JP3873853B2 - 温度調節器および熱処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度調節器およびそれを用いた熱処理装置に関し、更に詳しくは、加熱冷却の制御を行う温度調節器およびそれを用いた成形機や半導体製造装置などの熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、成形機などの発熱を伴う制御対象や常温付近で温度制御される環境機試験機などの制御対象に対しては、加熱制御だけでは、充分に温度制御を行うことができないので、加熱および冷却の両方の制御を行う必要がある。
【0003】
例えば、スクリューの回転で発熱する押出し成形機では、ヒータの通電を制御して加熱制御する一方、水冷のためのバルブの開閉を制御して冷却制御を行うことにより、シリンダの温度が設定温度になるようにしている。
【0004】
図8は、かかる加熱冷却制御を行う従来例の温度調節器20のブロック図である。
【0005】
温度調節器20では、目標値生成部1からの設定温度(目標温度)と、センサ入力部2を介して与えられる温度センサ3からの制御対象4の検出温度との偏差に基づいて、PID制御部5で操作量を演算算出する。PID制御部5からの操作量は、加熱冷却切替え部6を介して、加熱制御用の加熱操作量として加熱出力部7に与えられ、あるいは、乗算器8で冷却係数を乗算して冷却制御用の冷却操作量として冷却出力部9に与えられる。加熱出力部7の出力によって図示しないヒータの通電が制御され、あるいは、冷却出力部9の出力によって図示しない冷却水用のバルブの開閉が制御される。
【0006】
加熱冷却切替え部6は、例えば、図9に示されるように、操作量が50%を越えると、加熱操作量を出力し、操作量が50パーセント未満では、冷却操作量を出力する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来では、このような加熱冷却制御に用いられる冷却係数は、試行錯誤的に調整する必要があり、面倒であった。
【0008】
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたものであって、冷却係数を、自動的に設定できるようにすることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0014】
本発明の温度調節器は、制御対象の温度を、設定温度にするための操作量を出力する制御部を備え、この制御部からの操作量を、加熱操作量とする一方、冷却係数を乗じて冷却操作量とする温度調節器であって、加熱側のオートチューニングによって得られる前記制御対象の特性パラメータと、冷却側のオートチューニングによって得られる前記制御対象の特性パラメータとに基づいて、安定になるように前記制御部の制御パラメータおよび前記冷却係数を決定する手段を備え、前記制御対象の特性パラメータが、むだ時間、時定数、定常ゲイン、最大傾きであり、前記決定する手段は、加熱側のむだ時間と冷却側のむだ時間の内の長い方のむだ時間、加熱側の時定数と冷却側の時定数の内の小さい方の時定数、加熱側の定常ゲインと冷却側の定常ゲインの内の大きい方の定常ゲイン、および、加熱側の最大傾きと冷却側の最大傾きの内の大きい方の最大傾きの少なくともいずれか一つを用いて、前記制御パラメータおよび前記冷却係数を決定するものである。
【0015】
本発明によると、加熱側および冷却側のオートチューニングを行なうことによって得られる制御対象の特性パラメータであるむだ時間、時定数、定常ゲイン、最大傾きに基づいて、安定になるように制御部の制御パラメータおよび冷却係数を決定するので、従来のように冷却係数を、試行錯誤的に調整する必要がない。
【0018】
本発明の温度調節器は、制御対象の温度を、設定温度にするための操作量を出力する制御部を備え、この制御部からの操作量を、加熱操作量とする一方、冷却係数を乗じて冷却操作量とする温度調節器であって、加熱側のオートチューニングによって得られる加熱側PIDパラメータと、冷却側のオートチューニグによって得られる冷却側PIDパラメータとに基づいて、前記制御部の制御パラメータであるPID制御パラメータを決定するとともに、前記冷却係数を決定する手段を備え、前記決定する手段は、前記PID制御パラメータが、前記加熱側PIDパラメータ以上に安定であって、かつ、前記PID制御パラメータに冷却係数を乗じたパラメータが、前記冷却側PIDパラメータ以上に安定となるように、前記PID制御パラメータおよび前記冷却係数を、下記不等式(1)〜(6)を満足するように、決定するものである。
