JP5111554B2 - 液体現像剤、液体現像装置、湿式画像形成装置及び湿式画像形成方法 - Google Patents
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Description
まず、図面を参照して、本実施形態に係る液体現像装置及び湿式画像形成装置を説明する。なお、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を表す用語は、単に説明の明瞭化を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。また、以下の説明で用いられる「シート」という用語は、例えば、上質普通紙、プリント専用紙、コピー用紙、トレーシングペーパ、厚紙、OHPシート等、画像を形成することが可能なあらゆる記録媒体を意味する。
前記湿式画像形成装置1Aを用いてシートに画像を形成することにより、本実施形態に係る湿式画像形成方法が達成される。すなわち、本実施形態に係る湿式画像形成方法は、感光体ドラム10の表面を帯電させる帯電工程と、帯電された感光体ドラム10の表面に静電潜像を形成させる露光工程と、液体現像剤として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有し、セルロースエーテルを含有し、着色粒子は顔料である液体現像剤を用いて感光体ドラム10表面の静電潜像を現像する現像工程と、現像された画像をシートに転写する転写工程と、画像が転写されたシートを排出部6に排出する排出工程とを有する。本実施形態に係る湿式画像形成方法では、次に説明する液体現像剤を用いることにより、シートに転写された画像を熱や光のエネルギーを用いてシートに定着させる定着工程を経ることなく、シートに転写された画像をシートに定着させることができる。
本実施形態に係る液体現像剤は、基本的構成として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有する。液体現像剤はセルロースエーテルを含有する。着色粒子は顔料である。セルロースエーテルはエチルセルロースであることが好ましい。液体現像剤中のセルロースエーテルの含有量は1〜6質量%であることが好ましい。キャリア液としてトール油脂肪酸を含むことが好ましい。キャリア液全体におけるトール油脂肪酸の含有量は20〜90質量%であることが好ましい。
一般に、電気絶縁性のキャリア液は液体キャリアの役割を果たし、得られる液体現像剤の電気絶縁性を高めることを目的として用いられる。電気絶縁性のキャリア液としては、電気絶縁性を有するものであって、例えば、25℃における体積抵抗が1010Ω・cm以上(換言すれば導電率が100pS/cm以下)の有機溶剤が好ましい。このような電気絶縁性の有機溶剤としては常温で液体の脂肪族炭化水素が挙げられ、例えば、液状のn−パラフィン系炭化水素、iso−パラフィン系炭化水素、又はその混合物、ハロゲン化脂肪族炭化水素等が好ましい。具体的には、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、シクロヘキサン、パークロロエチレン、トリクロロエタン等が挙げられる。分岐鎖を有する脂肪族炭化水素も好ましく用いられ得る。VOCの観点から、揮発性の相対的に低いもの(例えば沸点が200℃以上のもの等)が好ましく、例えば、炭素数が16以上の脂肪族炭化水素を比較的多く含む流動パラフィン等が好ましく用いられ得る。
本実施形態では、着色粒子として、顔料を結着樹脂に分散させたトナーではなく、顔料そのものを用いる。そのような顔料としては、例えば、従来公知の有機顔料や無機顔料を特に限定することなく用いることができる。
本実施形態に係る液体現像剤は、液体現像剤中の粒子の分散を促進し安定化するための分散安定剤を含有してもよい。本実施形態で使用し得る分散安定剤としては、例えば、ビックケミー社製の「BYK−116」等が好適である。その他、ルーブリゾール社製の「ソルスパース9000」、「ソルスパース11200」、「ソルスパース13940」、「ソルスパース16000」、「ソルスパース17000」、「ソルスパース18000」や、ISP社製の「Antaron(登録商標)V−216」、「Antaron(登録商標)V−220」等も好ましく用いられ得る。
