JP3875088B2 - 酸−エポキシ架橋エマルション組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エマルション組成物に関する。更に詳しくは、酸−エポキシ架橋エマルションを含有するエマルション組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エマルション組成物は、例えば、カーペット、カーテン等の繊維処理剤等として用いることができるが、架橋性モノマーを使用して成膜した塗膜の強度等の物性が優れるていることから、これらの製品に強度等の物性を付与するために用いることができる。このようなエマルション組成物としては、酸−エポキシ架橋エマルションや、単量体成分としてN−メチロールアクリルアミドを用いて乳化重合してなる架橋エマルションを含む組成物が挙げられる。
【0003】
しかしながら、酸−エポキシ架橋エマルションを用いる場合、硬化塗膜の強度は発現するものの、繊維処理剤の用途で要求されるような風合いが発現しなかった。この場合、環境対応を考慮したノンホルマリンの用途で有望であることから、硬化塗膜の強度と共に風合いも発現することができるように研究する余地があった。一方、N−メチロールアクリルアミドによる架橋エマルションを用いる場合、硬化塗膜の強度と共に風合いも発現することができるが、ホルマリンを発生するため、ノンホルマリンの用途には適用できないという問題があった。
【0004】
ところで、エマルション組成物の中でも難燃剤を含有する場合には、難燃性を付与する繊維処理剤等として用いることが可能となるが、このようなエマルション組成物としては、燃焼時の酸化反応を抑制する効果が高いハロゲン化合物を難燃剤として含有するものが広く用いられている。
【0005】
このように、ハロゲン化合物を難燃剤として含有するエマルション組成物に関する技術として、特開平2−265973号公報には、不飽和単量体100重量部に対し難燃剤の有機ハロゲン化物を0.3〜100重量部添加して乳化重合させて得られた樹脂水性エマルジョンが開示されている。また、特開平5−25447号公報にも、難燃化成分としてハロゲン原子を含有する樹脂水性エマルジョンが開示されている。更に、特開平8−34893号公報には、特定組成の樹脂水性エマルジョン混合液に、難燃剤を該混合液の全樹脂固形分量100重量部に対し1〜20重量部の割合で配合してなる難燃性樹脂水性エマルジョン組成物に関し、難燃剤として、ハロゲン化合物や三酸化アンチモン、五酸化アンチモンを用いた実施例が開示されている。
【0006】
しかしながら、このようにハロゲン化合物を含有するエマルション組成物では、優れた難燃性は獲得できるものの、環境を汚染してしまうおそれがあるため、昨今の環境問題への意識の高まりから、ハロゲン化合物を実質的に含有しないものが求められている。一方、非ハロゲン化合物を難燃剤とする場合、通常ではハロゲン化合物を含有する場合と同等の難燃性を付与することができない。従って、エマルション組成物においては、非ハロゲン化合物を難燃剤とし、しかもハロゲン化合物を含有する場合と同等の難燃性を付与することができるように研究する余地もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、硬化塗膜の強度と共に風合いも発現することができ、しかも、ノンホルマリンの用途も含めて様々な用途に対応することができるエマルション組成物を提供することを目的とする。また、本発明の第2の目的は、更に、難燃性があるエマルション組成物を提供することである。具体的には、非ハロゲン系の難燃性エマルション組成物を提供することである。具体的には、エマルション組成物の形成時に酸基とエポキシ基が反応して架橋する形態の酸−エポキシ架橋エマルション組成物である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、硬化塗膜の強度と共に風合いも発現することができるエマルション組成物について種々検討するうちに、ガラス転移温度−20〜10℃を示す酸−エポキシ架橋エマルションを用いると、通常では繊維処理剤等とする場合に硬化塗膜の強度は充分であるが風合いが発現しないことになるが、沸点300℃以上の可塑剤を含有させることにより、風合いも発現することに着目し、酸−エポキシ架橋エマルション組成物の硬化塗膜物性を適切な範囲に調整することにより、繊維処理剤等として適切に使用することが可能となり、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。また、可塑剤としてリン系可塑剤を用い、リン系可塑剤の存在下で乳化重合してなる酸−エポキシ架橋エマルションを用いると、難燃性を付与することができるうえに、リン系可塑剤が均一に分散しやすくなって難燃剤に起因するベタツキや難燃性のムラを解消することができることも見いだした。更に、酸−エポキシ架橋エマルション組成物の硬化塗膜物性のうち、タック値を適切な範囲に調整することにより、沸点300℃以上の可塑剤を含有させることに起因する硬化塗膜のベタツキが繊維処理剤等としてより適切に使用することができる範囲となることや、この場合に通常では後添加することのない界面活性剤を用いると好適であることも見いだし、本発明に到達したものである。
【0009】
すなわち本発明は、ガラス転移温度が−20〜10℃であるエマルションと沸点300℃以上の可塑剤とを含有する酸−エポキシ架橋エマルション組成物であって、上記酸−エポキシ架橋エマルション組成物の硬化塗膜物性は、上記エマルションが硬化した後に、伸びが1000〜1500%であり、強度が2.0×105 〜4.9×105 N/m2 であり、100%モジュラスが0.98×104 〜2.0×104 N/m2 となる酸−エポキシ架橋エマルション組成物である。
以下に、本発明を詳述する。
【0010】
