JP5111553B2 - 液体現像剤、液体現像装置、湿式画像形成装置及び湿式画像形成方法 - Google Patents
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まず、図面を参照して、本実施形態に係る液体現像装置及び湿式画像形成装置を説明する。なお、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を表す用語は、単に説明の明瞭化を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。また、以下の説明で用いられる「シート」という用語は、例えば、上質普通紙、コピー用紙、トレーシングペーパ、厚紙、OHPシート等、画像を形成することが可能なあらゆる記録媒体を意味する。
前記湿式画像形成装置1Aを用いてシートに画像を形成することにより、本実施形態に係る湿式画像形成方法が達成される。すなわち、本実施形態に係る湿式画像形成方法は、感光体ドラム10の表面を帯電させる帯電工程と、帯電された感光体ドラム10の表面に静電潜像を形成させる露光工程と、液体現像剤として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有し、環状オレフィン共重合体を含有し、着色粒子は顔料である液体現像剤を用いて感光体ドラム10表面の静電潜像を現像する現像工程と、現像された画像をシートに転写する転写工程と、画像が転写されたシートを排出部6に排出する排出工程とを有する。本実施形態に係る湿式画像形成方法では、次に説明する液体現像剤を用いることにより、シートに転写された画像を熱や光のエネルギーを用いてシートに定着させる定着工程を経ることなく、シートに転写された画像をシートに定着させることができる。
本実施形態に係る液体現像剤は、基本的構成として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有する。液体現像剤は環状オレフィン共重合体を含有する。着色粒子は顔料である。環状オレフィン共重合体は、ノルボルネンとエチレンとの共重合体であることが好ましい。液体現像剤中における環状オレフィン共重合体の含有量は、2〜8質量%であることが好ましい。
一般に、電気絶縁性のキャリア液は液体キャリアの役割を果たし、得られる液体現像剤の電気絶縁性を高めることを目的として用いられる。電気絶縁性のキャリア液としては、電気絶縁性を有するものであって、例えば、25℃における体積抵抗が1010Ω・cm以上(換言すれば電気伝導度が100pS/cm以下)の有機溶剤が好ましい。このような電気絶縁性の有機溶剤としては常温で液体の脂肪族炭化水素が挙げられ、例えば、液状のn−パラフィン系炭化水素、iso−パラフィン系炭化水素、又はその混合物、ハロゲン化脂肪族炭化水素等が好ましい。具体的には、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、シクロヘキサン、パークロロエチレン、トリクロロエタン等が挙げられる。分岐鎖を有する脂肪族炭化水素も好ましく用いられ得る。VOCの観点から、揮発性の相対的に低いもの(例えば沸点が200℃以上のもの等)が好ましく、例えば、炭素数が16以上の脂肪族炭化水素を比較的多く含む流動パラフィン等が好ましく用いられ得る。
本実施形態では、着色粒子として、顔料を結着樹脂に分散させたトナーではなく、顔料そのものを用いる。そのような顔料としては、例えば、従来公知の有機顔料や無機顔料を特に限定することなく用いることができる。
本実施形態に係る液体現像剤は、液体現像剤中の粒子の分散を促進し安定化するための分散安定剤を含有してもよい。本実施形態で使用し得る分散安定剤としては、例えば、ビックケミー社製の「BYK−116」等が好適である。その他、ルーブリゾール社製の「ソルスパース9000」、「ソルスパース11200」、「ソルスパース13940」、「ソルスパース16000」、「ソルスパース17000」、「ソルスパース18000」や、ISP社製の「Antaron(登録商標)V−216」、「Antaron(登録商標)V−220」等も好ましく用いられ得る。
本実施形態に係る液体現像剤は、環状オレフィン共重合体を含有する。環状オレフィン共重合体は、環状オレフィン骨格を主鎖に有し、環境負荷物質を含まない、非晶性で熱可塑性のオレフィン系樹脂であり、透明性、軽量性、低吸水性等に優れている。より詳しくは、本実施形態においては、環状オレフィン共重合体は、主鎖が炭素−炭素結合からなり、主鎖の少なくとも一部に環状炭化水素構造を有する高分子化合物である。この環状炭化水素構造は、ノルボルネンやテトラシクロドデセンに代表されるような、環状炭化水素構造中に少なくとも一つのオレフィン性二重結合を有する化合物(環状オレフィン)を単量体として用いることで導入される。
(a)シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン;