本実施形態に係る液体現像剤は、セルロースエーテルを含有する。セルロースエーテルは、セルロース分子内の水酸基がアルコキシ基に置換された高分子である。置換率は、45〜49.5%が好ましい。また、アルコキシ基のアルキル部分が例えばヒドロキシル基等によって置換されていてもよい。セルロースエーテルによって形成された被膜は、強靭性、熱安定性等に優れている。
本実施形態に係る液体現像剤は、キャリア液、顔料、セルロースエーテル、及び、状況に応じて分散安定剤を、例えば、ボールミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ロッキングミル等を用いて(ジルコニアビーズ等を用いるメディア分散型機でもよい)、状況に応じて数分〜10数時間かけて、十分に溶解又は混合・分散させることにより、製造することができる。
セルロースエーテルとしてのエチルセルロース(ダウケミカル社製の「エトセル(登録商標)STD4」(エトキシ化率:45〜49.5%))5.1質量部を、キャリア液としてのトール油脂肪酸(ハリマ化成社製の「ハートールFA−1」)95.2質量部に溶解させることにより、樹脂溶液を調製した。一方、キャリア液としての流動パラフィン(松村石油研究所社製の「モレスコホワイトP−200」)71.2質量部に、着色粒子としてのシアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3)20質量部と、分散安定剤としてのISP社製の「Antaron(登録商標)V−216」8質量部とを、ロッキングミル(セイワ技研社製の「RM−10」)を用いて、駆動周波数60Hzにて、1時間、混合・分散させることにより、顔料分散体を調製した。顔料分散体中の顔料の平均粒子径(D50)は0.5μmであった。そして、樹脂溶液と顔料分散体とを3:1の混合比(質量比)で混合することにより、表1に示すように、顔料を5質量%、エチルセルロースを3.8質量%含有し、キャリア液全体におけるトール油脂肪酸の含有量が80質量%である、シアンの液体現像剤Aを製造した。
樹脂溶液中のエチルセルロースの含有量を1.33質量部、トール油脂肪酸の含有量を98.1質量部とし、顔料分散体中の流動パラフィンの含有量を73.6質量部とした他は、液体現像剤Aの製造と同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、エチルセルロースを1.0質量%含有し、キャリア液全体におけるトール油脂肪酸の含有量が80質量%である、シアンの液体現像剤Bを製造した。
樹脂溶液中のエチルセルロースの含有量を8質量部、トール油脂肪酸の含有量を92.8質量部とし、顔料分散体中の流動パラフィンの含有量を69.6質量部とした他は、液体現像剤Aの製造と同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、エチルセルロースを6.0質量%含有し、キャリア液全体におけるトール油脂肪酸の含有量が80質量%である、シアンの液体現像剤Cを製造した。
樹脂溶液中のトール油脂肪酸の含有量を107.2質量部とし、顔料分散体中の流動パラフィンの含有量を35.2質量部とした他は、液体現像剤Aの製造と同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、エチルセルロースを3.8質量%含有し、キャリア液全体におけるトール油脂肪酸の含有量が90質量%である、シアンの液体現像剤Dを製造した。
樹脂溶液中のエチルセルロースの含有量を1.33質量部、トール油脂肪酸の含有量を24.5質量部とし、顔料分散体中の流動パラフィンの含有量を294.4質量部とした他は、液体現像剤Aの製造と同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、エチルセルロースを1.0質量%含有し、キャリア液全体におけるトール油脂肪酸の含有量が20質量%である、シアンの液体現像剤Eを製造した。
樹脂溶液中のエチルセルロースの含有量を0.67質量部、トール油脂肪酸の含有量を98.7質量部とし、顔料分散体中の流動パラフィンの含有量を74質量部とした他は、液体現像剤Aの製造と同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、エチルセルロースを0.5質量%含有し、キャリア液全体におけるトール油脂肪酸の含有量が80質量%である、シアンの液体現像剤Fを製造した。