本発明のエマルション組成物は、ガラス転移温度が−20〜10℃であるエマルションと沸点300℃以上の可塑剤とを含有する酸−エポキシ架橋エマルション組成物である。
本発明においては、エマルションが示すガラス転移温度を特定範囲に設定することで硬化塗膜に強度をもたせ、更に高い沸点の可塑剤を配合することで硬化塗膜に柔軟性を付与する。これらの作用が相まって硬化塗膜が適度な伸び、強度及びヤング率を示し、これらの物性値を特定の範囲とすることにより硬化塗膜の強度と風合いとを両立することが可能となる。このように硬化塗膜の強度と風合いとを両立することは、ノンホルマリンを実現することができる酸−エポキシ架橋エマルション組成物では従来できないことであった。本発明の作用効果をより発揮させるためには、エマルションが示すガラス転移温度は、−15〜10℃とすることが好ましい。より好ましくは、−10〜10℃である。また、可塑剤の沸点は、300〜400℃とすることが好ましい。より好ましくは、310〜380℃である。なお、エマルションが示すガラス転移温度とは、乳化重合することによってエマルションを形成する単量体成分に含まれる単量体の種類や使用量から算出することができる。具体的には、上記の、本発明の酸−エポキシ架橋エマルション組成物が示すガラス転移温度であるが、本発明の酸−エポキシ架橋エマルション組成物を形成する単量体成分が有する物性である、単量体成分のホモポリマーとしてのガラス転移温度と、各単量体成分の使用量から計算して求めることもできるし、また可塑剤等が含まれないエマルション組成物の重合体固形分を分離し、示唆熱分析(DTAやDSC)等により算出することもできる。本発明における、ガラス転移温度が−20〜10℃であるエマルションとは、具体的には、エマルション形成用各単量体成分から、Foxの式に従って算出したエマルションに含まれる重合体成分の計算上のガラス転移温度が−20〜10℃であるエマルションである。Foxの式とは以下に示す式である。
Foxの式:1/(Tg+273)=Σ〔Wi/Tgi+273)〕
Tg(℃):ガラス転移点
Wi:各モノマー成分の重量分率
Tgi:各モノマー成分の単独重合体のガラス転移点
【0011】
本発明では、酸−エポキシ架橋エマルション組成物がハロゲン化合物を実質的に含有しない形態とすることが、すなわち、ハロゲン化合物を意図的に含有しないようにすることが好ましい。このような形態のエマルション組成物では、例えば、ハロゲン化合物の含有量を1000ppm以下とすることが好ましい。より好ましくは、800ppm以下であり、更に好ましくは、600ppm以下であり、特に好ましくは、400ppm以下であり、最も好ましくは、200ppm以下である。
【0012】
上記沸点300℃以上の可塑剤としては特に限定されず、1種又は2種以上を用いることができるが、例えば、難燃剤としても作用することから、リン系可塑剤等が好適である。また、リン系可塑剤としては、リン酸エステル類や有機フォスフィン類等の非ハロゲンリン系可塑剤が好適であり、このような化合物を用いることによりハロゲン化合物を配合しなくても酸−エポキシ架橋エマルション組成物に難燃性を付与することが可能となる。本発明では、可塑剤としてリン系可塑剤を用いる場合、酸−エポキシ架橋エマルション組成物が水酸基を有することが好ましい。これにより、リン系可塑剤と水酸基とが存在することによる相乗作用によって優れた難燃性を付与することができる。このような形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。なお、酸−エポキシ架橋エマルション組成物が水酸基を有するためには、水酸基を有する重合体や水酸基を有する化合物を含有すればよい。
【0013】
上記非ハロゲン系リン系可塑剤としては、例えば、トリアリールフォスフェート、トリクレンジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、キシレニルジフェニルフォスフェート、クレンジルビス(ジ−2,6−キシレニル)フォスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルフォスフェート、ジメチルメチルフォスフェート等の非ハロゲンリン酸エステル単量体;レゾルシノールビス(ジフェニル)フォスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)フォスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレジル)フォスフェート、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニル)フォスフェート等の非ハロゲンリン酸エステル縮合体;ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルフォスフェート等のフォスフォネード;トリフェニルフォスフィン、トリブチルフォスフィン等の有機フォスフィン類等が挙げられる。これらの中でも、トリアリールフォスフェートを用いることが好ましい。
【0014】
本発明の酸−エポキシ架橋エマルション組成物中の沸点300℃以上の可塑剤の存在量としては特に限定されず、エマルション組成物の硬化塗膜物性が後述する範囲となるように可塑剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。例えば、リン系可塑剤を用いる場合であれば、エマルションを形成することになる単量体成分及びリン系可塑剤の合計重量100重量%に対して、3〜30重量%とすることが好ましい。より好ましくは、5〜20重量%であり、更に好ましくは、5〜10重量%である。
【0015】