(b)シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等の1環の環状オレフィン;
(c)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環の環状オレフィン;
(d)トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;
(e)トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンとの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン;
(f)5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の3環の環状オレフィン;
(g)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(テトラシクロドデセン)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等の4環の環状オレフィン;
(h)8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン;
(i)テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−へキサヒドロアントラセン);
(j)ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]−14−エイコセン;
(k)シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィン;等が挙げられる。これらの環状オレフィンは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係る液体現像剤は、キャリア液、顔料、環状オレフィン共重合体、及び、状況に応じて分散安定剤を、例えば、ボールミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ロッキングミル等を用いて(ジルコニアビーズ等を用いるメディア分散型機でもよい)、状況に応じて数分〜10数時間かけて、十分に溶解又は混合・分散させることにより、製造することができる。
環状オレフィン共重合体として、ノルボルネンとエチレンとの共重合体(トパース・アドヴァンスト・ポリマーズ・ゲーエムベーハー社製の「TOPAS(登録商標)TM」(ノルボルネン含有率:約60質量%、ガラス転移温度:約60℃))5質量部を、キャリア液としての流動パラフィン(松村石油研究所社製の「モレスコホワイトP−200」)95質量部に溶解させることにより、樹脂溶液を調製した。一方、キャリア液としての流動パラフィン(松村石油研究所社製の「モレスコホワイトP−200」)72質量部に、着色粒子としてのシアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3)20質量部と、分散安定剤としてのISP社製の「Antaron(登録商標)V−216」8質量部とを、ロッキングミル(セイワ技研社製の「RM−10」)を用いて、駆動周波数60Hzにて、1時間、混合・分散させることにより、顔料分散体を調製した。顔料分散体中の顔料の平均粒子径(D50)は0.5μmであった。そして、樹脂溶液と顔料分散体とを3:1の混合比(質量比)で混合することにより、表1に示すように、顔料を5質量%、環状オレフィン共重合体を3.75質量%含有するシアンの液体現像剤Aを製造した。
樹脂溶液中の環状オレフィン共重合体の含有量を1.34質量部、キャリア液の含有量を98.66質量部とした他は、液体現像剤Aの製造と同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、環状オレフィン共重合体を1質量%含有するシアンの液体現像剤Bを製造した。
樹脂溶液中の環状オレフィン共重合体の含有量を2.67質量部、キャリア液の含有量を97.33質量部とした他は、液体現像剤Aの製造と同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、環状オレフィン共重合体を2質量%含有するシアンの液体現像剤Cを製造した。
樹脂溶液中の環状オレフィン共重合体の含有量を10.67質量部、キャリア液の含有量を89.33質量部とした他は、液体現像剤Aの製造と同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、環状オレフィン共重合体を8質量%含有するシアンの液体現像剤Dを製造した。
樹脂溶液中の環状オレフィン共重合体の含有量を12質量部、キャリア液の含有量を88質量部とした他は、液体現像剤Aの製造と同様にして、表1に示すように、顔料を5質量%、環状オレフィン共重合体を9質量%含有するシアンの液体現像剤Eを製造した。