樹脂溶液中のエチルセルロースの含有量を9.3質量部、トール油脂肪酸の含有量を91.7質量部とし、顔料分散体中の流動パラフィンの含有量を68.8質量部とした他は、液体現像剤Aの製造と同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、エチルセルロースを7.0質量%含有し、キャリア液全体におけるトール油脂肪酸の含有量が80質量%である、シアンの液体現像剤Gを製造した。
樹脂溶液中のトール油脂肪酸の含有量を113.1質量部とし、顔料分散体中の流動パラフィンの含有量を17.6質量部とした他は、液体現像剤Aの製造と同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、エチルセルロースを3.8質量%含有し、キャリア液全体におけるトール油脂肪酸の含有量が95質量%である、シアンの液体現像剤Hを製造した。
樹脂溶液中のエチルセルロースの含有量を1.33質量部、トール油脂肪酸の含有量を18.4質量部とし、顔料分散体中の流動パラフィンの含有量を312.8質量部とした他は、液体現像剤Aの製造と同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、エチルセルロースを1.0質量%含有し、キャリア液全体におけるトール油脂肪酸の含有量が15質量%である、シアンの液体現像剤Iを製造した。
キャリア液としての流動パラフィン(松村石油研究所社製の「モレスコホワイトP−200」)18.6質量部に、着色粒子としてのシアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3)5質量部と、分散安定剤としてのISP社製の「Antaron(登録商標)V−216」2質量部とを、ロッキングミル(セイワ技研社製の「RM−10」)を用いて、駆動周波数60Hzにて、1時間、混合・分散させ、さらに、キャリア液としてのトール油脂肪酸(ハリマ化成社製の「ハートールFA−1」)74.4質量部を混合することにより、表1に示すように、顔料を5質量%含有するが、エチルセルロースを含有せず、キャリア液全体におけるトール油脂肪酸の含有量が80質量%である、シアンの液体現像剤Jを製造した。
液体現像剤A〜Jの導電率を、日置電機株式会社製の超絶縁計「SM−8220」及び日置電機株式会社製の液体試料用電極「SME−8330」(電極定数:500)を用いて測定した。すなわち、液体試料用電極に液体現像剤を25mL入れ、25℃の環境下、印加電圧100V、印加時間180秒の条件で、液体現像剤の電気抵抗(Ω)を測定し、得られた電気抵抗から導電率を次式(1)に基づき算出した:導電率(pS/cm)=1/{(電気抵抗(Ω)×電極定数(cm))×1012} …(1)。
図1に示された、定着部を備えていない湿式画像形成装置(カラープリンタ)1A(京セラミタ社製の湿式画像形成装置の実験機、線速:116mm/s)を用い、シアンの画像形成ユニットFCにシアンの液体現像剤A〜Jを仕込んで、シートとしてのプリント専用紙(三菱製紙社製の湿式現像専用紙「EP−L」:128g/m2)上に、顔料載り量で0.026mg/cm2相当の均一塗りつぶしの正方形のソリッド画像(5cm×5cm)を形成した。その場合に、現像ローラ141の周面上における液体現像剤層の厚みを5μmに設定した。また、画像データに基づいた画像を感光体ドラム10の表面に形成するときに現像ローラ141に印加する現像電界を400Vとした。そして、排出部6に排出されたシートを定着性評価及び画像評価に供した。その他の画像形成条件を以下に示す。
・現像ローラ帯電装置147による現像コロナチャージのバイアス電位:4000V
・中間転写ベルト21:導電性が付与されたポリイミド製
・感光体ドラム10の暗電位:+550V
・感光体ドラム10の明電位:+10V
・一次転写ローラ20による一次転写電圧:300V(定電圧制御)
・二次転写部4における二次転写電流:40μA(定電流制御)