本発明におけるエマルションとは、酸基を有する単量体及びエポキシ基を有する単量体から形成されるエマルションである。つまり、エマルション形成時に酸基とエポキシ基が反応して架橋するような重合形態をとるエマルションであれば特に限定されない。例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体、及びグリシジル基を有する不飽和単量体を必須とする単量体成分を、界面活性剤の存在下で乳化重合する方法等により製造することができる。本発明の酸−エポキシ架橋エマルション組成物は、より具体的には上述の重合形態をとることによって得られたエマルション粒子が有する酸基とエポキシ基とが、重合中に部分的に架橋反応を起こし、結果として架橋構造をもつエマルション粒子を含んでいる形態になる。また、エマルションを形成することになる単量体成分中の単量体の種類や使用量等は、使用する可塑剤の種類等やエマルション組成物の硬化塗膜物性等を考慮して適宜設定することになる。例えば、リン系可塑剤を用いる場合では、単量体成分及び可塑剤の合計100重量%に対して、カルボキシル基を有する重合性単量体を0.3〜3.0重量%及びグリシジル基を有する不飽和単量体を0.5〜5.0重量%とすることが好ましい。より好ましくは、カルボキシル基を有する重合性単量体を0.5〜2.0重量%及びグリシジル基を有する不飽和単量体を0.7〜3.0重量%とすることである。また、カルボキシル基とグリシジル基との存在割合を、グリシジル基1モルに対して、カルボキシル基のモル比率が0.5〜1.5モルとなるようにすることが好ましい。より好ましくは、カルボキシル基のモル比率が0.7〜1.2モルとなるようにすることである。
【0016】
また、本発明における酸−エポキシ架橋エマルションの好ましい製造形態としては、上記のうち、カルボキシル基を有する重合性単量体及びグリシジル基を有する重合性単量体を必須とする単量体成分を使用して乳化重合して得る方法である。この製造方法を採用することによって、乳化重合中に、酸基とエポキシ基の間で架橋反応が一部進行し、エマルションが形成されると共にそのエマルションがもつ酸基とエポキシ基との間で、部分架橋構造が形成され、物性が良好な架橋エマルションが形成される。その結果より物性を向上させることができる。具体的には、本発明のエマルションの好ましい形態は、酸−エポキシ架橋エマルションであって、エマルションがもつ酸基とエポキシ基との間で部分架橋構造を有するエマルションである。
【0017】
上記酸−エポキシ架橋エマルションを形成する単量体成分において、カルボキシル基を有する重合性単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノメチルマイエート及びモノエチルマイエート等の不飽和カルボン酸類又はその誘導体等が挙げられる。グリシジル基を有する不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和脂肪族グリシジルエステル、アクリルグリシジルエーテル等が挙げられ、不飽和脂肪族グリシジルエステルを用いることが好ましい。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
上記単量体成分として用いることができるその他の重合性単量体としては特に限定されず、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する重合性単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン等の芳香族不飽和単量体;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性不飽和単量体類が挙げられる。これらの中でも、可塑剤としてリン系可塑剤を用いる場合には、上述したようにエマルション組成物の難燃性をより向上することができることから、水酸基を有する重合性単量体を用いることが好ましい。
本発明のエマルション組成物において、アクリルアミド系モノマーの使用量は、特に限定されないが、ノンホルマリン形態と硬化塗膜物性の両立を考慮した場合、使用する単量体成分を100%として、アクリルアミド系モノマーの使用量は0〜15%の範囲、より好ましくは、0〜10%、更に好ましくは0〜5%の範囲、更に好ましくは、0〜3%の範囲である。
【0019】
本発明のエマルションを乳化重合により製造する際には、例えば、先ず、水、界面活性剤及び単量体成分等を含むプレエマルション(単量体乳化物)を調製し、次いで、プレエマルションを重合槽中に滴下してミセルを形成させ、重合開始剤を作用させることにより乳化重合を行う方法が好適である。この方法では、プレエマルションを滴下する重合槽には、水を仕込んでおくことが好ましいが、必要により水に加えて界面活性剤や単量体成分等を仕込んでおいてもよい。重合条件は適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、重合温度は、40〜100℃とすることが好ましい。より好ましくは、50〜80℃である。また、本発明のエマルションの好ましい製造形態であるが、必要な単量体成分をプレエマルションとして1段重合で製造してもかまわないし、任意の単量体成分を後段で滴下する多段重合を採用してもかまわない。多段重合の場合、例えば、第1段目に、酸基を有する単量体成分を必須に含む単量体成分から形成されるプレエマルションを滴下し、第2段目に、エポキシ基を有する単量体を含む単量体成分から形成されるプレエマルションを滴下してもよい。また、必要に応じて、多官能性不飽和単量体つまり架橋性単量体を、第1段目に使用してもよいし、第2段目以降の重合工程で使用してもかまわない。
【0020】
