、液体現像剤に対して応力付与部材を1.0[m/sec]以上の速度で衝突させて応力を付与することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至6の何れかの画像形成装置において、
上記液体現像剤は、シリコーンオイルを上記液体として利用するものであることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至7の何れかの画像形成装置において、
上記液体現像剤として、電荷制御剤を含有するものを用いることを特徴とする画像形成装置。
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