キャリア液としての流動パラフィン(松村石油研究所社製の「モレスコホワイトP−200」)93質量部に、着色粒子としてのシアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3)5質量部と、分散安定剤としてのISP社製の「Antaron(登録商標)V−216」2質量部とを混合・分散させることにより、表1に示すように、顔料を5質量%含有するが、環状オレフィン共重合体を含有しないシアンの液体現像剤Fを製造した。
図1に示された、定着部を備えていない湿式画像形成装置(カラープリンタ)1A(京セラミタ社製の湿式画像形成装置の実験機)を用い、シアンの画像形成ユニットFCにシアンの液体現像剤A〜Fを仕込んで、シートとしての上質普通紙(王子製紙社製のC2紙:90g/m2)上に、顔料載り量で0.026mg/cm2相当の均一塗りつぶしの正方形のソリッド画像(5cm×5cm)を形成した。その場合に、現像ローラ141の周面上における液体現像剤層の厚みを5μmに設定した。また、画像データに基づいた画像を感光体ドラム10の表面に形成するときに現像ローラ141に印加する現像電界を400Vとした。そして、排出部6に排出されたシートを下記の定着性試験に供した。
二次転写部4によりソリッド画像がシートに転写され、排出部6に排出されたシートの画像部分について定着性を評価するために、耐擦過性試験を行った。すなわち、二次転写部4により画像が形成されてから5秒後に、その画像部分の上に、質量が300gの金属製の円柱状の錘(直径:50mm、底面に布(サラシ)をあてたもの)を置き、画像を左右に横切って画像の外まで移動するようにその錘を10往復移動させた。画像が錘の質量で摩擦され、摩耗したか否かを見るために、ソリッド画像の周囲の部分であって錘が移動した部分について、濃度(画像周囲濃度)を分光濃度計(グレタグマクベス社製の「X−riteスペクトロアイ」)で測定した。定着性の評価基準は、濃度(画像周囲濃度)が0.01未満のものを「○」、濃度(画像周囲濃度)が0.01以上、0.05未満のものを「△」、濃度(画像周囲濃度)が0.05以上のものを「×」とした。なお、この試験は、環状オレフィン共重合体の被膜の乾燥性の試験を兼ねている。
表1から明らかなように、キャリア液中に顔料が分散された液体現像剤において、環状オレフィン共重合体を含有する液体現像剤A〜Eは、環状オレフィン共重合体を含有しない液体現像剤Fに比べて、定着性に優れていた。
2 画像形成部
4 二次転写部(転写装置)
6 排出部
7 シート搬送部
10 感光体ドラム
11 帯電装置
12 露光装置
14 液体現像装置
20 一次転写ローラ(転写装置)
21 中間転写ベルト
141 現像ローラ
142 供給ローラ(アニロックスローラ)
147 現像ローラ帯電装置
Claims (6)
- 電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有する液体現像剤であって、
環状オレフィン共重合体をキャリア液に溶解した状態で含有し、
着色粒子は顔料であることを特徴とする液体現像剤。 - 環状オレフィン共重合体は、ノルボルネンとエチレンとの共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の液体現像剤。
- 環状オレフィン共重合体の含有量が2〜8質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体現像剤。
- 液体現像剤を用いて感光体ドラム表面の静電潜像を現像する液体現像装置であって、
液体現像剤として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有し、環状オレフィン共重合体をキャリア液に溶解した状態で含有し、着色粒子は顔料である液体現像剤を用いることを特徴とする液体現像装置。 - 感光体ドラムの表面を帯電させる帯電装置と、帯電された感光体ドラムの表面に静電潜像を形成させる露光装置と、液体現像剤を用いて感光体ドラム表面の静電潜像を現像する液体現像装置と、現像された画像を記録媒体に転写する転写装置とを備える湿式画像形成装置であって、
液体現像剤として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有し、環状オレフィン共重合体をキャリア液に溶解した状態で含有し、着色粒子は顔料である液体現像剤を用いることを特徴とする湿式画像形成装置。 - 感光体ドラムの表面を帯電させる帯電工程と、帯電された感光体ドラムの表面に静電潜像を形成させる露光工程と、液体現像剤として、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有し、環状オレフィン共重合体をキャリア液に溶解した状態で含有し、着色粒子は顔料である液体現像剤を用いて感光体ドラム表面の静電潜像を現像する現像工程と、現像された画像を記録媒体に転写する転写工程と、画像が転写された記録媒体を排出部に排出する排出工程とを有することを特徴とする湿式画像形成方法。
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