上記乳化重合において使用する界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン性活性剤や;エチレン系不飽和界面活性剤等の反応性界面活性剤が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、アニオン性活性剤を用いることが好ましい。また、重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、ブチルハイドロパーオキサイド等の公知の水溶性又は油溶性開始剤が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。更に、乳化重合を促進させるため、還元剤として、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸等を用いてレドックス系開始剤として併用することができる。
【0021】
本発明の酸−エポキシ架橋エマルション組成物において、沸点が300℃以上の可塑剤を含有させる方法としては、例えば、エマルションと共に配合してもよいが、単量体成分を重合する際に可塑剤の存在下で重合して可塑剤が含有された形態となった酸−エポキシ架橋エマルションを製造し、この酸−エポキシ架橋エマルションをエマルション組成物に配合することにより、可塑剤を含有させることが好ましい。すなわち本発明において用いるエマルションは、沸点が300℃以上の可塑剤の存在下で乳化重合してなることが好ましい。また、本発明では、可塑剤としてリン系可塑剤を用いることが好適であることから、上記エマルションが、リン系可塑剤の存在下で乳化重合してなることが本発明の酸−エポキシ架橋エマルション組成物のより好ましい実施形態となる。この場合、エマルションを製造する際のプレエマルションにリン系可塑剤を含有させることが更に好ましい。これらの好ましい形態により、可塑剤がエマルション中に均一に含有されてエマルション組成物中に均一に分散されることになり、可塑剤に起因するベタツキを解消して本発明の作用効果を充分に発揮することが可能となる。また、可塑剤としてリン系可塑剤を用いる場合には、難燃性のムラも解消することができる。なお、可塑剤をプレエマルション等に含有させるには、水溶液の形態として添加することが好ましい。
【0022】
本発明の酸−エポキシ架橋エマルション組成物には、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、難燃剤、消泡剤、沈降防止剤、増粘剤、凍結防止剤、低級アルコール、顔料、染料、充填剤、湿潤剤、風合調節剤、架橋剤、帯電防止剤、撥水剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0023】
本発明の酸−エポキシ架橋エマルション組成物の硬化塗膜物性は、上記エマルションが硬化した後に、伸びが1000〜1500%であり、強度が2.0×105 〜4.9×105 N/m2 であり、100%モジュラスが0.98×104 〜2.0×104 N/m2 となる。このように酸−エポキシ架橋エマルション組成物の硬化塗膜物性を調整することにより、強度と共に風合いも発現させることができ、エマルション組成物を繊維処理剤等の様々な用途に適切に使用することが可能となる。このような硬化塗膜物性の好ましい形態としては、伸びが1000〜1400%、強度が2.0×105 〜4.5×105 N/m2 、100%モジュラスが1.2×104 〜1.8×104 N/m2 である。より好ましくは、伸びが1000〜1300%、強度が2.0×105 〜4.0×105 N/m2 、100%モジュラスが1.5×104 〜1.7×104 N/m2 である。
【0024】
上記酸−エポキシ架橋エマルション組成物の硬化塗膜物性は、上記エマルションが硬化した後の物性であるが、エマルションの硬化を下記の条件で行うことにより酸−エポキシ架橋エマルション組成物の硬化塗膜物性を特定することになる。すなわち上記酸−エポキシ架橋エマルション組成物の硬化塗膜物性は、酸−エポキシ架橋エマルション組成物を用いて下記の条件で作製した塗膜が示す物性を意味するものであり、硬化塗膜の伸び、強度及び100%モジュラスの値は、下記の方法で引っ張り試験を行うことにより測定される値である。
【0025】
物性評価に用いる硬化塗膜の作製条件
酸−エポキシ架橋エマルション組成物を用いて、離型紙上3mmの厚みでフィルムを作製する。このフィルムを、23℃×65%RH中の標準状態で7日間乾燥したものを試験片として物性評価を行う。
【0026】
引っ張り試験
上記の方法により作製した試験片を用い、25℃、65%RHにて引っ張り試験機を用いて下記の条件で試験を行う。
チャック間距離:50mm
引っ張りスピード:50mm/min
試験片の形状:ダンベル2号
【0027】
本発明はまた、ガラス転移温度が−20〜10℃であるエマルションと沸点300℃以上の可塑剤とを含有する酸−エポキシ架橋エマルション組成物であって、上記酸−エポキシ架橋エマルション組成物の硬化塗膜物性は、上記エマルションが硬化した後の塗膜表面の、タック値が10〜100g/直径5mmである酸−エポキシ架橋エマルション組成物でもある。この物性を達成することで、エマルションが示すガラス転移温度を特定範囲に設定することで硬化塗膜に強度をもたせ、高い沸点の可塑剤で軟らかくする場合に、高い沸点の可塑剤を含有させることに起因する硬化塗膜のベタツキが解消され、エマルション組成物を繊維処理剤等の様々な用途により適切に用いることが可能となる。タック値が10g/直径5mm未満であると、硬化塗膜物性のバランスが充分でなくなり、100g/直径5mmを超えると、硬化後の塗膜のベタツキが大きくなるため、エマルション組成物を繊維処理剤等として使用することが困難となる。このようなエマルション組成物の好ましい実施形態としては、上記タック値が15〜90g/直径5mmである形態である。より好ましくは、20〜80g/直径5mmである。上記指標は、本発明の酸−エポキシ架橋エマルション組成物の硬化塗膜が示す、好ましい特性のひとつである。
【0028】