Ph0≦Ph (1)
Ph0・Tih0≦Ph・Tih (2)
Ph0・Tdh0≦Ph・Tdh (3)
Pc0≦kc・Ph (4)
Pc0・Tic0≦kc・Ph・Tih (5)
Pc0・Tdc0≦kc・Ph・Tdh (6)
但し、Phは前記PID制御パラメータの比例帯、Tihは前記PID制御パラメータの積分時間、Tdhは前記PID制御パラメータの微分時間、kcは前記冷却係数、Ph0は前記加熱側PIDパラメータの比例帯、Tih0は前記加熱側PIDパラメータの積分時間、Tdh0は前記加熱側PIDパラメータの微分時間、Pc0は前記冷却側PIDパラメータの比例帯、Tic0は前記冷却側PIDパラメータの積分時間、Tdc0は前記冷却側PIDパラメータの微分時間である。
【0019】
本発明によると、加熱側および冷却側のオートチューニングを行なうことによって得られる加熱側PIDパラメータおよび冷却側PIDパラメータに基づいて、制御部のPID制御パラメータが、前記加熱側PIDパラメータ以上に安定であって、かつ、前記PID制御パラメータに、冷却係数を乗じたパラメータが、前記冷却側PIDパラメータ以上に安定となるように、すなわち、上記不等式(1)〜(6)を満足するように前記PID制御パラメータおよび前記冷却係数を決定するので、従来のように冷却係数を、試行錯誤的に調整する必要がない。
【0020】
本発明の更に他の実施態様においては、一定の冷却操作量を出力しながら前記加熱側のオートチューニグを実行し、または、一定の加熱操作量を出力しながら前記冷却側のオートチューニングを実行するものである。
【0021】
加熱側のオートチューニングの実行時に、加熱操作量のみを出力し、また、冷却側のオートチューニングの実行時に、冷却操作量のみを出力すると、加熱側のオートチューニングと冷却側のオートチューニングとでは、異なる目標温度を設定して行なわなければならないが、本発明によると、一定の冷却操作量を出力しながら加熱側のオートチューニグを実行し、あるいは、一定の加熱操作量を出力しながら冷却側のオートチューニングを実行するので、同一の目標温度で、加熱側および冷却側のオートチューニングを実行できることになり、用途に応じて、精度の高い制御パラメータおよび冷却係数の決定が行なえる。
【0022】
本発明の熱処理装置は、本発明の温度調節器と、制御対象としての熱処理手段と、前記熱処理手段を加熱する加熱手段と、前記熱処理手段を冷却する冷却手段とを備えている。
【0023】
本発明によると、温度調節器の冷却係数を容易に設定して熱処理装置の加熱冷却制御を安定して行える。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の態様を図面に基づいて説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る温度調節器のブロック図であり、上述の従来例に対応する部分には、同一の参照符を付す。
【0026】
この実施の形態の温度調節器21は、熱処理装置、例えば、押出し成形機の加熱冷却制御を行うものであり、この温度調節器21では、目標値生成部1からの設定温度と、センサ入力部2を介して与えられる温度センサ3からの制御対象4の検出温度との偏差に基づいて、PID制御部5で操作量を演算算出する。PID制御部5からの操作量は、加熱冷却切替え部6を介して、加熱制御用の加熱操作量として加熱出力部7に与えられ、あるいは、乗算器8で冷却係数を乗算して冷却制御用の冷却操作量として冷却出力部9に与えられる。加熱出力部7の出力によって図示しないヒータに通電されて制御対象4が加熱され、あるいは、冷却出力部9の出力によって図示しない冷却水用のバルブの開閉が制御されて制御対象4が冷却される。
【0027】
加熱冷却切替え部6は、例えば、上述の図9に示されるように、操作量が50%を越えると、加熱操作量として出力し、操作量が50パーセント未満では、冷却操作量として出力する。
【0028】
以上の構成は、上述の図8の従来例と同様である。
【0029】
この実施の形態では、上述のように乗算器8の冷却係数を試行錯誤的に調整する必要をなくすために、次のように構成している。