二次転写部4によりソリッド画像がシートに転写され、排出部6に排出されたシートの画像部分について定着性を評価するために、耐擦過性試験を行った。すなわち、二次転写部4により画像が形成されてから5秒後に、その画像部分の上に、質量が300gの金属製の円柱状の錘(直径:50mm、底面に布(サラシ)をあてたもの)を置き、画像を左右に横切って画像の外まで移動するようにその錘を10往復移動させた。画像が錘の質量で摩擦され、摩耗したか否かを見るために、ソリッド画像の周囲の部分であって錘が移動した部分について、濃度(周囲濃度)を分光濃度計(グレタグマクベス社製の「X−riteスペクトロアイ」)を用いて測定した。定着性の評価基準は、濃度(周囲濃度)が0.01未満のものを「○」、0.01以上、0.05未満のものを「△」、0.05以上のものを「×」とした。なお、この試験は、セルロースエーテルの被膜の乾燥性の試験を兼ねている。
ソリッド画像の濃度を分光濃度計(グレタグマクベス社製の「X−riteスペクトロアイ」)を用いて測定した。評価基準は、画像濃度が1.1以上のものを「○」、0.7以上、1.1未満のものを「△」、0.7未満のものを「×」とした。また、ソリッド画像以外の非画像部の濃度を分光濃度計(グレタグマクベス社製の「X−riteスペクトロアイ」)を用いて測定した。より詳しくは、画像形成後の非画像部の濃度から画像形成前の非画像部の濃度を差し引いた値をかぶり濃度として算出した。評価基準は、かぶり濃度が0.02未満のものを「○」、0.02以上0.06未満のものを「△」、0.06以上のものを「×」とした。
表2から明らかなように、キャリア液中に顔料が分散された液体現像剤において、セルロースエーテルを含有する液体現像剤A〜Iは、セルロースエーテルを含有しない液体現像剤Jに比べて、定着性に優れていた。
2 画像形成部
4 二次転写部(転写装置)
6 排出部
7 シート搬送部
10 感光体ドラム
11 帯電装置
12 露光装置
14 液体現像装置
20 一次転写ローラ(転写装置)
21 中間転写ベルト(転写装置)
141 現像ローラ
142 供給ローラ(アニロックスローラ)
147 現像ローラ帯電装置
Claims (8)
- 電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有する液体現像剤であって、
セルロースエーテルをキャリア液に溶解した状態で含有し、
着色粒子は顔料であることを特徴とする液体現像剤。 - セルロースエーテルはエチルセルロースであることを特徴とする請求項1に記載の液体現像剤。
- セルロースエーテルの含有量が1〜6質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体現像剤。
- キャリア液としてトール油脂肪酸を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体現像剤。
- キャリア液全体におけるトール油脂肪酸の含有量が20〜90質量%であることを特徴とする請求項4に記載の液体現像剤。
- 液体現像剤を用いて感光体ドラム表面の静電潜像を現像する液体現像装置であって、
液体現像剤として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有し、セルロースエーテルをキャリア液に溶解した状態で含有し、着色粒子は顔料である液体現像剤を用いることを特徴とする液体現像装置。 - 感光体ドラムの表面を帯電させる帯電装置と、帯電された感光体ドラムの表面に静電潜像を形成させる露光装置と、液体現像剤を用いて感光体ドラム表面の静電潜像を現像する液体現像装置と、現像された画像を記録媒体に転写する転写装置とを備える湿式画像形成装置であって、
液体現像剤として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有し、セルロースエーテルをキャリア液に溶解した状態で含有し、着色粒子は顔料である液体現像剤を用いることを特徴とする湿式画像形成装置。 - 感光体ドラムの表面を帯電させる帯電工程と、帯電された感光体ドラムの表面に静電潜像を形成させる露光工程と、液体現像剤として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有し、セルロースエーテルをキャリア液に溶解した状態で含有し、着色粒子は顔料である液体現像剤を用いて感光体ドラム表面の静電潜像を現像する現像工程と、現像された画像を記録媒体に転写する転写工程と、画像が転写された記録媒体を排出部に排出する排出工程とを有することを特徴とする湿式画像形成方法。
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