本発明の酸−エポキシ架橋エマルションにおいて、ガラス転移温度が−20〜10℃であるエマルションと沸点300℃以上の可塑剤、エマルションの製造方法やその好ましい形態としては、上述したのと同様である。例えば、上記可塑剤は、リン系可塑剤であり、上記エマルションは、上記リン系可塑剤の存在下で乳化重合してなることが好ましい。また、必要に応じて上述したような添加剤1種又は2種以上を含有させることができる。
【0029】
上記酸−エポキシ架橋エマルション組成物の硬化塗膜物性は、上述したように酸−エポキシ架橋エマルション組成物を用いて上記の条件で作製した硬化塗膜が示す物性を意味するものであり、タック値は、下記の試験方法により測定される値である。
タック値の測定方法(エマルションの硬化塗膜表面のネバツキ性確認試験方法)
酸−エポキシ架橋エマルション組成物を、縦70mm×横150mm×厚み3mmの型枠の中に流し込み、45℃で3日、更に150℃で3分乾燥させたものを試料とする。得られた試料をプローブタック試験機(商品名、ニチバン社製)で、試料フィルムの表面ネバツキ性を評価する。タック値のデータは、直径5mmフィルム表面のネバツキ強さを重量で表す。
【0030】
本発明では、タック値を上記の範囲内とするためには、酸−エポキシ架橋エマルション組成物に界面活性剤を含有させることが好ましい。この場合、エマルションを製造する際に用いる界面活性剤とは別に含有させることが好ましく、このような界面活性剤としては上述したもの等が挙げられるが、アニオン性活性剤を用いることが好ましく、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸等が好適である。このような界面活性剤の使用量としては、硬化塗膜の耐水性等を考慮して、酸−エポキシ架橋エマルション組成物100重量%に対して、1〜10重量%とすることが好ましい。より好ましくは、2〜6重量%である。
【0031】
本発明では、酸−エポキシ架橋エマルション組成物の硬化塗膜物性が、エマルションが硬化した後に、伸び、強度及び100%モジュラスが上記の範囲内となり、かつタック値も上記の範囲内となることが特に好ましい実施形態の1つである。これにより、硬化塗膜の強度と共に風合いも発現することができ、かつ硬化塗膜のベタツキが繊維処理剤等としてより適切に使用することができる範囲となり、しかも、ノンホルマリンの用途も含めて様々な用途に対応することが可能となる。よって、本発明のエマルションの好ましい実施形態は、ノンホルマリン用エマルションである。更に具体的には、実質的にホルマリンを含有しないエマルションである。
【0032】
本発明の酸−エポキシ架橋エマルション組成物は、上記の作用効果を有すると共に、ハロゲン化合物を実質的に含有しないで優れた難燃性を付与することができることから、環境を汚染することなく、難燃性が要求される様々な分野において用いることができる。このようなエマルション組成物の適用用途や使用方法としては特に限定されず、例えば、カーペット、カーテン等の繊維処理剤等として、これらの繊維製品に塗工することにより好適に用いることができる。
【0033】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」は、「重量部」を示し、「%」は、「重量%」を示す。
【0034】
実施例1
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けたセパラブルフラスコに脱イオン水409.5部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を67℃まで昇温した。一方上記滴下ロートにブチルアクリレート550部、メチルメタクリレート380部、グリシジルメタクリレート10部、アクリル酸10部、トリアリールフォスフェート50部、予め20%水溶液に調整したハイテノール18E(商品名、第一工業製薬社製、ポリオキシエチレン硫酸アンモニウム)を150部及び20%水溶液に調整したナロアクティ200(商品名、三洋化成工業社製、高級アルコール系アルキレンオキシド付加物)を40部、脱イオン水200部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次にセパラブルフラスコの内温を67℃に維持しながら上記単量体乳化物を3時間かけて均一に滴下した。このとき同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部、2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、67℃で1時間熟成後、冷却して25%のアンモニア水を3.8部添加した。その後、乳化物を冷却後100メッシュのステンレス金網によりろ過を行い取り出した。これにより難燃性水性樹脂(水性樹脂エマルション)を得た。得られた難燃性水性樹脂の不揮発分は55%、pHは7.1、粘度は650mPa・sであった。上記単量体組成物の組成をまとめて表1に示した。
【0035】
実施例2
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けたセパラブルフラスコに脱イオン水409.5部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を67℃まで昇温した。一方上記滴下ロートにブチルアクリレート510部、メチルメタクリレート220部、グリシジルメタクリレート10部、ヒドロキシメチルメタクリレート200部、アクリル酸10部、トリアリールフォスフェート50部、予め20%水溶液に調整したハイテノール18E(商品名、第一工業製薬社製、ポリオキシエチレン硫酸アンモニウム)を150部及び20%水溶液に調整したナロアクティ200(商品名、三洋化成工業社製、高級アルコール系アルキレンオキシド付加物)を40部、脱イオン水200部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次にセパラブルフラスコの内温を67℃に維持しながら上記単量体乳化物を3時間かけて均一に滴下した。このとき同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部、2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、67℃で1時間熟成後、冷却して25%のアンモニア水を3.8部添加した。その後、乳化物を冷却後100メッシュのステンレス金網によりろ過を行い取り出した。これにより難燃性水性樹脂を得た。得られた難燃性水性樹脂の不揮発分は55%、pHは7.3、粘度は850mPa・sであった。上記単量体組成物の組成をまとめて表1に示した。