【0030】
すなわち、この実施の形態では、加熱側のオートチューニングおよび冷却側のオートチューニングをそれぞれ行なって、加熱制御パラメータおよび冷却制御パラメータをそれぞれ求め、得られた加熱制御パラメータおよび冷却制御パラメータに基づいて、安定になるように、PID制御部5に設定する制御パラメータおよび乗算器8に設定する冷却係数を決定するものである。
【0031】
なお、以下の説明においては、PID制御部5に設定する制御パラメータを、設定制御パラメータと称する。
【0032】
図2は、加熱側および冷却側のオートチューニングによって得られる加熱側PIDパラメータである加熱制御パラメータおよび冷却側PIDパラメータである冷却制御パラメータに基づいて、安定になるように、PID制御パラメータとしての設定制御パラメータおよび冷却係数を決定するための手順を説明するための図であり、制御パラメータとして、PIDパラメータである比例帯、積分時間および微分時間の例を示している。
【0033】
同図においては、加熱側および冷却側のオートチューニングによって得られる加熱制御パラメータおよび冷却制御パラメータをブロックAに示し、本方式の加熱側に対応する設定制御パラメータ、冷却係数および前記設定制御パラメータに対応する冷却側の制御パラメータをブロックBに示し、それらの間に成立する関係をブロックCに示し、さらに、それらの関係式(不等式)を変形整理したものをブロックDに示しており、それぞれ上段が加熱側、下段が冷却側に対応している。なお、加熱側および冷却側のオートチューニングによってそれぞれ得られる加熱制御パラメータおよび冷却制御パラメータは、加熱側のPID制御部と冷却側のPID制御部とを独立に備える場合には、各PID制御部にそれぞれ独立に設定される制御パラメータであるために、独立方式として示しており、また、この実施の形態を本方式として示している。
【0034】
先ず、ブロックAに示されるように、加熱側のオートチューニングによって得られる加熱制御パラメータである加熱側PIDパラメータを、比例帯Ph0、積分時間Tih0および微分時間Tdh0とし、冷却側のオートチューニングによって得られる冷却制御パラメータである冷却側PIDパラメータを、比例帯Pc0、積分時間Tic0、微分時間Tdc0とする。
【0035】
また、ブロックBに示されるように、PID制御部5に設定される加熱側に対応する設定制御パラメータであるPIDパラメータを、比例帯Ph、積分時間Tihおよび微分時間Tdhとし、冷却係数をkcとすると、冷却側に対応する制御パラメータであるPIDパラメータは、比例帯Pc=kc・Ph、積分時間Tic=Tihおよび微分時間Tdc=Tdhとなる。
【0036】
ここで、安定になるように、PID制御部5に設定されるPID制御パラメータPh、Tih、Tdhおよび冷却係数kcを決定するとは、ブロックCに示される各不等式を満足するように決定することである。
【0037】
このブロックCにおける冷却側の不等式に、Pc=kc・Ph、Tic=TihおよびTdc=Tdhを代入したものが、ブロックDである。
【0038】
したがって、PID制御部5に設定される設定制御パラメータであるPID制御パラメータ、すなわち、比例帯Ph、積分時間Tihおよび微分時間Tdh、および、乗算器8に設定される冷却係数kcは、ブロックDにおける下記の不等式(1)〜(6)
Ph0≦Ph (1)
Ph0・Tih0≦Ph・Tih (2)
Ph0・Tdh0≦Ph・Tdh (3)
Pc0≦kc・Ph (4)
Pc0・Tic0≦kc・Ph・Tih (5)
Pc0・Tdc0≦kc・Ph・Tdh (6)
の全て満足するように決定されるものである。しかも、不等式(1)〜(6)の等号が成立する値に近い値に決定されるのが好ましいが、後述のように、パラメータの値の大小関係から簡単に選択して決定することができるものである。
【0039】
前記(1)〜(6)式によれば、PID制御部5に設定される設定制御パラメータが、加熱側のオートチューニングによって得られる加熱制御パラメータ以上に安定であって、かつ、前記設定制御パラメータに冷却係数を乗じたパラメータが、冷却側のオートチューニングによって得られた冷却制御パラメータ以上に安定となるように、設定制御パラメータおよび冷却係数が決定されることになる。
【0040】