【0036】
比較例1
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けたセパラブルフラスコに脱イオン水409.5gを仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を67℃まで昇温した。一方上記滴下ロートにブチルアクリレート590部、メチルメタクリレート390部、グリシジルメタクリレート10部、アクリル酸10部、予め20%水溶液に調整したハイテノール18E(商品名、第一工業製薬社製、ポリオキシエチレン硫酸アンモニウム)を150部及び20%水溶液に調整したナロアクティ200(商品名、三洋化成工業社製、高級アルコール系アルキレンオキシド付加物)を40部、脱イオン水200部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次にセパラブルフラスコの内温を67℃に維持しながら上記単量体乳化物を3時間かけて均一に滴下した。このとき同時に5%過硫酸カリウム水溶液55部、2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液44部を3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、67℃で1時間熟成後、冷却して25%のアンモニア水を3.8部添加した。その後、乳化物を冷却後100メッシュのステンレス金網によりろ過を行い取り出した。これにより難燃性水性樹脂を得た。得られた難燃性水性樹脂の不揮発分は55%、pHは7.7、粘度は310mPa・sであった。上記単量体組成物の組成をまとめて表1に示した。
【0037】
比較例2
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けたセパラブルフラスコに脱イオン水409.5部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を67℃まで昇温した。一方上記滴下ロートにブチルアクリレート550部、メチルメタクリレート230部、グリシジルメタクリレート10部、ヒドロキシメチルメタクリレート200部、アクリル酸10部、予め20%水溶液に調整したハイテノール18E(商品名、第一工業製薬社製、ポリオキシエチレン硫酸アンモニウム)を150部及び20%水溶液に調整したナロアクティ200(商品名、三洋化成工業社製、高級アルコール系アルキレンオキシド付加物)を40部、脱イオン水200部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次にセパラブルフラスコの内温を67℃に維持しながら上記単量体乳化物を3時間かけて均一に滴下した。このとき同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部、2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、67℃で1時間熟成後、冷却して25%のアンモニア水を3.8部添加した。その後、乳化物を冷却後100メッシュのステンレス金網によりろ過を行い取り出した。これにより難燃性水性樹脂を得た。得られた難燃性水性樹脂の不揮発分は55%、pHは7.4、粘度は640mPa・sであった。上記単量体組成物の組成をまとめて表1に示した。
【0038】
比較例3
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けたセパラブルフラスコに脱イオン水409.5gを仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を67℃まで昇温した。一方上記滴下ロートにブチルアクリレート740部、メチルメタクリレート240部、グリシジルメタクリレート10部、アクリル酸10部、予め20%水溶液に調整したハイテノール18E(商品名、第一工業製薬社製、ポリオキシエチレン硫酸アンモニウム)を150部及び20%水溶液に調整したナロアクティ200(商品名、三洋化成工業社製、高級アルコール系アルキレンオキシド付加物)を40部、脱イオン水200部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次にセパラブルフラスコの内温を67℃に維持しながら上記単量体乳化物を3時間かけて均一に滴下した。このとき同時に5%過硫酸カリウム水溶液55部、2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液44部を3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、67℃で1時間熟成後、冷却して25%のアンモニア水を3.8部添加した。その後、乳化物を冷却後100メッシュのステンレス金網によりろ過を行い取り出した。これにより難燃性水性樹脂を得た。得られた難燃性水性樹脂の不揮発分は55%、pHは7.6、粘度は440mPa・sであった。上記単量体組成物の組成をまとめて表1に示した。
【0039】
比較例4
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けたセパラブルフラスコに脱イオン水409.5部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を67℃まで昇温した。一方上記滴下ロートにブチルアクリレート700部、メチルメタクリレート80部、グリシジルメタクリレート10部、ヒドロキシメチルメタクリレート200部、アクリル酸10部、予め20%水溶液に調整したハイテノール18E(商品名、第一工業製薬社製、ポリオキシエチレン硫酸アンモニウム)を150部及び20%水溶液に調整したナロアクティ200(商品名、三洋化成工業社製、高級アルコール系アルキレンオキシド付加物)を40部、脱イオン水200部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次にセパラブルフラスコの内温を67℃に維持しながら上記単量体乳化物を3時間かけて均一に滴下した。このとき同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部、2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、67℃で1時間熟成後、冷却して25%のアンモニア水を3.8部添加した。その後、乳化物を冷却後100メッシュのステンレス金網によりろ過を行い取り出した。これにより難燃性水性樹脂を得た。得られた難燃性水性樹脂の不揮発分は55%、pHは7.8、粘度は940mPa・sであった。上記単量体組成物の組成をまとめて表1に示した。
【0040】
比較例5
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けたセパラブルフラスコに脱イオン水399.5部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を67℃まで昇温した。一方上記滴下ロートにブチルアクリレート540部、メチルメタクリレート240部、グリシジルメタクリレート10部、ヒドロキシメチルメタクリレート200部、アクリル酸10部、予め20%水溶液に調整したハイテノール18E(商品名、第一工業製薬社製、ポリオキシエチレン硫酸アンモニウム)を150部及び20%水溶液に調整したナロアクティ200(商品名、三洋化成工業社製、高級アルコール系アルキレンオキシド付加物)を40部、脱イオン水200部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次にセパラブルフラスコの内温を67℃に維持しながら上記単量体乳化物を3時間かけて均一に滴下した。このとき同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部、2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、67℃で1時間熟成後、冷却して25%のアンモニア水を3.8部添加した。続いて、ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)50部と脱イオン水20部を予め混合したものを添加した。その後、乳化物を冷却後100メッシュのステンレス金網によりろ過を行い取り出した。これにより難燃性水性樹脂を得た。得られた難燃性水性樹脂の不揮発分は53%、pHは7.3、粘度は850mPa・sであった。上記単量体組成物の組成をまとめて表1に示した。
【0041】
実施例1〜2及び比較例1〜5において得られたエマルション組成物の硬化塗膜について、下記の物性評価を行った。その結果は、表1にそれぞれ示すとおりであった。
フィルム引っ張り物性
試験体作製:水性樹脂エマルションを、離型紙上3mmの厚みでフィルムを作製し、23℃×65%RH中の標準状態で7日間乾燥後、引っ張り試験機を用いて下記の条件で試験を行い、伸び、強度、100%モジュラスを算出した。
(1)チャック間距離:50mm
(2)引っ張りスピード:50mm/min
(3)試験片の形状:ダンベル2号
【0042】
難燃性試験
試験体作製:水性樹脂エマルションを、離型紙上3mmの厚みでフィルムを作製し、23℃×65%RH中の標準状態で7日間以上乾燥したものを試験体とした。
試験方法:JIS A1322 建築用薄物材料の難燃性試験方法
(1)試験体の形状:30×20cm
(2)試験バーナー:メッケルバーナー(高さ160mm、内径20mm)
(3)加熱試験:過熱時間(10秒)
(4)評価項目:残炎、残じん、炭化長
(5)評価結果:防炎1級、2級、3級
(6)難燃性の種類を表2に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
実施例3
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けたセパラブルフラスコに脱イオン水318.6部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を67℃まで昇温した。一方上記滴下ロートにブチルアクリレート520部、メチルメタクリレート210部、グリシジルメタクリレート10部、ヒドロキシメチルメタクリレート200部、アクリル酸10部、トリアリールフォスフェート50部、予め20%水溶液に調整したハイテノール18E(商品名、第一工業製薬社製、ポリオキシエチレン硫酸アンモニウム)を150部及び20%水溶液に調整したナロアクティ200(商品名、三洋化成工業社製、高級アルコール系アルキレンオキシド付加物)を40部、脱イオン水200部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次にセパラブルフラスコの内温を67℃に維持しながら上記単量体乳化物を3時間かけて均一に滴下した。このとき同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部、2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、67℃で1時間熟成後、冷却して25%のアンモニア水を3.8部と予め30%水溶液に調整したエマールO(商品名、花王社製、ラウリル硫酸ナトリウム)を315.6部添加した。その後、乳化物を冷却後100メッシュのステンレス金網によりろ過を行い取り出した。これにより難燃性水性樹脂(水性樹脂エマルション)を得た。得られた難燃性水性樹脂の不揮発分は52.7%、pHは7.0、粘度は900mPa・sであった。上記単量体組成物の組成をまとめて表3に示した。