このように、PID制御部5に設定される設定制御パラメータである比例帯Ph、積分時間Tih、微分時間Tdhおよび冷却係数kcが、加熱側および冷却側のオートチューニングによって得られる加熱制御パラメータおよび冷却制御パラメータから決定できるということは、加熱制御パラメータおよび冷却制御パラメータ、すなわち、加熱および冷却のPIDパラメータに限らず、オートチューニングで得られる加熱特性パラメータおよび冷却特性パラメータに基づいて決定することもできるものである。
【0041】
すなわち、図3は、加熱側および冷却側のオートチューニングの各段階で得られるパラメータに基づくPID制御部5の設定制御パラメータであるPIDパラメータおよび冷却係数の決定を説明するための図である。
【0042】
先ず、ブロックEに示される加熱側および冷却側のオートチューニングによる時間応答波形、すなわち、加熱時の制御対象応答波形および冷却時の制御対象応答波形から安定な制御となるように、ブロックHに示される設定制御パラメータであるPIDパラメータおよび冷却係数を決定することができる。
【0043】
例えば、リミットサイクル法の場合には、加熱側のハンチング周期と冷却側のハンチング周期の内の長い方のハンチング周期を、また、加熱側のハンチングの振幅と冷却側のハンチングの振幅の内の大きい方の振幅、すなわち、不安定な方を採用して設定制御パラメータであるPIDパラメータおよび冷却係数を決定するものであり、これによって、安定な制御パラメータおよび冷却係数が決定されることになる。なお、必ずしも、ハンチング周期の長い方および振幅の大きい方の両者を採用する必要はない。
【0044】
また、ステップ応答法の場合には、加熱側のむだ時間と冷却側のむだ時間の内の長い方のむだ時間を、加熱側の振幅(オーバーシュート量)と冷却側の振幅の内の大きい方の振幅を採用して設定制御パラメータであるPIDパラメータおよび冷却係数を決定する。なお、必ずしも、むだ時間の長い方および振幅の大きい方の両者を採用する必要はない。
【0045】
また、時間応答波形に代えて、ブロックFに示されるように、加熱側および冷却側のオートチューニングによる制御対象パラメータ、すなわち、加熱時の制御対象パラメータおよび冷却時の制御対象パラメータから安定な制御となるように、ブロックHに示される設定制御パラメータであるPIDパラメータおよび冷却係数を決定してもよい。
【0046】
この制御対象パラメータとしては、例えば、むだ時間、時定数、定常ゲイン、最大傾きがあり、加熱側のむだ時間と冷却側のむだ時間の内の長い方のむだ時間を、加熱側の時定数と冷却側の時定数の内の小さい方の時定数を、加熱側の定常ゲインと冷却側の定常ゲインの内の大きい方の定常ゲインを、加熱側の最大傾きと冷却側の最大傾きの内の大きい方の最大傾きを採用してPIDパラメータおよび冷却係数を決定するのである。なお、必ずしも、むだ時間の長い方、時定数の小さい方、定常ゲインの大きい方、最大傾きの大きい方の全てを採用する必要はなく、少なくともいずれか一つを採用すればよい。
【0047】
また、上述のように、加熱側および冷却側のオートチューニングによるブロックGに示される加熱制御パラメータである加熱用のPIDパラメータおよび冷却制御パラメータである冷却用のPIDパラメータから安定な制御となるように、ブロックHに示される設定制御パラメータであるPIDパラメータおよび冷却係数を決定してもよい。例えば、加熱側の比例帯と冷却側の比例帯の内の大きい方の比例帯を、加熱側の積分時間と冷却側の積分時間の内の長い方の積分時間を、加熱側の微分時間と冷却側の微分時間の内の長い方の微分時間を採用するのである。なお、比例帯の大きい方、積分時間および微分時間の長い方の全てを採用する必要はなく、少なくと一つを採用すればよい。
【0048】
このように加熱側および冷却側のオートチューニングを行なって得られる加熱側および冷却側のパラメータに基づいて、制御パラメータおよび冷却係数を決定するために、この実施の形態の温度調節器は、上述の図1に示されるように、制御対象4のパラメータを同定するための同定信号発生部10と、通常の制御時には、PID制御部5からの操作量を加熱冷却切替え部6に出力し、加熱側および冷却側のオートチューニング時には、同定信号発生部10からの同定信号を加熱冷却切替え部6に切替え出力するモード切替え部11と、加熱時および冷却時に制御対象4のパラメータを同定する制御対象パラメータ同定部12と、同定されたパラメータに基づいて、PID制御部5のPIDパラメータおよび乗算器8に対する冷却係数を決定して設定するPIDパラメータ・冷却係数設定部13とを備えている。