【0046】
比較例6
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けたセパラブルフラスコに脱イオン水318.6部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を67℃まで昇温した。一方上記滴下ロートにブチルアクリレート520部、メチルメタクリレート210部、グリシジルメタクリレート10部、ヒドロキシメチルメタクリレート200部、アクリル酸10部、トリアリールフォスフェート50部、予め20%水溶液に調整したハイテノール18E(商品名、第一工業製薬社製、ポリオキシエチレン硫酸アンモニウム)を150部及び20%水溶液に調整したナロアクティ200(商品名、三洋化成工業社製、高級アルコール系アルキレンオキシド付加物)を40部、脱イオン水200部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次にセパラブルフラスコの内温を67℃に維持しながら上記単量体乳化物を3時間かけて均一に滴下した。このとき同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部、2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、67℃で1時間熟成後、冷却して25%のアンモニア水を3.8部を添加した。その後、乳化物を冷却後100メッシュのステンレス金網によりろ過を行い取り出した。これにより難燃性水性樹脂を得た。得られた難燃性水性樹脂の不揮発分は55.1%、pHは7.1、粘度は780mPa・sであった。上記単量体組成物の組成をまとめて表3に示した。
【0047】
実施例3及び比較例6において得られた水性樹脂エマルションについて、下記の物性評価を行った。その結果は、表3にそれぞれ示すとおりであった。
表面のネバツキ性確認試験方法(タック値)
水性樹脂エマルションを、縦70mm×横150mm×厚み3mmの型枠の中に流し込み、45℃で3日、更に150℃で3分乾燥させたものを試料とした。得られた試料をプローブタック試験機(商品名、ニチバン社製)で、試料フィルムの表面ネバツキ性を評価した。タック値のデーターは、直径5mmフィルム表面のネバツキ強さを重量で表した。単位はg/直径5mmで表した。
【0048】
指触ネバツキ感の評価
表面のネバツキ性確認試験方法で作製した試料の表面のネバツキ感を、指触により評価した。
評価基準
○:ネバツキほとんど認められない。
△:ネバツキ僅かに認められる。
×:ネバツキかなり認められる。
【0049】
【表3】
【0050】
表3について、以下に説明する。
エマールOとは、商品名であり、花王社製のラウリル硫酸ナトリウムである。
【0051】
【発明の効果】
本発明の酸−エポキシ架橋エマルション組成物は、上述の構成よりなるので、硬化塗膜の強度と共に風合いも発現することができ、しかも、ノンホルマリンの用途も含めて様々な用途に対応することができると共に、ハロゲン化合物を実質的に含有しないで優れた難燃性を付与することができることから、カーペット、カーテン等の繊維処理剤等として好適に適用することができる。
Claims (3)
- 重合体成分のガラス転移温度が−20〜10℃であるエマルションと沸点300℃以上の可塑剤とを含有する酸−エポキシ架橋エマルション組成物であって、
該可塑剤は、リン系可塑剤であり、
該エマルションは、該リン系可塑剤の存在下で乳化重合してなる、水酸基を有する重合体から構成されるものであり、
該リン系可塑剤の使用量は、エマルションを形成することになる単量体成分及びリン系可塑剤の合計重量100重量%に対して、3〜30重量%であり、
該酸−エポキシ架橋エマルション組成物の硬化塗膜物性は、該エマルションが硬化した後に、伸びが1000〜1500%であり、強度が2.0×105 〜4.9×105 N/m2 であり、100%モジュラスが0.98×104 〜2.0×104 N/m2 となる
ことを特徴とする酸−エポキシ架橋エマルション組成物。 - 重合体成分のガラス転移温度が−20〜10℃であるエマルションと沸点300℃以上の可塑剤とを含有する酸−エポキシ架橋エマルション組成物であって、
該可塑剤は、リン系可塑剤であり、
該リン系可塑剤の使用量は、エマルションを形成することになる単量体成分及びリン系可塑剤の合計重量100重量%に対して、3〜30重量%であり、
該酸−エポキシ架橋エマルション組成物は、酸−エポキシ架橋エマルション組成物100重量%に対して、アニオン性(界面)活性剤を1〜10重量%配合したものであり、
該酸−エポキシ架橋エマルション組成物の硬化塗膜物性は、該エマルションが硬化した後の塗膜表面の、タック値が10〜100g/直径5mmである
ことを特徴とする酸−エポキシ架橋エマルション組成物。 - 前記エマルションは、前記リン系可塑剤の存在下で乳化重合してなる
ことを特徴とする請求項2記載の酸−エポキシ架橋エマルション組成物。
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