【0049】
同定信号発生部10は、リミットサイクル用の2値の操作量あるいはステップ応答のためのステップ状の操作量を同定信号として出力するものである。
【0050】
制御対象パラメータ同定部12は、リミットサイクル波形からハンチング周期および振幅を同定し、あるいは、ステップ応答波形から最大傾きおよびむだ時間を同定する。
【0051】
PIDパラメータ・冷却係数設定部13は、同定されたパラメータに基づいて、安定になるように、PIDパラメータおよび冷却係数を決定してPID制御部5および乗算器8に設定する。
【0052】
PID制御部5、同定信号発生部10、モード切替部11、制御対象パラメータ同定部12、PIDパラメータ・冷却係数設定部13および加熱冷却切替え部6などは、例えば、マイクロコンピュータによって構成されている。
【0053】
図4は、この実施の形態の動作説明に供するフローチャートであり、図5(a),(b)は、加熱側および冷却側のオートチューニング(AT)における温度変化を示している。
【0054】
先ず、リミットサイクル法による加熱側のオートチューニングを行う。このオートチューニングは、加熱側のオートチューニング用の目標温度SPを設定して従来と同様に行なわれる。このオートチューニングによって、加熱側のむだ時間L1および加熱側の最大傾きR1を求め、一時的に保存する(ステップn1)。なお、この加熱側のオートチューニングでは、冷却出力は、オフする。
【0055】
次に、リミットサイクル法による冷却側のオートチューニングを、
冷却側の目標温度SPを設定して従来と同様に行い、冷却側のむだ時間L2および冷却側の最大傾きR2を求め、一時的に保存する(ステップn2)。なお、この冷却側のオートチューニングでは、加熱出力はオフする。
【0056】
次に、加熱側および冷却側のむだ時間L1,L2および最大傾きR1,R2に基づいて、安定になるようにPIDパラメータを算出する。この例では、最大傾きRは、加熱側の最大傾きR1を採用し、むだ時間Lは、むだ時間L1,L2の内の長い方(不安定)のむだ時間を採用してPIDパラメータ(PIDゲイン)を算出する(ステップn3)。すなわち、不安定なむだ時間を採用してPIDパラメータを算出するので、算出されるPIDパラメータは、安定なものとなる。
【0057】
次に、冷却係数Acを、冷却側と加熱側との最大傾きの比R2/R1として算出するものである(ステップn4)。
【0058】
以上のようにして決定されるPIDパラメータおよび冷却係数は、上述の(1)〜(6)の全ての不等式を満足するものである。
【0059】
このようにして、パラメータの大小関係からPIDパラメータおよび冷却係数を決定するので、従来のように試行錯誤的に調整して設定する必要がなく、自動的に設定することが可能となる。
【0060】
次に、加熱側および冷却側のオートチューニングによる応答波形のパラメータ、制御対象のパラメータおよび制御パラメータに基づく、設定制御パラメータおよび冷却係数の具体的な数値例を、図6に示す。この図6では、実施例1,2の二つの実施例を示しており、式中のa,b,c,dは、調整則によって異なる定数である。
【0061】
先ず、加熱側の応答波形の振幅Ahが1、周期Thが10であり、冷却側の応答波形の振幅Acが2、周期Tcが5である場合を示している。
【0062】
この場合、制御対象パラメータである加熱側の最大傾きRhは、0.14、むだ時間Lhは2.5となり、冷却側の最大傾きRcは0.56、むだ時間Lcは1.25となる。
【0063】
この場合、加熱側の比例帯Ph0は0.2917、積分時間Tih0は5、微分時間Tdh0は1.25となり、冷却側の比例帯Pc0は0.5833、積分時間Tic0は2.5、微分時間Tdc0は0.625となる。
【0064】
実施例1では、比例帯Phは加熱側の比例帯と等しい0.2917であり、積分時間Tihは、加熱側の積分時間Tih0と冷却側の積分時間Tic0との長い方の積分時間である5を採用し、微分時間Tdhは、加熱側の微分時間Tdh0と冷却側の微分時間Tdc0との長い方の微分時間である1.25を採用しており、冷却係数kcは、加熱時と冷却時との振幅の比として2としている。
【0065】
この場合、冷却側の比例帯Pcは、0.5833となり、積分時間Ticは5となり、微分時間Tdcは1.25となり、独立方式の冷却側の微分時間Tdc0=0.625に比べて長く、安定となっている。
【0066】
なお、この実施例1の冷却側は、積分時間Ticとして、加熱側の積分時間Tih0と冷却側の積分時間Tic0との長い方の積分時間である5を採用し、微分時間Tdhとして、加熱側の微分時間Tdh0と冷却側の微分時間Tdc0との長い方の微分時間である1.25を採用したものである。
【0067】
次に、実施例2では、比例帯Phは加熱側の比例帯と等しい0.2917であり、積分時間Tihは、加熱側の積分時間Tih0と冷却側の積分時間Tic0との長い方の積分時間である5を採用し、微分時間Tdhは、加熱側の微分時間Tdh0と冷却側の微分時間Tdc0との長い方の微分時間である1.25を採用しており、冷却係数kcは、加熱時と冷却時との最大傾きの比として4としている。
【0068】
この場合、冷却側の比例帯Pcは、1.1667となり、積分時間Ticは5となり、微分時間Tdcは1.25となり、独立方式の冷却側の比例帯Pc0=0.5833に比べて大きく、また、微分時間Tdc0=0.625に比べて長く、安定となっている。
【0069】
なお、この実施例2の冷却側は、積分時間Ticとして、加熱側の積分時間Tih0と冷却側の積分時間Tic0との長い方の積分時間である5を採用し、微分時間Tdhとして、加熱側の微分時間Tdh0と冷却側の微分時間Tdc0との長い方の微分時間である1.25を採用したものである。
【0070】
この実施例1,2における比例帯Ph、積分時間Tih、微分時間Tdhおよび冷却係数kcは、上述の(1)〜(6)の全ての不等式を満足するものである。
【0071】
このようにして、加熱側および冷却側のオートチューニングによって得られる各種のパラメータを、その大小関係から選択することにより、安定になるように、PID制御部5に設定する設定制御パラメータおよび乗算器8に設定する冷却係数を容易に決定することが可能となる。
【0072】
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態では、図5に示されるように、加熱側のオートチューニングおよび冷却側のオートチューニングでは、それぞれ加熱側および冷却側の目標温度を設定して行なったけれども、本発明の他の実施の形態として、同一の目標温度で加熱側のオートチューニングおよび冷却側のオートチューニングを行なうようにしてもよい。
【0073】
図7は、同一の目標温度で加熱側および冷却側のオートチューニングを行なった場合の例を示しており、同図(a)は、目標温度rおよび真制御量yを示し、同図(b)は、加熱操作量および冷却操作量を示している。
【0074】
前半の加熱側のオートチューニング(AT)では、加熱操作量のみを与えるのに対して、後半の冷却側のオートチューニング(AT)では、冷却操作量を与えると同時に、一定の加熱操作量も与えるものであり、これによって、同一の目標温度で加熱側および冷却側のオートチューニングを行なうことが可能となる。なお、この一定の加熱操作量は、加熱側のオートチューニング時の加熱操作量の時間平均に定数Chを乗じたものであるのが好ましい。この定数Chは、1以上であるのが好ましく、より具体的には、加熱能力(ワット数)と冷却能力(ワット数)とが釣り合うところが好ましい。
【0075】
したがって、例えば、加熱能力をGh[W]、冷却能力をGc[W]とすると、前記定数Chは、
Ch=1+(0.5×Gc/Gh)
であるのが好ましい。
【0076】
この図7では、一定の加熱操作量を与えて冷却側のオートチューニングを行なったけれども、逆に、一定の冷却操作量を与えて加熱側のオートチューニングを行なうようにしてもよい。
【0077】
この場合、この一定の冷却操作量は、冷却側のオートチューニング時の冷却操作量の時間平均に定数Ccを乗じたものであるのが好ましい。この定数Ccは、上述の加熱操作量の定数Chと同様に、1以上であるのが好ましく、より具体的には、
Cc=1+(0.5×Gh/Gc)
であるのが好ましい。
【0078】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、加熱側のパラメータと冷却側のパラメータとに基づいて、安定になるように制御部の制御パラメータおよび冷却係数を決定するので、従来のように冷却係数を、試行錯誤的に調整する必要がなく、自動的に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る温度調節器のブロック図である。
【図2】制御パラメータおよび冷却係数を決定するための手順を説明するための図である。
【図3】加熱側および冷却側のオートチューニングで得られるパラメータに基づくPIDパラメータおよび冷却係数の決定を説明するための図である。
【図4】オートチューニングの動作説明に供するフローチャートである。
【図5】加熱側および冷却側のオートチューニングにおける温度変化を示す図である。
【図6】各種パラメータおよび冷却係数の数値例を示す図である。
【図7】本発明の他の実施の形態のオートチューニングのタイムチャートである。
【図8】従来例のブロック図である。
【図9】加熱冷却切替え部の出力を示す図である。
【符号の説明】
3 温度センサ
4 制御対象
5 PID制御部
6 加熱冷却切替部
8 乗算器
20,21 温度調節器

Claims (4)

  1. 制御対象の温度を、設定温度にするための操作量を出力する制御部を備え、この制御部からの操作量を、加熱操作量とする一方、冷却係数を乗じて冷却操作量とする温度調節器であって、
    加熱側のオートチューニングによって得られる前記制御対象の特性パラメータと、冷却側のオートチューニングによって得られる前記制御対象の特性パラメータとに基づいて、安定になるように前記制御部の制御パラメータおよび前記冷却係数を決定する手段を備え、
    前記制御対象の特性パラメータが、むだ時間、時定数、定常ゲイン、最大傾きであり、
    前記決定する手段は、加熱側のむだ時間と冷却側のむだ時間の内の長い方のむだ時間、加熱側の時定数と冷却側の時定数の内の小さい方の時定数、加熱側の定常ゲインと冷却側の定常ゲインの内の大きい方の定常ゲイン、および、加熱側の最大傾きと冷却側の最大傾きの内の大きい方の最大傾きの少なくともいずれか一つを用いて、前記制御パラメータおよび前記冷却係数を決定することを特徴とする温度調節器。
  2. 制御対象の温度を、設定温度にするための操作量を出力する制御部を備え、この制御部からの操作量を、加熱操作量とする一方、冷却係数を乗じて冷却操作量とする温度調節器であって、
    加熱側のオートチューニングによって得られる加熱側PIDパラメータと、冷却側のオートチューニグによって得られる冷却側PIDパラメータとに基づいて、前記制御部の制御パラメータであるPID制御パラメータを決定するとともに、前記冷却係数を決定する手段を備え、
    前記決定する手段は、前記PID制御パラメータが、前記加熱側PIDパラメータ以上に安定であって、かつ、前記PID制御パラメータに冷却係数を乗じたパラメータが、前記冷却側PIDパラメータ以上に安定となるように、前記PID制御パラメータおよび前記冷却係数を、下記不等式(1)〜(6)を満足するように、決定することを特徴とする温度調節器。
    Ph0≦Ph (1)
    Ph0・Tih0≦Ph・Tih (2)
    Ph0・Tdh0≦Ph・Tdh (3)
    Pc0≦kc・Ph (4)
    Pc0・Tic0≦kc・Ph・Tih (5)
    Pc0・Tdc0≦kc・Ph・Tdh (6)
    但し、Phは前記PID制御パラメータの比例帯、Tihは前記PID制御パラメータの積分時間、Tdhは前記PID制御パラメータの微分時間、kcは前記冷却係数、Ph0は前記加熱側PIDパラメータの比例帯、Tih0は前記加熱側PIDパラメータの積分時間、Tdh0は前記加熱側PIDパラメータの微分時間、Pc0は前記冷却側PIDパラメータの比例帯、Tic0は前記冷却側PIDパラメータの積分時間、Tdc0は前記冷却側PIDパラメータの微分時間である。
  3. 一定の冷却操作量を出力しながら前記加熱側のオートチューニグを実行し、または、一定の加熱操作量を出力しながら前記冷却側のオートチューニングを実行する請求項1または2に記載の温度調節器。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の温度調節器と、制御対象としての熱処理手段と、前記熱処理手段を加熱する加熱手段と、前記熱処理手段を冷却する冷却手段とを備えることを特徴とする熱処理装置。
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